JP2018072644A - 光学結像装置およびその製造方法 - Google Patents

光学結像装置およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018072644A
JP2018072644A JP2016213785A JP2016213785A JP2018072644A JP 2018072644 A JP2018072644 A JP 2018072644A JP 2016213785 A JP2016213785 A JP 2016213785A JP 2016213785 A JP2016213785 A JP 2016213785A JP 2018072644 A JP2018072644 A JP 2018072644A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
light
transparent protective
optical imaging
allyl ester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016213785A
Other languages
English (en)
Inventor
良二 樋田
Ryoji Toida
良二 樋田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2016213785A priority Critical patent/JP2018072644A/ja
Publication of JP2018072644A publication Critical patent/JP2018072644A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)

Abstract

【課題】軽量であり、強度に優れ、しかも表面硬度が高い表面保護構造を有する光学結像装置およびその製造方法を提供する。【解決手段】向かい合う一対の光制御パネル1,1と、光制御パネル1,1の外面側にそれぞれ設けられた透明保護層6,6とを備えた光学結像装置10。光制御パネル1,1は、可視光が透過可能な複数の光透過部2と、隣り合う光透過部2,2の間に形成された反射層3とを備えている。反射層3は、光透過部2を通る可視光を反射する光反射面を有する。一対の光制御パネル1,1は、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3が交差するように配置されている。透明保護層6は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、光学結像装置およびその製造方法に関する。
従来、光学結像装置などの光学装置では、アルミニウムや銀を成膜することで反射機能を付与したプラスチック基材が用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
プラスチック基材は傷つきやすいことから、この種の光学装置では、プラスチック基材の表面を保護するため、ガラス、プラスチックなどからなる保護材が設けられることがある(例えば、特許文献3を参照)。
特許第5437436号公報 国際公開第2016/088580号 特開2015−94794号公報
プラスチックからなる保護材は、軽量、高強度などの利点を有する半面、ガラスからなる保護材と比較して表面硬度が低く、傷つきやすいという問題がある。光学装置においては、表面の傷つきは表示性能に悪影響を与える可能性があるため、軽量、高強度などの利点を損なうことなく表面硬度を改善した表面保護構造が求められていた。
本発明の一態様は、軽量であり、強度に優れ、しかも表面硬度が高い表面保護構造を有する光学結像装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、アリルエステル樹脂組成物からなる透明保護層を使用することにより目的を達成しうることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明の一態様は以下の[1]〜[6]に関する。
[1]向かい合う一対の光制御パネルと、前記一対の光制御パネルの外面側にそれぞれ設けられた透明保護層とを備え、前記光制御パネルは、可視光が透過可能な複数の光透過部と、隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、前記反射層は、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有し、前記一対の光制御パネルは、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置され、前記透明保護層は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる光学結像装置。
[2]前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
Figure 2018072644
(式中、Rはアリル基またはメタリル基を表し、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
Figure 2018072644
(式中、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに前記一般式(2)を末端基とし、前記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むものである前項1に記載の光学結像装置。
[3]前記反射層は、アルミニウム、銀及びクロムから選択される金属からなる金属膜を有する前項1または2に記載の光学結像装置。
[4]前記光透過部は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる前項1〜3のうちいずれかに記載の光学結像装置。
[5]前記透明保護層は、少なくとも一方の表面に機能層を有し、前記機能層は、ハードコート層、防指紋層、高屈折率層、導電層、活性エネルギー線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選択される1または2以上である前項1〜4のうちいずれかに記載の光学結像装置。
[6]可視光が透過可能な複数の光透過部と隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、前記反射層が、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有する一対の光制御パネルを、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置する工程と、前記一対の光制御パネルの外面側に、それぞれ、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる透明保護層を接着する工程と、を有する光学結像装置の製造方法。
本発明の一態様によれば、透明保護層がアリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成されているため、その表面硬度を高めることができる。そのため、光学結像装置の表面に高い耐擦傷性を与え、表面の傷つきを原因とする結像品質の劣化を防止できる。
また、ガラス等に比べて軽量であるアリルエステル樹脂を用いるため、光学結像装置を軽量化することができる。さらに、アリルエステル樹脂は機械的強度に優れているため、光学結像装置の機械的強度を高めることができる。
さらに、透明保護層を構成するアリルエステル樹脂は耐熱性に優れているため、透明保護層と光制御パネルとの接着に熱溶融タイプまたは熱硬化タイプの接着剤を用いる場合でも、加熱により透明保護層が劣化するのを防ぐことができる。
実施形態の光学結像装置を模式的に示す分解斜視図である。 図1の光学結像装置を模式的に示す斜視図である。 光制御パネルを示す斜視図である。 図3の光制御パネルを拡大して示す斜視図である。 図3の光制御パネルの製造工程を示す説明図である。 前図に続く製造工程を示す説明図である。 前図に続く製造工程を示す説明図である。 前図に続く製造工程を示す説明図である。 前図に続く製造工程を示す説明図である。 透明保護層の他の例を示す断面図である。 前図に示す透明保護層の製造工程を示す説明図である。 前図に続く製造工程を示す説明図である。 前図に続く製造工程を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<光学結像装置>
図1は、実施形態の光学結像装置を模式的に示す分解斜視図である。図2は、光学結像装置10を模式的に示す斜視図である。
図1および図2に示すように、光学結像装置10は、向かい合う一対の光制御パネル1,1と、光制御パネル1,1の外面側にそれぞれ設けられた透明保護層6,6とを備えている。以下、2つの光制御パネル1,1をそれぞれ第1の光制御パネル1A、第2の光制御パネル1Bという。
光制御パネル1,1(1A,1B)は、接着層7を介して固定されている。光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6,6とは、接着層8,8を介して固定されている。
[透明保護層]
透明保護層6,6は、フィルム状またはシート状に形成され、可視光(例えば波長380nm〜750nm)が透過可能とされている。透明保護層6は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。図1および図2では、透明保護層6,6は、それぞれ第1の光制御パネル1Aの上面側および第2の光制御パネル1Bの下面側に設けられている。第1の光制御パネル1Aの上面側の透明保護層6を第1の透明保護層6Aといい、第2の光制御パネル1Bの下面側の透明保護層6を第2の透明保護層6Bという。
なお、透明保護層は、透明保護部ともいう。
透明保護層6(透明保護部)の厚さは、0.05〜1mm(好ましくは0.1〜0.5mm)が好適である。透明保護層6の厚さを0.05mm以上とすることによって、透明保護層6の強度を高めることができる。透明保護層6の厚さを1mm以下とすることによって、透明保護層6の透明度を高めることができる。
透明保護層6(透明保護部)の表面硬度は鉛筆硬度で2H以上が好ましい。表面硬度が鉛筆硬度で2H以上であると、光学結合装置表面に傷がつくなどの不具合が生じにくくなる。
また、透明保護層6には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネル表面に用いる際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
高精細な画像を得る点では「アッベ数」および「平滑性」も重要な特性となる。アッベ数は屈折率の波長依存性を示す数値であり、透明保護層6のアッベ数が低すぎると像が不鮮明になる可能性がある。透明保護層6のアッベ数は好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。
平滑性も重要である。平滑性が低すぎると像がぼやけたように見え、質感を損なう可能性がある。平滑性は算術平均粗さ「Ra」で表した場合に、好ましくは10nm未満、さらに好ましくは5nm未満、特に好ましいのは2nm未満である。
[アリルエステル樹脂]
透明保護層6は、アリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる。アリルエステル樹脂は熱硬化性樹脂の1種である。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合とその硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
[アリルエステル樹脂組成物]
アリルエステル樹脂組成物は、アリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物は、[1](メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(ここではアリルアルコールと総称する)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、[2](メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または[3]アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。カルボキシル基を含む化合物がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみアリルアルコールとのエステルとすることもできる。
(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物の具体例としては、下記一般式(1)
Figure 2018072644
(R、Rは、それぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表す。)
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)としてアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のAは後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA、Aと同様のものが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及びメタリル基の少なくともいずれか一方を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
[アリルエステルオリゴマー]
アリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)で表される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で表される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
Figure 2018072644
(式中、Rはアリル基またはメタリル基を表し、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表す。)
Figure 2018072644
(式中、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに前記一般式(2)を末端基とし、前記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。)
アリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のRも複数個存在することになるが、これらの各Rは必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はアリル基、他の末端はメタリル基という構造であっても構わない。
また、全てのRがアリル基またはメタリル基でなければならないということはなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部がメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。
で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のAはベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
一般式(2)におけるAはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はAに隣接するカルボニル構造で示されている。従って、Aの部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の(反応時において)非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造が繰り返されることによりアリルエステルオリゴマー全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎるため、Tgが低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。
アリルエステルオリゴマーの重量平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がさらに好ましい。
また、一般式(3)におけるAはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるAと同様である。
一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、イソシアヌル酸のエチレンオキシド3モル付加体、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド3モル付加体、D−ソルビトール及び水素化ビスフェノールA等が挙げられる。これらの化合物の製造方法としては特に制限はないが、例えば特公平6−74239号公報に挙げられる方法で製造することができる。
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていてもよいが、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプであってもよい。この場合、1つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの1つがプロピレングリコール由来の残基、もう1つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるというような構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。Aも同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にRがアリル基、A,Aがイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
Figure 2018072644
[硬化剤]
アリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
また、上記の光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いてもよい。
これらの硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度が得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
[反応性モノマー]
アリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
これらの反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイロキシピリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の四官能以上の架橋性基を有するモノマーが挙げられる。
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下効果が小さく、作業性が悪化したり、また、反応性モノマーとして単官能性モノマーを使用した場合には、架橋密度が低くなり硬度が不十分になることがあるため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性や機械強度が低下する場合があり好ましくない。
[ラジカル反応性の樹脂組成物]
アリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第16頁〜第18頁及び第29頁〜第37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第336頁〜第357頁などに記載されており、その製造は、公知の方法により行うことができる。
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。
これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。
反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
[添加剤]
アリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いられても良い。
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
しかし、これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
[アリルエステル樹脂組成物の硬化物]
アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射及び加熱の少なくともいずれか一方により硬化させることによって、透明性、耐熱性に優れたフィルムあるいはシートを得ることができる。
なお、フィルムは、通常、膜厚が250μm未満のものを指し、シートは厚みが250μm以上のものを指す。
樹脂組成物からフィルムあるいはシートを作製するにあたっては、一定の表面硬度が得られれば、どのような硬化方法を選択してもよい。一定以上の表面硬度を得るには、樹脂組成物をフィルム形状に塗工した後、光硬化及び熱硬化手法、もしくは熱硬化手法のみをとるのが好ましい。
樹脂組成物を硬化させる際の条件等には特に制限はないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなどの透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上に塗工し流延させた後、光硬化及び熱硬化、もしくは熱硬化を実施するのが好適である。
光硬化の場合、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ、LEDランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20〜5000mJ/cm程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱線カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
熱硬化の場合、加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は約100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。硬化時間は、硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5分〜5時間、遠赤外線オーブンであれば0.5〜60分間が好ましい。
また、光重合開始剤を用いた紫外線硬化や、有機過酸化物やアゾ化合物を用いた熱硬化は、ラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受けやすい。硬化反応時の酸素阻害を防止するため、硬化性組成物は、透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板等のベースシート、ベースフィルム上へ塗工、流延後、光硬化を実施する前に、硬化性組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された硬化性組成物表面の酸素濃度を1%以下にすることが好ましい。透明カバーフィルムは、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さいもので、かつ紫外線硬化や熱硬化時に発生する熱に耐えられるものを使用する必要がある。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、アセテート樹脂、アクリル樹脂、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー(ノルボルネン樹脂)等のフィルムであり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。
ただし、硬化後の硬化物との剥離が可能でなければならないため、これらのベースシート、ベースフィルム、透明カバーフィルムの表面にシリコーン樹脂塗布、フッ素樹脂塗布等の易剥離処理が施されていてもよい。
アリルエステル樹脂組成物は液状であることから、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布、塗工等を行うことができる。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、スピナーコート等が挙げられる。なお、塗布、塗工、成形時のアリルエステル樹脂組成物の好ましい粘度範囲としては常温で100〜100,000mPa・sの範囲である。
[光制御パネル]
図3および図4に示すように、光制御パネル1は、複数の光透過部2と、複数の反射層3とを備えている。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用することがある。X方向は複数の光透過部2の並び方向である。Y方向は光制御パネル1の第1主面1aに沿う面内においてX方向と直交する方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向であり、光制御パネル1の厚み方向である。平面視とは、光制御パネル1の厚み方向(Z方向)から見ることをいう。
複数の光透過部2と、複数の反射層3とは、X方向に交互に配置されている。
[光透過部]
光透過部2は、XZ断面が矩形であってY方向に延在する形状とされている。複数の光透過部2は、長さ方向を揃えて幅方向(X方向)に並べられている。光透過部2は、可視光が透過可能とされた透明層である。光透過部2は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。
光透過部2の第1主面2aおよびその反対面である第2主面2bはXY平面に沿う面である。第1主面2aは光制御パネル1の第1主面1aに含まれる面である。第2主面2bは、光制御パネル1の第1主面1aの反対面である第2主面1bに含まれる面である。光透過部2の側面2cは、隣り合う光透過部2に対向する面であり、YZ平面に沿う面である。
光透過部2を構成する素材は可視光透過性のものであれば限定されない。ガラス素材や透明樹脂素材を使用することができるが、軽量化の観点から透明樹脂素材が好ましい。なかでもアリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成されていることが好ましい。アリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成された光透過部2は、透明性に優れ、表面硬度および強度も高い。また、屈折率差をなくすという観点からは、透明保護層6と同一組成のアリルエステル樹脂の硬化物であることがさらに好ましい。
光制御パネル1の反射層3の間隔は、ほぼ光透過部2の並び方向(X方向)の寸法に相当し、その寸法(例えば図4における光透過部2の幅W1)は0.2〜0.5mmが好ましい。複数の光透過部2の幅W1は、互いに等しいことが好ましい。
光透過部2の表面硬度は鉛筆硬度で2H以上が好ましい。表面硬度が鉛筆硬度で2H以上であると、作業工程上で傷がつくなどの不具合が生じにくくなる。
また、光透過部2には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネルに用いた際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
高精細な画像を得る点では「アッベ数」および「平滑性」も重要な特性となる。アッベ数は屈折率の波長依存性を示す数値であり、光透過部2のアッベ数が低すぎると像が不鮮明になる可能性がある。光透過部2のアッベ数は好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。
平滑性は特に金属膜4を製膜した面(図4における側面2c)で重要であり、平滑性が低すぎると像がぼやけたように見え、質感を損なう可能性がある。平滑性は算術平均粗さ「Ra」で表した場合に、好ましくは10nm未満、さらに好ましくは5nm未満、特に好ましいのは2nm未満である。
さらに、ハンドリング性の点で、光透過部2の比重は低い方が好ましい。
[反射層]
反射層3は、例えば金属膜4,4と、金属膜4,4の間に設けられた接着層5とを有する。金属膜4を構成する金属の種類に特に限定はないが、可視光の反射率が高いものが望ましい。
反射像の元映像の色調を正確に反映するためには、金属膜4を構成する金属は、無彩色(例えば銀色)の金属であることが望ましい。使用できる金属としては、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅,錫、インジウム、クロム、これらの合金が挙げられる。これらの中でもアルミニウム、銀、クロムが好ましい。
金属膜4は、隣り合う光透過部2,2の間に、光透過部2の側面2cに沿って光透過部2の長さ方向に延在する帯状に形成されている。金属膜4は、光透過部2の側面2cの全体を覆う形状であることが好ましい。金属膜4は、例えば側面2cに接して形成されている。金属膜4は、例えば光透過部2の主面2a,2bに対して垂直に形成されている。
金属膜4の、少なくとも光透過部2側の面は、光透過部2を通る可視光が反射する光反射面4aである。光反射面4aは、例えば光透過部2の主面2a,2bに対して垂直な面である。
接着層5は、例えば粘着剤、接着剤等からなる。接着層5は、無色透明であれば、その素材は特に限定されない。粘着剤としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。接着剤としてはフェノール樹脂、酢酸ビニル系、クロロプレンゴム系等の溶剤系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化反応タイプ、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融タイプが挙げられる。
接着層5は、光硬化性(例えば紫外線硬化性)の樹脂からなる接着剤であることが好ましい。接着層5はその屈折率(接着剤硬化後の値)が透明保護層6および光透過部2の屈折率と整合していることが好ましい。透明保護層6との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.005以下である。これにより、接着層5と透明保護層6あるいは光透過部2との界面での拡散反射を低減することができる。
接着層5は、金属膜4の全面にわたって形成されていることが好ましい。
光制御パネル1,1(1A,1B)は、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3(3A,3B)が交差するように配置される。図1に示す光制御パネル1A,1Bは、平面視において全域が重なるように配置され、反射層3A,3Bは直交している。
光制御パネル1の厚さは、そのサイズ(例えばX方向およびY方向の寸法)に応じて適宜調整すればよいが、例えば、0.5〜10mmが好ましい。
接着層7,8は、例えば粘着剤、接着剤等からなる。粘着剤としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。接着剤としてはフェノール樹脂、酢酸ビニル系、クロロプレンゴム系等の溶剤系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化反応タイプ、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融タイプが挙げられる。
接着層7,8は、光硬化性(例えば紫外線硬化性)の樹脂からなる接着剤であることが好ましい。
図2に示すように、光学結像装置10では、光学結像装置10の一方側(図2における下方側)からの光L1,L2は、第2の透明保護層6Bを透過して第2の光制御パネル1Bに入射し、反射層3Bの光反射面4aで反射する。反射層3Bの光反射面4aからの反射光RB1,RB2は第1の光制御パネル1Aに入射し、反射層3Aの光反射面4aで反射する。反射層3Aの光反射面4aからの反射光RA1,RA2は、第1の透明保護層6Aを透過し、光学結像装置10の他方側(図2における上方側)に、立体像20を表示する。
<光学結像装置の製造方法>
次に、光学結像装置10を製造する方法の一例を説明する。
[透明基材の作製]
図5に示すように、アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射、加熱等により硬化させることによって、アリルエステル樹脂からなるシート状の透明基材12を作製する。
[金属膜の形成]
図6に示すように、透明基材12の両面に、それぞれ金属膜14を形成する。透明基材12の表面に金属膜14を形成する方法は特に限定されないが、転写法、ドライコーティング法、ウェットコーティング法が挙げられる。転写法としては金属箔を接着剤により透明基材12に貼り付ける方法がある。ドライコーティング法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。ウェットコーティング法としては湿式めっき法等が挙げられる。透明基材12の表面に均一に薄く金属膜14を形成するには真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式の方法が好ましい。金属膜14は、透明基材12の一方の面に形成した後、他方の面に形成してもよいし、透明基材12の両面に同時に形成してもよい。
金属膜14を形成した透明基材12の一方の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層15を形成する。あるいは透明基材12の両表面に、接着剤等を薄く塗布してもよい(図示せず)。また、接着層15を無色透明なものとすれば、金属膜14は透明基材12の片面にのみ形成することも可能である。即ち、図6において、上側の金属膜14を不要とすることができる。ただし、この場合であっても最上面と最下面の透明基材12には両面に金属膜14が必要である。
[積層体の作製]
図7に示すように、金属膜14を有する複数の透明基材12を接着層15によって接着することによって、透明基材12と反射層13とが交互に積層されたブロック状の積層体17を得る。反射層13は、金属膜14,14と、金属膜14,14の間に設けられた接着層15とを有する。ブロック状の積層体17を得る際には、プレス機等により積層体17を加圧、加熱してもよい。
[光制御パネルの作製]
図8および図9に示すように、積層体17を、切断箇所18において、透明基材12に対して交差する面(例えば透明基材12に対して垂直な面)に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、図3に示す光制御パネル1を得る。積層体17の透明基材12は、光制御パネル1の光透過部2となる。反射層13は反射層3となる。金属膜14および接着層15はそれぞれ金属膜4、接着層5となる。
切断加工には鋸盤法、ワイヤーソー法、コンターマシン法、シャーリング法、旋盤法、ルータ加工、ガス切断法、レーザー切断法、プラズマ切断法、ウォータージェット切断法等の加工方法を採用することができる。
[光制御パネルの設置]
図1および図2に示すように、光制御パネル1,1(1A,1B)は、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3(3A,3B)が交差するように向い合せて配置される。図1および図2に示す光制御パネル1A,1Bは、平面視において全域が重なるように配置され、反射層3A,3Bは直交している。
光制御パネル1,1(1A,1B)のうち一方の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層7を形成する。接着層7によって光制御パネル1,1(1A,1B)を接着させる。
[透明保護層の設置]
光制御パネル1,1(1A,1B)の外面、または透明保護層6の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層8,8を形成する。接着層8,8によって光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6(6A,6B)とを接着する。なお、透明保護層の設置は前記光制御パネルの設置の前に実施してもよい。即ち、各光制御パネル1A,1Bのそれぞれに透明保護層6(6A,6B)を接着後に、光制御パネル1A,1Bを直交させて接着してもよい。
以上の工程により、図1および図2に示す光学結像装置10を得る。
光学結像装置10は、透明保護層6がアリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成されているため、その表面硬度を高めることができる。そのため、光学結像装置10の表面に高い耐擦傷性を与え、表面の傷つきを原因とする結像品質の劣化を防止できる。
また、ガラス等に比べて軽量であるアリルエステル樹脂を用いるため、光学結像装置10を軽量化することができる。さらに、アリルエステル樹脂は機械的強度に優れているため、光学結像装置10の機械的強度を高めることができる。
さらに、透明保護層6を構成するアリルエステル樹脂は耐熱性に優れているため、透明保護層6と光制御パネル1との接着に熱溶融タイプまたは熱硬化タイプの接着剤を用いる場合でも、加熱により透明保護層6が劣化するのを防ぐことができる。
光学結像装置10では、光透過部2をアリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成すると光透過部2と透明保護層6との屈折率差を小さくできる。そのため、全光線透過率などの光学特性が良好となる。よって、結像品質の点で優れた光学結像装置10が得られる。
アリルエステル樹脂は可視光の光線透過率が高いため、全光線透過率などの光学特性をさらに高めることができる。よって、結像品質を高めることができる。また、アリルエステル樹脂は耐光性に優れているため、光制御パネル1の耐久性を高めることができる。また、積層体17の切断の際に切断工具への樹脂付着が起こりにくいため、製造が容易となる。
[透明保護層]
次に、透明保護層の他の例を説明する。
図10は、透明保護層の他の例を示す断面図であり、この図に示す透明保護層26は、アリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成された主層27と、主層27の一方の表面に形成された第1の機能層22と、主層27の他方の表面に形成された第2の機能層32とを有する。
第1の機能層22および第2の機能層32は、例えば、ハードコート層、防指紋層、高屈折率層、導電層、活性エネルギー線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選ばれた1または2以上である。第1の機能層22および第2の機能層32は、それぞれ独立して前記群から選ぶことができる。
ハードコート層は、フッ素含有化合物および紫外線硬化性樹脂を含む硬化性組成物から形成されるものが好ましい。
フッ素含有化合物としては、例えば、前記紫外線硬化性樹脂と反応可能なパーフルオロポリエーテル化合物などを用いることができる。フッ素含有化合物により、ハードコート層の表面は撥水撥油性を有する低摩擦表面とすることができる。そのため、ハードコート層を、防指紋層としても機能させることができる。
ハードコート層中のフッ素含有化合物の含有量は、溶剤を除いた全成分の合計質量に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、公知の紫外線硬化型アクリル系樹脂、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を用いることができる。
高屈折率層は、主層27より屈折率が高い材樹脂等からなり、例えば高屈折率付与剤(LIODURAS TYZ:商品名、東洋インキ(株)製)を硬化させることにより形成することができる。
機能層22,32の厚みは0.01〜10μmが好ましい。
図10に示す透明保護層26は、両面に機能層を有するが、機能層は、光学結像装置の外面側の面にのみ形成してもよい。光学結像装置の外面側の面とは、例えば、図1の透明保護層6Aの上面および透明保護層6Bの下面である。機能層が活性エネルギー線遮蔽層、赤外線遮蔽層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層である場合、これらを両面、すなわち、第1及び第2の機能層として用いるとアリルエステル樹脂組成物の硬化を阻害することがあるため、これらの機能層は一方の面のみに形成することが好ましい。
次に、透明保護層26の作製方法の一例について説明する。
図11に示すように、PETなどからなる第1の支持フィルム21の上に樹脂組成物を塗布、硬化させて離型層23を形成し、離型層23の上に、樹脂組成物を塗布、硬化させて第1の機能層22を形成する。
図12に示すように、第1の機能層22の上にアリルエステル樹脂組成物を塗布することにより、アリルエステル樹脂組成物層40を形成する。
図13に示すように、アリルエステル樹脂組成物層40上に第2の機能層32を形成し、その上に、第2の離型層33、第2の支持フィルム31を形成する。
アリルエステル樹脂組成物層40を光照射等によって硬化させ、アリルエステル樹脂の硬化物からなる主層27とする。主層27は、加熱によりさらに硬化させるのが好ましい。
第1の支持フィルム21および第2の支持フィルム31を剥離させることによって、図10に示す透明保護層26を得る。
図10に示す透明保護層26は、主層27がアリルエステル樹脂の硬化物からなるため、主層27の形成の際に容易に機能層22,32を形成し、機能層22,32の種類に応じた機能を透明保護層26に付与することができる。よって、例えばハードコート層によって耐擦傷性をさらに高めることができる。また、主層27がアリルエステル樹脂の硬化物からなるため、機能層22,32との密着性を高めることができる。
実施形態の光学結像装置およびその製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
図4に示す光制御パネル1では、反射層3は金属膜4と接着層5とからなるが、反射層は金属膜のみで構成されていてもよい。また、接着層5(接着層15)に無色透明の接着剤を用いれば、2つの金属膜4の一方を省略することも可能である。
透明保護層は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物で構成されていればよい。光透過部は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物で構成されていてもよい。
「アリル基及びメタリル基の少なくともいずれか一方」は、アリル基及びメタリル基のいずれか一方または両方を意味する。「光照射及び加熱の少なくともいずれか一方」は、光照射及び加熱のいずれか一方または両方を意味する。「脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方」は、脂環式構造及び芳香環構造のいずれか一方または両方を意味する。
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
実施例及び参考例に記載のフィルム、シートの全光線透過率、鉛筆硬度等は、以下の方法により測定した。
[全光線透過率]
全光線透過率は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を使用し、JIS K−7361−1に準拠して測定した。
[Haze]
Haze値は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を使用し、JIS K−7136に準拠して測定した。
[アッベ数]
アタゴ株式会社製、多波長アッベ屈折率計DR−M4を用い、C線(656nm)、D線(589nm)、F線(486nm)の屈折率を測定し、以下計算式からD線におけるアッベ数を算出した。
Figure 2018072644
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度は安田精機工業社製電動鉛筆引っかき硬度試験機No.553−Mを使用し、JIS K5600−5−4に準拠し測定した。
[比重]
比重はアルファミラージュ製株式会社製電子比重計を用いて水中置換法にて測定した。測定試料の大きさは50mm×50mm×所定の厚さmm、測定温度は23℃とした。
[算術平均粗さ(Ra)]
算術平均粗さ(Ra)は株式会社日立ハイテク社製走査型プローブ顕微鏡Nanocuteを用いて測定した。
合成例1:
蒸留装置の付いた2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン247g、ジオクチル錫オキサイド4.1gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成するアリルアルコールを系外に留去しながら加熱した。留去したアリルアルコールが約260gになったところで、反応系内を徐々に、4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アリルアルコールの留出速度を速めた。留出がほとんどなくなったところで、圧力を0.5kPaとし、1時間反応させた後、室温まで冷却しアリルエステルオリゴマーAを得た。
製造例1(透明基材A):
合成例1で作製したアリルエステルオリゴマーA100質量部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製、「M−309」)10質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASFジャパン株式会社製、「イルガキュア(登録商標)TPO」)0.5質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社)を1質量部加え十分撹拌しアリルエステル樹脂組成物Bを得た。この組成物BをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、硬化後の厚さが0.3mmとなるように塗布した。塗工液表面をPET製カバーフィルムで覆い、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm、800mJ/cmの条件で紫外線を照射した後、150℃に設定した加熱炉に10分間投入した。加熱炉から取り出し、ベースフィルム及びカバーフィルムを剥がし、厚さ0.3mmの透明基材Aを得た。
製造例2(透明保護板A):
製造例1と同様にして、透明保護層に用いる厚さ0.3mmの透明保護板Aを得た。
製造例3(透明保護板B):
透明保護板Aの表面に株式会社ニデック社製ハードコート剤AcierB50MI(4)を硬化後の厚さが10μmとなるように塗布し、80℃に加熱した熱風乾燥器にて10分間乾燥後、紫外線照射装置(水銀ランプ)を用いて200mW/cm、800mJ/cmの条件で紫外線を照射することにより、ハードコート層付き透明保護板Bを得た。
製造例4:
透明基材Aの両面に真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、表面抵抗値1.1Ω/□を有するアルミニウム膜を有する厚さ0.3mmの基材Cを得た。この基材Cのアルミニウム蒸着面の、波長380−780nmの領域の平均反射率は91%であった。
基材Cを10cm×10cmの大きさに炭酸ガスレーザーによってシート状に切断加工した。アロンアルファ株式会社製接着剤EX4000を用いて、得られたシートを35枚重ねて貼り合わせ、積層品を作製した。この積層品を、ダイヤモンドワイヤーソーを用いて1mmの厚みとなるように切断をし、0.3mm間隔で金属膜層を有する約10cm×約10cm光制御パネルを得た。
この光制御パネルを二枚作製し、片面にデクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120塗布した。積層面が直交するようにして固定し、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm、5000mJ/cmの条件で紫外線を照射し、光学結像装置とした。
実施例1:
製造例4で得られた光学結像装置の両面に製造例2の透明保護板Aを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Aを得た。
実施例2:
製造例4で得られた光学結像装置の両面に製造例3の透明保護板Bをハードコート層が表面側となるように、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Bを得た。
比較例1:
製造例4で得られた光学結像装置の両面に住化アクリル販売株式会社製PMMAシートテクノロイS000厚さ0.5mmを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Cを得た。
比較例2:
製造例4で得られた光学結像装置の両面に三菱瓦斯化学株式会社製ポリカーボネートシートユーピロンNF−2000厚さ0.5mmを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Dを得た。
比較例3:
製造例4で得られた光学結像装置の両面に市販のソーダライムガラス板厚さ0.4mmを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Eを得た。
透明保護板A〜Eの測定結果を表1に示す。
透明保護板A〜Eを用いて製造した光学結像装置A〜Eの測定結果を表2に示す。
Figure 2018072644
Figure 2018072644
表1及び表2より、本発明の透明保護板としてアリルエステル樹脂を用いて作製された光学結像装置は、軽く、光学特性、表面硬度に優れることがわかる。
本発明のアリルエステル樹脂基材は、表面硬度が高く、軽く、強度に優れるため光制御パネルの透明保護層に有用である。
1 光制御パネル
2 光透過部
3 反射層
4 金属膜
4a 光反射面
6 透明保護層
10 光学結像装置
22 第1の機能層
32 第2の機能層

Claims (6)

  1. 向かい合う一対の光制御パネルと、前記一対の光制御パネルの外面側にそれぞれ設けられた透明保護層とを備え、
    前記光制御パネルは、可視光が透過可能な複数の光透過部と、隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、
    前記反射層は、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有し、
    前記一対の光制御パネルは、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置され、
    前記透明保護層は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる光学結像装置。
  2. 前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
    Figure 2018072644
    (式中、Rはアリル基またはメタリル基を表し、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
    Figure 2018072644
    (式中、Aはジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに前記一般式(2)を末端基とし、前記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むものである請求項1に記載の光学結像装置。
  3. 前記反射層は、アルミニウム、銀及びクロムから選択される金属からなる金属膜を有する請求項1または2に記載の光学結像装置。
  4. 前記光透過部は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光学結像装置。
  5. 前記透明保護層は、少なくとも一方の表面に機能層を有し、
    前記機能層は、ハードコート層、防指紋層、高屈折率層、導電層、活性エネルギー線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選択される1または2以上である請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の光学結像装置。
  6. 可視光が透過可能な複数の光透過部と隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、前記反射層が、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有する一対の光制御パネルを、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置する工程と、
    前記一対の光制御パネルの外面側に、それぞれ、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる透明保護層を接着する工程と、を有する光学結像装置の製造方法。
JP2016213785A 2016-10-31 2016-10-31 光学結像装置およびその製造方法 Pending JP2018072644A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016213785A JP2018072644A (ja) 2016-10-31 2016-10-31 光学結像装置およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016213785A JP2018072644A (ja) 2016-10-31 2016-10-31 光学結像装置およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018072644A true JP2018072644A (ja) 2018-05-10

Family

ID=62114284

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016213785A Pending JP2018072644A (ja) 2016-10-31 2016-10-31 光学結像装置およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018072644A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109034103A (zh) * 2018-08-14 2018-12-18 Oppo广东移动通信有限公司 电子设备、电致变色部控制方法及存储介质
JP2020177147A (ja) * 2019-04-18 2020-10-29 Jsr株式会社 赤外線カットフィルム、光学フィルタ、生体認証装置及び撮像装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62284740A (ja) * 1986-06-03 1987-12-10 信越ポリマ−株式会社 微細すだれ状防眩シ−ト
JP2009197102A (ja) * 2008-02-20 2009-09-03 Lintec Corp 樹脂組成物及びこれを用いたフィルム、ならびにフィルムの製造方法
JP2014097651A (ja) * 2012-10-15 2014-05-29 Showa Denko Kk 光学積層体シートの製造方法
JP2015067750A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 昭和電工株式会社 透明粘着シート
JP2016088979A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 昭和電工株式会社 透明粘着シート
WO2016088580A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 昭和電工株式会社 光制御パネル及び光結像装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62284740A (ja) * 1986-06-03 1987-12-10 信越ポリマ−株式会社 微細すだれ状防眩シ−ト
JP2009197102A (ja) * 2008-02-20 2009-09-03 Lintec Corp 樹脂組成物及びこれを用いたフィルム、ならびにフィルムの製造方法
JP2014097651A (ja) * 2012-10-15 2014-05-29 Showa Denko Kk 光学積層体シートの製造方法
JP2015067750A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 昭和電工株式会社 透明粘着シート
JP2016088979A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 昭和電工株式会社 透明粘着シート
WO2016088580A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 昭和電工株式会社 光制御パネル及び光結像装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109034103A (zh) * 2018-08-14 2018-12-18 Oppo广东移动通信有限公司 电子设备、电致变色部控制方法及存储介质
CN109034103B (zh) * 2018-08-14 2020-09-22 Oppo广东移动通信有限公司 电子设备、电致变色部控制方法及存储介质
JP2020177147A (ja) * 2019-04-18 2020-10-29 Jsr株式会社 赤外線カットフィルム、光学フィルタ、生体認証装置及び撮像装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101470463B1 (ko) 하드코팅 필름
JP2018128570A (ja) 光制御パネルおよび光学結像装置ならびに光制御パネルの製造方法
JP2010163535A (ja) アンチブロッキング性硬化性樹脂組成物、アンチブロッキング性ハードコートフィルム、アンチブロッキング性層状構造体、アンチブロッキング性層状構造体を含む表示装置およびそれらの製造方法
WO2019202992A1 (ja) 折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムとその用途
JP6755184B2 (ja) 光制御パネル及び光結像装置
KR101631541B1 (ko) 경화 수지 성형품의 제조 방법
WO2013140965A1 (ja) 光学機能部材支持用複層フィルム、プリズムシート、光源ユニット及び表示装置
JP2017052901A (ja) 防汚性シート
JP6832199B2 (ja) 光制御パネルおよび光学結像装置ならびに光制御パネルの製造方法
JP2018072644A (ja) 光学結像装置およびその製造方法
JP6315820B2 (ja) 透明粘着シート
JP2021067875A (ja) 光制御パネルの製造方法及び光学結像装置の製造方法
JP2017047659A (ja) 抗菌シート
JP2017015812A (ja) 防眩シート
JP2020106609A (ja) 光制御パネルおよび光学結像装置
JP6121862B2 (ja) 透明粘着シート
JP6175338B2 (ja) 光学積層体シートの製造方法
TW201300240A (zh) 硬化薄膜之製造方法及硬化薄膜
JP2020177150A (ja) 光制御パネルおよび光学結像装置
KR101374614B1 (ko) 투명 도전성 기판
JP2021099279A (ja) 光制御パネルの検査方法
WO2008010588A1 (en) Transparent antireflection plate
JP2016128231A (ja) 金属膜を有する樹脂シートの製造方法
JP7019852B1 (ja) 偏光子保護フィルム
JP2017044719A (ja) 防眩シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181102

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190808

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210302