JP2005281347A - ポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】端部ロスを小さくすることができるポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法を提供する。
【解決手段】本発明では、裏面10Bにのみローレット加工が形成されたシート10に鹸化処理が施される。鹸化処理では、シート10の表面10Aにアルカリ溶液が塗布される。そして、アルカリ溶液の反応を停止した後に水をかけてアルカリ溶液が洗い落とされる。鹸化処理が施されたシート10はその表面10Aに配向膜層14が形成され、ラビング処理が施された後、液晶層16が形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明はポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法に係り、特に幅方向の端部にローレット加工部分を有するポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布して鹸化処理するポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法に関する。
透明支持体(ポリマーフイルム、通常はセルロースアセテートフイルムに代表されるセルロースエステルフイルム)上に配向膜および液晶性分子を固定化し、光学異方性層を設けた光学補償シートを製造する場合、透明支持体と配向膜との間の良好な密着が必要となる。しかし、配向膜のポリビニールアルコールと透明支持体のセルロースエステルフイルムとの親和性は弱く、この界面での剥がれや割れが発生してしまうため、以前は、セルロースエステルフイルム上にゼラチンの下引き層を設けていた(特許文献1参照)。
ゼラチンの下引き層を設ける場合、下引き層とセルロースエステルフイルムの密着を発現させるために、下引き層を塗設する際の塗布液溶媒として、セルロースエステルフイルムに浸透する溶媒(例えばケトン系溶剤等)を用いなければならない。その結果、セルロースエステルフイルムが膨潤し、続く乾燥工程で収縮する過程でフイルムの微細な屈曲が発生するという問題が発生していた。屈曲したフイルム上に配向膜、次いで液晶性分子層を塗設すると、屈曲形状に沿って配向膜と液晶性分子層の厚みムラや液晶性分子の配向ムラが発生し、液晶表示装置の描画品質が劣化するという問題が発生する。
そこで、ゼラチン下引き層を設けずにセルロースエステルフイルムと親水性材料(例えば配向膜)との密着性を改良する方法として、フイルムをアルカリ水溶液中に浸漬する、いわゆる鹸化浴処理方法を行う方法が提案されている。
しかし、浸漬による鹸化浴処理は、セルロースエステルフイルムの両面が同時に親水化されてしまうため、片面にポリビニルアルコール等の親水層を塗設した後にロール状に巻き取ると、表裏が接着してしまう問題が発生する。このため、片面のみにラミネートなどの防水加工を施して鹸化浴処理し、反対面のみを親水化することが考えられるが、煩雑な工程が増えるという問題や、不要な廃棄物が発生するという問題が発生するため、生産性および環境保全の観点で望ましくなかった。
そこで、配向膜を塗設するポリマーフイルムの片面のみに、水、或いは水と有機溶剤のアルカリ溶液を連続塗布し、反応時間の経過後に希釈溶媒を塗布することにより鹸化反応を停止し、その後、アルカリ溶液をポリマーフイルムから洗い落とす鹸化方法が提案されている。この方法によれば、ポリマーフイルムの片面のみを効率良く鹸化処理することができる。
ところで、セルロースエステルフイルムに代表される熱可塑性の帯状フイルム(以下、ウエブという)には、巻き取りロールに巻き取る際、巻きズレやスリップによるウエブの中央面の傷つきを防止するため、また、その後の工程における取り扱い性を良好にするために、両端部を厚くする厚みだし加工が行われる。
例えば、特許文献2には、小さな突出部を有するエンボスローラをウエブ(シート)の融点以上に加熱してウエブの縁部に短時間接触させることにより、ウエブの縁部にローレット目を付けて厚く変形させる厚み出し加工装置が開示されている。また、特許文献3には、外周に歯が形成された第1ローラと、外周に研磨された山と谷とが形成された第2ローラとで、ウエブを圧接することによって、ウエブの片面にローレット加工を施す厚み出し加工方法が提案されている。
上記の方法で形成されたローレット加工部分は、当然のことながら、製品にならない部分(いわゆる端部ロス)である。一方で、配向膜層や液晶性分子層の塗膜端部も、幅方向の端部の塗設量が変動するために端部ロスとして取り除く必要がある。したがって、塗膜の端部をローレット加工部分に重ねて配置すれば端部ロスを小さくすることができるが、ローレット加工部分は、凸部高さを厳密に制御する必要があり、その上に厚みの制御が困難である塗膜端部を重ね合わせることはできない。そこで、配向膜層および液晶性分子層の塗設幅をローレット加工部分の内側近傍まで拡げることによって、端部ロスをできるだけ少なくすることが望まれている。その場合、配向膜層や液晶性分子層よりも広い範囲で行われるアルカリ鹸化処理をローレット加工部分にまで施す必要がある。すなわち、ローレット加工部分にまでアルカリ鹸化処理を施すことによって、配向層および液晶性分子層の塗設幅をローレット加工部分の内側近傍まで拡げられることが望まれている。これによって、端部ロスの最小化を図ることができ、製品コストを削減することができる。
特開平8−94838号公報 特開昭52−96678号公報 特開平8−244113号公報
しかしながら、ローレット加工部分にまでアルカリ溶液を塗布すると、ローレット加工部分の立体的障害によって、アルカリ溶液の塗布が乱れるという問題や、塗布したアルカリ溶液の洗い落とし効率が低下してアルカリ溶液がウエブ上に残留するという問題があった。このため、従来は、ローレット加工部分に鹸化処理を施すことができない。したがって、従来の光学補償シートは、図2に示すように、アルカリ鹸化処理をローレット加工部分の内側に行い、さらに、そのアルカリ鹸化処理部分1の範囲内に配向膜層2や液晶性分子層3を塗設していた。したがって、端部ロスは、ローレット加工部分、アルカリ鹸化処理部分1の端部、及び配向膜層2、液晶性分子層3の端部を合わせた範囲となるので、非常に大きな端部ロスが発生していた。このため、製品コストが増加し、製品の利益、採算性の面から改善が要求されていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、端部ロスを小さくすることができるポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、幅方向の端部に片面のローレット加工部分を有するポリマーフイルムにアルカリ鹸化処理を施すポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法であって、ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布工程、前記アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持工程、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒または酸性溶液を塗布して反応を停止する反応停止工程、及び、前記反応を停止したポリマーフイルムから前記アルカリ溶液を洗い落とす洗浄工程を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法において、前記アルカリ溶液塗布工程は、前記ローレット加工部分を有する面と反対側の面に前記アルカリ溶液を塗布することを特徴としている。
請求項1の発明によれば、ポリマーフイルムの片面にローレット加工部分を有するとともに、このローレット加工部分の反対側の面にアルカリ溶液を塗布して片面鹸化処理を施すので、鹸化処理時にローレット加工部分が障害とならない。また、ローレット加工部分と鹸化処理端部をポリマーフイルムの端部に配置することができるので、端部ロスを最小化することができ、製品コストを削減することができる。
本発明に係るポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法によれば、ローレット加工部分を有する面と反対側の面に片面鹸化処理を施すので、端部ロスを最小化することができる。
添付図面に従って本発明に係るポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法の好ましい実施の形態について説明する。以下は、本発明に係るポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法を、光学補償シートの製造工程に適用した例で説明するが、本発明の用途はこれに限定するものではない。
光学補償シートの製造工程では、まず、走行する長尺状の高分子シート(ポリマーフイルムに相当)の表面に鹸化処理が施される。鹸化処理は、アルカリ溶液塗布工程、温度維持工程、反応停止工程、及び洗浄工程から成り、アルカリ溶液塗布工程では、シートの表面にアルカリ溶液が塗布される。そして、アルカリ溶液が塗布されたシートは、温度維持工程において、室温以上の温度で維持される。次いで、反応停止工程において、シートの表面に、希釈溶媒または酸性溶液が塗布される。これにより、アルカリ溶液とシートとの鹸化反応が停止する。鹸化反応が停止したシートは、洗浄工程において、水がかけられてアルカリ溶液が洗い落とされる。
こうして鹸化処理が施されたシートは、その表面に配向膜層を塗布・乾燥する処理が施される。次いで、配向膜層の表面にラビング処理を施され、配向膜層に配向性が付与される。そして、配向膜層の上に液晶化合物有機溶媒溶液が塗布され、この塗布液を乾燥することによって、光学補償シートが製造される。
ところで、前述の鹸化処理に供給するシートとして、図1に示す如く、片面にローレット加工が施されたシート10が使用される。ローレット加工は鹸化処理の直前で行うようにしてもよいし、別のラインで予めシート10にローレット加工を施し、このシート10を鹸化処理に供給するようにしてもよい。
ローレット加工は、シート10の裏面10Bに施すようにする。すなわち、鹸化処理においてアルカリ溶液が塗布される面(表面)10Aと反対側の面10Bにローレット加工が施されるようにする。このローレット加工は、シート10をロール状に巻き取る際の巻きズレ防止や、スリップによる傷つき防止のために施され、その効果を発現させるために、ローレット高さhが3μm以上、好ましくは7〜10μm程度になるように加工される。なお、ローレット加工の反対側の面(シートの表面)10Aは、凹凸が全くないことが好ましいが、ローレット加工の都合上、若干の凹凸が形成される場合には、その凹凸を0.5μm以下にすることが好ましい。
裏面10Bにローレット加工が施されたシート10は、鹸化処理時に、表面10Aにアルカリ溶液が塗布される。その際、ローレット加工部分のない表面10Aにアルカリ溶液を塗布するので、ローレット加工部分が立体的障害となって塗布不良を発生するおそれがなく、アルカリ溶液をシート10の表面10Aに均一に塗布することができる。
アルカリ溶液が塗布されたシート10は、前述したように水がかけられてアルカリ溶液が洗い落とされる。その際、ローレット加工部分のない表面10Aにアルカリ溶液が塗布されているため、アルカリ溶液を容易に洗い落とすことができ、シート10の表面10Aにアルカリ溶液が残留することを防止できる。さらに、アルカリ溶液を容易に洗い落とすことができるので、水洗に使用する水量を減らすことができる。
また、本実施の形態では、ローレット加工のない表面10Aにアルカリ溶液を塗布しているので、アルカリ溶液の塗布幅をシート10の幅方向の端部近傍にまで拡げることができる。よって、鹸化処理部分12の上に形成する配向膜層14や液晶層16の塗布幅を広げることができる。その結果、配向膜層14及び液晶層16の塗膜端部を、ローレット加工部分の裏側に配置することができる。したがって、液晶層16の形成後に取り除かれる端部ロスを小さくすることができる。これにより、原料となるシート10に対する製品部分の割合が増加するので、製造コストを大幅に削減することができる。
以下に、上述したシート(ポリマーフイルム)、鹸化処理、光学補償シートの具体例について説明する。
[ポリマーフイルム]
ポリマーフイルムは、光透過率が80%以上であるポリマーフイルムを用いる事が好ましい。ポリマーフイルムとしては、外力により複屈折が発現しにくいものが好ましい。ポリマーは、エステル結合あるいはアミド結合のような加水分解できる結合(鹸化処理の対象となる結合)を含む。エステル結合が好ましく、エステル結合がポリマーの側鎖に存在していることがさらに好ましい。エステル結合が側鎖に存在しているポリマーとしては、セルロースエステルが代表的である。セルロースの低級脂肪酸エステルがより好ましく、セルロースアセテートがさらに好ましく、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートが最も好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
ポリマーフイルムを光学補償シートに用いる場合、ポリマーフイルムは、高いレターデーション値を有することが好ましい。フイルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義される。
(I)Re=|nx−ny|×d、
(II)Rth={(nx+ny)/2−nz}×d、
式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率、dは、単位をnmとするフイルムの厚みである。ポリマーフイルムのReレターデーション値は1乃至200nmであり、そして、Rthレターデーション値は70乃至400nmであることが好ましい。具体的な値は、測定光の入射方向をフイルム膜面の鉛直方向に対して傾斜させた測定結果より外挿して求める。測定は、エリプソメーター(例えば、M−150、日本分光(株)製)を用いて実施できる。測定波長としては、632.8nm(He−Neレーザー)を採用する。
ポリマーフイルムのレターデーションを調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であるが、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が場合により添加される。レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。また、セルロースアシレートフイルムのレターデーションを調整するには、芳香族環を少なくとも二つ有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、3〜6であることが最も好ましい。
2つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合、および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(2つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、2つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。2以上の単結合で2つの芳香族環を結合して、2つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、2つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−、またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例(c1〜c15)を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。(cl:−CO−O−、c2:−CO−NH−、c3:−アルキレン−O−、c4:−NH−CO−NH−、c5:−NH−CO−O−、c6:−O−CO−O−、c7:−O−アルキレン−O−、c8:−CO−アルケニレン−、c9:−CO−アルケニレン−NH−、cl0:−CO−アルケニレン−O−、cll:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレンー、c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−、c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−、c14:−NH−CO−アルケニレン−、c15:−O−CO−アルケニレン−)。
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スル
ホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−へキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−へキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−プチニルおよび1−へキシニルが含まれる。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクテルチオが含まれる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。さらに2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
ポリマー溶液は一般的な方法で調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。ポリマーの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。ポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40℃)でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケット構造の加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後、容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
溶液の調製は冷却溶解法によって行うこともできる。冷却溶解法は、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られる効果がある。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に添加する。ポリマーの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。ポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃、好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度とは、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃に加温すると、有機溶媒中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加熱速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度とは、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保温する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製膜する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に加工しておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。これにより、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
ポリマーフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルの例には、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。さらにフタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。上述したうち、フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく、DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
ポリマーフイルムには、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、微粒子、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤を等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、上記の公技番号2001−1745号技法の17頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。特に、劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。劣化防止剤の好ましい例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
ポリマーフイルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3乃至100%であることが好ましい。ポリマーフイルムの厚さは、30乃至200μmであることが好ましく、40乃至120μmであることがさらに好ましい。
[アルカリ鹸化処理]
ポリマーフイルムは、予め室温以上に加熱するエ程、ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布する工程、ポリマーフイルムの温度を室温以上に維持するエ程、そして、アルカリ溶液をポリマーフイルムから洗い落とす工程によりアルカリ鹸化処理を実施する。
ポリマーフイルムを予め室温以上に加熱する工程では、熱風の衝突、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、あるいは赤外線ヒーターによる輻射熱加熱が好ましく利用できる。特に加熱ロールによる接触伝熱は、熱伝達効率が高く小さな設置面積で行える点、搬送開始時のフイルム温度の立上りが速い点で好ましい。一般の2重ジャケットロールや電磁誘導ロール(トクデン社製)が利用できる。加熱後のフイルム温度は、25乃至150℃(25℃よりも高く、150℃よりも低い温度)であることが好ましく、25乃至100℃がさらに好ましく、40乃至80℃が最も好ましい。
ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布する工程では、塗布量の変動をポリマーフイルムの幅方向および塗布時間に対して30%未満に抑制することが好ましい。また、連続塗布方式を採用することも好ましい。塗布方式としては、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)やロッド(細い金属線を巻いたロッド)コーターが好ましく利用できる。アルカリ溶液の塗布量は、その後、水洗除去するため廃液処理を考慮して、極力抑制することが望ましい。少ない塗布量でも安定に操作できるロッドコーター、グラビアコーターおよびブレードコーターが特に好ましい。
アルカリ溶液は、水または有機溶剤と水との混合液にアルカリを溶解して調製できる。二種類以上の有機溶剤を混合して用いてもよい。有機溶剤は、ポリマーフイルムを溶解したり膨潤したりしないことが望ましい。また、アルカリ溶液の塗布が容易になるように、表面張力が適度に低い有機溶剤を選択することも望ましい。有機溶剤の例には、一価アルコール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フッ素化アルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、多価アルコール(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル)、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド)、アミン(例、パーフルオロトリブテルアミン、トリエチルアミン)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル(例、メチルセルソルブ)が含まれる。
表面張力を下げて塗布を容易にしたり、塗膜の安定性を上げてハジキ故障を防止する手段として、アニオン性、カチオン性、非イオン性あるいは両性の低分子界面活性剤または高分子界面活性剤をアルカリ溶液に添加してもよい。
アルカリは、無機塩基および有機塩基のいずれも使用できる。低い濃度で鹸化反応をおこすためには強塩基が好ましい。アルカリ金属の水酸化物(例、NaOH、KOH)、アルカリ土類金属の水酸化物(例、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 、Ba(OH)2 )および錯塩の遊離塩基(例、[Pt(NH3 3 ](OH)4 が好ましく、アルカリ金属の水酸化物がさらに好ましく、NaOHおよびKOHが最も好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、使用するアルカリの種類、反応温度および反応時間に応じて決定する。短い時間で鹸化反応を完了するためには、高い濃度に溶液を調製することが好ましい。ただし、アルカリ濃度が高すぎるとアルカリ溶液の安定性が損なわれ、長時間塗布において析出する場合もある。アルカリ溶液の濃度は0.1乃至5規定(N)であることが好ましく、0.5乃至5規定であることがさらに好ましく、0.5乃至3規定であることが最も好ましい。
鹸化反応に必要なアルカリ塗布量は、ポリマーフイルムの単位面積当りの鹸化反応サイト数に配向膜との密着を発現させるために必要な鹸化深さを乗じた総鹸化サイト数(=理論アルカリ塗布量)が目安となる。鹸化反応の進行にともなってアルカリが消費され反応速度が低下するため、実際には上述の理韓アルカリ塗布量の数倍を塗布することが好ましい。具体的には、理論アルカリ塗布量の2乃至20倍であることが好ましく、2乃至5倍であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液の温度は、反応温度(=ポリマーフイルムの温度)に等しいことが望ましい。使用する有機溶媒の種類によっては、反応温度がアルカリ溶液の沸点を越える場合もある。安定な塗布を行うためには、アルカリ溶液の沸点よりも低い温度であることが好ましく、沸点(℃)の90%よりも低い温度であることがさらに好ましく、沸点(℃)の80%よりも低い温度であることがさらに好ましい。アルカリ溶液を塗布した後、鹸化反応が終了するまで、ポリマーフイルムの温度を室温以上に保つ。本明細書において、室温は25℃を意味する。
加熱手段は、ポリマーフイルムの片面がアルカリ溶液により濡れている状態であることを考慮して選択する。塗布の反対面への熱風の衝突、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、あるいは、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱が好ましく利用できる。赤外線ヒーターは、非接触、かつ空気の涜れを伴わずに加熱できるため、アルカリ溶液塗布面への影響を最小にできるため好ましい。赤外線ヒーターは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。市販の赤外線ヒーター(例えば(株)ノリタケカンパニーリミテド製)を用いてもよい。熱媒体が、オイルまたはスチームを用いるオイル式またはスチーム式の赤外線ヒーターは、有機溶剤が共存する雰囲気における防爆の観点で好ましい。ポリマーフイルムの温度は、アルカリ溶液塗布前に加熱した温度と同じでも異なっていてもよい。また、鹸化反応中に温度を連続的、または段階的に変更してもよい。フイルム温度は、25℃以上150℃未満、好ましくは25℃以上100℃未満、更に好ましくは40℃以上80℃未満である。フイルム温度の検出には、一般に市販されている非接触の赤外線温度計が利用でき、上記温度範囲に制御するために、加熱手段に対してフィードバック制御を行ってもよい。
ポリマーフイルムを搬送しながら鹸化処理を実施することが好ましい。ポリマーフイルムの搬送速度は、上記アルカリ溶液の組成と塗布方式の組み合わせによって決定する。一般に、10乃至500m/分が好ましく、20乃至300m/分がさらに好ましい。搬送速度に応じて、安定な塗布操作が行えるように、アルカリ溶液の物性(比重、粘度、表面張力)、塗布方式および塗布操作条件を決定する。
アルカリ溶液とポリマーフイルムとの鹸化反応を停止するには、3つの方法がある。一つは、塗布されたアルカリ溶液を希釈してアルカリ濃度を下げ、反応速度を低下させる方法であり、ニつ目は、アルカリ溶液が塗布されたポリマーフイルムの温度を下げ、反応速度を低下させる方法であり、三つ目は、酸性の液によって中和する方法である。
塗布されたアルカリ溶液を希釈するためには、希釈溶媒を塗布する方法、希釈溶媒を吹き付ける方法、あるいは、希釈溶媒の入った容器にポリマーフイルムごと浸漬する方法が採用できる。希釈溶媒を塗布する方法と吹き付ける方法がポリマーフイルムを連続搬送しながら実施する上で好ましい方法である。希釈溶媒を塗布する方法は、必要最小限の希釈溶媒量を用いて実施できるために最も好ましい。
希釈溶媒の塗布は、既にアルカリ溶液が塗布されたポリマーフイルム上に希釈溶媒を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。塗布は、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)あるいはロッド(細い金属線を巻いたロッドを用いる)コーターが好ましい。アルカリ溶液と希釈溶媒とを速やかに混合してアルカリ濃度を低下させるためには、希釈溶媒が塗布される微小領域(塗布ビードと呼ぶこともある)において、流れが層流であるダイコーターよりも、流れが一様とならないロールコーターやロッドコーターが好ましい。
希釈溶媒は、アルカリ濃度を低下させることが目的であるため、アルカリ溶液中のアルカリ溶質を溶解する溶媒でなければならない。よって、水または有機溶剤と水との混合液を用いる。二種類以上の有機溶剤を混合して用いてもよい。有機溶剤は、ポリマーフイルムを溶解したり膨潤したりしないことが望ましい。また、表面張力が適度に低い有機溶剤を選択することも望ましい。有機溶剤の例には、一価アルコール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フッ素化アルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、多価アルコール(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル)、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド)、アミン(例、パーフルオロトリブチルアミトン、トリエチルアミン)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル(例、メチルセルソルブ)が含まれる。
希釈溶媒の塗布量は、アルカリ溶液の濃度に応じて決定する。塗布ビードにおける流れが層流であるダイコーターの場合、塗布量は、元のアルカリ濃度を1.5乃至10倍に希釈することが好ましく、2乃至5倍に希釈することがさらに好ましい。ロールコーターやロッドコーターの場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ溶液と希釈溶媒との混合が発生し、この混合した液が再塗布される。したがって、この場合は希釈溶媒の塗布量によって希釈率を特定することができないため、希釈溶媒塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。ロールコーターやロッドコータ一においても、塗布量は、元のアルカリ濃度を1.5乃至10倍に希釈することが好ましく、2乃至5倍に希釈することがさらに好ましい。
アルカリによる鹸化反応を迅速に停止するため、酸を用いることもできる。少ない量で中和するため、強酸を用いることが好ましい。さらに、水洗の容易さを考慮すると、アルカリと中和反応後に生成する塩が水に対する溶解度が高い酸を選択することが好ましく、塩酸、硝酸、リン酸およびクロム酸が特に好ましい。塗布されたアルカリ溶液を酸で中和するためには、酸溶液を塗布する方法、酸溶液を吹き付ける方法、あるいは酸溶液の入った容器にポリマーフイルムごと浸漬する方法が採用できる。酸溶液を塗布する方法と吹き付ける方法がポリマーフイルムを連続搬送しながら実施する上で好ましい。酸溶液を塗布する方法は、必要最小限の酸溶液を用いて実施できるために最も好ましい。
酸溶液の塗布は、既にアルカリ溶液が塗布されたポリマーフイルム上に酸溶液を再度適用できる連続塗布可能な方式であることが望ましい。塗布は、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)あるいはロッド(細い金属線を巻いたロッドを用いる)コーターが好ましい。アルカリ溶液と酸溶液とを速やかに混合してアルカリを中和させるためには、酸溶液が塗布される微小領域(塗布ビードと呼ぶこともある)において、流れが層流であるダイコーターよりも、流れが一様とならないロールコーターやロッドコーターが好ましい。
酸溶液の塗布量は、アルカリの種類とアルカリ溶液の濃度に応じて決定する。塗布ビードにおける流れが層流であるダイコーターの場合、酸の塗布量は、元のアルカリ塗布量の0.1乃至5倍であることが好ましく、0.5乃至2倍であることがさらに好ましい。ロールコーターやロッドコーターの場合は、塗布ビード内の流動が一様でないため、アルカリ溶液と酸溶液との混合が発生し、混合した液が再塗布される。したがって、この場合は酸溶液の塗布量によって中和率を特定することができないため、酸溶液塗布後のアルカリ濃度を測定する必要がある。ロールコーターやロッドコーターにおいては、酸溶液塗布後のpHが4乃至9になるように酸溶液の塗布量を決定することが好ましく、6乃至8になるように決定することがさらに好ましい。
ポリマーフイルムの温度を降下させて、鹸化反応を停止することもできる。反応を促進させるために室温以上に保たれた状態から、充分に温度低下させることによって実質的に鹸化反応を停止させる。ポリマーフイルムの温度を低下させる手段は、ポリマーフイルムの片面が濡れていることを考慮して決定する。塗布の反対面への冷風の衝突、あるいは、冷却ロールによる接触伝熱が好ましく採用できる。冷却後のフイルム温度は、5乃至60℃であることが好ましく、10乃至50℃であることがさらに好ましく、15乃至30℃であることが最も好ましい。フイルム温度は、非接触式の赤外線温度計で測定することが好ましい。測定した温度から、冷却手段に対してフィードバック制御を行い、冷却温度を調節することもできる。
水洗工程は、アルカリ溶液を除去するために実施する。すなわち、アルカリ溶液が残っていると、鹸化反応が進行するばかりでなく、後に塗布する配向膜ならびに液晶性分子層の塗膜形成や液晶分子の配向に影響を及ぼすので、これを防止するために行われる。水洗は、水を塗布する方法、水を吹き付ける方法、あるいは、水の入った容器にポリマーフイルムごと浸漬する方法で実施できる。水を塗布する方法と吹き付ける方法が、ポリマーフイルムを連続搬送しながら実施するために好ましい。水を吹き付ける方法では、噴流によってポリマーフイルム上の水洗水とアルカリ性塗布液との乱流混合が得られるために、特に好ましい。
水吹きつけ方法は、塗布ヘッド(例、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター)を用いる方法、あるいは、空気の加湿や塗装、タンクの自動洗浄に利用されるスプレーノズルを用いる方法で実施できる。円錐状あるいは扇状のスプレーノズルをポリマーフイルムの幅方向に配列して、全幅に水流が衝突するように配置することができる。市販のスプレーノズル(例えば、(株)いけうち製、スプレーイングシステムズ社製)を用いてもよい。水の吹き付け速度は、大きいほうが高い乱流混合が得られる。ただし、速度が大きいと、連続搬送するポリマーフイルムの搬送安定性を損なう場合もある。吹き付けの衝突速度は、50乃至1000cm/秒が好ましく、100乃至700cm/秒がさらに好ましく、100乃至500cm/秒が最も好ましい。
水洗に使用する水の量は、下記に定義される理論希釈率を上回る量である。
理論希釈倍率=水洗水の塗布量[cc/m2 ]÷アルカリ性塗布液の塗布量[cc/m2
すなわち、水洗に使用される水の全てがアルカリ性塗布液の希釈混合に寄与したという仮定の理論希釈率を定義する。実際には、完全混合は起こらないので、理論希釈率を上回る水洗水量を使用することとなる。用いたアルカリ性塗布液のアルカリ濃度や副次添加物、溶媒の種類にもよるが、少なくとも100〜1000倍、好ましくは500〜1万倍、さらに好ましくは1000〜十万倍の希釈が得られる水洗水を使用する。
水洗で一定量の水を用いる場合、一度に全量適用するよりも数回に分割して適用する回分式洗浄方法が好ましい。すなわち、水の量を幾つかに分けて、ポリマーフイルムの搬送方向にタンデムに設置した複数の水洗手段に供給する。一つの水洗手段と次の水洗手段との間には適当な時間(距離)を設けて、拡散によるアルカリ性塗布液の希釈を進行させる。さらに好ましくは、搬送されるポリマーフイルムに傾斜を設けるなどして、フイルム上の水がフイルム面に沿って流れる様にすれば、拡散に加えて、流動による混合希釈が得られる。最も好ましい方法としては、水洗手段と水洗手段の間にポリマーフイルム上の水腹を除去する水切り手段を設けることで、更に水洗希釈効率を高められる。具体的な水切り手段としては、ブレードコータ一に用いられるブレード、エアナイフコータ一に用いられるエアナイフ、ロッドコータ一に用いられるロッド、ロールコータ一に用いられるロールが挙げられる。なお、タンデムに配置された水洗手段の数は、多いほうが有利である。ただし、設置スペースならびに設備コストの観点から、通常は2〜10段、好ましくは2〜5段が使用される。
水切り手段後の水膜厚みは、薄い方が好ましいが、用いる水切り手段の種類によって最低水膜厚みが制限される。ブレード、ロッド、ロールなど、物理的に固体をポリマーフイルムに接触させる方法においては、例え固体がゴムなどの硬度の低い弾性体であったとしても、フイルム表面にキズを付けたり、弾性体が磨り減ったりするので有限の水膜を潤滑流体として残す必要がある。通常は、数μm以上、好ましくは10μm以上の水膜を潤滑流体として残存させる。極限まで水膜厚みを減少させられる水切り手段としては、エアナイフが好ましい。充分な風量と風圧を設定することにより、水膜厚みをゼロに近づけることが出来る。ただし、エアの吹出し量が大きすぎると、ばたつきや寄りなど、ポリマーフイルムの搬送安定性に影響を及ぼすことがあるので、好ましい範囲が存在する。ポリマーフイルム上の元の水膜厚み、フイルムの搬送速度にもよるが、通常は10〜500m/秒、好ましくは20〜300m/秒、より好ましくは30〜200m/秒の風速を使用する。また、均一に水膜除去を行うためには、ポリマーフイルムの幅方向の風速分布を、通常は10%以内、好ましくは5%以内になる様、エアナイフの吹出し口やエアナイフへの給気方法を調整する。搬送するポリマーフイルム表面とエアナイフ吹出し口の間隙は、狭い方が水切り能が増すが、ポリマーフイルムと接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm〜10cm、好ましくは100μm〜5cm、さらに好ましくは500μm〜1cmの間隙をもって、エアナイフを設置する。さらに、エアナイフと対向する様に、ポリマーフイルムの水洗面と反対側にバックアップロールを設置することで、間隙の設定が安定するとともに、フイルムのバタツキやシワ、変形などの影響を緩和することができるために好ましい。
水洗水には、純水を用いることが好ましい。本発明に用いられる純水とは、比電気抵抗が少なくとも1MΩ以上であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンは1ppm未満、クロル、硝酸などのアニオンは0.1ppm未満を指す。純水は、逆浸透膜、イオン交換樹脂、蒸留などの単体、あるいは組み合わせによって、容易に得ることができる。
洗浄水の温度は、高い方が洗浄能力が上がる。しかし、搬送されるポリマーフイルム上に水を吹き付ける方法においては、空気と接触する水の面積が大きく、高温ほど蒸発が著しくなるため、周囲の湿度が増し、結露する危険性が高くなる。このため、洗浄水の温度は、通常は5〜90℃、好ましくは25℃〜80℃、さらに好ましくは25℃〜60℃の範囲で設定する。
アルカリ性塗布液の成分、または鹸化反応の生成物が水に容易に溶けない場合、水洗工程の前または後に水に不溶な成分を除去するための溶剤洗浄工程を付加しても良い。溶剤洗浄工程は、上に述べた水洗方法、水切り手段を利用することができる。有機溶剤の例には、一価アルコール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フッ素化アルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、多価アルコール(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル)、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド)、アミン(例、パーフルオロトリブチルアミン、トリエチルアミン)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル(例、メチルセルソルブ)が含まれる。
水洗工程の次に乾燥工程を実施することもできる。通常は、エアナイフなどの水切り手段で十分に水膜を除去できるため、乾燥工程は必要ないが、ポリマーフイルムをロール状に巻き取る前に、好ましい含水率に調整するために加熱乾燥してもよい。逆に、設定された湿度を有する風で調湿することもできる。
[光学補償シート]
鹸化処理したポリマーフイルムは、光学補償シートの透明支持体として好ましく用いられる。光学補償シートは、アルカリ溶液を塗布することにより鹸化したポリマーフイルム、配向膜形成用樹脂層、および液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層が、この順に積層された層構成を有する。
配向膜の形成においては、ポリマーフイルムを加熱する工程、ポリマーフイルムの配向膜側の表面にアルカリ溶液を塗布する工程、アルカリ溶液塗布面の温度を維持する工程、反応を停止する工程、アルカリ溶液を洗浄してフイルムの表面から除去する工程に次いで、配向膜を塗布して乾燥する工程を付加することもできる。さらに、配向膜を塗布、乾燥後に配向膜表面をラビング処理し、液晶性分子層を塗布、乾燥して、最終的な光学補償シートまで完成することもできる。
ポリマーフイルムの鹸化処理のみならず、配向膜、液晶性分子層を一貫して形成することにより、高い生産性が得られる。さらに、その利点として、鹸化処理〜配向膜塗布までの時間経過がない、活性化した鹸化面の劣化が少ない、鹸化処理の水洗工程が湿式の除塵と兼ねられる、複数回の送り出しや巻取りに伴うロール末端部のロスが発生しないことが挙げられる。
光学補償シートは、鹸化処理したポリマーフイルムからなる透明支持体、その上に設けられた配向膜および配向膜上に形成された円盤状構造単位を有する光学異方層からなる。配向膜は架橋されたポリマーからなるラビング処理された膜であることが好ましい。
光学異方層に用いられる円盤状構造単位を有する化合物としては、低分子量の円盤状液晶性化合物(モノマー)または重合性円盤状液晶性化合物の重合により得られるポリマーを用いることができる。円盤状化合物(ディスコティック化合物)は、一般に、ディスコティック液晶相(即ち、ディスコティックネマチック相)を有する化合物とディスコティック液晶相を持たない化合物に大別することができる。円盤状化合物は、一般に負の複屈折を有する。光学異方層は、ディスコティック化合物の負の複屈折性を利用したものである。
[配向膜]
光学異方層の配向膜は、架橋されたポリマーからなる膜をラビング処理して形成することが好ましい。配向膜は、架橋された2種のポリマーからなることがさらに好ましい。2種のポリマーの一方は、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーである。配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熟あるいはpH変化により、ポリマー間で反応させて形成するか、あるいは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
ポリマーの架橋は、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。配向膜を透明支持体上に塗設した後から、光学補償シートを得るまでのいずれかの段階で架橋させる処理を行なってもよい。配向膜上に形成される円盤状構造を有する化合物(光学異方層)の配向を考慮すると、円盤状構造を有する化合物を配向させた後に最終の架橋を行なうことも好ましい。すなわち、透明支持体上にポリマーおよびポリマーを架橋することができる架橋剤を含む塗布液を塗布した場合、加熱乾燥した後、ラビング処理を行なって配向膜を形成し、次いでこの配向膜上に円盤状構造単位を有する化合物を含む塗布液を塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度以上に加熱した後、冷却して光学異方層を形成する。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メテロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフイン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネートが含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メテロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、85乃至95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000であることが好ましい。変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。共重合変性基の例には、COONa、Si(OX)3 、N(CH3 3 ・Cl、C9 19COO、SO3 NaおよびC1225が含まれる(Xは、プロトンまたはカチオンである)。連鎖移動変性基の例には、COONa、SHおよびC1225が含まれる。ブロック重合変性基の例には、COOH、CONH2 、COORおよびC6 5 が含まれる(Rは、アルキル基である)。
鹸化度が85乃至95%である未変性ポリビニルアルコールまたはアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、下記式(1)で表される化合物とポリビニルアルコー
ルとの反応生成物であることが好ましい。
Figure 2005281347
式(1)において、R1 は、無置換アルキル基、アクリロリル置換アルキル基、メタクリロイル置換アルキル基またはエポキシ置換アルキル基であり、Wは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、Xは、活性エステル、酸無水物または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群であり、Pは、0または1であり、そして、nは、0〜4の整数である。
変性ポリビニルアルコールは、下記式(2)で表される化合物とポリビニルアルコールとの反応生成物であることがさらに好ましい。
Figure 2005281347
式(2)において、X1 は、活性エステル、酸無水物または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群であり、そして、mは、2〜24の整数である。
式(1)または式(2)で表される化合物と反応させるポリビニルアルコールは、変性ポリビニルアルコール(共重合変性、連鎖移動変性、ブロック重合変性)であってもよい。ポリビニルアルコールの合成方法、可視吸収スペクトル測定および変性基の導入率の決定方法は、特開平8−338913号公報に記載がある。
ポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、さらに好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコール)の架橋剤の例には、アルデヒド(例、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド)、N−メチロール化合物(例、ジメチロール尿素、メテロールジメチルヒダントイン)、ジオキサン誘導体(例、2,3−ジヒドロキシジオキサン)、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物(例、カルベニウム、2−ナフタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウム、1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル))、活性ビニル化合物(例、1、3、5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン、N,N’−メチレンビス−[β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド])、活性ハロゲン化合物(例、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシーS−トリアジン)、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で架橋剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示装置に使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するために設けられる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
[光学異方層]
光学補償シートの光学異方層は、配向膜上に形成される。光学異方層は、円盤状構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層であることが好ましい。光学異方層は、低分子量の液晶性円盤状化合物(モノマー)の層または重合性の液晶性円盤状化合物の重合(硬化)により得られるポリマーの層である。円盤状(ディスコティック)化合物には、ベンゼン誘導体、トルキセン誘導体、シクロヘキサン誘導体、およびアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基がその直鎖として放射線状に置換された構造である。円盤状化合物には、液晶性を示すディスコティック液晶が含まれる。円盤状化合物から形成した光学異方層には、熱や光で反応する基を有する低分子ディスコティック液晶を反応させて重合または架橋することにより、高分子量化して液晶性を失ったものも含まれる。
光学異方層は、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層であって、そしてディスコティック構造単位の面が、透明支持体面に対して傾き、且つ該ディスコティック構造単位の面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向に変化していることが好ましい。
ディスコティック構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方層の深さ方向でかつ光学異方層の配向膜底面からの距離の増加と共に増加または減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、および増加および減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
上記光学異方層は、一般にディスコティック化合物および他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方層は、ディスコティック化合物および他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
支持体側のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物と共に使用する他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマー)を選択することにより調整することができる。更に、傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
可塑剤、界面活性剤および重合性モノマーとしては、ディスコティック化合物と適度の相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の量にて使用される。
ポリマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマーも使用することができる。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートプチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.l〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の量にて使用される。
[偏光板]
偏光板は、ポリマーフイルム上に配向膜および液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層を設けた光学補償シート、偏光膜、透明保護膜がこの順に積層された層構成を有する。透明保護膜には、通常のセルロースアセテートフイルムを用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、2色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。ポリマーフイルムの遅相軸と偏光膜の透過軸の関係は、適用される液晶表示装置の種類により異なる。TN、MVAまたはOCBの場合は、実質的に平行になるように配置する。反射型液晶表示装置の場合は、実質的に45度となるように配置することが好ましい。
[液晶表示装置]
光学補償シートまたは偏光板は、液晶表示装置に有利に用いられる。TN、MVA、およびOCBモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる。液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、1枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置する。
OCBモードの液晶表示装置の場合、光学補償シートは、ポリマーフイルム上に円盤状化合物、もしくは棒状液晶化合物を含む光学異方性層を有していても良い。光学異方性層は、円盤状化合物(もしくは棒状液晶化合物)を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。円盤状化合物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、円盤状化合物には、多様な配向形態がある。従って、円盤状化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。
偏光板では、液晶セルと偏光膜との間に配置される透明保護膜として、前記のポリマーフイルムを用いることができる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光膜との間の)透明保護膜のみ上記のポリマーフイルムを用いるか、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光膜との間の)2枚の透明保護膜に、上記のポリマーフイルムを用いる。液晶セルはOCBモード、またはTNモードであることが好ましい。OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速い利点がある。一方、TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120°にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
シートとして、ウエブ幅1340mm、ウエブ厚み80μmのTACフィルムに片面ローレット(ローレット高さ:表面8μm以下、裏面0.5μm以下)を施したものを使用した。このTACフイルムを、80℃に加熱した電磁誘導加熱ロールを通過させ、78℃まで昇温した後に、40℃に保温したKOH6.2g、イソプロピルアルコール65.5g、プロピレングリコール15g、水13.3gから成る1規定のKOH溶液をロッドコーターを用いて14cc/m2 塗布し、120℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテッド社のスチーム式遠赤外線ヒータの下に7秒間滞留させた後に、同じくロッドコーターを用いて40℃の純粋を3cc/m2 塗布した。この時のフイルム温度は40℃であり、純粋塗布後の塗膜のKOH規定度は0.6規定であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを三回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理フイルムを作成した。
実施例1として、上述のアルカリ鹸化液の塗布をウエブの端部から15mmまでの範囲で行い、上述の水洗をウエブの端部から5mm内側まで行った。
実施例2として、アルカリ鹸化液の塗布をウエブの端部から15mmまでの範囲で行い、水洗をウエブの端部から15mm内側まで行い、さらに端部の5〜105mmに小型のファウンテンコータによる水洗を行った。
一方、比較例として、両面にローレット(ローレット高さ:表面10μm、裏面10μm)が形成されたTACフイルムを用いて上記の試験を行った。その際、実施例1と同様に、アルカリ鹸化液の塗布をウエブの端部から15mmまでの範囲で行い、水洗をウエブの端部から5mm内側まで行った。
以上の方法で鹸化処理した各TACフイルムを、二つの方法によって評価した。(1)殆ど水洗されずに乾燥したアルカリ鹸化液は、白色析出として目視観察できるため、目視評価した。(2)アルカリ性で発色するpH指示薬の滴下により評価した。具体的には、変色pH8.9のフェノールフタレイン溶液を使用し、発色の有無で評価した。以上の結果を表1に示す。
Figure 2005281347
表1から分かるように、TACフイルムの両面にローレットが設けられた比較例1では、水洗を十分に行っても、TACフイルムの耳部にアルカリ溶液の残留が見られた。これに対して実施例1では、TACのフイルムの片面にローレットが設けられ、さらにローレットと反対側の面にアルカリ溶液が塗布されるため、アルカリ溶液を十分に洗浄することができた。
また、端部水洗を行った実施例2では、実施例1と比較して水洗の幅を狭くしてもアルカリ溶液の残留は見られなかった。
本発明を適用して製造した光学補償シートの幅方向の断面図 従来方法で製造した光学補償シートの幅方向の断面図
符号の説明
10…シート、12…鹸化処理部分、14…配向膜層、16…液晶層

Claims (1)

  1. 幅方向の端部に片面のローレット加工部分を有するポリマーフイルムにアルカリ鹸化処理を施すポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法であって、
    ポリマーフイルムにアルカリ溶液を塗布するアルカリ溶液塗布工程、前記アルカリ溶液を塗布したポリマーフイルムの温度を室温以上に維持する温度維持工程、温度が維持されたポリマーフイルムに希釈溶媒または酸性溶液を塗布して反応を停止する反応停止工程、及び、前記反応を停止したポリマーフイルムから前記アルカリ溶液を洗い落とす洗浄工程を備えたポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法において、
    前記アルカリ溶液塗布工程は、前記ローレット加工部分を有する面と反対側の面に前記アルカリ溶液を塗布することを特徴とするポリマーフイルムのアルカリ鹸化方法。
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