JP6319643B2 - セラミックス−銅接合体およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス−銅接合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品のパワーモジュール等に使用される窒化珪素−銅接合体およびその製造方法に関する。
一般に、IGBT(Insulated
Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET等の電力制御素子として知られているパワー半導体スイッチング素子は、これらの複数個を絶縁容器内に密封して構成され、パワーモジュールとして使用される。このようなパワーモジュールに使用される回路基板又は放熱基板などの基板は、アルミナ、窒化アルミなどのセラミックス基板の表面に、銅板などの金属板を接合した構成のものが多用されている。
前記基板におけるセラミックス基板と金属板との接合は、Ti、Zr、Hf、Nb等の活性金属をAg−Cuろう材等に1〜10質量%程度添加した活性金属ろう材を両者間に介在させ、加熱処理をして接合する方法(活性金属法)や、金属板として酸素を100〜1000ppm程度含有するタフピッチ電解銅を用いてセラミックス基板と銅板とを直接加熱接合させる、いわゆるDBC法(Direct Bonding Copper法)等が知られている。中でも活性金属法は、セラミックスの粒界や結晶層への活性金属の拡散と反応により、セラミックス表面がろう材との良い濡れ性を示し、セラミックス基板と金属板との強固な接合を可能とすることから好適に用いられる。しかし、熱膨張率が大きく異なるセラミックス基板と金属板を接合するため、接合後の冷却過程や加熱・冷却サイクルの熱衝撃付加により、上記熱膨張差に起因する熱応力が発生する。この応力は、接合部付近のセラミックス基板やろう材層側に圧縮と引張りの応力を生じさせ、特に金属板の外周端部と近接するろう材層部分には引張り残留応力が作用する。この熱応力に起因する残留応力は、ろう材層に主応力方向と直行する方向にクラックを生じさせ、金属板の剥離の発生原因になる。
このセラミックス−銅接合体である回路基板のクラック発生や金属板の剥離を防止するための技術は、例えば特許文献1に提案されている。前記公知例は、金属Cuと、金属Snと、Ag−Cu−Ti合金とを金属材料として含有する活性金属ろう材において、金属Cuは、金属材料の合計重量に対して5重量%以上15重量%以下の組成範囲にあり、金属Snは、金属材料の合計重量に対して5重量%以上15重量%以下の組成範囲にあり、Ag−Cu−Ti合金中のTiの含有量は、Ag−Cu−Ti合金の全体重量に対して1重量%以上10重量%以下である活性金属ろう材を用いた金属部材とセラミックス部材との接合方法を開示している。この活性金属ろう材によりセラミックス部材と金属部材に好適なぬれ状態を得ることができるから金属部材とセラミックス部材との接合に際して、接合強度を著しく向上させる効果を奏するとしている。
また、特許文献2には、Siチップ搭載時の熱処理や実稼働時の熱履歴が課せられた際の接合剥離やセラミックス自身のクラック発生を防止した窒化珪素回路基板が開示されている。この窒化珪素回路基板は、窒化珪素基板の一方の面に金属回路板、もう一方の面に金属放熱板を接合してなり、金属回路板がCuを主成分とする金属からなる場合には、接合されている金属回路板及び金属放熱板を除去したときの窒化珪素基板の強度が550MPa以上である回路基板であり、実施例ではろう材としてAgCu共晶組成+8wt%Tiの活性ペーストが採用されている。
特許2520334号公報 特開2001−94016号公報
特許文献1に記載の接合方法に従って窒化珪素基板と金属板とを活性金属法により接合すると、ろう材層とセラミックス部材および金属部材との好適な濡れ状態を得ることができ、窒化珪素と金属板の接合強度が上がる。その一方で活性金属ろう材に含まれるTi成分は、金属成分中に拡散してろう材層を脆化させるので、ろう材層におけるクラックの進展能を増大させる。
また、特許文献2の窒化珪素回路基板によれば、接合条件によっては、接合後強度が異なり、窒化珪素基板と金属回路板または金属放熱板との接合によってできる反応層はろう材に含まれる活性金属であるTiと窒化珪素との反応による窒化物・珪化物混合相より形成される。特に珪化物は脆く、当然接合温度が高い場合あるいは接合時間が長い場合にはその生成量が多くなることが開示されている。
このような活性金属を含むろう材接合層により接合した窒化珪素回路基板は、ろう材接合層を脆化させるため、接合後の冷却過程やパワー半導体素子による加熱・冷却サイクルの付加により繰り返し熱応力が発生すると、ろう材接合層においてクラックが生じることもあるという課題を有していた。
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、窒化珪素回路基板にパワー半導体素子を接合して使用した際に発生するろう材接合層のクラック等の不具合を防ぎ、加熱・冷却サイクルに対する耐性である耐ヒートサイクル性を改善することのできるセラミックス−銅接合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本願第1の発明のセラミックス−銅接合体は、窒化物セラミックスと無酸素銅とをTiを含むろう材層を介して接合したセラミックス−銅接合体であり、該接合体の接合界面を含む断面において前記無酸素銅と前記ろう材層との第1界面にTi濃度の第1ピークを有し、前記ろう材層と前記窒化物セラミックスとの第2界面にTi濃度の第2ピークを有することを特徴とする。
本願第2の発明のセラミックス−銅接合体の製造方法は、窒化物セラミックスと無酸素銅の表面を100〜300℃の温度で酸化処理して得られた無酸素銅とをTiを含むろう材で接合することを特徴とする。
本願第2の発明においては、ろう材を構成する合金のTi含有量を0.5〜9重量%とすることができ、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%とすることができる。
本発明によれば、ろう材接合層のクラック等の不具合を防ぎ耐ヒートサイクル性を改善することのできる窒化珪素−銅接合体およびその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る窒化珪素−銅接合体を用いた半導体モジュールの断面図である。 実施例1で、ろう材接合後のろう材層におけるEPMAによるライン分析をしたときのTi成分のピークを示す。 実施例2で、ろう材接合後のろう材層におけるEPMAによるライン分析をしたときのTi成分のピークを示す。 比較例1で、ろう材接合後のろう材層におけるEPMAによるライン分析をしたときのTi成分のピークを示す。
本発明の実施形態を具体的に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に適宜変更、改良が加えられたものも本発明の範囲内に含まれる。
本発明のセラミックス−銅接合体は、セラミックスと無酸素銅とをTiを含むろう材層を介して接合したセラミックス−銅接合体であり、該接合体の接合界面を含む断面において前記無酸素銅と前記ろう材層との第1界面にTi濃度の第1ピークを有し、前記ろう材層と前記窒化物セラミックスとの第2界面にTi濃度の第2ピークを有する。理由は明確になっていないが、本発明のセラミックス−銅接合体は、無酸素銅とろう材層との界面およびろう材層とセラミックスとの界面にTi濃度のピークを形成することで、ヒートサイクルの付加による繰り返し熱応力に対して、ろう材層中においてクラックを生じ難いという利点を有している。本発明のセラミックスー銅接合体に用いられるセラミックスは、回路基板または放熱基板として用いられるため、熱伝導率が高く、強度が高い窒化珪素または窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックスからなることが好ましい。また使用する無酸素銅の含有酸素量は50ppm以下とすることが好ましく、更に好ましくは2〜50ppmである。
図1に示す回路基板8は、例えば、以下の通りにして製造できる。
[窒化物セラミックスの作製]
まず、本発明に好適に用いることのできる窒化物セラミックス4の製造方法について説明する。窒化物セラミックスの構成原料である窒化物原料粉末および焼結助剤に溶媒および分散剤を添加しボールミルで混合、粉砕する。ここで、混合、粉砕した原料に、バインダー、可塑剤を添加、混練し、粘度が所定の値になるように調整しスラリーとする。スラリーをドクターブレード法、押出し法等のシート成形手段により所定板厚でシート成形する。このシート成形体を所定形状に切断後、脱脂し、焼結炉内で1800〜2000℃の窒素雰囲気で焼結して窒化物セラミックス(以下、セラミックス基板とも記す)4を得る。本発明のセラミックスー銅接合体に用いられるセラミックスは、回路基板または放熱基板として使用されることから、強度、放熱性を考慮して、その厚さは、0.1〜1mmの板状形状であることが好ましい。セラミックスの厚さが0.1mm未満の場合は、回路基板または放熱基板とした場合に破損することもあるからであり、1mmを超えると放熱性が低下することもあるからである。同様の理由から、より好ましい厚さは0.2〜0.7mmであり、更に好ましくは、0.3〜0.5mmである。
[無酸素銅板の酸化]
セラミックス基板4とほぼ同じ長方形状の二枚の無酸素銅板を用意する。一方は回路側金属板3となる無酸素銅板であり、他方は放熱側金属板5となる無酸素銅板である。無酸素銅板の回路基板または放熱基板として使用されることから、厚さは、0.1mm〜3mmが好ましい。無酸素銅板の厚さが0.1mm未満の場合は、セラミックスー銅接合体が変形することもあるからであり、3mmを超えると、セラミックスとの接合界面の応力が高くなって、セラミックスが破損することもあるからである。より好ましい無酸素銅板の厚さは0.2〜2mmであり、更に好ましくは0.2〜0.6mmである。
これらの無酸素銅板の表面を高温の空気中で酸化処理する。酸化処理する際の空気の温度は100〜300℃であり、好ましくは100〜200℃である。100℃未満では酸化の効果が不十分であり、300℃を超えると酸化処理後に、表面の酸化膜が不均一に剥離し易くなり好ましくない。
[回路基板の作製]
セラミックス基板4の両面に活性金属であるTiが添加された合金からなる活性金属ろう材層10,11を印刷形成する。ろう材層を印刷する厚さは、接合後のろう材層の厚さが2〜50μmとなる厚さとすることが好ましい。接合後のろう材層の厚さが2μm未満であると、セラミックス基板または無酸素銅板の表面にうねりや反りにより接合できないこともあるからであり、接合後のろう材層の厚さが50μmを超えると、接合体として十分な強度が得られないこともあるからである。より好ましい接合後のろう材層の厚さは、5〜40μmであり、更に好ましくは10〜20μmである。

窒化物セラミックスと無酸素銅とを接合する活性金属ろう材の組成はAgおよびCuを主成分とすることが好ましく、特にAg−Cu−In−Ti系合金粉末からなるろう材が好ましく、活性金属であるチタンの含有量は従来と同等の0.5〜9重量%とすることができ、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%とすることができる。少なすぎると十分な接合強度が得られず、多量に添加すると、ろう材そのものが脆化する。特に好ましいチタンの量は1〜3重量%である。ろう材の酸素含有量は金属回路/ろう材相/窒化珪素基板間の安定した接合強度が得やすいことから5〜1000ppmとすることが好ましい。活性金属ろう材層に接して、表面を酸化処理した無酸素銅板を載置し加圧・加熱してセラミックス基板と接合する。接合条件は、加熱温度700〜850℃、無酸素銅板とセラミックス基板の押付け圧力1400〜15200Paとすることが好ましい。冷却後、両方の面の無酸素銅板上にレジストパターンを形成後に、塩化第二鉄溶液によってエッチング処理して回路側金属板3と放熱側金属板5を形成する。ろう材層のうち露出した部分は過酸化水素とフッ化アンモニウムとの混合溶液によりエッチング除去する。さらに回路側金属板及び放熱側金属板にNi−Pメッキを施し回路基板8を作製する。
[冷熱サイクル試験]
作製した回路基板について、低温側−40℃、高温側+110℃、各温度での保持時間を15分間としたヒートサイクル試験を2000サイクルまで行い、2000サイクル後の回路側ろう材層10に発生したボイドを超音波探査映像装置(日立建機ファインテック(株)製、mi−scope.exla)で観察し、ボイド率(ボイド率(%)=100×(ボイドおよびクラックの面積/回路側ろう材層10の面積))を算出する。さらに、冷熱サイクル試験前後のボイド率の差(ボイド率の差(%)=冷熱サイクル試験後のボイド率(%)−冷熱サイクル試験前のボイド率(%))を求め、前記ろう材層におけるクラックの有無を判定した。ここではボイド率の差が2%以上でクラックが生じたと判定した。ろう材層は冷熱サイクル試験によりセラミックス基板4と回路側金属板3および放熱側金属板5との熱膨張率の差から発生する歪を繰り返し受ける。そのため回路側ろう材層10と放熱側ろう材層11にはクラックが発生、成長してボイドとなる。ボイドがろう材層に発生するとセラミックス基板4と回路側金属板3および放熱側金属板5との接合強度を低下させる。
[Ti濃度分析]
窒化物セラミックスとろう材層との界面のTi濃度、ろう材層と無酸素銅との界面のTi濃度およびろう材層の中心部のTi濃度は次のようにして測定することができる。即ち、冷熱サイクル試験の後、回路基板8を切断し、切断面において回路側金属板3と回路側ろう材層10との界面および回路側ろう材層10とセラミックス基板4との界面を含む長さを評価長さとし、加速電圧:15kV、ビーム径:0.1μmの条件でAg,Cu,Ti,Si,O,N成分についてEPMA(Electron Probe MicroAnalyser)によるライン分析を行い各成分の相対強度を求める。この分析を前記切断面の任意の10箇所において行い、回路側ろう材層10とセラミックス基板4との界面にTi濃度の第1ピークを有し、且つ回路側金属板3と回路側ろう材層10との界面にTi濃度の第2ピークを有する箇所が1箇所でも確認されれば、それは本発明のセラミックス−銅接合体とする。ここで、Ti濃度のピークとは、接合体の切断面のEPMAによるライン分析で得られたTiの相対強度(%)−相対距離(μm)の関係を表す曲線において、ろう材層の中心部のTi相対強度に対して5倍以上のTi相対強度を有し且つ半価幅が5μm以下のピークを意味するものとする。ろう材層の中心部とは、無酸素銅とろう材層との界面から前記ろう材層と窒化物セラミックスとの界面までの距離をろう材層の厚さとしたとき、ろう材層の厚さを二等分する位置である。
第1ピーク(金属板側)/第2ピーク(基板側)(両ピークの高さの比)の好ましい範囲は、5倍〜20倍である。5倍未満では、ろう材と基板側の接合に寄与するTiNの生成量(総量)が十分でなく所望の接合強度が得られず、このため冷熱サイクル試験後のボイド生成量が増加する不具合が生じる。一方、20倍超では、金属板とろう材との界面にTi成分を拡散させてTi濃度の高い領域を形成し、ろう材層中で生成するTi成分相を抑制することができなくなり、ろう材層中に脆性相であるTi成分相の影響が発現し、この場合においても耐ヒートサイクル性を改善することができなくなる。したがって、第1ピーク(金属板側)/第2ピーク(基板側)の好ましい範囲は、5倍〜20倍の範囲が好ましい。
半導体モジュール9は、前記の回路基板8を用いて形成され、特に大電力で動作する半導体素子1をこれに搭載する。この半導体モジュールの断面図が図1である。この半導体モジュール9は、前記の回路基板8における回路側金属板3上に半導体素子1が第一のはんだ層2を介して接合して搭載されている。また、放熱ベース板7が第二のはんだ層6を介して放熱側金属板5に接合されている。
半導体素子1は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような半導体デバイスが形成されたシリコンチップである。特にこの半導体デバイスは、大電力で動作するものとすることができる。これによる発熱がこの回路基板8によって放熱される。また、半導体素子1と配線となる回路側金属板3との電気的接続は、ボンディングワイヤ(図示せず)を用いてもよいし、フリップチップ接続を用いることにより、はんだ等のバンプにより行ってもよい。
放熱ベース板7は、機器側でこの回路基板8を搭載する部分である。放熱ベース板7は半導体素子1から放熱側金属板5に伝わった熱を放熱するため、熱伝導率が高く、熱容量が大きい。これは例えば銅、アルミニウムからなる。放熱ベース板7の熱膨張係数は、例えば、銅が17×10−6/K、アルミニウムが22×10−6/K程度と大きい。
この半導体モジュール9においては、例えばセラミックス基板4の熱膨張係数は1.5〜2.5×10-6/K、無酸素銅からなる回路側金属板3および放熱側金属板5は17〜22×10-6/Kと熱膨張率が大きく異なるセラミック基板と金属板とを接合するため、接合後の冷却過程やヒートサイクルの付加により、この熱膨張差に起因する熱応力がろう材層に発生する。
本発明の窒化珪素−銅接合体は、窒化物セラミックスとろう材層との界面およびろう材層と無酸素銅との界面にTi成分を拡散させてTi濃度の高い領域を形成し、ろう材層中で生成するTi成分相を抑制することで脆性相であるTi成分相の影響を少なくし耐ヒートサイクル性を改善することができる。ろう材層と無酸素銅との界面にTi成分を拡散させてTi濃度の高い領域を形成することは、予め無酸素銅表面を酸化すること等によって達成することができる。これは非常に安定な酸化物を形成しやすいTiが酸素との結び付きが強いことと関係していると考えられる。
以下、本発明の実施例に基づいて詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
原料粉末はSi:94重量%、焼結助剤としてMgO:3重量%およびY:3重量%、焼成温度1800℃の条件で前述の製造手順にしたがって寸法50×40×0.32mmのセラミックス基板を作製した。セラミックス基板に接合する寸法50×40×0.5mmの回路側金属板および寸法50×40×0.4mm放熱側金属板は何れも酸素濃度2ppmの無酸素銅板を用い、この無酸素銅板を予め100℃×5hr,200℃×4hr,300℃×4hrの大気中で表面を酸化処理したものを用いた。表1に酸化処理後の無酸素銅板の表面をEPMA分析した結果を示す。使用機器に島津製EPMA1610を使用して定量分析を行った。分析条件は加速電圧15KV、ビーム電流100nA、ビーム径100μm、時間0.0854sec/pointとした。
Figure 0006319643
接合に用いたろう材の組成、酸素含有量を表2に示す。接合条件は加熱温度750℃、圧力1400Paとした。作製した回路基板のボイド率を測定し、次いで2000サイクルの冷熱サイクル試験を実施し、再び回路基板のボイド率を測定した。その後、ろう材接合後のろう材層における切断面において回路側金属板3と回路側ろう材層10との界面および回路側ろう材層10とセラミックス基板4との界面を含む長さを評価長さとし、加速電圧:15kV、ビーム径:0.1μmの条件でAg,Cu,Ti,Si,O,N成分についてEPMAによるライン分析を行った結果を実施例1,2についてのみそれぞれ図2,図3に示す。横軸が回路基板の厚さ方向の相対距離、縦軸が各元素の相対強度である。横軸0の位置から相対距離を増加させたとき回路側金属板を構成するCuの相対強度が急に低下し且つろう材の主成分であるAgの相対強度が急に立ち上る位置が無酸素銅板とろう材層との第1界面である。この界面と同じ位置にTiの相対強度の第1ピークがある。また、更に相対距離を増加させたときろう材の主成分であるAgの相対強度が急に低下し且つセラミックス基板の主成分であるSiの相対強度が急に立ち上る位置がろう材層と窒化物セラミックスとの第2界面である。この界面と同じ位置にTiの相対強度の第2ピークがある。
図2において第1界面ではTiの相対強度の第1ピーク(SPTi1)はろう材層の中心部のTi相対強度(STiC)に対して7.2倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が3μm、第2界面ではTiの相対強度の第2ピーク(SPTi2)はろう材層の中心部のTi相対強度(STiC)に対して20倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が2μmであることが認められた。
図3において第1界面ではTiの相対強度の第1ピークはろう材層の中心部のTi相対強度に対して18倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が2μm、第2界面ではTiの相対強度の第2ピークはろう材層の中心部のTi相対強度に対して33倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が2μmであることが認められた。冷熱サイクル試験前後のボイド率の差は小さく、ろう材層にクラックは生じていなかった。
実施例3についても実施例1,2と同様の結果であった。実施例1〜3の結果を表3に示す。何れも初期のボイド率は3%以下、冷熱サイクル試験前後のボイド率の差は2%以下の好ましい結果が得られた。
(実施例4,5)
Ti含有量が異なるろう材を用いたことを除いて実施例1と同様にして回路基板を作製した。作製した回路基板のボイド率を測定し、次いで2000サイクルの冷熱サイクル試験を実施し、再び回路基板のボイド率を測定した。その後、ろう材接合後のろう材層におけるEPMAによるライン分析を行った。第1界面ではTiの相対強度の第1ピークはろう材層の中心部のTi相対強度に対して17倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が4μm、第2界面ではTiの相対強度の第2ピークはろう材層の中心部のTi相対強度に対して32倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が2μmであることが認められた。冷熱サイクル試験前後のボイド率の差は小さく、ろう材層にクラックは生じていなかった。実施例7,8の結果を表3に示す。何れも初期のボイド率は3%以下、冷熱サイクル試験前後のボイド率の差は2%以下の好ましい結果が得られた。
(比較例1)
無酸素銅板の表面の酸化処理をしなかったことを除いて実施例1と同様にして回路基板を作製した。作製した回路基板のボイド率を測定し、次いで2000サイクルの冷熱サイクル試験を実施し、再び回路基板のボイド率を測定した。その後、ろう材接合後のろう材層におけるEPMAによるライン分析を行った。結果を図4に示す。第2界面ではTiの相対強度の第2ピークはろう材層の中心部のTi相対強度に対して40倍のTi相対強度を有し且つ半価幅が3μmであったが、第1界面ではTiの相対強度の第1ピークは形成されないことが認められた。比較例1の結果を表3に示す。初期のボイド率は3%以下であったが、冷熱サイクル試験前後のボイド率の差は大きく、ろう材層にクラックが生じた。
Figure 0006319643
Figure 0006319643
本発明のセラミックス−銅接合体およびその製造方法は、電子部品のパワーモジュール等において、セラミックス回路基板にパワー半導体素子を接合して使用した際に発生するろう材接合層のクラック等の不具合を防ぎ耐ヒートサイクル性を改善することができる。
1:半導体素子
2:第一のはんだ層
3:回路側金属板(銅)
4:窒化物セラミックス(セラミックス基板)
5:放熱側金属板(銅)
6:第二のはんだ層
7:放熱ベース板
8:回路基板(窒化珪素−銅接合体)
9:半導体モジュール
10:回路側ろう材層(活性金属ろう材層)
11:放熱側ろう材層(活性金属ろう材層)


Claims (8)

  1. 窒化珪素セラミックス基板と無酸素銅板とを、Ag、Cu、Ti及びInを含み、酸素含有量が0.0005〜0.1重量%であるろう材層を介して接合したセラミックス−銅接合体であり、
    該接合体の接合界面を含む断面において前記無酸素銅と前記ろう材層との第1界面にTi濃度の第1ピークを有し、前記ろう材層と前記窒化珪素セラミックス基板との第2界面にTi濃度の第2ピークを有することを特徴とするセラミックス−銅接合体。
  2. 前記ろう材層のTi含有量が0.5〜5重量%である請求項1に記載のセラミックス−銅接合体。
  3. 前記第2界面におけるTiの相対強度の第2ピーク(SPTi2)は、前記第1界面におけるTiの相対強度の第1ピーク(SPTi1)の5倍〜20倍である請求項1又は2に記載のセラミックス−銅接合体。
  4. 前記第1界面におけるTiの相対強度の第1ピーク(SPTi1)はろう材層の中心部のTi相対強度(STiC)に対して7.2倍〜18倍のTi相対強度を有し、
    前記第2界面におけるTiの相対強度の第2ピーク(SPTi2)はろう材層の中心部のTi相対強度(STiC)に対して16倍〜33倍のTi相対強度を有する請求項1又は2に記載のセラミックス−銅接合体。
  5. 前記ろう材層は、厚さが2〜50μmであり、冷熱サイクル試験前後のボイド率の差が2%以下である請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミックス−銅接合体。
  6. 無酸素銅板の表面を100〜300℃の温度で酸化する酸化工程と、
    窒化珪素セラミックス基板と表面を酸化した無酸素銅板とを、加熱温度700〜850℃、無酸素銅板を窒化珪素セラミックス基板に押し付ける圧力が1400〜15200Paの条件で、Ag、Cu、Ti及びInを含むろう材を介して接合する接合工程を備えることを特徴とするセラミックス−銅接合体の製造方法。
  7. 前記ろう材のTi含有量が0.5〜5重量%であり、
    原料粉末として、Si と、焼結助剤としてMgO及びY とを用いて、窒化珪素セラミックス基板を製造する焼成工程を備える請求項6に記載のセラミックス−銅接合体の製造方法。
  8. 前記接合工程で前記ろう材よりろう材層を形成して、前記ろう材層は冷熱サイクル試験前後のボイド率の差が2%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載のセラミックス−銅接合体の製造方法。
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