JP2018072644A - 光学結像装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
プラスチック基材は傷つきやすいことから、この種の光学装置では、プラスチック基材の表面を保護するため、ガラス、プラスチックなどからなる保護材が設けられることがある(例えば、特許文献3を参照)。
本発明の一態様は、軽量であり、強度に優れ、しかも表面硬度が高い表面保護構造を有する光学結像装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
[1]向かい合う一対の光制御パネルと、前記一対の光制御パネルの外面側にそれぞれ設けられた透明保護層とを備え、前記光制御パネルは、可視光が透過可能な複数の光透過部と、隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、前記反射層は、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有し、前記一対の光制御パネルは、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置され、前記透明保護層は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる光学結像装置。
[2]前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
[3]前記反射層は、アルミニウム、銀及びクロムから選択される金属からなる金属膜を有する前項1または2に記載の光学結像装置。
[4]前記光透過部は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる前項1〜3のうちいずれかに記載の光学結像装置。
[5]前記透明保護層は、少なくとも一方の表面に機能層を有し、前記機能層は、ハードコート層、防指紋層、高屈折率層、導電層、活性エネルギー線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選択される1または2以上である前項1〜4のうちいずれかに記載の光学結像装置。
[6]可視光が透過可能な複数の光透過部と隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、前記反射層が、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有する一対の光制御パネルを、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置する工程と、前記一対の光制御パネルの外面側に、それぞれ、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる透明保護層を接着する工程と、を有する光学結像装置の製造方法。
また、ガラス等に比べて軽量であるアリルエステル樹脂を用いるため、光学結像装置を軽量化することができる。さらに、アリルエステル樹脂は機械的強度に優れているため、光学結像装置の機械的強度を高めることができる。
さらに、透明保護層を構成するアリルエステル樹脂は耐熱性に優れているため、透明保護層と光制御パネルとの接着に熱溶融タイプまたは熱硬化タイプの接着剤を用いる場合でも、加熱により透明保護層が劣化するのを防ぐことができる。
<光学結像装置>
図1は、実施形態の光学結像装置を模式的に示す分解斜視図である。図2は、光学結像装置10を模式的に示す斜視図である。
図1および図2に示すように、光学結像装置10は、向かい合う一対の光制御パネル1,1と、光制御パネル1,1の外面側にそれぞれ設けられた透明保護層6,6とを備えている。以下、2つの光制御パネル1,1をそれぞれ第1の光制御パネル1A、第2の光制御パネル1Bという。
光制御パネル1,1(1A,1B)は、接着層7を介して固定されている。光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6,6とは、接着層8,8を介して固定されている。
透明保護層6,6は、フィルム状またはシート状に形成され、可視光(例えば波長380nm〜750nm)が透過可能とされている。透明保護層6は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。図1および図2では、透明保護層6,6は、それぞれ第1の光制御パネル1Aの上面側および第2の光制御パネル1Bの下面側に設けられている。第1の光制御パネル1Aの上面側の透明保護層6を第1の透明保護層6Aといい、第2の光制御パネル1Bの下面側の透明保護層6を第2の透明保護層6Bという。
なお、透明保護層は、透明保護部ともいう。
また、透明保護層6には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネル表面に用いる際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
透明保護層6は、アリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる。アリルエステル樹脂は熱硬化性樹脂の1種である。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合とその硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
アリルエステル樹脂組成物は、アリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)としてアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
アリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)で表される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で表される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。従って、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
また、一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する、脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方を有する1種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
アリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いてもよい。
アリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
これらの反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の四官能以上の架橋性基を有するモノマーが挙げられる。
アリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。
反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
アリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射及び加熱の少なくともいずれか一方により硬化させることによって、透明性、耐熱性に優れたフィルムあるいはシートを得ることができる。
なお、フィルムは、通常、膜厚が250μm未満のものを指し、シートは厚みが250μm以上のものを指す。
図3および図4に示すように、光制御パネル1は、複数の光透過部2と、複数の反射層3とを備えている。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用することがある。X方向は複数の光透過部2の並び方向である。Y方向は光制御パネル1の第1主面1aに沿う面内においてX方向と直交する方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向であり、光制御パネル1の厚み方向である。平面視とは、光制御パネル1の厚み方向(Z方向)から見ることをいう。
複数の光透過部2と、複数の反射層3とは、X方向に交互に配置されている。
光透過部2は、XZ断面が矩形であってY方向に延在する形状とされている。複数の光透過部2は、長さ方向を揃えて幅方向(X方向)に並べられている。光透過部2は、可視光が透過可能とされた透明層である。光透過部2は、可視光が全波長範囲において透過可能であることが好ましい。
また、光透過部2には前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより光制御パネルに用いた際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
さらに、ハンドリング性の点で、光透過部2の比重は低い方が好ましい。
反射層3は、例えば金属膜4,4と、金属膜4,4の間に設けられた接着層5とを有する。金属膜4を構成する金属の種類に特に限定はないが、可視光の反射率が高いものが望ましい。
反射像の元映像の色調を正確に反映するためには、金属膜4を構成する金属は、無彩色(例えば銀色)の金属であることが望ましい。使用できる金属としては、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅,錫、インジウム、クロム、これらの合金が挙げられる。これらの中でもアルミニウム、銀、クロムが好ましい。
金属膜4の、少なくとも光透過部2側の面は、光透過部2を通る可視光が反射する光反射面4aである。光反射面4aは、例えば光透過部2の主面2a,2bに対して垂直な面である。
接着層5は、光硬化性(例えば紫外線硬化性)の樹脂からなる接着剤であることが好ましい。接着層5はその屈折率(接着剤硬化後の値)が透明保護層6および光透過部2の屈折率と整合していることが好ましい。透明保護層6との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.005以下である。これにより、接着層5と透明保護層6あるいは光透過部2との界面での拡散反射を低減することができる。
接着層5は、金属膜4の全面にわたって形成されていることが好ましい。
接着層7,8は、光硬化性(例えば紫外線硬化性)の樹脂からなる接着剤であることが好ましい。
次に、光学結像装置10を製造する方法の一例を説明する。
[透明基材の作製]
図5に示すように、アリルエステル樹脂組成物を、例えば光照射、加熱等により硬化させることによって、アリルエステル樹脂からなるシート状の透明基材12を作製する。
図6に示すように、透明基材12の両面に、それぞれ金属膜14を形成する。透明基材12の表面に金属膜14を形成する方法は特に限定されないが、転写法、ドライコーティング法、ウェットコーティング法が挙げられる。転写法としては金属箔を接着剤により透明基材12に貼り付ける方法がある。ドライコーティング法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。ウェットコーティング法としては湿式めっき法等が挙げられる。透明基材12の表面に均一に薄く金属膜14を形成するには真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式の方法が好ましい。金属膜14は、透明基材12の一方の面に形成した後、他方の面に形成してもよいし、透明基材12の両面に同時に形成してもよい。
金属膜14を形成した透明基材12の一方の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層15を形成する。あるいは透明基材12の両表面に、接着剤等を薄く塗布してもよい(図示せず)。また、接着層15を無色透明なものとすれば、金属膜14は透明基材12の片面にのみ形成することも可能である。即ち、図6において、上側の金属膜14を不要とすることができる。ただし、この場合であっても最上面と最下面の透明基材12には両面に金属膜14が必要である。
図7に示すように、金属膜14を有する複数の透明基材12を接着層15によって接着することによって、透明基材12と反射層13とが交互に積層されたブロック状の積層体17を得る。反射層13は、金属膜14,14と、金属膜14,14の間に設けられた接着層15とを有する。ブロック状の積層体17を得る際には、プレス機等により積層体17を加圧、加熱してもよい。
図8および図9に示すように、積層体17を、切断箇所18において、透明基材12に対して交差する面(例えば透明基材12に対して垂直な面)に沿って切断し、一部を板状に切り出すことによって、図3に示す光制御パネル1を得る。積層体17の透明基材12は、光制御パネル1の光透過部2となる。反射層13は反射層3となる。金属膜14および接着層15はそれぞれ金属膜4、接着層5となる。
切断加工には鋸盤法、ワイヤーソー法、コンターマシン法、シャーリング法、旋盤法、ルータ加工、ガス切断法、レーザー切断法、プラズマ切断法、ウォータージェット切断法等の加工方法を採用することができる。
図1および図2に示すように、光制御パネル1,1(1A,1B)は、平面視において少なくとも一部が重なり、重なり領域において反射層3,3(3A,3B)が交差するように向い合せて配置される。図1および図2に示す光制御パネル1A,1Bは、平面視において全域が重なるように配置され、反射層3A,3Bは直交している。
光制御パネル1,1(1A,1B)のうち一方の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層7を形成する。接着層7によって光制御パネル1,1(1A,1B)を接着させる。
光制御パネル1,1(1A,1B)の外面、または透明保護層6の表面に、接着剤等を塗布することにより接着層8,8を形成する。接着層8,8によって光制御パネル1,1(1A,1B)と透明保護層6(6A,6B)とを接着する。なお、透明保護層の設置は前記光制御パネルの設置の前に実施してもよい。即ち、各光制御パネル1A,1Bのそれぞれに透明保護層6(6A,6B)を接着後に、光制御パネル1A,1Bを直交させて接着してもよい。
以上の工程により、図1および図2に示す光学結像装置10を得る。
また、ガラス等に比べて軽量であるアリルエステル樹脂を用いるため、光学結像装置10を軽量化することができる。さらに、アリルエステル樹脂は機械的強度に優れているため、光学結像装置10の機械的強度を高めることができる。
さらに、透明保護層6を構成するアリルエステル樹脂は耐熱性に優れているため、透明保護層6と光制御パネル1との接着に熱溶融タイプまたは熱硬化タイプの接着剤を用いる場合でも、加熱により透明保護層6が劣化するのを防ぐことができる。
アリルエステル樹脂は可視光の光線透過率が高いため、全光線透過率などの光学特性をさらに高めることができる。よって、結像品質を高めることができる。また、アリルエステル樹脂は耐光性に優れているため、光制御パネル1の耐久性を高めることができる。また、積層体17の切断の際に切断工具への樹脂付着が起こりにくいため、製造が容易となる。
次に、透明保護層の他の例を説明する。
図10は、透明保護層の他の例を示す断面図であり、この図に示す透明保護層26は、アリルエステル樹脂組成物の硬化物で形成された主層27と、主層27の一方の表面に形成された第1の機能層22と、主層27の他方の表面に形成された第2の機能層32とを有する。
フッ素含有化合物としては、例えば、前記紫外線硬化性樹脂と反応可能なパーフルオロポリエーテル化合物などを用いることができる。フッ素含有化合物により、ハードコート層の表面は撥水撥油性を有する低摩擦表面とすることができる。そのため、ハードコート層を、防指紋層としても機能させることができる。
ハードコート層中のフッ素含有化合物の含有量は、溶剤を除いた全成分の合計質量に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
高屈折率層は、主層27より屈折率が高い材樹脂等からなり、例えば高屈折率付与剤(LIODURAS TYZ:商品名、東洋インキ(株)製)を硬化させることにより形成することができる。
機能層22,32の厚みは0.01〜10μmが好ましい。
図11に示すように、PETなどからなる第1の支持フィルム21の上に樹脂組成物を塗布、硬化させて離型層23を形成し、離型層23の上に、樹脂組成物を塗布、硬化させて第1の機能層22を形成する。
図12に示すように、第1の機能層22の上にアリルエステル樹脂組成物を塗布することにより、アリルエステル樹脂組成物層40を形成する。
図13に示すように、アリルエステル樹脂組成物層40上に第2の機能層32を形成し、その上に、第2の離型層33、第2の支持フィルム31を形成する。
アリルエステル樹脂組成物層40を光照射等によって硬化させ、アリルエステル樹脂の硬化物からなる主層27とする。主層27は、加熱によりさらに硬化させるのが好ましい。
第1の支持フィルム21および第2の支持フィルム31を剥離させることによって、図10に示す透明保護層26を得る。
図4に示す光制御パネル1では、反射層3は金属膜4と接着層5とからなるが、反射層は金属膜のみで構成されていてもよい。また、接着層5(接着層15)に無色透明の接着剤を用いれば、2つの金属膜4の一方を省略することも可能である。
透明保護層は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物で構成されていればよい。光透過部は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物で構成されていてもよい。
「アリル基及びメタリル基の少なくともいずれか一方」は、アリル基及びメタリル基のいずれか一方または両方を意味する。「光照射及び加熱の少なくともいずれか一方」は、光照射及び加熱のいずれか一方または両方を意味する。「脂環式構造及び芳香環構造の少なくともいずれか一方」は、脂環式構造及び芳香環構造のいずれか一方または両方を意味する。
実施例及び参考例に記載のフィルム、シートの全光線透過率、鉛筆硬度等は、以下の方法により測定した。
全光線透過率は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を使用し、JIS K−7361−1に準拠して測定した。
Haze値は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を使用し、JIS K−7136に準拠して測定した。
アタゴ株式会社製、多波長アッベ屈折率計DR−M4を用い、C線(656nm)、D線(589nm)、F線(486nm)の屈折率を測定し、以下計算式からD線におけるアッベ数を算出した。
鉛筆硬度は安田精機工業社製電動鉛筆引っかき硬度試験機No.553−Mを使用し、JIS K5600−5−4に準拠し測定した。
比重はアルファミラージュ製株式会社製電子比重計を用いて水中置換法にて測定した。測定試料の大きさは50mm×50mm×所定の厚さmm、測定温度は23℃とした。
算術平均粗さ(Ra)は株式会社日立ハイテク社製走査型プローブ顕微鏡Nanocuteを用いて測定した。
蒸留装置の付いた2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン247g、ジオクチル錫オキサイド4.1gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成するアリルアルコールを系外に留去しながら加熱した。留去したアリルアルコールが約260gになったところで、反応系内を徐々に、4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アリルアルコールの留出速度を速めた。留出がほとんどなくなったところで、圧力を0.5kPaとし、1時間反応させた後、室温まで冷却しアリルエステルオリゴマーAを得た。
合成例1で作製したアリルエステルオリゴマーA100質量部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製、「M−309」)10質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASFジャパン株式会社製、「イルガキュア(登録商標)TPO」)0.5質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社)を1質量部加え十分撹拌しアリルエステル樹脂組成物Bを得た。この組成物BをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、硬化後の厚さが0.3mmとなるように塗布した。塗工液表面をPET製カバーフィルムで覆い、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm2、800mJ/cm2の条件で紫外線を照射した後、150℃に設定した加熱炉に10分間投入した。加熱炉から取り出し、ベースフィルム及びカバーフィルムを剥がし、厚さ0.3mmの透明基材Aを得た。
製造例1と同様にして、透明保護層に用いる厚さ0.3mmの透明保護板Aを得た。
透明保護板Aの表面に株式会社ニデック社製ハードコート剤AcierB50MI(4)を硬化後の厚さが10μmとなるように塗布し、80℃に加熱した熱風乾燥器にて10分間乾燥後、紫外線照射装置(水銀ランプ)を用いて200mW/cm2、800mJ/cm2の条件で紫外線を照射することにより、ハードコート層付き透明保護板Bを得た。
透明基材Aの両面に真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、表面抵抗値1.1Ω/□を有するアルミニウム膜を有する厚さ0.3mmの基材Cを得た。この基材Cのアルミニウム蒸着面の、波長380−780nmの領域の平均反射率は91%であった。
基材Cを10cm×10cmの大きさに炭酸ガスレーザーによってシート状に切断加工した。アロンアルファ株式会社製接着剤EX4000を用いて、得られたシートを35枚重ねて貼り合わせ、積層品を作製した。この積層品を、ダイヤモンドワイヤーソーを用いて1mmの厚みとなるように切断をし、0.3mm間隔で金属膜層を有する約10cm×約10cm光制御パネルを得た。
この光制御パネルを二枚作製し、片面にデクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120塗布した。積層面が直交するようにして固定し、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm2、5000mJ/cm2の条件で紫外線を照射し、光学結像装置とした。
製造例4で得られた光学結像装置の両面に製造例2の透明保護板Aを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Aを得た。
製造例4で得られた光学結像装置の両面に製造例3の透明保護板Bをハードコート層が表面側となるように、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Bを得た。
製造例4で得られた光学結像装置の両面に住化アクリル販売株式会社製PMMAシートテクノロイS000厚さ0.5mmを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Cを得た。
製造例4で得られた光学結像装置の両面に三菱瓦斯化学株式会社製ポリカーボネートシートユーピロンNF−2000厚さ0.5mmを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Dを得た。
製造例4で得られた光学結像装置の両面に市販のソーダライムガラス板厚さ0.4mmを、デクセリアルズ株式会社製UV硬化型樹脂SVR1120を用いて貼合し、光学結像装置Eを得た。
透明保護板A〜Eを用いて製造した光学結像装置A〜Eの測定結果を表2に示す。
2 光透過部
3 反射層
4 金属膜
4a 光反射面
6 透明保護層
10 光学結像装置
22 第1の機能層
32 第2の機能層
Claims (6)
- 向かい合う一対の光制御パネルと、前記一対の光制御パネルの外面側にそれぞれ設けられた透明保護層とを備え、
前記光制御パネルは、可視光が透過可能な複数の光透過部と、隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、
前記反射層は、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有し、
前記一対の光制御パネルは、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置され、
前記透明保護層は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる光学結像装置。 - 前記アリルエステル樹脂組成物が、一般式(2)
- 前記反射層は、アルミニウム、銀及びクロムから選択される金属からなる金属膜を有する請求項1または2に記載の光学結像装置。
- 前記光透過部は、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光学結像装置。
- 前記透明保護層は、少なくとも一方の表面に機能層を有し、
前記機能層は、ハードコート層、防指紋層、高屈折率層、導電層、活性エネルギー線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選択される1または2以上である請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の光学結像装置。 - 可視光が透過可能な複数の光透過部と隣り合う前記光透過部の間に形成された反射層とを備え、前記反射層が、前記光透過部を通る可視光を反射する光反射面を有する一対の光制御パネルを、厚さ方向から見て少なくとも一部が重なり、重なり領域において前記反射層が交差するように配置する工程と、
前記一対の光制御パネルの外面側に、それぞれ、少なくとも一部がアリルエステル樹脂組成物の硬化物からなる透明保護層を接着する工程と、を有する光学結像装置の製造方法。
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