JP6388116B2 - 硬化型組成物 - Google Patents
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Description
又、特許文献2の方法では、あらかじめ熱重合開始剤を用いて反応性高分子を製造するが、この時に用いる熱重合開始剤が残存していると、活性エネルギー線硬化型組成物の保存中に重合により硬化してしまうおそれがあり、十分な安定性を有しているとは言えない。
しかしながら、本発明者らのその後の検討により、原料ウレタン(メタ)アクリレート含有反応生成物は、長期間保存していると濁り等が発生する問題を有することを見出した。さらに、近年フィルム表面加工においては、一層の耐カール性が求められてきており、従来の組成物では、十分な性能を満たすことができなくなってきている。
本発明者らは、硬化膜の硬度、密着性及び柔軟性に優れ、耐カール性がより優れた組成物であって、さらに長期間にわたる貯蔵を行っても濁りが発生することのない貯蔵安定性に優れた硬化型組成物を見出すため鋭意検討を行った。
以下、本発明を詳細に説明する。
又、本発明は、化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を加熱・混合するウレタン(メタ)アクリレート含有反応生成物の製造方法にも関する。
以下、必須成分である(A)成分、その他の成分、使用方法等について説明する。
(A)成分は、化合物(a1)、化合物(a2)、及び化合物(a3)を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート含有反応生成物である。
(A)成分の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、1,500〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましく、2,500〜10,000であることがさらに好ましい。
本発明におけるMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という)法により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
以下、化合物(a1)、化合物(a2)、化合物(a3)及び(A)成分の製造方法について説明する。
化合物(a1)は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物であって水酸基価が180〜290mgKOH/gである化合物である。
化合物(a1)の水酸基価は、180〜290mgKOH/gあり、190〜287mgKOH/g以上であることが好ましく、200〜285mgKOH/gであることがより好ましい。
化合物(a1)の水酸基価が180mgKOH/gに満たないと、(a1)に含まれる複数の水酸基を有する(メタ)アクリレートが少なくなり、水酸基を持たないペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが多くなるために、フィルム等膜厚が薄い基材、特に柔軟性プラスチックに対して塗工・硬化したときに、基材との密着性、基材の変形に対する追従性及び耐カール性が不十分なものになってしまう。一方、化合物(a1)の水酸基価が290mgKOH/gを超えるとウレタン化反応により得られる(A)成分中のウレタン(メタ)アクリレートの分子量が高くなりすぎることで、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔後記(B)成分〕や希釈剤である有機溶媒との相溶性が悪くなったり、糸引きが発生しやすくなるため、コーティング剤としたときに表面平滑性が悪くなったりする。
尚、水酸基価は、JIS K0070−1992に定められた方法に準じて測定した値を採用する。
当該反応に用いられる(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれかを使用してもよいし、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を使用してもよいが、アクリル酸のみを使用することが好ましい。
又、化合物(a1)の製造には、(メタ)アクリル酸の代わりに、(メタ)アクリル酸等価体として、(メタ)アクリル酸ハライドや、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸エステル等を使用してもよい。
(メタ)アクリル酸の使用モル量は、使用するペンタエリスリトールの水酸基のモル量より少ないことが好ましく、ペンタエリスリトールの水酸基の合計モル数に対して、0.75〜1.25モルが好ましく、より好ましくは0.85〜1.15モルである。
又、化合物(a1)中におけるPETri及びPEDiの割合は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(以下、「PETet」という)、PETri、PEDi及びその他の副成分を含む合計量として、55重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上がより好ましく、85重量%以下がさらに好ましい。
触媒としては、酸触媒を好適に挙げることができる。
又、安定剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の公知の重合禁止剤を好適に挙げることができる。又、安定剤、特に重合禁止剤として、酸素を用いることも好ましい。例えば、酸素含有雰囲気中において、化合物(a1)の製造を行うことにより、不必要な(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートの重合を防止することができる。又、雰囲気中の酸素の含有割合は、1〜20体積%であることが好ましく、1〜10体積%であることがより好ましい。
有機溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素、並びにメチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。
又、化合物(a1)の製造方法は、液液抽出(分液)を少なくとも行い精製する方法を含むことが好ましい。上記態様であると、水酸基価が180〜290mgKOH/gである化合物を容易に製造することができる。
さらに、水酸基価が220〜290mgKOH/gである水酸基価がより高い化合物(a1)を製造する場合には、有機溶剤を使用することなくペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸を反応させた後、液液抽出(分液)により精製する方法が好ましい。
化合物(a2)は、多価イソシアネート化合物である。
化合物(a2)としては、種々の化合物が使用可能である。
又、化合物(a2)としては、2価イソシアネート化合物であることが好ましく、又、脂肪族多価イソシアネート化合物であることが好ましい。
好ましい化合物(a2)の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等の脂肪族2価イソシアネートが挙げられ、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族2価イソシアネートが挙げられ、並びにこれら化合物のヌレート型三量体等が挙げられる。
又、化合物(a2)は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、1種単独で使用することが好ましい。
化合物(a3)は化合物(a1)以外のポリオールである。
化合物(a3)としては、種々の化合物が使用可能である。ポリオールとしては、一分子中に水酸基を2個〜6個有する化合物が好ましく、(A)成分の硬化物が耐カール性により優れる点でジオールがより好ましい。
炭素数が2〜20のアルカンジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
エーテル骨格を有するポリオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジブタンジオール及びトリブタンジオール等の低分子量アルキレンジオール、並びにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブタンジオール等のポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、カーボネートとポリオールとの反応生成物が挙げられる。カーボネートとして具体的には、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、並びにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙げられる。ポリオールとしては、前記した炭素数2〜20のアルカンが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ポリオールと酸性化合物との反応物が挙げられる。
ポリオールとしては、前記した炭素数2〜20のアルカンポリオール、エーテル骨格を有するポリオール及びポリカーボネートポリオールが挙げられる。酸性化合物としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。又、ポリカーボネートジオールとカプロラクトンの開環反応物等も挙げられる。
(A)成分は、化合物(a1)及び化合物(a3)中の水酸基と化合物(a2)中のイソシアネート基がウレタン化反応して製造されたものである。
化合物(a1)と化合物(a3)との割合は、(a1):(a3)=99.7:0.3〜1:99が好ましく、98:2〜2:98であることが好ましい。上記様態とすることで、硬度と耐カール性のバランスを所望の範囲とすることができる。
例えば、化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を加熱・撹拌すれば良い。当該製造方法によれば、得られる(A)成分を硬度と耐カール性に優れるものとすることができる。
反応溶媒としては、ウレタン化反応に関与しないものが好ましく、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物、並びにジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒を使用する場合の配合量は、(A)成分の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、反応溶液中に0〜70重量%となるように設定することが好ましい。
ここで、反応溶液とは、原料化合物のみを使用する場合には、原料化合物の合計量を意味し、原料化合物に加え反応溶媒等を使用する場合は、これらを含めた合計量を意味する。具体的には、化合物(a1)、化合物(a2)、化合物(a3)及び必要に応じ用いる反応溶媒等を合わせた溶液の意味に用いられる。
この場合、ウレタン(メタ)アクリレートとは、化合物(a1)、化合物(a2)、及び化合物(a3)がウレタン化反応した混合物であり、
化合物(a1)中に含まれる水酸基を1個有するPETri〔ペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート〕及び水酸基を2個有するPEDi〔ペンタエリスリトールのジ(メタ)アクリレート〕等の水酸基及び化合物(a3)中に含まれる水酸基と化合物(a2)のイソシアネート基が反応したウレタン(メタ)アクリレート(以下、「(UA1)」という)、
水酸基を1個有するPETriと化合物(a2)とが反応したウレタン(メタ)アクリレート(以下、「(UAd1)」という)、及び
水酸基を2個有するPEDiと水酸基を1個有するPETriと化合物(a2)とが反応したウレタン(メタ)アクリレート(以下、「UAd2」という)
を主成分とするものを意味する。
又、(A)成分は、前記したウレタン(メタ)アクリレートの他、原料化合物(a1)に含まれるウレタン化反応に関与しないPETet〔ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート〕を含む混合物である。
(A)成分は、(UA1)を少なくとも含むことが好ましく、(UA1)にさらに(UAd1)を少なくとも含むことがより好ましく、(UA1)にさらに(UAd2)及び(UAd1)を少なくとも含むことが特に好ましい。
(A)成分中に含まれるウレタン(メタ)アクリレート〔(UA1)+(UAd1)+(UAd2)〕と、化合物(a1)中のPETet等を主成分とする低分子量化合物の割合としては、低分子量化合物の割合が少ない程好ましい。尚、低分子量化合物とは、GPCにおける分子量1,000以下の成分を意味する。
ウレタン(メタ)アクリレートと低分子量化合物の割合としては、目的に応じて適宜設定すればよいが、ウレタン(メタ)アクリレート:低分子量化合物=80:20〜95:5の重量比で含むことが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート:低分子量化合物=85:15〜92:8の重量比で含むことがより好ましい。上記範囲であると、得られる硬化膜の硬度と耐カール性のバランスがより優れる。
さらに又、(A)成分としては、GPCにより測定した分子量分布において、分子量500以下の成分が18面積%以下であるものが、保存安定性に優れ、硬化膜に柔軟性を付与できるという理由で好ましい。この割合としては、より好ましくは0〜17面積%である。
尚、本発明におけるGPCにより測定した分子量分布は、以下の条件で測定した値を意味する。
・検出器:示差屈折計(RI検出器)
・カラムの種類:架橋ポリスチレン系カラム
・カラムの温度:25〜50℃の範囲内
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
尚、本発明において(A)成分の粘度とは、E型粘度計を使用して50℃で測定した値を意味する。
本発明は、前記(A)成分を必須成分とする硬化型組成物に関する。
組成物の製造方法としては、常法に従えば良く、例えば、(A)成分、必要に応じてその他の成分を撹拌混合して製造することができる。
この場合、必要に応じて加熱することもできる。加熱温度としては、使用する組成物が含む成分、組成物をコーティングする基材及び使用目的等に応じて適宜設定すればよいが、30℃〜80℃が好ましい。
本発明の組成物をコーティング用途で使用する場合は、100〜10,000mPa・sが好ましい。組成物の粘度が当該好ましい粘度範囲とならない場合は、後記する(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物又は/及び有機溶剤を配合して調整することが好ましい。
尚、本発明において組成物の粘度とは、E型粘度計を使用して25℃で測定した値を意味する。
具体的に、硬度としては、膜厚100μmのプラスチックフィルム上に形成された膜厚1〜30μmの硬化膜の鉛筆硬度がH以上という効果を奏するものである。又、柔軟性としては、マンドレル屈曲試験において直径5mmの芯棒において硬化膜の割れや剥がれが見られないという効果を奏するものである。さらに、耐カール性としては、膜厚1〜30μmの硬化膜が形成された、膜厚100μmのプラスチックフィルムを10cm×10cmにカットした時の、四隅の浮き上がり高さが8mm以下であるという効果を奏するものである。
ことができ、活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用できる。
その他成分の好ましい例としては、具体的には、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(B)成分」という〕、光重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕、熱重合開始剤〔以下、「(D)成分」という〕及び有機溶剤〔以下、「(E)成分」という〕等が挙げられる。
以下、これらの成分について説明する。
(B)成分は、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、組成物の硬化物に種々の物性を付与する目的で配合する。
(B)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基及び(メタ)アリル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
尚、下記において、「単官能」とは、エチレン性不飽和基を1個有する化合物を意味し、「○官能」とはエチレン性不飽和基を○個有する化合物を意味し、「多官能」とはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を意味する。
このほかに、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとをウレタン化させることで得られる、(A)成分以外の多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ノボラック骨格を有する多官能エポキシ(メタ)アクリレート等、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、(B)成分としては、得られる硬化膜の基材への密着性及び耐カール性の観点から、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましく、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましく例示でき、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが特に好ましく例示できる。
又、(B)成分は、単官能エチレン性不飽和化合物及び/又は2官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。
(B)成分の含有割合としては、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、3〜60重量部が好ましく、4〜45重量部であることがより好ましく、5〜30重量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる硬化膜の耐カール性及び硬度により優れる。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用し、さらに電子線硬化型組成物として使用する場合は、(C)成分(光重合開始剤)を含有させず、電子線により硬化させることも可能である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合は、硬化の容易性やコストの観点から、(C)成分を更に含有することが好ましい。
本発明における(C)成分としては、種々の公知の光重合開始剤を使用することができる。
又、(C)成分としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
(C)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.5〜7重量部であることがより好ましく、1〜5重量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、組成物の硬化性に優れ、又、得られる硬化膜の耐擦傷性に優れる。
尚、硬化性成分とは、熱又は活性エネルギー線により硬化する成分であり、(A)成分を意味し、前記した(B)成分を配合する場合は、(A)成分及び(B)成分を意味する。
組成物を熱硬化型組成物として使用する場合には、熱重合開始剤を配合することができる。
本発明の組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
本発明の組成物は、組成物の塗布性や取扱い性の観点から、(E)有機溶剤を更に含有することが好ましい。
本発明における有機溶剤としては、種々の公知の有機溶剤を使用することができる。
(E)成分としては、(A)成分を溶解するものが好ましく、(B)成分を含有する場合は、(A)成分及び(B)成分を溶解するものがより好ましい。
これらの中でも、アルキレングリコールモノエーテル化合物、ケトン化合物が好ましく、アルキレングリコールモノエーテル化合物がより好ましい。
(E)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、10〜1,000重量部であることが好ましく、50〜500重量部であることがより好ましく、50〜300重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、組成物を塗工に適当な粘度とすることができ、後記する公知の塗布方法で組成物を容易に塗布することができる。
本発明の組成物は、(A)成分〜(E)成分以外のその他の成分をさらに含有していてもよい。
その他の成分としては、公知の添加剤を用いることができるが、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、無機粒子、酸化防止剤、シランカップリング剤、表面改質剤、ポリマー、酸発生剤、顔料、染料、粘着性付与剤、重合禁止剤等が挙げられる。
後記するその他の成分は、1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
紫外線吸収剤の具体例としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビスブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子等の紫外線を吸収する無機粒子等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましく、0.1〜2重量部であることがさらに好ましい。
光安定剤としては、公知の光安定剤を用いることができるが、中でも、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチロキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、BASF社製、TINUVIN 111FDL、TINUVIN123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等が挙げられる。
本発明の組成物は、プラスチック等の基材への密着材に優れるものであるが、酸性物質を添加することでさらに密着性を向上させることができる。
酸性物質としては、活性エネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤や、硫酸、硝酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸等が挙げられる。
これらの中でも、無機酸又は有機酸が好ましく、有機スルホン酸化合物がより好ましく、芳香族スルホン酸化合物がさらに好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。
酸性物質の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.0001〜5重量部であることが好ましく、0.0001〜1重量部であることがより好ましく、0.0005〜0.5重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、基材との密着性により優れ、基材の腐蝕や他の成分の分解といった問題の発生を防ぐことができる。
無機粒子としては、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アンチモン、スズ、セリウム、アルミニウム、亜鉛及びインジウムよりなる群から選ばれた1種以上の金属からなる金属酸化物粒子又は複合金属酸化物粒子が好ましく挙げられる。
なお、本発明において、無機粒子の平均粒子径は、BET法によって得られる試料の比表面積から真球状粒子と仮定したときの粒子径を意味する。
表面修飾剤としては、公知のものを用いることができるが、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が好適に挙げられる。
中でも、シランカップリング剤がより好ましく、エチレン性不飽和基及びアルコキシシリル基を有する化合物が特に好ましい。上記態様であると、得られる硬化膜の硬度及び耐カール性により優れる。シランカップリング剤の具体例としては、後記する化合物と同様の化合物が挙げられる。
又、無機粒子の表面修飾量としては、特に制限はないが、無機粒子に対し表面修飾剤を、表面修飾剤及び無機粒子の全重量に対して、1.0〜45.0重量%の割合で反応させたものであることが好ましい。
本発明の組成物は、硬化膜の耐熱性や耐候性を良好にする目的で、酸化防止剤をさらに含有していてもよい。
本発明に用いられる酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又は、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を好ましく挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が好ましく挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、例えば(株)アデカ製、アデカスタブPEP−4C、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、HP−10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO−23、AO−412S、AO−503A等が挙げられる。
本発明の組成物は、基材との密着性をより良好にする目的で、シランカップリング剤をさらに含有していてもよい。
本発明に用いられるシランカップリング剤は、特に限定はなく、公知のものを用いる事ができる。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
又、前述したエチレン性不飽和基及びアルコキシシリル基を有する化合物を用いることもできる。
本発明の組成物は、塗布時のレベリング性を高める目的や、硬化膜の滑り性を高めて耐擦傷性を高める目的等のため、表面改質剤を添加してもよい。
表面改質剤としては、表面調整剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、スベリ性付与剤、防汚性付与剤等が挙げられ、これら公知の表面改質剤を使用することができる。
それらのうち、シリコーン系表面改質剤及びフッ素系表面改質剤が好適に挙げられる。具体例としては、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー、並びに、パーフルオロアルキルエーテル鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
又、滑り性の持続力を高めるなどの目的で、分子中にエチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する表面改質剤を使用してもよい。
本発明の組成物は、得られる硬化膜の耐カール性をより改良する目的等で、(A)成分以外のポリマーをさらに含有していてもよい。
好適なポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられ、好適な構成モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−(2−(メタ)アクリロキシエチル)テトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸を共重合したポリマーの場合、グリシジル(メタ)アクリレートを付加させて(メタ)アクリロイル基をポリマー鎖に導入してもよい。
ポリマーの含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましい。上記範囲であると、得られる硬化膜の耐カール性により優れる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
例えば、組成物に、活性エネルギー線を照射するか又は加熱することにより硬化させて硬化物を得ることができる。
具体的には、コーティング剤及び接着剤等の用途の場合には、適用される基材に組成物を通常の塗装方法により塗布した後、活性エネルギー線硬化型組成物の場合には活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、又熱硬化型組成物の場合は加熱して硬化させる方法等が挙げられる。成形材料等の用途の場合には、所定の型枠に組成物を注入した後、活性エネルギー線硬化型組成物の場合には活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法、又熱硬化型組成物の場合は加熱して硬化させる方法等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射方法や加熱方法は、従来の硬化方法として知られている一般的
な方法を採用すれば良い。
又、組成物に(C)成分(光重合開始剤)及び(D)成分(熱重合開始剤)を併用し、これを活性エネルギー線照射した後、加熱硬化させることにより、基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
プラスチックの具体例としては、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
木材としては、自然の木材及び合成木材等が挙げられる。
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる。
本発明の組成物は、これら基材の中でも、プラスチック基材に好ましく適用でき、柔軟性プラスチック基材に好ましく適用できる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV−A領域の照射エネルギーで100〜5,000mJ/cm2が好ましく、200〜2,000mJ/cm2がより好ましい。
本発明の組成物は、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物として、種々の用途に使用することができ、具体的には、塗料等のコーティング剤、インキ、ナノインプリント及びレンズシート等の賦型樹脂、樹脂フィルム、並びに接着剤等が挙げられる。
基材として木材使用した例としては、階段、床及び家具等の木工製品が挙げられる。基材として金属を使用した例としては、台所用キッチンパネル及びステンレスシンク等の金属製品等が挙げられる。
例えば、表示板用前面板、建材用途、照明器具、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末のディスプレイや筐体、家電製品の筐体、眼鏡等の各種レンズが挙げられる。
表示板用前面板の具体例としては、電光掲示板、ディスプレイ、看板、広告及び標識等が挙げられる。
さらに又、コーティング剤としては、従来の活性エネルギー線硬化型コーティング剤用組成物では困難であった、柔軟性を有するプラスチック基材にも好ましく適用できるものである。
柔軟性プラスチック基材を構成する重合体としては、前記と同様の化合物が挙げられる。
柔軟性プラスチック基材とは、ロールからの巻出しや巻取りが可能である、折り曲げて割れを生じない柔軟性を有する基材をいう。定量的には、JIS K5600−5−1)に準じてマンドレル試験を行い、割れが見られない最小径が直径4mm以下の基材をいう。
さらに、柔軟性プラスチック基材の膜厚としては、25〜300μmが好ましい。
本発明の組成物から形成される光学フィルムは、種々の光学用途に使用できるものである。より具体的には、偏光板の偏光子保護フィルム、プリズムシート用支持フィルム及び導光フィルム等の液晶表示装置やタッチパネル一体型液晶表示装置に使用されるフィルム、各種機能性フィルム(例えば、ハードコートフィルム、加飾フィルム、透明導電性フィルム)及び表面形状を付したフィルム(例えば、モスアイ型反射防止フィルムや太陽電池用テクスチャー構造付きフィルム)のベースフィルム、太陽電池等屋外用の耐光性(耐候性)フィルム、LED照明・有機EL照明用フィルム、フレキシブルエレクトロニクス用透明耐熱フィルム等の用途が挙げられる。
さらに、透明導電性フィルムとしては、タッチパネルのカバーガラスにITO等のタッチセンサを直接形成するカバー一体型タッチパネルにおいて、カバーの材料としてガラスに代えプラスチックを使用し、プラスチックにITO等のタッチセンサを直接形成する、いわゆるOPS(One Plastic Solution)にも使用することができる。
又、以下において、特に断りのない限り、「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
1)原料製造例1〔化合物(a1)の製造〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、5容量%酸素含有窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、アクリル酸301部(4.18モル)、ペンタエリスリトール〔広栄化学(株)製。以下、「PE」という。〕167部(1.23モル)、硫酸7部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、「MEHQ」という)0.14部及びトルエン224部を混合し、反応温度約80℃及び370Torr(絶対圧)の条件で縮合水を除去しながら、PE中の全水酸基の45モル%がエステル化されるまで反応させた。
発生した縮合水は28部であり、未反応のPEを42部回収した。反応終了後に、トルエン870部を追加した。
このトルエンを追加した反応液の酸分に対して1倍モル量に相当する20%水酸化ナトリウム水溶液を攪拌下に添加して中和処理を実施し、過剰なアクリル酸及び硫酸を除去した。有機層を分離し、攪拌下で有機層100部に対して水10部を添加し水洗処理を行った。有機層を分離し、減圧下に加熱してトルエンを留去した。
得られたアクリレート〔以下、「化合物(a1-1)」という〕は185部であり、水酸基価は208mgKOH/gであった。
又、化合物(a1-1)中におけるPETri体の割合は43重量%、PEDiの割合は18重量%であった。
原料製造例1と同様のフラスコに、有機溶媒を使用することなく、アクリル酸(1163部、16.2モル)、PE(732部、5.4モル)、p−トルエンスルホン酸(29部)及び塩化第二銅(4部)を混合し、反応温度約90℃、外温102℃、内外温差12℃及び101kPa(絶対圧)の条件で縮合水を除去せずに、反応率48%まで反応させた。
尚、反応率は、以下の式(1)に従い算出した。
反応率(%)=[(B−A)÷C]×100 ・・・(1)
〔A:反応液の酸価(mmol/g)、B:仕込み酸価(mmol/g)、C:使用したPEのモル数(mmol/g)×4(PEの水酸基数)〕
冷却後、フラスコに20%水酸化ナトリウム水溶液(32部)を添加し、酸触媒を中和した。
分液ロートに反応液(1959部)を入れ、次いでシクロヘキサン(600部)、メチルエチルケトン(2400部)、さらに水(1250部)を添加し混合した後、静置により液液分離を行い、下層(水層)を抜き出し有機相を分離した。次いで有機相の酸分に対して等モル量の20%水酸化ナトリウム水溶液(840部)を攪拌下添加し、中和処理を実施した。有機相を分離し水洗処理を実施した。水洗後、再度有機相を分離し減圧下に加熱して溶剤を留去した。
得られたアクリレート〔以下、「化合物(a1-2)」という〕は874部であり水酸基価は280mgKOH/gであった。
原料製造例1と同様のフラスコに、アクリル酸1,000部(13.89モル)、PE555部(4.08モル)、硫酸23部、MEHQ0.4部、トルエン744部を混合し、反応温度約80℃及び370Torr(絶対圧)の条件で縮合水を除去しながら、PET中の全水酸基の63%がエステル化されるまで反応させた。
発生した縮合水は185部であった。反応終了後に、トルエン690部を追加した。
このトルエンを追加した反応液の酸分に対して1.1倍モル量に相当する20重量%水酸化ナトリウム水溶液を使用する以外は、原料製造例1と同様の量の水を使用し、原料製造例1と同様の操作で、中和処理・水洗処理を行った後、トルエンを留去した。
得られたアクリレート〔以下、「化合物(a1'-1)」という〕は865部であり、水酸基価は163mgKOH/gであった。又、アクリレート反応物中におけるPETri体の割合は48重量%、PEDiの割合は6重量%であった。
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、5容量%酸素含有窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、化合物(a1-1)(水酸基価:208mgKOH/g)の98部、化合物(a3)として1,4−ブタンジオール(以下、「BD」という)2部、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール(以下、「DTBC」という)0.07部、ジブチルスズジラウレート(以下、「DBTL」という)0.07部を仕込み、70℃でヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」という)29部を約1時間で滴下し、80℃で6時間反応させ、反応生成物のIR(赤外吸収)分析で残存イソシアネート基が0.25%以下となったことを確認して反応を終了した。
得られたウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA−1)」という〕を以下の条件で測定した分子量をポリスチレン換算した重量平均分子量(以下、「Mw」という)は2,894であり、50℃での粘度は23,220mPa・sであった。以下の条件でGPC測定により得られた分子量1000以下の成分は16面積%、分子量500以下の成分は14面積%であった。
◆GPC測定条件
・装置:Waters(株)製 GPC 1515 2414 717P RI
・検出器:RI検出器
・カラム:ガードカラム 昭和電工(株)製 Shodex KFG(8μm 4.6×10mm)、本カラム2種類 Waters(株)製 styragel HR 4E THF(7.8×300mm)+styragel HR 1THF(7.8×300mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:THF(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量0.75mL/分
化合物(a1-1)(水酸基価:208mgKOH/g)の98部を用い、化合物(a3)としてポリエチレングリコール〔ライオン(株)製商品名PEG#1000、Mw:1,000。以下、「PEG」という)を用い、HDIの29部を適下した以外は、製造例1と同様にウレタン化反応を行った。
得られたウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA−2)」という〕のMwは2,699であり、50℃での粘度は14,790mPa・sであった。GPC測定により得られた分子量1000以下の成分は17面積%、分子量500以下の成分は15面積%であった。
化合物(a1-1)(水酸基価:208mgKOH/g)の98部を用い、化合物(a3)としてテスラック2471〔日立化成(株)製、アジピン酸とネオペンチルグリコールのポリエステルジオール、Mw:2,000、水酸基価56mgKOH/g、以下、「TES」という〕2部を用い、HDIの29部を適下した以外は、製造例1と同様にウレタン化反応を行った。
得られたウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA−3)」という〕のMwは2,851であり、50℃での粘度は18,140mPa・sであった。GPC測定により得られた分子量1000以下の成分は16面積%で、分子量500以下の成分は面積14%であった。
製造例1と同様のフラスコに、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」という)31.1部、DTBC0.10部、DBTL0.10部、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という)50部を仕込み、温度を65℃へ昇温した。反応液の温度が65℃になった時点で、TESの90部、化合物(a1-2)(水酸基価:280mgKOH/g)10部及びMIBK50部の混合液を1時間かけて滴下した。温度を75℃に昇温し1時間反応させた後、65℃に降温した。65℃になった時点で原料製造例2で得られた化合物(a1)29.5部を30分かけて滴下した。温度を85℃に昇温し3時間反応させ、反応生成物のIR(赤外吸収)分析で残存イソシアネート基が0.25%以下となったことを確認して反応を終了した。
得られたウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA−4)」という〕を含む反応液は、固形分61.7%で、25℃での粘度は658mPa・sであった。(UA−4)のMwは11,500であり、GPC測定により得られた分子量1000以下の成分は5.1面積%、分子量500以下の成分は面積0.6%であった。
撹拌装置及び空気の吹き込み管を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETri)とペンタエリスリトールテトラアクリレート( PETet)との混合物〔東亞合成(株)製アロニックスM−305:水酸基価100mgKOH/g。アクリレート反応物中におけるPETri体の割合:40重量%、PEDiの割合は1重量%であった。以下、「M−305」という〕159.2部(PETri0.3モルとPETet0.2モルとを含有)、DTBCの0.092部、DBTLの0.055部を仕込み、液温を70℃〜75℃で撹拌しながら、HDIの25.2部(0.15モル)を滴下した。滴下終了後、80℃で3時間撹拌し、反応生成物のIR(赤外吸収)分析でイソシアネート基が消失していることを確認して反応を終了し、ウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA’−1)」という〕を得た。
(UA’−1)のMwは1,350であり、25℃での粘度は29,900mPa・sであった。GPC測定により得られた分子量1000以下の成分は32面積%、分子量500以下の成分は26面積%であった。
比較製造例1において、M−305の98部(PETri54モル%とPETet44モル%とを含有)及びポリオールとしてBDの2部を使用する以外は比較製造例1と同様に加温し、HDIの14部を比較製造例1と同様に添加し、反応を行った。
得られたウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA’−2)」という〕のMwは1,630であり、25℃での粘度は32,300mPa・sであった。GPC測定により得られた分子量1000以下の成分は28面積%、分子量500以下の成分は25面積%であった。
化合物(a1'-1)(水酸基価:163mgKOH/g)100部を用い、HDIの29部を適下した以外は、製造例1と同様にウレタン化反応を行った。
得られたウレタンアクリレート含有反応生成物〔以下、「(UA’−3)」という〕のMwは2,000であり、50℃での粘度は12,900mPa・sであった。GPC測定により得られた分子量1000以下の成分は16面積%、分子量500以下の成分は14面積%であった。
尚、得られた反応物については、併せて保存安定性の評価を行った。表1における「○」は保存8か月経過後も結晶化や濁りがないことを意味し、「×」は保存8か月以内に結晶化や濁りが認められたことを意味する。
1)組成物の調製
後記する表2及び表3に従い、前記で得られた(A)成分及び(A)成分以外のウレタンアクリレート〔以下、「(A)’成分」という〕の100部に対して、(C)成分(光重合開始剤)の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔BASFジャパン(株)製Irgacure184。以下、「Irg184」という。〕の5部、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)100部を撹拌・混合して、活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
尚、実施例4及び同5においては、MEKを配合することなく、製造例4で得られた(UA−4)を含むMIBK溶液に、Irg184のみを配合した。
尚、上記PETフィルムを、マンドレル試験(JIS K5600−5−1)に従い、直径3mmから10mmの芯棒に硬化膜を形成したPETフィルムを巻き付け、フィルムに割れが見られない最小径を評価した結果は、1mmであった。
乾燥後に、コンベアを備えた高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製H06−L 41)を用いて、UV−A照度80W/cm、照射エネルギー200mJ/cm2で紫外線を照射した。
得られた硬化膜を使用し、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表2及び表3に示す。
1)鉛筆硬度
得られた硬化膜について、JIS K5600−5−4に準じ、750g荷重にて鉛筆硬度を測定した。
得られた硬化膜に、カッターナイフで縦横1mm間隔の切り込みを入れて、1mm×1mmの大きさの升目100個を形成し、この碁盤目上にニチバン(株)製#405のセロハンテープを貼り付けた後に強く剥がした。剥離後の残膜数により、以下の3水準で評価した。
◎:残膜升目数が90個以上、○:残膜升目数が80〜89個、×:残膜升目数が79個以下
得られた硬化膜について、スチールウール#0000を使用し、500g荷重、100回往復後の硬化膜表面を目視で観察し、傷の有無を確認した。
PETフィルム上に形成した硬化膜を100mm×100mmに切り出し、四隅の浮き上がった高さを測定し、その平均値を求めた。数値がより小さいものの方が、耐カール性が良好であることを示す。
マンドレル試験(JIS K5600−5−1)に従い、直径3mmから10mmの芯棒に硬化膜を形成したPETフィルムを巻き付け、硬化膜に割れや剥がれが見られない最小径を評価した。
・M−313:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート及びトリアクリレートの混合物、東亞合成(株)製アロニックスM−313
・M−5700:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−5700
・Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製IRGACURE184
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、BASF社製DAROCUR TPO
実施例1〜同4の結果から明らかなように、本発明の組成物は、硬度、密着性、耐擦傷性、耐カール性及び耐屈曲性のいずれにも優れ、良好な表面硬度を維持しながら柔軟性を両立しているものであった。
これに対して、比較例1及び同2の組成物は、化合物(a1)の水酸基価の下限180mgKOH/gに大きく満たない水酸基価が100mgKOH/gの原料から製造されたウレタンアクリレートを含む組成物であり、硬度及び耐擦傷性に優れるものの、密着性、耐カール性及び屈曲性に劣り、表面硬度と柔軟性を両立できなかった。比較例3の組成物は、化合物(a1)の水酸基価の下限180mgKOH/gに満たない水酸基価が163mgKOH/gの原料から製造されたウレタンアクリレートであり、比較例1の組成物と比べて密着性、耐カール性及び耐屈曲性が改善されているが、実施例と比較して不十分であった。比較例4〜同6の組成物は、(B)成分を併用することで、対応する比較例1〜同3の組成物に対して、密着性及び耐カール性わずかに改善されたが、実施例と比較して不十分であり、屈曲性は全く改善されなかった。
Claims (18)
- ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物であって、水酸基価が180〜290mgKOH/gである化合物(a1)、多価イソシアネート化合物(a2)及び(a1)以外のポリオール(a3)を、酸性基含有ポリオールを含むことなく反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート含有反応生成物(A)を含む硬化型組成物。
- 前記化合物(a1)の水酸基価が190〜285mgKOH/gである請求項1記載の硬化型組成物。
- 前記化合物(a2)が脂肪族多価イソシアネートである請求項1又は請求項2に記載の硬化型組成物。
- 前記化合物(a3)が炭素数2〜20のアルカンポリオール、エーテル骨格を有するポリオール、ポリカーボネートポリオール又は/及びポリエステポリオールである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- 前記化合物(a3)がポリカーボネートポリオール又は/及びポリエステルポリオールである請求項4に記載の硬化型組成物。
- 前記(A)成分が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という)により測定した分子量分布において、分子量1,000以下の成分を20面積%以下含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- 前記(A)成分が、GPCにより測定した分子量分布において、分子量500以下の成分を18面積%以下含む請求項6に記載の硬化型組成物。
- (A)成分の100重量部に対して、有機溶剤を10〜1,000重量部の割合で含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- (A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- (A)及び(B)成分の合計量100重量部に対して、有機溶剤を10〜1,000重量部の割合で含む請求項9に記載の硬化型組成物。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
- さらに光重合開始剤を含む請求項11記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項11又は請求項12に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
- 請求項11又は請求項12に記載の組成物を含むプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
- 前記プラスチックフィルムが下記で定義される柔軟性プラスチックである請求項14に記載のプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
◆柔軟性プラスチック:JIS K5600−5−1)に準じてマンドレル試験を行い、割れが見られない最小径が直径4mm以下のプラスチック - 柔軟性プラスチックフィルムの膜厚が25〜300μmで、マンドレル試験に従い割れが見られない最小径が直径4mm以下である請求項15に記載のプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
- ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物であって、水酸基価が180〜290mgKOH/gである化合物(a1)、多価イソシアネート化合物(a2)及び(a1)以外のポリオール(a3)を、酸性基含有ポリオールを含むことなく加熱・混合するウレタン(メタ)アクリレート含有反応生成物の製造方法。
- 前記化合物(a1)の水酸基価が190〜285mgKOH/gである請求項17記載のウレタン(メタ)アクリレート含有反応生成物の製造方法。
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