JP6011086B2 - 注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物 - Google Patents

注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、高い光線透過率、基材への密着性、低い吸水率を有する硬化物を製造するに適した、作業性の良好な注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物に関する。更に詳しくはモールドプリント賦型に適した、注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物に関する。本発明はまた、この注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物の硬化物を基材上に積層したキーシート又はプランジャーに関する。
注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、強靭性、柔軟性、耐擦傷性、耐薬品性等の優れた特性を持たせることが可能であり、更に活性エネルギー線により短時間で硬化する特性を持ち、一般的に透明性に優れるという点で、特に光学部品の量産に向いている。
近年、携帯電話等の電子機器において機器の薄型化のために、特にシート状またはフィルム状の透明プラスチック基材上に樹脂硬化物からなる微細で複雑な凹凸表面形状を形成した部品が用いられている。例えば携帯電話のキーに相当する部分に、凹凸形状を設けた樹脂賦型物(以下、基材上にこのような樹脂賦型物を形成したものを「キーシート」と称す場合がある。)や、携帯電話のキー裏面にクッション材として、凸形状を設けた樹脂賦型物(以下、基材上にこのような樹脂賦型物を形成したものを「プランジャー」と称す場合がある。)が用いられている。このような部品において、基材上の賦型物には高い光線透過率、高い基材への密着性、高い表面硬度、低い吸水率が求められている。
キーシートやプランジャーの製造方法としては、特許文献1に、表面に複数の凹部が形成された円筒状またはロール状の版体をその軸回りに回転させながら、凹部に注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物を充填し、透明プラスチック基材上でラミネートした後、充填された樹脂組成物を硬化させ、版体から取り出すことにより基材上に賦型物を形成する方法が開示されている。
しかし、この特許文献1で用いられている活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、その成分としてイソボルニルアクリレートを多く含んでいるため、プラスチック基材との密着性が低いといった問題がある。高極性の環構造モノマーを多く使うことで、基材への密着性を向上させることができるが、この場合には、吸水率が大幅に上昇してしまう。
一方、注型用活性エネルギー線効果樹脂組成物に基材への密着性、耐屈曲性、低い吸水率を持たせるためにピペリジン環を有する化合物を用いた例として、特許文献2が提案されている。また、注型用活性エネルギー線効果樹脂組成物の硬化物に、高い鉛筆硬度、耐屈曲性、耐薬品性、基材への密着性、賦型物としての低反り性を持たせるために、モルホリン環を有する化合物を用いた樹脂組成物に対して、さらにテトラヒドロフラン環化合物を用いた例として、特許文献3が提案されている。さらに、注型用活性エネルギー線効果樹脂組成物の硬化物に、耐候性、復元性、基材への密着性、賦型物としての低反り性を持たせるために、アルコキシアルキルアクリレート化合物を用いた例として、特許文献4が提案されている。
特開2008−24803号公報 特開2011−80001号公報 特開2010−184998号公報 特開2010−163537号公報
しかしながら、特許文献2の活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、その成分としてピペリジン環を有する化合物を有しているが、硬化物の表面硬度および基材に対する密着性が弱く、特に温水下では、密着性が低下するため、高温高湿などの使用環境では基材からの剥離を起こしてしまうという課題がある。また、特許文献3の活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、その成分としてモルホリン環やテトラヒドロフラン環を有する化合物を有しているが、基材に対する密着性は良好であるものの硬化物の表面硬度が不足し、傷がつきやすく耐久性に劣るという課題がある。さらに、特許文献4の活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、その成分としてアルコキシアルキルアクリレート化合物を有しているが、極性基が少ない為にポリエチレンテレフタレートのような基材には密着性が不足し、また、柔軟性を持たせているために、表面硬度が不十分であり、爪等で強く押し込んだときには硬化物に亀裂が発生してしまうという課題がある。
また、特許文献1に開示されるようなモールドプリント賦型によりキーシート又はプランジャー等を製造する場合、用いる注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物には、基材に対する密着性や表面硬度だけではなく、溶液として安定性に優れること、また、金型離型性に優れることが要求されるが、従来においては、これらの要求特性をすべて満たす注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物が提供されていないのが実状である。
従って、本発明は上述の課題を解決した注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物、即ち、高い表面硬度および高い基材密着性を持ち、更に、金型離型性に優れ、溶液として高い安定性を有する注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の成分(A)、(B)および(C)を含有する注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物が、金型離型性、溶液としての安定性に優れることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 以下の成分(A)、(B)および(C)を含有することを特徴とする注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
(A)ポリイソシアネート、ポリオール、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから合成されるウレタン(メタ)アクリレート
(B)(メタ)アクリレートモノマー
(C)不飽和結合を有する、炭素数14〜18の脂肪族カルボン酸
] (A)ウレタン(メタ)アクリレートが、脂肪族ポリイソシアネート(a1)、ヒドロキシル基を2個以上有する脂肪族アルキレングリコール(a2)、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)から合成されるウレタン(メタ)アクリレートであることを特徴とする[1]に記載の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
] [1]又は2]に記載の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物の硬化物を基材上に積層したキーシート。
] [1]又は2]に記載の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物の硬化物を基材上に積層したプランジャー。
本発明の注型用活性エネルギー線硬化性樹脂は、溶液としての安定性と金型離型性に優れ、活性エネルギー線を用いた注型重合による成形材料、特に、キーシート及びプランジャー用成形材料として、工業的に極めて有用である。
(a)図は、実施例において用いた鋳型を示す斜視図であり、(b)図は、作製された賦型物付き基材の斜視図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方をさす。「(メタ)アクリル」についても同様である。また、以下において「硬化物」又は「樹脂硬化物」とは、本発明に係る「賦型物」に該当する。
[注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物]
まず、本発明の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)について説明する。
本発明の樹脂組成物は、以下の成分(A)、(B)および(C)を含有することを特徴とする。
(A)ポリイソシアネート、ポリオール、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから合成されるウレタン(メタ)アクリレート
(B)(メタ)アクリレートモノマー
(C)不飽和結合を有する脂肪族カルボン酸
[成分(A):ウレタン(メタ)アクリレート]
本発明の樹脂組成物は、基材との密着性や耐屈曲性を持たせるために、(A)ウレタン(メタ)アクリレート(以下、「(A)成分」と称す場合がある。)を含有する。(A)成分は、以下に説明するポリイソシアネート(a1)と、ポリオール(a2)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)との反応により得られる。このウレタン(メタ)アクリレートは、基材との密着性に優れた賦型物を得ることができることから、ウレタンジ(メタ)アクリレートであることが好ましく、特に後述の重量平均分子量の範囲のウレタンジ(メタ)アクリレートオリゴマーであることが好ましい。
<ポリイソシアネート(a1)>
本発明において、ポリイソシアネート(以下、「(a1)成分」と称す場合がある。)とは、イソシアネート基を少なくとも2個有する化合物を意味し、その具体例としては、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。更に、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物との反応により得られるポリイソシアネート化合物、又は前記のポリイソシアネート化合物の3量体〜5量体等を用いることもできる。これらの中で、得られる(A)成分の粘度が低く、注型の作業性が向上する点や、硬化物の透明性が高いという点で、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
これらの(a1)成分は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
<ポリオール(a2)>
本発明において、ポリオール(以下、「(a2)成分」と称す場合がある。)とは、水酸基を少なくとも2個有する化合物を意味し、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール等のポリオール単量体またはこれらの単量体から選ばれる少なくとも1種から構成されるポリアルキレンポリオール、前記単量体にε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリカプロラクトンポリオール、前記単量体と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートおよびジフェニルカーボネート等の炭酸エステルのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオール等が使用可能である。これらの中で、硬化物に高い表面硬度を付与するという点で、ポリオール単量体などのヒドロキシル基を2個以上有する脂肪族アルキレングリコールを用いることが好ましい。
これらの(a2)成分は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
<ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)>
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(以下、「(a3)成分」と称す場合がある。)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;それらのカプロラクトン変性品やアルキルオキサイド変性品等に代表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート変性品;ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のモノエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物等が挙げられる。これらの中で、得られる(A)成分の粘度が低く、注型の作業性が向上するという点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの(a3)成分は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
<その他の反応性希釈モノマー(a4)>
本発明に係る(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートの合成には、反応中の粘度を下げる目的で、必要に応じて、上記(a1)、(a2)、(a3)成分以外に、反応性希釈モノマー(a4)(以下、「(a4)成分」と称す場合がある。)を用いてもよい。
(a4)成分としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;及び、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート;が挙げられる。相溶性の観点から(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
これらの(a4)成分は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい
<ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法>
(a1)成分と(a2)成分および(a3)成分との付加反応は、従来知られる各種の方法に従って行なうことができる。例えば、30〜90℃に加温した(a1)成分とジブチル錫ジラウレート等の触媒との混合物中に、(a2)成分を2〜6時間かけて滴下し、さらに1〜3時間反応させ、その後(a3)成分を1〜3時間かけて滴下し、さらに1〜3時間反応させることにより、(A)成分を合成することができる。
また、後述の合成例1のように、(a1)成分に(a2)成分を添加して50〜80℃で3〜10時間程度反応させた後、(a3)成分と必要に応じて用いられる(a4)成分と、ジブチル錫ジラウレート等の触媒と、メチルハイドロキノン等の重合禁止剤を添加し、更に60〜70℃で3〜12時間程度反応させて(A)成分を合成することができる。
(A)成分の合成に用いる(a1)成分、(a2)および(a3)成分の使用割合は、0.5≦((a1)成分のイソシアネート基総数)/((a2)成分および(a3)成分のヒドロキシル基総数)≦1.0となるようにするのが好ましい。この割合を0.5以上にすることによって、硬化物に基材への密着性を付与することができる。一方、この割合を1.0以下にすることによって、イソシアネート基の反応率が高くなり、樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。特に好ましい(a1)成分、(a2)成分および(a3)成分の使用割合は、0.9≦((a1)成分のイソシアネート基総数)/((a2)成分および(a3)成分のヒドロキシル基総数)≦1.0である。
また、(a4)成分を用いる場合、(a4)成分は(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)の総和に対して75質量%以下、特に60質量%以下、例えば10〜30質量%となるように用いることが好ましい。(a4)成分を用いることにより、前述の如く反応時の粘度を下げることができるが、その使用量が多過ぎると成形体としたときに十分な表面硬度を得られないおそれがある。
<重量平均分子量>
(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、下限値が500以上であることが好ましく、更には800以上であることがより好ましい。また、その上限値は10,000以下であることが好ましく、更には5,000以下であることがより好ましい。前記の各下限値は、得られる樹脂硬化物の耐屈曲性の点で意義がある。また、前記の各上限値は、粘度を低くして注型作業性を向上する点で意義がある。なお、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値であり、具体的な測定方法は実施例の項に記載した通りである。
<配合量>
本発明の樹脂組成物において、(A)成分の配合量は、(A)成分および後述の(B)成分を含む樹脂組成物中の重合性成分全体の合計100質量%を基準として、25〜75質量%が好ましく、50〜65質量%がより好ましい。前記各下限値は、耐屈曲性が良く、基材との密着性が良い賦型物を得る点で意義がある。また前記各上限値は、粘度を低くして注型作業性を向上する点で意義がある。
なお、本発明において、(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、反応原料の(a1)、(a2)、(a3)、(a4)成分の種類や重量平均分子量の異なるウレタン(メタ)アクリレートを2種以上併用してもよい。
[(B)(メタ)アクリレートモノマー]
本発明の樹脂組成物は、(B)(メタ)アクリレートモノマー(以下、「(B)成分」と称す場合がある。)を含有する。
この(B)成分は、特に低い吸水性を維持したまま、樹脂硬化物の基材との密着性、耐屈曲性、表面硬度を向上させる作用を奏する。
(B)成分の具体例としては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等のモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビルフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類等が挙げられる。
上記した中でも、本発明において、特に好ましい(B)成分としては、例えば、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の分子内に環構造を有するモノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド等のモノ(メタ)アクリルアミド類等のモノエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
これらの(B)成分は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物において、(B)成分の配合量は、(A)成分および(B)成分を含む重合性成分全体の合計100質量%を基準として、5〜55質量%が好ましく、15〜45質量%がより好ましい。前記各下限値は、樹脂硬化物の基材との密着性、耐屈曲性を向上する点で意義がある。また前記各上限値は、良好な硬化性を得るという点で意義がある。
[(C)不飽和結合を有する脂肪族カルボン酸]
本発明の樹脂組成物において、(C)不飽和結合を有する脂肪族カルボン酸(以下、「(C)成分」と称す場合がある。)は、樹脂硬化物を効率よく金型から取り出すための成分である。
(C)成分の具体例としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等のモノ不飽和脂肪酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸等のテトラ不飽和脂肪酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪酸が挙げられる。これらのうち、本発明の樹脂組成物の溶液としての安定性からモノ不飽和脂肪酸が好ましく、また、成型体からの溶出が少ない点で分子量の大きいものが好ましく、炭素数14以上が好ましい。さらに、溶解性の観点から液体のものが好ましく、炭素数が18以下のものが好ましい。このような不飽和脂肪族アルキルカルボン酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸等が挙げられる。
これらの(C)成分は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。混合物である(C)成分はタイターが15℃以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、(C)成分の配合量は、(A)成分および(B)成分を含む重合性成分全体の合計100質量部に対して、0.005〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。前記各下限値は、金型離型性の点で意義があり、また前記各上限値は、硬化物の表面硬度を確保する点で意義がある。
[(D)成分:活性エネルギー線重合開始剤]
本発明の樹脂組成物は、活性エネルギー線重合開始剤(以下、「(D)成分」と称す場合がある。)を含有することが好ましい。活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線照射により効率よく樹脂硬化物を得るための成分である。活性エネルギー線重合開始剤としては、主として波長300〜400nmの紫外線に感応してラジカル源を発生するものが好ましい。
(D)成分の活性エネルギー線重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレ−ト、エチルフェニルグリオキシレ−ト、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の混合系で用いてもよい。特に、樹脂硬化物に高い光線透過率や基材への密着性を付与できる点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、(D)成分の配合量は、(A)成分、および(B)成分を含む重合性成分全体の合計100質量部に対して、0.005〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。前記各下限値は、樹脂硬化物の光線透過率や基材への密着性を向上する点で意義がある。また前記各上限値は、硬化物の透明性を確保する点で意義がある。
[その他の成分]
本発明の樹脂組成物は必要に応じ、(A)成分、および(B)成分以外の重合性成分(反応性希釈モノマー)、添加剤としての酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、消泡剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、樹脂重合体、充填材、溶剤等を含有していてもよい。
<重合性成分>
重合性成分の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類、(A)成分以外のポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンモノ(メタ)アクリレート、ポリエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
これら(A)成分および(B)成分以外の重合性成分のうち、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンモノ(メタ)アクリレート等のウレタン(メタ)アクリレートを含有させることにより、柔軟性を付与するという効果を得ることができるが、その配合量が多過ぎると、(A)成分及び(B)成分を用いることによる本発明の効果を有効に得ることができなくなることから、これらのウレタン(メタ)アクリレートの配合量は、全重合性成分の合計100質量%を基準として20質量%以下、例えば5〜15質量%とすることが好ましい。また、重量平均分子量(Mw)としては1,000〜3,000のものが好ましく、1,200〜2,000のものがより好ましい。
また、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含有させることにより、柔軟性を付与するという効果を得ることができるが、その配合量が多過ぎると、(A)成分及び(B)成分を用いることによる本発明の効果を有効に得ることができなくなることから、これらのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの配合量は、全重合性成分の合計100質量%を基準として20質量%以下、例えば5〜15質量%とすることが好ましい。また、数平均分子量(Mn)としては200〜3,000のものが好ましく、400〜1,200のものがより好ましい。
<添加剤>
本発明の樹脂組成物が含有し得る添加剤のうち、酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などの1種または2種以上が挙げられる。
ブルーイング剤の具体例としては、通常、青系、紫系、緑系の顔料が挙げられる。さらに、必要に応じて赤系、橙系、茶系等の顔料を混合することによって、調色することができる。この場合、赤系、橙系、茶系等の顔料としては、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、キナクリドン系化合物、ペリレン系化合物等を用いることができる。
顔料の具体例としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラックが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
消泡剤の具体例としては、非シリコーン系消泡剤であるポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のポリシロキサン系消泡剤や、非シリコーン系消泡剤であるアルキルメタクリレート、ポリアクリレート、アクリル酸共重合物等のアクリル酸系消泡剤や、ブタジエン共重合物系消泡剤、ミネラルオイル系消泡剤などの1種または2種以上が挙げられる。
熱安定剤の具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(混合モノ−およびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、ジメチルベンゼンホスホネート、トリメチルホスフェートなどの1種または2種以上が挙げられる。
光安定剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン類などの1種または2種以上が挙げられる。
帯電防止剤の具体例としては、グリセロールモノステアレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの1種または2種以上が挙げられる。
防曇剤の具体例としては、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン、グリセロール−1−メタクリロイルオキシプロピルウレタンなどの1種または2種以上が挙げられる。
樹脂重合体の具体例としては、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、フェノール系樹脂などの1種または2種以上が挙げられる。
充填材の具体例としては、有機あるいは無機からなる微粒子等が挙げられる。微粒子、フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、石英粉、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
上記の各種の添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物の配合量の範囲で用いることができる。
溶剤の具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートが挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤の配合量は(A)成分および(B)成分を含む重合性成分全体の合計100質量%あたり、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。溶剤を用いることにより低粘度になり注型時の取り扱いを容易にすることができるが、その配合量が多過ぎると賦形物に残留した溶剤により十分な硬度が得られないおそれがある。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、前述の(A)成分、(B)成分、および(C)成分と、必要に応じて用いられる(D)成分、重合性成分および添加剤を、所定の割合で添加混合することにより製造することができる。その際、添加剤、(C)成分および(D)成分以外の成分を予め混合し、ここへ、添加剤、(C)成分および(D)成分を添加して均一に混合することが好ましい。
<樹脂組成物の硬化方法>
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、本発明の樹脂組成物を注型重合により基材上で硬化させる方法が好ましい。具体的には、鋳型内に本発明の樹脂組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射して鋳型内の樹脂組成物を重合硬化させることにより、所望形状に賦型された樹脂硬化物を得ることができる。この際、鋳型内に本発明の樹脂組成物を流し込み、鋳型の所望位置に基材を配置した状態で、活性エネルギー線を照射して鋳型内の樹脂組成物を重合硬化させることにより、所望形状に賦型された樹脂硬化物よりなる賦型物を基材上に形成することができる。
この注型重合による賦型は、特に、プラスチックフィルム等のプラスチック基材上へのモールドプリント賦型が好ましい。モールドプリント賦型とは、上面が開放された凹部を有する鋳型に樹脂組成物を流し込み、次いでその上面をプラスチック基材でシールし、活性エネルギー線を照射することにより樹脂組成物を重合硬化させて、プラスチック基材上に所望形状の樹脂硬化物を一体成形し、その後脱型する方法である。この際、プラスチック基材が透明であると、基材面側から活性エネルギー線を効率的に照射することができる。
活性エネルギー線の照射源としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量としては500〜2,000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
基材としては、プラスチック基材が好ましく、特に、透明プラスチック基材が好ましい。基材が透明である場合は、上述の如く、基材面側から活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化させることができる。透明プラスチック基材の具体例としては、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系のプラスチックフィルム又はシートが挙げられる。基材の厚さは、製品の用途等に応じて適宜決定されるが、機械的強度を損なうことなく、製品の薄肉化を図るために、通常25〜200μm程度とされる。
これらの基材の賦型物形成面側には、予めプライマー、エッチング等の易付着処理を施すことが好ましい。
なお、このようにして基材上に形成される賦型物の形状や大きさには特に制限はなく、用途に応じて適宜決定される。
通常、キーシート又はプランジャーの基材上に形成される賦型物は、厚さ10〜100μmの樹脂硬化物よりなる基層と、この基層から突出した高さ100〜500μm程度の突起状物が一体的に形成されたものである。
<用途>
本発明の樹脂組成物は、キーシート、プランジャー、その他光学部品において、基材上の賦型物の形成に好適に用いられる。
(キーシート)
本発明のキーシートとは、基材上に本発明の樹脂組成物の硬化物からなる賦型物が形成されていることを特徴とする。このキーシートは、例えば、賦型物として、所定の位置(キーに相当する位置)に突起を有する樹脂硬化物層がプラスチック基材上に形成された賦型シートまたは賦型フィルムから成る。そして、このキー部分を押すと、内部回路の接点が樹脂硬化物層の突起の押圧により接続するように構成される。このようなキーシートは、特に、携帯電話機等の入力手段である複数のキーが集合配置された部分の薄型化に有用である。
(プランジャー)
本発明のプランジャーとは、基材上に本発明の樹脂組成物の硬化物からなる賦型物が形成されていることを特徴とする。このプランジャーは、例えば、賦型物として、所定の位置(キーの裏側に相当する位置)に突起を有する樹脂硬化物層がプラスチック基材上に形成された賦型シートまたは賦型フィルムから成る。そして、キー部分を押すと、内部回路の接点が樹脂硬化物層の突起の押圧により接続するように構成される。このようなプランジャーは、特に、携帯電話機等の入力手段である複数のキーが集合配置された部分の薄型化に有用である。
(光学部品)
光学部品とは、電子機器のスイッチ、クッション部位や、製品表層の装飾、プリズムシート、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズといったシート状レンズ、液晶テレビ等の前面パネルや拡散板、携帯電話部材に用いられるキーシート等の透明部材をさす。
以下、本発明について実施例を用いて説明する。なお、以下の記載において「部」は「質量部」を意味する。
[合成例1:ウレタンジアクリレートオリゴマー(UA1)の合成]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、および温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中にイソホロンジイソシアネート400部を仕込み、50℃に加熱し、攪拌しながら、1,6−ヘキサンジオール(宇部興産社製)106.4部を添加した。内温を80℃に保ち8時間反応させた後、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機社製 V#150)240.6部と2−ヒドロキシエチルアクリレート215.1部、メチルハイドロキノン0.2部、ジブチル錫ジオクテート0.1部を添加し、さらに3時間、70℃で反応させてウレタンジアクリレートオリゴマー(UA1)を得た。反応の終点は赤外線吸収スペクトルの測定により、波長2260cm−1のイソシアネート基に由来するピークの消失によって確認した。
得られたウレタンジアクリレートオリゴマー(UA1)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(Mw)を、GPCシステム(東ソー(株)製、商品名HLC−8120GPC)を用いて、ポリスチレン換算の値として以下の条件にて測定した。その結果、ウレタンジアクリレートオリゴマー(UA1)の重量平均分子量(Mw)は1,150であった。
カラム:「TSK−gel superH3000」、「TSK−gel
superH2000」、「TSK−gel superH1000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.5ml/min.
注入量:10μl
カラム温度:40℃
検出器:RI
[実施例1]
(1)樹脂組成物の調製:
合成例1で合成した(A)成分のウレタンジアクリレートオリゴマー(UA1)48部に、(A)成分以外の重合性成分として、ウレタンアクリレート系オリゴマー(UA2)(新中村化学社製 UA122P)15部、およびポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製A−400、数平均分子量508)7部と、(B)成分のアクリル酸フェノキシエチル(大阪有機社製 V#192)30部を滴下希釈し、さらに紫外線吸収剤(BASFジャパン社製 TINUVIN400)0.4部および光安定剤(BASFジャパン社製 TINUVIN292)0.4部と、(C)成分としてオレイン酸(花王社製 ルナックO−A、タイター5℃)2部、および(D)成分として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製 LUCIRIN TPO)0.7部を加え、室温にて1時間攪拌してウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー配合液(本発明の樹脂組成物)を得た。
(2)鋳型の作製:
厚さ15mmの大同特殊鋼製プラスチック金型用プリハードン鋼NAK80に、深さ300μm、20mm四方の凹部を作成し、表面に無電解ニッケル処理を施した後、研磨剤で#2000の鏡面に仕上げることにより、図1(a)に示す如く、20mm×20mm×深さ300μmの凹部1が4個形成された鋳型2を作製した。
(3)サンプルの作製:
上記(2)で得た鋳型の中に、(1)で調製した樹脂組成物を注入した。次いで、注入した側を、予め易付着処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(パナック(株)製、商品名パナクレアAC−X、厚み100μm)の易付着処理面でシールした後、10cm角で厚み2mmのガラス板の何れかの辺部分でPETフィルムの上から手で押し抄いて、余分な樹脂を除去して60μm厚みに調整した。その後、PETフィルム面側から、高圧水銀灯により測定波長365nmにおいて照度520mW/cm、光量500mJ/cmの紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させて鋳型から脱型し、図1(b)に示すように、基材フィルム上に厚さ60μmの樹脂硬化物層3と、この樹脂硬化物層3からの高さが300μmで20mm×20mmの大きさの凸部4を有する賦型物が一体成形された賦型物付き基材5を得た。なお、紫外線照射装置はマルチプライ社製 MND−152−36号機を用い、照度と光量の測定はウシオ電機社製 UTI150Aを用いた。
得られたサンプルについて、以下の物性評価を実施し、その結果を表1に示した。
(4) 物性評価:
上記(1)、(3)の工程において、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
<溶液安定性(溶解性)>
(1)で調製したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー配合液(室温にて1時間攪拌した後の樹脂組成物)の溶液の状態を目視にて観察し、透明なものを○、混ざるが白濁したものを×、分離したものを「分離」として評価した。なお、評価は実際には同配合の樹脂組成物を(1)と同様に200mlのガラスビーカー内に調製して行った。
<金型離型性>
(3)のサンプル作製時に、硬化物が容易に金型から剥がれるものを○、硬化物が裂けるものを×とした。
[実施例2および3、比較例1〜10]
実施例1において、(C)成分のオレイン酸の代りに、表1に示す配合成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の調製とサンプルの作製を行い、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
Figure 0006011086
表1より、本発明の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物は、溶液としての安定性に優れ、また、硬化物の金型離型性に優れることが分かる。
1 凹部
2 鋳型
3 樹脂硬化物層
4 凸部
5 賦型物付き基材

Claims (4)

  1. 以下の成分(A)、(B)および(C)を含有することを特徴とする注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
    (A)ポリイソシアネート、ポリオール、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから合成されるウレタン(メタ)アクリレート
    (B)(メタ)アクリレートモノマー
    (C)不飽和結合を有する、炭素数14〜18の脂肪族カルボン酸
  2. (A)ウレタン(メタ)アクリレートが、脂肪族ポリイソシアネート(a1)、ヒドロキシル基を2個以上有する脂肪族アルキレングリコール(a2)、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a3)から合成されるウレタン(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物の硬化物を基材上に積層したキーシート。
  4. 請求項1又は2に記載の注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物の硬化物を基材上に積層したプランジャー。
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