JP6315820B2 - 透明粘着シート - Google Patents

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本発明は、透明粘着シートに関する。さらに詳しくは、眼に有害な近紫外〜青色領域(380〜495nm)の光を抑制する機能を有し、例えば、携帯電話、タブレット型パソコン、デスクトップ型パソコン、電子手帳、ゲーム装置またはPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器に設けられる液晶表示器(LCDディスプレイ:以下「LCD」と略称する場合がある。)の表面またはLCD上に装着されるタッチパネルの表面を保護するために用いられる透明粘着シートに関するものである。
近年、液晶方式、プラズマディスプレイ方式や有機EL方式などのディスプレイが用いられている。これらディスプレイ製品には、その表面を傷や汚れ、内部のディスプレイを衝撃による割れなどから保護するために保護シートが貼付されることがある。
ところで、これらディスプレイから発せられる光に含まれる近紫外〜青色領域(380〜495nm)の高エネルギー可視光線(以下ブルーライトと言う)が、眼精疲労や網膜損傷、加齢黄斑変性のような眼の異常の原因の一つと考えられている。そのため、このような波長域の光を低減するための技術が望まれていた。
ブルーライトを抑制する方法として、樹脂中に染料や顔料などの色素を添加することにより青色領域の光線透過率を低下させる方法が知られている。しかしながら、この方法では樹脂が黄色味を帯びるため、ディスプレイに貼付する保護シートへ適用する場合、外観状好ましくないという問題があった。特にディスプレイの外枠部分が白色の端末の場合、保護シートの黄色い着色は意匠性を低下させることにつながる。
染顔料と紫外線吸収剤を併用する方法も知られている(例えば、特表2010−507108号公報;特許文献1)。この場合、紫外線吸収剤が約380〜400nmの近紫外領域の光を吸収するため、黄色色素の添加量を低減でき、樹脂の着色を抑制できる利点がある。しかしながら、紫外線硬化性樹脂に対して本方法を適用する場合、紫外線吸収剤と光重合開始剤の吸収波長領域が重なることで、樹脂が十分に硬化しない不具合が生じる可能性がある。
可視光領域の全体に亘って光線透過率を低減することにより、青色光を抑制する方法も知られている。しかしながらこの方法では樹脂の明度が低下し、ディスプレイの保護シートとして適用した場合に、視認性が低下するという問題があった。
特開2002−053824号公報(特許文献2)には、蛍光増白剤と紫外線吸収剤を併用する方法が記載されている。この場合、紫外線吸収剤により410nm付近までの光線をカットしても、蛍光増白剤が黄色の補色である青色の蛍光を発するため、黄色味がなく透明感の高い樹脂が得られるという利点がある。
ところで、液晶ディスプレイの保護フィルムとして透明粘着シートを利用する場合、保護シート表面に擦り傷や引掻き傷が付くと意匠性を低下させてしまう。そのため、保護シートには高い鉛筆硬度や耐擦傷性が要求される。しかしながら、特許文献2では透明基材としてPETフィルムなどの熱可塑性樹脂を使用しており、鉛筆硬度、耐擦傷性の面において満足できる水準にはないという課題があった。
特表2010−507108号公報 特開2002−053824号公報
本発明はブルーライトカット機能を有したLCDディスプレイまたはタッチパネルの表面保護シートとして利用可能な透明粘着シートであって、透明性、視認性、耐擦傷性、鉛筆硬度等の物性に優れた透明粘着シートを提供することを目的とする。
本発明は以下の[1]〜[7]を含む。
[1]アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)の一方の面側にシリコーン粘着剤層(B)、他方の面側に防汚性ハードコート層(C)を有する透明粘着シートであって、前記防汚性ハードコート層(C)中に蛍光増白剤を含有することを特徴とする透明粘着シート。
[2]前記蛍光増白剤が330〜390nmの範囲に極大吸収波長を有し、400〜450nmの範囲に極大蛍光波長を有するものである前項1に記載の透明粘着シート。
[3]前記蛍光増白剤がナフタルイミド系蛍光増白剤である前項1または2に記載の透明粘着シート。
[4]防汚性ハードコート層(C)がフッ素含有化合物を含む紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる前項1〜3のいずれかに記載の透明粘着シート。
[5]前記基材(A)の厚さが0.1〜1mmであり、前記シリコーン粘着剤層(B)の厚さが0.01〜0.15mmであり、前記防汚性ハードコート層(C)の厚さが0.5〜20μmである前項1〜4のいずれかに記載の透明粘着シート。
[6]前記アリルエステル樹脂シートが、アリルエステルオリゴマーを50質量%以上含有するアリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるものである前項1〜5のいずれかに記載の透明粘着シート。
[7]前記アリルエステルオリゴマーが、一般式(2)
Figure 0006315820
(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)
で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
Figure 0006315820
(式中、A3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導される1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって上記一般式(2)で示される基を末端基とし、上記一般式(3)で示される構造を構成単位とする分岐構造を形成することができる。)で示される構造を構成単位として有する前項1〜6のいずれかに記載の透明粘着シート。
本発明の透明粘着シートは眼に有害なブルーライトを低減するとともに、樹脂の黄色みが少なく明度も高いことから、視認性や意匠性を損なうことがない。また、基材にアリルエステル樹脂組成物を使用していることから、透明性や鉛筆硬度などの物性も優れている。従って、本発明の透明粘着は、シートスマートフォンやタブレットPCの液晶保護フィルム等として好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透明粘着シートは、アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)の一方の面側にシリコーン粘着剤層(C)、他方の面側に防汚性ハードコート層(C)を具備する透明粘着シートであって、前記ハードコート層(C)中に、350〜400nmに吸収を有する蛍光増白剤を含有することを特徴とする。なお、基材(A)とシリコーン粘着剤層(C)あるいは基材(A)と防汚性ハードコート層(C)の間に別の層、例えば接着性を改善する層などが挿入されていてもよい。
[アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)]
本発明の透明粘着シートを構成する基材(A)は、アリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるアリルエステル樹脂シートからなる。
[アリルエステル樹脂組成物]
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、反応性モノマー(「反応性希釈剤」とも言う。)、溶媒を含む)を指す場合とその硬化物を指す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物はアリル基またはメタリル基(以下、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。すなわち、本明細書では「(メタ)アリル」とは「メタアリル」または「メタリル」を指す。(メタ)アリルアルコールも同様である。)とエステル構造を有する(メタ)アリルエステル化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
(メタ)アリル基とエステル構造を有する(メタ)アリルエステル化合物は、(1)(メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(以下、「(メタ)アリルアルコール」と略記する。)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、(2)(メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または(3)(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。カルボキシル基を含む化合物がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみ(メタ)アリルアルコールとのエステルとすることもできる。
(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなる(メタ)アリルエステル化合物の具体例としては、一般式(1)
Figure 0006315820
(R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基のいずれかの基を表し、A1はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)
で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。「ジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造」とは「ジカルボン酸に由来する脂環式構造」と「ジカルボン酸に由来する芳香環構造」の少なくとも1つを意味し、以下も同様である。この化合物は後述のアリルエステル化合物の原料となる他、反応性希釈剤(反応性モノマー)として本発明のアリルエステル樹脂組成物に含まれていてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物は、アリルエステルオリゴマーを50質量%以上含有することが好ましい。樹脂組成物中のアリルエステルオリゴマーの含有量が50質量%以上であると耐熱性、透明性など優れたアリルエステル樹脂シートの特徴を有することができ、好適である。
本発明のアリルエステル樹脂組成物には上記化合物以外の成分として、後述する光重合開始剤を必須成分とし、その他に多官能(メタ)アクリル化合物、熱重合開始剤、反応性モノマー(反応性希釈剤)、他のモノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分などを含有してもよい。
[アリルエステルオリゴマー]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物の主成分は、一般式(2)
Figure 0006315820
(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)
で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
Figure 0006315820
(式中、A3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導される1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって上記一般式(2)で示される基を末端基とし、上記一般式(3)で示される構造を構成単位とする分岐構造を形成することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーであることが好ましい。
上記アリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のR3も複数個存在することになるが、これらの各R3は必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はR3が水素原子であるアリル基、他の末端はR3がメチル基であるメタリル基という構造であっても構わない。また、全ての末端がアリル基またはメタリル基である必要はなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部はメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。A2で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のA2はベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。したがって、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
2構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。中でも分子内に芳香環を有さない1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが耐光性の点で好ましく、高い透明性が求められる用途には1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、A2構造を誘導するジカルボン酸に加え、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の(反応時において)非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステル化合物中に少なくとも1つは必要であるが、この構造が繰り返されることによりアリルエステル化合物全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると硬化物の架橋点間分子量が大きくなりすぎるため、ガラス転移温度(Tg)が低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。(メタ)アリルエステルオリゴマーのGPC測定による数平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がさらに好ましい。
また一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。
一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が存在していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が存在していてもよい。多価アルコールの炭素数は2〜20が好ましい。
炭素数2〜20の多価アルコールの具体例のうち、2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Aのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールA、2,2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン等を挙げることができる。
また、3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールの2種以上の混合物であってもよい。また、上述の具体例に限定されるものではない。
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていても、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステル化合物は共重合タイプであってもよい。この場合、1つのアリルエステル化合物には数種類のXが存在することになる。例えば、Xの1つがプロピレングリコール由来の残基、もう1つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるという構造でもよい。この場合、アリルエステル化合物はトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。A2も同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にRが水素原子、A1及びA2がイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
Figure 0006315820
[アリルエステルオリゴマーの製造方法]
本発明に用いられるアリルエステル化合物は、多価カルボン酸のアリルエステルモノマーと2〜6個の水酸基を有する多価アルコールとのエステル交換反応により製造することができる。多価カルボン酸のアリルエステルモノマーは多価カルボン酸と(メタ)アリルアルコールのエステルであり、特にジカルボン酸のアリルエステルモノマーが好ましい。具体的には、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸ジアリル、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸ジアリル、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸ジアリル、p−フェニレンジ酢酸ジアリル、p−カルボキシフェニル酢酸ジアリル、メチルテレフタル酸ジアリル、テトラクロルフタル酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ノルボルナンジカルボン酸ジアリル、ビシクロデカンジカルボン酸ジアリル、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸ジアリル、メチルテトラヒドロフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。これらアリルエステルモノマーは、必要に応じて2種以上使用することもできる。また、上述の具体例に限定されるものではない。
多価アルコールとしては前述のX構造を誘導する多価アルコールを使用する。末端に(メタ)アリルエステル基を有するアリルエステル化合物を得るためには、これらの使用比率として、ジカルボン酸のカルボキシル基よりも、多価アルコールのヒドロキシル基を少なく用いる必要がある。
本発明で使用するエステル交換反応触媒としては、従来知られているエステル交換触媒を使用できるが、特に好ましいのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、弱酸塩、Mn、Zn、Cd、Zr、Pb、Ti、Co及びSnの酸化物、水酸化物、無機酸塩、アルコラート、有機酸塩、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジクロライド等の有機錫化合物等を挙げることができる。中でも、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドが好ましい。
使用量は、触媒の活性によって異なるが、適度な速度でアリルアルコールを留出させ得るような量を使用すべきである。一般的には、多価カルボン酸のアリルエステルモノマーに対して0.0001〜1質量%、特に0.001〜0.5質量%程度を使用することが好ましい。
この製造工程における反応温度は、特に制限はないが、好ましくは120〜230℃の範囲、より好ましくは140〜200℃の範囲である。
反応の実施の形態としては、反応の進行を促進させるため、減圧下で行うか、適当な溶媒を使用して副生するアリルアルコールを反応系外に除去しながら行う必要がある。
アリルエステルオリゴマーの具体的な製造方法は、例えば特公平6−74239号公報に記載されている。
[硬化剤]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばジアシルパーオキサイド系[ジベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等]、ジアルキルパーオキサイド系[ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等];パーオキシエステル系[t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等];ケトンパーオキサイド系[メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等];パーオキシジカーボネート系[ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等];パーオキシモノカーボネート系[t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等];パーオキシケタール系[1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン等]が挙げられる。
また、上記の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類、チオキサンテン、2−クロルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2,4−ジメチルチオキサンテン等のチオキサンテン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン等のアルキルアントラキノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノケトン類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類9,10−フェナンスレンキノン等が上げられる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種でもよく、2種以上を混合ないし組み合わせて用いてもよい。アリルエステル樹脂組成物のフィルムまたはシートの半硬化はUVなどの活性エネルギー線の照射によると、半硬化で止める反応制御が容易となる。また、その後の二次硬化、さらにその後の後硬化には有機過酸化物などの熱硬化型のラジカル重合開始剤が適している。従って、二種類以上の硬化剤を組み合わせることがより好ましく、特に光重合開始剤と熱重合開始剤を組み合わせることが好ましい。
これら硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物中のラジカル重合成分100質量部に対し、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと十分な硬化速度を得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物が脆くなり、機械強度が低下する場合がある。
[反応性モノマー]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロー
ル、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付与等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステル化合物と反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の2官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の3官能の架橋性モノマー;さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の架橋性モノマー等が挙げられる。
また、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジメチレンジアクリレート及び/または5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジンクジアクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキシド変性ジアクリレート、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジアクリレート、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールF−エチレンオキシド変性ジアクリレート、水添ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルジアクリレート、水添ビスフェノールF−エチレンオキシド変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート等のエポキシアクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することにより得られるポリエステルジアクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることにより得られるウレタンジアクリレート等の2官能(メタ)アクリル化合物を、反応性希釈剤を兼ねて併用することができる。
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下等の効果を発現するには不十分である。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性が発現されなかったり、アリルエステル樹脂由来の機械強度が低下したりする場合がある。
[ラジカル反応性の樹脂成分]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第16頁〜第18頁及び第29頁〜第37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社、1988年発行、第336頁〜第357頁などに記載されており、その製造は公知の方法により行うことができる。
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステル化合物100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満となると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性や成形性が悪化することがある。また、使用量が1000質量部を超えると、アリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合がある。
[添加剤]
本発明において用いられるアリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。これらは複合体として用いてもよい。
消泡剤としては、ポリエーテルや界面活性剤などの有機系消泡剤やシリコーン系消泡剤などが挙げられる。
レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などが挙げられる。
離型剤としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、ワックス系離型剤、ポリビニルアルコール系離型剤、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。
撥水剤としては、シリコーン系撥水剤、フッ素系撥水剤、ワックス系撥水剤などが挙げられる。
難燃剤としては、トリメチルホスフェートなどのリン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤、シアヌル酸メラミンなどのノンハロゲン有機化合物系難燃剤などが挙げられる。
低収縮剤としては、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−酢酸ビニル系ブロック共重合体などの有機高分子系低収縮剤などが挙げられる。
架橋助剤としては、イソシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリメタリル、シアヌル酸トリアリルなどの架橋助剤などが挙げられる。
これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
[アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)の製造方法]
本発明におけるアリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるアリルエステル樹脂シートからなる基材(A)を製造するにあたっては、一定の表面硬度が得られれば、どのような硬化方法を選択してもよい。一定以上の表面硬度を得るには、アリルエステル樹脂組成物をフィルム形状に塗工した後、光硬化及び熱硬化手法、もしくは熱硬化手法のみをとるのが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物を硬化させる際の条件等には特に制限はないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなどの透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上に塗工し、流延させた後、光硬化及び熱硬化、もしくは熱硬化を実施するのが好適である。
光硬化の場合、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ、LEDランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20〜5000mJ/cm2程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
熱硬化の場合、加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は約100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。硬化時間は、硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5〜5時間、遠赤外線オーブンであれば0.5〜60分間が好ましい。
また、光重合開始剤を用いた紫外線硬化や、有機過酸化物やアゾ化合物を用いた熱硬化は、ラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受けやすい。硬化反応時の酸素阻害を防止するため、硬化性組成物は、透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上へ塗工、流延後、光硬化を実施する前に、硬化性組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された硬化性組成物表面の酸素濃度を1%以下にすることが好ましい。透明カバーフィルムは、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さいもので、かつ紫外線硬化や熱硬化時に発生する熱に耐えられるものを使用する必要がある。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、アセテート樹脂、アクリル樹脂、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー(ノルボルネン樹脂)等のフィルムであり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。ただし、硬化後の硬化物との剥離が可能でなければならないため、これらの透明カバーフィルムの表面にシリコーン樹脂塗布、フッ素樹脂塗布等の易剥離処理が施されていてもよい。
本発明のアリルエステル樹脂組成物は液状であることから、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布、塗工等を行うことができる。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、スピナーコート等が挙げられる。なお、塗布、塗工、成形時のアリルエステル樹脂組成物の好ましい粘度範囲としては常温で100〜100,000mPa・sの範囲である。
アリルエステル樹脂シートの厚さは、0.1〜1mmであり、0.1〜0.8mmの範囲が好ましく、0.1〜0.5mmの範囲がより好ましい。0.1mm以上であると落球特性などのガラス板の保護性能が良好であり、1mm以下であると製品コストを抑えることができる。
[シリコーン粘着剤層(B)]
本発明の透明粘着シートを構成するシリコーン粘着剤層(B)は、ポリオルガノシロキサンを主成分とする化合物からなる粘着層である。シリコーン粘着剤層(B)に用いる粘着剤としては、後述する付加反応型シリコーン粘着剤が好適である。当該粘着剤は比較的低温で層状形成(加工)が可能となるためエネルギー経済性に優れており、再剥離性が良好である。
本発明の透明粘着シートをシリコーン粘着剤層(B)を介してガラス板と貼り合せたときにシリコーン粘着剤層(B)とガラス板との23℃での粘着力は0.01〜1.0N/25mmを満たすことが好ましい。ここでいう「ガラス基板」とはコーニング社製GORILLA(登録商標)ガラス(0.7mm厚)をエタノールで洗浄し、ボックスオーブンにて80℃、5分間乾燥したものを指す。より好ましい粘着力は0.03〜0.5N/25mmであり、さらに好ましくは0.05〜0.5N/25mmである。密着力が0.01N/25mm以上であると使用時にフィルム端部から容易に剥がれることがなく、1.0N/25mm以下であるとシートの着脱を容易に行うことができる。測定方法は後述する。
シリコーン粘着剤層(B)に適用される付加反応型シリコーン粘着剤に特に制限はない。例えば、オルガノポリシロキサンを主成分とするシリコーンゴムやシリコーンレジンを含有してなり、これをヒドロシリル基(SiH基)含有の架橋剤、並びに必要に応じて使用される硬化触媒などを添加したもの等の、従来公知の付加反応型シリコーン粘着剤の中から適宜選択することができる。付加反応型シリコーン粘着剤は硬化処理することにより液状からゲル状になり、基材に対する着脱に好適な微粘着性を示す。
付加反応型シリコーン粘着剤として、より具体的には、信越化学工業株式会社製のKR−3700、KR−3701、X−40−3237−1、X−40−3240、X−40−3291−1、X−40−3229、X−40−3270、X−40−3306、X−40−3501,X−70−201S等、東レ・ダウコーニング社製のSD4580PSA、SD4584PSA、SD4585PAS、SD4587LPSA、SD4560PSA、SD4570PSA、SD4600FCPSA、SD4593PSA、DC7651ADHESIVE、DC7652ADHESIVE等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSR1512、TSR1516、XR37−B9204等を使用することができる。このような付加反応型シリコーンの具体例は、例えば、特開平10−219229号公報に記載されている。なお、これらの粘着剤は、粘着剤層とガラス板との間で適切な粘着力に調整するために数種類を混合して使用することが可能である。
前記付加反応型シリコーン粘着剤の硬化触媒としては、白金系の触媒、すなわち、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコール溶液との反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサン化合物との反応物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニル基含有シロキサン錯体、白金−リン錯体等が挙げられる。より具体的には、信越化学工業株式会社製のPL−50T、東レ・ダウコーニング株式会社製のSRX−212等が挙げられる。
当該硬化触媒の配合量は白金元素量として、シリコーン樹脂成分とシリコーンゴム成分の合計量に対して、通常5〜2000質量ppm、好ましくは、10〜500質量ppmである。5質量ppm以上であると、硬化性が良好で粘着剤層の凝集力(保持力)が十分となる。2000質量ppm未満では白金含有量を低減でき、コストダウンと粘着剤層の安定性の向上が可能となる。
シリコーン粘着剤層(B)に用いることができる付加反応型シリコーン粘着剤は、上記の成分に加えて、目的とする特性を阻害しない範囲内で、任意成分として各種の添加剤を含むことができる。添加剤としては、ジメチルシロキサンやジメチルジフェニルシロキサンのような非反応性のポリオルガノシロキサン、フェノール系及びその他の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系の光安定剤、粘着剤を塗布する際に粘度を下げるために用いるトルエンやキシレンのような不活性な溶剤、着色剤やフィラー等が挙げられる。
シリコーン粘着剤層(B)は、アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)上に、上記粘着剤を公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布等した後、加熱することで形成することができる。シリコーン粘着剤層(B)の厚さは、0.01mm〜0.15mmが好ましく、0.01mm〜0.1mmの範囲がより好ましく、0.01〜0.075mmの範囲がさらに好ましい。厚さが0.01mm以上であると段差追従性が良好であり、0.15mm以下であるとコストを抑えることができる。
シリコーン粘着剤層(B)の塗布方式としては、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、ドクターコート法、エクストルージョンコート法、スライドコート法、カーテンコート法、押出コート法、スピナーコート法、注型成形法等の公知の方法を用いることができる。
加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜140℃である。60℃未満では、架橋不足により粘着剤層の凝集力(保持力)が低下し、150℃以上で加熱すると後述するハードコート層(C)が劣化や変色したりすることがある。また、硬化時間は硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5〜60分間、遠赤外線オーブンであれば0.5〜20分間が好ましい。
[防汚性ハードコート層(C)]
本発明の透明粘着シートを構成する防汚性ハードコート層(C)は、アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)に耐擦傷性及び防汚性を付与するために設けられる。防汚性ハードコート層(C)は、フッ素含有化合物及び紫外線硬化性樹脂を含む硬化性組成物から形成されるものが好ましい。
耐擦傷性を付与する紫外線硬化性樹脂としては、公知の紫外線硬化型アクリル系樹脂、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等から適宜好適なものを選択して用いることができる。
上記紫外線硬化性樹脂としてシリカ系粒子、ジルコニア性粒子、チタニア系粒子等無機化合物を添加した有機無機ハイブリッドタイプ樹脂を用いることもできる。これらの無機粒子は、0.001〜0.5μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることで、透明性等の光学特性と耐擦傷性とを兼ね備えたハードコート層を得ることが可能となる。ここでいう「平均粒子径」とはレーザ回折、散乱法を用い、球形と仮定して得られる理論的回折パターンと、実測回折パターンを適合させて算出した有効径を用いた体積平均粒子径を意味する。
フッ素含有化合物としては、特に制限はない。例えば、前記紫外線硬化性樹脂と反応可能なパーフルオロポリエーテル化合物などを用いることができる。より具体的には、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)DAC、オプツールDSX、株式会社ネオス製のフタージェント(登録商標)650A、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)RS−75等を用いることができる。このフッ素含有化合物により、ハードコート層の表面は撥水撥油性を有する低摩擦表面とすることができる。
防汚性ハードコート層(C)中のフッ素含有化合物の含有量は、溶剤を除いた全成分の合計質量に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましい。含有量が0.1質量%以上だと、ハードコート層表面に十分な防汚性を付与することができる。また、含有量が5.0質量%未満とすれば、ハードコート層表面のレベリング性を良好に保てる。
フッ素含有化合物を含む市販の防汚性ハードコート剤としては、DIC製のディフェンサ(登録商標)FH−700、荒川化学工業製ビームセット(登録商標)1400シリーズ、ニデック製Acier B50MI(4)、横浜ゴム製HRシリーズ(HR3406、HR3506)、東洋インキ製造製リオデュラスEFC200シリーズ等が挙げられる。
[蛍光増白剤]
防汚性ハードコート層(C)には蛍光増白剤が含まれる。蛍光増白剤を添加することにより、本発明の透明粘着シートでは樹脂の黄色味がなく、かつ眼に有害なブルーライトを効果的に抑制することができるという特徴を有する。蛍光増白剤とは、樹脂の黄色味を打ち消す目的で使用される添加剤であり、紫外光を吸収し、400〜450nmの蛍光(可視光)を発する化合物を意味する。本発明で用いる蛍光増白剤が330〜390nmの範囲に極大吸収波長を有し、400〜450nmの範囲に極大蛍光波長を有するものが好ましい。
本発明において使用される蛍光増白剤は、通常市販されているものあるいは新規物質の中から耐光性などに基づいて任意に選択することができる。例えば、スチルベン系蛍光増白剤、オキサゾール系蛍光増白剤、ナフタルイミド系蛍光増白剤、ピラゾロン系蛍光増白剤、トリアゾール系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤などが挙げられる。これらの中でも、ナフタルイミド系蛍光増白剤は高い耐候堅牢性を有しているため好ましい。
市販品の例としては、例えばBASF社製のLumogen(登録商標) F Violet 570が挙げられる。この蛍光増白剤は380〜410nmの波長域の光をカットすることができる。またシート端部より青色の蛍光を放出するため、シート端部はやや青みがかった色調となる。そのため、従来のブルーライトカットフィルムにおいて見られた黄色味や暗さなどの好ましくない色目の変化を生じることがなく、意匠性の高い外観が得られるという特徴がある。
上記蛍光増白剤の添加方法としては、特に制限はない。例えば市販品のハードコート剤に対して直接添加し、撹拌機等を用いて撹拌溶解させる方法が挙げられる。また、予め上記蛍光増白剤を任意の濃度で溶剤に溶解させておき、その溶液をハードコート剤に添加する方法を採ってもよい。溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、アニソール、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤が挙げられる。
蛍光増白剤の添加量はアリルエステル樹脂組成物からなる基材(A)、シリコーン粘着剤層(B)、防汚性ハードコート層(C)それぞれの厚さ、蛍光増白剤の性質及び添加量によって変化するので一義的に定めることはできないが、当業者はいくらかの試験をすることによって容易に決定することができる。一般的には厚さ6μmの防汚性ハードコート層(C)であれば0.1〜1.0質量%、好ましくは0.4〜0.6質量%で十分である。
防汚性ハードコート層(C)は、例えば、上記フッ素含有化合物、紫外線硬化性樹脂及び蛍光増白剤を含む組成物をアリルエステル樹脂シート上に、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布した後、加熱により乾燥し光重合することで形成することができる。防汚性ハードコート層(C)の厚さは、5μm〜20μmの範囲が好ましい。5μm以上であると、硬度や防汚特性、ブルーライトカット特性などの物性の観点から好ましく、20μm以下であると、透明性や屈曲性、耐カール性が良好である。
塗布方式としては、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、ドクターコート法、エクストルージョンコート法、スライドコート法、カーテンコート法、押出コート法、スピナーコート法、注型成形法等の公知の方法を用いることができる。
加熱による乾燥方法は特に制限されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。また、紫外線硬化性樹脂を光重合させる紫外線の光源に特に制限はなく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等適宜好適なものを使用することができる。なお、紫外線照射時の雰囲気は特に制限されないが、窒素等の不活性ガス雰囲気とすることにより、ハードコート最表面の酸素による硬化阻害を抑制することができ、結果として耐擦傷性等の物性を向上させることが可能であるため好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。実施例1及び比較例1〜2で得られた透明粘着シートの諸物性は以下の方法により評価した。
[鉛筆硬度]
ハードコート層(実施例1、比較例2)の表面を、JIS K 5600−5−4に基づいて、円柱状に削った鉛筆芯を45度の角度に傾け、上から750gの荷重を掛け、被測定物の表面を10mm程度引掻いて傷の有無を確認し、鉛筆硬度を表面硬度の指標として求めた。比較例1ではハードコート処理なしのアリルエステル樹脂シート表面に実施した。
[耐擦傷性]
スチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)により、ハードコート層(実施例1、比較例2)の表面を、250g/cm2の荷重をかけながら100回摩擦し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察した。評価基準は下記の通りであり、◎と○を良好とした。比較例1ではハードコート処理なしのアリルエステル樹脂シート表面に実施した。
◎:傷の発生なし、○:3本以下の傷が発生、△:傷が3〜10本発生、×:傷が無数に発生。
[全光線透過率]
透明粘着シートについて、JIS K7361−1に従い全光線透過率(単位:%)を光学特性の指標として求めた。なお測定には日本電色工業(株)製のNDH−5000を使用した。本明細書において「高透明」とは全光線透過率が90%以上であることを意味する。
[ヘイズ]
透明粘着シートについて、JIS K7136に従いヘイズ値(単位:%)を光学特性の指標として求めた。なお測定には日本電色工業(株)製のNDH−5000を使用した。
[b*値]
透明粘着シートについて、JIS K7373に従いb*値を黄色みの指標として求めた。なお測定には日本電色工業(株)製のSD6000を使用した。
[380〜495nm平均透過率]
透明粘着シートについて、JIS K7373に従い透過率測定を行う際に、380〜495nmの波長範囲における平均透過率(単位:%)を算出し、ブルーライトカット効果の指標とした。透過率測定においては、380〜780nmの範囲において5nm間隔で透過率を出力し、380〜495nmの範囲で平均値を算出した。なお測定には日本電色工業(株)製のSD6000を使用した。
[防汚性]
ハードコート表面(実施例1、比較例1〜2(比較例1はハードコート処理なしのアリルエステル樹脂シート表面))に油性ペン(ハイマッキー(登録商標)黒)で線(6mm幅で長さ20mm)を描き、5分間放置した。ハードコート膜面に付着した油性ペンの線を不織布(旭化成せんい株式会社製ベンコット(登録商標)M−3II)で一方向に往復して拭き取った。拭き取り後の状態を三波長発光形蛍光灯下で目視観察し、油性ペンの線が目視できなくなるまでの往復回数を以下の2段階で評価した。
○:3往復未満で拭き取ることができた。
×:3往復以上拭いても拭き取ることができなかった。
[粘着力]
透明粘着シートのシリコーン粘着剤層(B)にセパレータPETフィルム(帝人デュポンフィルム製HPE−50)をゴムローラーを用いて2kgfの力で貼り合わせたのち、下記試験環境で24時間状態調整を行った。その後、透明粘着シートとPETフィルムを180°の角度で剥離した際に得られる、引っ張り試験器の一定ストローク範囲における力の平均値を粘着力と定義する。測定には島津製作所製の万能試験機AG−I型(10Nロードセル用引張治具使用)を用いた。試験環境は温度23±2℃、相対湿度50±5%で実施した。試験片の幅は50mmとし、試験速度300mm/minでストローク範囲は30〜90mmとした。粘着力は下式により算出される。
粘着力(N/25mm)=試験力/試験片幅(mm)×25
(試験力はストローク範囲30〜90mmにおける平均値)
[アリルエステル化合物(AEO)の合成]
蒸留装置の付いた2リットルの三口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン167g、ジブチル錫オキサイド0.813gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成してくるアルコール(アリルアルコール、メチルアルコール)を留去しながら加熱した。留去したアルコールが約170gになったところで反応系内を徐々に、約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなった時点で、反応系内を0.5kPaに減圧し、さらに1時間反応させた後、反応物を冷却し、アリルエステル化合物を得た。以下、得られた反応物を「アリルエステルオリゴマー(AEO)」とする。AEOの構造式を以下に示す。
Figure 0006315820
[アリルエステル樹脂シートの作製]
アリルエステル化合物(AEO)80質量部とトリメチロールプロパントリアクリレート20質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社製)1質量部、Irgacure(登録商標) TPO(BASF社製)0.5質量部を均一となるまで混合し、アリルエステル樹脂組成物1を調整した。次いで当該樹脂組成物を硬化後の厚さが300μmとなるように厚さが100μmのPETフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。さらに塗布面に厚さが100μmのPETフィルムを被せた後、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製アイグランデージ、メタルハライドランプ)を用いて800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して、樹脂組成物をゲル化(半硬化)させて半硬化フィルムを得た。
得られた半硬化フィルムを両面のPETフィルムを付けたままガラス板に挟み、160℃に保った強制対流式オーブンに入れ15分間かけて硬化させた。硬化完了後に両面のPETフィルムを剥がすことで厚さが300μmの透明な「アリルエステル樹脂シート」を得た。
[蛍光増白剤を含有する防汚性ハードコート剤の調製]
モノマーA27.7質量部、モノマーB10.0質量部、光重合開始剤2.1質量部、フッ素系化合物1.4質量部、蛍光増白剤0.44質量部、メチルイソブチルケトン18.1質量部、シクロヘキサノン40.3質量部を室温下で均一となるまで混合撹拌し、「ブルーライトカット効果を有する防汚性ハードコート剤」を得た。
なお上記各成分の詳細は以下の通りである。
・モノマーA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、商品名ミラマーM600、東洋ケミカルズ株式会社製、
・モノマーB:ウレタンアクリレート、商品名NX103−161、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を主成分として含むヒドロキシ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとを81/19(質量比)で反応させた反応物、亜細亜工業株式会社製、
・光重合開始剤:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、商品名イルガキュア(登録商標)2959、BASF社製、
・フッ素系化合物:パーフルオロポリエーテル系のフッ素系界面活性剤、商品名オプツールDAC、ダイキン工業株式会社製、
・蛍光増白剤:ナフタルイミド骨格を有する化合物、商品名Lumogen F Violet 570、BASF社製。
[青色光カット染料を含有する防汚性ハードコート剤の調製]
蛍光増白剤の代わりに青色光カット染料0.1質量部を用いた以外は、「蛍光増白剤を含有する防汚性ハードコート剤の調製」と同じ方法で調製した。なお、ここでいう青色光カット染料とは波長380〜495nmの光をカットする色素であり、具体的には山田化学工業製の銅ポルフィリン錯体系色素(商品名:FDB−001)を用いた。
[シリコーン粘着剤の調製]
付加反応型シリコーン粘着剤として信越化学工業株式会社製のX−40−3306 97質量部、KR−3700 3質量部、硬化触媒として信越化学工業株式会社製のPL−50T 0.5質量部、溶剤としてトルエン 50質量部をそれぞれ秤量し、均一となるまで混合した。次いで室温下で気泡が抜けるまで静置し、「シリコーン粘着剤」を調製した。
実施例1及び比較例1〜2:
表1(「構成」の欄の○は、その材料を使用したことを意味する)に示すように、アリルエステル樹脂シートからなる基材の一方の面に、硬化後膜厚が7μmとなるように防汚性ハードコート層(C)を形成した。このハードコート層は、ハードコート液をマイクログラビア法にて所定膜厚となるようにコーティングし、80℃で1分乾燥後、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製アイグランデージ、高圧水銀灯)を用いて300mJ/cm2の条件で紫外線を照射し形成した。ただし比較例1ではハードコート層を形成しなかった。その後、アリルエステル樹脂シートからなる基材の他方の面に硬化後膜厚が50μmとなるようにシリコーン粘着剤層(B)を形成し、透明粘着シートを得た。粘着剤層は、粘着剤液をマイクログラビア法にて所定膜厚になるようにコーティングし、80℃で2分間乾燥後、130℃で3分間熱処理し形成した。
得られた透明粘着シートの層構成と評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0006315820
実施例1と比較例1の比較から、ハードコート層に蛍光増白剤を含有することにより、380〜495nm平均透過率が低下しており、ブルーライトカット効果があることが分かる。また防汚性ハードコート層を付与していることにより、鉛筆硬度、耐擦傷性、防汚性などの物性にも優れていることが分かる。実施例1と比較例2の比較から、蛍光増白剤を使用した実施例1はb*が低く、樹脂の黄色みが少なく色目が良好であることが分かる。
本発明の透明粘着シートは眼に有害な青色光を低減するとともに、樹脂の黄色みが少なく明度も高いことから、視認性や意匠性を損なうことがない。また、基材にアリルエステル樹脂組成物を使用していることから、透明性や鉛筆硬度などの物性に優れ、防汚性ハードコート層により防指紋性や耐擦傷性にも優れている。従って、本発明の透明粘着は、スマートフォンやタブレットPCの液晶保護フィルムとして好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. アリルエステル樹脂シートからなる基材(A)の一方の面側にシリコーン粘着剤層(B)、他方の面側に防汚性ハードコート層(C)を有する透明粘着シートであって、前記防汚性ハードコート層(C)中に蛍光増白剤を含有することを特徴とする透明粘着シート。
  2. 前記蛍光増白剤が330〜390nmの範囲に極大吸収波長を有し、400〜450nmの範囲に極大蛍光波長を有するものである請求項1に記載の透明粘着シート。
  3. 前記蛍光増白剤がナフタルイミド系蛍光増白剤である請求項1または2に記載の透明粘着シート。
  4. 防汚性ハードコート層(C)がフッ素含有化合物を含む紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる請求項1〜3のいずれかに記載の透明粘着シート。
  5. 前記基材(A)の厚さが0.1〜1mmであり、前記シリコーン粘着剤層(B)の厚さが0.01〜0.15mmであり、前記防汚性ハードコート層(C)の厚さが0.5〜20μmである請求項1〜4のいずれかに記載の透明粘着シート。
  6. 前記アリルエステル樹脂シートが、アリルエステルオリゴマーを50質量%以上含有するアリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるものである請求項1〜5のいずれかに記載の透明粘着シート。
  7. 前記アリルエステルオリゴマーが、一般式(2)
    Figure 0006315820
    (式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)
    で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
    Figure 0006315820
    (式中、A3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導される1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって上記一般式(2)で示される基を末端基とし、上記一般式(3)で示される構造を構成単位とする分岐構造を形成することができる。)で示される構造を構成単位として有する請求項1〜6のいずれかに記載の透明粘着シート。
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