JP2008094461A - ロール状光学フィルムの包装方法及びその包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロール変形を抑制できるロール状光学フィルムの包装方法及びその包装体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の包装体10は、光硬化型樹脂層を少なくとも1層を有する光学フィルム14をロール状に巻き取って成るロール状光学フィルム12が、日射反射率70%以上の包材18によって包装される。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の包装体10は、光硬化型樹脂層を少なくとも1層を有する光学フィルム14をロール状に巻き取って成るロール状光学フィルム12が、日射反射率70%以上の包材18によって包装される。
【選択図】 図1
Description
本発明はロール状光学フィルムの包装方法及びその包装体に係り、特に液晶表示装置等に用いる光学補償フィルムや偏光板フィルム等のロール体を保管・輸送・荷受け渡しする際に搬送するための包装方法及びその包装体に関する。
液晶表示装置などに使用される光学フィルムは、ロール状に巻き取った形態で保管・輸送され、次工程に送られる。その際、物流状態における劣化(変形・キズ発生など)を防ぐため、様々な保管方法が提案されている。
たとえば特許文献1には、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)を抑える手段として、温度が40℃以下、透湿度(JIS−Z−0208規定)が0〜10g/m2の包装材料で包装、保管することが提案されている。
また、特許文献2には、ロール状の熱可塑性樹脂フィルムを、温度変化幅が10℃以内及び/又は温度変化率が1時間あたり±5℃以内である雰囲気中に保管することが提案されている。
特開2004−189288号公報
特開2004−325691号公報
しかしながら、従来の方法は、分子性液晶層などの光硬化性樹脂層を少なくとも1層含むロール状光学フィルムを包装した包装体を保管・輸送・荷受け渡した際に、ロール状光学フィルムが変形し、光学フィルム光学特性が低下することがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ロール変形を確実に防止できるロール状光学フィルムの包装方法及びその包装体を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、光硬化型樹脂層を少なくとも1層を有する光学フィルムをロール状に巻き取って成るロール状光学フィルムを包装する包装方法において、前記ロール状光学フィルムを、日射反射率70%以上の包材で包装することを特徴とする。
本発明の発明者は、ロール状光学フィルムの包装体を保管・輸送・荷受け渡した際にロール状光学フィルムが変形する原因として光(特に太陽光)に着目し、包装体に光が当たった際に光が当たった所と当たらない所で包装体の内部に温度差及び湿度差が生じ、熱膨張差や湿度膨張差に伴うロール変形が発生するという知見を得た。また、本発明の発明者は、包装体に光が当たった際に光硬化樹脂層の硬化残留分と光が当たったところが反応することにより、光が当たらない場所とで膜面伸縮差が生じ、変形・傷つきを生ずるという知見を得た。
さらに本発明の発明者は、包材の日射反射率を70%以上(100%以下)とすることによって、上記の問題を解消できるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、請求項1の発明は、日射反射率70%以上の包材で包装するので、包装体に光が当たった場合にもその光の殆どを反射することができ、包装体の内部に温度差及び湿度差が生じることを抑制することができる。したがって、包装体の保管・輸送・荷受け渡し時に、光硬化性樹脂層を有する光学フィルムに変形・傷が生じることを防止することができる。なお、日射反射率は、JIS−R−3106準拠による値とする。また、包装体の内部の温度差は25℃以内、好ましくは20℃以内に抑制することが望ましい。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記包材は、その外面が蒸着フィルム又は金属箔であることを特徴とする。請求項2の発明によれば、包材の外面が蒸着フィルム又は金属箔であるので、日射反射率に優れている。
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記包材は透湿度(0g/m2・day以上)5.4g/m2・day以下であることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、透湿度の低い包材を用いたので、包装体内のロール状光学フィルムの湿度変化速度を好ましい範囲内(たとえば4%/分以下、好ましくは1.3%以下)に抑制することができる。したがって、包装体の内部に湿度差が発生することを抑制することができ、包装体の保管・輸送・荷受け渡し時に光学フィルムの変形、傷が発生することを抑制することができる。なお、透湿度は、40℃90%環境下のJIS−Z−0208で規定する値とする。
請求項4に記載の発明は前記目的を達成するために、光硬化型樹脂層を少なくとも1層を有する光学フィルムをロール状に巻き取って成るロール状光学フィルムが、包材によって包装されたロール状光学フィルムの包装体において、前記包材は日射反射率70%以上であることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、包材の日射反射率が70%以上であるので、包装体に光が当たった場合にも包材で反射することができ、包装体の内部に温度差が生じることを抑制することができる。したがって、包装体の保管・輸送・荷受け渡し時に、光硬化性樹脂層を有する光学フィルムに変形・傷が生じることを防止することができる。
請求項5に記載の発明は請求項4の発明において、前記包材は外面が蒸着フィルム又は金属箔であることを特徴とする。請求項5の発明によれば、包材の外面が蒸着フィルム又は金属箔であるので、日射反射率に優れている。
請求項6に記載の発明は請求項4又は5の発明において、前記包材は透湿度5.4g/m2・day以下であることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、透湿度の低い包材を用いたので、包装体内のロール状光学フィルムの湿度変化速度を好ましい範囲内(たとえば4%/分以下、好ましくは1.3%以下)に抑制することができる。したがって、包装材の内部の光学フィルムに変形、傷が発生することを防止することができる。
本発明によれば、日射反射率が70%以上の包材を用いて光学フィルムを包装したので、包装体に太陽光が当たった際に包装体の内部に温度差及び湿度差が生じることを抑制でき、包装体の内部の光学フィルムに変形・傷が生じることを防止することができる。
添付図面に従って本発明に係るロール状光学補償フィルムの包装方法及び包装体の好ましい実施形態について説明する。
図1は、ロール状光学フィルムと包材を示す斜視図であり、図2は、ロール状光学フィルムを包材で包装した包装体を示す斜視図である。
図1に示すように、ロール状光学フィルム12は、円筒状の巻芯16を有し、この巻芯16に長尺状の光学フィルム14がロール状に巻き付けられている。巻芯16の幅寸法は、光学フィルム14の幅寸法よりも大きく形成されており、光学フィルム14は巻芯16の幅方向の略中央位置に巻き付けられている。したがって、ロール状光学フィルム12は、巻芯16の両端部が光学フィルム14から突出した状態になっている。
光学フィルム14は、後述するように、その表面に少なくとも一層の光硬化性樹脂層を備えている。
また、光学フィルム14は、その幅方向の両端部位置にローレット(図3参照)14A、14Aが形成されている。ローレット14Aは、エンボス、ナーリングとも称される微小な凹凸であり、フィルムをロール状に巻取る際の端面ズレや巻き緩みの防止を目的として、たとえば高さ5μm〜50μm、或いは、フィルム膜厚の0.05〜0.3で形成される。
一方、包材18は、円筒状に形成され、その幅寸法は、光学フィルム14の幅寸法よりも大きく形成される。包材18の内径はロール状光学フィルム12の外径よりも大きく形成されており、ロール状光学フィルム12に包材18を被せることができるようになっている。なお、包材18は、矩形のシート状のものを用いてもよく、この場合には、ロール状光学フィルム12を包材18で包んで円筒状にした後、包材18の縁を粘着テープ等で貼り付けて固定するとよい。
包材18は、その外面が日射反射率70%以上(JIS−R−3106準拠)のものが使用される。たとえば、ポリエチレン(PET)の外面にアルミ蒸着を施した包材18が使用される。なお、包材18は、日射反射率が70%以上のものであればよく、アルミ以外の金属蒸着をしたものや、アルミ箔などの金属箔を用いてもよい。また、包材18の日射反射率は80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。このような包材18を用いて図2の包装体10を形成することによって、包装体10の内部の温度差を25℃以内、好ましくは20℃以内に抑制することができる。
また、包材18は、40℃90%RH環境下の透湿度が5.4g/m2・day以下のものを用いることが好ましい。このような透湿度の包材18を用いることによって、包装体10の内部の湿度変化速度を4%/分以下に抑えることができる。
上記の如く構成された包材18は、図2に示すように、ロール状光学フィルム12に被せられ、その両端部にゴムバンド20、20が外嵌される。このゴムバンド20によって包材18の両端部が巻芯16の外周面に密着した状態で固定される。これにより、包材18でロール状光学フィルム12を包んだ包装体10が形成される。なお、包材18の固定方法はゴムバンド20に限定されるものではなく、粘着テープ等で巻芯16に貼り付けることによって固定してもよい。
次に上記の如く構成された包装体10の作用について説明する。図3(A)、図3(B)は、従来の包装体(すなわち、日射反射率が70%未満の包材で包装した包装体)におけるロール状光学フィルム12の故障を説明する模式図である。
従来の包装体の場合、包装体に太陽光が当たると、包装体の内部では当たった側と当たらない側とで温度差が発生し、さらに温度差に伴う湿度差が発生する。その結果、両者の間で光学フィルム14の熱膨張差又は湿度膨張差が生じ、ベコ故障と呼ばれるロール状光学フィルム12の変形が発生する。ベコ故障とは、図3(B)に示すように、光学フィルム14の幅方向の端部がローレット14A、14Aによって固巻きされているのに対して、中央部では巻きが緩いために変形する現象であり、巻取り時のテンションを上げるほど発生しやすくなる。このため、従来は、前段の加工装置において巻取りテンションを上げることができず、光学フィルム14の長尺化や搬送速度の増加に対応することができない。
これに対して、本実施の形態の包装体は、日射反射率70%以上の包材18によって包装されている。したがって、太陽光が包装体10に当たった場合にも、太陽光の殆どが包材18で反射され、包装体10に吸収させないので、包装体10の内部に温度差、湿度差が生じることを防止できる。これにより、光学フィルム14が変形してベコ故障を発生することを防止でき、巻取りテンションが高いロール状光学フィルム14の場合にも包装体10での不具合を防止することができる。よって、本実施の形態によれば、包装前の加工ラインにおいて巻取りテンションを増加させることができるので、光学フィルム14を長尺化したり、搬送速度を高めたりすることが可能となる。
次に、光硬化型樹脂層を少なくとも一層有する光学フィルム14について説明する。この光学フィルム14としては、たとえばセルロースエステルフィルムに分子性液晶層を積層して成るLCD用光学補償フィルムが用いられる。以下、LCD用光学補償フィルムについて説明する。
[LCD用光学補償シート]
以下にセルロースアセテートフィルム透明支持体上にディスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フィルムとして用いる液晶表示装置について記載するが、これに限定されるものではない。
以下にセルロースアセテートフィルム透明支持体上にディスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フィルムとして用いる液晶表示装置について記載するが、これに限定されるものではない。
これらに用いられるディスコティック化合物については特開平7−267902号、特開平7−281028号、特開平7−306317号の各公報に詳細に記載されている。それらによると、光学異方層はディスクティック構造単位を有する化合物から形成される層である。即ち、光学異方層は、モノマー等の低分子量の液晶性ディスコティック化合物層、または重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られるポリマー層である。それらのディスクティック(円盤状)化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスクティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、前記公報において円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば前記低分子ディスコティツク液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。さらに、ディスコティックネマティック相または一軸性の柱状相を形成し得る、円盤状化合物の少なくとも一種を含有し、かつ光学異方性を有することを特徴とする化合物を用いることが好ましい。また円盤状化合物がトリフェニレン誘導体であることが好ましい。ここで、トリフェニレン誘導体が、特開平7−306317号公報に記載の(化2)で表される化合物であることが好ましい。
また、セルロースアセテートフィルムは、配向膜の支持体として好ましく用いられる。それらは特開平9−152509号公報に詳細に記載されているものを適用できる。すなわち、配向膜は本発明で作製されたセルロースアセテートフィルム上又はそのセルロースアセテートフィルム上に塗設された下塗層上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。ここで配向膜は、光学異方層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でも良い。
配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向膜用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビルアルコールを挙げることができる。
中でもアルキル変性のポリビニルアルコールは特に好ましく、液晶性ディスコティック化合物を均一に配向させる能力に優れている。これは配向膜表面のアルキル鎖とディスコティック液晶のアルキル側鎖との強い相互作用のためと推察される。また、アルキル基は、炭素原子数6〜14が好ましく、更に、−S−、−(CH3)C(CN)−または−(C2 H5)N−CS−S−を介してポリビニルアルコールに結合していることが好ましい。上記アルキル変性ポリビニルアルコールは、未端にアルキル基を有するものであり、ケン化度80%以上、重合度200以上が好ましい。また、上記側鎖にアルキル基を有するポリビニルアルコールは、クラレ(株)製のMP103、MP203、R1130などの市販品を利用することができる。
また、LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
更に、本発明のセルロースアセテートフィルムに適用される配向膜は、上記ポリマーに反応性基を導入することにより、あるいは上記ポリマーをイソシアネート化合物及びエポキシ化合物などの架橋剤と共に使用して、これらのポリマーを硬化させることにより得られる硬化膜であることが好ましい。
配向膜に用いられるポリマーと、光学異方層の液晶性化合物とが、これらの層の界面を介して化学的に結合していることが好ましい。配向膜のポリマーが、ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基で、少なくとも一個のヒドロキシル基が置換されたポリビニルアルコールから形成されていることが好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基が、エーテル結合、ウレタン結合、アセタール結合またはエステル結合を介してポリビニルアルコール誘導体のポリマー鎖に結合していることが好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基が、芳香族環を持たないことが好ましい。上記ポリビニルアルコールが、特開平9−152509号公報に記載の(化22)であることが好ましい。
また、前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiOを代表とし、TiO2 、ZnO2 等の金属酸化物、あるいやMgF2等のフッ化物、さらにAu、Alなどの金属が挙げられる。尚、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。光学異方層を配向膜を使用せずに配向させる方法として、支持体上の光学異方層をディスコティック液晶層を形成し得る温度に加熱しながら、電場あるいは磁場を付与する方法を挙げることができる。
セルロースアセテートフィルムは、特開平8−5837号、特開平7−191217号、特開平8−50206号、特開平7−281028号の各公報に詳細に記載されている下記の基本構成を有する光学補償シートに用いることができる。セルロースアセテートフィルム及びその上に設けられた光学異方層からなる光学補償シートが適用例であり、該光学異方層がディスコティック構造単位を有する化合物から形成される層である。LCDへの適用例としては、偏光板の片側に上記光学補償シートを粘着剤を介して貼り合わせる、もしくは、偏光素子の片側に保護フィルムとして、上記光学補償シートを接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。光学異方素子は少なくともディスコティック構造単位(ディスコティック液晶が好ましい)を有することが好ましい。
該ディスコティック構造単位の円盤面(以下、単に「面」とも言う)が、セルロースアセテートフィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面とセルロースアセテートフィルムとのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化していることが好ましい。
セルロースアセテートフィルムと一緒に用いられる上記光学補償シートの好ましい態様は下記のとおりである。
(b1)角度の平均値が、光学異方層の深さ方向において光学異方層の底面からの距離の増加と共に増加している。
(b2)該角度が、5〜85°の範囲で変化する。
(b3)該角度の最小値が、0〜85°の範囲(好ましくは0〜40°)にあり、その最大値が5〜90°の範囲(好ましくは50〜85°)にある。
(b4)該角度の最小値と最大値との差が、5〜70度の範囲(好ましくは10〜60°)にある。
(b5)該角度が、光学異方層の深さ方向でかつ光学異方層の底面からの距離の増加と共に連続的に変化(好ましくは増加)している。
(b6)光学異方層が、さらにセルロースアセテートを含んでいる。
(b7)光学異方層が、さらにセルロースアセテートブチレートを含んでいる。
(b8)光学異方層と透明支持体との間に、配向膜(好ましくはポリマーの硬化膜)が形成されている。
(b9)光学異方層と配向膜との間に、下塗層が形成されている。
(b10)光学異方層が、光学補償シートの法線方向から傾いた方向に、0以外のレターデーションの絶対値の最小値を有する。
(b11)該配向膜が、ラビング処理されたポリマー層である上記(b8)記載の光学補償シート。
該光学異方層へ添加することで、該光学異方層の配向温度を変えることのできる有機化合物を含むことが好ましい。該有機化合物が、重合性基を有するモノマーであることが好ましい。
セルロースアセテートフィルムが適用される表記の光学補償シートの作製方法については、例えば特開平9−73081号、特開平8−160431号、特開平9−73016号の各公報に詳細に記載されているが、これらに限定されるものではない。
以下にこの光学補償シートの作製方法についての一例を示す。
(c1)送り出された長尺状のセルロースアセテートフィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥して透明樹脂層を形成される。
(c2)該透明樹脂層の表面に、ラビングローラを用いてラビング処理を施して透明樹脂層を配向膜を形成させる。ラビングロールを該フィルム基板の連続搬送工程内にある2つの搬送用ロール間に配置し、回転する該ラビングロールに該フィルム基板をラップさせながら該フィルム基板を搬送することによって、連続して該フィルム基板上の配向膜表面にラビング処理を施すことが好ましい。フィルム基板の搬送方向に対し、回転軸を傾けてラビングロールを配置することも可能である。ラビングロール自身の真円度、円筒度、振れがいずれも30μm以下であることが好ましい。上記記載のラビング方法を用いた装置において、装置内に1セット以上の予備のラビングロールを備えていることが好ましい。
(c3)液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を、該配向膜上に塗布する。塗布はディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等の方法を適宜使用することができる。
該透明樹脂層の表面のラビング処理を、ラビングローラを除塵しながら実施し、且つラビング処理した樹脂層の表面を除塵することが好ましい。液晶性ディスコティック化合物として架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を用いられる。形成された塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、溶媒の大部分を蒸発させた塗布層を加熱することにより、ディスコティックネマティック相の液晶層とすることからなることが好ましい。該塗布層表面の気体層のシールは、塗布層の表面に沿って気体を塗布層の移動速度に対して−0.1〜0.1m/秒の相対速度となるように移動させることが好ましい。上記溶媒を抑制下に蒸発させるには、塗布層中の溶媒含有量の減少速度が時間と比例関係にある期間内に行なうことが好ましい。
該透明樹脂層の表面のラビング処理を、ラビングローラを除塵しながら実施し、且つラビング処理した樹脂層の表面を除塵することが好ましい。液晶性ディスコティック化合物として架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を用いられる。形成された塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、溶媒の大部分を蒸発させた塗布層を加熱することにより、ディスコティックネマティック相の液晶層とすることからなることが好ましい。該塗布層表面の気体層のシールは、塗布層の表面に沿って気体を塗布層の移動速度に対して−0.1〜0.1m/秒の相対速度となるように移動させることが好ましい。上記溶媒を抑制下に蒸発させるには、塗布層中の溶媒含有量の減少速度が時間と比例関係にある期間内に行なうことが好ましい。
(c4)該塗布された層を乾燥した後、加熱してディスコティックネマティック相の液晶層を形成させ、連続的に該液晶層に光照射してディスコティック液晶を硬化させることが好ましい。該塗布層の加熱を、該透明樹脂フィルムの液晶層を持たない側に、熱風または遠赤外線を付与することにより、あるいは加熱ローラを接触させることにより行なうことが好ましい。また該塗布層の乾燥後の加熱を、該透明樹脂フィルムの両面に、熱風または遠赤外線を付与することにより行なうことが好ましい。
(c5)配向膜及び液晶層が形成されたセルロースアセテートフィルムを巻き取ることが好ましい。
[LCD用光学補償シートの応用法]
次にセルロースアセテートフィルムをパネルへ応用する例を示す。それらは、特開平8−95034号、特開平9−197397号、特開平11−316378号の各公報に詳細に記載されている。前記各公報に記載されている光学補償シートは、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。液晶セルのモードは、VAモード、TNモード、またはOCBモードであることが好ましい。
次にセルロースアセテートフィルムをパネルへ応用する例を示す。それらは、特開平8−95034号、特開平9−197397号、特開平11−316378号の各公報に詳細に記載されている。前記各公報に記載されている光学補償シートは、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。液晶セルのモードは、VAモード、TNモード、またはOCBモードであることが好ましい。
[防眩フィルム、反射防止フィルム]
セルロースアセテートフィルムは、また防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、セルロースアセテートフィルムの片面または両面に防眩層、反射防止層の何れかあるいは両方を付与することができる。このような機能を付与したフィルムは防眩フィルム、反射防止フィルムと呼ばれ、防眩層と反射防止層の両方を具備したものを防眩性反射防止フィルムと呼ぶ。一般的に防眩フィルムならば透明支持体と防眩層から構成され、反射防止フィルムならば透明支持体上に単層から複数層の光干渉層から成る反射防止層が最表面に設けられ、必要に応じてハードコート層、防眩層が支持体と光干渉層の間に設けられる。
セルロースアセテートフィルムは、また防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、セルロースアセテートフィルムの片面または両面に防眩層、反射防止層の何れかあるいは両方を付与することができる。このような機能を付与したフィルムは防眩フィルム、反射防止フィルムと呼ばれ、防眩層と反射防止層の両方を具備したものを防眩性反射防止フィルムと呼ぶ。一般的に防眩フィルムならば透明支持体と防眩層から構成され、反射防止フィルムならば透明支持体上に単層から複数層の光干渉層から成る反射防止層が最表面に設けられ、必要に応じてハードコート層、防眩層が支持体と光干渉層の間に設けられる。
透明支持体としては、LCD用途にはセルロースアセテートフィルムが好ましく、特にはセルロースアセテートが好ましい。本発明の防眩、反射防止フィルムをLCDに用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面やディスプレイ内部の空気との界面に配置する。セルローストリアセテートは偏光板の偏光子を保護する保護フィルムに用いられるため、本発明の防眩、反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコスト、ディスプレイの薄手化の観点で好ましい。
以下に、まず好ましい防眩フィルム、反射防止フィルムの実施態様を記述する。
(態様A1) セルロースアセテートフィルムと少なくとも1層の屈折率が1.30から1.49の含フッ素樹脂からなる低屈折率層を含む防眩性反射防止フィルムにおいて、該セルロースアセテートフィルムと低屈折率層の間に屈折率が1.50から2.00であるバインダを含む防眩層を有することを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
(態様A1−2) セルロースアセテートフィルムと少なくとも1層の屈折率が1.30から1.49の含フッ素樹脂からなる低屈折率層を含む防眩性反射防止フィルムにおいて、該セルロースアセテートフィルムと低屈折率層の間に屈折率が1.50から2.00であるバインダを含むハードコート層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
(態様A2) 前記本発明で作製されたセルロースアセテートフィルムと防眩層の間に少なくとも1層のハードコートを有することを特徴とする態様A1に記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A3) 前記含フッ素樹脂からなる低屈折率層が熱または電離放射線硬化性を有することを特徴とする態様A1またはA1−2またはA2に記載の防眩性反射防止又はクリア型反射防止フィルム。
(態様A4) 前記防眩層がマット微粒子と電離放射線硬化性樹脂を含むバインダから成ることを特徴とする態様A3に記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A4−1) 前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂を含むバインダから成ることを特徴とする態様A1−2に記載の反射防止フィルム。
(態様A5) 前記防眩層において、マット微粒子と電離放射線硬化性樹脂を含むバインダとの屈折率差が0.05未満であることを特徴とする態様A4に記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A6) 前記防眩層において、前記マット微粒子の平均粒径が1μm〜10μmであることを特徴とする態様A4に記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A7) 前記防眩層において、前記1.50から2.00の屈折率を有するバインダが高屈折率モノマーと3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとの混合物の熱または電離放射線硬化物であることを特徴とする態様A4に記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A8) 前記防眩層において、前記1.50から2.00の屈折率を有するバインダがAl、Zr、Zn、Ti、In、Snから選ばれる金属の酸化物超微粒子と3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとの混合物の熱または電離放射線硬化物であることを特徴とする態様A4に記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A9) 前記含フッ素樹脂からなる低屈折率層が動摩擦係数0.03から0.15、且つ水に対する接触角が90から120°であることを特徴とする態様A4から態様A8のいずれか1つに記載の防眩性反射防止フィルム。
(態様A10) 態様A1からA9のいずれか1つに記載した防眩性反射防止フィルムを、偏光板における偏光層の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
(態様A11) 態様A1からA9のいずれか1つに記載の防眩性反射防止フィルムまたは態様A10に記載の防眩性反射防止偏光板の反射防止層をディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
(態様A12) 屈折率が1.65乃至2.40である高屈折率層と、屈折率が1.20乃至1.55である低屈折率層とを有する反射防止膜であって、高屈折率層が、1乃至200nmの平均粒径を有する無機微粒子を5乃至65体積%および架橋しているアニオン性基を有するポリマーを35乃至95体積%含むことを特徴とする態様1に記載の反射防止膜。
(態様A12−1) 屈折率が1.65乃至2.40である高屈折率層と屈折率が1.4乃至1.7である中屈折率層と屈折率が1.2乃至1.55である低屈折率層とを低、高、中の屈折率順に積層した反射防止膜。積層時には中屈折率層は高屈折率と低屈折率の間に屈折率を調整する。
(態様A13) 高屈折率層のアニオン性基を有するポリマーが、リン酸基またはスルホン酸基をアニオン性基として有する態様A12に記載の反射防止膜。
(態様A14) 高屈折率層のアニオン性基を有するポリマーが、さらにアミノ基またはアンモニウム基を有する態様A12に記載の反射防止膜。
(態様A15) 高屈折率層の無機微粒子が、1.80乃至2.80の屈折率を有する態様A12に記載の反射防止膜。
(態様A16) 高屈折率層が塗布により形成された層であり、アニオン性基を有するポリマーが層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成されたポリマーである態様A12に記載の反射防止膜。
(態様A17) 低屈折率層が、含フッ素樹脂からなり、熱または電離放射線硬化性を有することを特徴とする態様A12に記載の反射防止膜。
(態様A18) 低屈折率層が、0.5乃至200nmの平均粒径を有する無機微粒子を50乃至95質量%およびポリマーを5乃至50質量%含み、該無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより微粒子間にミクロボイドが形成されている層である態様A12に記載の反射防止膜。
(態様A19) 態様A12からA18のいずれか1つに記載の反射防止膜の表面に凹凸形状を有し、低屈折率層および高屈折率層の膜厚が実質的に均一であることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
(態様A20) 態様A19の防眩性反射防止フィルムにおいて、透明支持体上に支持体よりも屈折率の低い層を少なくとも一層設ける工程と、外部からの圧力により該透明支持体の少なくとも片面に表面凹凸を形成する工程をこの順序に実施することにより、防眩性反射防止フィルムを製造する方法。
(態様A21) 態様A12からA20のいずれか1つに記載の反射防止フィルムを、偏光板の片面または両面に、偏光子の保護フィルムとして、あるいは保護フィルムの表面に張り合わせるフィルムとして具備した偏光板。
(態様A22) 態様A21の偏光板を、少なくとも片面の最表面に配置された低屈折率層が視認側となるように配置したことを特徴とする画像表示装置。
本発明の防眩、反射防止フィルムには、必要に応じてハードコート層を設けることができる。ハードコート層に用いる化合物は、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、架橋構造を有していることが好ましい。架橋構造を有するポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを電離放射線または熱により架橋するのが好ましい。
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化させる必要がある。
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋基を有する化合物は塗布した後に、熱などによって架橋させる必要がある。
フィルムに防眩性を付与する手段としては、・可視光を散乱する粒径のマット粒子をバインダ中に分散して表面凹凸を有する防眩層を形成する方法、・エンボスやサンドブラスト等により支持体表面に凹凸を付与する方法、・塗布組成物の相分離構造により表面に凹凸を付与する方法等、様様な手法が公開特許公報にて公開されているが、一般的には・マット粒子をバインダ中に分散する方法で実用化されている。
防眩層の形成には、表面凹凸形成による防眩性付与の目的で、樹脂化合物からなるバインダに加えて樹脂または無機化合物からなる微粒子(マット剤)が用いられる。平均粒径は1.0から10.0μmが好ましく、1.5から5.0μmがより好ましい。また、防眩層のバインダ膜厚よりも小さい粒径の微粒子が、該微粒子全体の50%未満であることが好ましい。粒度分布はコールターカウンター法により測定できるが、分布は粒子数分布に換算して考える。防眩層膜厚は0.5乃至10μmが好ましく、1乃至5μmがより好ましい。
防眩層を形成するために用いる樹脂バインダには、上記ハードコート層を形成するために用いられる素材が膜強度、透明性の観点から好ましく用いられる。反射防止層と組み合わせる場合には、さらに上記ハードコート素材に加えて、高屈折率モノマーまたは高屈折率無機微粒子を併用することで層の屈折率を1.50から2.00まで高くすることにより、反射防止性能を向上することができる場合がある。高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4‘−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。高屈折率無機微粒子の例には、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましくは50nm以下の微粒子を含有することが好ましい。微粒子の例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3 、In2 O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITO等が挙げられる。無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全重量の10乃至90質量%であることが好ましく、20乃至80質量%であると更に好ましい。
エンボスにより支持体表面に凹凸を付与する場合には、複数層の光学干渉層全てを形成した後に表面凹凸を形成するのが好ましい。表面凹凸を形成した後にウエット塗布にて複数の光学干渉層を形成すると、凹に塗布液が溜まることにより発生する各層の膜厚ムラのために反射防止性能の著しい悪化を引き起こし、好ましくない。全光学干渉層を形成した後にエンボス処理することにより、光学干渉層の膜厚が実質的に均一になる。ここで、実質的に均一とは、中心膜厚±3%以内であることを意味する。
反射防止フィルムには、光学薄膜による光干渉の原理に基づいて設計された膜厚、屈折率、層構成となるように低屈折率層の単層、あるいは低屈折率層と高屈折率層の複数層から構成される反射防止層を設ける。ここで低屈折率層、高屈折率層とは、それぞれ支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する層、支持体の屈折率よりも高い屈折率を有する層を指し、いずれも反射防止の対象となる光の波長オーダー以下の膜厚を有する。このような非常に薄い膜厚を有する層は光学薄膜と呼ばれ、反射防止膜や反射膜等、光干渉の原理に基づいた光学機能層として様様な用途に実用化されている。
反射防止層としては、低屈折率層、高屈折率層がそれぞれ下記式(f1)、(f2)を満足することが好ましい。
式(f1) mλ/4×0.7<n1d1<mλ/4×1.3
式(f2) nλ/4×0.7<n2d2<nλ/4×1.3
式中、mは正の奇数(一般に1)、nは正の整数であり、n1、n2はそれぞれ低屈折率層、高屈折率層の屈折率であり、そして、d1、d2はそれぞれ低屈折率層、高屈折率層の膜厚である。
式(f2) nλ/4×0.7<n2d2<nλ/4×1.3
式中、mは正の奇数(一般に1)、nは正の整数であり、n1、n2はそれぞれ低屈折率層、高屈折率層の屈折率であり、そして、d1、d2はそれぞれ低屈折率層、高屈折率層の膜厚である。
低屈折率層には、屈折率が1.30〜1.49までのものが、膜強度と屈折率のバランスを兼ね備えた素材として選択できる。具体的には、特開平11−38202号、特開平11−326601号の各公報等で開示されるような光の散乱を生じない程粒径が小さな微粒子間に空気の隙間を有する低屈折率層や、熱または電離放射線により架橋する含フッ素化合物が好ましく用いられる。架橋性のフッ素高分子化合物としてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内に予め架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者は共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号および特開平10−147739号の各公報に記載されている。
また上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
高屈折率層には、上記防眩層を高屈折率化するときに好ましく用いられる素材が同様に用いられる。好ましい屈折率範囲は1.70〜2.20であり、好ましい膜厚範囲は5〜300nmであり、上記数式(f2)に従って設計された屈折率、膜厚とする。
ハードコート層、防眩層、反射防止層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、米国特許2941898号、米国特許3508947号、米国特許3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
なお、特開2003−149413には、角変化による、コントラスト低下、階調または黒白反転および色相変化などがほとんど生じない、表示品位に優れる液晶表示装置を提供するために、酢化度59.0〜61.5%のセルロースアセテートフィルム上に、透光性樹脂中に透光性微粒子を含む光拡散層を有する光拡散フィルムであって、セルロースアセテートフィルムの厚みが20〜70μmであり、長さ100mm当たりカットオフ値が0.8mmの平均表面粗さRaが0.2μm以下である光拡散フィルムについての記載があり、この発明は本発明にも適応できる。
本発明の防眩フィルム、反射防止フィルムは、防眩層、反射防止層の形成前または形成後に何らかの手段により支持体の裏面を鹸化処理することにより、LCDを始めとする各用途に用いられる偏光板の製造において、偏光子の保護フィルムとして片面若しくは両面に直接偏光子と貼り合わせることができる。
特にLCDの広視野角化のために液晶を封入したセルと偏光板との間に位相差フィルムを配置する場合には、セルの両面に配置される偏光板のうち、視認側に用いられる偏光板の空気界面側の保護フィルムに防眩フィルムまたは反射防止フィルムを、その反対面でありセルと偏光子の間となる面に位相差フィルムをそれぞれ偏光子の両面に保護層として貼り合わせて用いることができる。このような構成の偏光板は、従来の偏光板と同等の厚みでありながら広視野角、低反射といった機能を付与することが可能であり、高機能LCD用途に極めて好ましい。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法が挙げられる。一方、生産性が高い反射防止膜として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗布してなる反射防止膜が各種提案されている。
上述したような塗布による反射防止フィルムに微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した反射防止層から成る反射防止フィルムも挙げられる。
[塗布型反射防止フィルムの層構成]
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。 高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率又、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。 又、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。 反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。 高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率又、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。 又、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。 反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
基体上に防眩層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜は以下を満足する屈折率を有する様に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあったヘイズとすることが好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
基体上にハードコート層を設け、低屈折率層を積層した層構成からなるクリア型反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
もしくは基体上に防眩層を設け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあったヘイズとすることが好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
もしくは基体上にハードコート層を設け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(反射防止フィルムに用いる透明支持体)
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。また、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等、)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトン等が挙げられる。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。また、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等、)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトン等が挙げられる。
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.7以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。更に、ラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。又、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシト゛組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.7以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。更に、ラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。又、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシト゛組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。又、いらない有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。又、いらない有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。低屈折率層が最外層いらないに位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(反射防止フィルムの他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JISK5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(アンチグレア機能)
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
以下にこの反射防止膜の製造方法の1例を記載する。
透明支持体であるウェブが送り出されるようになっている。ウェブはガイドローラによってガイドされて除塵機に送りこまれるようになっている。除塵機は、ウェブWの表面に付着した塵を取り除くことができるようになっている。除塵機の下流には、塗布手段であるエクストルージョン方式の塗布装置の塗布ヘッドが設けられており、塗布液がバックアップローラに巻き掛けられたウェブに塗布できるようになっている。塗布方法はディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法等も用いることができる。塗布ヘッドは、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
防眩層、反射防止層を支持体(すでに何らかの機能層が形成されているものも含む)上に逐次、もしくは同時に塗布する。塗布ヘッドの下流には、(初期)乾燥ゾーン、加熱(本乾燥)ゾーンが順次設けられている。(初期)乾燥ゾーンで、形成された塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、溶媒の大部分を蒸発させ後に、塗布層をさらに加熱(本乾燥)ゾーンで乾燥することが好ましい。乾燥ゾーンにおける該塗布層表面の気体層のシールは、塗布層の表面に沿って気体を塗布層の移動速度に対して−0.1〜0.1m/秒の相対速度となるように移動させることが好ましい。上記溶媒を抑制下に蒸発させるには、塗布層中の溶媒含有量の減少速度が時間と比例関係にある期間内に行なうことが好ましい。乾燥は覆いを付けることが好ましい。また、乾燥風には整流した風もしくは均一な風を用いても良いし、もしくは蒸発した溶媒を塗布膜面に対向して設置された冷却凝縮板により凝縮させ取り除いても良い。乾燥工程の下流には塗布膜の硬化工程とて例えば紫外線照射装置が設けられており、紫外線照射により、所望の硬化、架橋を形成できるようになっている。また素材によっては熱で硬化するための熱処理ゾーンが設けられ所望の硬化、架橋を行うこともある。または巻き取った後、別工程でオーブン加熱や、搬送しての熱処理を行うこともある。そして、この下流に設けられた巻取り機により、反射防止膜が形成されたウェブが巻き取られるようになっている。
基材、フィルム上に逐次塗布を行い2層以上の塗布層を形成させる場合には、これらを連続で行う(巻き取らず、塗布、乾燥工程を繰り返し、最終的に巻き取る)ことが生産上は好ましい。
基材、フィルム上に逐次塗布を行い2層以上の塗布層を形成させる場合には、これらを連続で行う(巻き取らず、塗布、乾燥工程を繰り返し、最終的に巻き取る)ことが生産上は好ましい。
(実施例1)光硬化性樹脂層を有する光学補償フィルムを270Nのテンションで巻き取ったロール状光学フィルムを、Al蒸着フィルム(PET)12μm+PE30μmのラミネート包材で包装した。
(実施例2)巻取りテンションが350Nである以外は、実施例1と同じ条件で包装した。
(実施例3)実施例2と同じロール状光学フィルムを、Al箔ラミフィルム 100μmで包装した。
(比較例1)光硬化性樹脂層を有する光学補償フィルムを235Nのテンションで巻き取ったロール状光学フィルム(包装なし)。
(比較例2)比較例1のロール状光学フィルムをPE30μmで包装した。
(比較例3)巻取りテンションが270Nである以外は、比較例2と同じ条件で包装した。
上記の実施例1〜3、比較例1〜3の包装体で透湿度を測定した。その結果を表1に示す。
10…包装体、12…ロール状光学フィルム、14…光学フィルム、16…巻芯、18…包材、20…ゴムバンド
Claims (6)
- 光硬化型樹脂層を少なくとも1層を有する光学フィルムをロール状に巻き取って成るロール状光学フィルムを包装する包装方法において、
前記ロール状光学フィルムを、日射反射率70%以上の包材で包装することを特徴とするロール状光学フィルムの包装方法。 - 前記包材は、その外面が蒸着フィルム又は金属箔であることを特徴とする請求項1に記載のロール状光学フィルムの包装方法。
- 前記包材は透湿度5.4g/m2・day以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロール状光学フィルムの包装方法。
- 光硬化型樹脂層を少なくとも1層を有する光学フィルムをロール状に巻き取って成るロール状光学フィルムが、包材によって包装されたロール状光学フィルムの包装体において、
前記包材は日射反射率70%以上であることを特徴とするロール状光学フィルムの包装体。 - 前記包材は外面が蒸着フィルム又は金属箔であることを特徴とする請求項4に記載のロール状光学フィルムの包装体。
- 前記包材は透湿度5.4g/m2・day以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載のロール状光学フィルムの包装体。
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