JP5537373B2 - フィルム巻取装置及びこの装置を用いた光学フィルムの製造方法 - Google Patents

フィルム巻取装置及びこの装置を用いた光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム巻取装置及びこの装置を用いた光学フィルムの製造方法に係り、特に光学フィルム用のベースフィルムを製造した後の巻取技術に関する。
例えば、液晶表示装置の偏光板保護フィルム、及びベースフィルムに塗布・乾燥等の処理工程を経過して製造される光学補償フィルム、反射防止フィルム等の光学フィルムは、高度な面状性能が要求される。
トリアセチルセルロース(TAC)等のベースフィルムは、一般的に溶液製膜法で製膜され、製膜されたベースフィルムは巻取装置に巻き取られる。したがって、巻取り時の巻きズレ、巻き皺、スリキズ(50μ〜100μ程度の微小キズ含む)、フィルム端部(通称、耳部)の変形(ナーリング部ベコや伸び)等の巻取り故障が品質上の大きな問題となる。
ベースフィルムでの巻取り故障は、その後の塗布故障や乾燥故障に繋がるため、ユーザにおいて製品フィルム以上に厳しい検査が行われている。特に、近年のフィルムの幅広化(例えば2000mm以上)によって、巻取り時に空気を巻き込み易くなっているため、巻取り故障を発生させない巻取りが難しくなってきている。
一般的に、走行するフィルムを巻取軸に巻き取って巻回ロールを形成する場合、フィルムの走行に同伴する同伴風や巻回ロールの回転に同伴する同伴風がフィルム同士の間に一緒に巻き込まれることにより、巻きが緩くなり巻きズレが発生する。したがって、巻きズレが発生しない巻き硬さを得るには、巻取り時に同伴風を排除する必要がある。
同伴風を排除する従来の一般的な巻取方法は、巻取テンション(張力)を高くする方法である。しかし、巻取テンションを高くすると、フィルム幅方向の耳部への応力集中によって耳部変形(ナーリング部のベコや伸び)が発生する。特に、近年の幅広フィルムの場合に巻取テンションを高くすると、耳部の伸びが大きくなる。
このことから、巻取テンションを高くしないでも同伴風を排除することのできる巻取装置が開発されており、例えば特許文献1〜3がある。
特許文献1の巻取装置は、巻取開始点に至るフィルムと巻回ロールとの三角状の空間部に吸引ノズルを設けて同伴風を吸引する方法である。特許文献1では、吸引ノズルの先端部に低摩擦の樹脂製リップを設け、吸引圧によりフィルムが引っ張られバタついて吸引ノズルや周辺部材に接触しても発生するキズの程度が低減されるようにしている。
特許文献2の巻取装置は、押圧ローラで巻取開始点の巻回ロール面を押圧しながら巻き取ると共に、前述した三角状の空間部に吸引ノズルを設けて同伴風を吸引する方法である。これにより、吸引圧によるフィルムのバタつきを防止している。
特許文献3の巻取装置は、押圧ローラではなく、巻取開始点をエア吹出ノズルから吹き出す風圧により非接触で押圧しながら巻き取る方法である。これにより、スリキズ等の巻取り故障の発生を防止している。
特開平07−117901号公報 特開平06−156826号公報 特開2005−96915号公報
しかしながら、従来のフィルム巻取装置は、高度な面状性能が要求される光学フィルムの巻取装置としては不十分である。
即ち、特許文献1の巻取装置は吸引ノズルの先端部に低摩擦の樹脂製リップを設けてはいるものの、吸引ノズルの吸引圧を大きくするとフィルムのバタつきが大きくなり、スリキズの発生を防止することはできない。吸引圧を下げればフィルムのバタつきは小さくなるが所望の巻硬さが得られない。近年においては上記の通り、光学フィルムの幅広化により同伴風の風量が増大しており、200Pa以上の吸引圧が必要とされるが、特許文献1の巻取装置では、吸引圧を200Pa以上にするとバタつきが大きくなってしまう。
また、特許文献2の巻取装置は、フィルムのバタつきは防止できるが押圧ローラがフィルム面に接触することから、スリップ等によるスリキズの発生を防止することはできない。また、幅広フィルムの場合、押圧ローラをクラウンローラにする必要があるが、皺が発生し易い。
また、特許文献3の巻取装置は、完全に非接触な方法で巻取りポイントを押圧できるので、特許文献1及び2のようなスリキズの発生は防止できるが、高い風圧を必要とし送風機設備が非常に高コストである。また、風圧によって周辺のゴミを飛散させたり、騒音を発生させたりする等の問題がある。光学フィルムの場合、飛散等によるフィルムへのゴミの付着は輝点故障の原因になり易いので、ゴミを吸引排除できる吸引ノズル方式の巻取装置を用いることが好ましい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、同伴風を吸引ノズルで排除する方式であっても、フィルムがバタつかないように吸引圧を高くできるので、同伴風を効率的に排除して硬巻きを行うことができ、高度な面状性能が要求される光学フィルムの巻取りに最適なフィルム巻取装置及びこの装置を用いた光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本願請求項1のフィルム巻取装置は前記目的を達成するために、走行するフィルムを巻取軸に巻き取って巻回ロールを形成するフィルム巻取装置において、前記巻回ロール面に対して狭小な第1の隙間を有して配置され、前記巻き取られるフィルムを巻掛け支持すると共に、巻掛け支持されたフィルム面と前記巻回ロール面との間に巻取開始点を頂点とする三角状の空間部を形成するバックアップローラと、前記空間部内に断面三角状のノズル先端部が配置され、前記空間部の空気を200〜1500Paの範囲の吸引圧で吸引すると共に、前記断面三角状を形成する2つの側面が前記バックアップローラ面と前記巻回ロール面とに対してそれぞれ狭小な第2及び第3の隙間を有して配置された吸引ノズルと、前記巻回ロールの巻き径の変化に追従して前記各隙間を維持しながら前記バックアップローラと前記吸引ノズルとを一体的に移動させる移動手段と、を備え、前記バックアップローラに巻掛け支持されたフィルム面の面圧が前記吸引ノズルの吸引圧よりも大きくなるように前記フィルムを前記バックアップローラに巻掛け支持し、前記第1〜第3の隙間は0.5〜10mmの範囲であることを特徴とする。
なお、三角状の空間部とは、正確な三角形を意味するのではなく、略三角な形状の空間を言う。
本発明の構成によれば、吸引ノズルで空間部の空気を吸引しても、バックアップローラに吸引圧よりも大きな面圧で保持されたフィルムがバタつくことがない。これにより、バックアップローラ及び吸引ノズルを巻回ローラ面に0.5〜1mm程度まで近づけてもフィルムが吸引ノズルに接触してスリキズ等が発生することはない。これにより、空間部に進入する同伴風を高い吸引圧で効果的に除去できる。
この結果、巻取り時に巻きテンションを高くしなくても、巻回ロールのフィルム層間に空気が巻き込まれるのを効果的に抑制できるので、フィルムを硬く巻回することができる。更には、高い吸引力により、巻取り周囲の塵埃等を除塵する除塵効果も得ることができる。
上記の如く吸引ノズルの吸引によってフィルムがバタつかないので、バックアップローラと巻回ロールとの第1の隙間、バックアップローラと吸引ノズルとの第2の隙間、及び吸引ノズルと巻回ロールとの第3の隙間を極めて小さくなるように接近させることができる。第1〜第3の隙間は0.5〜10mmの範囲とし、1〜5mmの範囲がより好ましい。
そして、このように、バックアップローラと吸引ノズルとを狭小な隙間で巻回ロールに近接配置しても、移動手段は、巻回ロールの巻き径の変化に追従して各隙間を維持しながらバックアップローラと吸引ノズルとを一体的に移動する。これにより、巻回ロールの巻き径が増大してもバックアップローラ及び吸引ノズルが巻回ロールに接触することはない。
また、バックアップローラに巻掛け支持するフィルムのラップ角度を大きくすることで、バックアップローラに巻掛けられずに空中に浮いているフィルム部分を減らすことができる。これにより、空間部を吸引ノズルで高い吸引圧で吸引しても、吸引ノズルにフィルムが接触することによるバタつき傷を作ってしまう懸念がない。したがって、巻掛け支持されたフィルムの面圧が1500Pa以上となるようなテンション、バックアップローラ径、フィルム幅となるよう条件設定が可能となる。この場合、最低でも200Pa以上の吸引圧で空間部を吸引することが必要である。
また、フィルムの走行経路等の理由からラップ角を大きく確保できない場合には、フィルムの走行に追従して回転駆動するテンデンシーローラを使用することで面圧を高くできる。
また、バックアップローラのローラ径を小径にすることで、直進するフィルムの走行方向を急激に変えることができるので、フィルムに同伴する同伴風の進行ベクトルが直進から曲進に変わる。これにより、空間部に流れ込む同伴風量を減少できる。具体的なバックアップローラのローラ径としては、20〜150mmの範囲にすることが好ましく、20〜50mmの範囲がより好ましい。
更に、本発明によれば、フィルムに同伴する同伴風や、巻回ロールの回転に同伴する同伴風が空間部に進入するのを吸引ノズル自体で効率的に遮風することができる。この場合、断面三角状のノズル先端部のバックアップローラ側の側面はバックアップローラの曲率半径と同じ曲率面に形成されていることが好ましい。また、ノズル先端部の巻回ロール側の側面は該巻回ロールの最大巻径時の曲率半径と同じ曲率面に形成されていることが好ましい。
また、バックアップローラと吸引ノズルとを一体的に支持する支持フレームには、フィルムの走行に同伴する同伴風を逃がす開口が形成されていることが好ましい。
本願請求項の光学フィルムの製造方法は前記目的を達成するために、光学フィルムを製造するベースフィルムを請求項1〜4の何れか1に記載のフィルム巻取装置で巻き取るベースフィルム巻取工程と、前記巻き取ったベースフィルムを巻き戻して光学用塗布液を塗布する塗布工程と、前記塗布された塗布層を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
本発明によれば、ベースフィルムの巻取工程を上記説明した巻取装置で行うようにしたので、巻取り時の巻きズレ、巻き皺、スリキズ(50μ〜100μ程度の微小キズ含む)、フィルム端部(通称、耳部)の変形(ナーリング部ベコや伸び)等の巻取り故障が発生しない。これにより、塗布工程や乾燥工程において巻取り故障に起因する塗布故障が発生しないので、高品質な光学フィルムを製造することができる。
本発明においては、製造した光学フィルムを請求項1〜4の何れか1のフィルム巻取装置で巻き取る製品フィルム巻取工程、を備えることが好ましい。製品の光学フィルムを巻き取る時にも本発明のフィルム巻取装置を使用すれば、一層高品質な光学フィルムを製造できる。
光学フィルムとしては、液晶表示装置の偏光板保護フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルムの何れかであることが好ましい。このような光学フィルムは、極めて高度な面状性能が要求されるからである。
本発明のフィルム巻取装置によれば、同伴風を吸引ノズルで排除する方式であっても、フィルムのバタつかないように吸引圧を高くできるので、同伴風を効率的に排除して硬巻きを行うことができる。これにより、巻取り時の巻きズレ、巻き皺、スリキズ(50μ〜100μ程度の微小キズ含む)、フィルム端部(通称、耳部)の変形(ナーリング部ベコや伸び)等の巻取り故障を防止できる。
したがって、このフィルム巻取装置を用いた光学フィルムの製造方法によれば、高度な面状性能が要求される光学フィルムを製造できる。
本発明のフィルム巻取装置を、ベースフィルムの製膜ラインに組み込んだ概念図 本発明のフィルム巻取装置の側面図 本発明のフィルム巻取装置の斜視図 本発明のフィルム巻取装置の部分拡大図 本発明のフィルム巻取装置を、光学補償フィルムの製造ラインに組み込んだ概念図
以下、本発明のフィルム巻取装置及びこの装置を用いた光学フィルムの製造方法の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のフィルム巻取装置10(以下、「巻取装置」と記載)を、ベースフィルム12の製膜ライン14に組み込んだ概念図である。なお、本実施の形態では、製膜ライン14として、溶液製膜法による製膜部16を設けた例で説明する。
溶液製膜法による詳細な工程は図示しないが、製膜部16は、例えばトリアセチルセルロース(TAC)を溶媒で溶解したドープを、走行するベルト又は回転するドラム等の支持体に流延して流延膜を形成する。そして、支持体から剥離した後に溶媒を乾燥することで長尺状のフィルムを製造する装置である。なお、ベースフィルム12の材質としてTACに限定するものではない。
図1に示すように、巻取装置10は、製膜部16で製膜されたベースフィルム12を巻取軸18に巻き取る装置であり、製膜部16と巻取装置10との間には、巻取装置10側から順にナーリング装置20、耳部裁断装置22、及び巻取テンション制御装置24が設けられる。
ナーリング装置20は、型ローラ20Aと受けローラ20Bとから成る一対のナーリングローラによりベースフィルム12の幅方向端部(通称、耳部12a)に、エンボス加工等により、多数の微小凸部を形成する装置である。微小凸部形状としては円錐台形状、角錐形、円球形、波形、格子形、不定形等がある。
耳部裁断装置22は、フィルム幅方向端部に配設された一対のナイフ状(図示せず)あるいは回転刃状裁断刃22Aにより、ベースフィルム12の耳部12aを裁断除去する装置である。
巻取テンション制御装置24は、主として、一対のガイドローラ24A、24Bとガイドローラ24A、24B同士の間に設けられたダンサーローラ24Cと、一方のガイドローラ24Bに設けられた張力測定センサ24Dとで構成される。張力測定センサ24Dにより測定されたテンション信号は、製膜ライン14を制御するコントローラ(図示せず)に送られる。コントローラは、張力測定センサ24Dからのテンション信号に基づきダンサーローラ24Cを矢印26方向に変位させることにより巻取テンションを設定値に調整する。例えば、巻取テンションが設定値よりも高い場合にはダンサーローラ24Cを上昇させ、巻取テンションが設定値よりも低い場合には、ダンサーローラ24Cを下降させる。これにより、巻取装置10でベースフィルム12を巻き取る巻取テンションを一定設定範囲内に制御する。これにより、巻取り長さに応じて、最適の巻取テンションでベースフィルム12を巻き取って巻回ロール28を形成することができる。
本実施の形態では、巻取り長さが長くなって巻回ロール28の巻き径が大きくなるに従い、巻取テンションを低減させるパターンとしているが、これに限らず、適宜公知のパターンを使用できる。
次に、本発明の巻取装置10について図2〜図4を用いて説明する。
これらの図に示すように、巻取装置10は、主として、バックアップローラ30と吸引ノズル32と移動手段34とで構成される。
バックアップローラ30は、巻回ロール28面に対して狭小な第1の隙間L1(図4参照)を有して配置され、巻き取られるベースフィルム12を所定以上の面圧P1で巻掛け支持すると共に、巻掛け支持されたベースフィルム12面と巻回ロール29面との間に巻取開始点Qを頂点とする三角状の空間部36を形成する。
吸引ノズル32は、空間部36内に断面三角状のノズル先端部32Aが配置され、空間部36の空気を所定以上の吸引圧P2で吸引する。吸引ノズル32は、内部が空洞に形成されると共に、ノズル先端部32Aに、巻回ロール28の幅方向に沿ってスリット状の吸込口32D(図4参照)が形成される。また、吸引ノズル32は、吸引パイプ32Eを介して図示しない真空装置に接続される。そして、吸引ノズル32が空間部36の空気を吸引することにより、巻取り時に巻回ロール28のフィルム層間に空気が巻き込まれないようにする。
かかる吸引ノズル32による空間部の吸引において、バックアップローラ30に巻掛け支持されたベースフィルム12の面圧P1が吸引ノズル32の吸引圧P2よりも大きくなるようにベースフィルム12がバックアップローラ30に巻掛け支持される。
また、図4に示すように、断面三角状を形成するノズル先端部32Aの2つの側面32B,32Cがバックアップローラ30面と巻回ロール28面とに対してそれぞれ狭小な第2の隙間L2及び第3の隙間L3を有して配置される。これにより、ベースフィルム12の走行に同伴される同伴風、及び巻回ロール28の回転に同伴される同伴風が空間部36に進入するのを遮風する遮風構造になっている。
上記した第1〜第3の隙間L1〜L3は0.5〜10mmの範囲が好ましく、1〜5mmの範囲がより好ましい。隙間L1〜L3が0.5mm未満の場合には、ベースフィルム12(通常厚みが80μm程度)を介してバックアップローラ30が巻回ロール28面に接触する虞がある。また、10mmを超えると後記する遮風効果が悪くなると共に、空間部36を形成するベースフィルム12のうちバックアップローラ30に巻掛け支持されていない部分(空中を走行する部分)が長くなるので、吸引ノズル32で吸引時にベースフィルム12がバタつく原因になる。なお、第1〜第3の隙間L1〜L3は同じ隙間である必要はなく、上記範囲内であれば異なっても良い。例えば、バックアップローラ30とノズル先端部32Aは、巻回ロール28面に近づければ近づくほど、バックアップローラ30と巻取開始点Qとの距離が近くなり、空中に存在するフィルム長L4(図4参照)を短くできるので好ましい。具体的には、L1及びL3は0.5〜1mmにすることが可能である。
この場合、図4に示すように、断面三角状のノズル先端部32Aのバックアップローラ30側の側面32Bはバックアップローラ30の曲率半径と同じ曲率面に形成されることが好ましい。これにより、ベースフィルム12の走行に同伴される同伴風W1が空間部36に進入するのを、より効果的に遮風することができる。
また、巻回ロール28の巻き径が小径の時よりも大径の時の方が同伴風量は大きいので、ノズル先端部32Aの巻回ロール28側の側面32Cは巻回ロール28の最大巻径時の曲率半径と同じ曲率面に形成されることが好ましい。これにより、巻回ロール28の回転に同伴する同伴風W2が空間部36に進入するのを、より効果的に遮風することができる。
図2及び図3に示すように、移動手段34は、巻回ロール28の巻き径の変化に追従して前述した各隙間L1,L2、L3を維持しながらバックアップローラ30と吸引ノズル32とを一体的に移動させる。
移動手段34は、主として、バックアップローラ30の回転軸30A両端を回転自在に支持すると共に吸引ノズル32をバックアップローラ30と一体的に支持する支持フレーム38と、支持フレーム38を図2の矢印A−B方向に往復移動させる送りネジ機構44と、巻回ロール28の巻き径を測定する巻き径センサ42(図1、図2参照)と、巻き径センサ42の測定値に基づいて支持フレーム38の移動速度が巻き径の増加速度と同じになるように送りネジ機構44を制御する制御部46(図2参照)、とで構成される。
巻き径センサ42は特に限定されないが、巻き径の変化を精度良く測定できるものであればよい。例えば、図1に示すように、ガイドローラ24Aに巻き径センサ42としてパルスジェネレータ42Aを取り付けてパルス信号から巻き径を算出する方法を採用してもよい。また、図2に示すように、巻き径センサ42としてレーザ測距計42Bを用いて、巻回ロール28面までの距離を測定し、測定距離から巻き径を算出してもよい。
送りネジ機構44は、支持フレーム38の中央部にネジ先端が固定されるネジ部材44Aと、ネジ基端部が連結されてネジ部材44Aを回転するサーボモータ44Bと、ネジ部材44Aが螺合されるナット部材44Cと、ナット部材44Cを巻取装置本体(図示せず)に支持する支持板44Dと、支持フレーム38の移動をガイドする一対のガイド棒44E、44Eと、で構成される。なお、サーボモータ44Bも図示しない巻取装置本体に固定される。これにより、サーボモータ44Bがネジ部材44Aを例えば矢印X方向に回転すると、支持フレーム38に一体的に支持されたバックアップローラ30及び吸引ノズル32がガイド棒44Eにガイドされながら図2の矢印A方向に移動する。また、サーボモータ44Bがネジ部材44Aを例えば矢印Y方向に回転すると、支持フレーム38に一体的に支持されたバックアップローラ30及び吸引ノズル32がガイド棒44Eにガイドされながら図2の矢印B方向に移動する。
上記の如く構成された巻取装置10によれば、巻回ロール28面に対して狭小な第1の隙間L1を有してバックアップローラ30を設け、走行するベースフィルム12を所定以上の面圧P1で巻掛け支持する。そして、巻掛け支持されたベースフィルム12面と巻回ロール28面との間に巻取開始点Qを頂点として形成される三角状の空間部36に、ノズル先端部32Aを配置して空間部36の空気を所定以上の吸引圧P2で吸引する。この吸引ノズル32による吸引において、バックアップローラ30に巻掛け支持されるベースフィルム12の面圧P1が、吸引ノズル32による吸引圧P2よりも大きくなるように巻き掛け支持する。
これにより、吸引ノズル32で空間部36の空気を吸引しても、バックアップローラ30に吸引圧P2よりも大きな面圧P1で保持されたベースフィルム12がバタつくことはない(以下、「バタつき防止効果」という)。これにより、ベースフィルム12が吸引ノズル32に接触してスリキズ等が発生することはないので、空間部36に進入する同伴風を高い吸引圧P2で効果的に除去できる。この結果、巻取り時に巻きテンションを高くしなくても、巻回ロール28のベースフィルム層間に空気が巻き込まれるのを効果的に抑制できるので、ベースフィルム12を硬く巻回することができる。更には、高い吸引力P2により、巻取り周囲の塵埃等を除塵する除塵効果も得ることができる。
ちなみに、巻回ロール28面から離れた位置にバックアップローラ30を設けると、巻取開始点Qまでに空中を走行するベースフィルム12長が長くなるので、空中を走行するベースフィルム12面と巻回ロール28面との間に巻取開始点Qを頂点として三角状の空間部36が形成される。これにより、吸引ノズル32により空間部36を高い吸引圧P2で吸引すると、空中に支持されたベースフィルム12がバタつき、吸引ノズル32に接触してスリキズ等が発生する。
具体的には、空間部36の空気を吸引ノズル32で吸引して巻回ロール28のベースフィルム12層間に空気が巻き込まれるのを効果的に抑制するには、吸引ノズルで200Pa以上の吸引圧P2で空間部36を吸引することが好ましい。かかる観点において、本発明では、バックアップローラ30に巻掛け支持されるベースフィルム12のラップ角度α(図4参照)を大きくすることで、巻掛け支持されたベースフィルム12の面圧P1が1500Pa以上になるように巻掛け支持することができる。
なお、ラップ角度αとは、走行するベースフィルム12がバックアップローラ30に巻掛けを開始してから終了するまでの中心角を言う。
したがって、吸引ノズル32で200Pa以上の吸引圧で空間部36を吸引しても1500paまでであれば、ベースフィルム12がバックアップローラ30から剥離してバタつくことはない。ベースフィルム12が搬送される経路の関係でラップ角αを大きく確保できない場合には、ベースフィルム12の走行に追従して回転駆動するテンデンシーローラ(図示せず)を使用することで同様の効果を得ることができる。
また、バックアップローラ30に対するベースフィルム12のラップ角度αを大きくすることで、直進するベースフィルム12の走行方向を急激に変えることができる。これにより、ベースフィルム12に同伴する同伴風W1の進行ベクトルが直進から曲進に変わるので、空間部36に流れ込む同伴風量を減少できる(以下、「同伴風ベクトル可変効果」という)。
同伴風W1の進行ベクトルが直進から曲進に変えるためには、バックアップローラ30のローラ径を小さくしてラップ角度αを大きく確保することが好ましい。具体的には、バックアップローラ30のローラ径を20〜150mmの範囲の小径にすることが好ましく、20〜50mmの範囲がより好ましい。ローラ径が20mm未満では撓み易くなる。
更に、本発明によれば、断面三角状に形成されたノズル先端部32Aのバックアップローラ30側の側面32Bと巻回ロール28面側の側面32Cとが、狭小な第2及び第3の隙間L2,L3を有するように配置されている。これにより、ベースフィルム12に同伴する同伴風W1や、巻回ロール28の回転に同伴する同伴風W2が空間部36に進入するのを吸引ノズル32自体で効率的に遮風することができる(以下、「吸引ノズル自体の遮風効果」という)。
この場合、断面三角状のノズル先端部32Aのバックアップローラ30側の側面32Bはバックアップローラ30の曲率半径と同じ曲率面に形成されていることが好ましい。これにより、ベースフィルム12の走行に同伴される同伴風W1を効果的に遮風することができる。また、ノズル先端部32Aの巻回ロール28側の側面32Cは巻回ロール28の最大巻径時(巻回終了時の巻き径)の曲率半径と同じ曲率面に形成されていることが好ましい。これにより、巻回ロール28の回転による同伴風W2を効果的に遮風することができる。即ち、巻回ロール28の巻き径が小径の時よりも大径の時の方が同伴風量は大きいので、ノズル先端部32Aの巻回ロール28側の側面32Cを最大巻径時の曲率半径と同じ曲率面に形成すれば、同伴風W2を効果的に遮風できる。また、最大巻径時の曲率半径は、直線に近くなるので、巻回ロール28の巻き径が小径の時にも、巻回ロール28側の側面32Cが巻回ロール28面に接触することもない。
かかる巻取りにおいて、移動手段34は、巻回ロール28の巻き径の変化に追従して各隙間L1〜L3を維持しながらバックアップローラ30と吸引ノズル32とを一体的に移動させるので、バックアップローラ30及び吸引ノズル32が巻回ロール28に接触することはない。この場合、バックアップローラと吸引ノズルとを一体的に支持する支持スレームには、図2及び図3に示すように、同伴風W1を逃がす開口が形成されていることが好ましい。
このように本発明の巻取装置10は、同伴風を吸引ノズル32で排除する方式であっても、上記したバタつき防止効果と、同伴風ベクトル可変効果と、吸引ノズル32自体の遮風効果とによって、スリキズ等の巻取り故障を発生させずに同伴風を効率的に排除して硬巻きを行うことができる。したがって、高度な面状性能が要求される光学フィルムの巻取りに最適である。
次に、図5により、上記の如く巻取装置10に巻き取ったベースフィルム12に塗布・乾燥等の処理を施して光学フィルムを製造する製造方法の一例を説明する。光学フィルムの一例として光学補償フィルムの例で説明する。
なお、本実施形態では光学フィルムが光学補償フィルムの場合について説明するが、光学フィルムは光学補償フィルムに限られず、帯状のベースフィルム上に硬化性塗布液を塗布した後に乾燥ゾーンで加熱風により塗布層を乾燥させ、硬化ゾーンで乾燥させた塗布層を硬化させる各種光学フィルム、例えば、防眩フィルム、反射防止フィルム等の製造方法にも適用できる。
図5は、本発明を実施するための光学補償フィルムの巻取装置10の概略構成を示す概略図である。
図5に示すように、予め配向膜形成用の透明樹脂層が形成された帯状ベースフィルム12が、送り出し機112から送り出される。ベースフィルム12は、ガイドローラ116によってガイドされながら下流側に配されたラビング処理装置118に送りこまれ、ラビングローラ120によって透明樹脂層がラビング処理される。これにより、配向膜が形成される。
ラビング処理装置118では、ラビングローラ120がベースフィルム12の連続搬送工程内にある2つの搬送用ロール間に配されている。そして、ベースフィルム12が回転するラビングローラ120にラップされて搬送されることにより、連続的にラビング処理される。この場合、ラビングローラ120は、その回転軸がベースフィルム12の搬送方向に対して傾くように配されてもよい。
ラビング処理装置118の下流側には除塵機122が配されており、ベースフィルム12面に付着した塵が取り除かれる。更に、除塵機122の下流側にはグラビア塗布装置124が配され、液晶性化合物を含む塗布液がベースフィルム12の配向膜上に塗布される。液晶性化合物としては、架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物が好ましく用いられる。
グラビア塗布装置124は、グラビアローラ126と、該グラビアローラ126の下方に配され、液晶性化合物を含む塗布液が満たされた液受けパン128と、を備えており、グラビアローラ126の約下半分は塗布液に浸漬されている。また、グラビアローラ126の約10時の位置にブレード129が配されている。これにより、グラビアローラ126面のセルに塗布液が供給され、ブレード129で余分な塗布液が掻き落とされた後、ベースフィルム12の配向膜面に塗布される。塗布液の塗布量は、10mL/m以下であることが好ましい。
上流ガイドローラ117及び下流ガイドローラ119は、グラビアローラ126と略平行な状態で配されている。また、上流ガイドローラ117及び下流ガイドローラ119は、その両端部が図示しない軸受部材(ボール軸受等)により回動自在に支持され、駆動機構を有していないことが好ましい。グラビア塗布装置124は、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設けられることが好ましい。清浄度は、クラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
塗布装置としては、図5では、グラビア塗布装置124の例を示したが、これに限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法等の方法を適宜使用することができる。ベースフィルム12の搬送速度は、5〜200m/分が好ましい。また、ベースフィルム12に形成される塗布層の幅は、0.5〜3mであることが好ましい。
液晶性化合物を含む塗布層が形成されたベースフィルム12は、すぐ下流側に設けられた初期乾燥ゾーン130により乾燥される。更に、初期乾燥ゾーン130の下流側には乾燥ゾーン132が設けられ、乾燥されたベースフィルム12の塗布層が更に乾燥される。そして、乾燥ゾーン132の下流側には硬化ゾーン136が設けられ、乾燥されたベースフィルム12の塗布層が硬化される。
この場合、乾燥ゾーン132と硬化ゾーン136との間に、乾燥ゾーン132の温度と硬化ゾーン136の温度の何れよりも低くなるように制御された中間ゾーン134を設けることが好ましい。中間ゾーン134を有しないで乾燥ゾーン132から直に硬化ゾーン136に塗布層が搬送されると、乾燥ゾーン132で加熱されたベースフィルム12及び塗布層から蒸発した低分子量化合物が乾燥ゾーン132よりも温度の低い硬化ゾーン136において結露することがある。結露により析出した析出物(結露物)がベースフィルム12裏面及び塗布層面に付着して汚染する。また、硬化ゾーン136の壁面等で結露した結露物が帯状ベースフィルム12裏面及び塗布膜面に落下付着して汚染する。なお、ここで、低分子量化合物とは、分子量が1000以下のものを言う。
光学補償フィルムの製造において、この低分子量化合物としては、例えば、可塑剤として、トリフェニル・フォスフェイト(TPP)、ビフェニル・ジフェニル・フォスフェイト(BPP)が、硬膜剤として、イルガキュア184、シランカプリング剤として、アクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等がある。
そして、硬化ゾーン136を経て製造された光学補償フィルム13は、上記したベースフィルム12の巻取りの場合と同様に、巻取テンション制御装置24を経由して上記説明した巻取装置10によって巻き取られる。
このように、ベースフィルム12の巻取りと、ベースフィルム12に塗布・乾燥等の処理を行って製造した光学補償フィルム13の巻取りとの両方に、本発明の巻取装置10を使用することで、巻取り時の巻きズレ、巻き皺、スリキズ(50μ〜100μ程度の微小キズ含む)、フィルム端部(通称、耳部)の変形(ナーリング部ベコや伸び)等の巻取り故障のない高度な面状性能を有する光学フィルムを製造できる。
次に、本実施の形態の光学フィルムの製造に使用される各種材料について説明する。
本実施形態で用いられるディスコティック化合物(液晶性化合物)としては、特開平7−267902号、特開平7−281028号、特開平7−306317号の各公報に記載のものが使用できる。これらによると、光学異方層(液晶性化合物を含む塗布層)は、ディスコティック構造単位を有する化合物から形成される層である。すなわち、光学異方層は、モノマー等の低分子量の液晶性ディスコティック化合物層、又は重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られるポリマー層である。
ディスコティック(円盤状)化合物としては、例えば、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクル等が挙げられる。
上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、前記公報において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできたものが前記化合物である必要はなく、例えば、前記低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。更に、ディスコティックネマティック相又は一軸性の柱状相を形成し得る、円盤状化合物の少なくとも一種を含有し、かつ光学異方性を有する化合物を用いることが好ましい。また、円盤状化合物がトリフェニレン誘導体であることが好ましい。ここで、トリフェニレン誘導体が、特開平7−306317号公報に記載の(化2)で表される化合物であることが好ましい。
配向膜層の支持体となるベースフィルム12としては、TAC等のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。具体的には、特開平9−152509号公報に詳細に記載されているものが使用できる。すなわち、配向膜はセルロースアシレートフィルム上又はそのセルロースアシレートフィルム上に塗設された下塗層上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。ここで配向膜は、光学異方層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。
配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、更にω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向膜用の有機化合物としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビルアルコールが挙げられる。
中でも、アルキル変性のポリビニルアルコールは特に好ましく、液晶性ディスコティック化合物を均一に配向させる能力に優れている。これは、配向膜面のアルキル鎖とディスコティック液晶のアルキル側鎖との強い相互作用のためと推察される。また、アルキル基は、炭素原子数6〜14が好ましく、更に、−S−、−(CH3)C(CN)−又は−(C2H5 )N−CS−S−を介してポリビニルアルコールに結合していることが好ましい。上記アルキル変性ポリビニルアルコールは、未端にアルキル基を有するものであり、ケン化度80%以上、重合度200以上が好ましい。また、上記側鎖にアルキル基を有するポリビニルアルコールは、クラレ(株)製のMP103、MP203、R1130などの市販品を利用することができる。
また、液晶表示装置(LCD)の配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これは、ポリアミック酸(例えば、日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)をウエブ面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
更に、セルロースアシレートフィルムに適用される配向膜は、上記ポリマーに反応性基を導入することにより、あるいは上記ポリマーをイソシアネート化合物及びエポキシ化合物などの架橋剤と共に使用して、これらのポリマーを硬化させることにより得られる硬化膜であることが好ましい。
配向膜に用いられるポリマーと、光学異方層の液晶性化合物とが、これらの層の界面を介して化学的に結合していることが好ましい。配向膜のポリマーが、ビニル部分、オキシラニル部分又はアジリジニル部分を有する基で、少なくとも1個のヒドロキシル基が置換されたポリビニルアルコールから形成されていることが好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分又はアジリジニル部分を有する基が、エーテル結合、ウレタン結合、アセタール結合又はエステル結合を介してポリビニルアルコール誘導体のポリマー鎖に結合していることが好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分又はアジリジニル部分を有する基が、芳香族環を持たないことが好ましい。上記ポリビニルアルコールが、特開平9−152509号公報に記載の(化22)であることが好ましい。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。すなわち、配向膜の面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiOを代表とし、TiO2、ZnO2等の金属酸化物、又はMgF2等のフッ化物、Au、Al等の金属が挙げられる。なお、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として使用でき、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。ウエブを固定して蒸着するか、又は長尺ウエブを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成できる。配向膜を使用せずに光学異方層を配向させる方法として、ウエブ上の光学異方層を、ディスコティック液晶層を形成し得る温度に加熱しながら、電場又は磁場を付与する方法が挙げられる。
セルロースアシレートフィルム上に光学異方層が形成された光学補償フィルムの液晶表示装置への適用方法としては、偏光板の片側に上記光学補償フィルムを粘着剤を介して貼り合わせる、もしくは、偏光素子の片側に保護フィルムとして、上記光学補償フィルムを接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。光学異方素子は、少なくともディスコティック構造単位(ディスコティック液晶が好ましい)を有することが好ましい。
また、上記ディスコティック構造単位の円盤面が、セルロースアシレートフィルム面に対して傾いており、且つディスコティック構造単位の円盤面とセルロースアシレートフィルムとのなす角度が光学異方層の深さ方向において変化していることが好ましい。
また、上記光学補償フィルムは、特に透過型液晶表示装置に好ましく用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置される。液晶セルのモードは、VAモード、TNモード、又はOCBモードであることが好ましい。
[実施例1]
下記の実験1〜3の条件の巻取装置によって図1の製膜ラインで製膜した幅2000mm、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルムを巻き取る実験を行った。
(巻取り条件)
実験1…バックアップローラ30及び吸引ノズル32を使用しないで巻き取った場合である。
実験2…上記説明した本実施の形態の巻取装置10を使用した場合である。バックアップローラ30面と巻回ロール28面との隙間L1を3mm、バックアップローラ30面と吸引ノズル32のバックアップローラ側の側面32Bとの隙間L2を5mm、吸引ノズル32の巻回ロール28側の側面32Cと巻回ロール28面との隙間L3を5mmに設定した。また、吸引ノズル32の吸引圧を1100Paに設定した。
実験3…実験2と同様にバックアップローラ30と吸引ノズル32を配置したが、吸引ノズル32の吸引を行わなかった場合である。
(巻取り評価方法)
巻取り評価方法としては、実験1〜3において同じ「巻き硬さ」を得るための巻取テンションを比較した。即ち、実験1について600Nの強めの巻取テンションで行った時の巻き硬さを「基準巻き硬さ」とし、実験2及び3において「基準巻き硬さ」と同じ巻き硬さにするために必要な巻取テンションを調べた。
(試験結果)
その結果、実験2は、巻取テンション535Nまで低減しても実験1と同じ「基準巻き硬さ」を得ることができた。即ち、実験2は実験1に対して巻取テンションを65N低減しても同じ巻き硬さを得ることができる。また、吸引ノズル32による吸引圧を1100Paと高くしたが、巻取り時におけるフィルムのバタつきはなかった。
実験3は、巻取テンション560Nまで低減しても実験1と同じ「基準巻き硬さ」を得ることができた。即ち、実験3は実験1に対して巻取テンションを40N低減しても同じ巻き硬さを得ることができる。
このことから、同伴風を吸引ノズルで排除する方式であっても、本実施の形態で説明した巻取装置10のように構成することで、フィルムがバタつかないように吸引圧を高くできるので、同伴風を効率的に排除して硬巻きを行うことができることが分かった。
また、実験2と実験3との巻取テンションの比較から分かるように、吸引ノズル32の巻取テンション低減への寄与は25Nであり、バックアップローラ30の巻取テンション低減への寄与は40Nであり、バックアップローラ30の寄与率が大きいことが分かる。
10…巻取装置、12…ベースフィルム、14…製膜ライン、16…製膜部、18…巻取軸、20…ナーリング装置、22…耳部裁断装置、24…巻取テンション制御装置、28…巻回ロール、30…バックアップローラ、32…吸引ノズル、32A…ノズル先端部、32B…ノズル先端部のバックアップローラ側の側面、32C…ノズル先端部の巻回ローラ側の側面、32D…吸引口、34…移動手段、36…空間部、38…支持フレーム、42…巻き径センサ、44…送りネジ機構、44A…ネジ部材、44B…サーボモータ、44C…ナット部材、44D…支持板、44E…ガイド棒、46…制御部

Claims (7)

  1. 走行するフィルムを巻取軸に巻き取って巻回ロールを形成するフィルム巻取装置において、
    前記巻回ロール面に対して狭小な第1の隙間を有して配置され、前記巻き取られるフィルムを巻掛け支持すると共に、巻掛け支持されたフィルム面と前記巻回ロール面との間に巻取開始点を頂点とする三角状の空間部を形成するバックアップローラと、
    前記空間部内に断面三角状のノズル先端部が配置され、前記空間部の空気を200〜1500Paの範囲の吸引圧で吸引すると共に、前記断面三角状を形成する2つの側面が前記バックアップローラ面と前記巻回ロール面とに対してそれぞれ狭小な第2及び第3の隙間を有して配置された吸引ノズルと、
    前記巻回ロールの巻き径の変化に追従して前記各隙間を維持しながら前記バックアップローラと前記吸引ノズルとを一体的に移動させる移動手段と、を備え、
    前記バックアップローラに巻掛け支持されたフィルム面の面圧が前記吸引ノズルの吸引圧よりも大きくなるように前記フィルムを前記バックアップローラに巻掛け支持し、
    前記第1〜第3の隙間は0.5〜10mmの範囲であることを特徴とするフィルム巻取装置。
  2. 前記バックアップローラのローラ径は20〜150mmの範囲であることを特徴とする請求項に記載のフィルム巻取装置。
  3. 前記2つの側面のうち、前記バックアップローラ側の側面は前記バックアップローラの曲率半径と同じ曲率面に形成されると共に、前記巻回ロール側の側面は該巻回ロールの最大巻径時の曲率半径と同じ曲率面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム巻取装置。
  4. 前記バックアップローラと前記吸引ノズルとは支持フレームに一体的に支持されると共に、該支持フレームには、フィルムの走行に同伴する同伴風を逃がす開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載のフィルム巻取装置。
  5. 光学フィルムを製造するベースフィルムを請求項1〜4の何れか1に記載のフィルム 巻取装置で巻き取るベースフィルム巻取工程と、
    前記巻き取ったベースフィルムを巻き戻して光学用塗布液を塗布する塗布工程と、
    前記塗布された塗布層を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  6. 前記製造方法で製造された光学フィルムを請求項1〜4の何れか1のフィルム巻取装置で巻き取る製品フィルム巻取工程、を備えたことを特徴とする請求項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記光学フィルムは、液晶表示装置の偏光板保護フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルムの何れかであることを特徴とする請求項5又は6に記載の光学フィルムの製造方法。
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