JP2003192462A - 窒化珪素回路基板およびその製造方法 - Google Patents

窒化珪素回路基板およびその製造方法

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JP2003192462A
JP2003192462A JP2001392490A JP2001392490A JP2003192462A JP 2003192462 A JP2003192462 A JP 2003192462A JP 2001392490 A JP2001392490 A JP 2001392490A JP 2001392490 A JP2001392490 A JP 2001392490A JP 2003192462 A JP2003192462 A JP 2003192462A
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thickness
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Takao Shirai
隆雄 白井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パワートランジスタやレーザーダイオード等
が装着される窒化珪素回路基板では、大電流を流せるよ
うに銅板の厚さを厚くする必要があるが、銅板が厚くな
るにつれて、銅板と窒化珪素基板との熱膨張率の差に起
因する熱応力も大きくなるため、窒化珪素基板へのクラ
ックの発生や金属板の剥離等の問題が発生しやすくなっ
ている。 【解決手段】 窒化珪素基板の少なくとも一方の面に厚
さ0.5mm以上の銅板が接合された窒化珪素回路基板
において、前記銅板と窒化珪素基板とがAg、Cuおよ
び活性金属を含む接合層により接合されており、前記銅
板中にAg成分が拡散されているとともに、前記銅板の
厚さをt、前記Ag成分が拡散した層の厚さをt
したとき、t/t>0.01であるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は活性金属を含むろう
材によって窒化珪素基板と銅板とを接合した窒化珪素回
路基板およびその製造方法に係り、特に接合された銅板
の板厚が従来のものよりも厚いものにおいて、耐熱サイ
クル特性・信頼性を向上させた窒化珪素回路基板および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パワートランジスタモジュールや
スイッチング電源用モジュール等の比較的高電力を扱う
半導体モジュールにおいて、セラミックス基板の表裏に
銅板等の金属板または金属回路板を接合したセラミック
ス回路基板が使用されている。
【0003】セラミックス基板としては、これまで比較
的入手が容易なアルミナ焼結体が主として用いられてき
たが、半導体素子の高集積化、高周波化、高出力化等に
伴う半導体素子からの発熱量の増加に対し、アルミナ基
板では放熱性の点で限界があるため、アルミナ基板に比
べて熱伝導率に優れ、熱膨張率がSiに近似する窒化ア
ルミニウム基板も使用されるようになっている。
【0004】ところが、窒化アルミニウム基板は上述し
たような優れた特性を有する反面、機械的強度や靱性が
低いことから、アッセンブリ工程での損傷や、熱サイク
ルが付加された際にクラックが発生しやすい等の難点を
有している。このため機械的な信頼性が求められるもの
については、熱膨張率がSiに近似し、機械的強度や靱
性に優れる窒化珪素基板が用いられるようになってい
る。
【0005】セラミックス回路基板の製造工程における
セラミックス基板と金属板あるいは金属回路板との接合
方法としては、Ti、Zr、Hf、Nb等の活性金属を
Ag−Cuろう材等に1〜10%含有した活性金属ろう
材を用いる方法(活性金属法)や、金属回路板等として
酸素を100〜1000ppm 含有するタフピッチ電解銅
や表面を1〜10μmの厚さで酸化させた銅板を用いて
セラミックス基板と銅板とを直接接合させる、いわゆる
直接接合法(DBC法:ダイレクト・ボンディング・カ
ッパー法)等が知られている。
【0006】例えば活性金属法においては、Ag−Cu
−Ti系ろう材をセラミックス基板上にスクリーン印刷
し、この印刷面上にCuからなる金属回路板を配置し、
850℃程の温度で加熱処理し、セラミックス基板と金
属回路板とを接合する。
【0007】このようにして得られたセラミックス回路
基板は、活性金属であるTiと窒化物系セラミックス基
板のNとが共有結合して、TiN(窒化チタン)とな
り、このTiNにより接合層を形成するため、比較的高
い接合強度を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱膨張
率が大きく異なるセラミックス基板と金属板とを接合す
ると、接合後の冷却過程や冷熱サイクルの付加により、
上記熱膨張率の差に起因する熱応力が発生する。
【0009】この応力は接合部付近のセラミックス基板
側に圧縮と引張りの残留応力分布として存在し、特に金
属板の外周端部と近接するセラミックス部分に残留応力
の主応力が作用する。この残留応力は、セラミックス基
板にクラックを生じさせたり、絶縁耐圧不良を起こした
り、あるいは金属板を剥離させたりする原因となる。
【0010】特に、パワートランジスタやレーザーダイ
オード等が装着されるセラミックス回路基板では、大電
流を流せるように金属板の厚さを厚くする必要がある
が、金属板が厚くなるにつれて上記熱膨張率の差に起因
する熱応力も大きくなるため、セラミックス基板へのク
ラックの発生や金属板の剥離等の問題が発生しやすくな
る。
【0011】本発明は、上述したような課題を解決する
ためになされたものであって、パワートランジスタやレ
ーザーダイオード等の装着に使用される比較的厚い金属
板を有する窒化珪素回路基板において、窒化珪素基板へ
のクラックの発生や金属板の剥離等が抑制された窒化珪
素回路基板およびその製造方法を提供することを目的と
している。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化珪素回路基
板は、窒化珪素基板の少なくとも一方の面に厚さ0.5
mm以上の銅板が接合された窒化珪素回路基板におい
て、前記銅板と窒化珪素基板とがAg、Cuおよび活性
金属を含む接合層により接合されていることを特徴とす
る。
【0013】窒化珪素基板に接合される銅板にはAg成
分が拡散していることが好ましく、前記銅板の厚さをt
、前記銅板におけるAg成分が拡散した層の厚さをt
とした場合、t/t>0.01であることが好ま
しい。また、使用される窒化珪素基板は、熱伝導率が7
0W/m・K以上であるものが好ましい。
【0014】本発明の窒化珪素回路基板は、例えばレー
ザーダイオードを搭載するためのサブマウント材として
好適に使用されるものである。
【0015】本発明の窒化珪素回路基板の製造方法は、
窒化珪素基板の少なくとも一方の面に厚さ0.5mm以
上の銅板を接合する際に好適なものであって、窒化珪素
基板上にAg、Cuおよび活性金属を含む接合ろう材ペ
ースト層を塗布した後、銅板を積層する工程と、780
〜930℃で5〜30分間加熱することにより前記銅板
と窒化珪素基板とを接合する工程と、前記接合された銅
板と窒化珪素基板とを、さらに温度700〜850℃で
5〜100分間保持することにより、前記銅板中に接合
ろう材ペースト中のAg成分を拡散させる工程とを具備
することを特徴とする。
【0016】前記Ag、Cuおよび活性金属を含む接合
ろう材ペーストは、Cuを10〜20質量%および活性
金属を1〜10質量%含み、残部が実質的にAgからな
るものであることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。
【0018】図1は本発明の窒化珪素回路基板を示した
断面図である。本発明の窒化珪素回路基板1は、窒化珪
素基板2の少なくとも一方の面に、接合層3により銅板
4が接合されてなるものである。銅板4は、例えば回路
板等として使用されるものであり、その厚さは少なくと
も0.5mm以上である。本発明では、このような厚め
の銅板4を使用することで、高い放熱性、電流容量を得
ることができ、レーザーダイオードやパワートランジス
タ等の比較的大電力を必要とするものを搭載することが
できる。
【0019】本発明の窒化珪素回路基板1を構成する窒
化珪素基板2は、主として窒化珪素焼結体からなるもの
であり、その形状、特性等は特に制限されるものではな
いが、例えば熱伝導率が70W/m・K以上、厚さが
0.8mm以下であるものが好ましい。この窒化珪素基
板2に接合される銅板4は上記したように0.5mm以
上であればよいが、好ましくは0.5〜1.5mm、さ
らには0.7〜1.0mmであることが好ましい。本発
明では銅板4の板厚の上限は特に限定されるものではな
いが、銅板4の板厚が1.5mmを超えると銅板が厚す
ぎるため後述するt/tを好ましい値に管理し難
い。また、t/tを好ましい値にするために接合後
の保持時間を長時間にしなくてはならなくなる。保持時
間があまり長いと製造時間が長くなるだけでなく、不要
な熱応力が発生しやすくなるため必ずしも好ましいとは
言えない。
【0020】本発明の窒化珪素回路基板1においては、
窒化珪素基板2と銅板4とは接合層3を介して接合され
ている。この接合層3は、Ag、Cuおよび活性金属等
からなるものである。活性金属としては、Ti、Zr、
HfおよびNbから選択される少なくとも1種であるこ
とが好ましい。
【0021】この接合層3はより具体的には、Ag−C
u−活性金属の混在層5と活性金属窒化物層6(TiN
等)とからなるものである。活性金属窒化物層6は、接
合層3のうち窒化珪素基板2側に形成されるものであ
り、窒化珪素基板2と銅板4とを接合する際に使用した
活性金属ろう材等に含まれていた活性金属と窒化珪素基
板の窒素とが反応して形成されたものである。このよう
なTiN層等を形成することで、比較的高い接合強度を
得ることができる。
【0022】また、窒化珪素基板2に接合層3を介して
接合される銅板4は、より具体的には、Ag成分が拡散
したことにより形成されたAg拡散層7と、Ag成分が
拡散していない非拡散層8とからなるものであることが
好ましい。このAg拡散層7は、窒化珪素基板2と銅板
4とを接合する際に、活性金属ろう材等に含まれていた
Ag成分の拡散により、あるいは窒化珪素基板2と銅板
4とを接合した後に、熱処理により接合層3に含まれて
いたAg成分を拡散させることにより形成されたもので
ある。
【0023】このAg成分が拡散されたAg拡散層7
は、銅板(Ag成分が拡散されていない部分)の熱膨張
率と窒化珪素基板の熱膨張率の間の熱膨張率を有するも
のである。このようなAg拡散層7を銅板4に形成する
ことで、例えば窒化珪素回路基板の構成を、銅板から窒
化珪素基板へ向かって順に、銅板、銅板+Ag、Ag+
Cu、TiN、SiNのようにすることが可能となる。
このように、徐々に熱膨張率を変化させていくことで、
銅板と窒化珪素基板との熱膨張率の差に起因する熱応力
の発生を緩和させることができ、窒化珪素基板へのクラ
ックの発生や、銅板の剥離等を有効に抑制することが可
能となる。また、板厚0.5mm以上と厚い銅板を接合
しているにも関わらず熱応力の発生が緩和されるため
に、窒化珪素基板の板厚をこれまでよりも薄くすること
が可能となる。このため、回路板として接合された板厚
0.5mm以上の厚い銅板がヒートシンクの役割も果た
し、さらに窒化珪素基板の板厚を薄くできるので回路基
板としての熱抵抗を大幅に改善できる。
【0024】Ag成分の銅板への拡散は、銅板4の厚さ
をtとし、Ag成分が拡散した層の厚さ、すなわちA
g拡散層7の厚さをtとした場合、以下の式で示され
るような範囲となるようにすることが好ましい。なお、
銅板4の厚さtとは、Ag拡散層7および非拡散層8
の厚さを合わせたものである。 0.5 ≧ t/t > 0.01
【0025】銅板4に対するAg拡散層7の比、t
が0.01未満である場合、Ag拡散層7の厚さが
薄すぎるため、窒化珪素基板2と銅板4との熱膨張率の
差に起因する熱応力の発生を有効に緩和できなくなるお
それがあり、窒化珪素基板2へのクラックの発生や、銅
板4の剥離等が発生しやすくなる。一方、t/t
0.5を超える場合には、銅板4が剥離しやすくなる。
【0026】窒化珪素基板2へのクラックの発生や、銅
板4の剥離等を抑制するためのより好ましい範囲は、
0.4 ≧ t/t > 0.02である。
【0027】なお、銅板へ拡散したAg成分は、窒化珪
素回路基板における銅板の断面をEPMA等を用いて観
察することができる。また、銅板におけるAg成分の拡
散した範囲、すなわちAg拡散層の厚さtは、積層方
向において、接合層と銅板との接合面から、Ag成分が
最も拡散した部分までの距離のことである。具体的に
は、接合面付近の銅板断面から任意の3個所を選び、各
個所について接合面に水平方向に50μmの範囲をEP
MAで観察し、最もAgの拡散距離が長かったものをA
g成分が拡散した層の厚さ、すなわちAg拡散層の厚さ
とする。また、接合後の窒化珪素回路基板におい
て、Agの拡散が進み銅板の厚さtが判断し難いとき
は接合部の端部から任意の3個所を選びそこにおける銅
板の厚さの平均値をtとするものとする。
【0028】なお、本発明の窒化珪素回路基板1では、
図1に示されたような窒化珪素基板2の一方の面のみに
銅板4が接合されたものに限られず、例えば図2に示す
ように窒化珪素基板2の両面に銅板4a、4bが接合さ
れたものであっても構わない。このような場合、少なく
とも一方の銅板、例えば銅板4aのみが少なくとも0.
5mm以上の厚さを有し、上記したようなt/t
満たすようなものであればよい。
【0029】上記したような本発明の窒化珪素回路基板
は、銅板が0.5mm以上と厚いにもかかわらず、熱サ
イクル特性に優れているため、大電力で使用され、かつ
発熱量の大きいもの、例えばレーザーダイオードのサブ
マウントや、パワートランジスタモジュール等の回路基
板等に好適に用いることができる。
【0030】次に、本発明の窒化珪素回路基板の製造方
法について説明する。まず、窒化珪素回路基板を構成す
る窒化珪素基板の製造について説明する。本発明に使用
される窒化珪素基板は、通常のプロセスにより製造され
たものであれば特に制限されるものではなく、例えば次
のようなプロセスを経て製造されるものである。
【0031】まず、所定の微細粒径を有し、また不純物
含有量が少ない微細な窒化珪素粉末に対して所定量の焼
結助剤、有機バインダ等の必要な添加剤および必要に応
じてCaOやSrOおよびTi等の化合物を加えて原料
混合体を調製し、次に得られた原料混合体を成形して所
定形状の成形体を得る。原料混合体の成形法としては、
汎用の金型プレス法、ドクターブレード法のようなシー
ト成形法等が適用できる。
【0032】上記成形操作に引き続いて、成形体を非酸
化性雰囲気中で温度600〜800℃、または空気中で
温度400〜500℃で1〜2時間加熱して、予め添加
していた有機バインダ成分を充分に除去し、脱脂する。
次に脱脂処理された成形体を窒素ガス、水素ガスやアル
ゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で1600〜1900
℃で所定時間、常圧焼結または雰囲気加圧焼結を行う。
【0033】本発明では、上記したような工程によって
作製される窒化珪素基板であって、その熱伝導率が70
W/m・K(25℃)以上であり、また三点曲げ強度が
常温で500MPa以上であるものを用いることが好ま
しい。なお、このような窒化珪素基板の一例として特開
2000−34172号公報に記載されたものが挙げら
れる。
【0034】次に、作製された窒化珪素基板と銅板との
接合について説明する。本発明に使用される銅板として
は、窒化珪素基板の少なくとも一方の面に設けられる銅
板の板厚が0.5mm以上であればよく、その他形状等
については適宜選択することができる。
【0035】このような銅板と上記窒化珪素基板とは、
活性金属法により接合することができる。活性金属法で
は、Ti、Zr、HfおよびNbから選択される少なく
とも1種の活性金属を含有し適切な組成比を有するAg
−Cu−Ti系ろう材等で、窒化珪素基板表面に厚さ2
0μm前後の活性金属ろう材層(接合層)を形成し、こ
の接合層を介して、回路板等の銅板を接合する。活性金
属は、基板に対するろう材の濡れ性を改善し、接合強度
を高める作用を有するものである。
【0036】本発明に用いられる活性金属ろう材として
は、一般的な活性金属ろう材に比べてCuの含有量を少
なめとし、Ag成分を多めにすることが好ましく、例え
ば上記活性金属を1〜10質量%、Cuを10〜20質
量%、残部が実質的にAgから成るろう材組成物が好適
である。
【0037】本発明では、一般的な活性金属ろう材に比
べてCuの含有量を若干少なめとし、Ag成分を多めに
することで、次に行われる銅板へのAg成分の拡散を適
切かつ容易に行うことができる。特にAgとCuは約7
2:28の割合で所定温度に加熱すると共晶合金を形成
する。そのため、従来はろう材中のAgとCuの割合を
72:28の近傍となるようにしていた。そこで本発明
ではろう材中のCu量を若干少なめにすることにより余
ったAgが共晶合金を作ろうと銅板中に拡散していく性
質を利用したのである。
【0038】具体的には、上記接合層は、ろう材組成物
を有機溶媒中に分散して調製した接合用組成物ペースト
を、窒化珪素基板表面にスクリーン印刷する等の方法で
形成することができる。そしてスクリーン印刷した接合
層上に、回路層等となる銅板を接触配置した状態で、真
空中または不活性ガス雰囲気中で、例えば780℃以
上、930℃以下の温度で、5〜30分間加熱すること
により、銅板が接合層を介して窒化珪素基板に一体に接
合される。
【0039】次に、銅板へのAg成分の拡散方法ついて
説明する。銅板へのAg成分の拡散は、上記銅板と窒化
珪素基板との接合体をさらに熱処理して行うことができ
る。この熱処理における温度および時間は、接合された
銅板の厚さ、所望とする拡散範囲等により適宜選択する
ものであるが、例えば温度700〜850℃で、5〜1
00分間程度保持処理することが好ましい。
【0040】本発明では、接合後、接合体を上記したよ
うな比較的低温で熱処理することにより銅板中にAg成
分を十分に拡散させることが可能となる。なお、上記保
持処理が好ましい範囲より小さい(温度が低いまたは時
間が短い)とAgの拡散が十分行われず、好ましい範囲
より大きい(温度が大きいまたは時間が長い)と不要な
熱応力が発生しやすくなる。本発明では、銅板の厚さに
対するAg拡散層の厚さの比、t/tが0.01を
超え、0.5以下となるように、上記した温度、保持時
間から適宜選択することが好ましい。本発明では、この
ようにして作製された銅板と窒化珪素との接合体につい
て、さらに必要に応じてエッチング法等を用いて銅板に
回路を形成してもよい。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施の形態について実施例を
参照して説明する。
【0042】(実施例1)熱伝導率90W/m・Kの窒
化珪素焼結体(縦5mm×横5mm×厚さ0.635m
m)の両面に、20Cu−77Ag−3Ti(質量%)
を主成分とするろう材を厚さ20〜40μmの範囲内で
塗布し、この部分に表1に示されるような厚さのCu板
を配置し、800〜880℃で5〜15分間熱処理した
後、さらに750〜800℃で10〜40分間の保持処
理を行い、窒化珪素焼結体とCu板との接合、およびA
g成分のCu板への拡散処理を行った。さらに、Cu板
の表面部分をエッチングすることにより、回路を形成し
た。なお、試料1、2、3、8については保持処理を行
わないものとし、試料7については保持処理時間を20
0分間とした。
【0043】次に、各窒化珪素回路基板について、熱衝
撃試験(TCT試験)を実施した。TCT試験は、各窒
化珪素回路基板を−40℃で30分間保持した後に室温
(RT)まで昇温して10分間保持し、しかる後に+1
25℃に昇温して30分間保持し、次に冷却して室温で
10分間保持するという昇温−降温サイクルを1000
回または3000回繰り返して付加する条件で実施し
た。
【0044】そして所定のサイクル数が終了した後、各
窒化珪素回路基板の健全率ηを下記(1)式に従って算
出し、各窒化珪素回路基板の耐熱サイクル性を評価し
た。なお、表1におけるTCT試験の結果は、健全率η
が98〜100%であったものを「○」、95〜98%
未満であったのものを「△」、95%未満であったのも
のを「×」で示したものである。
【式1】
【0045】ここで、Dは、回路基板の接合部の長手方
向において、クラックの発生し得る銅板縁部経路の全長
であり、Σdは上記経路上に発生した各クラックの長さ
(d1 ,d2 ,…dn )の総和を示す。すなわち、健全
率ηが100%とはクラックが全く発生していないこと
を意味する一方、健全率ηが0%とは基板全面に亘って
クラックが発生していることを意味する。
【0046】
【表1】
【0047】銅板の厚さに対するAg拡散層の厚さの
比、t/tが0.01以上である本発明の好ましい
範囲を満たす窒化珪素回路基板については、接合された
Cu板の厚さが0.5mm以上であるにもかかわらず、
銅板が0.2mmと薄い試料1と同等にTCT特性が良
好であり、耐熱サイクル性が良好であることが認められ
た。
【0048】また、試料2、3、8のようにt/t
を0.01未満としたものは、Ag成分の拡散量が不十
分であるために、銅板と窒化珪素基板との熱膨張差によ
る応力によりクラックが発生することが認められた。ま
た、実施例7のようにt/tを極端に大きくしたも
のは健全率が高いものの、Ag成分の拡散量が多すぎる
ため、銅板が剥がれる場合があることが確認された。
【0049】(実施例2)熱伝導率90W/m・Kの窒
化珪素焼結体(縦5mm×横5mm×厚さ0.32m
m)の両面に板厚0.6mmの銅板を接合した窒化珪素
回路基板の作製にあたり、活性金属ろう材の組成、接合
条件、および接合後の保持処理条件を表2に示すように
変化させて作製を行った。
【0050】次に、各窒化珪素回路基板について、実施
例1と同様の熱衝撃試験(TCT試験)を実施し、各窒
化珪素回路基板の耐熱サイクル性を評価した。結果を表
2に示す。なお、表2における結果は、表1と同様の方
法で示したものである。
【0051】
【表2】
【0052】活性金属ろう材中のCu成分の量が、本発
明の好ましい範囲である10〜20質量%である試料1
4〜17については、耐熱サイクル性が良好であること
が認められた。
【0053】試料18のように活性金属ろう材中のCu
成分の量が多く、かつ保持処理をしなかったものは、A
g成分の銅板への拡散量が少なく、耐熱サイクル性が若
干劣ることが認められた。また、試料19のように活性
金属ろう材中のCu成分の量が多く、かつ保持処理を長
時間行ったものでは、Ag成分が銅板へ入り込みすぎた
ために、耐熱サイクル性に優れるものの、銅板が剥がれ
る場合があることが確認された。
【0054】(実施例3)窒化珪素基板の板厚を表3の
ように代えた以外は試料1、試料4、試料9と同様の窒
化珪素回路基板を用意した。各回路基板に対し実施例1
と同様のTCT試験を行った。
【0055】
【表3】
【0056】表3から分かる通り、本発明の好ましい範
囲を満たす窒化珪素回路基板は板厚を薄くしてもTCT
特性が良好であった。
【0057】
【発明の効果】本発明の窒化珪素回路基板では、窒化珪
素基板の少なくとも一方の面に、厚さ0.5mm以上の
銅板を、Ag、Cuおよび活性金属を含む接合層により
接合することにより、高い放熱性、電流容量を得ること
ができるため、レーザーダイオードやパワートランジス
タ等の比較的大電力を必要とするものを適切に搭載する
ことが可能となる。
【0058】また、窒化珪素基板に接合される銅板中に
Ag成分を拡散させることにより、銅板の熱膨張率を調
整し、銅板と窒化珪素基板との熱膨張率の差に起因する
熱応力の発生を緩和させ、窒化珪素基板へのクラックの
発生や、銅板の剥離等を有効に抑制することが可能とな
る。
【0059】本発明の窒化珪素回路基板の製造方法で
は、銅板と窒化珪素基板とを活性金属を含むろう材で接
合したものを、さらに所定の温度、時間で熱処理するこ
とにより、Ag成分を銅板中に適切に拡散させ、銅板の
熱膨張率を適切に制御することが可能となり、これによ
り銅板と窒化珪素基板との熱膨張率の差に起因する熱応
力が緩和され、クラックの発生や銅板の剥離が抑制され
た窒化珪素回路基板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化珪素回路基板の一例を示した断面
【図2】本発明の窒化珪素回路基板の他の例を示した断
面図
【符号の説明】
1…窒化珪素回路基板、2…窒化珪素基板、3…接合
層、4…銅板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素基板の少なくとも一方の面に厚
    さ0.5mm以上の銅板が接合された窒化珪素回路基板
    において、前記銅板と窒化珪素基板とがAg、Cuおよ
    び活性金属を含む接合層により接合されていることを特
    徴とする窒化珪素回路基板。
  2. 【請求項2】 前記銅板中にAg成分が拡散しているこ
    とを特徴とする請求項1記載の窒化珪素回路基板。
  3. 【請求項3】 前記銅板の厚さをt、前記銅板におけ
    るAg成分が拡散した層の厚さをtとした場合、t
    /t>0.01であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の窒化珪素回路基板。
  4. 【請求項4】 前記窒化珪素基板の熱伝導率が70W/
    m・K以上であることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項記載の窒化珪素回路基板。
  5. 【請求項5】 レーザーダイオードを搭載するためのサ
    ブマウント材として使用することを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか1項記載の窒化珪素回路基板。
  6. 【請求項6】 窒化珪素基板の少なくとも一方の面に厚
    さ0.5mm以上の銅板が接合された窒化珪素回路基板
    の製造方法であって、窒化珪素基板上にAg、Cuおよ
    び活性金属を含む接合ろう材ペースト層を塗布した後、
    銅板を積層する工程と、780〜930℃で5〜30分
    間加熱することにより前記銅板と窒化珪素基板とを接合
    する工程と、前記接合された銅板と窒化珪素基板とを、
    さらに温度700〜850℃で5〜100分間保持する
    ことにより、前記銅板中に前記接合ろう材ペースト中の
    Ag成分を拡散させる工程とを具備することを特徴とす
    る窒化珪素回路基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記Ag、Cuおよび活性金属を含む接
    合ろう材ペーストが、Cuを10〜20質量%および活
    性金属を1〜10質量%含み、残部が実質的にAgから
    なるものであることを特徴とする請求項6記載の窒化珪
    素回路基板の製造方法。
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