JP4893095B2 - 回路基板およびこれを用いた半導体モジュール - Google Patents

回路基板およびこれを用いた半導体モジュール Download PDF

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Description

本発明は、主に大電力で動作する半導体チップを搭載する回路基板、およびこれを用いた半導体モジュールの構造に関する。
近年、電動車両用インバータとして高電圧、大電流動作が可能なパワー半導体モジュール(例えばIGBTモジュール)が用いられている。こうした半導体モジュールにおいては、半導体チップが自己の発熱によって高温になるため、その放熱を効率よく行なうという機能が要求される。このため、この半導体モジュールにおいて、半導体チップを搭載する回路基板としては、機械的強度が高く、熱伝導率の高いセラミックス基板に金属板を接合したものが広く使用されている。ここで、金属板はセラミックス基板の両面に接合され、その一面は金属回路板となり、他面は金属放熱板となる。金属回路板は、半導体チップに電気的に接続される配線としても機能する。
金属回路板は配線として機能するため、セラミックス基板には高い絶縁性も要求され、金属回路板には、低い電気抵抗率も要求される。このため、セラミックス基板としては、窒化アルミニウム(熱伝導率が170W/m/K程度)、金属板としてはアルミニウム(熱伝導率が240W/m/K程度、電気抵抗率が3.5×10−8Ω・m)が用いられた。しかしながら、窒化アルミニウムはその機械的強度が不充分であるため、近年はより機械的強度の高い窒化珪素(熱伝導率が90W/m/K程度)が代わりに用いられている。また、金属板としては、より高い熱伝導率と低い電気抵抗率をもつ銅または銅合金(熱伝導率が300W/m/K程度、電気抵抗率が1.7×10−8Ω・m程度)が好ましく用いられている。
この回路基板上の金属回路板に半導体チップが接合され、半導体モジュールが形成される。金属回路板は、セラミックス基板の一面においてその全面を覆うことはなく、所定の配線パターンに加工される。一方、金属放熱板は、放熱を目的としてセラミックス基板に接合されている。そのため、セラミックス基板の他面においてほぼその全面を覆って形成される。また、実際にこの半導体モジュールが機器に搭載されるに際しては、この放熱板が、同様に熱伝導率の高い材料からなる放熱ベースに接合される。同一の金属板を金属放熱板と放熱ベースを兼ねてセラミックス基板に接合することもできる。この場合、セラミックス基板の一面には金属回路板が形成され、他面にはセラミックス基板よりも大きな面積を持った金属板が接合された形態となる。
この半導体モジュールを含む機器がONの場合には半導体チップが高温となり、OFFの場合には常温となる。さらに、寒冷地においては−20℃程度の厳寒な条件に至ることもある。従って、通常の使用において、この半導体モジュールは、多数回の冷熱サイクルにさらされる。この半導体モジュールを構成する半導体チップ、セラミックス基板、金属放熱板(銅板)等の熱膨張率は異なる(例えば、半導体チップを構成するシリコンの熱膨張係数は3.0×10−6/K、銅は17×10−6/K、窒化珪素は2.5×10−6/K程度)ため、これらを接合した場合、この冷熱サイクルに際しては、この熱膨張差に起因した歪みが発生する。この歪みの大きさや方向は、このサイクル中で変化する。このため、この半導体モジュールにおいては、冷熱サイクルによって、セラミックス基板や半導体チップが割れたり、半導体チップと金属回路板との接続部が破断することがあった。従って、この歪みによってこの半導体モジュールの冷熱サイクルに対する耐久性が劣化する。また、破壊を生じない場合でも、高温において放熱ベースとの接合部分で大きな反りが生ずると、熱伝導が悪くなり、放熱効率が低下する。
また、一般に、セラミックス基板と、金属回路板や金属放熱板となる金属板との接合はろう付けを用いて行われる。この接合に要する温度は、例えば、Ag−Cu系ろう材を用いた場合には、700℃以上であるため、この接合後に常温に戻った状態においては、この方法で製造された回路基板は、反りを生じている。従って、この回路基板を放熱ベースに接合して使用する場合、特に高温の場合でなくとも、これによって放熱効率が低下することがある。
こうした反りや冷熱サイクルに対する耐久性の劣化を改善するために、その構成を工夫した各種の回路基板または半導体モジュールが提案されている。
特許文献1に記載の回路基板においては、金属回路板と金属放熱板に熱膨張係数の異なる材料とした。さらに、特許文献2においては、これらをセラミックス基板に接合する方法や、その接合に用いるろう材の種類や厚さを金属回路板と金属放熱板で異なるものとした。これによって、熱膨張差に起因する歪みを減少させ、高い耐久性を得ることができた。
特許文献3には、さらにモールド樹脂までも含めた半導体モジュールの構造において、各構成要素の材料、構造を最適化して歪みを減少させ、高い耐久性を得ることができることが記載されている。この半導体モジュールの構造断面図を図19に示す。この半導体モジュール31においては、厚い金属ブロック32がこの半導体モジュールの基体として形成されており、半導体チップ33がフレーム34を介して金属ブロック32に接合されている。半導体チップ33からの配線は、リード35とボンディングワイヤ36を介して、外部のケース37に形成された外部端子38と接続される。これらの構造はモールド樹脂39で覆われている。ここで、金属ブロック33とモールド樹脂39の熱膨張係数は近いものとなっている。これらの構造の下部には、放熱ベース(図示せず)との間の絶縁を保つために絶縁基板(セラミックス基板)40が接合される。ここでは、半導体モジュール31の基体を熱伝導率の高い金属ブロック32とし、配線は主にこの半導体パッケージ31の外部に形成される。また、この半導体装置において複数の半導体チップがある場合、以上の構造の半導体パッケージ31を半導体チップ毎に形成することによって、これらの熱膨張差に起因した歪みが低減される。絶縁基板40はモールド樹脂39を形成した後で例えば銀ペースト等によって低温で接合されるため、絶縁基板40と金属ブロック32等との熱膨張係数差に起因する歪みは常温ではほとんど生じない。以上により、この半導体装置においては、高い放熱特性と冷熱サイクルに対する高い耐久性を得ていた。
特開平7−45915号公報 特開2004−207587号公報 特開2003−100987号公報
しかしながら、近年のパワー半導体モジュールにおいては、その大電力化はさらに顕著になり、これらが使用される装置も、例えば電動自動車等、多岐にわたっている。この際、耐久性と放熱特性に加えて、この回路基板上の配線が大電力動作に適応することが求められる。すなわち、この配線が数百A以上の大電流かつ数百V以上の大電圧に耐えるものである必要がある。このためには、配線(金属回路板)が低抵抗であることと、この配線と放熱ベース(機器)との間の絶縁性が高いことが必要である。
特許文献1、2に記載の回路基板においては、金属回路板と金属放熱板に熱膨張係数の異なる材料を用いるという制限がある。金属回路板の低抵抗化の観点からは、金属回路板の材料としては、電気抵抗率の小さな銅または銅合金が好ましい。また、回路基板の製造工程を単純化するためには、金属放熱板も同様に銅または銅合金であることが好ましい。しかしながら、特許文献1、2に記載の回路基板においては、両方に銅または銅合金を用いることは困難である。すなわち、配線(金属回路板)の低抵抗化は困難である。
特許文献3に記載の半導体モジュールにおいては、モールド樹脂が劣化しない程度の低温で絶縁基板を接合する必要がある。この際には、高温を要するろう付け等の手法を用いることは不可能であり、銀ペーストや接着剤が代わりに用いられる。これらを用いた場合には、接合の機械的強度が不充分であったり、この部分の熱抵抗が増大する。従って、半導体チップから金属ブロックまでの熱伝導は良好であるが、金属ブロックから外部の放熱効率は高くない。また、絶縁基板自身の絶縁耐圧が充分であっても、接合後の絶縁基板上ではこの銀ペースト等の存在のため、あるいは機械的強度が弱いために絶縁耐圧が劣化する。従って、この半導体モジュールを大電圧で動作させることは困難である。
従って、高い放熱効率および耐久性を兼ね備え、搭載する半導体チップを大電力で動作させることのできる半導体モジュールを得ることは困難であった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、セラミックス基板の一面に金属回路板が形成され、他面に金属放熱板が形成された回路基板であって、前記金属回路板および前記金属放熱板が銅または銅合金であり、前記金属放熱板の軟化点温度は前記金属回路板の軟化点温度よりも高く、前記金属放熱板の厚さは前記金属回路板の厚さよりも小さい、ことを特徴とする回路基板に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記金属回路板および前記金属放熱板の厚さが0.1〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項に記載の回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記金属回路板の厚さをT、前記金属放熱板の厚さをTとしたとき、1<T/T≦10であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、常温における最大反り量が200μm/inch以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記セラミックス基板が窒化珪素セラミックスであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の回路基板に半導体チップが搭載された半導体モジュールであって、前記金属回路板に前記半導体チップが接合され、前記金属回路板および前記半導体チップがモールド樹脂で覆われていることを特徴とする半導体モジュールに存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記モールド樹脂の熱膨張係数が(10〜25)×10−6/Kの範囲であることを特徴とする請求項に記載の半導体モジュールに存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記金属放熱板が放熱ベースに接合されたことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体モジュールに存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記放熱ベースが銅、アルミニウム、銅合金、またはアルミニウム合金であることを特徴とする請求項に記載の半導体モジュールに存する。
本発明は以上のように構成されているので、高い放熱特性と冷熱サイクルに対する高い耐久性を兼ね備え、搭載する半導体チップを大電力で動作させることのできる半導体モジュールを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る回路基板は、その構造を最適なものとすることにより、これを用いた半導体モジュールにおいては、高い放熱特性と冷熱サイクルに対する高い耐久性を有する。特に、半導体モジュールが実際に機器に搭載された状態において、その放熱特性と耐久性を高くしている。また、金属回路板の低抵抗化および放熱ベースとの間の高い絶縁耐圧を得ることによって、搭載する半導体チップの大電力での動作を可能としている。この回路基板1の平面図およびそのI−Iにおける断面図が図1である。この回路基板1においては、セラミックス基板2の一面に厚さTの金属回路板3が、他面に厚さTの金属放熱板4が、それぞれろう材5を介して接合されている。また、金属回路板3と金属放熱板4はどちらも銅または銅合金の1種であるが、その材質は異なり、金属放熱板4の軟化点温度は金属回路板3の軟化点温度よりも高い。また、金属回路板3の厚さTは金属放熱板4の厚さTよりも大きい。
ここで、軟化点温度は以下の通りに定義される。銅または銅合金に保持時間1時間の熱処理を加えてビッカース硬度を測定する。この硬度と熱処理温度との関係を測定すると、温度の上昇に伴って、急激に硬度が減少し、硬度は常温時よりも低い値で飽和値をとる。このほぼ飽和値をとる温度が軟化点温度であり、具体的には、常温からの硬度の変化量が、常温での硬度とこの飽和値との差分の95%となった温度を軟化点温度とした。
セラミックス基板2としては、高い熱伝導率、絶縁性、および機械的強度を有し、厚い金属回路板3を接合できる材料として、各種のものを用いることができる。中でも、窒化珪素セラミックスが特に好ましい。具体的には、熱伝導率が90W/m/K程度以上、3点曲げ強度が700MPa程度以上、破壊靱性値が6MPa・m1/2程度以上である窒化珪素セラミックスが好ましい。熱伝導率がこれよりも小さい場合には回路基板の熱抵抗が大きくなることがある。3点曲げ強度や破壊靱性値がこれよりも小さな場合には、回路基板の製造時や冷熱サイクルによって発生する歪みによってクラックが発生する可能性がある。例えば、その厚さは0.3mmであり、大きさは30mm×50mmである。特にその大きさについてはその用途によって適宜決定される。さらに放熱性を向上させるためには、その厚さは、0.2mmあるいは0.1mmとすることが望ましい。
金属回路板3は銅または銅合金であり、セラミックス基板2の一面(図1中では上面)に形成されている。金属回路板3はこの上に搭載される半導体チップ(図示せず)と機械的および電気的に接続され、セラミックス基板2上でその配線となる。従って、金属回路板3はこの配線となるパターンで形成されており、例として図1中では3つの分離したパターンとなっている。また、金属回路板3は半導体チップとこの回路基板1との接点ともなるため、半導体チップからの熱をこの回路基板1に伝導させ、その放熱も行なう。金属回路板3の厚さは金属放熱板4の厚さよりも小さくなっている。また、はんだ濡れ性の確保やワイヤボンディングを容易にするために、金属回路板3の最表面にはNi−Pメッキが施してあることが好ましい。
金属放熱板4は銅または銅合金であり、セラミックス基板2の他面(図1中では下面)に形成されている。金属放熱板4と半導体チップとは電気的に接続されないため、配線としての機能は有さない。一方、半導体チップから金属回路板3を介してこのセラミックス基板2に伝導した熱は、この金属放熱板4を介して放熱される。このため、金属放熱板4は、その放熱効率を高くするべく、セラミックス基板2のほぼ全面にわたり一様に形成されている場合が多く、一般的にはその総面積は金属回路板3よりも大きい。また、金属放熱板4の面積がセラミックス基板2の面積よりも大きくともよい。また、この回路基板1が半導体パッケージを構成して機器に搭載される場合には、金属放熱板4が放熱ベースに接合される。また、はんだ濡れ性の確保のために、金属回路板3と同様に、金属放熱板4の最表面にはNi−Pメッキが施してあることが好ましい。
金属回路板3および金属放熱板4として用いられる銅または銅合金の例について、その種類および軟化点温度、熱伝導率、熱膨張係数、ヤング率を示したのが表1である。ここでは無酸素銅としてA(C1020−1/2H)、B(C1020−EH)の2種類と、銅合金としてC〜Gの5種類を例として示した。ここでは参考としてセラミックス基板2となる窒化珪素セラミックスについての値も示してある。ここに示したものは一例であるが、図2にその熱伝導率と軟化点温度の関係を示すように、無酸素銅を含めた一般的な傾向として、軟化点温度が高い材料ほど熱伝導率が低い。銅合金の軟化点温度を制御することは、銅にニッケル(Ni)、スズ(Sn)および鉄(Fe)などを微量添加し、熱処理にともなう再結晶粒子の成長を抑制することで達成される。この場合、銅の結晶粒子中に添加元素が固溶し、結晶自身の熱伝導率を低下させる。また、結晶粒子間の粒界相にも添加元素が析出するため、結果として銅合金の熱伝導率を低下させる。ただし、この場合においても、熱膨張係数とヤング率においては大差がない。また、電気伝導率においても大差がなく、いずれも高い値を示す。特にこれらの軟化点温度と熱伝導率によって、金属回路板3と金属放熱板4にこれらの材料を使い分けることができる。
Figure 0004893095
これらの銅または銅合金は、圧延後の常温においては、いずれも硬度、引っ張り強度、降伏応力等の機械的性質において高い値を示す。これらに軟化点温度以上での熱処理を行った場合、前記の通り、これらの物性値は低下する。その後、この温度から常温になった状態においても、これらの物性値は熱処理前の値には戻らず、より低い値になるという性質がある。従って、熱処理前は、これらの材料は弾性変形をするが、軟化点温度以上の熱処理を施した場合には、塑性変形能が増す。この際、熱処理の温度が同じであっても、軟化点温度が高い場合は、この塑性変形能は小さくなる。また、熱処理温度が軟化点温度よりも低い場合には、硬度等は熱処理前の高い値を保つ。
ろう材5としては、例えばAg−Cu系活性ろう材が用いられ、これによって700℃〜900℃程度の温度範囲で金属回路板3と金属放熱板4がセラミックス基板2に強固に接合されている。その厚さは20μm程度と金属回路板等と比べて薄く、熱伝導率も高いため、ろう材5による接合が強固であれば、この部分の熱抵抗は他の部分と比べて無視できる。一方、この接合部に破断が生ずると熱抵抗の増大の原因となる。また、ろう材5によって金属回路板3等(銅または銅合金)を接合する際の接合温度(ろう付け温度)は高いため、特にこの温度が前記の軟化点温度を超える場合には、回路基板1における金属回路板3等の特性に影響を及ぼす。
この回路基板1における各材料の熱膨張係数は、例えば、セラミックス基板2となる窒化珪素セラミックスが2.5×10−6/K、金属回路板3および金属放熱板4となる銅が18×10−6/Kである。従って、金属回路板3および金属放熱板4が前記の温度でろう材5によって接合され、常温に戻った時点で、この回路基板1には歪みや反りが生じる。また、冷熱サイクルに際しては、この歪み量およびその方向も変化することがある。金属回路板3が所定の配線パターンをなして形成されているのに対して、金属放熱板4はセラミックス基板2のほぼ全面にわたって形成されているため、これに対する影響は金属回路板3よりも大きい。
ろう付け温度と軟化点温度との関係によって、この歪みの状況は異なる。すなわち、ろう付け温度が軟化点温度よりも高い場合には、前記の通り、接合後に常温に戻った状態においては、金属回路板3または金属放熱板4の塑性変形能は高くなる。この塑性変形能は、ろう付け温度と軟化点温度の差が大きいほど高い。すなわち、軟化点温度の小さい銅合金は塑性変形能が高く、軟化点温度の高いものは塑性変形能が小さい。
この回路基板1において、金属回路板3の表面や金属放熱板4の表面で、冷熱サイクルの際の実際の歪み量を測定した結果、これらの値は前記の銅または銅合金の熱膨張係数(18×10−6/K)から算出した値とは異なっていた。また、回路基板1を形成した状態においては、これらの歪み量は金属回路板3等の材質や厚さによって異なる値となった。この原因は、これらがセラミックス基板2に接合された状態においては、セラミックス基板2の影響と、ろう付け温度の影響とを受けるためである。
セラミックス基板2は表1に示すように、銅または銅合金よりも高い弾性率を有するため、これらが接合された状態では、金属回路板3および金属放熱板4の歪みに影響を及ぼす。このため、金属回路板3または金属放熱板4の厚さが小さな場合、熱膨張に際しては、窒化珪素セラミックスの影響が強く現れ、熱膨張(歪み量)は小さくなる。逆に、金属回路板3または金属放熱板4の厚さが大きいほど、その熱膨張は、本来の銅に近い、大きなものとなり、歪み量が大きくなる。
また、ろう付け温度の影響としては、前記の通り、ろう付け温度が銅または銅合金の軟化点温度よりも高い場合には、銅または銅合金の塑性変形能が高くなり、この塑性変形能は、ろう付け温度と軟化点温度の差が大きいほど高くなる。このため、軟化点温度が低いほど、歪み量が大きく、回路基板1上における熱膨張は大きくなる。すなわち、軟化点温度の低い銅または銅合金は、回路基板1における熱膨張は大きくなり、軟化点温度の高いものは、回路基板1における熱膨張は小さくなる。
また、銅または銅合金の塑性変形能が高く、かつその厚さが大きな場合、セラミックス基板2と接する側の面と、その反対側の面(金属回路板3または金属放熱板4の表面)で異なった歪み量を示すこともある。従って、金属回路板3または金属放熱板4の軟化点温度が低く、その厚さが大きいほど、その表面の歪み量は大きくなり、逆の場合は歪み量は小さくなる。
特に実際の回路基板1上の金属回路板3および金属放熱板4における歪み量から測定した熱膨張係数を、以下では見かけの熱膨張係数と呼称する。この熱膨張係数は金属回路板3および金属放熱板4の表面に歪みゲ−ジを取り付け、冷熱サイクル時の歪み量を測定し、例えば、金属回路板の熱膨張係数=(金属回路板歪み量)/(温度変化量)として算出した。冷熱サイクルとしては、回路基板を冷熱サイクル試験機に装入し、−40℃〜+125℃の温度変化を与えた。これらの見かけの熱膨張係数は、上記の通り、金属回路板3、金属放熱板4の材質や厚さ(T、T)を調節することによって、これらの見かけの熱膨張係数を調整することができる。なお、歪み量の校正には、石英をリファレンスとして用いた。
セラミックス基板2として0.3mm厚の窒化珪素セラミックス、金属回路板3として前記の無酸素銅A、金属放熱板4として前記の銅合金C(表1)を用い、TとTを変えた回路基板1を多数作成した。これらの回路基板における前記の見かけの熱膨張係数を測定した。その後、これらの回路基板に半導体チップを搭載し、モールド樹脂で被覆し、放熱ベースに接合して、後述する構造の半導体モジュールを作成した。この半導体モジュールにおいて−40℃〜+125℃の温度範囲の冷熱サイクルを3000回加え、その放熱効率および耐久性を判定した。ここで、放熱効率を示す指標として、冷熱サイクル印加前後の半導体チップからの熱抵抗を測定した。ここで、熱抵抗は、JISA1412で規定される量である。印加前の熱抵抗が0.15℃/Wよりも大きな場合を不合格とした。また、3000回印加後に、半導体チップと金属回路板3との接合部または金属放熱板4と放熱ベースとの接合部が破断したものと、熱抵抗が印加前よりも25%以上上昇していたものを不合格とした。
金属回路板3の見かけの熱膨張係数を横軸に、金属放熱板4の見かけの熱膨張係数を縦軸にとり、以上の観点について合格だった回路基板については○印で、不合格だった回路基板については×印で表した結果を図3に示す。ここで、熱膨張係数の単位のppm/Kは10−6/Kを表す。この結果、金属回路板3の表面の見かけの熱膨張係数を(9〜17)×10−6/Kとし、金属放熱板4の表面の見かけの熱膨張係数をこれよりも大きい(3〜9)×10−6/Kの範囲とした場合に良好な耐久性が得られた。ここで、金属回路板3についての値は、銅または銅合金の本来の値(18×10−6/K)、および後述するモールド樹脂の熱膨張係数に近い。金属放熱板4についての値は、半導体チップ(シリコン)およびセラミックス基板(窒化珪素セラミックス)の熱膨張係数(2.5×10−6/K)に近い。すなわち、この回路基板1においては、金属回路板3と金属放熱板4の表面の見かけの熱膨張係数を上記の範囲とすることによって、冷熱サイクルに対する高い耐久性と低い熱抵抗を得ることができる。
熱膨張係数をこの範囲にすることは、金属回路板3および金属放熱板4の材質と厚さを調整することによって可能である。特に、この回路基板1においては、金属回路板3と金属放熱板4の表面の見かけの熱膨張係数を異ならせ、特に金属回路板3の表面の熱膨張係数を大きくしている。
この構造の回路基板においては、金属回路板3の厚さTを金属放熱板4の厚さTよりも大きくすることが好ましい。これにより、金属回路板3の表面の見かけの熱膨張係数を金属放熱板4よりも大きくすることが容易である。また、金属放熱板4の軟化点温度を金属回路板3の軟化点温度より高くすることが好ましい。この条件下で、Tを一定としたときの、金属回路板3の見かけの熱膨張係数のT依存性を調べた結果が図4である。ここで、セラミックス基板2は前記と同様であり、金属回路板3は無酸素銅A、金属放熱板4は銅合金Cである。同様の場合の、金属放熱板4の見かけの熱膨張係数のT依存性を調べた結果が図5である。また、Tを一定としたときの、金属回路板3の見かけの熱膨張係数のT依存性を調べた結果が図6であり、金属放熱板4の見かけの熱膨張係数のT依存性を調べた結果が図7である。これらの結果より、TとTを変えることによって、金属回路板3の表面の見かけの熱膨張係数を(9〜17)×10−6/K、金属放熱板4の表面の見かけの熱膨張係数を(3〜9)×10−6/Kの範囲とすることが可能である。
この一例として、セラミックス基板2として0.3mmの窒化珪素セラミックスを使用し、金属回路板3を1.5mm厚の無酸素銅A、金属放熱板4を0.6mm厚の銅合金D(表1)とした回路基板1を作成した。この場合の、冷熱サイクルに際しての金属回路板3と金属放熱板4の表面の歪み量を測定した結果が図8である。一方、同一のセラミックス基板と、金属回路板として1.0mm厚の無酸素銅、金属放熱板として0.8mm厚である同一の無酸素銅Aを使用した回路基板を作成した。この場合の同様の測定結果が図9である。後者の場合には、金属回路板表面での歪み量と金属放熱板表面での歪み量はほぼ同等であるのに対して、前者においては、金属回路板3と金属放熱板4を上記の構成とすることにより、それぞれの表面の歪み量が異なる。従って、それぞれの見かけの熱膨張係数を上記の範囲とすることができる。
また、回路基板の熱抵抗を低減するためには、回路基板の反り量を低減し、回路基板と放熱ベース等との接触を良好にすることが必要である。この回路基板の最大反り量も、上記の耐久性と同様に、金属回路板および金属放熱板の材質や厚さによって異なったものとなった。ここで、最大反り量とは、常温において回路基板1の対角線上で測定した反り量の最大値をその対角線の長さで割った量であり、図1の断面図の方向において、上が凸となる方向の反りを+とし、逆向きの反りを−とした。これらの回路基板に半導体チップを搭載し、放熱ベースに接合した場合の半導体チップから見た熱抵抗と、最大反り量との関係を調べた結果を図10に示す。ここで、熱抵抗が0.15℃/W以下となった回路基板を○印とし、熱抵抗がこれよりも大きくなった回路基板を×印で示してある。この回路基板1においては、常温におけるその最大反り量の絶対値を200μm/inch(1inchは0.0254m)以下とすることによって、熱抵抗を0.15℃/W以下と小さくすることができた。なお、最大反り量が200μm/inchである金属回路板/放熱板の構成であっても、200μm/inch以内となるように、放熱板に平面研削加工などの加工を施すことで、熱抵抗を0.15℃/W以下とすることは可能である。
金属回路板3の軟化点温度を金属放熱板4よりも低くすることによって、回路基板1の最大反り量を前記の範囲とすることができる。これによって、ろう付けによって発生する歪みに際して金属回路板3が塑性変形しやすくなるために、回路基板の最大反り量の絶対値が小さくなる。図11に、セラミックス基板2として0.32mm厚の窒化珪素セラミックス、金属放熱板4として0.6mm厚の銅合金C(軟化点温度790℃)を用いた場合の、最大反り量の金属回路板3の軟化点温度依存性を示す。ここで、金属回路板3の厚さTは1.5mmである。金属回路板3の材質を変え、その軟化点温度を金属放熱板4の軟化点温度よりも低くとることによって、その最大反り量を上記の許容範囲である200μm/inchとすることができる。ただし、金属回路板3の軟化点温度が300℃よりも低くなると、金属回路板3と金属放熱板4の熱膨張のバランスが崩れるため、図11に示すように、最大反り量が逆向きに増大して上記の範囲外となることがあった。従って、金属回路板3の軟化点温度は金属放熱板4の軟化点温度よりも低く、かつ300℃以上であることが好ましい。
従って、金属放熱板4の軟化点温度は金属回路板3よりも高いことが好ましい。図12に、金属回路板3を1mm厚の無酸素銅Aとし、金属放熱板4を0.6mm厚としたときの、最大反り量の金属放熱板4の軟化点温度依存性を示す。金属放熱板4の軟化点温度をこの範囲とすることによって、最大反り量を前記の範囲とすることができた。ただし、金属回路板3(無酸素銅A)の軟化点温度は300℃であり、金属放熱板4の軟化点温度がこれより高い場合でも、400℃よりも低い場合には反り量は許容範囲外となった。また、金属放熱板4の軟化点温度が900℃よりも高くなった場合にも、これとは逆向きに反り量が大きくなり、許容範囲外となった。この原因は、400℃よりも低い場合には、より厚い金属回路板3の影響が特に大きくなり、900℃よりも高い場合には、塑性変形能が小さな金属放熱板4の影響が特に大きくなるため、熱膨張のバランスが崩れるためである。従って、金属放熱板4の軟化点温度は、金属回路板3よりも高く、かつ400〜900℃の範囲が好ましい。
以上より、金属回路板3は、軟化点温度が前記の範囲内であってかつ銅合金よりも低い無酸素銅(例えば無酸素銅A)、とし、その厚さは大きいことが好ましい。表1より、無酸素銅は高い熱伝導率を有しているため、厚い場合でも、金属回路板3で高い熱伝導率でセラミックス基板2へ放熱を行うことができる。この際、無酸素銅は塑性変形能が高いため、金属回路板3の下側(セラミックス基板2側)での熱膨張は弾性率の高いセラミックス基板の熱膨張の量に近づく。一方、上側では本来の無酸素銅の熱膨張係数によって決まる量に近い熱膨張をする。このため、金属回路板3の表面の見かけの熱膨張係数を(9〜17)×10−6/Kの範囲とすることができる。金属回路板3の上部と下部では歪み量が異なるため、金属回路板3内部で歪みが生ずるが、この歪みは厚い無酸素銅の塑性変形により吸収される。
また、金属放熱板4の材料としては、軟化点温度が前記の範囲内であり、かつ無酸素銅よりも軟化点温度が高い銅合金(表1の例からは、銅合金D、銅合金C等)が好ましい。また、その厚さは金属回路板3よりも小さいことが好ましい。前記の通り、これらの材料は無酸素銅と同等の熱膨張係数をもつが、その厚さを薄くすることにより、金属放熱板4の表面の見かけの熱膨張係数を小さく、セラミックス基板2や半導体チップとなるシリコンに近くすることができ、(3〜9)×10−6/Kとすることができる。これは、冷熱サイクルに際しての回路基板1の歪みを小さくしていることを意味する。また、これらの銅合金の軟化点温度は高いために、これによって回路基板1の機械的強度も保たれる。表1に示したように、これらの銅合金の熱伝導率は無酸素銅と比べて劣るが、金属放熱板4は薄いため、この部分の熱抵抗を小さくすることができる。
上記の構成の回路基板1を用いた半導体モジュールにおいて、Tを横軸、Tを縦軸にとり、前記の冷熱サイクル試験結果と熱抵抗の測定結果について表示したものが図13である。ここで、どちらかの測定結果が不合格であった点を×印とし、両方とも合格であった点を○印とした。この結果より、T、T共に0.1〜10mmの範囲が好ましいことがわかる。どちらかが0.1mmより小さいと、金属回路板3および金属放熱板4の表面の見かけの熱膨張係数を上記の範囲とすることができず、冷熱サイクルに対する耐久性が劣化することがある。どちらかが10mmよりも大きいと、最大反り量が上記の範囲に入らなくなり、これによって熱抵抗が増大したり、耐久性が劣化することがある。また、図14は、金属回路板3に無酸素銅A、金属放熱板4に銅合金Dを用いたときの金属回路板3の表面の見かけの熱膨張係数と、比T/Tとの関係を示した図である。この結果より、T/Tが1よりも小さいと、金属回路板3表面の見かけの熱膨張係数が前記の範囲外となる。図15は、回路基板1の最大反り量とT/Tとの関係を同様の回路基板1について調べた結果である。この結果より、T/Tが10よりも大きいと、最大反り量が前記の範囲外となる。T/Tが1より小さい場合は、金属放熱板4の影響が、T/Tが10よりも大きな場合は金属回路板3の影響が特に大きくなるために、熱膨張のバランスが崩れることがこれらの原因である。従って、T/Tは1以上で10以下の範囲が好ましい。
この回路基板1は、例えば、以下の通りにして製造できる。絶縁性セラミックス基板2(窒化珪素セラミックス)の両面に活性金属ろう材5として例えば、Tiが添加されたAg−Cu系合金に代表される活性金属を印刷形成する。次に、絶縁性セラミックス基板2とほぼ同じ長方形状の金属板である無酸素銅または銅合金を両面に600℃〜900℃の温度で加熱接合する。このうち一方は金属回路板3となり、他方は金属放熱板4となる。冷却後、一方の面の金属板上にレジストパターンを形成後に、例えば塩化第二鉄あるいは塩化第二銅溶液によってエッチング処理して回路パターンをなす金属回路板3を形成する。他方の面に接合された金属板をそのままエッチング処理無しで金属放熱板4としてもよいし、同様に所望の形状に加工して金属放熱板4としてもよい。この場合、金属回路板3と金属放熱板4はその主成分が同一(銅)であるため、これらのエッチングは同時に行われる。また、これによって露出した部分のろう材5のエッチングも、例えば過酸化水素とフッ化アンモニウムとの混合溶液によって引き続き行われる。さらに回路パターン形成後の金属回路板3及び金属放熱板4にNi−Pメッキを施し、回路基板1が作製される。なお、このメッキ処理を施さないことも可能であり、この場合には、回路パターン形成後に化学研磨を行い、ベンゾトリアゾール等などの防錆剤を添付する。また、選択するはんだ材種に応じて、ロジンなどの濡れ性向上成分を含有した防錆剤を用いる。
以上の通り、この回路基板1においては、常温、および冷熱サイクルにおける歪み量を小さくすることができる。従って、これに半導体チップを搭載して半導体モジュールを形成した場合には、冷熱サイクルに対して高い耐久性を有する。特に、この回路基板1は、これを用いた半導体モジュールが実際に機器に搭載されて使用される状況において、高い耐久性を有する設計となっている。
この回路基板1に半導体チップを搭載した場合に、半導体チップからの放熱は金属回路板3や金属放熱板4等を介して高い効率で行われる。さらに、常温における反りが小さくなるために、放熱ベースとの間の熱伝導を良好にすることができる。
金属回路板3は電気抵抗率の小さな銅または銅合金であり、その厚さが大きいため、その配線抵抗を小さくすることができる。従って、この回路基板1に搭載する半導体チップに大電流を流して使用することができる。
金属回路板3とセラミックス基板2はろう材5によって強固に接合される。従って、この部分の機械的強度は高く、熱抵抗も低い。その接合に銀ペーストや接着剤を使用しないため、絶縁耐圧も、本来のセラミックス基板2のもつ絶縁耐圧に近く、高い値となる。従って、この回路基板1に搭載する半導体チップを大電圧で動作させることができる。
従って、この回路基板1を用いた半導体モジュールは、高い放熱特性、冷熱サイクルに対する高い耐久性を兼ね備え、半導体チップを大電力で動作させることができる。
また、上記の製造方法においては、金属回路板3と金属放熱板4のエッチング処理を同時に行うことが可能である。従って、低コストでこの回路基板を製造することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体モジュールは、前記の回路基板1を用いて形成され、特に大電力で動作する半導体チップをこれに搭載する。この半導体モジュールの断面図が図16である。この半導体モジュール11は、前記の回路基板1における金属回路板3上に半導体チップ6がはんだ層7を介して接合して搭載されている。また、これら全体を覆ってモールド樹脂8が形成されている。また、放熱ベース13がはんだ層12を介して金属放熱板4に接合されている。
半導体チップ6は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような半導体デバイスが形成されたシリコンチップである。特にこの半導体デバイスは、大電力で動作するものとすることができる。これによる発熱がこの回路基板1によって放熱される。また、半導体チップ6と配線となる金属回路板3との電気的接続は、ボンディングワイヤ(図示せず)を用いてもよいし、フリップチップ接続を用いることにより、はんだ等のバンプにより行ってもよい。さらには、半導体素子との接合信頼性(パワーサイクル特性)を向上させるため、銅および銅合金あるいは、銅とインバーとのクラッド材からなるリード板による接合を行ってもよい。
はんだ層7は、例えば、Sn−5%Pbはんだであり、その融点は270℃程度である。従って、これを用いて半導体チップ6と金属回路板3と290℃程度の温度で接合することができる。また、環境対応下Sn−3%Ag、Sn−3%Ag−0.5%Cu、Sn−5%BiなどのPbフリーはんだを用いることが望ましい。この接合温度はろう材5の融点よりも大幅に低いため、この接合に際しては金属回路板3および金属放熱板4とセラミックス基板2との接合に影響を与えることはない。このはんだ層7は、冷熱サイクルに際しては、上記の半導体チップ6と金属回路板3との熱膨張差によって内部応力が加わった状態となる。フリップチップ接続を用いた場合には、このはんだ層7によって半導体チップ6と金属回路板3との電気的接続もなされる。
モールド樹脂8は、例えばエポキシ樹脂であり、以上の構造を全部覆うように形成され、少なくとも、半導体チップ6、はんだ層7、金属回路板3を覆う絶縁物である。この熱膨張係数の値は前記の銅の熱膨張係数に近い。この形成方法は、例えば、液体状のモールド樹脂材料中に半導体チップ6が接合された回路基板1を浸たした後にこれを硬化させることによってなされる。モールド樹脂8の耐熱温度は例えば250℃程度と低いため、モールド樹脂8が形成された後にはこれよりも高い温度の工程が不要となるような製造方法を用いる。
はんだ層12は、例えば共晶Pb―Snはんだであり、その融点は190℃程度である。これを用いて金属放熱板4(回路基板1)と放熱ベース13とを210℃程度の温度で接合することができる。また、Sn−3%Ag、Sn−3%Ag−0.5%Cu、Sn−5%BiなどのPbフリーはんだを用いることがさらに望ましい。さらには、はんだ層12の代わりに、熱伝導率の高いグリスやフィラーシートを用いることもできる。なお、半導体チップ6と回路基板1および放熱ベース13をはんだ層7およびはんだ層12を介して接合する場合の工程には、以下の2方法がある。一つは、回路基板1に半導体チップ6をはんだ層7で接合した後に、はんだ層12を介して放熱ベース13を接合する。この場合、はんだ層7には、はんだ層12よりも高融点のはんだ材を選定する。また、モールド樹脂8は、はんだ層12の接合の前に形成しても良いし、後で形成してもよい。前に形成する場合には、はんだ層12にはモールド樹脂8の耐熱温度以下の融点のはんだ材を用いる必要がある。もう一つの方法は、半導体チップ6と回路基板1および放熱ベース13を一度のリフローで接合する。この際には、はんだ層7およびはんだ層12の融点が近似したはんだ材を選定する。この場合、モールド樹脂8はこの接合の後で形成するため、これらのはんだ材の融点はモールド樹脂8の耐熱温度よりも約50℃高い温度範囲のものを選定し、モールド工程時の高温に対応する必要がある。
放熱ベース13は、機器側でこの回路基板1を搭載する部分である。放熱ベース13は金属放熱板4に伝わった熱を放熱するため、熱伝導率が高く、熱容量が大きい。これは例えば銅、アルミニウム、銅合金、またはアルミニウム合金からなる。放熱ベース13の熱膨張係数は、例えば、銅が17×10−6/K、アルミニウムが22×10−6/K程度と大きい。銅合金およびアルミニウム合金の熱膨張係数もこれらに近い値となる。
この半導体モジュール11においては、半導体チップ6となるシリコンの熱膨張係数は3.0×10−6/Kであるため、これが接合される金属回路板3表面の見かけの熱膨張係数((9〜17)×10−6/K)とは大きく異なる。このため、冷熱サイクルに際しては、この熱膨張差に起因する歪みがはんだ層7に発生したり、半導体チップ6に反りを生ずる。これらを低減してはんだ層7の接合信頼性を確保するには、主に、(1)はんだ層の上下面に位置する構成部材の熱膨張係数差を低減する、(2)はんだ層の上下面に位置する構成部材の反り量の変位を低減する(剛性を持たせる)方法が効果的である。本発明では、この(2)の効果を意図したもので、モールド樹脂8を形成することによって、これを低減している。すなわち、金属回路板3、はんだ層7、半導体チップ6を金属回路板3表面と同等の熱膨張係数((9〜17)×10−6/K)を有したモールド樹脂8で覆うことによって、これらの強度を確保している。また、モールド樹脂8の熱膨張係数をこの範囲とすることによって、冷熱サイクルに際してのモールド樹脂8と金属回路板3との接合信頼性が飛躍的に向上する。
金属回路板3に1.5mm厚の無酸素銅A、金属放熱板4に0.6mm厚の銅合金Dを用いた回路基板1を用いた半導体モジュール11において、熱膨張係数の異なるモールド樹脂8を用いたものを複数作成し、その特性を調べた。図17は、前記の冷熱サイクル試験結果における冷熱サイクル寿命とモールド樹脂8の熱膨張係数との関係を調べた結果である。ここで、冷熱サイクル寿命とは、前記の冷熱サイクル試験において、この半導体モジュール11が不合格となったときのサイクル数である。最大印加サイクル数が3000回であったため、図17において○印の点(合格)は冷熱サイクル寿命が3000回だった点ではなく、少なくとも3000回以上となった点を表している。一方、×印の点(不合格)は、冷熱サイクル寿命が3000回未満だった点であり、実際に測定された冷熱サイクル寿命を表している。この結果より、この熱膨張係数を(10〜25)×10−6/Kの範囲とすることにより、3000回以上の高い冷熱サイクル寿命が得られた。この熱膨張係数が10×10−6/Kより小さい場合と、25×10−6/Kより大きな場合には冷熱サイクルが3000回未満となった。これらの場合には、いずれも、はんだ層の破損は生じないものの、この冷熱サイクル寿命において熱抵抗が25%以上増加した。これは、はんだ層7または12に破損が生じない範囲で、冷熱サイクルによって歪みが発生し、接合状態の劣化が生じていることを示している。すなわち、モールド樹脂8の熱膨張係数を、金属回路板3の表面の見かけの熱膨張係数および放熱ベース13の熱膨張係数に近くすることによって、歪みを低減することができた。
すなわち、この範囲の熱膨張係数をもつモールド樹脂8を用いることにより、半導体モジュール11の中心部(金属回路板3下面、セラミックス基板2、金属放熱板4)の熱膨張は小さく、その外側(金属回路板3上面、モールド材8、放熱ベース13)の熱膨張は大きな構成となる。すなわち、中心部に対して熱膨張係数が上下対称である配置になるため、この半導体モジュール11は冷熱サイクルに際して反りを生じにくい。
従って、この半導体モジュール11は、冷熱サイクルに対する高い耐久性を有する。特に、この半導体モジュール11においては、これが機器に搭載された状態で高い耐久性が得られる。
また、この半導体モジュール11においては、はんだ層12を介して放熱ベース13に接する金属放熱板4において反りを生じにくいため、この部分の接合状態が常に良好に保たれる。従って、高い放熱効率を得ることができ、大電力で動作する半導体チップを搭載して動作させることができる。
この半導体モジュール11の最も優れる点は、回路基板1を構成する金属回路板3および金属放熱板4の個々の熱膨張挙動を制御することで、半導体モジュール11の高放熱性を確保した上で耐久性を飛躍的に向上させたことにある。
また、この半導体モジュール11においては、単一のセラミックス基板2上に金属回路板3による配線パターンが設けられているため、配線パターンに対応して多数の半導体チップ6を搭載することができる。すなわち、高集積化にも適応する。この際、この半導体モジュール11の基体は絶縁性の高いセラミックス基板2となるため、半導体チップ6とこれと分離して形成された配線(金属回路板3)との絶縁性も良好である。従って、半導体チップ6を大電力で動作させることができる。
なお、上記の例ではセラミックス基板2として窒化珪素セラミックスを用いていたが、これに限られるものではなく、同等以上の熱伝導率、3点曲げ強度、破壊靱性値、絶縁性をもつものであれば、同様に用いることができる。
また、上記の例では金属回路板3および金属放熱板4として銅または銅合金を用いていたが、これに限られるものではなく、金属回路板3と金属放熱板4で主成分を同一とし、その軟化温度が異なる合金を同様に用いることが可能である。この際、銅合金と同等以上の熱伝導率および電気伝導度を有していれば好ましい。
モールド樹脂8についても同様に、上記の例に限られるものではなく、半導体チップ6や金属回路板3等を被覆することができ、絶縁抵抗の高い材料であれば、同様に用いることが可能である。
(実施例1〜25、比較例1〜15)
実施例1〜25として、上記の構成の回路基板を作成し、これに半導体チップを搭載して上記の構造の半導体モジュールを作成して冷熱サイクルを印加し、その耐久性能を調べた。同時に、比較例となる回路基板も作成し、同様の特性を調べた。
実施例1〜25および比較例1〜15においては、使用したセラミックス基板はすべて30mm×50mmの窒化珪素セラミックス板(熱伝導率が90W/m/K程度、3点曲げ強度が700MPa程度、破壊靱性値が6MPa・m1/2程度)である。金属回路板および金属放熱板としては、表1に示した銅または銅合金の中から選択した。金属回路板のパターンはすべて同一であり、図18に示す形状である。使用したろう材はTiを活性金属として含有し、組成はAg−Cu−In系のものである。また、接合温度760℃である。
実施例1〜8は、金属回路板には無酸素銅A、金属放熱板に銅合金Cを用い、T、TをT>Tの範囲で、かつこれらが0.1〜10mmとなる範囲で変化させた。実施例9〜11は、金属放熱板に銅合金Dを用い、実施例12〜13は、金属放熱板に銅合金E(表1)を用いて、同様にT、Tを変化させた。なお、上記の実施例1〜13においては、いずれもセラミックス基板の厚さは0.3mmとした。
実施例14〜19では、セラミックス基板の厚さと金属回路板の材質を変化させ、金属放熱板はいずれも1.5mm厚の無酸素銅Aとし、金属回路板の厚さは0.6mmとした。実施例14〜16ではセラミックス基板の厚さを0.2mmとし、実施例17〜19では0.1mmとした。金属放熱板は、実施例14、17では銅合金C、実施例15、18では銅合金D、実施例16、19では銅合金Eとした。
実施例20〜25においては、金属回路板を銅合金とし、金属回路板と金属放熱板の材質(組み合わせ)を変えている。ここで、実施例20〜22においては、Tを1.5mm、Tを0.6mmとし、実施例23〜25においてはTを2.0mm、Tを0.8mmとした。金属回路板と金属放熱板の組み合わせは、実施例20、23では(銅合金D、銅合金C)、実施例21、24では(銅合金E、銅合金C)、実施例22、25では(銅合金E、銅合金D)とした。なお、セラミックス基板の厚さはいずれも0.3mmとした。
比較例1〜5はいずれも金属回路板に無酸素銅A、金属放熱板に銅合金Cを用いているが、これらの厚さを0.1mmより小さく、あるいは10mmよりも大きくした。比較例1、2では金属回路板と金属放熱板の厚さをいずれも0.1mmよりも小さくし、比較例3では金属放熱板のみを小さくした。比較例4、5では金属回路板の厚さのみを10mmよりも大きくした。
比較例6、7では、金属放熱板を0.6mm厚の銅合金C、金属回路板を1.5mm厚の無酸素銅Bとし、金属回路板の軟化温度を300℃よりも低くした。
比較例8、9では、金属放熱板を0.6mm厚の銅合金Cとし、金属回路板をこれよりも軟化温度の高い銅合金G(表1)とした。
比較例10では、金属回路板を無酸素銅Aとし、その軟化温度がこれよりも高いが、400℃未満である銅合金F(表1)を金属放熱板に用いた。
比較例11では、金属回路板と金属放熱板に同じ無酸素銅Aを用いた。
比較例12では、金属回路板に無酸素銅A、金属放熱板に銅合金Dを用い、T/Tを1よりも小さくした。比較例13では、同じ材料構成で、T/Tを10よりも大きくした。
比較例14では、実施例9と同じ回路基板を用い、モールド樹脂の熱膨張係数を10×10−6/Kよりも小さくし、比較例15では、25×10−6/Kよりも大きくした。
以上の実施例および比較例について、−40℃〜+125℃の冷熱サイクルにおける特性を調べた。まず、この温度範囲での金属回路板および金属放熱板の表面の見かけの熱膨張係数を測定した。この測定は、金属回路板および金属放熱板表面に歪みゲージを取り付け、この温度範囲での歪み量を測定することにより算出した。また、回路基板の反りについては、常温におけるこの回路基板において、図18中の点線で示す対角線上における金属放熱板の反り量を3次元形状測定器により測定し、対角線の長さで割った量を最大反り量(μm/inch)とした。ここで、金属回路板側が凸になる方向を+とした。
図16に示すように、この回路基板に半導体チップ(パワーMOSFET)をSn−3%Ag−0.5%Cuはんだで接合して搭載し、さらに無酸素銅の放熱ベースにPb−Sn共晶はんだでこの金属放熱板を接合した半導体モジュールを作成し、冷熱サイクルを印加した。−40℃〜+125℃の冷熱サイクル1サイクルは70分を3000回印加し、その後での半導体チップ下のはんだ層および金属放熱板下のはんだ層の破損の状況を超音波画像診断装置(日立建機製Hi−Focus)を用い、ボイド率(ボイドの面積/半導体チップ面積×100)を算定した。また、金属回路板とモールド樹脂との間に剥離が発生しているかどうかも調べた。はんだ層の破損およびモールド樹脂の剥離は、これらにおける界面のボイド率が3000サイクル後に30%以上となっていた場合を、破損や剥離が発生したと認定した。いずれかの箇所で破損や剥離が発生したものを不合格とした。
また、冷熱サイクルの印加の前後で、半導体チップ側から見た熱抵抗(℃/W)を測定した。この測定は、半導体チップに通電することによってこれを発熱させ、そのとき温度上昇を熱抵抗評価装置(キャッツ電子製、MODEL DVF240)によって電圧換算により測定した。ここでは、単位断面積当たりの量ではなく、単位を(℃/W)として測定した。初期(冷熱サイクル印加前)の熱抵抗の値が0.15℃/W以上であったものは放熱特性が悪いために不合格と判定した。また、初期の熱抵抗がこの値より小さくとも、冷熱サイクル印加後の熱抵抗の値が25%以上増加していたものは、はんだ層において上記の観察では判別できない程度の破損やセラミックス基板のクラック等が発生したものと考えられるため、不合格とした。以上の結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004893095
実施例1〜25の半導体モジュールにおいては、3000回の冷熱サイクルによってもはんだ層の破損やモールド樹脂の剥離を生じることがなく、冷熱サイクルの前後で低い熱抵抗値を保つことが確認できた。また、これらの回路基板における金属回路板および金属放熱板の表面の見かけの熱膨張係数は、それぞれ(9〜17)×10−6/K、(3〜9)×10−6/Kの範囲内であった。また、常温における最大反り量の絶対値は200μm/inch以下であった。
これに対し、金属回路板および/または金属放熱板が薄い比較例1〜3は、3000サイクル前に金属放熱板下のはんだ層の破損およびモールド樹脂の剥離が発生した。このとき、金属回路板および金属放熱板の表面の見かけの熱膨張係数はいずれも上記の範囲よりも小さくなっていた。
金属回路板が厚い比較例4、5は初期の熱抵抗値が大きく、3000サイクル後の熱抵抗の増加率も大きくなった。このとき、回路基板の最大反り量の絶対値が大きくなっていた。
金属回路板の軟化温度が低い比較例6、7は冷熱サイクルによって半導体チップ下のはんだ層に破損を生じ、初期の熱抵抗および冷熱サイクル印加後の熱抵抗の増加率共に大きくなった。このとき、金属回路板表面の見かけの熱膨張係数が上記の範囲よりも大きく、最大反り量の絶対値が大きくなっていた。
金属回路板の軟化温度が金属放熱板よりも高い比較例8、9は、初期の熱抵抗が大きくなった。このとき、最大反り量が比較例1〜7とは逆向きに大きくなっていた。
金属回路板の軟化温度が低い比較例10は、冷熱サイクル印加後に金属放熱板下のはんだ層に破損を生じた。このとき、回路基板の最大反り量の絶対値が大きくなっていた。
金属回路板と金属放熱板に同じ無酸素銅を用いた比較例11は、冷熱サイクル印加後に金属放熱板下のはんだ層に破損を生じた。このとき、回路基板の最大反り量の絶対値が大きくなっていた。
/Tが1よりも小さい比較例12は、冷熱サイクル印加後にモールド樹脂に剥離が発生した。このとき、金属回路板の表面の見かけの熱膨張係数は上記の範囲よりも小さくなっていた。T/Tが10よりも大きい比較例13は、初期の熱抵抗が大きくなっていた。このとき、回路基板の最大反り量の絶対値が大きくなっていた。
モールド樹脂の熱膨張係数を10×10−6/Kよりも小さくした比較例14、25×10−6/Kよりも大きくした比較例15は、実施例9と同じ回路基板を用いているにもかかわらず、冷熱サイクル印加後にモールド樹脂に剥離が発生した。
(実施例26、比較例16〜23)
実施例26と比較例16〜23としては、金属回路板と金属放熱板の組み合わせを同一とし、セラミックス基板の材質を変化させ、前記と同様の特性を調べた。
実施例26および比較例16〜23においては、金属回路板は1.5mm厚の無酸素銅A、金属放熱板は0.6mm厚の銅合金Cとした。また、セラミックス基板の厚さは0.3mmとした。金属回路板のパターンおよび使用したろう材、回路基板の製造方法、モールド樹脂については前記の実施例と同様であり、モールド樹脂は熱膨張係数が18×10−6/Kのものを用いた。
実施例26におけるセラミックス基板は、熱伝導率が89W/m/K、3点曲げ強度が740MPa、破壊靱性値が6.3MPa・m1/2である標準的な窒化珪素セラミックスであり、実施例1〜25におけるものと同等である。
比較例16、17におけるセラミックス基板は、同じ窒化珪素セラミックスであるが、その製造条件が異なり、特に熱伝導率が40W/m/K(比較例16)、20W/m/K(比較例17)と小さくなっている。比較例18、19におけるセラミックス基板も、同じ窒化珪素セラミックスであるが、その製造条件が異なり、特に3点曲げ強度が550MPa(比較例18)、480MPa(比較例19)と小さくなっている。比較例20、21におけるセラミックス基板も、同じ窒化珪素セラミックスであるが、その製造条件が異なり、特に破壊靱性が4.5MPa・m1/2(比較例20)、3.0MPa・m1/2(比較例21)と小さくなっている。比較例22、23は、同じ厚さである他のセラミックス基板を窒化珪素セラミックスの代わりに用いた場合であり、アルミナ・ジルコニアセラミックス(比較例22)、窒化アルミニウムセラミックス(比較例23)を用いている。アルミナ・ジルコニアセラミックスは窒化珪素セラミックス(標準)と比べて3点曲げ強度は高いが、熱伝導率および破壊靱性が低く、窒化アルミニウムセラミックスは、熱伝導率は高いが、3点曲げ強度および破壊靱性が低い。
上記の構成で、実施例1〜25と同様に、回路基板を作成したところ、金属回路板および金属放熱板の形成後に、セラミックス基板にこれらによって応力が発生し、クラックが発生することがあった。クラックの発生しなかった回路基板に半導体チップを搭載して、同様に冷熱サイクル試験を行った。これらの結果を表3にまとめて示す。
Figure 0004893095
実施例26は、実施例1〜25と同様に、良好な耐久性を示した。
セラミックス基板の熱伝導率の小さな比較例16、17は、初期の熱抵抗が高くなった。セラミックス基板の3点曲げ強度が小さな比較例18、19は熱サイクル後に大きく熱抵抗が増大した。破壊靱性が低い窒化珪素セラミックス、あるいは他の材料を用いた比較例20〜23は、いずれも、回路基板作成後にセラミックス基板にクラックが発生したため、半導体モジュールの評価に至らなかった。
従って、本発明の回路基板および半導体モジュールにおけるセラミックス基板としては、特に、熱伝導率が90W/m/K程度以上、3点曲げ強度が700MPa程度以上、破壊靱性値が6MPa・m1/2程度以上である窒化珪素セラミックスが好ましい。
本発明の第1の実施の形態に係る回路基板の平面図および断面図である。 銅および銅合金の熱伝導率と軟化温度との関係を示した図である。 金属回路板と金属放熱板の表面の見かけの熱膨張係数を変えた回路基板における耐久性及び熱抵抗の評価結果を示す図である。 金属回路板の厚さTを一定としたときの金属回路板表面の見かけの熱膨張係数と金属放熱板の厚さTとの関係を示す図である。 金属回路板の厚さTを一定としたときの金属放熱板表面の見かけの熱膨張係数と金属放熱板の厚さTとの関係を示す図である。 金属放熱板の厚さTを一定としたときの金属回路板表面の見かけの熱膨張係数と金属回路板の厚さTとの関係を示す図である。 金属放熱板の厚さTを一定としたときの金属放熱板表面の見かけの熱膨張係数と金属回路板の厚さTとの関係を示す図である。 1.5mm厚の無酸素銅Aを金属回路板に、0.6mm厚の銅合金Dを金属放熱板に用いたときの金属回路板と金属放熱板の表面の熱膨張を測定した結果を示す図である。 1.0mm厚の無酸素銅Aを金属回路板に、0.8mm厚の無酸素銅Aを金属放熱板に用いたときの金属回路板と金属放熱板の表面の熱膨張を測定した結果を示す図である。 金属回路板と金属放熱板の厚さを変えた回路基板において、熱抵抗と最大反り量との関係を調べた結果を示す図である。 金属放熱板を同一とし、金属回路板の厚さを一定としたときの、最大反り量の金属回路板の軟化温度依存性を示す図である。 金属回路板を同一とし、金属放熱板の厚さを一定としたときの、最大反り量の金属放熱板の軟化温度依存性を示す図である。 金属回路板と金属放熱板の厚さを変えた回路基板における耐久性及び熱抵抗の評価結果を示す図である。 金属回路板の材料および金属放熱板の材料を一定としたときの、金属回路板表面の見かけの熱膨張係数とT/Tとの関係を示す図である。 金属回路板の材料および金属放熱板の材料を一定としたときの、最大反り量とT/Tとの関係を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体モジュールの断面図である。 半導体モジュールの冷熱サイクル寿命とモールド樹脂の熱膨張係数の関係を示す図である。 実施例および比較例として作成した回路基板における金属回路板のパターン形状を示す図である。 従来の半導体モジュールの一例の構造の断面図である。
符号の説明
1 回路基板
2、40 セラミックス基板
3 金属回路板
4 金属放熱板
5 ろう材
6、33 半導体チップ
7、12 はんだ層
8、39 モールド樹脂
11、31 半導体モジュール
13 放熱ベース
32 金属ブロック
34 フレーム
35 リード
36 ボンディングワイヤ
37 ケース
38 外部端子



Claims (9)

  1. セラミックス基板の一面に金属回路板が形成され、他面に金属放熱板が形成された回路基板であって、
    前記金属回路板および前記金属放熱板が銅または銅合金であり、
    前記金属放熱板の軟化点温度は前記金属回路板の軟化点温度よりも高く、
    前記金属放熱板の厚さは前記金属回路板の厚さよりも小さい、
    ことを特徴とする回路基板。
  2. 前記金属回路板および前記金属放熱板の厚さが0.1〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項に記載の回路基板。
  3. 前記金属回路板の厚さをT、前記金属放熱板の厚さをTとしたとき、1<T/T≦10であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
  4. 常温における最大反り量が200μm/inch以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の回路基板。
  5. 前記セラミックス基板が窒化珪素セラミックスであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の回路基板。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の回路基板に半導体チップが搭載された半導体モジュールであって、
    前記金属回路板に前記半導体チップが接合され、前記金属回路板および前記半導体チップがモールド樹脂で覆われていることを特徴とする半導体モジュール。
  7. 前記モールド樹脂の熱膨張係数が(10〜25)×10−6/Kの範囲であることを特徴とする請求項に記載の半導体モジュール。
  8. 前記金属放熱板が放熱ベースに接合されたことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体モジュール。
  9. 前記放熱ベースが銅、アルミニウム、銅合金、またはアルミニウム合金であることを特徴とする請求項に記載の半導体モジュール。
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