JP6308079B2 - 自動車用カーテンエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、自動車用カーテンエアバッグ装置に関する。
下記特許文献1には、頭部保護エアバッグ装置の一例が開示されている。簡単に説明すると、頭部保護エアバッグ装置は窓の内側にカーテン状に膨張展開されるバッグ本体を備えている。バッグ本体の車両前方側の端部には、シームによって一般膨張部と区画された端部側膨張部が形成されている。さらに、バッグ本体の車両前方側の端部に位置するシームとフロントピラーとがテンションクロスによって連結されている。これにより、バッグ本体が膨張展開すると、端部側膨張部がテンションクロスの車両幅方向内側に配置されると共にテンションクロスに支持される。その結果、斜め衝突(以下、単に「斜突」と略す。)時に車両斜め前方側へ慣性移動する乗員の頭部を端部側膨張部で拘束し、当該乗員の頭部がフロントピラーに当接することを防止又は抑制している。
特開2008−006895号公報
しかしながら、上記先行技術による場合、斜突時に乗員の頭部が(端部側膨張部ではなく)バッグ本体に当接しバッグ本体の表面に沿って車両斜め前方側へ移動していく際に、当該乗員の頭部がバッグ本体の表面との摩擦力によって車両上下方向の軸回りに急激に回転して、頭部障害値に悪影響を及ぼすことが考えられる。
本発明は上記事実を考慮し、斜突時又は微小ラップ衝突時にカーテンエアバッグに当接した乗員の頭部が急激に回転することを抑制又は防止することができる自動車用カーテンエアバッグ装置を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置は、斜突時又は微小ラップ衝突時に作動してガスを発生させるインフレータと、
前記ガスが供給されることにより天井の車両幅方向外側の端部から車両下方側へ膨張展開されるカーテンエアバッグと、前記カーテンエアバッグとは別体で構成され、当該カーテンエアバッグの膨張展開時に当該カーテンエアバッグの膨張部における車室内側の側面の一部を覆い、かつ、着座乗員の頭部が車両斜め後方側から当接し得る範囲に配置され、車両斜め後方側から当接した当接物を当該側面に対して車両前方側へ滑らせて相対移動させる布状部材と、を有し、前記布状部材の上縁部は車体に前記カーテンエアバッグの上縁部と共に固定され又は前記カーテンエアバッグの上部に固定されていると共に、当該布状部材の下縁部は当該カーテンエアバッグの下部に固定されており、さらに、当該布状部材の車室内側の側面の摩擦係数は、前記カーテンエアバッグの前記膨張部の車室内側の側面の摩擦係数よりも低く設定されている
請求項1記載の本発明によれば、斜突時又は微小ラップ衝突時になると、インフレータが作動してガスを発生する。このガスはカーテンエアバッグ内へ供給される。これにより、カーテンエアバッグが、天井の車両幅方向外側の端部から車両下方側へ膨張展開される。
ところで、斜突時又は微小ラップ衝突時になると、衝突側のシートに着座していた乗員の頭部は、車両斜め前方外側へ慣性移動する。
ここで、本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置は、カーテンエアバッグと別体で構成された布状部材を備えており、カーテンエアバッグが膨張展開されると、布状部材がカーテンエアバッグの膨張部における車室内側の側面の一部を覆い、かつ、着座乗員の頭部が車両斜め後方側から当接し得る範囲に配置される。このため、乗員の頭部が当接物として車両斜め後方側から布状部材に当接してくると、当該乗員の頭部は布状部材によって車両前方側へ滑らされて当該側面に対して相対移動される。よって、乗員の頭部がカーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面を摺動することで両者間の摩擦力によって当該乗員の頭部が急激に回転することが抑制又は防止される。
また、布状部材の上縁部は車体に前記カーテンエアバッグの上縁部と共に固定され又はカーテンエアバッグの上部に固定されていると共に、当該布状部材の下縁部はカーテンエアバッグの下部に固定されているため、布状部材はカーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面に一体化される。さらに、この布状部材の車室内側の側面の摩擦係数は、カーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面の摩擦係数よりも低く設定されているため、布状部材自体はカーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面に拘束されるものの、布状部材の車室内側の側面はカーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面に対して滑り易くなる。このため、車両斜め後方側から乗員の頭部が布状部材に当接してくると、当該乗員の頭部は布状部材の車室内側の側面上を滑って布状部材に対して車両前方側へ相対移動する。これにより、乗員の頭部の急激な回転が抑制又は防止される。
しかも、布状部材の上縁部を車体にカーテンエアバッグの上縁部と共に固定し又はカーテンエアバッグの上部に固定し、かつ布状部材の下縁部をカーテンエアバッグの下部に固定する構成であるため、布状部材はカーテンエアバッグに予め一体化される。このため、カーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面に対する布状部材の配設位置がずれない。
請求項2記載の本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置は、斜突時又は微小ラップ衝突時に作動してガスを発生させるインフレータと、前記ガスが供給されることにより天井の車両幅方向外側の端部から車両下方側へ膨張展開されるカーテンエアバッグと、前記カーテンエアバッグとは別体で構成され、当該カーテンエアバッグの膨張展開時に当該カーテンエアバッグの膨張部における車室内側の側面の一部を覆い、かつ、着座乗員の頭部が車両斜め後方側から当接し得る範囲に配置され、車両斜め後方側から当接した当接物を当該側面に対して車両前方側へ滑らせて相対移動させる布状部材と、を有し、前記布状部材の上縁部は車体に前記カーテンエアバッグの上縁部と共に固定され又は前記カーテンエアバッグの上部に固定されていると共に、当該布状部材の下縁部は非固定状態とされ、さらに、当該布状部材の車室外側の側面の摩擦係数は、前記カーテンエアバッグの前記膨張部の車室内側の側面の摩擦係数よりも低く設定されており、前記カーテンエアバッグにおける前記膨張部の車両前方側には、膨張展開時に下端部がサイドドアのベルトラインよりも車両下方側に位置される第2膨張部が設けられており、当該第2膨張部の下端部における車室外側の側面の摩擦係数は、前記布状部材の低摩擦化された側面の摩擦係数よりも高く設定されている
請求項2記載の本発明によれば、布状部材の上縁部は車体又はカーテンエアバッグの上部に固定されていると共に、当該布状部材の下縁部は非固定状態とされているため、布状部材はカーテン状に膨張部の車室内側の側面側に位置される。さらに、この布状部材の車室外側の側面の摩擦係数は、カーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面の摩擦係数よりも低く設定されているため、布状部材はカーテンエアバッグの膨張部の車室内側の側面に対して滑り易くなる。このため、車両斜め後方側から乗員の頭部が布状部材に当接してくると、布状部材は下縁部を含む下部側が車両前方側へ引き摺られて移動し、これにより乗員の頭部の急激な回転が抑制又は防止される。
しかも、布状部材の上縁部を車体にカーテンエアバッグの上縁部と共に固定し又はカーテンエアバッグの上部に固定し、かつ布状部材の下縁部を非固定状態とする構成であるため、布状部材の組付が容易である。すなわち、布状部材の上縁部を車体にカーテンエアバッグの上縁部と共に固定する場合は、布状部材とカーテンエアバッグとを別個独立に製作しておき、車体に取付ける際に双方の上縁部を車体に一緒に固定すればよいので、カーテンエアバッグの製造過程で布状部材をカーテンエアバッグの上部に固定する工程が不要になる。一方、布状部材の上縁部をカーテンエアバッグの上部に固定する場合は、布状部材自体を車体に固定する工程が不要になる。
また、斜突時又は微小ラップ衝突時にカーテンエアバッグが膨張展開すると、膨張部の車両前方側に設けられた第2膨張部が膨張展開される。第2膨張部が膨張展開した状態では、下端部がサイドドアのベルトラインよりも車両下方側に位置される。このため、第2膨張部の下端部はサイドドアのベルトラインを構成する部分に車室内側から引っ掛かる。その結果、サイドエアバッグがサイドドアの開口部分からすり抜けることが抑制又は防止され、乗員が車外に放出されることが回避される。
ここで、本発明では、第2膨張部の下端部における車室外側の側面の摩擦係数は、布状部材の低摩擦化された側面の摩擦係数よりも高く設定されている。このため、布状部材は膨張部に対して自ら滑り易いか又は布状部材の車室内側の側面が滑り易くなっているが、第2膨張部の下端部はサイドドアのベルトラインを構成する部分に対して滑り難くなる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置は、斜突時又は微小ラップ衝突時にカーテンエアバッグに当接した乗員の頭部が急激に回転することを抑制又は防止することができるという優れた効果を有する。
また、布状部材による乗員の頭部の回転の抑制又は防止性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置は、生産性を向上させることができるという優れた効果を有する。
また、布状部材による乗員の頭部の滑り効果を維持しつつ、第2膨張部による乗員の車外放出防止効果を良好に維持又は高めることができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置の作動状態を車室内側から見た側面図である。 図1に示されるカーテンエアバッグ及び滑り布の構造を示す図1の2−2線に沿った拡大平断面図である。 斜突時又は微小ラップ衝突時における滑り布と運転席に着座した乗員の頭部との関係を説明するための説明図であり、(A)は乗員の頭部が滑り布に当接するまでの挙動を示す平断面図であり、(B)は乗員の頭部が滑り布と共に車両前方側へ相対移動するまでの挙動を示す平断面図である。 第1実施形態の一つ目の変形例に係り、滑り布を含む要部を拡大して示す拡大側面図である。 第1実施形態の二つ目の変形例に係り、滑り布を含む要部を拡大して示す拡大側面図である。 第2実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置の作動状態を車室内側から見た側面図である。 図6に示されるカーテンエアバッグ及び滑り布の構造を示す図6の7−7線に沿った拡大平断面図である。 斜突時又は微小ラップ衝突時における滑り布と運転席に着座した乗員の頭部との関係を説明するための説明図であり、乗員の頭部が滑り布に当接して滑り布上を滑って車両前方側へ相対移動するまでの挙動を示す平断面図である。 第3実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置の要部であるカーテンエアバッグ及び低摩擦部の構造を拡大して示す図2及び図7に対応する拡大平断面図である。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置10について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
図1には、本実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置10の作動状態が車室内側から見た側面図で示されている。この図に示されるように、自動車用カーテンエアバッグ装置10は、側面衝突時にガスを発生する略円柱形状のインフレータ12と、このインフレータ12と接続されてインフレータ12から発生したガスの供給を受けて膨張展開するカーテンエアバッグ14と、を含んで構成されたエアバッグモジュール16を備えている。
エアバッグモジュール16は、車両搭載前の状態では、カーテンエアバッグ14が折り畳まれて細長い長尺状の部材としてアッセンブリ化されている。そして、この状態のエアバッグモジュール16が、ルーフサイドレール18と成形天井であるルーフヘッドライニング19の車両幅方向外側の端部19Aとの間のスペース、フロントピラー20とその車室内側に配設された図示しないフロントピラーガーニッシュとの間のスペース、及びリヤピラー22とその車室内側に配設された図示しないリヤピラーガーニッシュとの間のスペースに収納されている。
インフレータ12は細長い円柱状に形成されており、センタピラー24の車両上方側に車両前後方向を軸方向として配置されている。また、インフレータ12の先端外周部には、複数のガス噴出孔26が形成されている。さらに、インフレータ12の内部には一例としてガス発生剤等が充填されており、このガス発生剤が燃焼すると大量のガスが発生し、ガス噴出孔26から噴出されるようになっている。上記構成のインフレータ12が、図示しないブラケットを介してルーフサイドレール18に固定されるようになっている。
カーテンエアバッグ14は、車両側面視で、前席(ここでは運転席)のサイドドア30のサイドウインド30Aと後席のサイドドア32のサイドウインド32Aの両方を略覆うことが可能な大きさを有する略長方形の袋状の布状部材として構成されている。より具体的に説明すると、カーテンエアバッグ14は、上記インフレータ12の先端側が挿入されるガス導入部34と、カーテンエアバッグ14の上縁に沿って車両前後方向に直線状に延びるガス供給路36と、前席に着座した乗員(ここではドライバ)の頭部保護エリアに対応して当該頭部の車両幅方向外側に膨張展開される「膨張部」としてのフロントメインチャンバ38と、後席に着座した乗員の頭部保護エリアに対応して当該頭部の車両幅方向外側に膨張展開されるリヤメインチャンバ40と、フロントメインチャンバ38の車両前後方向の前側に隣接して設けられた「第2膨張部」としてのフロントディレイチャンバ42と、リヤメインチャンバ40の車両前後方向の前側に隣接して設けられたリヤディレイチャンバ44と、を備えている。
なお、カーテンエアバッグ14における上記以外の部分は、ガスが流入されない非膨張部とされている。すなわち、カーテンエアバッグ14の外周部には第1非膨張部48が設定されており、フロントメインチャンバ38とフロントディレイチャンバ42との間には車両上下方向に延びる第2非膨張部50が設定されている。さらに、カーテンエアバッグ14には、フロントメインチャンバ38とリヤディレイチャンバ44とガス供給路36とを側面視で略T字状に隔成する第3非膨張部52が設定されている。この他、カーテンエアバッグ14には、ガス供給量を減らして必要にインフレータ12の出力を下げるべく種々の非膨張部が設定されている。
また、カーテンエアバッグ14の上縁部には、適宜間隔で複数のタブ58が一体に形成されている。各タブ58は矩形片状に形成されており、固定ボルト60でルーフサイドレール18等の車体に固定されている。さらに、カーテンエアバッグ14の前端部には、ストラップ状のテンションベルト62の一端部が取り付けられている。テンションベルト62の他端部はフロントピラー20に固定ボルト60で固定されている。
カーテンエアバッグ14のガスが供給される各部について補足すると、ガス導入部34は、カーテンエアバッグ14の上縁の車両前後方向の略中間部に形成されている。このガス導入部34にインフレータ12が接続されることで、インフレータ12から発生したガスが、ガス導入部34を介してカーテンエアバッグ14内へ供給されるようになっている。また、上記ガス導入部34は、ガス供給路36の車両前後方向の中間部に連通されている。
フロントメインチャンバ38は、前席のサイドウインド30の車両前後方向の中間部付近からセンタピラー24とラップする範囲に亘って膨張展開するようになっている。このフロントメインチャンバ38の車両前後方向の前側には、第2非膨張部50を介してフロントディレイチャンバ42が配設されている。フロントディレイチャンバ42は、車両上下方向を長手方向とした円柱状に膨張するように形成されている。このフロントディレイチャンバ42の上端部は、ガス供給路36の前端部と絞り部64を介して相互に連通されている。
一方、リヤメインチャンバ40は、後席のサイドウインド30の後部領域を覆うことが可能な略円柱形状に膨張するように形成されている。このリヤメインチャンバ40の車両前後方向の前側には、側面視で略T字状の第3非膨張部52の後端垂下部52Aを介してリヤディレイチャンバ44が配設されている。リヤディレイチャンバ44の下部は、リヤメインチャンバ40の下部と絞り部66を介して相互に連通されている。
上述したフロントディレイチャンバ42の下端部42Aは、ベルトライン68に対して車両上下方向にラップするように設定されている。同様に、リヤディレイチャンバ44の下端部44Aは、ベルトライン70に対して車両上下方向にラップするように設定されている。
また、図1に示されるように、上述した自動車用カーテンエアバッグ装置10は、コントローラ90によってその作動が制御されている。コントローラ90の入力側には、一例として、フロントエアバッグセンサ92、微小ラップ衝突検知センサ94、側面衝突検知センサ96及びロールオーバー検知センサ98が接続されている。フロントエアバッグセンサ92はフロントサイドメンバ等に配設されており、主としてフルラップ衝突及び斜突を含むオフセット衝突を検知している。また、微小ラップ衝突検知センサ94は、例えばフロントバンパリインフォースメントにおけるフロントサイドメンバとの接続部位よりも車両幅方向外側の部分(湾曲形状のコーナー部等)に配設されている。さらに、側面衝突検知センサ96はセンタピラー24等に配設されており、主として側面衝突を検知している。また、ロールオーバー検知センサ98は車体フロアの中央部付近に配設されており、車両の横転を検知している。一方、コントローラ90の出力側には、自動車用カーテンエアバッグ装置10のインフレータ12(の図示しないスクイブ)等が接続されている。
補足すると、斜突(MDB斜突、オブリーク衝突)とは、例えばNHSTAにて規定される斜め前方からの衝突(一例として、衝突相手方との相対角15°、車幅方向のラップ量35%程度の衝突)とされる。この実施形態では、一例として相対速度90km/hrでの斜突が想定されている。また、微小ラップ衝突とは、自動車Vの前面衝突のうち、例えばIIHSにて規定される衝突相手方との車幅方向のラップ量が25%以下の衝突とされる。例えば車体骨格であるフロントサイドメンバに対する車幅方向外側への衝突が微小ラップ衝突に該当する。この実施形態では、一例として相対速度64km/hrでの微小ラップ衝突が想定されている。なお、IIHSとは、米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety)の略称であり、NHSTAとは、米国の国家道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)の略称である。
上述した構成のカーテンエアバッグ14は、袋織りによって構成されている。そのため、図2に示されるように、カーテンエアバッグ14の内部に供給されたガスが洩れるのを防止するためのコーティングがカーテンエアバッグ14の基布14Aの外表面に施されている。以下、この層を「コーティング層100」と称す。
ここで、図1及び図2に示されるように、上述したカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38における車室内側の側面38A(図2参照)側には、カーテンエアバッグ14とは別体として構成された布状部材としての滑り布102が配置されている。滑り布102が設けられる範囲は、斜突時又は微小ラップ衝突時に、膨張展開したカーテンエアバッグ14におけるフロントメインチャンバ38に運転席に着座する乗員の頭部(当接物)P(図3(A)、(B)参照)が車両斜め後方側から当接し得る範囲とされている。
構造的には、滑り布102は、略矩形状に裁断された布本体部104と、この布本体部104の車室外側の側面に塗布等により施された低摩擦部106と、によって構成されている。布本体部104は、一例としてカーテンエアバッグ14の基布14Aの外表面に設けられたコーティング層100よりも摩擦係数が高い布材が使用されている。また、低摩擦部106は、基布14Aよりも摩擦係数が低い低摩擦剤を塗布すること等によって設けられている。低摩擦剤としては、例えば滑石の粉末(タルク)等を用いることができる。なお、コーティング層100の摩擦係数は基布14Aの摩擦係数よりも高いため、低摩擦部106の摩擦係数は当然にコーティング層100の摩擦係数よりも低いものとなっている。これにより、滑り布102の車室外側の側面(低摩擦部106の車室外側の側面106A)の摩擦係数は、カーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面(コーティング層100の車室内側の側面100A)の摩擦係数よりも低く設定されている。
さらに、フロントディレイチャンバ42の下端部42Aにおける車室外側の側面42A1(図1参照)の摩擦係数は、滑り布102の低摩擦化された側面(低摩擦部106の車室外側の側面106A)の摩擦係数よりも高く設定されている。この場合、コーティング層100の摩擦係数は低摩擦部106の車室外側の側面106Aの摩擦係数よりも既に高いため、フロントディレイチャンバ42の下端部42Aにおける車室外側の側面42A1のコーティング層100をそのまま利用してもよいし、当該コーティング層100の外表面に更に摩擦係数が高い材料を用いて上塗りしてもよい。
上述した滑り布102の上縁部102Aには、前後一対の取付片108が一体に形成されている。取付片108はカーテンエアバッグ14のタブ58と同一の台形状に形成されており、タブ58と重なる位置に設けられている。滑り布102はカーテンエアバッグ14に重ねられてカーテンエアバッグ14と一緒に折り畳まれることにより、エアバッグモジュール16に一体化されている。滑り布102がエアバッグモジュール16に一体化された状態では、前後一対の取付片108がカーテンエアバッグ14の運転席側の前後一対のタブ58に車室内側から重ねられており、取付片108とタブ58とが固定ボルト60によって共締めされている。これにより、滑り布102は、その上縁部のみがルーフサイドレール18に固定されている。従って、滑り布102の下縁部102Bは非固定状態とされている。
なお、上記構成では、布本体部104と低摩擦部106とによって構成された滑り布102について説明したが、これに限らず、種々の構成を採用することが可能である。例えば、布状部材として、車両に搭載される種々のエアバッグ装置のエアバッグを製作する際に生じる端切れを略矩形状に裁断したものを利用してもよい。コーティング層100を設ける前のノンコート状態の基布であれば、カーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38のコーティング層100よりも摩擦係数が低いため、そのまま利用することができる。また、例えば、布状部材としてフッ素繊維を含んだ低摩擦布を用いてもよい。このような低摩擦布の例としては、例えば東レ株式会社製のトヨフロン(登録商標)等を挙げることができる。
(本実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
斜突時又は微小ラップ衝突時になると、フロントエアバッグセンサ92又は微小ラップ衝突検知センサ94によって斜突したこと又は微小ラップ衝突したことが検知され、その検知信号がコントローラ90に出力される。コントローラ90によって斜突又は微小ラップ衝突したと判定されると、運転席用エアバッグ装置及び助手席用エアバッグ装置が作動される他、本実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置10も作動される。以下の説明においては、自動車用カーテンエアバッグ装置10と運転席に着座した乗員との関係を中心に説明することにする。
コントローラ90によってインフレータ12のスクイブに通電されると、インフレータ12が作動して大量のガスが発生する。発生したガスは、ガス導入部34からカーテンエアバッグ14内に導入される。これにより、カーテンエアバッグ14が、ルーフヘッドライニング19の車両幅方向外側の端部19Aから車両下方側へ膨張展開される。具体的には、インフレータ12から発生したガスは、ガス導入部34からカーテンエアバッグ14内に導入され、ガス供給路36に沿って車両前後方向に供給される。その結果、フロントメインチャンバ38及びリヤメインチャンバ40が最初に膨張展開される。続いて、ガス供給路36から絞り部64を介してフロントディレイチャンバ42内へガスが供給される。このため、フロントディレイチャンバ42がフロントメインチャンバ38に遅れて膨張展開される。同様に、リヤメインチャンバ40から絞り部66を介してリヤディレイチャンバ44内へガスが供給される。このため、リヤディレイチャンバ44がリヤメインチャンバ40に遅れて膨張展開される。
ところで、図3(A)に示されるように、斜突時又は微小ラップ衝突時になると、衝突側のシート(ここでは運転席)に着座していた乗員の頭部P(二点鎖線図示位置にある頭部P参照)は、車両斜め前方外側(同図の矢印X方向)へ慣性移動する。なお、慣性移動後の乗員の頭部Pを同図に実線で示す。また、図3(A)及び図3(B)にフロントディレイチャンバ42に隣接(当接)して二点鎖線で図示されているのは、運転席用エアバッグ110である。
ここで、本実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置10は、カーテンエアバッグ14と別体で構成された滑り布102を備えている。そして、カーテンエアバッグ14がサイドウインド30に沿って車両下方側へ膨張展開されると、滑り布102がカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38における車室内側の側面38A(図2参照)側に位置される。このため、図3(B)に示されるように、乗員の頭部Pが当接物として車両斜め後方側から滑り布102に当接してくると、当該乗員の頭部Pは滑り布102によって滑り布102と共に車両前方側へ滑らされて当該側面38Aに対して相対移動される。すなわち、乗員の頭部Pは、同図の二点鎖線図示位置から実線図示位置へ当該側面38A上(正確にはコーティング層100の車室内側の側面100A上)を滑って相対移動する。よって、乗員の頭部Pがカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aを摺動することで両者間の摩擦力によって当該乗員の頭部Pが(略車両上下方向の軸回りに)急激に回転することが抑制又は防止される。
以上より、本実施形態に係る自動車用カーテンエアバッグ装置10は、斜突時又は微小ラップ衝突時にカーテンエアバッグ14に当接した乗員の頭部Pが急激に回転することを抑制又は防止することができる。
また、本実施形態では、滑り布102の上縁部102Aはルーフサイドレール18に固定されていると共に、当該滑り布102の下縁部102Bは非固定状態とされているため、滑り布102はカーテン状にフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38A側に位置される。さらに、この滑り布102の車室外側の側面(即ち、低摩擦部106の車室外側の側面106A)の摩擦係数は、カーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38A(正確にはコーティング層100の車室内側の側面100A)の摩擦係数よりも低く設定されているため、滑り布102はカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aに対して滑り易くなる。このため、車両斜め後方側から乗員の頭部Pが滑り布102に当接してくると、滑り布102は下縁部102Bを含む下部側が車両前方側へ引き摺られて移動し、これにより乗員の頭部Pの急激な回転が抑制又は防止される。
しかも、滑り布102の上縁部102Aをルーフサイドレール18にカーテンエアバッグ14の上縁部と共に固定しかつ滑り布102の下縁部102Bを非固定状態とする構成であるため、滑り布102の組付が容易である。すなわち、滑り布102の上縁部102Aをルーフサイドレール18にカーテンエアバッグ14の上縁部と共に固定する場合は、滑り布102とカーテンエアバッグ14とを別個独立に製作しておき、ルーフサイドレール18に取付ける際に双方の上縁部をルーフサイドレール18に一緒に固定すればよいので、カーテンエアバッグ14の製造過程で滑り布102をカーテンエアバッグ14の上部に固定する工程が不要になる。その結果、自動車用カーテンエアバッグ装置10の生産性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、斜突時又は微小ラップ衝突時にカーテンエアバッグ14が膨張展開すると、フロントメインチャンバ38の車両前方側に設けられたフロントディレイチャンバ42が膨張展開される。このフロントディレイチャンバ42が膨張展開した状態では、下端部42Aがフロントサイドドアのベルトライン68よりも車両下方側に位置される。このため、フロントディレイチャンバ42の下端部42Aはフロントサイドドアのベルトライン68を構成する部分に車室内側から引っ掛かる。その結果、カーテンエアバッグ14がフロントサイドドアの開口部分からすり抜けることが抑制又は防止され、乗員が車外に放出されることが回避される。
ここで、本実施形態では、フロントディレイチャンバ42の下端部42Aにおける車室外側の側面42A1の摩擦係数は、滑り布102の低摩擦化された側面(低摩擦部106の車室外側の側面106A)の摩擦係数よりも高く設定されている。このため、滑り布102の車室外側の側面(低摩擦部106の車室外側の側面106A)はフロントメインチャンバ38に対して滑り易くなっているが、フロントディレイチャンバ42の下端部42Aはサイドドア30のベルトライン68を構成する部分に対して滑り難くなる。その結果、本実施形態によれば、滑り布102による乗員の頭部Pの滑り効果を維持しつつ、フロントディレイチャンバ42による乗員の車外放出防止効果を良好に維持又は高めることができる。
なお、上述した構成では、滑り布102の上縁部102Aを前後一対の取付片108によって車体(ルーフサイドレール18)に固定する構成を採ったが、これに限らず、布状部材の上縁部をカーテンエアバッグの上部に固定してもよい。この場合の「固定」には、縫製、接着等が含まれる。一例を説明すると、図4に示されるように、滑り布120は略矩形状に裁断されており、前述した取付片108は設けられていない。この滑り布120の上縁部120Aは、カーテンエアバッグ14の運転席側の上縁部に縫製によって固定されている。より具体的には、滑り布120の上縁部120Aはカーテンエアバッグ14の第1非膨張部48の縫製に際してカーテンエアバッグ14に縫製されている。なお、滑り布120の下縁部120Bは非固定状態とされている。
上記構成によっても、前述した図1に示される滑り布102と同様の作用・効果が得られる。補足すると、滑り布120の上縁部120Aをカーテンエアバッグ14の運転席側の上縁部に固定する構成を採った場合、滑り布120自体を車体(ルーフサイドレール18)に固定する工程が不要になるため、自動車用カーテンエアバッグ装置10の生産性を向上させることができるメリットは、滑り布102を用いた場合と同様に得られる。
なお、滑り布120の上縁部120Aを第1非膨張部48の縫製ライン上に一緒に縫製してもよいし、第1非膨張部48よりも車両下方側に個別に接着等によって固定するようにしてもよい。
また、上述した構成では、滑り布102の下縁部102Bについては非固定状態としたが、これに限らず、布状部材の下縁部を固定部材を介してサイドエアバッグの下縁部等の下部に固定してもよい。一例を説明すると、図5に示されるように、滑り布102の下縁部102Bの複数個所(ここでは、前後二箇所)には、帯状のストラップ124がそれぞれ配設されている。各ストラップ124の上端部は滑り布102の下縁部102Bに縫製等によって固定されている。また、各ストラップ124の下端部はカーテンエアバッグ14の下縁部に縫製等によって固定されている。さらに、ストラップ124はその長手方向に伸縮可能とされたゴム材料によって構成されている。なお、ストラップ124の長手方向の途中部分がゴム材料によって構成される構成であってもよい。
上記構成によれば、滑り布102の下縁部102Bが前後一対のストラップ124によってカーテンエアバッグ14の下縁部に固定されているため、カーテンエアバッグ14が格納位置から車両下方側へ膨張展開する際に、滑り布102が確実に平面状に展開されるという長所がある。斜突時又は微小ラップ時に乗員の頭部Pが滑り布102に当接すると、滑り布102は前後一対のストラップ124を伸長させながら乗員の頭部Pと共に車両前方側へ相対移動していく。従って、この構成によっても、前述した図1に示される滑り布102と同様の作用・効果が得られる。
なお、上記構成において、ストラップに伸縮性を持たせない場合は、滑り布が乗員の頭部Pと共に車両前方側へ殆ど相対移動しないため、この場合には滑り布側の構成を変更する必要がある。例えば、滑り布を前述した低摩擦布で構成する等して、滑り布の車室内側の側面上を乗員の頭部Pが車両前方側へ滑っていくようにすればよい。また、この場合の滑り布は、後述する第2実施形態に属する実施の形態となる。
〔第2実施形態〕
次に、図6〜図8を用いて、本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図6には、第2実施形態で用いるカーテンエアバッグ14が単体で示されている。この図に示されるように、カーテンエアバッグ14におけるフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38A(図7参照)には、滑り布130が取り付けられている。滑り布130は略矩形状に裁断されており、この例では、カーテンエアバッグ14の基布14Aと同じ材質の布材で構成されている。従って、図7に示されるように、滑り布130の車室内側の側面130Aの摩擦係数は、カーテンエアバッグ14のコーティング層100の車室内側の側面100Aの摩擦係数よりも低くなっている。
また、滑り布130はその上縁部130B及び下縁部130Cのみをカーテンエアバッグ14に縫製等により固定してもよいし、上縁部130B、下縁部130Cに加えて後縁部130Dを縫製等により固定してもよい。また、上縁部130B、下縁部130C、後縁部130D及び前縁部130Eの四周すべてを縫製等によってカーテンエアバッグ14に固定してもよい。また、固定手段は、縫製に限らず、接着剤を使ってカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aに貼り付けてもよい。また、滑り布130の上縁部130Bについては、前述した第1実施形態と同様に、ルーフサイドレール18(車体)側に固定する構成を採ってもよい。
(本実施形態の作用・効果)
上記構成によれば、滑り布130の上縁部130Bはカーテンエアバッグ14の上部に固定されていると共に、当該滑り布130の下縁部130Cはカーテンエアバッグ14の下部に固定されているため、滑り布130はカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aに一体化される。さらに、この滑り布130の車室内側の側面130Aの摩擦係数は、カーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aの摩擦係数よりも低く設定されているため、滑り布130自体はカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aに拘束されるものの、滑り布130の車室内側の側面130Aはカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aに対して滑り易くなる。このため、図8に示されるように、車両斜め後方側から一点鎖線で図示する乗員の頭部Pが滑り布130に当接してくると、当該乗員の頭部Pは滑り布130の車室内側の側面130A上を二点鎖線図示位置から実線図示位置に向かって滑って滑り布130に対して車両前方側へ相対移動する。これにより、乗員の頭部Pの急激な回転が抑制又は防止される。
しかも、滑り布130の上縁部130Bをカーテンエアバッグ14の上部に固定し、かつ滑り布130の下縁部130Cをカーテンエアバッグ14の下部に固定する構成であるため、滑り布130はカーテンエアバッグ14に予め一体化される。このため、カーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aに対する滑り布130の配設位置がずれない。その結果、本実施形態によれば、滑り布130による乗員の頭部Pの回転の抑制又は防止性能を向上させることができる。
〔第3実施形態〕
次に、図9を用いて、本発明に係る自動車用カーテンエアバッグ装置の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図9には、第3実施形態で用いるカーテンエアバッグ140の要部の平断面図(図2及び図7に対応する拡大断面図)が示されている。この図に示されるように、この第3実施形態では、カーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38の車室内側の側面38Aの所定範囲にコーティングが施されている。以下、このコーティングされた部分を「低摩擦部142」と称す。低摩擦部142は、前述した第2実施形態において滑り布130が設けられた範囲に設定されている。
カーテンエアバッグ140の外表面にはカーテンエアバッグ140の基布140Aよりも摩擦係数が高いコーティング層100が施されているが、低摩擦部142の摩擦係数はコーティング層100(のみならず基布140A)の摩擦係数よりも更に低く設定されている。このような低摩擦部142は、前述した第1実施形態で説明したように、低摩擦剤を塗布すること等によって設けられている。低摩擦剤としては、例えば滑石の粉末(タルク)等を用いることができる。
(本実施形態の作用・効果)
上記構成によれば、斜突時又は微小ラップ衝突時に、カーテンエアバッグ14が車両下方側へ膨張展開されると、低摩擦部142がカーテンエアバッグ14のフロントメインチャンバ38における車室内側の側面38A上に位置される。従って、乗員の頭部Pが当接物として車両斜め後方側から低摩擦部142の車室内側の側面142Aに当接してくると、当該乗員の頭部Pは低摩擦部142上の車室内側の側面142Aを車両前方側へ滑らされて当該カーテンエアバッグ14に対して相対移動される。よって、乗員の頭部Pがカーテンエアバッグ14の低摩擦部142の車室内側の側面142A上を摺動することで両者間の摩擦力によって当該乗員の頭部Pが急激に回転することが抑制又は防止される。その結果、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、斜突時又は微小ラップ衝突時にカーテンエアバッグに当接した乗員の頭部が急激に回転することを抑制又は防止することができる。
〔上記実施形態の補足説明〕
上述した各実施形態では、微小ラップ衝突状態を検知するための専用の微小ラップ衝突検知センサ94を車体前部に設けたが、必ずしも専用の微小ラップ衝突検知センサを車体前部に設ける必要はなく、車両に搭載された一又は複数の既存の衝突検知センサの検知信号に基づいてコントローラで微小ラップ衝突を判定するようにしてもよい。
上述した各実施形態では、フロントメインチャンバ38の車室内側の側面38A側に滑り布102、120、130を設けたり、低摩擦部142を設ける構成を採ったが、これに限らず、リヤメインチャンバ40の車室内側の側面側にこれらの滑り布や低摩擦部を設けるようにしてもよい。
上述した各実施形態では、カーテンエアバッグ14が袋織りされて外表面にコーティング層100を設けたが、これに限らず、一枚の基布の片面にコーティング層を施し、当該コート布をコーティング層が内側になるように中心線で折り返して外周部等を縫製することによりカーテンエアバッグを構成する構成を採ってもよい。この場合、カーテンエアバッグの外表面の方が内表面よりも摩擦係数が低くなっているため、基布よりも摩擦係数が低いか同一の滑り布を使用するか、基布よりも摩擦係数が低い低摩擦部をカーテンエアバッグの車室内側の側面に設けるかを選択すればよい。
10 自動車用カーテンエアバッグ装置
12 インフレータ
14 カーテンエアバッグ
18 ルーフサイドレール(車体)
19 ルーフヘッドライニング(天井)
19A 車両幅方向外側の端部
30 サイドドア
38 フロントメインチャンバ(膨張部)
38A 車室内側の側面
42 フロントディレイチャンバ(第2膨張部)
42A 下端部
60 固定ボルト
68 ベルトライン
100 コーティング層
102 滑り布(布状部材)
102A 上縁部
102B 下縁部
106 低摩擦部
120 滑り布(布状部材)
120A 上縁部
120B 下縁部
130 滑り布(布状部材)
130B 上縁部
130C 下縁部
140 カーテンエアバッグ
142 低摩擦部
P 乗員の頭部(当接物)

Claims (2)

  1. 斜突時又は微小ラップ衝突時に作動してガスを発生させるインフレータと、
    前記ガスが供給されることにより天井の車両幅方向外側の端部から車両下方側へ膨張展開されるカーテンエアバッグと、
    前記カーテンエアバッグとは別体で構成され、当該カーテンエアバッグの膨張展開時に当該カーテンエアバッグの膨張部における車室内側の側面の一部を覆い、かつ、着座乗員の頭部が車両斜め後方側から当接し得る範囲に配置され、車両斜め後方側から当接した当接物を当該側面に対して車両前方側へ滑らせて相対移動させる布状部材と、を有し、
    前記布状部材の上縁部は車体に前記カーテンエアバッグの上縁部と共に固定され又は前記カーテンエアバッグの上部に固定されていると共に、当該布状部材の下縁部は当該カーテンエアバッグの下部に固定されており、
    さらに、当該布状部材の車室内側の側面の摩擦係数は、前記カーテンエアバッグの前記膨張部の車室内側の側面の摩擦係数よりも低く設定されている、
    自動車用カーテンエアバッグ装置。
  2. 斜突時又は微小ラップ衝突時に作動してガスを発生させるインフレータと、
    前記ガスが供給されることにより天井の車両幅方向外側の端部から車両下方側へ膨張展開されるカーテンエアバッグと、
    前記カーテンエアバッグとは別体で構成され、当該カーテンエアバッグの膨張展開時に当該カーテンエアバッグの膨張部における車室内側の側面の一部を覆い、かつ、着座乗員の頭部が車両斜め後方側から当接し得る範囲に配置され、車両斜め後方側から当接した当接物を当該側面に対して車両前方側へ滑らせて相対移動させる布状部材と、を有し、
    前記布状部材の上縁部は車体に前記カーテンエアバッグの上縁部と共に固定され又は前記カーテンエアバッグの上部に固定されていると共に、当該布状部材の下縁部は非固定状態とされ、
    さらに、当該布状部材の車室外側の側面の摩擦係数は、前記カーテンエアバッグの前記膨張部の車室内側の側面の摩擦係数よりも低く設定されており、
    前記カーテンエアバッグにおける前記膨張部の車両前方側には、膨張展開時に下端部がサイドドアのベルトラインよりも車両下方側に位置される第2膨張部が設けられており、
    当該第2膨張部の下端部における車室外側の側面の摩擦係数は、前記布状部材の低摩擦化された側面の摩擦係数よりも高く設定されている、
    自動車用カーテンエアバッグ装置。
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