JP2007271137A - 塗布膜の乾燥方法及び装置並びに光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学フィルム等の高精度の乾燥が要求される分野において、塗布膜面に乾燥ムラを発生させない均一乾燥を行うことができる。
【解決手段】塗布膜が形成されたウエブ16を、ウエブ入口24とウエブ出口26を有するトンネル状の乾燥ケーシング20内を走行させながら塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥装置において、乾燥ケーシング20内には、ウエブ幅と同等な幅の第1の多孔性整流板38を介して塗布膜面16Aに向けて乾燥エア40を吹き出す吹出器32と、ウエブ幅と同等な幅の第2の多孔性整流板50を介して吹出器32から吹き出された乾燥エアを吸引する吸引器34と、吹出器32と吸引器34との間に介在された平面部材36とにより構成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は塗布膜の乾燥方法及び装置並びに光学フィルムの製造方法に係り、特に、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の光学フィルムや、液晶層のムラを改善するために有用な光学フィルム等の製造において好適に適用できる塗布膜の乾燥方法及び装置並びに光学フィルムの製造方法に関する。
近年、光学フィルムの需要が増加しつつある。この光学フィルムとしては、液晶セルに位相差板として使用される光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の各種の機能を有するフィルムが代表的である。
このような光学フィルムの製造方法の代表的なものとして、帯状可撓性の支持体であるウエブの表面に各種塗布装置を使用して塗布液を塗布し、これを乾燥させて各種組成の機能性を有する塗布膜を形成する方法が挙げられる。塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥する方法や装置としては、従来から各種の提案がなされている(特許文献1〜4参照。)。
特開平9−73081号公報 特開2000−157923号公報 特開2003−126108号公報 特開2003−93954号公報 特公平2−58554号公報
ところで、このような光学フィルムを製造する分野において、特に塗布直後の塗布膜の乾燥は非常に重要である。光学フィルムは塗布膜の均一な膜厚が要求され、特に、乾燥速度偏差に極めて敏感な光学フィルムについて乾燥ムラをなくすことが重要である。
ところが、従来においては、特許文献1に示されるように、室温であれば特に風の流れを規制することはなかった。すなわち、外乱を無くすために乾燥部分をケースで覆う等の手段が採用されている。また、特許文献2及び3に示されるように、外乱を無くすためにケースを設けずにその風速を規定する程度であり、塗布直後の乾燥を均一に維持するのには不十分であった。
これに対し、特許文献4に示されるように、多数の穴を持った多孔性整流板を塗布直後の塗布膜面に近接して配置し、乾燥した蒸発ガスを均一にして乾燥ムラを抑制する提案がされており、塗布直後の乾燥に非常に有効である。更には、特許文献5では、多孔性障壁(多孔性整流板)を塗布膜面の近傍に配置し、乾燥エアをこの多孔性障壁を介して塗布膜面上に吹き出すようにすることで、乾燥エアを均一に吹き出すようしたことが開示されている。
しかしながら、多孔性整流板を介して塗布膜面上に吹き出すことで均一な吹き出しが可能となるが、乾燥エアを多孔性整流板を介して吹き出しただけでは、吹き出された乾燥エアは塗布膜面に当たった後、塗布膜面上を放射状にながれる。これにより、ウエブ幅方向及びウエブ走行の前後方向の乾燥エア流が形成される。
この放射状の乾燥エア流を、ウエブ幅方向における塗布膜乾燥の観点から見た場合、ウエブ中央部よりもウエブ両端部の風量が多くなり、ウエブ中央部と端部との乾燥ムラの原因になる。特に、吹き出し風速が速い場合には、ウエブ両端部の風量が多くなり、乾燥ムラになり易い。
また、放射状の乾燥エア流を、ウエブ走行方向の前後における塗布膜乾燥の観点で見た場合、例えば、乾燥装置の内部がウエブ走行方向に複数の乾燥ゾーンに仕切られ乾燥ゾーンごとに乾燥条件を変える際に、隣り合う乾燥ゾーンから吹き出された乾燥風同士の衝突が発生する。この乾燥風同士の衝突により塗布膜面上に乾燥エアの不整流が発生し、この不整流に起因した乾燥ムラが発生する。この乾燥エア同士の衝突は、複数の乾燥ゾーンの場合に限らず、ウエブ入口からウエブ出口までの乾燥路長の長い1つの乾燥装置内に、多孔性整流板を備えた複数の吹出器を、ウエブ走行方向に配設した場合も同様である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光学フィルム等の高精度の乾燥が要求される分野において、塗布膜面に乾燥ムラを発生させない均一乾燥を行うことができる塗布膜の乾燥方法及び装置並びに光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、塗布膜が形成されたウエブを、ウエブ入口とウエブ出口を有するトンネル状の乾燥ケーシング内を走行させながら前記塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥方法において、多孔性整流板を備えた吹出口から前記塗布膜面に向けて吹き出した乾燥エアを、吹き出し位置よりも下流側位置又は上流側位置に、前記吹出口と同じ塗布膜面側に設けられた吸引口から吸引することにより、前記塗布膜面上のウエブ幅方向全域において前記ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流を形成することを特徴とする塗布膜の乾燥方法を提供する。
請求項1によれば、多孔性整流板を備えた吹出口から乾燥エアを、塗布膜面に向けて吹き出すことにより、乾燥エアが当たる塗布膜面領域に均等に乾燥エアが当たる均一吹き出しが可能となる。本発明では、この均一な吹き出しに加えて、吹き出し位置よりも下流側位置又は上流側位置に、吹出口と同じ塗布膜面側に設けられた吸引口から吸引することにより、塗布膜面上のウエブ幅方向全域においてウエブ走行方向と平行な一定方向(吹出口から吸引口に至る流れ)の乾燥エア流を乱れなく形成することができる。尚、吸引口を吹出口の下流側位置に配置した場合には、乾燥エア流の方向はウエブ走行方向と同じになり、吸引口を吹出口の上流側位置に配置した場合には、乾燥エア流の方向はウエブ走行方向と逆向きになる。
ここで、乱れなくとは、乾燥エア流に渦流等の乱れが発生しないで流れることを意味する。
これにより、ウエブ幅方向端部における乾燥エアの風量が中央部の風量に比べて大きくなることもなく、また、吹き出された乾燥エア同士が衝突して塗布膜面上に不整流を形成することもない。従って、光学フィルム等の高精度の乾燥が要求される分野において、塗布膜面に乾燥ムラを発生させない均一乾燥を行うことができる。
尚、塗布膜面上のウエブ幅方向全域においてウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流を形成するには、吹出口及び吸引口のウエブ幅方向の長さはウエブ幅と略同等であることが好ましいが、ウエブ幅+50mm以下であることがより好ましい。これは、ウエブ幅方向の長さがウエブ幅よりも長くなりすぎると、ウエブ裏面に回り込む乾燥エアが多くなり、ウエブ走行方向と平行な乾燥エア流が形成されにくくなるためである。
請求項2は請求項1において、前記吸引口にも多孔性整流板を備えることを特徴とする。
請求項2のように、吸引口にも多孔性整流板を備えることにより、均一吸引が可能となるので、一層均一な乾燥エア流を形成することができる。
請求項3は請求項1又は2において、前記吹出口及び吸引口のウエブ走行方向の長さは3cm以上であると共に、ウエブ幅方向の長さは前記ウエブ幅と略同等であることを特徴とする。
本発明においては、塗布膜面に向けて吹き出した乾燥エアを、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流に精度良く変換することが重要である。その為には、ウエブ幅方向に長いスリット状の吹出口からカーテン状に乾燥エアを吹き出し、同様のスリット状の吸引口から乾燥エアをカーテン状に吸引するのでは、均一な吹き出し及び吸引ができないので、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され難くなる。
そこで、請求項3では、吹出口及び吸引口がウエブ幅と略同等であるだけではなく、ウエブ走行方向の長さを3cm以上とした。これにより、乾燥エアは吹出口に備えた多孔性整流板から均一に吹き出され、且つ吸引口に備えた多孔性整流板から均一に吸引されるので、緩やかでスムーズな吹き出し及び吸引が可能となり、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され易くなる。尚、吹出口及び吸引口のウエブ走行方向の長さに関する上限を特に設けなかったが、乾燥ゾーンの乾燥路長及び乾燥ゾーンに設ける吹出口と吸引口の数に応じて適宜設定すればよい。
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記塗布膜面に向かって吹き出す前記乾燥エアの風速が0.1〜3m/秒の範囲であることを特徴とする。
塗布膜面に向かって吹き出す乾燥エアの風速が3m/秒を超えて速すぎると、吸引しても、塗布膜面に当たった乾燥エアした後に放射状の流れが形成され易くなり、塗布膜面上にウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され難くなるからである。また、乾燥エアの風速が0.1m/秒を下回るような遅い風速では乾燥能力が著しく低減し、非常に長い乾燥路長を必要とするからである。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記一定方向の乾燥エア流の線風速が走行するウエブに対して0.2〜3m/秒の範囲になるようにする。
請求項5は、塗布膜面上に形成されるウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流の適切な速度を規定したものであり、線風速が3m/秒を超えて速すぎると、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が乱れ易くなるからである。また、線風速が0.2m/秒を下回るような遅い線風速では、塗布膜面から蒸発した溶媒(塗布液の溶媒)による対流作用の影響が発現し易くなり、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され難くなるからである。
請求項6は請求項3〜5の何れか1において、前記吹出口に備えた多孔性整流板及び吸引口に備えた多孔性整流板と、前記塗布膜面との距離が50mm以下であることを特徴とする。
吹出口に備えた多孔性整流板及び吸引口に備えた多孔性整流板と、塗布膜面との距離が50mmを超えて離間距離が大きくなると、塗布膜面から蒸発した溶媒による対流が形成され易くなり、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され難くなるからである。尚、距離の下限を特に設定しなかったが、多孔性整流板と塗布膜面が接触しない限度において近づく距離が下限となる。
本発明の請求項7は、前記目的を達成するために、塗布膜が形成されたウエブを、ウエブ入口とウエブ出口を有するトンネル状の乾燥ケーシング内を走行させながら前記塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥装置において、前記乾燥ケーシング内には、ウエブ幅方向と略同等の長さを有する吹出口に多孔性整流板を備え、前記塗布膜面に向けて乾燥エアを吹き出す吹出器と、前記吹出器と同じ塗布膜面側に設けられ、前記吹出器から吹き出された乾燥エアを、ウエブ幅方向と同等の長さを有する吸引口から吸引する吸引器と、が前記ウエブの走行方向に交互に配置されていることを特徴とする塗布膜の乾燥装置を提供する。
請求項7は、本発明を装置として構成したものであり、ウエブ幅方向端部における乾燥エアの風量が中央部の風量に比べて大きくなることもなく、また、吹き出された乾燥エア同士が衝突して塗布膜面上に不整流を形成することを防止できる。従って、光学フィルム等の高精度の乾燥が要求される分野において、塗布膜面に乾燥ムラを発生させない均一乾燥を行うことができる。
請求項8は請求項7において、前記吸引口にも多孔性整流板が備えられ、該多孔性整流板を介して吸引することを特徴とする。
請求項8のように、乾燥エアを吸引する吸引器の吸引口にも多孔性整流板を設け、該多孔性整流板を介して吸引することにより、均一吸引が可能となるので、一層均一な乾燥エア流を形成することができる。
請求項9は請求項7又は8において、多孔性整流板は、金網又はパンチングメタルであることを特徴とする。
請求項9は、多孔性整流板を形成する好ましい材料を示したものであり、金網又はパンチングメタルを好適に使用できる。
請求項10は請求項7〜9の何れか1において、前記吹出口及び吸引口のウエブ走行方向の長さは3cm以上であると共に、ウエブ幅方向の長さは前記ウエブ幅と同等であることを特徴とする。
これにより、乾燥エアは吹出口に備えた多孔性整流板から均一に吹き出され、且つ吸引口に備えた多孔性整流板から均一に吸引されるので、緩やかでスムーズな吹き出し及び吸引が可能となり、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され易くなる。
請求項11は請求項7〜10の何れか1において、前記吹出口に備えた多孔性整流板及び吸引口に備えた多孔性整流板と、前記塗布膜面との距離が50mm以下であることを特徴とする。
吹出口に備えた多孔性整流板及び吸引口に備えた多孔性整流板と、塗布膜面との距離が50mmを超えて離間距離が大きくなると、塗布膜面から蒸発した溶媒による対流が形成され易くなり、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され難くなるからである。
請求項12は請求項7〜11の何れか1において、前記吹出器と前記吸引器とを1ユニットとした吹出・吸引ユニットを、前記乾燥ケーシングのウエブ入口からウエブ出口までの長さ分だけ設けることを特徴とする。
請求項12は、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流を精度良く形成できる上述の吹出器と吸引器とを1ユニットとして、乾燥ケーシングのウエブ入口からウエブ出口までの長さ分だけ必要な数のユニットを設けるようにした。これにより、乾燥ケーシングの乾燥路長の長さに関係なく、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流を簡単に形成できる。
請求項13は請求項7〜12の何れか1において、前記吹出器と吸引器との間には、前記吹出口と前記吸引口と面一な平面を備えた平面部材が介在されていることを特徴とする。
請求項13によれば、吹出・吸引ユニットの好ましい形態として、吹出器と吸引器との間に、吹出口と前記吸引口と面一な平面を備えた平面部材を介在させたので、平面部材と塗布膜面との間に、吹出口から吸引口に乾燥エアを誘導する狭隘な流路が形成される。これにより、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流を一層形成し易くなると共に、乾燥エア流の乱れ、例えば渦流等が発生し難くなる。
請求項14は請求項13において、前記平面部材の前記ウエブ走行方向の長さは5cm以上であることを特徴とする。
請求項14は平面部材のウエブ走行方向の長さを規定したものであり、長さが30cm未満では乾燥エアを誘導する効果が小さくなるからである。尚、平面部材のウエブ走行方向の長さに関する上限を特に設けなかったが、乾燥ゾーンの乾燥路長及び乾燥ゾーンに設ける吹出口、吸引口、及び平面部材の数に応じて適宜設定すればよい。
請求項15は請求項7〜14の何れか1において、前記吹出器から前記塗布膜面に向かって吹き出す風速が0.1〜3m/秒の範囲であることを特徴とする。
塗布膜面に向かって吹き出す乾燥エアの風速が3m/秒を超えて速すぎると、下流側位置で吸引しても、塗布膜面に当たった乾燥エアした後に放射状の流れが形成され易くなり、本発明の効果が低減されてしまうからである。また、乾燥エアの風速が0.1m/秒を下回るような遅い風速では乾燥能力が著しく低減し、非常に長い乾燥路長を必要とするからである。
請求項16は請求項7〜15の何れか1において、前記吹出口から吹き出した乾燥エアを前記吸引口から吸引することにより、前記塗布膜面上に前記ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エアの流れを形成すると共に、該流れの線風速が0.2〜3m/秒の範囲であることを特徴とする。
請求項16は、塗布膜面上に形成されるウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流の適切な速度を規定したものであり、線風速が3m/秒を超えて速すぎると、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が乱れ易くなるからである。また、線風速が0.2m/秒を下回るような遅い線風速では、塗布膜面から蒸発した溶媒(塗布液の溶媒)による対流作用の影響が発現し易くなり、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流が形成され難くなるからである。
請求項17は請求項7〜16の何れか1において、前記吹出口のウエブ幅方向の長さは、前記ウエブ幅+50mm以下であることを特徴とする。
これは、ウエブ幅方向の長さがウエブ幅よりも長くなりすぎると、ウエブ裏面に回り込む乾燥エアが多くなり、ウエブ走行方向と平行な乾燥エア流が形成されにくくなるためである。
請求項18は請求項12〜17の何れか1において、前記塗布膜中の溶媒成分濃度が塗布時の溶媒成分濃度の50%以下に減少するまで、あるいは塗布膜の粘度が10mPa・s以上になるまでのうちの何れか早い方までは、少なくとも前記吹出・吸引ユニットを配設することを特徴とする。
塗布膜中に溶媒を多く含む、あるいは塗布膜の粘度が未だ小さくて塗布膜面が流動しやすい乾燥初期における乾燥の良し悪しは、塗布膜製品、特に光学フィルムの製造において重要であり、本発明の乾燥方法が特に有効だからである。
請求項19は請求項12〜18の何れか1において、前記塗布膜をウエブ上に塗布する塗布位置から10cm以降に前記吹出・吸引ユニットを配設することを特徴とする。
吹出・吸引ユニットは、吹出器から吹き出した乾燥エアを吸引器で吸引して塗布膜面上にウエブ走行方向と平行な流れを形成するものであり、乾燥ケーシングのウエブ入口から塗布部側に流出する乾燥エアは殆どない。しかし、塗布部での塗布膜の塗布においては、僅かな風の流れも塗布に悪影響を及ぼすことから、請求項19のように、塗布部の塗布位置から10cm以降に前記吹出・吸引ユニットを配設することが好ましい。また、塗布位置からの距離が近すぎると、塗布膜面の乾燥における外乱の要因となる。
請求項20は前記目的を達成するために、請求項7〜19の何れか1の乾燥装置を、光学フィルムの製造ラインに使用することを特徴とする光学フィルムの製造方法を提供する。
請求項21は請求項20において、前記光学フィルムは、光学補償フィルム、防眩性フィルム、反射防止フィルムの何れかであることを特徴とする。
請求項20及び21は、本発明の乾燥装置を使用した光学フィルムの製造方法であり、本発明の乾燥装置を使用することで、乾燥ムラのない面状の極めて良好な光学フィルムを製造することができる。
以上説明したように、本発明によれば、光学フィルム等の高精度の乾燥が要求される分野において、塗布膜面に乾燥ムラを発生させない均一乾燥を行うことができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る塗布液の乾燥方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
本発明の乾燥装置10は、例えば液晶表示装置(LCD)に使用される光学補償フィルム、防眩フィルム、及び反射防止フィルム等の光学フィルムの製造ラインにおける塗布膜の乾燥装置として好適であり、特に初期乾燥において有効である。以下、本発明の乾燥装置について説明すると共に、本発明が組み込まれた光学補償フィルムの製造ライン、及び防眩フィルム、及び反射防止フィルムの製造ラインについて説明する。先ず、図1〜図4に従って本発明の乾燥装置10について説明する。
図1は、乾燥ケーシングを説明する断面図であり、図2は吹出・吸気ユニットを模式的に示した概念図である。また、図3は吹出器の断面図であり、図4は吸引器の断面図である。
図1に示すように、乾燥ケーシング20内には、ウエブ16の搬送経路を形成するパスローラ22が複数設けられ、ウエブ入口24から乾燥ケーシング20内に導入されたウエブ16は塗布膜面16A(図3、図4参照)を上にして走行し、後記する吹出・吸引ユニット28により乾燥された後、ウエブ出口26から導出される。
乾燥ケーシング20内は、複数の乾燥ゾーン30A,30B,30Cに分割(図1では例えば3分割)され、乾燥ゾーン30A,30B,30Cごとに乾燥条件が設定されると共に、それぞれの乾燥ゾーン30A,30B,30Cに吹出・吸引ユニット28が乾燥路長分の数(図1では例えば2基)だけ設けられる。なお、分割される乾燥ゾーンの数や1つの乾燥ゾーンに設置される吹出・吸引ユニット28の数は上記の数には限定されない。
図1及び図2に示すように、吹出・吸引ユニット28は、主として、乾燥ゾーン30A,30B,30Cの上流側位置に設けられた吹出器32と、該吹出器32よりも下流側位置に設けられた吸引器34と、吹出器32と吸引器34との間に設けられた平面部材36とで構成される。尚、吹出器32と吸引器34との位置を逆にして、吸引器34の方を吹出器32よりも上流側に配置してもよい。
図2及び図3に示すように、吹出器32は、吹出口32Aに備えた第1の多孔性整流板38を介して塗布膜面16A上に向けて乾燥エア40を吹き出す機器であり、乾燥ケーシング20と一体的に形成される。すなわち、乾燥ケーシング20内が、その略真ん中において多数の貫通孔33を有する第1の多孔性整流板38で上下に仕切られており、第1の多孔性整流板38の上側空間にエア吹出室42が形成される。このエア吹出室42の側面に、乾燥エア供給装置(図示せず)及び風量調整手段(図示せず)からエア吹出室42に乾燥エア40を供給するエア供給配管44の接続口46が設けられる。このように、吹出器32の吹き出し面に第1の多孔性整流板38を配置することにより、エア吹出室42に供給された乾燥エア40の圧力が高められ、エア吹出室42で均圧化されてから吹き出されるので、均一吹き出しを行うことができる。
また、第1の多孔性整流板38の下側空間は通路室48とされ、パスローラ22が設けられる。そして、パスローラ22上を塗布膜面16Aが第1の多孔性整流板38と面した状態でウエブ16が走行する。
図2及び図4に示すように、吸引器34は、吹出器32と同様にウエブ16の塗布膜面16A側に配置され、吹出器32から吹き出された乾燥エア40を吸引口34Aに備えた第2の多孔性整流板50を介して吸引する機器であり、乾燥ケーシング20と一体的に形成される。
吸引器34は、エアの流れが吹出器32と逆になるだけで構造的には吹出器32と同様である。すなわち、乾燥ケーシング20内が、その略真ん中において多数の貫通孔33を有する第2の多孔性整流板50で上下に仕切られており、第2の多孔性整流板の上側空間にエア吸引室52が形成される。このエア吸引室52の側面に、真空ポンプ(図示せず)及び吸引力調整手段(図示せず)に接続するエア吸引配管54の接続口56が設けられる。このように、吸引器34の吸引面に第2の多孔性整流板50を配置することにより、吹出器32から吹き出され、塗布膜面16A上を流れる乾燥エア40をエア吸引室52内に均一に吸引することができる。なお、吸引器34に吸引される乾燥エア40は、塗布膜面16Aから蒸発した溶媒を含むことは言うまでもない。
また、第2の多孔性整流板50の下側空間は通路室58とされ、パスローラ22が設けられる。そして、パスローラ22上を塗布膜面16Aが第2の多孔性整流板50と面した状態でウエブが走行する。
第1及び第2の多孔性整流板38、50は、略全面に多数の貫通孔33が形成された板状部材であり、例えば金網又はパンチングメタルを好適に使用できる。多孔性整流板38、50の開口率は50%以下が好ましく、開口率が20%〜40%であることがより好ましい。具体的には、250〜300メッシュで開口率30%の金網を好適に用いることができる。
また、図2に示すように、第1の多孔性整流板38を備えた吹出口32Aのウエブ走行方向の長さをA、第2の多孔性整流板50を備えた吸引口34Aのウエブ走行方向の長さをBとしたときに、A及びBともに3cm以上が好適であり、5cm以上がより好ましく、10cm以上が特に好ましい。一方、第1及び第2の多孔性整流板38、50のウエブ幅方向の長さは、ウエブ幅と同等であればよいが、ウエブ幅+50mm以下であることが特に好ましい。
また、図3及び図4に示すように、第1及び第2の多孔性整流板38、50と、塗布膜面16Aとの距離Dは50mm以下が好ましい。
なお、図示しなかったが、第1及び第2の多孔性整流板38、50の上に更に第1及び第2の多孔性整流板38、50を設けた、2層多孔性整流板とすることも好ましい。更には、第1及び第2の多孔性整流板38、50のウエブ幅方向の両端部から下方に側板を垂下させて、塗布膜面16Aに吹き出された乾燥エア40がウエブ裏面に回り込みにくくすることも好ましい。
また、図2に示すように、吹出器32と吸引器34との間には、第1の多孔性整流板38及び第2の多孔性整流板50と面一な平面36Aを備えた平面部材36が介在される。この平面部材36は、ウエブ走行方向の長さをCとしたときに、Cは5cm以上であることが好ましく、30cm以上であることがより好ましく、50cm以上であることが特に好ましい。平面部材36の平面36Aは、平滑化されていることが好ましい。
尚、上記の実施の形態では、吹出・吸引ユニット28として、吹出器32、吸引器34及び平面部材36の最良の構成例で説明したが、図5に示すように、平面部材36を省略することも可能である。また、吸引口34Aに設けた第2の多孔性整流板50を省略することも可能である。
[光学補償フィルム]
次に、本発明の乾燥装置10を組み込んだ光学補償フィルムの製造ラインについて説明する。
図6に示すように、送り出し機66から送り出された長尺状の透明支持体であるウエブ16表面には予め配向膜形成用樹脂を含む塗布液が塗布、乾燥された透明樹脂層が形成される。ウエブ16はガイドローラ68によってガイドされてラビング処理装置70に送りこまれ、ラビングローラ72によって透明樹脂層がラビング処理される。これにより、透明樹脂層に配向膜を形成させる。ラビング処理装置70では、ラビングロール72、72をウエブ16の連続搬送工程内にある2つの搬送用ロール間に配置し、回転する該ラビングロール72、72にウエブ16をラップさせながら該ウエブ16を搬送することによって、連続してウエブ16表面にラビング処理を施すことが好ましい。この場合、ウエブ16の搬送方向に対し、回転軸を傾けてラビングロール72、72を配置することも可能である。ラビングロール72自身の真円度、円筒度、振れがいずれも30μm以下であることが好ましい。上記記載のラビング方法を用いた装置において、装置内に1セット以上の予備のラビングロールを備えていることが好ましい。
次に、除塵機74により、ウエブ16の表面に付着した塵が取り除かれる。そして、グラビア塗布装置76により液晶性ディスコネマティック化合物を含む塗布液を、ウエブ16の配向膜上に塗布する。液晶性ディスコティック化合物として架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を用いられる。
グラビアローラ12の下方には、液受けパン14が設けられており、この液受けパン14には塗布液が満たされている。そして、グラビアローラ12の約下半分は塗布液に浸漬されている。この構成により、グラビアローラ12表面のセルに塗布液が供給されることとなる。上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、グラビアローラ12と平行な状態で支持されている。そして、上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、両端部分を軸受部材(ボール軸受等)により回動自在に支持され、駆動機構を付されない構成のものが好ましい。グラビア塗布装置76は、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
尚、図6では、塗布装置として、グラビア塗布装置76の例で示したが、これに限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法等の方法を適宜使用することができる。
次に、塗布液の塗布により塗布膜16Aが形成されたウエブ16は、本発明の乾燥装置10により乾燥される。この場合、ウエブ16がグラビア塗布装置76(より正確には、グラビアローラ12)を通過してから3秒以内、又は、ウエブ16がグラビア塗布装置76を通過してから塗布液の塗布時に含有される有機溶媒に対する該有機溶媒の含有率が50%未満(より好ましくは70%未満)となるまでの何れか短い時間以内に乾燥装置10内に導入することが好ましい。
そして、乾燥装置10では、塗布膜中の有機溶媒成分の濃度が塗布時の有機溶媒成分の濃度の50%以下(半分以下)に減少するまで、あるいは塗布膜の粘度が10mPa・s以上になるまでのうちの何れか早い方までは、少なくとも上述した吹出・吸引ユニット28を配設して塗布膜16Aを乾燥することが好ましい。しかし、吹出・吸引ユニット28が塗布装置76の塗布位置に近すぎると、乾燥装置10のウエブ入口から流出する乾燥エアの影響で塗布に悪影響がでる恐れがあるので、塗布位置から10cm以降に吹出・吸引ユニット28を配設することが好ましい。
塗布液の塗布時に含有される有機溶媒に対する有機溶媒の含有率(残存率)は次のように測定することができる。すなわち、乾燥装置10に導入される直前の塗布膜を「へら」を使用して速やかに掻き取り、掻き取った塗布膜を速やかにガラス製の密閉容器に入れ、蓋をして密閉する。ガラス製の密閉容器の重量を測定し、予め測定済みの風体重量を差し引いて、掻き取った塗布膜の重量を得る(塗布膜重量1)。ガラス製の密閉容器の蓋を開け、105°Cにセットしたオーブンに入れて1時間乾燥させる。ガラス製の密閉容器の重量を測定し、風体重量を差し引いて、乾燥後の塗布膜の重量を得る(塗布膜重量2)。そして、上記の塗布膜重量1と塗布膜重量2より、有機溶媒の含有率(残存率)を算出する。
乾燥装置10では、乾燥ケーシング20内の上流側位置に配置された吹出器32の第1の多孔性整流板38を介して乾燥エア40を塗布膜面16A上に向けて吹き出すことにより、乾燥エア40が当たる塗布膜面16A領域に均等に乾燥エア40が当たる均一吹き出しが可能となる。塗布膜面16Aに向かって吹き出す乾燥エア40の風速は0.1〜3m/秒の範囲であることが好ましい。
本発明では、この均一な吹き出しに加えて、吹き出し位置よりも下流側位置に配置された吸引器34の第2の多孔性整流板50を介して吸引することにより、均一な吸引が可能となる。これにより、図2(b)に示すように、塗布膜面16A上にウエブ走行方向と平行な一定方向(吹出器32から吸引器34に至るウエブ走行方向と同じ方向の流れ)の乾燥エア40の気流である乾燥エア流40Aを乱れなく形成することができる。ここで、乱れなくとは、乾燥エア流40Aに渦流等の乱れが発生しないで流れることを意味する。この場合、一定方向の乾燥エア流40Aの線風速が走行するウエブ16に対して0.2〜3m/秒の範囲になるように、吸引力調整装置により乾燥エア40を吸引する吸引力を制御するとよい。
これにより、ウエブ16の幅方向端部における乾燥エア40の風量が中央部の風量に比べて大きくなることがない。また、図1の如く、乾燥ケーシング20を複数の乾燥ゾーン30A,30B,30Cに分割しても、隣接する乾燥ゾーン同士の間での乾燥エアの往来がなくなるので、乾燥エア40同士が衝突して塗布膜面16A上に不整流を形成することもない。また、1つの乾燥ゾーン内に、複数の吹出器32を設けた場合でも、乾燥エア40同士が衝突して塗布膜面16A上に不整流を形成することもない。特に、本発明では、吹出・吸引ユニット28の吹出器32と吸引器34との間には、第1の多孔性整流板38及び第2の多孔性整流板50と面一な平面36Aを備えた平面部材36を介在されたので、平面部材36と塗布膜面16Aとの間に、吹出器32から吸引器34に乾燥エア40を誘導する狭隘な流路が形成される。これにより、ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流40Aを一層形成し易くなると共に、乾燥エア流40Aの乱れ、例えば渦流等が発生し難くなる。
従って、光学フィルム等の高精度の乾燥が要求される分野において、塗布膜面16Aに乾燥ムラを発生させない均一乾燥を行うことができる。
次に、乾燥装置10での乾燥が終了したウエブWは、図6の後段乾燥ゾーン77、加熱ゾーン78、及び紫外線ランプ80を通過させる。これにより、乾燥されたウエブ16の塗布層は、加熱されてディスコティックネマティック相の液晶層が形成され、連続的に該液晶層に光照射されることにより、ディスコティック液晶を硬化する。この場合、加熱ゾーン78の加熱を、ウエブ16の液晶層を持たない側に、熱風または遠赤外線を付与することにより、あるいは加熱ローラを接触させることにより行なうことが好ましい。又は、ウエブ16の両面に、熱風または遠赤外線を付与することにより行なうことが好ましい。そして、配向膜及び液晶層が形成されたウエブは、巻取り機82に巻き取られる。
以下にウエブ16上にディスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フィルムとして用いる液晶表示装置について記載するが、これに限定されるものではない。
これらに用いられるディスコティック化合物については特開平7−267902号、特開平7−281028号、特開平7−306317号の各公報に詳細に記載されている。それらによると、光学異方層はディスクティック構造単位を有する化合物から形成される層である。即ち、光学異方層は、モノマー等の低分子量の液晶性ディスコティック化合物層、または重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られるポリマー層である。それらのディスクティック(円盤状)化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスクティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、前記公報において円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば前記低分子ディスコティツク液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。さらに、ディスコティックネマティック相または一軸性の柱状相を形成し得る、円盤状化合物の少なくとも一種を含有し、かつ光学異方性を有することを特徴とする化合物を用いることが好ましい。また円盤状化合物がトリフェニレン誘導体であることが好ましい。ここで、トリフェニレン誘導体が、特開平7−306317号公報に記載の(化2)で表される化合物であることが好ましい。
また、セルロースアシレートフイルムは、配向膜の支持体(ウエブ)として好ましく用いられる。それらは特開平9−152509号公報に詳細に記載されているものを適用できる。すなわち、配向膜はセルロースアシレートフイルム上又はそのセルロースアシレートフイルム上に塗設された下塗層上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。ここで配向膜は、光学異方層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でも良い。
配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向膜用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビルアルコールを挙げることができる。
中でもアルキル変性のポリビニルアルコールは特に好ましく、液晶性ディスコティック化合物を均一に配向させる能力に優れている。これは配向膜表面のアルキル鎖とディスコティック液晶のアルキル側鎖との強い相互作用のためと推察される。また、アルキル基は、炭素原子数6〜14が好ましく、更に、−S−、−(CH3)C(CN)−または−(C25 )N−CS−S−を介してポリビニルアルコールに結合していることが好ましい。上記アルキル変性ポリビニルアルコールは、未端にアルキル基を有するものであり、ケン化度80%以上、重合度200以上が好ましい。また、上記側鎖にアルキル基を有するポリビニルアルコールは、クラレ(株)製のMP103、MP203、R1130などの市販品を利用することができる。
また、液晶表示装置(LCD)の配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
更に、セルロースアシレートフイルムに適用される配向膜は、上記ポリマーに反応性基を導入することにより、あるいは上記ポリマーをイソシアネート化合物及びエポキシ化合物などの架橋剤と共に使用して、これらのポリマーを硬化させることにより得られる硬化膜であることが好ましい。
配向膜に用いられるポリマーと、光学異方層の液晶性化合物とが、これらの層の界面を介して化学的に結合していることが好ましい。配向膜のポリマーが、ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基で、少なくとも一個のヒドロキシル基が置換されたポリビニルアルコールから形成されていることが好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基が、エーテル結合、ウレタン結合、アセタール結合またはエステル結合を介してポリビニルアルコール誘導体のポリマー鎖に結合していることが好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基が、芳香族環を持たないことが好ましい。上記ポリビニルアルコールが、特開平9−152509号公報に記載の(化22)であることが好ましい。
また、前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiOを代表とし、TiO2 、ZnO2 等の金属酸化物、あるいやMgF2等のフッ化物、さらにAu、Alなどの金属が挙げられ
る。尚、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。ウエブ(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺ウエブを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。光学異方層を配向膜を使用せずに配向させる方法として、支持体上の光学異方層をディスコティック液晶層を形成し得る温度に加熱しながら、電場あるいは磁場を付与する方法を挙げることができる。
セルロースアシレートフイルムは、特開平8−5837号、特開平7−191217号、特開平8−50206号、特開平7−281028号の各公報に詳細に記載されている下記の基本構成を有する光学補償シートに用いることができる。セルロースアシレートフイルム及びその上に設けられた光学異方層からなる光学補償シートが適用例であり、該光学異方層がディスコティック構造単位を有する化合物から形成される層である。LCDへの適用例としては、偏光板の片側に上記光学補償シートを粘着剤を介して貼り合わせる、もしくは、偏光素子の片側に保護フイルムとして、上記光学補償シートを接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。光学異方素子は少なくともディスコティック構造単位(ディスコティック液晶が好ましい)を有することが好ましい。
該ディスコティック構造単位の円盤面(以下、単に「面」とも言う)が、セルロースアシレートフイルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面とセルロースアシレートフイルムとのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化していることが好ましい。
セルロースアシレートフイルムと一緒に用いられる上記光学補償シートの好ましい態様は下記のとおりである。
(a1)角度の平均値が、光学異方層の深さ方向において光学異方層の底面からの距離の増加と共に増加している。
(a2)該角度が、5〜85°の範囲で変化する。
(a3)該角度の最小値が、0〜85°の範囲(好ましくは0〜40°)にあり、その最大値が5〜90°の範囲(好ましくは50〜85°)にある。
(a4)該角度の最小値と最大値との差が、5〜70度の範囲(好ましくは10〜60°)にある。
(a5)該角度が、光学異方層の深さ方向でかつ光学異方層の底面からの距離の増加と共に連続的に変化(好ましくは増加)している。
(a6)光学異方層が、さらにセルロースアシレートを含んでいる。
(a7)光学異方層が、さらにセルロースアセテートブチレートを含んでいる。
(a8)光学異方層と透明支持体との間に、配向膜(好ましくはポリマーの硬化膜)が形成されている。
(a9)光学異方層と配向膜との間に、下塗層が形成されている。
(a10)光学異方層が、光学補償シートの法線方向から傾いた方向に、0以外のレターデーションの絶対値の最小値を有する。
(a11)該配向膜が、ラビング処理されたポリマー層である上記(a8)記載の光学補償シート。
該光学異方層へ添加することで、該光学異方層の配向温度を変えることのできる有機化合物を含むことが好ましい。該有機化合物が、重合性基を有するモノマーであることが好ましい。
また、製造された光学補償フィルムは、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。液晶セルのモードは、VAモード、TNモード、またはOCBモードであることが好ましい。
[防眩フィルム、反射防止フィルム]
次に、本発明の乾燥装置10を組み込んだ防眩フィルム、反射防止フィルムの製造ラインについて説明する。
図7に示すように、基本的には図6の光学補償フィルムの製造ラインからラビング処理装置70を除いた構成であり、同じ装置には図6と同符号を付して説明する。
送り出し機66からは、透明支持体であるウエブ16が送り出される。ウエブ16はガイドローラ68によってガイドされて除塵機74に送りこまれる。除塵機74は、ウエブ16の表面に付着した塵を取り除く。除塵機74の下流には、塗布手段であるエクストルージョン方式の塗布装置76の塗布ヘッド12が設けられており、塗布ヘッド12から吐出された塗布液がバックアップローラ13に巻き掛けられたウエブ16に塗布される。塗布方法としては、エクストルージョン方式に限らず、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法等も用いることができる。塗布ヘッド12は、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
塗布装置76では、防眩層、反射防止層をウエブ16(すでに何らかの機能層が形成されているものも含む)上に逐次、もしくは同時に塗布する。塗布ヘッド12の下流には、本発明の乾燥装置10が設けられる。
乾燥装置10では、形成された塗布層の表面を、上述した光学補償フィルムの場合と同様に本発明の乾燥方法により溶媒の大部分を蒸発させる。乾燥装置10の後に、塗布層をさらに後段乾燥装置77で乾燥することが好ましい。後段乾燥装置77の下流には塗布膜の硬化として例えば紫外線ランプ80が設けられており、紫外線照射により、所望の硬化、架橋を形成できるようになっている。また塗布液の素材によっては熱で硬化するための熱処理ゾーンが設けられ所望の硬化、架橋を行うこともある。或いは、一旦巻き取った後、別工程でオーブン加熱や、搬送しての熱処理を行うこともある。
そして、この下流に設けられた巻取り機82により、反射防止膜が形成されたウエブ16が巻き取られる。尚、ウエブ16上に逐次塗布を行い2層以上の塗布層を形成させる場合には、これらを連続で行う(巻き取らず、塗布、乾燥工程を繰り返し、最終的に巻き取る)ことが生産上は好ましい。
このように、LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、ウエブ16の片面または両面に防眩層、反射防止層の何れかあるいは両方が付与される。このような機能を付与したウエブ16は防眩フィルム、反射防止フィルムと呼ばれ、防眩層と反射防止層の両方を具備したものを防眩性反射防止フィルムと呼ぶ。一般的に防眩フィルムならば透明支持体のウエブ16と防眩層から構成され、反射防止フィルムならば透明支持体のウエブ16上に単層から複数層の光干渉層から成る反射防止層が最表面に設けられ、必要に応じてハードコート層、防眩層が支持体と光干渉層の間に設けられる。
ウエブ16としては、LCD用途にはセルロースアシレートフイルムが好ましく、特にはセルロースアセテートが好ましい。本発明の防眩、反射防止フィルムをLCDに用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面やディスプレイ内部の空気との界面に配置する。セルローストリアセテートは偏光板の偏光子を保護する保護フィルムに用いられるため、本発明の防眩、反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコスト、ディスプレイの薄手化の観点で好ましい。
以下に、好ましい防眩フィルム、反射防止フィルム、及びその応用例の好ましい態様を説明する。
(b1)セルロースアシレートフイルムと少なくとも1層の屈折率が1.30から1.49の含フッ素樹脂からなる低屈折率層を含む防眩性反射防止フィルムにおいて、該セルロースアシレートフイルムと低屈折率層の間に屈折率が1.50から2.00であるバインダを含む防眩層を有することが好ましい。
(b1−2)セルロースアシレートフイルムと少なくとも1層の屈折率が1.30から1.49の含フッ素樹脂からなる低屈折率層を含む防眩性反射防止フィルムにおいて、該セルロースアシレートフイルムと低屈折率層の間に屈折率が1.50から2.00であるバインダを含むハードコート層を有することが好ましい。
(b2)b1に記載の防眩性反射防止フィルムにおいて、セルロースアシレートフイルムと防眩層の間に少なくとも1層のハードコートを有することがこのましい。
(b3)b1又はb1−2又はb2に記載の防眩性反射防止又はクリア型反射防止フィルムにおいて、前記含フッ素樹脂からなる低屈折率層が熱または電離放射線硬化性を有することが好ましい。
(b4)b3に記載の防眩性反射防止フィルムにおいて、前記防眩層がマット微粒子と電離放射線硬化性樹脂を含むバインダから成るこが好ましい。
(b4−1)b1−2に記載の反射防止フィルムにおいて、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂を含むバインダから成ることが好ましい。
(b5)b4に記載の防眩性反射防止フィルムでは、前記防眩層において、マット微粒子と電離放射線硬化性樹脂を含むバインダとの屈折率差が0.05未満であることが好ましい。
(b6)b4に記載の防眩性反射防止フィルムにおいて、前記防眩層において、前記マット微粒子の平均粒径が1μm〜10μmであることが好ましい。
(b7)b4に記載の防眩性反射防止フィルムにでは、前記防眩層において、前記1.50から2.00の屈折率を有するバインダが高屈折率モノマーと3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとの混合物の熱または電離放射線硬化物であることが好ましい。
(b8)b4に記載の防眩性反射防止フィルムでは、前記防眩層において、前記1.50から2.00の屈折率を有するバインダがAl、Zr、Zn、Ti、In、Snから選ばれる金属の酸化物超微粒子と3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとの混合物の熱または電離放射線硬化物であることが好ましい。
(b9)b4からb8のいずれか1つに記載の防眩性反射防止フィルムにおいて、前記含フッ素樹脂からなる低屈折率層が動摩擦係数0.03から0.15、且つ水に対する接触角が90から120°であることが好ましい。
(b10)b1からb9のいずれか1つに記載した防眩性反射防止フィルムを、偏光板における偏光層の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いることが好ましい。
(b11)液晶表示装置は、b1からb9のいずれか1つに記載の防眩性反射防止フィルムまたはb10に記載の防眩性反射防止偏光板の反射防止層をディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
(b12)反射防止膜は、屈折率が1.65乃至2.40である高屈折率層と、屈折率が1.20乃至1.55である低屈折率層とを有する反射防止膜であって、高屈折率層が、1乃至200nmの平均粒径を有する無機微粒子を5乃至65体積%および架橋しているアニオン性基を有するポリマーを35乃至95体積%含むことが好ましい。
(b12−1)反射防止膜は、屈折率が1.65〜2.40である高屈折率層と、屈折率が1.4〜1.7である中屈折率層と、屈折率が1.2〜1.55である低屈折率層と、を低、高、中の屈折率順に積層したものであることが好ましい。積層時には中屈折率層は高屈折率と低屈折率の間に屈折率を調整する。
(b13)b12に記載の反射防止膜において、高屈折率層のアニオン性基を有するポリマーが、リン酸基またはスルホン酸基をアニオン性基として有することが好ましい。
(b14)b12に記載の反射防止膜において、高屈折率層のアニオン性基を有するポリマーが、さらにアミノ基またはアンモニウム基を有することが好ましい。
(b15)b12に記載の反射防止膜において、高屈折率層の無機微粒子が、1.80〜2.80の屈折率を有することが好ましい。
(b16)b12に記載の反射防止膜において、高屈折率層が塗布により形成された層であり、アニオン性基を有するポリマーが層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成されたポリマーであることが好ましい。
(b17)b12に記載の反射防止膜において、低屈折率層が、含フッ素樹脂からなり、熱または電離放射線硬化性を有することが好ましい。
(b18)b12に記載の反射防止膜において、低屈折率層が、0.5〜200nmの平均粒径を有する無機微粒子を50〜95質量%およびポリマーを5〜乃至50質量%含み、該無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより微粒子間にミクロボイドが形成されている層であることが好ましい。
(b19)防眩性反射防止フィルムにおいて、b12からb18のいずれか1つに記載の反射防止膜の表面に凹凸形状を有し、低屈折率層および高屈折率層の膜厚が実質的に均一であることが好ましい。
(b20)b19の防眩性反射防止フィルムにおいて、透明支持体上に支持体よりも屈折率の低い層を少なくとも一層設ける工程と、外部からの圧力により該透明支持体の少なくとも片面に表面凹凸を形成する工程をこの順序に実施することにより製造することが好ましい。
(b21)偏光板は、b12からb20のいずれか1つに記載の反射防止フィルムを、偏光板の片面または両面に、偏光子の保護フィルムとして、あるいは保護フィルムの表面に張り合わせるフィルムとして具備したことが好ましい。
(b22)画像表示装置は、b21の偏光板を、少なくとも片面の最表面に配置された低屈折率層が視認側となるように配置することが好ましい。
防眩、反射防止フィルムには、必要に応じてハードコート層を設けることができる。ハードコート層に用いる化合物は、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、架橋構造を有していることが好ましい。架橋構造を有するポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを電離放射線または熱により架橋するのが好ましい。
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化させる必要がある。
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋基を有する化合物は塗布した後に、熱などによって架橋させる必要がある。
フィルムに防眩性を付与する手段としては、可視光を散乱する粒径のマット粒子をバインダ中に分散して表面凹凸を有する防眩層を形成する方法、エンボスやサンドブラスト等により支持体表面に凹凸を付与する方法、塗布組成物の相分離構造により表面に凹凸を付与する方法等、様様な手法が公開特許公報にて公開されているが、一般的にはマット粒子をバインダ中に分散する方法で実用化されている。
防眩層の形成には、表面凹凸形成による防眩性付与の目的で、樹脂化合物からなるバインダに加えて樹脂または無機化合物からなる微粒子(マット剤)が用いられる。平均粒径は1.0から10.0μmが好ましく、1.5から5.0μmがより好ましい。また、防眩層のバインダ膜厚よりも小さい粒径の微粒子が、該微粒子全体の50%未満であることが好ましい。粒度分布はコールターカウンター法により測定できるが、分布は粒子数分布に換算して考える。防眩層膜厚は0.5乃至10μmが好ましく、1乃至5μmがより好ましい。
防眩層を形成するために用いる樹脂バインダには、上記ハードコート層を形成するために用いられる素材が膜強度、透明性の観点から好ましく用いられる。反射防止層と組み合わせる場合には、さらに上記ハードコート素材に加えて、高屈折率モノマーまたは高屈折率無機微粒子を併用することで層の屈折率を1.50から2.00まで高くすることにより、反射防止性能を向上することができる場合がある。高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4‘−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。高屈折率無機微粒子の例には、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましくは50nm以下の微粒子を含有することが好ましい。微粒子の例としては、TiO2、ZrO2 、Al23 、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全重量の10乃至90質量%であることが好ましく、20乃至80質量%であると更に好ましい。
エンボスにより支持体表面に凹凸を付与する場合には、複数層の光学干渉層全てを形成した後に表面凹凸を形成するのが好ましい。表面凹凸を形成した後にウエット塗布にて複数の光学干渉層を形成すると、凹に塗布液が溜まることにより発生する各層の膜厚ムラのために反射防止性能の著しい悪化を引き起こし、好ましくない。全光学干渉層を形成した後にエンボス処理することにより、光学干渉層の膜厚が実質的に均一になる。ここで、実質的に均一とは、中心膜厚±3%以内であることを意味する。
反射防止フィルムには、光学薄膜による光干渉の原理に基づいて設計された膜厚、屈折率、層構成となるように低屈折率層の単層、あるいは低屈折率層と高屈折率層の複数層から構成される反射防止層を設ける。ここで低屈折率層、高屈折率層とは、それぞれ支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する層、支持体の屈折率よりも高い屈折率を有する層を指し、いずれも反射防止の対象となる光の波長オーダー以下の膜厚を有する。このような非常に薄い膜厚を有する層は光学薄膜と呼ばれ、反射防止膜や反射膜等、光干渉の原理に基づいた光学機能層として様様な用途に実用化されている。
反射防止層としては、低屈折率層、高屈折率層がそれぞれ下記式(f1)、(f2)を満足することが好ましい。
式(f1) mλ/4×0.7<n1d1<mλ/4×1.3
式(f2) nλ/4×0.7<n2d2<nλ/4×1.3
式中、mは正の奇数(一般に1)、nは正の整数であり、n1、n2はそれぞれ低屈折率層、高屈折率層の屈折率であり、そして、d1、d2はそれぞれ低屈折率層、高屈折率層の膜厚である。
低屈折率層には、屈折率が1.30〜1.49までのものが、膜強度と屈折率のバランスを兼ね備えた素材として選択できる。具体的には、特開平11−38202号、特開平11−326601号の各公報等で開示されるような光の散乱を生じない程粒径が小さな微粒子間に空気の隙間を有する低屈折率層や、熱または電離放射線により架橋する含フッ素化合物が好ましく用いられる。架橋性のフッ素高分子化合物としてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内に予め架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者は共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号および特開平10−147739号の各公報に記載されている。
また上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
高屈折率層には、上記防眩層を高屈折率化するときに好ましく用いられる素材が同様に用いられる。好ましい屈折率範囲は1.70〜2.20であり、好ましい膜厚範囲は5〜300nmであり、上記数式(f2)に従って設計された屈折率、膜厚とする。
ハードコート層、防眩層、反射防止層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、米国特許2941898号、米国特許3508947号、米国特許3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
なお、特開2003-149413には、角変化による、コントラスト低下、階調または黒白反転および色相変化などがほとんど生じない、表示品位に優れる液晶表示装置を提供するために、酢化度59.0〜61.5%のセルロースアセテートフィルム上に、透光性樹脂中に透光性微粒子を含む光拡散層を有する光拡散フィルムであって、セルロースアセテートフィルムの厚みが20〜70μmであり、長さ100mm当たりカットオフ値が0.8mmの平均表面粗さRaが0.2μm以下である光拡散フィルムについての記載があり、この発明は本発明にも適応できる。
防眩フィルム、反射防止フィルムは、防眩層、反射防止層の形成前または形成後に何らかの手段により支持体の裏面を鹸化処理することにより、LCDを始めとする各用途に用いられる偏光板の製造において、偏光子の保護フィルムとして片面若しくは両面に直接偏光子と貼り合わせることができる。
特にLCDの広視野角化のために液晶を封入したセルと偏光板との間に位相差フィルムを配置する場合には、セルの両面に配置される偏光板のうち、視認側に用いられる偏光板の空気界面側の保護フィルムに防眩フイルムまたは反射防止フィルムを、その反対面でありセルと偏光子の間となる面に位相差フィルムをそれぞれ偏光子の両面に保護層して貼り合わせて用いることができる。このような構成の偏光板は、従来の偏光板と同等の厚みでありながら広視野角、低反射といった機能を付与することが可能であり、高機能LCD用途に極めて好ましい。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法が挙げられる。一方、生産性が高い反射防止膜として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗布してなる反射防止膜が各種提案されている。
上述したような塗布による反射防止フィルムに微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した反射防止層から成る反射防止フィルムも挙げられる。
(塗布型反射防止フィルムの層構成)
透明支持体であるウエブ16上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率又、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。 又、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
ウエブ16上に防眩層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜は以下を満足する屈折率を有する様に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあったヘイズとすることが好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
ウエブ16上にハードコート層を設け、低屈折率層を積層した層構成からなるクリア型反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
もしくはウエブ16上に防眩層を設け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあったヘイズとすることが好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
もしくはウエブ16上にハードコート層を設け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(反射防止フィルムに用いる透明支持体)
透明支持体であるウエブ16の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。ウエブ16の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。また、ウエブ16は、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等、)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトン等が挙げられる。
(高屈折率層及び中屈折率層)
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.7以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1等)等が挙げられる。マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。更に、ラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。又、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシト゛組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。又、いらない有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。低屈折率層が最外層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(反射防止フィルムの他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。 硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JISK5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(アンチグレア機能)
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
(実施例A)
実施例Aは、本発明の乾燥装置と、従来の乾燥装置とを用いて、乾燥ムラを比較したものである。
図7に示した製造ラインを用いて防眩性反射防止シートを作製した。また、塗布手段として、エクストルージョン方式の塗布装置76に代えてバーコータを使用した。このバーコータは直径が10mmの軸に太さ75μのワイヤーを巻いたヤイヤーバーを備えている。
(防眩層用塗布液の調製)
防眩層用塗布液は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)75g、粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7401、JSR(株)製)240gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバファインケミカルズ(株)製)10gを加え、攪拌溶解した後に、20重量%の含フッ素オリゴマーのメチルエチルケトン溶液からなるフッ素界面活性剤(メガファックF−110PF、大日本インキ(株)製)0.93gを添加した。(なお、この溶液を塗布、紫外線硬化させて得られた塗布膜の屈折率は1.65であった。)さらに、この溶液に個数平均粒径2.0μm、屈折率1.61の架橋ポリスチレン粒子(SX−200HS、綜研化学(株)製)20gを、80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46重量%の混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散し、孔径10μm、3μm、1μmのポリプロピレン製フィルタ(それぞれPPE−10、PPE−03、PPE−01、いずれも富士写真フイルム(株)製)にて濾過して得られた分散液29gを添加、攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して防眩層用塗布液を調製した。
この塗布液の粘度は7mPa・sであり、表面張力は0.033N/mであった。
(ウエブ)
ウエブ16には、厚さ80μm、幅1470mmのトリアセチルセルロースフイルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)の透明ウエブを使用した。
(塗布・乾燥工程)
ウエブ16を走行速度5m/分で走行させながら、バーコータにより上記の塗布液をハードコート層上に、塗布液量がウエブ16の面積1m2 当り4ml(塗布時の膜厚4μm)で塗布幅が1430mmになるように塗布した。
ハードコート層 は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また、加水分解性官能基含有の有機金属化合物特には有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。ハードコート層の膜厚は0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
そして、ウエブ16に塗布された塗布膜を、本発明の実施例1〜3の乾燥装置と比較例1及び2の従来の乾燥装置とを用いて乾燥し、それぞれ得られた塗布膜面の面状の乾燥ムラの状態を目視による官能検査により評価した。塗布膜面の面状の乾燥ムラは、透明ウエブの裏面にマジックインキを塗工して、3波長蛍光灯下の散乱光で目視することにより行った。
実施例及び比較例ともに乾燥装置の乾燥ゾーン長を2mに共通とすると共に、吹出器からの乾燥エアの吹き出し風量を10m/分とした。また、実施例の乾燥エアを吹き出す吹出口32A及び吸引口34Aのウエブ幅方向の長さは1500mmとした。
実施例1は、ウエブ走行方向30cmの吹出口32Aに第1の多孔性整流板38として♯250メッシュの金網を設けた吹出器32と、ウエブ走行方向20cmの吸引口34Aには金網を設けない吸引器34とを1ユニットとしたものを、乾燥ゾーン2m長に4連配置した。尚、吹出器32と吸引器34により形成される乾燥エア流は、ウエブ走行方向と同方向である。
実施例2は、吸引器34の吸引口34Aにも第2の多孔性整流板50として♯250メッシュの金網を設けた以外は、実施例1と同様である。
実施例3は、ウエブ走行方向60cmの吹出口32Aに第1の多孔性整流板38として♯250メッシュの金網を設けた吹出器32と、ウエブ走行方向40cmの吸引口34Aに第2の多孔性整流板50として♯250メッシュの金網を設けた吸引器34とを1ユニットとしたものを、乾燥ゾーン2m長に2連配置した。尚、吹出器32と吸引器34により形成される乾燥エア流は、ウエブ走行方向と同方向である。
比較例1は、ウエブ走行方向の吹き出し幅が10mm、ウエブ幅方向の吹き出し幅が1500mmのスリットノズル(多孔性整流板はなし)を、乾燥ゾーン2m長に、30cm間隔で7ノズル配置した。また、吹き出された乾燥エアは、ウエブの塗布膜面反対側の中央部近傍に形成した吸引口から吸引排気した。
比較例2は、ウエブの下面に形成された塗布膜の下方近傍に、♯250メッシュの金網を乾燥ゾーン全面に渡って水平に配設し、塗布膜から揮発する溶剤を金網を介して排気するようにした。
実施例1〜3及び比較例1及び2の結果を図8に示す。評価は、塗布膜面に乾燥ムラが全く観察されないものを◎、乾燥ムラが極僅かに観察されるものを○、乾燥ムラが観察されるものを△、乾燥ムラが多く観察されるものを×とした。また、塗布膜面16A上の水平方向の線風速を、KANOMAXのアネモマスター6114で測定した。
その結果、比較例1は、塗布膜面に乾燥ムラが多く観察され、評価としては×であった。塗布膜面上の風速は2.0m/秒であり、風の方向が一定方向ではなく放射状に分散していた。
また、比較例2は、比較例1よりも面状は良く△の評価であったが、ウエブ幅方向の中央部よりも両端部の風速が速くなり、ウエブ幅部に塗布ムラが多く観察された。
これに対して、本発明の実施例1〜3は、○〜◎の評価であり、特に、実施例1及び2のユニットの4連配置の結果が良かった。尚、図8の表には示さなかったが、乾燥エア流の方向がウエブ走行方向と逆向きな場合についても○〜◎の評価であった。
(実施例B)
実施例Bは、本発明の実施例における好ましい態様を調べたものであり、吹出器32と吸引器34との間に中間板として平面部材(平板)36を設け、平面部材36のウエブ走行方向の長さを変えたときに、塗布膜面の乾燥ムラへの影響を調べた。尚、乾燥ゾーン長は特に2mに制限しなかった。
試験1〜6については、ウエブ走行方向30cmの吹出口32Aに第1の多孔性整流板38として♯250メッシュの金網を設けた吹出器32と、ウエブ走行方向20cmの吸引口34Aに第2の多孔性整流板50として♯250メッシュの金網を設けた吸引器34とを1ユニットとしたものを4連配置し、試験7では6連配置した。尚、吹出器32と吸引器34により形成される乾燥エア流は、ウエブ走行方向と同方向である。
試験1は、吹出器32と吸引器34との間に平面部材(平板)36を設けない場合であり、塗布速度を10m/分とした。
試験2は、平板36のウエブ走行方向の長さを5cmとし、塗布速度を10m/分とした。
試験3は、平板36のウエブ走行方向の長さを30cmとし、塗布速度を10m/分とした。
試験4は、平板36のウエブ走行方向の長さを50cmとし、塗布速度を10m/分とした。
試験5は、平板36のウエブ走行方向の長さを100cmとし、塗布速度を10m/分とした。
試験6は、平板36のウエブ走行方向の長さを50cmとし、塗布速度を20m/分とした。
試験7は、平板36のウエブ走行方向の長さを50cmとし、塗布速度を20m/分とした(但し、ユニットの配設数は6連)。
試験結果を図9に示した。
図9の試験1〜試験5から分かるように、平板36のウエブ走行方向の長さ0cmのときの乾燥ムラの評価が△〜○であったものが、5cmで○になり、50cmで◎になった。また、100cmでは○になった。このことから、平板36のウエブ走行方向の長さは5cm以上が好ましく、50cm近傍が特に好ましい。また、試験6及び7のように塗布速度を10m/分から20m/分に上げても○〜◎の良い結果であり、乾燥能力を稼ぐことができることが分かる。また、ユニットの数を変えた試験6と試験7とでは、6連の試験7が4連の試験6よりも良い結果となった。
(実施例C)
実施例Cは、本発明の実施例における好ましい態様を調べたものであり、吹出器32、吸引器34、及び平板36から塗布膜面までの距離Dを変えたときに、乾燥ムラにどのように影響するかを試験したものである。
試験8〜11については、ウエブ走行方向30cmの吹出口32Aに第1の多孔性整流板38として♯250メッシュの金網を設けた吹出器32と、ウエブ走行方向20cmの吸引口34Aに第2の多孔性整流板として♯250メッシュの金網を設けた吸引器34と、50cm長さの平板36を1ユニットとしたものを4連配置した。尚、塗布速度は20m/分で共通とした。
試験8は距離Dを50mmとしたものである。
試験9は距離Dを30mmとしたものである。
試験10は距離Dを70mmとしたものである。
試験11は距離Dを100mmとしたものである。
試験結果を図10に示した。
図10から分かるように、吹出口に備えた第1の多孔性整流板38、吸引口34Aに備えた第2の多孔性整流板50、及び平板36から塗布膜面までの距離Dが50mmの試験8と30mmの試験9が◎で最も良く、距離Dを70mmまで離すと、△〜○の評価となった。従って、距離Dは50mm以下が好ましいことが分かる。また、距離Dを100mmまで離すと△になることから、離しすぎるのは良くないことが分かる。
(実施例D)
実施例Dは、本発明の実施例における好ましい態様を調べたものであり、吹出器32の吹出口32Aのウエブ走行方向の長さAを変えたときに、乾燥ムラへの影響を調べたものである。
試験12〜15については、吹出口32A(長さAを変化)に第1の多孔性整流板38として♯250メッシュの金網を設けた吹出器32と、ウエブ走行方向20cmの吸引口34Aに第2の多孔性整流板として♯250メッシュの金網を設けた吸引器34と、50cm長さの平板36を1ユニットとしたものを4連配置した。また、吹出器32、吸引器34、及び平板36から塗布膜面までの距離Dは50mmで共通とし、塗布速度は20m/分で共通とした。
試験12は長さAを30cmとした。
試験13は長さAを10cmとした。
試験14は長さAを5cmとした。
試験15は長さAを3cmとした。
試験16は長さAを1cmとした。
試験結果を図11に示した。
図11から分かるように、吹出口32Aのウエブ走行方向の長さAを短くしていくと、発現する乾燥ムラが多くなり、長さAが3cmでは○であったが、長さAが1cmでは×になった。このことから吹出口32Aのウエブ走行方向の長さAは3cm以上であることが好ましい。また、長さAの上限は、乾燥ゾーンの長さや、吹出器32、吸引器34、及び平板36の配設数に応じて適宜設定すればよいが、実施例Aの実施例3において60cmまで試験して良い結果を得ている。
尚、図11に示さなかったが、吸引器34の吸引口34Aのウエブ走行方向の長さBも、吹出器32の吹出口の長さAと同様に、3cm以上であることが好ましい。
(実施例E)
実施例Eは、本発明の実施例における好ましい態様を調べたものであり、塗布膜面に対して平行で、吹出口32Aから吸引口34Aに向かって流れる乾燥エア流の線風速を変えたときに、乾燥ムラへの影響を調べたものである。
試験17〜21については、ウエブ走行方向30cmの吹出口32Aに第1の多孔性整流板38として♯250メッシュの金網を設けた吹出器32と、ウエブ走行方向20cmの吸引口34Aに第2の多孔性整流板50として♯250メッシュの金網を設けた吸引器34と、50cm長さの平板36を1ユニットとしたものを4連配置した。尚、塗布速度は20m/分で共通とした。
試験17は線風速を0.1m/秒としたものである。
試験18は線風速を0.2m/秒としたものである。
試験19は線風速を0.8m/秒としたものである。
試験20は線風速を3.0m/秒としたものである。
試験21は線風速を4.0m/秒としたものである。
試験結果を図12に示した。
図12から分かるように、試験18〜20のように、線風速を0.2m/秒〜3.0m/秒の範囲では○〜◎で良い結果であった。しかし、線風速が0.2m/秒を下回る試験17場合や、線風速が3.0m/秒を上回る試験21の場合には、△の評価であった。このことから、線風速を0.2m/秒〜3.0m/秒の範囲が好ましいことが分かる。
本発明の乾燥装置の一態様で、乾燥ケーシングを3分割した場合の断面図 本発明の乾燥装置で、吹出器、平面部材、吸引器からなる構成の概念図 本発明の乾燥装置における吹出器の断面図 本発明の乾燥装置における吸引器の断面図 本発明の乾燥装置で、吹出器、吸引器からなる構成の概念図 本発明に係る塗布液の乾燥装置が組み込まれた光学補償フィルムの製造ラインを説明する説明図 本発明に係る塗布液の乾燥装置が組み込まれた防眩フィルム、反射防止フィルムの製造ラインを説明する説明図 実施例Aの結果をまとめた表図 実施例Bの結果をまとめた表図 実施例Cの結果をまとめた表図 実施例Dの結果をまとめた表図 実施例Eの結果をまとめた表図
符号の説明
10…乾燥装置、12…グラビアローラ、13…バックアップローラ、14…液受けパン、16…ウエブ、16A…塗布膜又は塗布膜面、17…上流ガイドローラ、18…下流ガイドローラ、20…乾燥ケーシング、22…パスローラ、24…ウエブ入口、26…ウエブ出口、28…吹出・吸引ユニット、30A,30B,30C…乾燥ゾーン、32…吹出器、32A…吹出口、34…吸引器、34A…吸引口、36…平面部材、36A…平面部材の塗布膜面に対向する平面、38…第1の多孔性整流板、40…乾燥エア、42…エア吹出室、44…エア供給配管、46…接続口、48…通路室、50…第2の多孔性整流板、52…エア吸引室、54…エア吸引配管、56…接続口、58…通路室、66…送り出し機、68…ガイドローラ、70…ラビング処理装置、72…ラビングローラ、74…除塵機、76…塗布装置、77…後段乾燥装置、78…加熱装置、80…紫外線ランプ、82…巻取り機

Claims (21)

  1. 塗布膜が形成されたウエブを、ウエブ入口とウエブ出口を有するトンネル状の乾燥ケーシング内を走行させながら前記塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥方法において、
    多孔性整流板を備えた吹出口から前記塗布膜面に向けて吹き出した乾燥エアを、吹き出し位置よりも下流側位置又は上流側位置に、前記吹出口と同じ塗布膜面側に設けられた吸引口から吸引することにより、前記塗布膜面上のウエブ幅方向全域において前記ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エア流を形成することを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
  2. 前記吸引口にも多孔性整流板を備えることを特徴とする請求項1の塗布膜の乾燥方法。
  3. 前記吹出口及び吸引口のウエブ走行方向の長さは3cm以上であると共に、ウエブ幅方向の長さは前記ウエブ幅と略同等であることを特徴とする請求項1又は2の塗布膜の乾燥方法。
  4. 前記塗布膜面に向かって吹き出す前記乾燥エアの風速が0.1〜3m/秒の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1の塗布膜の乾燥方法。
  5. 前記一定方向の乾燥エア流の線風速が走行するウエブに対して0.2〜3m/秒の範囲になるようにする請求項1〜4の何れか1の塗布膜の乾燥方法。
  6. 前記吹出口に備えた多孔性整流板及び吸引口に備えた多孔性整流板と、前記塗布膜面との距離が50mm以下であることを特徴とする請求項3〜5の何れか1の塗布膜の乾燥方法。
  7. 塗布膜が形成されたウエブを、ウエブ入口とウエブ出口を有するトンネル状の乾燥ケーシング内を走行させながら前記塗布膜を乾燥する塗布膜の乾燥装置において、
    前記乾燥ケーシング内には、
    ウエブ幅方向と同等の長さを有する吹出口に多孔性整流板を備え、前記塗布膜面に向けて乾燥エアを吹き出す吹出器と、
    前記吹出器と同じ塗布膜面側に設けられ、前記吹出器から吹き出された乾燥エアを、ウエブ幅方向と同等の長さを有する吸引口から吸引する吸引器と、が前記ウエブの走行方向に交互に配置されていることを特徴とする塗布膜の乾燥装置。
  8. 前記吸引口にも多孔性整流板が備えられ、該多孔性整流板を介して吸引することを特徴とする請求項7の塗布膜の乾燥装置。
  9. 前記多孔性整流板は、金網又はパンチングメタルであることを特徴とする請求項7又は8の塗布膜の乾燥装置。
  10. 前記吹出口及び吸引口のウエブ走行方向の長さは3cm以上であると共に、ウエブ幅方向の長さは前記ウエブ幅と略同等であることを特徴とする請求項7〜9の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  11. 前記吹出口に備えた多孔性整流板及び吸引口に備えた多孔性整流板と、前記塗布膜面との距離が50mm以下であることを特徴とする請求項7〜10何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  12. 前記吹出器と前記吸引器とを1ユニットとした吹出・吸引ユニットを、前記乾燥ケーシングのウエブ入口からウエブ出口までの長さ分だけ設けることを特徴とする請求項7〜11の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  13. 前記吹出器と吸引器との間には、前記吹出口と前記吸引口と面一な平面を備えた平面部材が介在されていることを特徴とする請求項7〜12の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  14. 前記平面部材の前記ウエブ走行方向の長さは5cm以上であることを特徴とする請求項13の塗布膜の乾燥装置。
  15. 前記吹出口から前記塗布膜面に向かって吹き出す風速が0.1〜3m/秒の範囲であることを特徴とする請求項7〜14の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  16. 前記吹出口から吹き出した乾燥エアを前記吸引口から吸引することにより、前記塗布膜面上に前記ウエブ走行方向と平行な一定方向の乾燥エアの流れを形成すると共に、該流れの線風速が0.2〜3m/秒の範囲であることを特徴とする請求項7〜15の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  17. 前記吹出口のウエブ幅方向の長さは、前記ウエブ幅+50mm以下であることを特徴とする請求項7〜16の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  18. 前記塗布膜中の溶媒成分濃度が塗布時の溶媒成分濃度の50%以下に減少するまで、あるいは塗布膜の粘度が10mPa・s以上になるまでのうちの何れか早い方までは、少なくとも前記吹出・吸引ユニットを配設することを特徴とする請求項12〜17の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  19. 前記塗布膜を塗布する塗布位置から10cm以降に前記吹出・吸引ユニットを配設することを特徴とする請求項12〜18の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  20. 請求項7〜19の何れか1の塗布膜の乾燥装置を、光学フィルムの製造ラインに使用することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  21. 前記光学フィルムは、光学補償フィルム、防眩性フィルム、反射防止フィルムの何れかであることを特徴とする請求項20の光学フィルムの製造方法。
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