JP2016128231A - 金属膜を有する樹脂シートの製造方法 - Google Patents

金属膜を有する樹脂シートの製造方法 Download PDF

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和史 甲斐
靖之 大山
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靖之 大山
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Abstract

【課題】表面硬度と強度に優れ、金属膜の連続成膜が可能な樹脂基材とその製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂シートの巻回体(ロール)から連続的に樹脂シートを巻出し、当該樹脂シートの表面に金属膜を製膜したのち、再び樹脂シートを巻回体として巻き取る、金属膜が表面に形成された樹脂シートの連続製造方法において、当該樹脂シートとしてアリルエステル樹脂組成物の硬化物を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂基材シートの表面への金属膜を連続的に形成する方法に関する。
従来、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル等の表示素子に関する基材としては透明性や表面硬度が優れたガラスが用いられてきたが、近年は、割れにくく軽い、プラスチックへの代替が検討されている。
このようなプラスチックに機能性を発現させるためには基材上に金属や金属酸化物を成膜することも行われている。例えばITO(インジウム錫オキサイド)を成膜することで導電性を付与して、タッチパネルなどに用いられている。また、アルミニウムや銀を成膜することで反射機能を付与して、反射ミラーや光制御パネル、光結像装置など様々な用途に応用できる。これらの具体例として特許第5437436号公報(特許文献1)にアクリル樹脂を用いた光学結像装置が記載されている。
ところで、光学用途に汎用的に使用されるプラスチックの基材としては、ポリエステル(PET、PEN等)、ポリカーボネート(PC)、非晶性ポリオレフィンなどがあり、軽量・割れにくいといった優れた性質を有する。しかし、これらのプラスチックはガラスと比較すると、表面硬度が低く、傷つきやすいため、工程中の作業に不具合が生じることが問題である。また、プラスチックにハードコート層を設けてもプラスチックフィルム自体の表面硬度が低いと、十分な表面硬度が得られないため、表面硬度の高いプラスチック基材が望まれている。
アクリル系のプラスチックは表面硬度に優れ、特にアクリル系の硬化型樹脂は架橋構造を有するため、表面硬度を高くすることができる。例えば、特開2011−38031号公報(特許文献2)には多官能アクリレートを硬化させた鉛筆硬度2H以上のディスプレイ保護板が記載されている。しかし、このようなアクリル系基材は、表面硬度は高くなるが、もろくて割れやすいため、強度の点に問題がある。そのため、その表面に金属膜を形成するためには、樹脂シートを一枚ずつ金属成膜処理するというバッチ法によらざるを得なかった。長尺樹脂シートの連続成膜、例えばロール・ツー・ロールによる成膜は困難であり、特に樹脂シートの厚さが0.2mm以上ではロール・ツー・ロールの金属成膜工程は極めて困難であった。それ故、前記物性を備えた上で、連続的金属膜形成が可能で、製造コストを下げることのできる樹脂素材が望まれていた。
特許第5437436号公報 特開2011−38031号公報
本発明の目的は、表面硬度と強度に優れ、金属膜の連続成膜が可能な樹脂基材とその製造方法を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の手段により、目
的を達成しうることを見いだしたものである。すなわち、本発明は以下の[1]〜[7]に関する。
[1] 樹脂シートの巻回体から連続的に樹脂シートを巻出し、当該樹脂シートの表面に金属膜を製膜したのち、再び樹脂シートを巻回体として巻き取る、金属膜が表面に形成された樹脂シートの連続製造方法において、当該樹脂シートがアリルエステル樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする、金属膜が表面に形成された樹脂シートの連続製造方法。
[2] アリルエステル樹脂組成物が下記一般式(2)
(式中、Rはアリル基またはメタリル基を表し、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
(式中、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することが出来る。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むものである[1]に記載の樹脂シートの連続製造方法。
[3] 金属膜がアルミニウム、銀及びクロムから選択される少なくとも一種の金属膜である[1]または[2]に記載の樹脂シートの連続製造方法。
[4] 樹脂シートの厚さが0.05〜1.0mmである[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂シートの連続製造方法。
[5] 金属膜の成膜方法が真空蒸着法である[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂シートの連続製造方法。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の製造方法により得られた金属膜が表面に形成された樹脂シートを使用した反射ミラー。
[7] [1]~[5]のいずれかに記載の製造方法により得られ、金属膜が両面に形成された樹脂シートを使用した反射ミラー。
本発明で用いるアリルエステル樹脂組成物の硬化物の樹脂シートは透明性に優れ、表面硬度、強度も高く、表面に金属膜をロール・ツー・ロール法で連続的成膜可能である。これにより、製造コストを大幅に削減することが可能になった。また、前記樹脂シートは巻回体(ロール)とすることができるため、製造設備や保管場所をコンパクトにすることができる。
本発明の製造方法の概念図である。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明は樹脂シートの巻回体(「ロール」ともいう。)から連続的に樹脂シートを巻出し、当該樹脂シートの表面に金属膜を製膜したのち、再び樹脂シートを巻回体として巻き取る、金属膜が表面に形成された樹脂シートの連続製造方法において、当該樹脂シートがアリルエステル樹脂組成物の硬化物(「アリルエステル樹脂シート」と呼ぶ。)であることを特徴とする。
<金属膜を有するアリルエステル樹脂シートの連続製造方法>
アリルエステル樹脂シートの表面に金属膜を形成する方法としては、転写法、ドライコーティング法、ウェットコーティング法が挙げられる。転写法としては金属箔を接着剤により本基材に貼り付ける方法、ドライコーティング法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。ウェットコーティング法としては湿式めっき法等が挙げられる。基材の表面上に均一に薄く成膜するには真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式のものが好ましい。
樹脂シートへの金属膜の成膜法は機械によりバッチ式、連続方式があり両方式とも適用が可能である。生産性、コスト面においてロール・ツー・ロールでの連続方式(図1参照)が好ましい。
また、連続方式の場合は基材の厚さは0.05mm〜1.0mmが好ましい。0.05mm未満ではフィルムの強度が低下し、1mmを超えるとロールでの扱いが困難になることがある。本発明の基材の表面硬度と強度のバランス、生産性を考慮すると0.2〜0.5mmの厚さがより好ましい。
ロール・ツー・ロールで製造する為には、樹脂シートの厚さによらず、一定水準以上の屈曲性を有している必要がある。屈曲性の評価としては、例えば円筒形マンドレル法が挙げられる。規定の半径の円柱にフィルムを押し当て、180°に屈曲させた際の樹脂シートの破断径で評価することが可能である。屈曲性試験における樹脂シートの破断径は小さい程、製造工程中の割れ等の不具合発生の頻度が低くなる。破断径は好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは6mm以下である。ただし、ここで言う樹脂シートの屈曲性は金属膜を製膜させる前のものを指す。
また、成膜の際には樹脂シートの強度保持や、ロール状態での搬送時のブロッキング防止のために保護フィルムを貼ることも可能である。保護フィルムにはPET、ポリエチレン、ポリプロピレン製のフィルムに粘着剤を塗布したものや自己粘着のものがある。粘着剤としては例えばアクリル系やウレタン系等が挙げられる。
アリルエステル樹脂シートには用途に応じて、その片面または両面に金属膜が形成される。両面の金属膜を形成する場合、その形成は片面ずつでもよいし、両面を同時に行ってもよい。
金属成膜については、用途により、基材全体を均一に成膜する以外に部分的に成膜することも可能である。また、反射フィルムにおいては、反射を抑制した半透明であるハーフミラーにすることもできる。また、金属膜は必要とされる特性、機能を発現させるため多層に製膜することも可能である。
本発明で得られた金属膜が表面に形成された樹脂シートは必要に応じて、その裏面に粘着剤や接着剤を付与することができる。粘着剤の種類としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。接着材の種類としてはフェノール樹脂、酢酸ビニル系、クロロプレンゴム系等の溶剤系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化反応タイプ、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融タイプが挙げられる。
また、本発明の金属膜が表面に形成された樹脂シートは必要に応じ、ロール状のシートを繰り出しながら所望の形状の個片に加工することができる。加工方法の例としては鋸盤法、コンターマシン法、シャーリング法、旋盤法、ルータ加工、ガス切断法、レーザー切断法、プラズマ切断法、ウォータージェット切断法等の加工方法によって加工することができる。
<金属膜>
次に金属膜について説明する。金属膜を構成する金属の種類に特に限定はない。導電性、反射性、ガスバリア性などの機能を目的に、様々なものを用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅,錫、インジウム、クロムなどの金属、 酸化アルミニウム、酸化ケイ素、インジウム錫オキシド、酸化亜鉛などの金属酸化物、窒化ケイ素などの金属窒化物がある。反射ミラーとして使用する場合には、可視光の反射率が高いものが望ましい。また、反射像の元映像の色調を正確に反映するためには、無色(いわゆる銀色)の金属が望ましい。使用できる金属としては、アルミニウム、銀、金、チタン、ニッケル、銅,錫、インジウム、クロムやこれらの合金が挙げられる。これらの中でもアルミニウム、銀、クロムが好ましい。
<反射ミラー>
本発明の金属膜を有するアリルエステル樹脂シートは、光を反射および透過させる機能を有するため反射ミラーとして使用することができる。金属膜の種類や厚みによって透過率と反射率を制御することにより、ハーフミラーとして使用することもできる。また複数のシートを積層して使用することもできる。
<アリルエステル樹脂>
本発明のアリルエステル樹脂組成物は熱硬化性樹脂の一種である。
一般的に、「アリルエステル樹脂」というと硬化する前のプレポリマー(オリゴマーや添加剤、モノマーを含む)を指す場合とその硬化物を示す場合の二通りの場合があるが、本明細書中では「アリルエステル樹脂」は硬化物を示し、「アリルエステル樹脂組成物」は硬化前のプレポリマーを示すものとする。
<アリルエステル樹脂組成物>
本発明のアリルエステル樹脂組成物はアリル基またはメタリル基(以降、あわせて(メタ)アリル基と言う場合がある。)とエステル構造を有する化合物を主な硬化成分として含有する組成物である。
(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物は、(1)(メタ)アリル基及び水酸基を含む化合物(ここではアリルアルコールと総称する)とカルボキシル基を含む化合物とのエステル化反応、(2)(メタ)アリル基及びカルボキシル基を含む化合物と水酸基を含む化合物とのエステル化反応、または(3)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物と多価アルコールとのエステル交換反応により得ることができる。カルボキシル基を含む化合物がジカルボン酸とジオールとのポリエステルオリゴマーである場合には、末端のみアリルアルコールとのエステルとすることもできる。
(メタ)アリルアルコールとジカルボン酸からなるエステル化合物の具体例としては、下記一般式(1)
(R、Rは、それぞれ独立してアリル基またはメタリル基のいずれかの基を表し、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が挙げられる。この化合物は後述のアリルエステルオリゴマーの原料となるほか、反応性希釈剤(反応性モノマー)として本発明のアリルエステル樹脂組成物に含まれてもよい。一般式(1)中のAは後述の一般式(2)、一般式(3)におけるA、Aと同様のものが好ましい。
本発明のアリルエステル樹脂組成物の主な硬化成分である(メタ)アリル基とエステル構造を有する化合物としては、アリル基及び/またはメタリル基を末端基とし、多価アルコールとジカルボン酸とから形成されたエステル構造を有するアリルエステル化合物(以下、これを「アリルエステルオリゴマー」と記載することがある。)であることが好ましい。
また、その他の成分として、後述する硬化剤、反応性モノマー、添加剤、その他ラジカル反応性の樹脂成分等を含有してもよい。
<アリルエステルオリゴマー>
本発明のアリルエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)で表される基を末端基として有し、かつ下記一般式(3)で表される構造を構成単位として有する化合物が好ましい。
(式中、Rはアリル基またはメタリル基を表し、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)
(式中、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することが出来る。)
本発明のアリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(2)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(3)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のRも複数個存在することになるが、これらの各Rは必ずしも同じ種類でなくてもよく、ある末端はアリル基、他の末端はメタリル基という構造であってもよい。
また、全てのRがアリル基またはメタリル基でなければならないということはなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部がメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。
で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のAはベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
一般式(2)におけるAはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はAに隣接するカルボニル構造で示されている。したがって、Aの部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の(反応時において)非環状のジカルボン酸を使用してもよい。
一般式(3)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造がくり返されることによりアリルエステルオリゴマー全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎるため、Tgが低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。
アリルエステルオリゴマーの重量平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000が更に好ましい。
また、一般式(3)におけるAはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基であり、その定義及び好ましい化合物の例は一般式(2)におけるAと同様である。一般式(3)中のXは、多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。
多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。
また、多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が結合していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が残っていてもよい。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、イソシアヌル酸のエチレンオキシド3モル付加体、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド3モル付加体、D−ソルビトール及び水素化ビスフェノールA等が挙げられる。これらの化合物の製造方法としては特に制限はないが、例えば特公平6−74239号公報に挙げられる方法で製造することができる。
アリルエステルオリゴマー中の一般式(3)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていてもよいが、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプであってもよい。この場合、一つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの一つがプロピレングリコール由来の残基、もう一つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるというような構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。Aも同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にRがアリル基、A,Aがイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
<硬化剤>
本発明のアリルエステル樹脂組成物には硬化剤を使用してもよい。使用できる硬化剤としては特に制限はなく、一般に重合性樹脂の硬化剤として用いられているものを用いることができる。中でも、アリル基の重合開始の点からラジカル重合開始剤を添加することが望ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光重合開始剤、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の公知のものが使用可能であり、その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパオーキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及び2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキシン−3等が挙げられる。
また、上記の光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いてもよい。
これらの硬化剤の配合量には特に制限はないが、アリルエステル樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部配合することが好ましく、0.5〜5質量部配合することがより好ましい。硬化剤の配合量が0.1質量部より少ないと充分な硬化速度が得ることが困難であり、また配合量が10質量部を超えると、最終的な硬化物がもろくなり、機械強度が低下する場合がある。
<反応性モノマー>
本発明のアリルエステル樹脂組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。
これらの反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;
フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;
更に、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイロキシピリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;
更にペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の四官能以上の架橋性基を有するモノマーが挙げられる。
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5質量部〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下効果が小さく、作業性が悪化したり、また、反応性モノマーとして単官能性モノマーを使用した場合には、架橋密度が低くなり硬度が不十分になることがあるため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性や機械強度が低下する場合があり好ましくない。
<ラジカル反応性の樹脂組成物>
本発明のアリルエステル樹脂組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。これら樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第16頁〜第18頁及び第29頁〜第37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第336頁〜第357頁などに記載されており、その製造は、公知の方法により行うことができる。
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上を混合または組み合わせて用いることができる。
これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5質量部〜100質量部であることが特に好ましい。
反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性が悪化したり、成形性が悪化したりするため好ましくない。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合があり好ましくない。
<添加剤>
本発明のアリルエステル樹脂組成物には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、滑剤、撥水剤、難燃剤、低収縮剤、架橋助剤などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
滑剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤などが好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いられても良い。
上記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
しかし、これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
<アリルエステル樹脂組成物の硬化物>
本発明のアリルエステル樹脂組成物を光及び/または熱を加えて硬化させることによって、透明性、耐熱性に優れたフィルムあるいはシートの基材を得ることが出来る。
ここで、フィルムは、通常、膜厚が250μm未満のものを指し、シートは厚みが250μm以上のものを指すが、本発明においてはフィルムもシートに含まれるものとする。
本発明の樹脂組成物からアリルエステル樹脂シートを作製するにあたっては、一定の表面硬度が得られれば、どのような硬化方法を選択してもよい。一定以上の表面硬度を得るには、樹脂組成物をフィルム形状に塗工した後、光硬化及び熱硬化手法、もしくは熱硬化手法のみをとるのが好ましい。
アリルエステル樹脂組成物を硬化させる際の条件等には特に制限はないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなどの透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上に塗工し流延させた後、光硬化及び熱硬化、もしくは熱硬化を実施するのが好適である。
光硬化の場合、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ、LEDランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20〜5000mJ/cm程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
熱硬化の場合、加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は約100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。硬化時間は、硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5分〜5時間、遠赤外線オーブンであれば0.5〜60分間が好ましい。
また、光重合開始剤を用いた紫外線硬化や、有機過酸化物やアゾ化合物を用いた熱硬化は、ラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受けやすい。硬化反応時の酸素阻害を防止するため、硬化性組成物は、透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板等のベースシート、ベースフィルム上へ塗工、流延後、光硬化を実施する前に、硬化性組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された硬化性組成物表面の酸素濃度を1%以下にすることが好ましい。透明カバーフィルムは、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さいもので、かつ紫外線硬化や熱硬化時に発生する熱に耐えられるものを使用する必要がある。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、アセテート樹脂、アクリル樹脂、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー(ノルボルネン樹脂)等のフィルムであり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。
ただし、硬化後の硬化物との剥離が可能でなければならないため、これらのベースシート、ベースフィルム、透明カバーフィルムの表面にシリコーン樹脂塗布、フッ素樹脂塗布等の易剥離処理が施されていてもよい。
本発明のアリルエステル樹脂組成物は液状であることから、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布、塗工等を行うことができる。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、スピナーコート等が挙げられる。なお、塗布、塗工、成形時のアリルエステル樹脂組成物の好ましい粘度範囲としては常温で100〜100,000mPa・sの範囲である。
また、本発明のアリルエステル樹脂シートは金属膜の密着性を高める為に表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては表面にプライマー層を設ける方法や、プラズマ処理、コロナ放電処理等の表面処理が挙げられる。プライマー層を設ける方法としては、成形用のベースシート、ベースフィルム、カバーフィルムを除いた後に、プライマー層をアリルエステル樹脂シート表面に設ける方法や硬化成形の際にアリルエステル樹脂シート表面に転写させる方法などが挙げられる。
<反射ミラー>
本発明のアリルエステル樹脂シートの表面に金属膜を形成することで反射ミラーとすることができる。金属膜はアリルエステル樹脂シートの片面あるいは両面に形成することができる。本発明のアリルエステル樹脂シートは高透明であるので、片面に形成された金属膜の樹脂側からの入射光も反射することができる。
アリルエステル樹脂シートの表面硬度は鉛筆硬度でH以上が好ましく、2H以上がより好ましい。H未満だと作業工程上で傷がつくなどして、反射ミラーとしたときに不具合を生じる虞がある。
また、本発明のアリルエステル樹脂シートには前述の鉛筆硬度の他にも、全光線透過率が高いこと、ヘイズ値(曇価)が低いことが望まれる。それにより片面金属膜反射ミラーに用いた際に、高精細な反射像が得られる。全光線透過率は好ましくは90%以上であり、更に好ましく91%以上である。ヘイズ値は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
さらに、高精細な画像を得る点では「アッベ数」「平滑性」も重要な特性となる。アッベ数は屈折率の波長依存性を示す数値であり、アッベ数が低すぎると像が不鮮明になる可能性がある。アッベ数は好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。平滑性は特に金属膜を製膜した面で重要であり、平滑性が低すぎると像がぼやけたように見え、質感を損なう可能性がある。平滑性は算術平均粗さ「Ra」で表した場合に、好ましくは10nm未満、更に好ましくは5nm未満、特に好ましいのは2nm未満である。更に、ハンドリング性の点では基材の比重は低い方が好ましい。
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
実施例及び比較例、参考例に記載のシートの全光線透過率、鉛筆硬度等は、以下の方法により測定した。
[全光線透過率]
全光線透過率は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を使用し、JIS K−7361−1に準拠して測定した。
[Haze]
全光線透過率は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を使用し、JIS K−7136に準拠して測定した。
[アッベ数]
アタゴ株式会社製、多波長アッベ屈折率計DR−M4を用い、C線(656nm)、D線(589nm)、F線(486nm)の屈折率を測定し、以下計算式からD線におけるアッベ数を算出した。
νD=(nD−1)/(nF−nC)
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度は安田精機工業社製電動鉛筆引っかき硬度試験機No.553−Mを使用し、JIS K5600−5−4に準拠し測定した。
[ロール搬送適合性(屈曲性)]
円筒形マンドレルの各種径の棒にシートを押し当て、180°屈曲させ、破断の有無を確認した。直径の大きい棒から始め、破断が発生した時点での棒の直径で屈曲性の良否を判断した。破断時の直径が小さいほど屈曲性は良好といえる。
[比重]
比重はアルファミラージュ製株式会社製電子比重計を用いて水中置換法にて測定した。測定試料の大きさは50mm×50mm×所定の厚さmm、測定温度は23℃とした。
[算術平均平均粗さ(Ra)]
算術平均平均粗さ(Ra)は株式会社日立ハイテク社製走査型プローブ顕微鏡Nanocute
を用いて測定した。
[合成例1]
蒸留装置の付いた2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン167g、ジブチル錫オキサイド0.8gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成するアリルアルコールを系外に留去しながら加熱した。留去したアリルアルコールが約170gになったところで、反応系内を徐々に、4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アリルアルコールの留出速度を速めた。留出がほとんど無くなったところで、圧力を0.5kPaとし、1時間反応させた後、室温まで冷却しアリルエステルオリゴマーAを得た。
[実施例1]
合成例1で作成したオリゴマーA100質量部に対し、ペンタエリストールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、「NKエステルA−TMMT」)10質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社(現 BASFジャパン株式会社)製、「イルガキュア(登録商標)184」)0.5質量部、パーヘキシル(登録商標)I(日油株式会社)を1質量部加え十分撹拌し硬化性樹脂組成物Bを得た。ロール状に巻回された長尺PETポリエチレンテレフタレート)フィルムをロールから巻き出しながら、組成物Bをその上に、硬化後の厚さが0.3mmとなるように連続的に塗布した。塗工液表面をロールから巻き出したPET製カバーフィルムで覆い、紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて200mW/cm、800mJ/cm2の条件で紫外線を連続的に照射させた後、150℃に設定した加熱炉に滞留時間が10分となるように投入した。連続的に硬化後のシートを加熱炉から取り出し、ベースフィルムおよびカバーフィルムを剥がし、更にキャリアーフィルムとしてPET製の保護フィルムを貼合しつつ、厚さ0.3mmの基材シートAをロール条に巻き取った。
ロール形状の基材シートA(基材シートAの巻回体)から基材シートAを繰り出しながら前記PET製保護フィルムと反対側の面に真空蒸着法によりアルミニウムを連続的に蒸着し、アルミニウム膜を有する金属膜シートCを得た。金属膜シートCは連続的にロール状に巻き取られ巻回体とした。この金属膜シートCの蒸着面の、波長380−780nmの領域の平均反射率は87%、ロール長基準の収率は90%であった。
[実施例2]
金属膜シートCの片面の保護フィルムを剥がし、ロール形状の基材から繰り出しながら、その面に更にアルミニウムを蒸着し、両面に金属膜を有する厚さ0.3mmの金属膜シートDを得た。ロール長基準の収率は90%であった。
[比較例1]
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製A−DCP)100質量部に対し、パーオクタO(日油株式会社製)を1質量部添加し、室温で均一となるまで撹拌した。ガラス板とPETフィルム製スペーサー0.35mmを用いて作成した型に注ぎ込み、65℃/1h、100℃/2hかけて硬化した。脱型後、130℃/1hかけて最終硬化させ、硬化物(基材シート)を得た。この硬化物の屈曲性は12mmであり、十分な屈曲性を示さなかった。
この硬化物の片面にキャリアーフィルムとしてPET製の保護フィルムを貼合し、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、アルミニウム膜を有するシート得た。このシートの屈曲性は12mmであり、十分な屈曲性を示さなかった。このため、ロール・ツ−・ロールによる連続金属膜蒸着は不可能であった。
[参考例1〜2]
市販のソーダライムガラス板、ポリカーボネート板についても実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
表1、表2より、本発明のアリルエステル樹脂を用いて成形される基材は、ロール・ツー・ロールによる金属膜を製膜する点で好適であり、金属膜を有する基材も高収率で得られる。
本発明のアリルエステル樹脂シートはロール・ツー・ロール法で連続的に金属膜を形成することができ、製造コストを抑制することができる。金属膜が形成されたアリルエステル樹脂シートは表面硬度が高く、軽くて、強度に優れるため好適な成形体を得ることができる。特に、光反射ミラー、光制御パネル等の光学用途に有用であり、各種の電気・電子機器、オーディオ機器への利用可能である。

Claims (7)

  1. 樹脂シートの巻回体から連続的に樹脂シートを巻出し、当該樹脂シートの表面に金属膜を製膜したのち、再び樹脂シートを巻回体として巻き取る、金属膜が表面に形成された樹脂シートの連続製造方法において、当該樹脂シートがアリルエステル樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする、金属膜が表面に形成された樹脂シートの連続製造方法。
  2. アリルエステル樹脂組成物が下記一般式(2)
    (式中、Rはアリル基またはメタリル基を表し、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表す。)で示される基を末端基として有し、かつ一般式(3)
    (式中、Aはジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する一種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を構成単位とする分岐構造を有することが出来る。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含むものである請求項1に記載の樹脂シートの連続製造方法。
  3. 金属膜がアルミニウム、銀及びクロムから選択される少なくとも一種の金属膜である請求項1または2に記載の樹脂シートの連続製造方法。
  4. 樹脂シートの厚さが0.05〜1.0mmである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂シートの連続製造方法。
  5. 金属膜の成膜方法が真空蒸着法である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂シートの連続製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の製造方法により得られた金属膜が表面に形成された樹脂シートを使用した反射ミラー。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載の製造方法により得られ、金属膜が両面に形成された樹脂シートを使用した反射ミラー。

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