JP2017015812A - 防眩シート - Google Patents

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麻衣子 生嶋
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靖之 大山
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Abstract

【課題】高い表面硬度を有し、防眩性に優れた防眩シートを提供する。
【解決手段】アリルエステル樹脂シートの一方の面に、その表面に凹凸構造が形成された防眩層を有する防眩シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイの前面に貼り付け、あるいは配置して、外光の反射を防止し、映像を見えやすくする目的等で使用される、防眩シートに関する。
上記のディスプレイ等は、外部から照射される光のディスプレイ表面での反射を防止するために、画像表示装置の画像表示面や、液晶ディスプレイの保護シートに微細な凹凸表面を有する防眩シートが用いられている。この防眩シートには、大粒径または凝集性の粒子を含む樹脂組成物を透明基材の表面に塗工することによって、表面に凹凸構造を有する防眩層を形成するタイプ(特開2008−074945号公報;特許文献1)、前記粒子を含まず、スピノーダル分解により、相分離構造を形成し、硬化性樹脂を硬化させることによって表面に凹凸構造を有する防眩層を形成するタイプ(特開2006−103070号公報;特許文献2)などがある。
一方、上記のようなディスプレイ等における画像表示装置の画像表示面や、液晶ディスプレイの保護フィルムは表面に擦り傷や引掻き傷が付くと意匠性を低下させてしまう。そのため、保護シートには高い鉛筆硬度が要求される。しかしながら、上記特許文献2では透明基材としてPET(ポリエステル)フィルムなどの熱可塑性樹脂を使用しており、鉛筆硬度の面において満足できる水準にはないという課題があった。
特開2008−074945号公報 特開2006−103070号公報
本発明の目的は高い表面硬度を有し、防眩性に優れた防眩シートを提供することにある。
本発明者らは、基材にアリルエステル樹脂シートを用い、表面に凹凸構造を形成した防眩層を形成することにより本発明を完成した。
本発明は以下の[1]〜[7]の防眩シート、及び[8]のタッチパネル表示装置を提供する。
[1] アリルエステル樹脂シートの一方の面に、その表面に凹凸構造が形成された防眩層を有する防眩シート。
[2] 前記アリルエステル樹脂シートがアリルエステル樹脂組成物の硬化物であり、アリルエステル樹脂組成物が一般式(2)
Figure 2017015812
(式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
Figure 2017015812
(式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むものである[1]に記載の防眩シート。
[3] 前記防眩層表面の凹凸構造が、樹脂及び微粒子を含有するハードコート剤により形成される[1]または[2]に記載の防眩シート。
[4] 前記微粒子が、平均粒子径(D50)0.5〜10μmの有機系または無機系材料の微粒子である[3]に記載の防眩シート。
[5] 前記微粒子がシリカ粒子である[3]または[4]に記載の防眩性シート。
[6] 前記防眩層表面の凹凸構図が2種類以上の樹脂同士の相分離により形成される[1]または[2]に記載の防眩シート。
[7] 前記アリルエステル樹脂シートの防眩層と反対側の面の少なくとも一部に粘着層が形成されている[1]〜[6]のいずれかに記載の防眩シート。
[8][7]に記載の防眩シートが最表面に貼付されたタッチパネル表示装置。
基材にアリルエステル樹脂シートを用い、表面に凹凸構造を形成した本発明の防眩シートは、防眩性に優れ、鉛筆硬度4H以上の表面硬度を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の防眩シートは、アリルエステル樹脂シートからなる基材の一方の面に防眩層を具備する防眩シートであることを特徴とする。また、防眩層と反対側の面の少なくとも一部に粘着層が形成されていてもよい。
[アリルエステル樹脂]
本発明の防眩シートに使用するアリルエステル樹脂組成物は熱硬化性樹脂の1種である。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む。)を指す場合とその硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
[アリルエステル樹脂組成物]
アリルエステル樹脂組成物はアリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物は、(1)(メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(以下、アリルアルコールと総称する。)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、(2)(メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または(3)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。カルボキシル基を含む化合物がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみアリルアルコールとのエステルとすることもできる。
(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物の具体例としては、下記一般式(1)
Figure 2017015812
(式中、R1、R2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、A1はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)
で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)としてアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のA1は後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA2、A3と同様のものが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
[アリルエステルオリゴマー]
アリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)で表される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で表される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
Figure 2017015812
式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。
Figure 2017015812
式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。
アリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のR3も複数個存在することになるが、これらの各R3は必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はアリル基、他の末端はメタリル基という構造でもよい。また、全てのR3がアリル基またはメタリル基である必要はなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部はメチル基またはエチル基等の非重合性基でもよい。
2で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のA2はベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造でもよい。
一般式(2)におけるA2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA2に隣接するカルボニル構造で示されている。したがって、A2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
2構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の(反応時において)非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造が繰り返されることによりアリルエステルオリゴマー全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られ作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎTgが低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。
アリルエステルオリゴマーの重量平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がさらに好ましい。
また、一般式(3)におけるA3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるA2と同様である。一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、Xは、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基の数は少なくとも2個あればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、イソシアヌル酸のエチレンオキシド3モル付加体、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド3モル付加体、D−ソルビトール及び水素化ビスフェノールA等が挙げられる。これらの化合物の製造方法としては特に制限はないが、例えば特公平6−74239号公報に挙げられる方法で製造することができる。
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位は、同一の構造単位が繰り返されていてもよいが、異なる構造単位が含まれていてもよい。すなわち、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプでもよい。この場合、1つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの1つがプロピレングリコール由来の残基、もう1つのXがトリメチロールプロパン由来の残基である構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。A3も同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にR3がアリル基、A2,A3がイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
Figure 2017015812
[硬化剤]
本発明では、アリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いてもよい。
上記の硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度が得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
[反応性モノマー]
本発明では、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、アリルエステル樹脂組成物に反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイロキシピリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
さらにペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の四官能以上の架橋性基を有するモノマーが挙げられる。
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、2〜500質量部がより好ましく、5〜100質量部が特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下効果が小さく作業性が改善されない。また、反応性モノマーとして単官能性モノマーを使用した場合には、架橋密度が低くなり硬度が不十分になることがある。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性や機械強度が低下する場合がある。
[添加剤]
本発明においては、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性、色相を改良する目的で、アリルエステル樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、架橋助剤、無機充填材などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いられても良い。
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
着色剤としては、アントラキノン系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミン系、インジゴイド系、フタロシアニン系等の有機顔料、アゾイック染料、硫化染料等の有機染料、チタンイエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルトグリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。その配合量は特に限定されない。
難燃剤としては、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アクリロイル基を有する臭素化エポキシ化合物、アクリロイル基を有する酸変性臭素化エポキシ化合物等のような臭素含有化合物、赤リン、酸化スズ、アンチモン系化合物、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤、リン酸アンモニウム化合物、ホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含窒素リン化合物、ホスファゼン化合物等のリン系化合物等が挙げられる。
難燃剤の配合量としては、他の配合物の種類、量等により変わるが、一般的には、アリルエステル樹脂組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して10〜50質量部が好ましい。難燃剤が10質量部未満では十分な難燃効果が期待できず、50質量部を超えると透明性が低下し好ましくない。
架橋助剤の具体例としては、熱重合開始剤による部分架橋処理に際し架橋助剤として働く化合物であり、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレートのような多官能性ビニルモノマーが例示される。架橋助剤の配合量は、他の配合物の種類、量により変わるが、一般的には、アリルエステル樹脂組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して、1〜30質量部が好ましい、架橋助剤が1質量部未満では十分な効果が期待できず、30質量部を超えるとフィルムの柔軟性が低下し好ましくない。
無機充填材としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、結晶性シリカ、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、ガラス球、ガラス繊維、炭素繊維等の公知慣用の無機充填材を例示できるが、これらに限定されるものではない。また、有機充填材の具体例としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂等の公知慣用の有機充填材を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの無機充填材や有機充填材は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、本発明の主旨を損ねない範囲、すなわち本発明のアリルエステル樹脂組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して1〜50質量部で添加することができる。
さらに、必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の公知慣用の重合禁止剤、シリカ、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、アクリル系、高分子系等の消泡剤及び/またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を、本発明の主旨を損ねない範囲で添加することができる。
これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
本発明におけるアリルエステル樹脂組成物を硬化して得られるアリルエステル樹脂シートを製造するにあたっては、一定の表面硬度(鉛筆硬度4H以上)が得られれば、どのような硬化方法を選択してもよい。一定以上の表面硬度を得るには、アリルエステル樹脂組成物をフィルム形状に塗工した後、光硬化及び熱硬化手法、もしくは熱硬化手法のみをとるのが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物を硬化させる際の条件等には特に制限はないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなどの透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上に塗工し流延させた後、光硬化及び熱硬化、もしくは熱硬化を実施するのが好適である。
光硬化の場合、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ、LEDランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20〜5000mJ/cm2程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
熱硬化の場合、加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は約100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。硬化時間は、硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5〜5時間、遠赤外線オーブンであれば0.5〜60分間が好ましい。
また、光重合開始剤を用いた紫外線硬化や、有機過酸化物やアゾ化合物を用いた熱硬化は、ラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受けやすい。硬化反応時の酸素阻害を防止するため、硬化性組成物は、透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上へ塗工、流延後、光硬化を実施する前に、硬化性組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された硬化性組成物表面の酸素濃度を1%以下にすることが好ましい。透明カバーフィルムは、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さいもので、かつ紫外線硬化や熱硬化時に発生する熱に耐えられるものを使用する必要がある。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、アセテート樹脂、アクリル樹脂、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー(ノルボルネン樹脂)等のフィルムであり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。ただし、硬化後の硬化物との剥離が可能でなければならないため、これらの透明カバーフィルムの表面にシリコーン樹脂塗布、フッ素樹脂塗布等の易剥離処理が施されていてもよい。
本発明のアリルエステル樹脂組成物は液状であることから、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布、塗工等を行うことができる。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、スピナーコート等が挙げられる。なお、塗布、塗工、成形時のアリルエステル樹脂組成物の好ましい粘度範囲としては常温で100〜100,000mPa・sの範囲である。
アリルエステル樹脂シートの厚さは、0.1〜1mmであり、0.1〜0.8mmの範囲が好ましく、0.1〜0.5mmの範囲がより好ましい。0.1mm以上であると落球特性などのガラス板の保護性能が良好であり、1mm以下であると製品コストを抑えることができる。
[防眩層]
本発明の防眩シートにおいて、アリルエステル樹脂シート表面に防眩層を形成する方法としては、樹脂及び微粒子を含有する防眩ハードコート剤を用いて凹凸構造を有する防眩層を形成する方法(方法1)、及び種類の異なる樹脂同士の相分離により凹凸構造を有する防眩層を形成する方法(方法2)がある。以下これらの方法を具体的に説明する。
方法1:
樹脂及び微粒子を含有する防眩ハードコート剤を用いて凹凸構造を有する防眩層を形成する方法1で用いる樹脂としては、微粒子の分散が可能で、被膜として十分な強度を与えることができ、透明性のある公知の紫外線硬化型アクリル系樹脂、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等から適宜好適なものを選択して用いることができる。
上記微粒子の平均粒子径(体積基準の50%累積径D50)は0.5〜10μmが好ましく、1.0〜7.0μmがより好ましく、2.0〜5.0μmがさらに望ましい。微粒子の平均粒子径はレーザー回折法やコールター法などによって測定した値である。また、上記微粒子は凝集粒子であってもよく、凝集粒子の場合は、二次粒子径が上記範囲内であることが望ましい。
上記微粒子は、特に限定されず、無機系、有機系のものが使用することができ、好ましくは透明性のものがよい。有機系材料により形成されてなる微粒子の具体例としてはプラスチックビーズを上げることができる。プラスチックビーズとしては、ポリスチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ等が挙げられる。無機系微粒子としてはシリカ粒子を挙げることができる。微粒子の配合割合はハードコート剤の樹脂分に対して3〜30質量%が望ましい。
防眩ハードコート剤のアリルエステル樹脂シートへの塗布方式としては、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、ドクターコート法、エクストルージョンコート法、スライドコート法、カーテンコート法、押出コート法、スピナーコート法、注型成形法等の公知の方法を用いることができる。
加熱による乾燥方法は特に制限されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法が良い。また、紫外線硬化性樹脂を光重合させる紫外線の光源に特に制限はなく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等適宜好適なものを使用することができる。なお、紫外線照射時の雰囲気は特に制限されないが、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とすることにより、ハードコート最表面の酸素による硬化阻害を抑制することができ、結果として耐擦傷性等の物性を向上させることが可能であるため、好ましい。
方法2:
樹脂同士の相分離により凹凸構造を有する防眩層を形成する方法2において、相分離構造を有する層は、例えば第一成分、第二成分の二種類の成分が少なくとも含まれ、それぞれの物性差に基づいて第一成分と第二成分とが相分離し、表面にランダムな微細凹凸構造を有する組成物をアリルエステル樹脂シート表面に塗布し、加熱、紫外線照射などの処理(これにより前記組成物の硬化や相分離を行う。)することで形成される。具体的には特開2010−191370号に記載された方法など公知の方法を採用することができる。
第1成分としては、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。なかでも、エチレン性不飽和二重結合含有アクリル共重合体が特に好ましい。エチレン性不飽和二重結合含有アクリル共重合体としては、重合反応性を示す不飽和二重結合基を有するアクリル共重合体であれば、特に限定はなく、オリゴマーであっても、樹脂であってもよい。例えば、(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他の共重合性モノマーあるいは他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合及びエポキシ基を有するモノマーとを反応させた樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合及びイソシアナト基を有するモノマーとを反応させた樹脂などが挙げられる。
第2成分としては、多官能性不飽和二重結合含有成分が好ましい。これは1分子内に複数個の重合性を示すエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、樹脂、またはそれらの混合物であってもよい。上記の第1成分とは異なるものを使用する。
上記防眩層用組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。添加剤として、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの常用の添加剤が挙げられる。
塗布方式としては、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、ドクターコート法、エクストルージョンコート法、スライドコート法、カーテンコート法、押出コート法、スピナーコート法、注型成形法等の公知の方法を用いることができる。
防眩層の厚みは、特に制限されるものではなく、種々の要因を考慮して適時設定することができる。例えば、乾燥膜厚が0.01〜20μmとなるように防眩層用組成物を塗布することができる。
防眩層は防眩層用組成物の塗布により得られた塗膜を、または乾燥させた塗膜を、硬化させることによって、形成される。第1成分と第2成分との混合物が熱硬化性である場合は、40〜280℃、より好ましくは80〜250℃で、0.1〜180分間、より好ましくは1〜60分間加熱することにより、硬化させることができる。第1成分と第2成分との混合物が光硬化性である場合は、必要に応じた波長の光を発する光源を用いて光を照射することによって、硬化させることができる。光源は高圧水銀灯、超高圧水銀灯などを用いることができる。
[粘着層]
本発明の防眩シートは、前記アリルエステル樹脂シートの防眩層と反対側の面の少なくとも一部に粘着層が形成されていてもよい。前記アリルエステル樹脂シートの他方の面に粘着層を形成した防眩シートは、スマートフォンやタブレットPCなどを含む各種のタッチパネル表示装置の保護フィルムとしても使用可能である。
粘着層は、慣用の透明な粘着剤で形成されている。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤(変性オレフィン系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤などが例示できる。
ゴム系粘着剤としては、例えば、ゴム成分(天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーなど)と、粘着付与剤(テルペン樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、変性オレフィン系樹脂など)との組み合わせなどが挙げられる。
アクリル系粘着剤としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C2〜C10アルキルエステルを主成分とするアクリル系共重合体で構成された粘着剤を使用できる。アクリル系共重合体の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)クリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなど]、重合性ニトリル化合物[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、不飽和ジカルボン酸またはその誘導体(例えば、無水マレイン酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、芳香族ビニル類(例えば、スチレンなど)などが挙げられる。
オレフィン系粘着剤としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物などが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴム成分[一官能のR3SiO1/2(式中、Rは、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などを示す。以下、同じ)と四官能のSiO2からなるMQレジンなど]及びシリコーンレジン成分(二官能のR2SiO単独、または二官能のR2SiOと一官能のR3SiO1/2とを組み合わせたオイル状またはガム状成分など)を有機溶媒に溶解した粘着剤などを使用できる。前記シリコーンゴム成分は架橋されていてもよい。
これらの粘着剤のうち、光学特性やリワーク性などの点から、シリコーン系粘着剤が好ましい。
粘着層の厚みは、例えば、1〜150μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜70μm(特に25〜50μm)程度である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。実施例1〜4及び比較例1〜4のシートの諸物性は以下の方法により評価した。
[鉛筆硬度]
防眩シート(実施例1〜4、比較例1〜4)の表面を、JIS K 5600−5−4に基づいて、円柱状に削った鉛筆芯を45度の角度に傾け、上から750gの荷重を掛け、被測定物の表面を10mm程度引掻いて傷の有無を確認し、鉛筆硬度を表面硬度の指標として求めた。比較例1〜2ではハードコート処理なしのアリルエステル樹脂シート表面に実施した。
[全光線透過率]
防眩シートについて、JIS K7361−1に従い全光線透過率(単位:%)を光学特性の指標として求めた。なお測定には日本電色工業(株)製のNDH−5000を使用した。
[ヘイズ]
防眩シートについて、JIS K7136に従いヘイズ(単位:%)を光学特性の指標として求めた。なお測定には日本電色工業(株)製のNDH−5000を使用した。
[b*値]
防眩シートについて、JIS Z8729に従いb*値を黄色みの指標として求めた。なお測定には日本電色工業(株)製のSD6000を使用した。
[防眩性]
防眩シートを蛍光灯の下に置き、蛍光灯の映り込みの程度を目視で確認した。評価基準は以下の通りである。
○:映り込んだ蛍光灯の輪郭が確認できない、
×:映り込んだ蛍光灯の輪郭が確認できる。
[ぎらつき]
防眩シートを解像度160ppiの液晶ディスプレイ表面上に置き、30cm離れたところから目視で確認した。評価基準は以下の通りである。
○:ぎらつきが少ない、
×:ぎらつきが多い。
アリルエステル化合物1の合成:
蒸留装置の付いた2リットルの三口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン167g、ジブチル錫オキサイド0.813gを仕込み、窒素ガス気流下、180℃で生成してくるアルコールを留去しながら加熱した。留去したアルコールが約170gになったところで反応系内を徐々に、約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなった時点で、反応系内を0.5kPaに減圧し、さらに1時間反応させた後、反応物を冷却し、アリルエステル化合物を得た。以下、これにより得られた反応物を「アリルエステルオリゴマー1」とする。
Figure 2017015812
アリルエステル化合物2の合成:
蒸留装置の付いた2リットルの三口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、ペンタエリスリトール157g、ジブチル錫オキサイド1.084gを仕込み、窒素ガス気流下、180℃で生成してくるアルコールを留去しながら加熱した。留去したアルコールが約170gになったところで反応系内を徐々に、約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなった時点で、反応系内を0.5kPaに減圧し、さらに1時間反応させた後、反応物を冷却し、アリルエステル化合物を得た。以下、これにより得られた反応物を「アリルエステルオリゴマー2」とする。
アリルエステル樹脂シート1の作製:
アリルエステル化合物1を80質量部とトリメチロールプロパントリアクリレート20質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社製)1質量部、Irgacure(登録商標) TPO(BASF社製)0.5質量部を均一となるまで混合し、アリルエステル樹脂組成物1を調整した。次いで当該樹脂組成物を硬化後の厚さが300μmとなるように厚さが100μmのPETフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。さらに塗布面に厚さが100μmのPETフィルムを被せた後、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製アイグランデージ、メタルハライドランプ)を用いて300mW/cm2、800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して、樹脂組成物をゲル化(半硬化)させて半硬化フィルムを得た。
得られた半硬化フィルムを両面のPETフィルムを付けたままガラス板に挟み、160℃に保った強制対流式オーブンに入れ1時間かけて硬化させた。硬化完了後に両面のPETフィルムを剥がすことで厚さが200μmの透明な「アリルエステル樹脂シート1」(比較例1)を得た。
アリルエステル樹脂シート2の作製:
アリルエステル樹脂組成物1を、アリルエステル化合物2(AEO)80質量部とトリメチロールプロパントリアクリレート20質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社製)1質量部、Irgacure(登録商標) TPO(BASF社製)0.5質量部に変更した以外、アリルエステル樹脂シート1と同様な方法で半硬化フィルムを得た。得られた半硬化フィルムをアリルエステル樹脂シート1と同様な方法で熱処理を行い、厚さが200μmの透明なアリルエステル樹脂シート2(比較例2)を得た。
実施例1、実施例3、比較例3:防眩ハードコート1
昭和電工製ハードコート剤ビニロール(登録商標)KR−S5266S(固形分濃度50%)100質量部に対し、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子(株式会社トクヤマ製、商品名X−80)を10質量部加えた。次いで室温下で均一となるまで混合撹拌し、防眩ハードコート剤1を得た。アリルエステル樹脂シート1、アリルエステル樹脂シート2、PETフィルムのそれぞれに上記の防眩ハードコート剤1を、それぞれ硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布した。次いで、80W/cmの高圧水銀灯で300mJ/cm2の紫外線を塗布面に放射し、塗布面を硬化させ、それぞれ、実施例1、3、比較例3の防眩シートを得た。PETフィルムは東レ株式会社製ルミラー(登録商標)(188μm厚)を使用した。
実施例2、実施例4、比較例4:防眩ハードコート2
撹拌装置を備えた容器に、第1成分としてイソボルニルメタクリレートとメチルメタクリレートとメタクリル酸からなるエチレン性不飽和二重結合含有アクリル共重合体を4.0質量部、有機溶媒としてメチルイソブチルケトン50.0質量部を仕込み、撹拌しながら、続いて、第2成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びペンタアクリレートの混合物75.0質量部並びにペンタエリスリトールトリアクリレート及びテトラアクリレートの混合物25.0質量部、第3成分としてイソホロンジイソシアネーとペンタエリスリトールトリアクレートからなるポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレート2.0質量部、さらに有機溶媒としてイソプロピルアルコール118.0質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5.0質量部及びα−ヒドロキシ−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル−1−フェニル)]}プロパン−1−オン1.0質量部を加えて防眩ハードコート剤2を得た。次いで室温(20℃)にて、当該防眩ハードコート剤2をアリルエステル樹脂シート1、アリルエステル樹脂シート2、PET上に乾燥膜厚が6μmになるようにそれぞれ塗布し、80℃で1分間加熱して塗膜中の溶媒を乾燥除去した。その後、超高圧水銀灯(Fusion社製、Hバルブ型)で500mJ/cm2のエネルギーで空気環境下、照射及び露光して硬化させ、それぞれ、実施例2、4、比較例4の防眩シートを得た。
比較例1〜2:
アリルエステル樹脂シート1及び2自体である。
実施例1〜4及び比較例3〜4の防眩シートのハードコート層、並びに比較例1〜2のアリルエステル樹脂シートについて、鉛筆硬度、全光線透過率(%)、ヘイズ値(%)、b*値、及び防眩性を測定、評価した結果を表1に示す。
Figure 2017015812
実施例1〜4と比較例1〜2の比較から、微細な凹凸構造を有する防眩層の形成により防眩性効果があることがわかる。また、実施例1〜4と比較例1〜2の比較からアリルエステル樹脂シートを基材として用いることにより、4H以上の高い鉛筆硬度を実現できることがわかる。
本発明の防眩シートは高い表面硬度と優れた防眩性を有することから、特にスマートフォンやタブレットPC等の液晶保護用フィルム、シートや加飾・飛散防止フィルム、また、機器本体を保護するケース、カバー、フリップケース、ジャケット等に使用される透明部材に非常に有用である。

Claims (8)

  1. アリルエステル樹脂シートの一方の面に、その表面に凹凸構造が形成された防眩層を有する防眩シート。
  2. 前記アリルエステル樹脂シートがアリルエステル樹脂組成物の硬化物であり、アリルエステル樹脂組成物が一般式(2)
    Figure 2017015812
    (式中、R3はアリル基またはメタリル基を表し、A2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
    Figure 2017015812
    (式中、A3はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むものである請求項1に記載の防眩シート。
  3. 前記防眩層表面の凹凸構造が、樹脂及び微粒子を含有するハードコート剤により形成される請求項1または2に記載の防眩シート。
  4. 前記微粒子が、平均粒子径(D50)0.5〜10μmの有機系または無機系材料の微粒子である請求項3に記載の防眩シート。
  5. 前記微粒子がシリカ粒子である請求項3または4に記載の防眩性シート。
  6. 前記防眩層表面の凹凸構造が2種類以上の樹脂同士の相分離により形成される請求項1または2に記載の防眩シート。
  7. 前記アリルエステル樹脂シートの防眩層と反対側の面の少なくとも一部に粘着層が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の防眩シート。
  8. 請求項7に記載の防眩シートが最表面に貼付されたタッチパネル表示装置。
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