JP5392901B2 - 窒化珪素配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、主に大電力で動作する半導体素子を搭載する窒化珪素配線基板に関する。
窒化珪素基板は、高温強度特性および耐摩耗性等の機械的特性に加え、耐熱性、低熱膨張性、耐熱衝撃性、および金属に対する耐食性に優れているので、従来からガスタービン用部材、エンジン用部材、製鋼用機械部材、あるいは溶融金属の耐溶部材等の各種構造用部材に用いられている。また、高い絶縁性を利用して電気絶縁材料として使用されている。
近年、高周波トランジスタ、パワーIC等の発熱量の大きい半導体素子の発展に伴い、電気絶縁性に加えて良好な放熱特性を得るために高い熱伝導率を有するセラミックス基板の需要が増加している。このようなセラミックス基板として、窒化アルミニウム基板が用いられている。この窒化アルミニウム基板は、熱伝導性に優れているが、機械的強度や破壊靭性等がやや低く、基板ユニットの組立て工程で、強い締め付けを行うと割れを生じる場合があった。また、Si半導体素子を窒化アルミニウム基板に実装した回路基板では、Siと窒化アルミニウム基板との熱膨張差が大きいため、熱サイクルにより窒化アルミニウム基板にクラックや割れが発生する恐れもあり、実装信頼性を向上させるために、窒化アルミニウム基板より熱伝導率は劣るものの、熱膨張率がSiに近く、かつ機械的強度、破壊靭性および耐熱疲労特性に優れる高熱伝導窒化珪素質焼結体からなる基板が注目され、種々の提案が行われている。
電動車両用インバータとして高電圧、大電流動作が可能なパワー半導体モジュール(例えばIGBTモジュール)が用いられている。こうした半導体モジュールにおいては、半導体素子が自己の発熱によって高温になるため、その放熱を効率よく行なうという機能が要求される。このため、この半導体モジュールにおいて、半導体素子を搭載する回路基板としては、機械的強度が高く、熱伝導率の高いセラミックス基板に金属板を接合したものが広く使用されている。ここで、金属板はセラミックス基板の両面に接合され、その一面は回路側金属板となり、他面は放熱側金属板となる。回路側金属板は、半導体素子に電気的に接続される配線としても機能する。
回路側金属板は配線として機能するため、回路側金属板には、低い電気抵抗率も要求される。このため金属板としては、アルミニウムより高い熱伝導率と低い電気抵抗率をもつ銅または銅合金(熱伝導率が300/m/K程度、電気抵抗率が1.7×10−8Ω・m程度)が好ましく用いられている。
この回路基板上の回路側金属板に半導体素子が接合され、半導体モジュールが形成される。回路側金属板は、セラミックス基板の一面においてその全面を覆うことはなく、所定の配線パターンに加工される。一方、放熱側金属板は、放熱を目的としてセラミックス基板に接合されている。そのため、セラミックス基板の他面においてほぼその全面を覆って形成される。また、実際にこの半導体モジュールが機器に搭載されるに際しては、この放熱板が、同様に熱伝導率の高い材料からなる放熱ベース板に接合される。
この半導体モジュールを含む機器がONの場合には半導体素子が高温となり、OFFの場合には常温となる。さらに、寒冷地においては−20℃程度の厳寒な条件に至ることもある。従って、通常の使用において、この半導体モジュールは、多数回の冷熱サイクルにさらされる。この半導体モジュールを構成する半導体素子、セラミックス基板、放熱側金属板(銅板)等の熱膨張率は異なる(例えば、半導体素子を構成するシリコンの熱膨張係数は3.0×10−6/K、銅は17×10−6/K、窒化珪素は2.5×10−6/K程度)ため、これらを接合した場合、この冷熱サイクルに際しては、この熱膨張差に起因した歪みが発生する。この歪みの大きさや方向は、このサイクル中で変化する。このため、この半導体モジュールにおいては、冷熱サイクルによって、セラミックス基板や半導体素子が割れたり、半導体素子と回路側金属板とのはんだ接続部や放熱側金属板と放熱ベース板とのはんだ接合部にその歪による応力が発生し、それらのはんだにクラック(またはボイド)が発生して接合強度や、熱の放熱効率を低下させ、半導体モジュールの冷熱サイクルに対する耐久性を劣化させる。また、破壊を生じない場合でも、高温において放熱ベース板との接合部分で大きな反りが生ずると熱伝導が悪くなり放熱効率が低下する。
また、一般に、セラミックス基板と、回路側金属板や放熱側金属板となる金属板との接合はろう付けを用いて行われる。この接合に要する温度は、例えば、Ag−Cu系ろう材を用いた場合には700℃以上であるため、この接合後に常温に戻った状態においては、この方法で製造された回路基板には反りが生じている。
しかしながら、近年のパワー半導体モジュールにおいては、その大電力化はさらに顕著になり、これらが使用される装置も、例えば電動自動車、産業用機械、鉄道車両等、多岐にわたっている。電動自動車用のパワー半導体モジュールでは、配線に数百A以上の大電流かつ数百V以上の大電圧が印加されるために、配線と放熱ベース(機器)との間の高い絶縁性に加え、高い放熱特性を必要とするため、半導体素子と回路側金属板間のはんだ接合および放熱側金属板と放熱ベース板間のはんだ接合に、高い信頼性が要求される。そこで以下のような提案がなされている。
特許文献1に記載の回路基板においては、Al回路板表面にNi−Pめっき層を形成することで、Al表面を硬化させてヒートサイクル中のAlの変形によるしわの発生を抑制して、SiチップとPbフリーはんだの接合信頼性を向上させることが開示されている。
特許文献2に記載の回路基板においては、回路側および放熱側の銅板の硬度をHv=40〜60にすることで、回路側銅板とSiチップ、放熱側銅板と放熱ベース板を接合するPbフリーはんだの接合の信頼性を向上させることが開示されている。
特許文献3に記載の回路基板においては、膜厚2〜5μmの電解Niめっき層を、Al表面に形成し、ヒートサイクル中のPbフリーはんだ中のSnの拡散を抑制し、電解Niめっきとすることで、無電解Ni-Pめっき中のPの拡散を抑制することで、はんだ接合強度の低下を抑制することが開示されている。
特開平10−7480 特開2006−282417 特開2005−288716
しかしながら、特許文献1では、ヒートサイクルによるAl表面の変形は、抑制されるが、接合層のPbフリーはんだへの応力は減少せず、クラックが発生してしまうという問題がある。また、特許文献2では、Pbフリーはんだとの接合信頼性は、向上されるがセラミックス基板が受ける応力の抑制にはいたらず、セラミックスにクッラクが発生するという問題がある。また、特許文献3では、Ni-Pめっき層ではなく、電解Niめっき層を形成しているが、電解Niめっき層のビッカース硬度はHv=250程度であるために、回路側とSiチップを接合しているはんだの接合信頼性が得られない。
以上のことより本発明の目的は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、繰り返し冷熱サイクルを経てもなお回路側金属板と半導体素子とを接合する第一のはんだ層と放熱側金属板と放熱ベース板とを接合する第二のはんだ層に高い接合信頼性を有し、セラミックス基板へのダメージの小さい窒化珪素配線基板を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成するため、銅または銅合金からなる回路側金属板および放熱側金属板とセラミックス基板からなる回路基板と半導体素子モジュールを検討し本発明に至った。
即ち、本発明は、窒化珪素基板の一面に銅または銅合金からなる回路側金属板が接合され、他面に銅または銅合金からなる放熱側金属板が接合され、前記回路側金属板および放熱側金属板の表面にめっき層を形成し、前記回路側金属板には半導体素子を無鉛はんだにより接合し、前記放熱側金属板には無鉛はんだにより放熱ベース板を接合してなる窒化珪素配線基板であって、前記回路側金属板および放熱側金属板と当該めっき層の硬さの差をビッカース硬さでHv=330〜500とし、且つ前記回路側金属板および放熱側金属板と当該めっき層のヤング率の差を0〜70GPaとし、前記めっき層はNi−Pめっきであって、リン(P)濃度が6〜12wt%の範囲であることを特徴とする窒化珪素配線基板である。
本発明の窒化珪素配線基板において、前記ビッカース硬さの差は、回路側金属板および放熱側金属板の硬さをHv=40〜50、めっき層の硬さをHv=380〜540とし、ヤング率の差は、回路側金属板および放熱側金属板を70〜130GPa、めっき層を60〜70GPaとし、それぞれ前記範囲の中から選択して得ることが好ましい。
本発明は、半導体素子と回路側金属板との第一のはんだ接合部および放熱側金属板と放熱ベース板との第二のはんだ接合部の歪を低減させ、冷熱サイクルに対し高い耐久性を持った窒化珪素配線基板を得ることができる。
本発明に係わる一実施例の窒化珪素配線基板の断面図である。 本発明に係わる回路側金属板及び放熱側金属板とめっき層のビッカース硬さの差ΔHvと第一のはんだ層および第二のはんだ層のボイド率の関係を示す図である。 本発明に係わる回路側金属板及び放熱側金属板とめっき層のヤング率の差ΔEとクラック長の関係を示す図である。
以下、実施例により本発明を説明するが、それら実施例により本発明が限定されるものではない。本発明に係る一実施例の断面模式図を図1に示す。
まず、本発明の一実施例に用いた窒化珪素基板の製造方法について説明する。窒化珪素基板の構成原料、溶媒、分散剤をボールミル混合、粉砕する。ここで、混合、粉砕した原料に、バインダー、可塑剤を添加、混練し、スラリー粘度が所定の値になるように調整した後、ドクターブレード法により所定板厚でシート成形する。そして成形後さらに脱脂したシートを焼結炉内で1800〜2000℃の窒素雰囲気で焼結成形し窒化珪素基板を得る。
図1に示す回路基板9は、例えば、以下の通りにして製造できる。窒化珪素セラミックスからなるセラミックス基板4の両面に活性金属ろう材として例えば、Tiが添加されたAg−Cu系合金に代表される活性金属を印刷形成する。次に、セラミックス基板4とほぼ同じ長方形状の金属板である無酸素銅または銅合金を両面に600℃〜900℃の温度で加熱接合する。このうち一方は回路側金属板3となり、他方は放熱側金属板5となる。冷却後、一方の面の金属板上にレジストパターンを形成後に、例えば塩化第二鉄あるいは塩化第二銅溶液によってエッチング処理して回路パターンをなす回路側金属板3を形成する。他方の面に接合された金属板をそのままエッチング処理無しで放熱側金属板5としてもよいし、同様に所望の形状に加工し放熱側金属板5としてもよい。この場合、回路側金属板3と放熱側金属板5はその主成分が同一(銅)であるため、これらのエッチングは同時に行われる。また、これによって露出した部分のろう材のエッチングも、例えば過酸化水素とフッ化アンモニウムとの混合溶液によって引き続き行われる。さらに回路パターン形成後の回路側金属板3及び放熱側金属板5にNi−Pめっきを施し、めっき膜6を形成し回路基板9が作製される。
窒化珪素配線基板10は、前記の窒化珪素回路基板9を用いて形成され、特に大電力で動作する半導体素子1をこれに搭載する。複数の窒化珪素配線基板を構成要素としてまとめてモジュール化したものを半導体モジュールと呼んでいる。従って、本発明の窒化珪素配線基板は半導体モジュールにも及ぶものであるが、窒化珪素配線基板を例に説明している。そして、この窒化珪素配線基板10は、前記の回路基板9における回路側金属板3上に半導体素子1が第一のはんだ層2を介して接合して搭載されている。また、放熱ベース板7が第二のはんだ層8を介して放熱側金属板5に接合されている。
半導体素子1は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような半導体デバイスが形成されたシリコンチップである。特にこの半導体デバイスは、大電力で動作するものとすることができる。これによる発熱がこの回路基板9によって放熱される。また、半導体素子1と配線となる回路側金属板3との電気的接続は、ボンディングワイヤ(図示せず)を用いてもよいし、フリップチップ接続を用いることにより、はんだ等のバンプにより行ってもよい。
第一のはんだ層2は、例えば、Sn−3%Ag、Sn−3%Ag−0.5%Cu、Sn−5%Biなどの無鉛(pbフリー)はんだを用いることが望ましい。この接合温度はろう材の融点よりも大幅に低いため、この接合に際しては回路側金属板3および放熱側金属板5とセラミックス基板4との接合に影響を与えることはない。この第一のはんだ層2は、冷熱サイクルに際しては、上記の半導体素子1と回路側金属板板3との熱膨張差によって内部応力が加わった状態となる。フリップチップ接続を用いた場合には、この第一のはんだ層2によって半導体素子1と回路側金属板3との電気的接続もなされる。
第二のはんだ層8は、例えばSn−3%Ag、Sn−3%Ag−0.5%Cu、Sn−5%Biなどの無鉛(pbフリー)はんだを用いることが望ましい。なお、半導体素子1と回路基板9および放熱ベース板7を第一のはんだ層2および第二のはんだ層8を介して接合する場合の工程には、以下の2方法がある。一つは、回路基板9に半導体素子1を第一のはんだ層2で接合した後に、第二のはんだ層8を介して放熱ベース板7を接合する方法である。この場合、第一のはんだ層2には、第二のはんだ層8よりも高融点のはんだ材を選定する。もう一つの方法は、半導体素子1と回路基板9および放熱ベース板7を一度のリフローで接合する方法である。この際には、第一のはんだ層と第二のはんだ層の融点が近似したはんだ材を選定する。
放熱ベース板7は、機器側でこの回路基板9を搭載する部分である。放熱ベース板7は半導体素子1から放熱側金属板5に伝わった熱を放熱するため、熱伝導率が高く、熱容量が大きい。これは例えば銅、アルミニウムからなる。
この窒化珪素配線基板10においては、半導体素子1となるシリコンの熱膨張係数は3.0×10−6/Kであるため、これとはんだ層を介して接合される回路側金属板3の表面の見かけの熱膨張係数((9〜17)×10−6/K)とは大きく異なる。このため、冷熱サイクルに際しては、この熱膨張差に起因して熱応力が第一のはんだ層2に発生したり、半導体素子1に反りを生ずる。また同様に、放熱側金属板5と放熱ベース板7とを第二のはんだ層6を介して接合する場合にも、放熱側金属板5と放熱ベース板7の熱膨張差に起因する熱応力が第二のはんだ層8にも発生し、接合信頼性を低下させる。これらを低減して第一のはんだ層2および第二のはんだ層8の接合信頼性を確保するには、主に、(1)はんだ層の上下面に位置する構成部材の熱膨張係数差を低減する、(2)はんだ層の上下面に位置する構成部材の変形を低減する(剛性を持たせる)方法が効果的である。
本発明では、(2)の効果を狙ったものである。即ち、回路側金属板3とNi-Pめっき層6とのビッカース硬度の差をHv=330〜500とすることで、ヒートサイクルを受けることにより、半導体素子1と回路側金属板3を接合している第一のはんだ層2のクラック発生を抑制し、接合信頼性を向上させ得ることを知見した。また、回路基板とNi-Pめっき層のヤング率の差を0〜70GPaの範囲とすることで、ヒートサイクルを受けて、回路側金属板3が変形する時に発生する応力がセラミックス基板4に働き、セラミックスの曲げ強度を超えると、セラミックス基板4にクラックが発生するが、この回路基板に発生する応力を低減し、セラミックス基板4のクラック発生を抑制し得ることを知見したものである。尚、上記2つの知見は放熱側金属板5についても同様に言えることである。
第一のはんだ層2、第二のはんだ層8のヒートサイクルを受けた時の接合信頼性が向上する理由は、次の通りと考えている。図2には、横軸にNi-Pめっき層6のビッカース硬度と回路側金属板3(尚、放熱側金属板5についても同様である。)のビッカース硬度との差ΔHvと、左縦軸に第一のはんだ層2(回路側金属板3と半導体素子1を接合しているはんだ層)、右縦軸に第二のはんだ層8(放熱側金属板5と放熱ベース板7を接合しているはんだ層)のボイド率との関係を示す。第一のはんだ層では、ΔHvが大きくなるに従い、半導体素子(Si)のビッカース硬度に近くなるために、はんだに働く応力が小さくなる。このためボイド率が低下する結果になっている。一方、第ニのはんだ層8は、放熱側金属板5と放熱ベース板7を接合しているため、ΔHvの差が小さいほうが、銅板との硬度とほぼ同じになり、ヒートサイクル中にはんだ層8に働く応力が小さくなる。このためボイド率は低めに抑えられている。ここで、第1のはんだ層のボイド率の上限は、半導体素子側からみた窒化珪素配線基板の熱抵抗増加率が30%以下になる為には2%以下であることが良い。一方、第2のはんだ層のボイド率の上限は、同様の理由であるが、第2のはんだ層の厚さは、第1のはんだ層の厚さに比べ厚いので20%以下であることが良い。以上のことより両者のボイド率を満たすのは、ΔHvが330〜500の範囲であることが知見された。
一方、図3には、横軸に回路側金属板3のヤング率とNi-Pめっき層6のヤング率との差ΔEと、縦軸にヒートサイクル後にセラミックス基板4に発生したクラックの長さとの関係を示している。ヒートサイクル中に、回路側金属板3の変形により発生する応力の大きさは、変形の歪と回路側金属板のヤング率の大きさできまる。歪は、熱膨張係数で決定される。発生する応力は、歪が大きいとき、またはヤング率が大きいときに大きくなる。そのためヤング率がある閾値を超えると、セラミックスの曲げ強度を超えるためクラックが発生することになる。図3の結果より、ΔEが70GPaを超えると、セラミックス基板のクラックが発生し成長が著しい。逆に70GPa以下では、クラックの発生がほぼ無いことを知見した。
以上のことから、回路側金属板3及び放熱側金属板5とNi-Pめっき層6のビッカース硬度差ΔHvが330≦ΔHv≦500の範囲に制御することで第一のはんだ層2、第二のはんだ層8に発生する熱応力の大きさを制御でき、さらにヤング率の差ΔEの範囲を0≦ΔE≦70GPaにすることで、セラミックス基板4に働く熱応力を制御することができる。このようにビッカース硬度差ΔHvとヤング率の差ΔEの範囲を両立することではんだの接合信頼性が向上する。
はんだの接合信頼性を向上させるには、はんだ層を厚くすることも効果的である。しかし、はんだの熱伝導率は約40W/mKと比較的小さいため、はんだ層が厚過ぎると熱抵抗率を増加させ放熱効率を低下させる。薄過ぎるはんだ層では接合信頼性が不十分である。そこで第一のはんだ層2でははんだ厚さfを0.05〜0.2mmとし、第二のはんだ層8でははんだ厚さgを0.1〜0.4mmとし且つ第一のはんだ層2に比べ第二のはんだ層8の方を厚くすることではんだの接合信頼性を向上させ、かつ半導体モジュールの放熱効率の低下を抑制した。
放熱ベース板7の厚さが厚過ぎると熱膨張による歪が大きくなり、第二のはんだ層8の受ける歪が大きくなる。また放熱ベース板7の厚さが薄過ぎると、回路基板9との接合により反りが大きくなり、放熱ベース板7を機器に接合できなくなったり、接合箇所に空隙が発生し放熱効率を低下させる。そこで、放熱ベース板7の厚さTを2〜5mmにすることで、はんだの接合性を向上させ、かつ半導体モジュールの放熱効率の低下を抑制できる。
以下に示す実施例、比較例にについて、−40℃で15分〜+125℃で15分の冷熱サイクル試験を3000サイクルまで行い、3000サイクル後の第一のはんだ層2および第二のはんだ層8に発生したボイドを超音波探査映像装置(日立建機ファインテック(株)mi−scope.exla)で観察し、ボイド率(第一のはんだ層では、100×(ボイドの面積/第一のはんだ層面積)(%)、第二のはんだ層では、100×(ボイドの面積/第二のはんだ層面積)(%)を算出した。さらに、ボイド率変化量(%)=(3000サイクル後のボイド率)−(試験前のボイド率)を計算し、第一のはんだ層および第二のはんだ層の界面の破損や剥離の判定をした。ここで、第一のはんだ層のボイド率変化量が2%以上で破損と認定し、第二のはんだ層のボイド率変化量が20%以上で破損と判定した。第一のはんだ層2、第2のはんだ層8は、冷熱サイクル試験により熱膨張率の差から発生する歪を繰り返し受ける。そのためはんだ層にはクラックが発生、成長してボイドとなる。ボイドがはんだ層に発生すると半導体素子1と回路側金属板3との接合強度、放熱側金属板5と放熱ベース板7との接合強度を低下させる。また、ボイドが発生するとボイドでの熱伝導率が低下するので熱抵抗が増加し半導体モジュールの性能を低下させる。そこで、冷熱サイクル試験による、第一および第二のはんだ層の劣化度合いの指標としてボイド率変化量を求めた。
冷熱サイクル試験で発生する、セラミックス基板中のクラックの長さは、以下のように測定した。冷熱サイクル試験を3000サイクルまで行い、3000サイクル後に回路基板9の回路側金属板3とろう材をエッチングで除去し、超音波探査映像装置でクラックを観察し、その画像からクラック長さを測定した。
銅板のビッカース硬度は、セラミックス基板4にろう材接合された回路側金属板及び放熱側金属板ともに、荷重20gで、ビッカース圧子(対面角136°)を押し込み圧痕を形成し、それを1000倍に拡大し、圧痕の対角線長さを測定して求めた。また、めっき層のビッカース硬度は、回路側金属板及び放熱側金属板に形成されためっき層について、荷重10gで圧痕を形成し、それを1000倍に拡大して、銅板と同様に測定して求めたものである。そして、めっき層の硬度は、めっき液のりん濃度を5〜15wt%の範囲にすることで、Hv=380〜540に制御した。
表1に本発明の実施例を示す。実施例No.1〜9では、回路側金属板(放熱側金属板も同様)のビッカース硬度をHv=40〜50となし、Ni-Pめっき層のビッカース硬度をHv=380〜540の範囲に入るようにし、両者のビッカース硬度差ΔHv=330〜500とした。その結果、第一のはんだ層ボイド率を1〜1.9%になり、また第二のはんだ層のボイド率が1.4〜19.3%となり、はんだクラックの発生はそれぞれ、2%以下と20%以下となり良好であった。また、回路側金属板(放熱側金属板も同様)のヤング率を100〜130GPaとなし、Ni-Pめっき層のヤング率を、P濃度を6〜12wt%の範囲にして60〜67GPaとすることで、両者のヤング率の差ΔE=33〜70GPaの範囲となった。その結果、セラミック基板のクラック長は0μmであり、セラミックス基板でのクラック発生は無く良好であった。
Figure 0005392901
次に、表2に比較例を示す。No.10、15、20では、硬度差ΔHvが320、300、220であるために、第一のはんだ層のボイド率が2%より大きくなり、不良であった。
No.11、12、13、14では、硬度差ΔHvが、510、520、525となり500以上であったために、第二のはんだ層のボイド率が20%以上となり不良であった。
No.16、17、18、21では、ΔHvが290、320、310、220と300以下であったために、第一のはんだ層のボイド率が2%より大きくなる。さらに、ΔEが71、73、81、77GPaと70GPaよりも大きいため、セラミックス基板にクラックが発生した。
No.19では、ΔHvが510、ΔEが91GPaとなり、第二のはんだ層のボイド率は、20.3%、クラック長が1.0μmとなり不良である。
No.22では、ΔEが71GPaとなり、セラミックス基板のクラック長が0.2μm発生した。以上の比較例はいずれも不良判定であった。
Figure 0005392901
電動自動車、ハブリッド自動車、鉄道車両、電力、産業用インバータおよびコンバータなど大電流、高電圧を制御するパワーデバイスの分野で利用でき、パワー半導体モジュール(例えばIGBTモジュール)用の回路基板などが用途として挙げられる。
1:半導体素子
2:第一のはんだ層
3:回路側金属板
4:セラミックス基板
5:放熱側金属板
6:めっき層(膜)
7:放熱ベース板
8:第二のはんだ層
9:回路基板
10:窒化珪素配線基板
f:はんだ厚さ
g:はんだ厚さ
T:放熱ベース板厚さ

Claims (1)

  1. 窒化珪素基板の一面に銅または銅合金からなる回路側金属板が接合され、他面に銅または銅合金からなる放熱側金属板が接合され、前記回路側金属板および放熱側金属板の表面にめっき層を形成し、前記回路側金属板には半導体素子を無鉛はんだにより接合し、前記放熱側金属板には無鉛はんだにより放熱ベース板を接合してなる窒化珪素配線基板であって、前記回路側金属板および放熱側金属板と当該めっき層の硬さの差をビッカース硬さでHv=330〜500とし、且つ前記回路側金属板および放熱側金属板と当該めっき層のヤング率の差を0〜70GPaとし、前記めっき層はNi−Pめっきであって、P濃度が6〜12wt%の範囲であり、前記硬さの差は、回路側金属板および放熱側金属板のビッカース硬さをHv=40〜50、めっき層のビッカース硬さをHv=380〜540とし、前記ヤング率の差は、回路側金属板および放熱側金属板のヤング率を70〜130GPa、めっき層のヤング率を60〜70GPaとし、それぞれ前記範囲の中から選択して得ることを特徴とする窒化珪素配線基板。
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