JP2007161769A - ポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置 - Google Patents

ポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり除去でき、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止する。
【解決手段】ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布工程14、アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持工程16、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して反応を停止させる反応停止工程18、及び反応を停止したポリマーフイルムからアルカリ溶液を洗い落とす洗浄工程22を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法において、
反応停止工程18は、希釈溶媒又は酸性溶液を表面が平滑なフラットバー42を有するバー塗布装置30で塗布してアルカリ溶液を除去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置に係り、特に、長尺状光学補償シートの透明支持体として用いられるセルロースエステルフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置に関する。
近年、光学フイルムの需要が増加しつつある。この光学フイルムとしては、液晶セルに位相差板として使用される光学補償シートがある。
透明支持体上に配向膜および液晶性分子を固定化した光学異方性層を設けた光学補償シートを製造する場合、透明支持体(通常は、セルロースアセテートフイルムに代表されるセルロースエステルフイルム)と配向膜(通常はポリビニルアルコール)との間の良好な密着が必要となる。セルロースエステルフイルムとポリビニルアルコールとの親和性は弱く、この界面での剥がれや割れが発生してしまうため、セルロースエステルフイルム上にゼラチンの下引き層を設けていた。しかしながら、ゼラチン下引き層を塗設する際の塗布液溶媒として、この下引き層とセルロースエステルフイルムの密着を発現させるためにはセルロースエステルフイルムに浸透する溶媒(例えば、ケトン系溶剤など)を用いなければならないため、セルロースエステルフイルムが膨潤し、続く乾燥工程で収縮する過程でフイルムの微細な屈曲が発生する問題があった。この屈曲したフイルム上に配向膜、次いで液晶性分子層を塗設すると、屈曲形状に沿って配向膜と液晶性分子層の厚みムラや液晶性分子の配向ムラが発生し、液晶表示装置の描画品質を劣化させることがわかった。
また、ゼラチン下引き層を設けずにセルロースエステルフイルムと親水性材料(例えば配向膜)との密着性を改良する一般的な方法として、フイルムをアルカリ水溶液中に浸漬する、いわゆる鹸化浴処理を行う方法が知られている。この様な鹸化処理方法の詳細は、特開平8−94838号公報に記載されている。しかしながら、この浸漬による鹸化浴処理においては、セルロースエステルフイルムの両面が同時に親水化してしまうため、片面にポリビニルアルコールなどの親水性層を塗設した後にロール状に巻き取ると、表裏が接着してしまう問題が発生する。鹸化浴処理にて、片面のみを親水化する手段としては、目的としない面をラミネートなどの防水加工を施して鹸化処理する方法が挙げられるが、煩雑な工程が増えるばかりでなく、不要な廃棄物が発生するなど、生産性、環境保全の観点で好ましくなかった。
このため、配向膜を塗設するポリマーフイルムの片面のみに水または水および有機溶剤のアルカリ溶液を連続塗布し、反応時間の経過後、アルカリ溶液をポリマーフイルムから洗い落とす鹸化方法が提案された。
従来、連続走行している帯状支持体(ウエブ)にアルカリ溶液を塗布する装置としては、各種塗布装置が使用されている。一般に、塗布工程は、フイルムに塗布液を転写する部分(アプリケーション系)と、フイルムに転写された塗布液を所望の塗布量に計量する部分(計量系)と、に分けられ、これにより、塗布方法についても、アプリケーション系、計量系の相違により分類されている。
たとえば、アプリケーション系の相違に基づいて、ローラ塗布法、ディップ塗布法、ファウンテン塗布法等があり、計量系の相違に基づいて、エアナイフ塗布法、ブレード塗布法、バー塗布法(ロッド塗布法ともいう)等がある。また、これらのアプリケーション系と計量系とを同一の部分で行うものに、エクストルージョン塗布法、ビード塗布法、カーテン塗布法等がある。
上記塗布方法のうち、バー塗布法は、過剰の塗布液をウエブに転写させた後、静止又は回転するバーによって過剰の塗布液を掻き落とし、塗布量を調節するものであり、特に、バーの表面にワイヤが巻かれたワイヤバー又はバーの表面に溝が形成された転造バー等が、塗布精度が高い点から一般的に使用されている。しかし、ワイヤバー端部のワイヤ固定部が、アルカリや酸を含む塗布環境によって腐食しやすいという問題があった。
これらを解決する手段として、特許文献1には、ワイヤ固定部をスポット溶接、接着剤、ロー付けする方法により、ワイヤバー端部の半田付け腐食が防止できると記載されている。また、特許文献2には、ワイヤバーの端部に切り欠き加工することにより、ワイヤ固定部の半田盛り付けを最小限にできると記載されている。
特開平6−226189号公報 特開平8−323273号公報
しかしながら、従来のバー塗布装置(ワイヤバー又は転造バー)を用いると、鹸化反応によってフイルムより抽出される成分及び鹸化塗布液成分がバーの溝肩部へ蓄積しやすく、約1500分程度の連続塗布後に、バーの溝肩部へ蓄積した汚れ成分がバーから剥がれ落ちて、フイルムへ付着して塗布欠陥を生じ、これにより、製品における輝点故障の発生原因となることが問題であった。また、上記の汚れ成分がバーに蓄積する度に、製造ラインを停止させて、バーを洗浄する必要がある上、洗浄するために大量の水洗水を必要としていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することができるポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布工程、前記アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持工程、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して反応を停止させる反応停止工程、及び前記反応を停止したポリマーフイルムから前記アルカリ溶液を洗い落とす洗浄工程を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法において、前記反応停止工程は、前記希釈溶媒又は酸性溶液をフラットバーで塗布して前記アルカリ溶液を除去することを特徴とするポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法を提供する。
本発明者は、連続走行するポリマーフイルムにバー塗布により希釈液を連続的に塗布する際、ワイヤバーの変わりにフラットバーを使用して、バー表面を平滑にすることにより汚れが蓄積しにくくなり、これにより、ポリマーフイルムに汚れが転写し、傷故障等が発生することが防止できることを見出した。また、フラットバーを使用すると、鹸化反応液の掻きとりムラが生じやすいが、フラットバーの表面の平滑度を適正化することにより、適量の掻きとりを均一に行える条件を見出した。
本発明の請求項1によれば、希釈液を塗布して鹸化反応液を掻きとる反応停止工程において、フラットバーを用いるようにし、これにより、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することが可能となった。
請求項2は請求項1において、前記フラットバーの最大表面粗さRmaxが、1μm以下であることを特徴とする。
従来、バー塗布法においては、バー表面の凹凸状のキズが大きいほど、ウエブとバーがスリップ(接触)した際に、ウエブを傷付けてしまうといった問題があった。すなわち、バーの回転数は、ウエブの搬送速度及びバーの径によって決定され、バーの回転数が設計と異なり、バーとウエブのスリップ(接触)が発生すると、ウエブが傷つけられる。本発明者らは、鹸化反応液の掻きとりにおいて、フラットバー表面の表面粗さの適正範囲を見出し、これにより、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり除去でき、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することが可能となった。
すなわち、フラットバー表面の最大表面粗さRmaxが、1μm超の場合、ウエブとバーがスリップ(接触)した際に、ウエブを傷付ける不具合が生じやすいが、フラットバー表面の最大表面粗さRmaxが、0〜1μmの範囲である場合、ウエブとバーがスリップ(接触)した際でも、上記のような不具合が生じない。なお、フラットバー表面の最大表面粗さRmaxが、0.5μm以下であることが好ましい。
請求項3は請求項1又は2において、前記フラットバーの真直度が、500μm以下であることを特徴とする。
従来、表面が平滑なバーを用いた場合、バーの真直度の影響を受けやすく、ウエブとバーが均一に接触せずに、塗布液の掻きとりムラを起こしてしまうといった問題があった。本発明者らは、鹸化反応液の掻きとりにおいて、フラットバーの真直度の適正範囲を見出し、これにより、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり除去でき、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することが可能となった。
すなわち、フラットバーの真直度が500μm超である場合、バーの回転時の振れ値が大きいため、鹸化反応液の掻きとりムラが発生しやすいという不具合が生じるが、フラットバーの真直度が500μm以下であれば、上記のような掻きとりムラが発生しにくい。
なお、フラットバーの真直度が300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
請求項4のポリマーフイルムが、請求項1〜3のポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理装置を用いて製造されたことを特徴とする。
請求項5の光学補償フイルムが、請求項1〜3のポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理装置を用いて製造されたことを特徴とする。
請求項4及び5によれば、主に、液晶表示装置等の構成材料である光学補償シートやポリマーフイルムの製造方法に本発明を適用することにより、輝点故障等のない品質安定性のよい光学補償シートやポリマーフイルムが得られる。
請求項6の液晶表示装置は、の光学補償フイルムを用いて製造されたことを特徴とする。
請求項6によれば、本発明を適用して製造した光学補償フイルムを用いることにより、輝点故障等の製品欠陥のない液晶表示装置を提供することができる。
本発明の請求項7は前記目的を達成するために、ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布部、前記アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持部、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して反応を停止させる反応停止部、及び前記反応を停止したポリマーフイルムから前記アルカリ溶液を洗い落とす洗浄部を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理装置において、前記反応停止部が、前記ポリマーフイルムに前記希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して前記アルカリ溶液を除去するフラットバーを備えたことを特徴とするポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理装置を提供する。
本発明の請求項7によれば、希釈液を塗布して鹸化反応液を掻きとる反応停止部において、フラットバーを用いる構成とし、これにより、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することが可能となった。
本発明によれば、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり除去でき、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係るポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置の好ましい実施形態について詳説する。
図1は、本発明に係るアルカリ鹸化方法が適用されるポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理ライン10を説明する図である。なお、矢印Aは、ポリマーフイルムの搬送方向を示す。
図1に示されるように、アルカリ鹸化処理ライン10は、主に、ポリマーフイルム(以下、ウエブWと記す)にアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布部14と、アルカリ溶液を塗布したウエブWの温度を室温以上に維持する温度維持部16と、温度が維持されたウエブWに希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して反応を停止させる反応停止部18と、反応を停止したウエブWからアルカリ溶液を洗い落とす洗浄部22と、洗浄後のウエブWを乾燥させる乾燥部24と、から構成される。
アルカリ溶液塗布部14は、送り出し機12より送り出されたウエブWの下面に、アルカリ溶液を塗布する図示しない塗布手段を備えている。
なお、本実施形態に使用されるウエブW、及びアルカリ溶液の詳細については、後述する。
上記塗布手段としては、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、バーコーター(細い金属線を巻いたバー)等、が好ましく使用されるが、少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ダイコーターが特に好ましく使用される。
アルカリ溶液の塗布量は、その後、水洗除去するため廃液処理を考慮して、極力抑制することが望ましく、1〜100cc/mが好ましく、1〜50cc/mがより好ましい。また、塗布量の変動をウエブWの幅方向および塗布時間に対して30%未満に抑制することが好ましい。
アルカリ鹸化反応に必要なアルカリ塗布量は、ウエブWの単位面積当りの鹸化反応サイト数に配向膜との密着を発現させるために必要な鹸化深さを乗じた総鹸化サイト数(=理論アルカリ塗布量)が目安となる。鹸化反応の進行にともなってアルカリが消費され反応速度が低下するため、実際には上述の理論アルカリ塗布量の数倍を塗布することが好ましい。具体的には、理論アルカリ塗布量の2〜20倍であることが好ましく、2〜5倍であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液の温度は、反応温度(=ウエブWの温度)に等しいことが望ましい。安定な塗布を行うためには、アルカリ溶液の沸点よりも低い温度であることが好ましく、沸点よりも5℃低い温度であることがさらに好ましく、沸点よりも10℃低い温度であることが最も好ましい。
温度維持部16は、アルカリ溶液を塗布した後、鹸化反応が終了するまで、ウエブWの温度を室温(約15℃)以上に保つ図示しない加熱手段を備えている。
上記加熱手段としては、塗布の反対面への熱風の衝突、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、赤外線ヒータによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。赤外線ヒータは、非接触、かつ空気の流れを伴わずに加熱できるため、アルカリ溶液塗布面への影響を最小にできるため好ましい。赤外線ヒータは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。市販の赤外線ヒータ(例えば(株)ノリタケカンパニーリミテド製)を用いてもよい。熱媒体が、オイルまたはスチームを用いるオイル式またはスチーム式の赤外ヒータは、有機溶剤が共存する雰囲気における防爆の観点で好ましい。
ウエブWの温度は、15℃〜150℃、好ましくは25℃〜100℃、さらに好ましくは30℃〜80℃である。また、ウエブWの温度は、アルカリ溶液塗布前に加熱した温度と同じでも異なっていてもよい。ウエブWの温度の検出には、一般に市販されている非接触の赤外線温度計が利用でき、上記温度範囲に制御するために、加熱手段に対してフィードバック制御を行ってもよい。
アルカリ溶液を塗布して、洗い落とすまでに上記温度範囲に保持する時間は、後述する搬送速度にもよるが、1秒〜5分に保つことが好ましく、2〜100秒間保つことがより好ましく、3〜50秒間保つことが特に好ましい。
ウエブWの搬送速度は、上記アルカリ溶液の組成と塗布方式の組み合わせによって決定される。ウエブWの搬送速度は、一般的に、10〜500m/分が好ましく、20〜300m/分がさらに好ましい。
また、ウエブWは、酸素濃度が0〜18%の範囲にある雰囲気下において鹸化処理されることが好ましい。酸素濃度は、0〜15%がさらに好ましく、0〜10%が最も好ましい。このように、低酸素濃度下で鹸化塗布液(アルカリ溶液)を塗布することで、ウエブWの表面特性を制御でき、密着性の高い表面が得られる。雰囲気中の酸素以外の気体成分は、不活性ガス(例、窒素、ヘリウム、アルゴン)であることが好ましく、窒素であることが特に好ましい。
反応停止部18は、アルカリ溶液とウエブWとの鹸化反応を停止させるために、アルカリ濃度を下げるための希釈溶媒を塗布するフラットバー塗布装置30を備えている。
まず、本発明の主要部であるフラットバー塗布装置30の構成について説明する。
図2は、本発明のフラットバー塗布装置30の構成を説明する図である。図2に示されるように、フラットバー塗布装置30は、主として、塗布ヘッド40と、フラットバー42に近接走行するようにウエブWをガイドする一対のガイドローラ29、29と、より構成される。
塗布ヘッド40は、主として、フラットバー42と、フラットバー42を回転自在に支持するバックアップ部材44と、コーターブロック46、48と、から構成される。
バックアップ部材44と各コーターブロック46、48との間には、マニホールド50、52及びスロット54、56が形成され、各マニホールド50、52に希釈溶媒が供給される。各マニホールド50、52に供給された希釈溶媒は、ウエブ幅方向に平行でウエブ走行方向に狭隘なスロット54、56を介してウエブ幅方向に均一に押し出される。これにより、フラットバー42に対してウエブWの送り方向の上流側(以下、「1次側」という)には1次側塗布ビード57が形成され、下流側(以下「2次側」という)に2次側塗布ビード58が形成される。従って、フラットバー42はこれらの塗布ビード57、58を介して走行するウエブWに希釈溶媒を転移塗布する。
マニホールド50、52から過剰に供給された希釈溶媒は各コーターブロック46、48とウエブWとの間からオーバーフローし、側溝25、27(図2参照)を介して回収される。尚、マニホールド50、52への希釈溶媒の供給はマニホールド50、52の中央部又は端部から行なわれる。
また、塗布ヘッド40には、希釈溶媒の給液幅規制及びオーバーフローした希釈溶媒の排出(場合によってはリターン系を組み再利用)のためのサイドブロック(不図示)が設けられる。このサイドブロックによって上記したスロット54、56のスロット幅が設定され、給液幅が規制されることによって、目標塗布幅が決められる。
また、フラットバー42の回転方向は、ウエブWと同方向、かつ同速度であることが好ましい。
次に、本発明の特徴部分であるフラットバー42の形状について説明する。図3は、図2のフラットバー42を、ウエブWの搬送方向からみた形状を示す平面図である。なお、図3において、ウエブWの幅をLWで示す。
図3のフラットバー42は、表面が平滑なバーである。図3に示されるように、フラットバー42の径Rは、目標とする塗布膜の厚みや塗布液の掻きとり量に応じて決定されるが、4mm〜12mmの範囲であることが好ましい。
また、フラットバー42の幅方向の全長Lは、主に、製造する液晶表示装置のサイズによって決定されるが、1500mm〜2100mmの範囲であることが好ましい。
フラットバー42の材質は、アルカリ性や酸性等の塗布液に対して、耐腐食性が高く、強度及び耐磨耗性が高いものが好ましく、たとえば、ステンレス素材、及びその表面にめっき処理したもの等が使用される。本実施形態では、SUS304が好適である。
フラットバー42の表面粗さは、最大表面粗さRmaxが、0〜1μmであることが好ましく、0〜0.5μmであることが好ましい。なお、本発明における最大表面粗さRmaxとは、以下の測定方法における最大表面粗さである。すなわち、フラットバー42を横置きにし、幅方向に任意の5ヶ所で10mmの区間での表面粗さを接触式の表面粗さ測定器(東京精密株式会社製 E−RC−S01A、商品名:サーフコム)で測定する。5ヶ所の各測定区間において最大表面粗さを求め、その中の最大値をフラットバー42の最大表面粗さRmaxと定義する。
フラットバー42の真直度は、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明における真直度は、以下の測定方法における測定値である。すなわち、フラットバー42を縦吊りに固定し、任意の一箇所でフラットバー42を360度回転させる。このときの、フラットバー42の振れ値を、非接触式レーザ変位計を用いて測定する。フラットバー42の振れ値を、フラットバー42の長手方向に7箇所測定し、それぞれの測定箇所における最大の振れ値を記録する。フラットバー42の振れ値の特に好ましい範囲は、100μm以下である。
また、フラットバー42の真円度は、外径8mmに対して、誤差が30μm以下の範囲であることが好ましく、10μm以下の範囲であることが好ましい。
次に、本発明に係るフラットバー42の製造方法について説明する。
フラットバー42は、まず、選定した素材を、素材軸加工、振れ取り加工を施した後、センタレス研削によって粗加工する。次いで、加工物を溝等軸加工、振れ取り加工、仕上げセンタレス加工した後、再度振れ取り加工させる。その後、スパロール加工により表面を平滑加工し、洗浄及び検査した後、フラットバー42として完成させる。
センタレス研削とは、円筒研削の一種であり、加工物(ワーク)を保持するセンターがなく、砥石、ブレード、調整車の基本要素で構成される。ブレードは加工物を支え、調整車は加工物の回転を制御し、加工物に送り速度を与える。これにより、加工物に回転を与える調整車と回転する砥石が、ブレードで支えられた加工物を挟み込むように研削する。
なお、センタレス研削盤としては、例えば、光洋機械工業株式会社製の高性能センタレス研削盤C4520FS等が使用できる。
スパロール加工とは、シャフト等の金属表面をローラで押しならして塑性変形させることにより、鏡面のような平滑な面に仕上げるセンタレス方式のローラ・バニシング加工である。スパロール加工機は、例えば株式会社スギノマシン製のスパロール無限SMH-1203WE等が使用できる。
本実施形態に使用される希釈溶媒としては、アルカリ溶液中のアルカリ剤を溶解する溶媒であり、水または有機溶剤と水との混合液が好ましく、水がより好ましい。その他、前述したアルカリ鹸化溶液に用いた有機溶剤が優位に用いることができる。なお、二種類以上の有機溶媒を混合して使用してもよい。
上記希釈溶媒の塗布量は、アルカリ溶液の濃度に応じて決定される。フラットバー塗布装置30の場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ溶液と希釈溶媒との混合が発生し、この混合した液が再塗布される。したがって、この場合は希釈溶媒の塗布量によって希釈率を特定することが困難であるため、希釈溶媒塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。希釈溶媒の塗布量は、元のアルカリ濃度を1.5〜10倍に希釈することが好ましく、2〜5倍に希釈することがさらに好ましい。
また、上記希釈溶媒の他に、アルカリによる鹸化反応を迅速に停止するため、酸を用いることもできる。この場合、少ない量でアルカリを中和するため、強酸を用いることが好ましい。また、水洗の容易さを考慮すると、アルカリと中和反応後に生成する塩が水に対する溶解度が高い酸を選定することが好ましく、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、メタンスルホン酸、クエン酸が好適に使用される。
酸溶液の塗布量は、アルカリの種類とアルカリ溶液の濃度に応じて決定され、酸溶液塗布後のpHが4〜9になる様に酸溶液の塗布量が決定されることが好ましく、6〜8になる様に決定されることがより好ましい。
洗浄部22は、ウエブWにアルカリ溶液が残っていると、鹸化反応が進行するばかりでなく、後に塗布する配向膜ならびに液晶性分子層の塗膜形成や液晶分子の配向に影響を及ぼすため、これらの残存するアルカリ鹸化反応液を除去するものである。
この洗浄部22は、ウエブWの表面に残存するアルカリ溶液を洗浄除去する水洗・水切りユニット62…を複数備えている。
水洗・水切りユニット62は、水洗水を吹き付ける水洗手段64と、水洗手段64の後段に配され、水膜をウエブWから除去する水切り手段66と、を備えている。
水洗・水切りユニット62は、タンデムに多く配置されるのが好ましいが、設置スペースならびに設備コストの観点から、通常は2〜10段、好ましくは2〜5段配置される。
上記水洗手段64としては、水洗水を直接ウエブWへ吹き付けるスプレーノズルが好適に使用され、ウエブWの幅方向に配列して、全幅に水流が衝突するように配置される。スプレーノズルとしては、市販のスプレーノズル(例えば、(株)いけうち製、スプレーイングシステムズ社製)を用いてもよい。これにより、ウエブWを連続搬送しながら洗浄できる上、噴流によってウエブW上の水洗水とアルカリ性塗布液との乱流混合が得られ、洗浄効果が向上する。
また、水洗手段64としては、上述の例に限らず、塗布ヘッド(例、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター)を用いる方法等も使用できる。
水洗手段64における水洗水の吹き付け速度は、高い乱流混合が得られ、かつウエブWの搬送安定性を損なわない速度の範囲であり、50〜1000cm/秒が好ましく、100〜700cm/秒がより好ましく、100〜500cm/秒がさらに好ましい。
水洗に使用する水洗水の量は、下記に定義される理論希釈率を上回る量である。
理論希釈倍率=水洗水の使用量[cc/m]÷アルカリ鹸化溶液の塗布量[cc/m
すなわち、水洗に使用される水の全てがアルカリ性塗布液の希釈混合に寄与したという仮定の理論希釈率を定義する。実際には、完全混合は起こらないので、理論希釈率を上回る水洗水量を使用することとなる。用いたアルカリ性塗布液のアルカリ濃度や副次添加物、溶媒の種類にもよるが、少なくとも100〜1000倍、好ましくは500〜1万倍、さらに好ましくは1000〜十万倍の理論希釈が得られる水洗水を使用する。
水洗で一定量の水洗水を用いる場合、一度に全量適用するよりも数回に分割して適用する回分式洗浄方法が好ましい。すなわち、水洗水の量を幾つかに分けて、ウエブWの搬送方向にタンデムに設置した複数の水洗手段に供給する。一の水洗手段64と次の水洗手段64との間には適当な時間(距離)を設けて、拡散によるアルカリ性塗布液の希釈を進行させる。
上記水洗水としては、純水であることが好ましい。本発明に用いられる純水とは、比電気抵抗が少なくとも0.1MΩ以上であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンは1ppm未満、クロル、硝酸などのアニオンは0.1ppm未満であることが好ましい。
水洗水の温度は、高い程洗浄能力が高いことから、水洗水の温度は、通常は5〜90℃、好ましくは25℃〜80℃、さらに好ましくは25℃〜60℃の範囲に設定される。
また、上記水切り手段66としては、ブレードコーターに用いられるブレード、エアナイフコーターに用いられるエアナイフ、バーコーターに用いられるバー、ロールコーターに用いられるロール等が使用されるが、極限まで水膜厚みを減少させられる点で、エアナイフが好適である。
水切り手段66におけるエアの吹出し量は、ウエブW上の元の水膜厚み、ウエブWの搬送速度にもよるが、通常は10〜500m/秒、好ましくは20〜300m/秒、より好ましくは30〜200m/秒の風速が使用される。
搬送するウエブW表面とエアナイフ吹出し口の間隙は、狭いほど水切り能が向上するが、ウエブWと接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm〜10cm、好ましくは100μm〜5cm、さらに好ましくは500μm〜1cmの間隙をもって、エアナイフを設置する。さらに、エアナイフと対向する様に、ウエブWの水洗面と反対側にバックアップロールを設置することで、間隙の設定が安定するとともに、ウエブWのバタツキやシワ、変形などの影響を緩和することができる。
また、上記の洗浄方法に限られず、水洗水を塗布する方法、水洗水の入った容器にウエブWごと浸漬する方法等も使用できる。
乾燥部24は、ウエブWに残った洗浄水等を除去する図示しない乾燥手段を備えており、ウエブWをロール状に巻き取る前に、ウエブWを好ましい含水率に調整するために加熱乾燥する。また、逆に設定された湿度を有する風で調湿することもできる。
上記乾燥手段としては、クリーン度が高く、ヒータ等で加熱された清浄エアが給気される公知の乾燥手段が使用される。乾燥風の温度は30〜200℃が好ましく、40〜150℃がより好ましく、50〜120℃が特に好ましい。なお、乾燥部24の前段において、エアナイフ等の水切り部66で充分に水膜が除去される場合は、特に乾燥部24は設けなくても良い。
上記の如くアルカリ鹸化処理されたウエブWは、一旦巻き取り機26で巻き取られてもよいし、又は上述した鹸化処理工程の後に連続して機能層の塗設が行われてもよい。いずれにおいても、上記の如く片面に鹸化処理を実施したウエブWをロール状に巻き取っても、鹸化処理面とその反対面との間で貼りついたりすることを防止することができる。
次に、図1に示されるポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理ライン10を使用したポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理の流れについて説明する。
先ず、送り出し機12から、ウエブWが送り出される。
ウエブWはガイドローラ28によってガイドされてアルカリ溶液塗布部14を経て、ウエブWの表面にアルカリ溶液が塗布される。そして、温度維持部16に搬送され、ウエブWとアルカリ溶液との鹸化反応が行われる。
温度維持部16で鹸化反応を経たウエブWは、反応停止部18に搬送される。そして、フラットバー塗布装置30のフラットバー42により、希釈溶媒がウエブWのアルカリ溶液に塗布され、アルカリ鹸化反応が停止される。このように、フラットバー42を使用することで、ウエブW上に残存する鹸化反応液は、従来の約30%に低減され、さらに面内に均一に掻きとられる。
次に、洗浄部22の水洗・水切りユニット62…により、鹸化溶液が残存したウエブWの表面に水洗水が吹き付けられて、水洗される。その後、水切り手段66で、ウエブW上の水膜が除去される。この水洗手段及び水切り手段を備えた水洗・水切りユニット62…が複数段階にわたり繰り返され、ウエブW上のアルカリ鹸化反応液が除去される。
その後、乾燥部24へウエブWが搬送され、ウエブWに乾燥風があてられて加熱乾燥される。そして、ウエブWは巻き取り機26により巻き取られる。
以上のように、アルカリ鹸化方法の反応停止工程において、本発明のフラットバーを用いることにより、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるウエブWの傷故障の発生を防止することができる。
次に、本発明のアルカリ鹸化処理に供されるウエブW(ポリマーフイルム)、及びアルカリ溶液について詳細に説明する。
[ポリマーフイルム(ウエブW)]
本実施形態に使用されるポリマーフイルム(ウエブW)は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ウエブWとしては、外力により複屈折が発現しにくいものが好ましい。ウエブWは、エステル結合あるいはアミド結合のような加水分解できる結合(鹸化処理の対象となる結合)を含む。エステル結合が好ましく、エステル結合がポリマーの側鎖に存在していることがさらに好ましい。エステル結合が側鎖に存在しているポリマーとしては、セルロースエステルが代表的である。セルロースの低級脂肪酸エステルがより好ましく、セルロースアセテートがさらに好ましく、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートが最も好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましい。
ウエブWを光学補償シートに用いる場合、ウエブWは、高いレターデーション値を有することが好ましい。ウエブWのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義される。
(I) Re=|nx−ny|×d(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d式(I)および(II)において、nxは、ウエブW面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyは、ウエブW面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzは、ウエブWの厚み方向の屈折率、dは、単位をnmとするウエブWの厚みである。ウエブWのReレターデーション値は1〜200nmであり、そして、Rthレターデーション値は70〜400nmであることが好ましい。具体的な値は、測定光の入射方向をウエブW膜面の鉛直方向に対して傾斜させた測定結果より外挿して求める。測定は、エリプソメーター(例えば、M−150、日本分光(株)製)を用いて実施できる。測定波長としては、632.8nm(He−Neレーザー)を採用する。
ウエブWのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、また光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。セルロースアシレートフイルムのレターデーションを調整するには、芳香族環を少なくとも二つ有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
ソルベントキャスト法によりウエブW(ポリマーフイルム)を製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。さらに2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でポリマー溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。ポリマーの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。ポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40℃)でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケット構造の加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後、容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られる効果がある。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に添加する。ポリマーの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。ポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃、好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。なお、冷却速度とは、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃に加温すると、有機溶媒中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。なお、加温速度とは、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保温する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製膜する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に加工しておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。これにより、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
ウエブWには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。
さらに、本実施形態におけるウエブWには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
さらに、本実施形態におけるウエブWには、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、微粒子、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。また、ウエブWが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ウエブW全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
ウエブWは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%であることが好ましい。ウエブWの厚さは、30〜200μmであることが好ましく、40〜120μmであることがさらに好ましい。
[アルカリ溶液]
本実施形態に使用されるアルカリ溶液は、水または有機溶剤と水との混合液にアルカリを溶解して調製できる。好ましい有機溶媒は、炭素原子数8以下のアルコール、炭素原子数が6以下のケトン、炭素原子数が6以下のエステル、炭素原子数が6以下の多価アルコールから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒である。
上記有機溶剤としては、一価アルコール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フッ素化アルコールなど)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、多価アルコール(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル(例、メチルセルソルブ、エチレングリコールジエチルエーテル)が挙げられる。特に好ましいものは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンである。
有機溶剤は、ウエブWを溶解したり膨潤したりしないことが必要である。また、アルカリ鹸化溶液の塗布が容易になるように、アルカリ溶液の液物性の項で記載されるように、表面張力が適度に低い有機溶剤を選択することも望ましい。また、有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度および反応時間に応じて決定する。短い時間で鹸化反応を完了するためには、高い濃度に溶液を調製することが好ましい。ただし、溶媒濃度が高すぎるとウエブW中の成分(可塑剤など)が抽出され、ウエブWの過度の膨潤が起こる場合があり、適切に選択する。水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、さらに好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、ウエブWの光学特性を損なうことなく容易にウエブW全面が均一に鹸化処理される。
アルカリ溶液のアルカリ剤は、無機塩基および有機塩基のいずれも使用できる。低い濃度で鹸化反応をおこすためには強塩基が好ましい。アルカリ金属の水酸化物(例、NaOH、KOH、LiOH)、アミン(例、パーフルオロトリブチルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン等)、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、および錯塩の遊離塩基(例、[Pt(NH](OH))が好ましく、アルカリ金属の水酸化物がさらに好ましく、NaOHおよびKOHが最も好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、使用するアルカリの種類、反応温度および反応時間に応じて決定する。短い時間で鹸化反応を完了するためには、高い濃度に溶液を調製することが好ましい。ただし、アルカリ濃度が高すぎるとアルカリ溶液の安定性が損なわれ、長時間塗布において析出する場合もある。アルカリ溶液の濃度は0.1〜5規定(N)であることが好ましく、0.5〜5Nであることがさらに好ましく、0.5〜3Nであることが最も好ましい。
本実施形態に使用されるアルカリ溶液は、界面活性剤を含有することもできる。界面活性剤を添加することによって、たとえ有機溶媒がウエブW含有物質を抽出したとしてもアルカリ溶液中に安定に存在させ、後の水洗工程においても抽出物質が析出、固体化しない。
上記界面活性剤については、本発明のアルカリ鹸化液に溶解または分散可能なものであれば特に制限はなく、ノニオン界面活性剤、イオン性界面活性剤(アニオン、カチオン、両性界面活性剤)等のいずれをも好適に使用できるが、特にノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤が溶解性と鹸化性能の観点から好ましく用いられる(特開2003−313326参照)。
また、上記アルカリ溶液には、アルカリ溶液への界面活性剤、消泡剤の溶解助剤として、上述した有機溶剤以外の有機溶媒、防黴剤、防菌剤、その他添加剤(たとえば、アルカリ液安定化剤(酸化防止剤等)、水溶性化合物(ポリアルキレングリコール類、天然水溶性樹脂等))が添加されてもよい。
本実施形態に使用されるアルカリ溶液に用いる水としては、日本国水道法(昭和32年法律第177号)及びそれに基づく水質基準に関する省令(昭和53年8月31日厚生省令第56号)、同国温泉法(昭和23年7月10日法律第125号及びその別表)、及び、WHO規定水道水基準によって規定される水中の混入の状態に於ける各元素やミネラル等への影響、等に基づくものが好ましい。
本実施形態に使用されるアルカリ溶液の液物性は、上記で説明の組成物から構成されるが、その表面張力が45mN/m以下であり、且つ粘度が0.8〜20mPa・sであることが好ましい。また、アルカリ溶液の密度は、0.65〜1.05g/cmであることが好ましい。これにより、アルカリ溶液の塗布が搬送速度に応じて安定な塗布操作が容易に行える様になり、且つウエブW表面への液の濡れ性、ウエブW表面に塗布した溶液の保持性、鹸化処理後のウエブW表面からのアルカリ溶液の除去性が充分に行われる。
次に、本発明のアルカリ鹸化処理方法を適用して製造したウエブWを、光学補償シート、及び液晶表示装置へ適用する例について説明する。
[光学補償シート]
アルカリ鹸化処理されたウエブWは、光学補償シートの透明支持体として用いられる。光学補償シートは、アルカリ鹸化処理されたウエブW、配向膜形成用樹脂層、および液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層が、この順に積層された層構成を有する。
配向膜の形成においては、ウエブWを加熱する工程、ウエブWの配向膜側の表面にアルカリ溶液を塗布する工程、アルカリ溶液塗布面の温度を維持する工程、反応を停止する工程、アルカリ溶液を洗浄してフイルムの表面から除去する工程に次いで、配向膜を塗布して乾燥する工程を付加することもできる。さらに、配向膜を塗布、乾燥後に配向膜表面をラビング処理し、液晶性分子層を塗布、乾燥して、最終的な光学補償シートまで完成することもできる。ウエブWの鹸化処理のみならず、配向膜、液晶性分子層を一貫して形成することにより、高い生産性が得られる。さらに、鹸化処理〜配向膜塗布までの時間経過がない、活性化した鹸化面の劣化が少ない、鹸化処理の水洗工程が湿式の除塵と兼ねられる、複数回の送り出し、巻取りに伴うロール末端部のロスが発生しないことが、利点として挙げられる。
光学補償シートは、鹸化処理したウエブWからなる透明支持体、その上に設けられた配向膜および配向膜上に形成された円盤状構造単位を有する光学異方層からなる。配向膜は架橋されたポリマーからなるラビング処理された膜であることが好ましい。光学異方層に用いられる円盤状構造単位を有する化合物としては、低分子量の円盤状液晶性化合物(モノマー)または重合性円盤状液晶性化合物の重合により得られるポリマーを用いることができる。円盤状化合物(ディスコティック化合物)は、一般に、ディスコティック液晶相(即ち、ディスコティックネマチック相)を有する化合物とディスコティック液晶相を持たない化合物に大別することができる。円盤状化合物は、一般に負の複屈折を有する。光学異方層は、ディスコティック化合物の負の複屈折性を利用したものである。
[配向膜]
光学異方層の配向膜は、架橋されたポリマーからなる膜をラビング処理して形成することが好ましい。配向膜は、架橋された2種のポリマーからなることがさらに好ましい。2種のポリマーの一方は、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーである。配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱あるいはpH変化により、ポリマー間で反応させて形成するか、あるいは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
ポリマーの架橋は、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。配向膜を透明支持体上に塗設した後から、光学補償シートを得るまでのいずれかの段階で架橋させる処理を行なってもよい。配向膜上に形成される円盤状構造を有する化合物(光学異方層)の配向を考慮すると、円盤状構造を有する化合物を配向させた後に最終の架橋を行なうことも好ましい。すなわち、透明支持体上にポリマーおよびポリマーを架橋することができる架橋剤を含む塗布液を塗布した場合、加熱乾燥した後、ラビング処理を行なって配向膜を形成し、次いでこの配向膜上に円盤状構造単位を有する化合物を含む塗布液を塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度以上に加熱した後、冷却して光学異方層を形成する。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネートが含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましく、85〜95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000であることが好ましい。変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。
ポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、さらに好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールの架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で架橋剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示装置に使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、15℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するために設けられる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
[光学異方層]
光学補償シートの光学異方層は、配向膜上に形成される。光学異方層は、円盤状構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層であることが好ましい。光学異方層は、低分子量の液晶性円盤状化合物(モノマー)の層または重合性の液晶性円盤状化合物の重合(硬化)により得られるポリマーの層である。ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基がその直鎖として放射線状に置換された構造である。円盤状化合物には、液晶性を示すディスコティック液晶が含まれる。円盤状化合物から形成した光学異方層には、熱や光で反応する基を有する低分子ディスコティック液晶を反応させて重合または架橋することにより、高分子量化して液晶性を失ったものも含まれる。
光学異方層は、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層であって、そしてディスコティック構造単位の面が、透明支持体面に対して傾き、且つ該ディスコティック構造単位の面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向に変化していることが好ましい。
ディスコティック構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方層の深さ方向でかつ光学異方層の配向膜底面からの距離の増加と共に増加または減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、および増加および減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
上記光学異方層は、一般にディスコティック化合物および他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方層は、ディスコティック化合物および他の化合物(さらに、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
支持体側のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物と共に使用する他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマー)を選択することにより調整することができる。さらに、傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
可塑剤、界面活性剤および重合性モノマーとしては、ディスコティック化合物と適度の相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の量にて使用される。
ポリマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマーも使用することができる。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の量にて使用される。
[偏光板]偏光板は、ウエブW上に配向膜および液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層を設けた光学補償シート、偏光膜、透明保護膜がこの順に積層された層構成を有する。透明保護膜には、通常のセルロースアセテートフイルムを用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、2色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。ウエブWの遅相軸と偏光膜の透過軸の関係は、適用される液晶表示装置の種類により異なる。TN、MVAまたはOCBの場合は、実質的に平行になるように配置する。反射型液晶表示装置の場合は、実質的に45度となるように配置することが好ましい。
[液晶表示装置]
光学補償シートまたは偏光板は、液晶表示装置に有利に用いられる。TN、MVA、およびOCBモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる。
液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、1枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置する。OCBモードの液晶表示装置の場合、光学補償シートは、ウエブW上に円盤状化合物、もしくは棒状液晶化合物を含む光学異方性層を有していても良い。光学異方性層は、円盤状化合物(もしくは棒状液晶化合物)を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。円盤状化合物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、円盤状化合物には、多様な配向形態がある。従って、円盤状化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。
偏光板では、液晶セルと偏光膜との間に配置される透明保護膜として、前記のウエブWを用いることができる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光膜との間の)透明保護膜のみ上記のウエブWを用いるか、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光膜との間の)2枚の透明保護膜に、上記のウエブWを用いる。液晶セルはOCBモード、またはTNモードであることが好ましい。OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速い利点がある。TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。図1に示されるアルカリ鹸化処理ライン10を用いて、フラットバー42の形状による、ウエブWへの傷故障の発生及びアルカリ溶液の掻きとりの均一性への影響を比較した。
[運転条件]
図1に示されるアルカリ鹸化処理ライン10(前半部分)において、セルロースアセテートフイルム(厚さ:100μm、幅:1895mm)の長尺状のウエブWの一方の側に、アルカリ溶液(1規定、KOH溶液)を14cc/m塗布した。次いで、110℃下で約7秒間、アルカリ鹸化処理させた後、アルカリ溶液に純水を3cc/m塗布して、希釈させた。その後、ウエブWに洗浄し、乾燥させた。
また、ウエブWの搬送速度は、20m/分とした。また、フラットバー42の径Rは、8mmのものを使用し、回転速度はウエブWの搬送速度と同速度かつ同方向とした。用いたバーの種類、及び形状を表1に示す。
Figure 2007161769
[輝点故障]
フラットバー42又は転造バーを用いて、蒸留水を連続塗布し、フラットバー42表面に蓄積した汚れ成分が、ウエブWへ付着するまでの連続塗布時間により、輝点故障の発生しやすさを評価した。なお、評価した結果を表2に示す。
[傷故障]
フラットバー42の表面粗さの違いに伴う、傷故障への発生の有無を目視評価した。なお、評価した結果を表2に示す。
◎…傷故障なし(0本)、○…傷故障ややあり(1〜2本)、
△…傷故障が少ない(3〜5本程度)、×…傷故障が多い(6本以上〜)
[掻きとり均一性]
フラットバー42の真直度の違いに伴う、アルカリ鹸化反応液の掻きとり均一性を、目視評価した。なお、評価した結果を表2に示す。
◎…掻きとりムラなし、○…掻きとりムラが極めて少ない、
△…掻きとりムラが少ない、×…掻きとりムラが多い
Figure 2007161769
まず、本発明のフラットバー42と従来の転造バーA、Bを比較することにより、バー表面の溝高さの影響について検討した(実施例1、比較例1、2参照)。従来の転造バーでは、輝点故障発生までの時間が1500分程度であったが、本発明のフラットバー42を用いた場合、輝点故障発生までの時間が2500分程度と大幅に使用時間が伸び、汚れ成分が蓄積しにくいことを確認した。これにより、塗布バーの表面に、溝が形成されておらず、これにより汚れ成分が蓄積しにくいことが明確になった。
次に、本発明のフラットバー42において、フラットバー42の表面の粗さ(Rmax)によるウエブWへの傷故障の発生の有無を検討した(実施例1〜3参照)。
フラットバー42の最大表面粗さが1μm超では、ウエブWへの傷故障が目視で確認できたが、フラットバー42の最大表面粗さが、1μm以下の場合、ウエブWへの傷故障は大幅に減少した。さらに、フラットバー42の最大表面粗さが0.5μmの場合、傷故障は認められなかった。一方、転造バーA、Bを用いた場合、傷故障が極めて多いことが確認された。
最後に、本発明のフラットバー42において、フラットバー42の真直度によるアルカリ鹸化反応液の掻きとり均一性について検討した(実施例3〜6参照)。
フラットバー42の真直度が、800μmの場合、掻きとりムラが一部で確認された。一方、フラットバー42の真直度が、500μmの場合、掻きとりムラが低減された。さらに、フラットバー42の真直度が、300μmの場合、掻きとりムラがほとんどみられなくなり、100μmになると、掻きとりムラはなく、均一になることが解った。
以上のように、本発明に係るポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法及び装置により、ポリマーフイルムのアルカリ鹸化の反応停止工程において、鹸化反応液を均一かつ効率的に掻きとり、輝点故障等の製品欠陥の原因となりうるポリマーフイルムの傷故障の発生を防止することができる。
本発明に係るアルカリ鹸化処理ラインを示す図である。 本発明に係るフラットバー塗布装置の断面図である。 本発明に係るフラットバーの形状を示す平面図である。
符号の説明
10…アルカリ鹸化処理ライン、12…送り出し機、14…アルカリ溶液塗布部、16…温度維持部、18…反応停止部、30…フラットバー塗布装置、22…洗浄部、24…乾燥部、26…巻き取り機、42…フラットバー

Claims (7)

  1. ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布工程、前記アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持工程、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して反応を停止させる反応停止工程、及び前記反応を停止したポリマーフイルムから前記アルカリ溶液を洗い落とす洗浄工程を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法において、
    前記反応停止工程は、前記希釈溶媒又は酸性溶液を表面が平滑なフラットバーを有するバー塗布装置で塗布して前記アルカリ溶液を除去することを特徴とするポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法。
  2. 前記フラットバーの最大表面粗さRmaxが、1μm以下であることを特徴とする請求項1のポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法。
  3. 前記フラットバーの真直度が、500μm以下であることを特徴とする請求項1又は2のポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法。
  4. 請求項1〜3のポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法を用いて製造されたことを特徴とするポリマーフイルム。
  5. 請求項1〜3のポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法を用いて製造されたことを特徴とする光学補償フイルム。
  6. 請求項5の光学補償フイルムを用いて製造されたことを特徴とする液晶表示装置。
  7. ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布部、前記アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持部、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して反応を停止させる反応停止部、及び前記反応を停止したポリマーフイルムから前記アルカリ溶液を洗い落とす洗浄部を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理装置において、
    前記反応停止部が、前記ポリマーフイルムに前記希釈溶媒又は酸性溶液を塗布して前記アルカリ溶液を除去する表面が平滑なフラットバーを有するバー塗布装置を備えたことを特徴とするポリマーフイルムのアルカリ鹸化処理装置。
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