JP2009003368A - 光学補償フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材に対し均一なラビング処理ができ、配向膜規制力のばらつきの小さい光学補償フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】帯状可撓性のウエブ26上に塗布装置21Aで配向膜形成材料層を塗布し、ラビング布を貼り付けたラビングローラ72を回転させてラビング処理する。ラビングローラ72の回転数をラビング処理開始から所定時間は第1の回転数とし、所定時間経過後は第1の回転数より小さい第2の回転数とすることでラビング処理し、配向膜を形成する。その後、ウエブ26上に液晶化合物を含む塗布液を塗布装置21Bで塗布し、液晶化合物層を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】帯状可撓性のウエブ26上に塗布装置21Aで配向膜形成材料層を塗布し、ラビング布を貼り付けたラビングローラ72を回転させてラビング処理する。ラビングローラ72の回転数をラビング処理開始から所定時間は第1の回転数とし、所定時間経過後は第1の回転数より小さい第2の回転数とすることでラビング処理し、配向膜を形成する。その後、ウエブ26上に液晶化合物を含む塗布液を塗布装置21Bで塗布し、液晶化合物層を形成する。
【選択図】 図1
Description
光学補償フィルムの製造方法に関し、特に均一な配向膜を形成できる光学補償フィルムの製造方法に関する。
従来、配向機能が付与された配向膜が、液晶化合物を基材表面に均一に配列させる手段として利用されている。一般的に、ラビング布を利用したラビング処理が、配向膜に配向機能を付与するため、基材に対し施される。このとき配向膜の配向規制力が弱いと液晶化合物の配向が均一とならないため、光漏れを生じて液晶表示装置のコントラストが低下し、輝点故障の原因となる。特に、TV用途に用いられる広視野角、高コントラストな光学補償フィルムにおいて、外観特性(輝点故障が極めて少ない)に優れた光学補償フィルムが求められている。そのため、基材に均一なラビング処理を行うことが必要で、ラビング処理に使用されるラビング布のパイル糸が配向膜に対し一定方向に配列されていることが重要となる。
ラビング布は、その布幅が織機により定められ、一般に、ラビング布の長手方向、つまり経糸方向にパイル糸が揃うように製造されている。
一方、光学補償フィルムの幅は、ラビング布の幅より広いため、ラビング布の経糸方向がラビングローラの回転方向と直交するよう、ラビング布がラビングローラに貼合される。つまり、パイル糸の方向がラビングローラの回転方向と直交する位置関係となる。
このため、ラビング布のパイル糸方向を緯糸方向に配列させた後に、ラビング布を裁断する技術が開示されている(特許文献1)。また、ラビング処理中にラビング布に導電性ラビング布調整部材を接触させてパイル糸の向きをラビング回転方向に揃えてラビング処理することが提案されている(特許文献2)。
特表2004−522210号公報
特開平11−007019号公報
しかし、特許文献1の方法では、経糸が緯糸より長いなど布の使用が限定され、供給性の観点から複数の布を用いた生産をする場合に問題となる。また、特許文献2の方法では、ラビング布を貼り替えた直後はパイル糸の配列が十分でなく、ラビング処理後の配向膜規制力にばらつきが生じる。そのため液晶化合物を積層した光学補償フィルムに配向不良が生じ、液晶表示装置の光漏れ、輝点欠陥の原因となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、基材に対し均一なラビング処理ができ、配向膜規制力のばらつきの小さい光学補償フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の光学補償フィルムの製造方法は、液晶表示装置に使用される光学補償フィルムの製造方法であって、(a)基材上に配向膜形成材料層を塗布する工程と、 (b)前記配向膜形成材料層が塗布された基材を、ラビング布を貼り付けたラビングローラを用いて、ラビング処理開始時から所定時間は第1の回転数でラビング処理し、所定時間経過後は第1の回転数より小さい第2の回転数でラビング処理し、配向膜を形成する工程と、(c)前記配向膜上に液晶化合物を含む塗布液を塗布する工程と、(d)前記塗布液から液晶化合物層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、ラビング処理中にラビングローラの回転数をラビング処理開始時後その経過時間に応じて漸減することで、ラビング処理開始時からラビング布のパイル糸の配列方向が所定の傾斜角となるよう配列される。パイル糸がラビング処理開始時から所定の傾斜角となるよう配列されるので、ラビング布を貼り替えた直後から基材に対し均一なラビング処理ができ、配向膜規制力のばらつきが小さい光学補償フィルムを効率よく得ることができる。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、前記発明において、前記第1の回転数と前記第2の回転数の差が30〜300rpmであることを特徴とする。回転数の差をこの範囲内に制御することで回転数の変化に伴う配向膜規制力のばらつきを低くすることが可能となる。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、前記発明において、前記ラビング処理が、単位面積当たり300〜600Nm/m2のラビング仕事量の範囲内に制御されることを特徴とする。ラビングローラの回転数の制御に加えて、ラビング処理時の単位面積当たりのラビング仕事量を所定の範囲とすることで、液晶表示装置の光漏れ、輝点欠陥の少ない光学補償フィルムを得ることができる。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、前記発明において、前記ラビング仕事量が、ラビング処理後の液晶化合物層の消光度に基づいて制御されることを特徴とする。ラビング仕事量が、液晶化合物層の消光度をモニターすることにより制御されるので、より配向膜規制力のばらつきが小さい光学補償フィルムを得ることができる。消光度とは、「本発明の光学補償フィルムの消光度をいい、クロスニコルに配置した2枚の偏光板間に、透過率が最小になるように本発明の光学補償フィルムを配置した時に測定される透過率である。透過率の測定波長は550nmであり、パラニコル配置の偏光板の透過率を100%とする。」をいう。つまり、消光度をモニターすることは最終製品に近い状態をモニターすることを意味し、その観察結果がラビング処理に反映されるので、光学補償フィルムの安定した製造が可能となる。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、前記発明において、前記基材が帯状可撓性の支持体であることを特徴とする。帯状可撓性の支持体から製造される光学補償フィルムの輝点故障の発生を防止するためである。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、前記発明において、前記液晶化合物層を形成する工程が、乾燥処理、加熱処理及び紫外線照射処理を含むことが好ましい。
本発明によれば、ラビング処理開始時から所定時間は第1の回転数でラビング処理し、所定時間経過後は第1の回転数より小さい第2の回転数で処理し、配向膜を形成することでラビング布のパイル糸の配列方向を所定の傾斜角となるよう矯正する。パイル糸がラビング処理中に所定の傾斜角となるよう矯正されるので、基材に対し均一なラビング処理ができ、配向膜規制力のばらつきが小さい光学補償フィルムを得ることができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について、光学補償フィルムを例にして説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
本発明に係る光学補償フィルムの製造方法を図1の製造ラインを参照に説明する。光学フィルムの製造ライン20では、帯状可撓性の支持体であるウエブ26が送り出し機66から送り出される。ウエブ26はガイドローラ68によってガイドされて、除塵機25Aを経るよう構成されている。ウエブ26の表面に付着した塵が、除塵機25Aにより除去される。
バー塗布装置21Aが、除塵機25Aの下流には設けられており、配向膜形成用樹脂を含む塗布液がウエブ26に塗布される。この下流には、乾燥ゾーン76A、加熱ゾーン78Aが順次設けられており、ウエブ26上に配向膜形成材料層が形成される。
尚、バー塗布装置以外の塗布手段を採用してもよい。他の塗布手段として、グラビアコータ、ロールコータ(トランスファロールコータ、リバースロールコータ等)、ダイコータ、エクストルージョンコータ、ファウンテンコータ、カーテンコータ、ディップコータ、スプレーコータ又はスライドホッパ等が採用できる。
塗布液の塗布、乾燥後、ウエブ26はガイドローラ68によってガイドされて、ラビング処理装置70に搬送される。ラビング処理装置70は、配向膜形成材料層にラビング処理を施すための装置である。本例のラビング処理装置70は、1段構成のラビングローラ72を備えている。パイル糸を織り込んだラビング布が、ラビングローラ72に貼り付けられている。尚、ラビング処理装置70は、複数段のローラを有する構成とすることもできる。
ラビング処理装置70は、ラビングローラ72を矢印F方向、ウエブ26の走行方向と反対方向に、10〜1000rpm程度まで回転速度を制御することができるよう構成されている。ラビングローラ72の形状はローラ状で、たとえば、その外径50〜500mmである。その長さは、ラビング角度をつけた状態でもウエブ26の幅より若干長くなるよう設定されている。また、ラビング処理装置70は、任意のラビング角度に調整できるように、ウエブ26の走行方向に対して水平面で回転自在となるよう構成されている。
ラビングローラ72の上方には、図示しないローラステージが設けられている。バックアップローラ86、88が、ローラステージの下面にスプリングを介してラビングローラ72と干渉しない位置に、回動自在に取り付けられている。バックアップローラ86、88には、ラビング時のテンションの管理を行うため、ウエブ26のテンションを検出する張力検出器が取り付けられている。
更に、バックアップローラ86、88は上下に移動可能で、ウエブ26のラビングローラ72へのラップ角が、バックアップローラ86、88を上下に移動させることで調整される。
エアノズル50が、ラビングローラ72の上方に設けられている。エアノズル50はウエブ26の裏面側に気体(空気、窒素ガス等)を噴き付けることができ、エアノズル50からの気体によりウエブ26がラビングローラ72に押し付けられる。
ラビング処理では、ラビングローラ72をウエブ26の走行方向と逆方向に回転させながら、ラビング布のパイル糸で配向膜形成材料層を擦こすることで、配向膜形成材料層に配向規制力が付与される。パイル糸が配向膜形成材料層に適切に接触できるよう、ウエブ26に所定の圧力が、バックアップローラ86、88及びエアノズル50からの気体により加えられる。
ラビング処理装置70の下流には除塵機25Bが設けられており、ウエブ26の表面に付着した塵が除塵機25Bにより取り除かれる。除塵機25Bの下流にはバー塗布装置21Bが設けられており、ディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ26に塗布される。バー塗布装置21Bの構成は、既述のバー塗布装置21Aと同じであっても良い。
バー塗布装置21Bの下流には、乾燥ゾーン76B、加熱ゾーン78Bが順次設けられており、ウエブ26上に液晶層が形成できるようになっている。更に、この下流には紫外線ランプ80が設けられており、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーが形成される。そして、検査装置90で検査され、ラミネート機92より送り出される保護フィルム94がウエブ26にラミネートされ、この下流に設けられた巻取り機82により、ポリマーが形成されたウエブ26が巻き取られる。
次に、本発明の光学補償フィルムに製造方法におけるラビング処理を、図2を参照に説明する。図2(a)に示すように、ラビング布の原反から裁断されたラビング布1が、両面テープなどで、ラビングローラ72に貼合わされる。特に、ラビング布1を新布に変えた直後、パイル糸2の向きは不揃いの状態となっている。
次に、図2(b)に示すように、ウエブ26は、ラビングローラ72に対して所定のラップ角で接触するよう、図示しないバックアップローラ及びノズルからの気体で押圧される。ラビングローラ72は、ウエブ26の走行方向と逆方向に比較的高速の第1の回転数、例えば500rpm〜700rpmで回転される。ラビング処理では、ラビング布1のパイル糸2が、ウエブ26上の配向膜形成材料層を擦ることで、配向規制力が付与された配向膜が形成される。それと同時、配向膜形成材料層を擦ることで、パイル糸2の矯正が行われる。
次に、図2(c)は、ラビングローラ72を第1の回転数で、ラビング処理開始時から所定時間ラビング処理した後の、パイル糸2の状態を示している。本発明において、ラビング処理開始から所定時間、ラビングローラ72を比較的高速の第1の回転数で回転させることで、パイル糸2の方向が比較的短時間で所定の傾斜角を持つよう矯正される。
その後、第1の回転数より低い第2の回転数、例えば400rpm〜500rpmでラビング処理が行われるで、パイル糸2の配列が行われたラビング布でラビング処理するので、基材に対し均一なラビング処理ができ、配向膜規制力のばらつきが小さい光学補償フィルムを得ることができる。
本発明と異なり、ラビング処理開始時にラビングローラを比較的低速で回転させながらラビング処理を行うと、パイル糸の配列に時間を要することになる。その結果、光学補償フィルムの配向膜の配向規制力にバラツキが生じ易くなり、輝点欠陥が発生するおそれがある。
また、ラビングローラをラビング処理開始時には比較的高速で回転し、その回転数を維持した場合、パイル糸が配向膜形成材料層を強く擦りすぎることになる。その結果、光学補償フィルムの配向膜の配向規制力にバラツキが生じ易くなり、輝点欠陥が発生するおそれがある。
ラビングロールの第1の回転数と第2の回転数の差は、30〜300rpmであることが好ましく。回転数の差をこの範囲とすることで、回転数の変化に伴う配向膜規制力のばらつきを低くすることが可能となる。その意味で、より好ましくは、50〜200rpmである。
また、本発明の光学補償フィルムの製造方法は、ラビングローラの回転数の制御に加えて、ラビング処理の単位面積当たりのラビング仕事量を300〜600Nm/m2の範囲内に制御することを特徴としている。単位面積当たりのラビング仕事量について図を参照に説明する。
一般に、仕事量は、図3(a)に示すように、物体に力F(N)が加えられ、その物体が加えられた力の向きにS(m)だけ移動したとき、仕事量の大きさL(Nm)は、L=F・S・・・(1)で求められる。また、図3(b)に示すように、重量Wの物体を水平な床面上をSだけ移動したとき、動摩擦係数をμとすると仕事量の大きさLは、L=μ・W・S・・・(2)で求められる。ラビング仕事量を求めるには、ラビング処理におけるμ、W及びSを求めることになる。
図4は、バックアップローラ86,88、エアノズル50とラビングローラ72の位置関係を示す要部拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、右側面図である。ラビング処理装置70は、ラビングローラ72の上流側と下流側に配置されたバックアップローラ86,88を備えている。ラビング処理装置70において、ウエブ26は一定の搬送張力T(N)、搬送速度V(m/min)で矢印方向に走行する。走行するウエブ26は、バックアップローラ86、88の下方向の力により、所定のラップ角θ、F1の力でラビングローラ72に押し付けられる。
また、エアノズル50は、ウエブ26の幅と略同一長さを有している。空気の噴出し口である先端部50Aが、ラビングローラ72の軸心と平行になるように配置されている。この気体噴き付け位置は、ウエブ26のラップ角を二等分する中心線上である。ウエブ26の裏面に、ウエブ26の幅方向に均一な圧力P(Pa)で気体が、幅S0(m)で噴き付けられる。気体の吹き付けによりウエブ26がF2の力でラビングローラ72に押し付けられる。
ラビング処理中においては、ラビングローラ72は、所定の回転数N(rpm)で、ウエブ26の走行方向と逆方向に回転される。
この条件下において、式(2)に当てはめると、重量Wはウエブ26に加えられる力F1とF2の合計となる。従って、仕事量の大きさLは、L=μ(F1+F2)S・・・(3)となる。
次に、移動距離Sは、ウエブ26とラビングローラ72が逆方向に移動するので、移動距離Sはウエブ26の走行距離とラビングローラ72の回転に伴う距離との合計となる。ウエブ26の走行速度V(m/min)、ラビングローラ72の半径r(m)、回転数N(rpm)とすると、一分間当たりの移動距離Sは、S=V+2πrN・・・(4)となる。これを(3)式に代入すると、一分間当たりの仕事量Lmは、Lm=μ(F1+F2)(V+2πrN)・・・(5)となる。
最後にF1及びF2を求める。F1は、ラップ角θ(°)、搬送張力T(N)、ラビングローラ72の半径r(m)、ウエブのベース幅w(m)とすると、F1=180T/πθ・・・(6)となる。また、F2は、エアノズル50からのエアプレス圧P(Pa)、エアプレス幅S0(m)、ウエブのベース幅w(m)とすると、F2=P・S0・w・・・(7)となる。式(6)及び(7)を式(5)に代入すると、単位面積当たりのラビング仕事量Lsは、Ls=μ(180T/πθ+P・S0・w)(V+2πrN)・・・(8)となる。
本発明は、単位面積当たりのラビング仕事量Lsを300〜600Nm/m2の範囲内に制御して光学補償フィルムが製造される。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、上述のラビング仕事量が、ラビング処理後の液晶化合物層の消光度に基づいて制御されることを一つの特徴としている。発明者は、鋭意努力した結果、ラビング仕事量と液晶化合物層の消光度が、一定の関係を有することを見出した。
図5は、ラビング仕事量と配向度(消光度)との関係を示すグラフである。このグラフから明らかなように、ラビング仕事量が300〜600Nm/m2の範囲内においては、消光度の値は低く0.0020(%)以下である。消光度の値が0.0020(%)以下であれば、製品として品質の許容範囲内のレベルにあることが確認された。
消光度とは、「本発明の光学補償フィルムの消光度をいい、クロスニコルに配置した2枚の偏光板間に、透過率が最小になるように本発明の光学補償フィルムを配置した時に測定される透過率である。透過率の測定波長は550nmであり、パラニコル配置の偏光板の透過率を100%とする。」をいい、光学補償フィルムの輝点欠陥、すなわち、液晶化合物の配向不良に伴う光漏れ程度を表していることになる。つまり、消光度をモニターすることは最終製品に近い状態を観察することを意味し、その観察結果がラビングローラの回転数の処理に反映されるので、輝点欠陥の少ない光学補償フィルムの安定した製造が可能となる。
実際の消光度のモニターリングは、以下の手順で行われる。即ち、クロスニコルに配置した2枚の偏光板間に、透過率が最小になるように本発明の光学補償フィルムを配置し、その透過率を測定する。なお、透過率の測定波長は550nmであり、パラニコル配置の偏光板の透過率を100%とする。
図6は、本発明に使用されるラビング布1の構成を示す説明図である。このラビング布材1は、地組織の経糸3と地組織の緯糸4とが格子状に織られた基布にパイル糸2が織り込まれたものである。一般的には、パイル糸2は経糸3の方向に沿うよう織り込まれている。パイル糸2の長さは通常1.5mm〜2.0mmの長さを有している。ラビング布材1はロール上に巻き取られラビング布原反5となる。
基布及びパイル糸としては、たとえばナイロン6・6(登録商標)等のポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル系、ポリシアン化ビニリデン系、ポリフルオロエチレン系、ポリウレタン系等の合成繊維、絹、木綿、羊毛、セルロース系、セルロースエステル系等の天然繊維、再生繊維(レーヨン、アセテート等)の中から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた繊維が使用される。
次に、本発明に使用される光学補償フィルムの素材について説明する。本発明のラビン方法の対象となる光学補償フィルムは、透明樹脂フィルム、その上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成されたディスコネマティック相の液晶層( 光学異方層とも言う)から構成されている。
上記透明樹脂フィルムの材料としては、透明である限りどのような材料でも使用することができる。光透過率が80%以上を有する材料が好ましく、特に正面から見た時に光学的等方性を有するものが好ましい。
従って、透明樹脂フィルムは、小さい固有複屈折を有する材料から製造することが好ましい。このような材料としては、セルローストリアセテート{市販品の例、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)及びフジタック(富士フイルム(株)製)}を使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルホンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸状検討を適宜設定することにより、使用することができる。
透明支持体(透明樹脂フィルム)面内の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnz、フィルムの厚さをdとしたとき、三軸の主屈折率の関係がnz<ny=nx(負の一軸性)を満足し、式{(nx+ny)/2−nz}×dで表されるレターデーションが、20nmから400nm(好ましくは30〜150nm)であることが好ましい。
ただし、nxとnyの値は厳密に等しい必要はなく、ほぼ等しければ充分である。具体的には、|nx−ny|/|nx−nz|≦0.3であれば実用上問題はない。|nx−ny|×dで表される正面レターデーションは、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることが更に好ましい。
配向膜は、一般に透明支持体上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。そしてこの配向が、光学補償フィルムから傾いた光軸を与える。
配向膜としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層を挙げることができる。
配向膜形成材料の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有する変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。これらのポリマーの層をラビング処理することにより得られる配向膜は、液晶性ディスコティック化合物を斜めに配向させることができる。
光学補償フィルムにおいて、ディスコティックネマティック相の液晶層が、配向膜上に形成される。液晶層は、液晶性ディスコティック化合物を配向後冷却固化させる、あるいは重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られる負の複屈折を有する層である。
上記のディスコティック化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、122巻、141頁(1985年)、Physicslett.、A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、7 0 頁(1984 年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.、Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.、116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。
本発明の実施例では、ポリメチルメタクリレートからなる配向膜形成材料を透明支持体であるセルローストリアセテート上に塗布し、ラビング処理を施した。ラビング処理した配向膜上にディスコティック液晶を形成した。
図7の表は、本発明の実施例1及び2と比較例1についての処理開始から経時、その時のラビングロールの回転数、ラビング仕事量及び輝点計数値をまとめて一覧表としたものである。
実施例1では、ラビング処理開始から2分間は回転数530rpm、仕事量397Nm/m2でラビング処理を行った。2分経過後は回転数470rpm、仕事量359Nm/m2でラビング処理を行った。一方、実施例2では、ビング処理開始から2分間は回転数670rpm、仕事量359Nm/m2でラビング処理を行った。2分経過後は回転数470rpm、仕事量359Nm/m2でラビング処理を行った。
比較例1では、ラビング処理開始から2分間は回転数470rpm、仕事量359Nmm2でラビング処理をい、2分経過後も回転数470rpm、仕事量359Nm/m2でラビング処理を行った。
実施例1,2及び比較例1の輝点計数値から明らかなように、実施例1,2のラビング開始から2分間における輝点計数値は比較例1に比べて小さい。これは、実施例1,2のラビング処理が配向膜規制力を適切にした条件であることを示している。
20・・・光学フィルムの製造ライン、21A,21B・・・塗布装置、25A,25B・・・除塵機、26・・・ウエブ、50・・・ノズル、66・・・送り出し機、68・・・ガイドローラ、70・・・ラビング処理装置、72・・・ラビングローラ、76A,76B・・・乾燥ゾーン、78A,78B・・・加熱ゾーン、80・・・紫外線ランプ、82・・・巻取り機、86,88・・・バックアップローラ、90・・・検査装置、92・・・ラミネート機、94・・・保護フィルム
Claims (6)
- 液晶表示装置に使用される光学補償フィルムの製造方法であって、
(a)基材上に配向膜形成材料層を塗布する工程と、
(b)前記配向膜形成材料層が塗布された基材を、ラビング布を貼り付けたラビングローラを用いて、ラビング処理開始時から所定時間は第1の回転数でラビング処理し、所定時間経過後は第1の回転数より小さい第2の回転数でラビング処理し、配向膜を形成する工程と、
(c)前記配向膜上に液晶化合物を含む塗布液を塗布する工程と、
(d)前記塗布液から液晶化合物層を形成する工程と、を有することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。 - 前記第1の回転数と前記第2の回転数の差が30〜300rpmである請求項1記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 前記ラビング処理が、単位面積当たり300〜600Nm/m2のラビング仕事量の範囲内に制御される請求項1又は2記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 前記ラビング仕事量が、ラビング処理後の液晶化合物層の消光度に基づいて制御される請求項3記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 前記基材が帯状可撓性の支持体である請求項1〜4の何れか1記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 前記液晶化合物層を形成する工程が、乾燥処理、加熱処理及び紫外線照射処理を含む請求項1〜5何れか1記載の光学補償フィルムの製造方法。
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JP2010151971A (ja) * | 2008-12-24 | 2010-07-08 | Fujifilm Corp | 光学補償フィルムの製造方法 |
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