JP7165015B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
このようなエアバッグ装置として、乗員の前側から後ろ向きに展開するフロントエアバッグがある。このフロントエアバッグは、例えば、車両が前方から衝突する場合に展開され、前方衝突の際に前に移動しようとする乗員を受け止めて支え、保護するものである。
また、膨張時の展開形状を規制する車載用エアバッグも提案されている。この車載用エアバッグでは、乗員側布とインフレータ側布とを、インフレータガスの熱で溶解する熱溶解接着剤樹脂によって十文字状に接着させている。これにより、エアバッグ展開時には、最初に被接着部が膨張し、その後、接着部が剥離し、膨張するようになっている。なお、上記接着部が剥離する際に膨張のエネルギーの一部が消費されることとなる(特許文献2参照)。
例えば、上記のように、衝突形態に応じて複雑な乗員挙動が発生するため、エアバッグが最も衝突エネルギーを吸収できる部分から、乗員が逸れて接触してしまい、十分な乗員保護を行うことができないという虞がある 。
また、乗員を十分に拘束するため、エアバッグの所定部位(接着面)を被接着面に接着させようとした場合、エアバッグの接着部が凸面となってしまい、接触面が小さく、しっかりと被接着面と接着させることができないという問題がある。なお、上記従来の膨張時の展開形状を規制するものでは、エアバッグの接着面を十分に凹面とすることができないとともに、膨張エネルギーが無用に消費されてしまい、インフレータのガスを有効に活用することができないという問題もある。
図1は、本発明の実施の形態における乗員保護装置を備えた車両の概略を示す断面図である。また、図2は、本実施の形態の乗員保護装置が作動し、エアバッグ袋体が展開した際の図である。なお、図2(a)は、エアバッグ袋体が展開した際の上面図であり、図2(b)は、エアバッグ袋体が展開した際の正面図である。
図1に示すように、車両1の床面2(アンダーボディのフロアパネルが設けられた部分)には、座席シート10が配備されている。また、床面2の車幅方向外側(車外側)には、車体内側壁を構成する左右のセンターピラーが対向して配備され、センターピラーの上端はルーフサイドレール4に、下端はサイドシル5に一体結合されている。センターピラーの前方には、フロントドア6が配備され、フロントドア6の上部には、フロントドアウィンドウ7が設けられている。また、ルーフサイドレール4の上部には、ルーフ8がほぼ水平に設けられている。
なお、以下では、右の座席シート10(図1において左側)に設けられた乗員保護装置30を例に説明する。
乗員保護装置30は、車両1の衝突検知および衝突予測を行う衝突検知装置による検知信号に基づいて、エアバッグ展開制御ユニット(ACU)や、車両制御装置(ECU)等によって制御されるものである。
また、乗員保護装置30は、インフレータ50と、エアバッグ袋体100と、を備えている。
インフレータ50は、衝突検知装置による車両1の衝突検知または衝突予測に基づく作動信号により、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、インフレータ50に発生されたガスは、エアバッグ袋体100に圧入される。
なお、インフレータ50は、後述する第1インフレータ51aと、第2インフレータ51bと、を有している。また、インフレータを複数有さず、1つのインフレータで出力するガスを複数に分配する構成としてもよい。
エアバッグ袋体100は、インフレータ50によってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、エアバッグ袋体100は、作動時には、折り畳まれた状態からインフレータ50によりガスが導入され、乗員Pの着座位置の周りを取り囲むように展開される。例えば、エアバッグ袋体100は、展開時に乗員P側となる生地が短く、乗員Pから離れた側の生地が長くなっていることにより、乗員Pを取り囲むように展開する。
さらに、エアバッグ袋体100は、乗員Pに面する側の乗員側基布面と、乗員側基布面と略対向する非乗員側基布面と、乗員側基布面と非乗員側基布面それぞれにおいてガスが圧入される側の基端部側と、生地の先端側となる先端部側と、を有し、乗員側基布面の基端部側と先端部側を、エアバッグ袋体100の外側において、一部同士を、長さを調節したテザーで縫着することにより、乗員Pを取り囲むように展開させることができる。
また、エアバッグ袋体100は、内部において、乗員側基布面と非乗員側基布面との間に幅規制用のテザーを設ける。そして、エアバッグ袋体100は、乗員側基布面の基端部側と、非乗員側基布面の先端部側と、をテザーで縫着する構成Aとともに、構成Aよりも先端部側において、構成Aと同様に、乗員側基布面の基端部側と、非乗員側基布面の先端部側と、をテザーで縫着する構成Bと、を有する。さらにテザーは、テザーを縫着しない場合のエアバッグ袋体100の展開形態時の、非乗員側基布面の、テザーの基端部側縫着部と対向する基点から、テザーの先端部側縫着部までの長さよりも短くする。これにより、エアバッグ袋体100は、乗員Pを取り囲むように展開させることができる。
その場合、乗員側基布面の長さは、非乗員側基布面よりも短くしても良い。また、構成Aのみで屈曲しても良く、構成A、Bを更に増やすことで、多段的に屈曲しても良い。
なお、エアバッグ袋体100は、後述する第1エアバッグ袋体101と、第2エアバッグ袋体102と、を有している。
第1収納ケース41は、車両1の進行方向で座席シート10の左側(図1中では乗員Pの右側)に設けられ、第2収納ケース42は、車両1の進行方向で座席シート10の右側(図1中では乗員Pの左側)に設けられている。第1収納ケース41には、第1インフレータ51aおよび第1エアバッグ袋体101が収納されている。また、第2収納ケース42には、第2インフレータ51bおよび第2エアバッグ袋体102が収納されている。
第1インフレータ51aは、衝突検知装置による検知に基づく作動信号により、ガスを発生させるものであり、発生させたガスを、第1エアバッグ袋体101に供給し、第1エアバッグ袋体101を膨張展開させるものである。
第2インフレータ51bは、第1インフレータ51aと同様に、衝突検知装置による検知に基づく作動信号により、ガスを発生させるものであり、発生させたガスを、第2エアバッグ袋体102に供給し、第2エアバッグ袋体102を膨張展開させるものである。
第1エアバッグ袋体101は、第1インフレータ51aによってガスが圧入され、膨張展開される袋体であって、一端(固定側)が、第1収納ケース41に支持され、作動時には他端(展開側)が乗員Pの着座位置の周りを取り囲むように展開される。
また、第1エアバッグ袋体101は、展開側の先端部の面に、接着剤塗布領域101aが設けられ、接着剤が塗布されている。すなわち、第1エアバッグ袋体101は、接着剤が所定部位に塗布されており、展開時に被接着位置に接着されるようになっている。
この接着剤は、常温では接着力がなく、あるいは、接着力が弱く、高温になると、より高い接着力を発揮するものとなっている。
第2エアバッグ袋体102は、第2インフレータ51bによってガスが圧入され、膨張展開される袋体であって、一端(固定側)が、第2収納ケース42に支持され、作動時には他端(展開側)が乗員Pの着座位置の周りを取り囲むように展開される。
また、第2エアバッグ袋体102は、展開側の先端部の面に、接着剤塗布領域102aが設けられ、接着剤が塗布されている。すなわち、第2エアバッグ袋体102も、第1エアバッグ袋体101と同様に、接着剤が所定部位に塗布されており、展開時に被接着位置に接着されるようになっている。
また、第1エアバッグ袋体101に塗布した接着剤と、第2エアバッグ袋体102に塗布した接着剤と、を別の特性のものとしてもよい。例えば、第1エアバッグ袋体101に塗布する接着剤は、より高温で接着力を発揮するものとし、第2エアバッグ袋体102に塗布する接着剤は、第1エアバッグ袋体101に塗布する接着剤よりも低温で接着力を発揮するものとしてもよい。
ここで、エアバッグ袋体の先端部の形状について、説明する。
図4は、第1エアバッグ袋体101の先端部の形状を示す図である。なお、第2エアバッグ袋体102の先端部の形状については、第1エアバッグ袋体101の先端部の形状と同様であるので、説明を省略する。
また、第1エアバッグ袋体101の先端部は、全面が接着剤塗布領域101aとなっている。なお、この接着剤塗布領域101aは、円形縫製211の近傍のみであってもよく、また、円形縫製211が施された内側のみ等であってもよい。
また、第2エアバッグ袋体102の先端部も、同様の構成なので、第2エアバッグ袋体102の先端部においても、凹部を形成させることができる。
このような乗員保護装置30において、衝突検知装置が車両1の衝突検知または衝突予測を行うと、まず、第2インフレータ51bに対して作動信号を送信し、第2インフレータ51bを作動させ、次に、第1インフレータ51aに対して作動信号を送信し、第1インフレータ51aを作動させる。
第2エアバッグ袋体102は、第2インフレータ51bからガスが供給されると、膨張展開し、第2収納ケース42から飛び出す。第2収納ケース42から飛び出した第2エアバッグ袋体102は、乗員Pを右側から取り囲むように展開し、乗員Pの正面まで拡がる。
第1エアバッグ袋体101は、第1インフレータ51aからガスが供給されると、膨張展開し、第1収納ケース41から飛び出す。第1収納ケース41から飛び出した第1エアバッグ袋体101は、乗員Pを左側から取り囲むように展開し、乗員Pの正面まで拡がる。
同様に、第2エアバッグ袋体102の先端部でも、円形縫製の周辺が凹部となっているので、第2エアバッグ袋体102の先端部と、第1エアバッグ袋体101とが、確実に接着することができる。
また、第1エアバッグ袋体101と第2エアバッグ袋体102との接着面が凹部となるので、接触面が大きくなり、接着ミスを防止し、乗員Pをより確実に拘束し、保護機能を高めることができる。
また、上記実施の形態における乗員保護装置30においては、乗員Pの左右に第1エアバッグ袋体101および第2エアバッグ袋体102を設ける構成としたが、これに限らず、エアバッグ袋体を、一方向のみに設ける構成としてもよい。
具体的には、図5に示すように、座席シート10の左側(図5中では乗員Pの右側)にのみ乗員保護装置31を設け、ここに、インフレータと、エアバッグ袋体110と、を備える。
エアバッグ袋体110は、非作動時には小さく折り畳まれており、先端部に、接着剤塗布領域が設けられ、接着剤が塗布されている。なお、エアバッグ袋体110の先端部は、上記実施の形態の第1エアバッグ袋体101の先端と同様となっている。そして、エアバッグ袋体110は、インフレータによりガスが供給されると、乗員Pの着座位置の周りを取り囲むように展開され、接着剤がインフレータのガスの熱で溶解し、接着剤塗布領域がフロントドア6に接着する。このとき、エアバッグ袋体110の先端部に凹部が形成されるので、フロントドア6に確実に接着することができる。
次に、テザーによりエアバッグ袋体の先端部に凹面を形成させる場合について、説明する。
図6は、エアバッグ袋体120の先端部の形状を示す図である。
ここで、テザー240a~240cは、エアバッグ袋体120の先端部よりも、やや後端(インフレータ)よりの方が望ましい。これにより、エアバッグ袋体120の先端の中心部と、展開方向と逆側の部位となる外周とを、結ぶこととなり、エアバッグ袋体120の先端の中心部付近(所定部位)を、後述するように凹面とし易くなる。
このため、乗員保護装置の作動時には、エアバッグ袋体120の先端部に凹部が形成されるので、接着精度が向上し、乗員拘束をより確実に行うことできる。
Claims (4)
- 所定の作動信号によりガスを発生させるインフレータと、
折り畳まれた状態から前記インフレータによりガスが導入されることにより展開するエアバッグ袋体と、
を備え、
前記エアバッグ袋体は、一端側からガスが導入されて乗員の着座位置の周りを取り囲むように展開し、展開時に他端側における先端面の所定部位が凹面となるように形成され、少なくとも前記凹面に接着剤が塗布され、前記凹面が展開時に所定の被接着位置に接着されることにより、乗員を拘束する、
ことを特徴とする車両の乗員保護装置。 - 前記エアバッグ袋体は、前記所定部位および周囲の縫製により、前記展開時に前記所定部位が凹面となるようにした、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記エアバッグ袋体は、前記所定部位の内部と、展開方向と逆側の部位とを、テザーで結ぶことにより、前記展開時に前記所定部位が凹面となるようにした、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記エアバッグ袋体は、一端側からガスが導入され乗員の着座位置の周りを取り囲むように展開する第1エアバッグ袋体及び第2エアバッグ袋体を有し、
前記第1エアバッグ袋体の他端側の先端面の凹面と、前記第2エアバッグ袋体の他端側の先端面の凹面とが前記接着剤により互いに接着されて乗員を拘束する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗員保護装置。
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