JP6294244B2 - 表面処理ガラス繊維フィルム - Google Patents
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Description
なお、本発明に関する従来技術としては、例えば、下記の特許文献1〜4に記載されているものが挙げられる。
表面を処理されたガラス繊維フィルムであって、
前記表面処理ガラス繊維フィルムがケイ素含有化合物によって表面処理されたものであり、JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍である表面処理ガラス繊維フィルムを提供する。
さらに、本発明の表面処理ガラス繊維フィルムは、ガラス繊維の一部又は全部が結束されているため、積層基板用の材料として用いた場合、よじれや目開きを生じることもなく、したがって得られる積層基板の均一性に優れ、高温時の応力集中がないため、高温下でも寸法安定性に優れた積層基板を提供できる。
本発明は、表面を処理されたガラス繊維フィルムであって、
前記表面処理ガラス繊維フィルムがケイ素含有化合物によって表面処理されたものであり、JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラス繊維フィルム(以下、ガラスクロス)の慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍である表面処理ガラス繊維フィルムである。
また、不織布や長繊維を一定方向に配列させた織物も使用可能である。
尚、一般的な高耐熱エンプラフィルムであるポリエーテルイミドフィルムの線膨張係数は、50ppm/℃程度である。これに対して、本発明の表面処理ガラス繊維フィルムが上述の線膨張係数であれば、優れた耐熱性とともに、低線膨張係数を兼ね備えたフィルムを提供することができる。
これら縮合触媒の中では、有機チタン化合物が特に好ましい。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−13、信越化学工業製)を用いて、ガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m2)に含浸させ、100℃×10分で加熱乾燥させた。その後100℃×1時間及び200℃×1時間加熱処理してガラス繊維フィルムを作製した。ケイ素含有化合物の量を表1に示す。また、得られたガラス繊維処理フィルムに対し、以下の測定を行なった。
得られたガラス繊維処理フィルムについて以下の機械的特性を測定した。
JIS R 3420(ガラス繊維一般試験方法)に記載の方法で測定を行い、縦糸方向での測定値を用いた。結果を表1に示す。
得られたガラス繊維処理フィルムについて、幅3mm、長さ25mm、厚み50〜300μmにサンプルを切り出し、熱機械的分析(TMA)装置(装置名:TMA/SS6000、(株)セイコーインスツルメンツ)にて100mNの荷重を加えながら5℃/minの昇温速度で−60℃から200℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対するガラス繊維処理フィルムの伸び量から熱膨張係数を測定した。
得られたガラス繊維処理フィルムについて、幅4〜6mm、長さ30〜40mm、厚み50〜300μmにサンプルを切り出し、JIS C 6481記載の方法に従って、動的粘弾性測定装置(装置名:Q800、TA Instruments社製)により、−100℃〜300℃の範囲にわたって、前記フィルムに対して平行な方向(X−Y軸方向)のガラス転移温度を測定した。前記測定範囲にガラス転移温度が発現する場合はその値を表1に示し、前記温度範囲にガラス転移温度が発現しない場合は「検出されず」と表1に示した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403 信越化学工業製)を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、ビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1003 信越化学工業製)を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、アミノシランカップリング剤の32質量%含有水溶液であるKBP−90(信越化学工業製)を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903、信越化学工業製)を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、エポキシ基含有オルガノアルコキシシランオリゴマー(X−41−1059A、信越化学工業製)50gを用い、これをトルエン50gで希釈した塗布液を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、アミノ基含有オルガノアルコキシシランオリゴマー(X−40−2651、信越化学工業製)50gを用い、これをトルエン50gで希釈した塗布液を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903、信越化学工業製)を用い、該シラン100質量部に対して粘度調整剤として親水性フュームドシリカ(商品名:Aerosil200、日本アエロジル製)を2質量部添加し、塗布液を調製した。その塗布液を用いて実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、メチル系シリコーンレジン(KR−220L、信越化学工業製)50gを用い、これをトルエン50gで希釈した塗布液を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
ケイ素含有化合物として、メチルトリメトキシシランのかわりに、エタノール、イソプロパノール性シリカゾル(HAS−1、コルコート(株)製)50gを用い、これをトルエン188gで希釈した塗布液を用いたほかは、実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
実施例6とは異なる厚さのガラスクロス(使用糸:D450、密度:タテ糸53本/25mm、ヨコ糸53本/25mm、厚さ:42μm、質量:47g/m2)を用いたほかは、実施例6と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
実施例5とは異なる厚さのガラスクロス(使用糸:D450、密度:タテ糸53本/25mm、ヨコ糸53本/25mm、厚さ:42μm、質量:47g/m2)を用いたほかは、実施例5と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業製)5gをトルエン95gに加えて塗布液を調製した。その塗布液を用いて実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業製)を0.5質量部、界面活性剤として、HLBが13.6であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.02質量部、酢酸0.05質量部を水100質量部に加え、塗布液を調製した。その塗布液を用いて実施例1と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのかわりに3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903、信越化学工業製)0.5質量%を用いたほかは比較例2と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。その後、作製したフィルムについて実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのかわりにビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1003、信越化学工業製)0.5質量%を用いたほかは比較例2と同様の方法でガラス繊維フィルムを作製した。その後、作製したフィルムについて実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業製)を200mm×240mm×3mmのテフロン(登録商標)加工された型枠内に入れ、その中にガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m2)を入れ、100℃10分で加熱乾燥させた。ケイ素含有化合物の付着量は92質量%であったが、慣用曲げ剛性が未処理のものに比べて100倍よりも大きいものとなり、表面処理ガラス繊維フィルムに大きなクラックが発生し、以後の測定ができなかった。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903、信越化学工業製)を200mm×240mm×3mmのテフロン(登録商標)加工された型枠内に入れ、その中にガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m2)を入れ、100℃10分で加熱乾燥させた。ケイ素含有化合物の付着量は93質量%であったが、慣用曲げ剛性が未処理のものに比べて100倍よりも大きいものとなり、表面処理ガラス繊維フィルムに大きなクラックが発生し、以後の測定ができなかった。
/未処理ガラス繊維のクロスの慣用曲げ剛性
実施例4、実施例5、実施例12、比較例1及び比較例3で作製した表面処理ガラス繊維フィルム及び、未処理のガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m2、比較例7)と比較例1及び3で作製した表面処理ガラス繊維フィルムを用いて下記の比較評価試験を行った。
予め、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EPICRON N−695、(株)DIC製)10質量部、フェノールノボラック樹脂(商品名:PHENOLITE TD−2090、(株)DIC製)5質量部、イミダゾール系触媒(商品名:1B2PZ、(株)四国化成製)0.1質量部、球状シリカ(商品名:SC−2050−SE、(株)アドマテックス製)85質量部及びMEK溶剤50質量部からなる高フィラー含有エポキシ樹脂組成物のスラリーを調製した。
各表面処理ガラス繊維フィルムあるいはガラスクロスを上記高フィラー含有エポキシ樹脂組成物スラリーに含浸したのち、100℃で10分乾燥後、金型にセットし、温度:200℃、圧力:2MPa、加圧時間:70分でプレスして、フィルム及びガラスクロスの目開き、よじれなど形状変化を目視で観察した。その結果を表2に示す。
○:良好、目開きなし ×:目開きあり、縒れあり
実施例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム2枚を付加型シリコーン樹脂接着剤(製品名:KE−109、信越化学工業(株)製)によって貼りあわせ、熱プレス機にて圧力2MPa、150℃で30分間加圧成型し、更にこれを150℃で1時間2次硬化させて積層板を得た。得られた積層板について下記評価を行った。評価結果を表3に示す。
得られた積層板の表面を目視で観察し、クロスの目開き、捩れの有無を確認した。
得られた積層板に対して、IRリフロー装置(装置名:TNR15−225LH、(株)田村製作所製)により260℃、60秒間のIRリフロー処理を行った後、表面の色の変化を目視で観察した。
実施例3で得られたガラス繊維処理フィルムを用いて、実施例13と同様の方法で積層板を得た。得られた積層板を用いて、実施例13と同様にして、外観、耐熱性を評価した。結果を表3に記載した。
実施例6で得られたガラス繊維処理フィルムを用いて、実施例13と同様の方法で積層板を得た。得られた積層板を用いて、実施例13と同様にして、外観、耐熱性を評価した。結果を表3に記載した。
未処理のガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚み:87μm、質量:95g/m2)を用いて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(製品名:EPICRON N−695、(株)DIC製)10質量部、フェノールノボラック樹脂(製品名:PHENOLITE TD−2090、(株)DIC製)5質量部、イミダゾール系触媒(製品名:2E4MZ、(株)四国化成製)0.1質量部、球状シリカ(製品名:SC−2050−SE、(株)アドマテックス製)85質量部及びMEK溶剤50質量部からなるエポキシ樹脂組成物のスラリー溶液に含浸し、100℃×10分間乾燥し、未硬化状態のエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを得た。得られた未硬化状態のエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを4枚用い、熱プレス機にて圧力2MPa、150℃で30分間加圧成型し、更にこれを150℃で1時間二次硬化させて積層板を得た。得られた積層板を用いて、実施例13と同様にして、外観、耐熱性を評価した。結果を表3に記載した。
○:良好、目開きなし ×:目開きまたは縒れ、もしくは両方の発生
実施例2で得られたガラス繊維処理フィルム1枚に、フェニルシリコーン樹脂ワニス(フェニルシリコーン樹脂 100質量部、酸化チタン(商品名:CR−95(株)石原産業製5質量部)、アルミナ(商品名:AO−502(株)アドマテックス製 200質量部)を含む)を含浸、乾燥を行い、シリコーンプリプレグを作製した。得られたプリプレグ1枚の両面に銅箔(福田金属製、厚さ:18μm)を配置し、熱プレス機にて150℃で30分間加圧成型し、更にこれを150℃で1時間二次硬化させて積層板を得た。得られた積層板を用いて図3に示すような形状の基板を作製した。作製した基板に対し、IRリフロー(最高温度260℃)を3回行なった後の基板の長手方向の反り(単位mm)を測定した。その結果を表4に記載した。
実施例16で用いたガラス繊維フィルムの代わりに未処理のガラス繊維(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚み:87μm、質量:95g/m2)を用いて実施例16と同様の方法で基板を作製した。評価結果を表4に記載した。
Claims (3)
- 表面を処理されたガラス繊維フィルムであって、
前記表面処理ガラス繊維フィルムがケイ素含有化合物によってのみ表面処理されたものであり、JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記ケイ素含有化合物がアルコキシシラン(フェノール性水酸基を有するものを除く)、ポリシラザン、及びこれらの部分加水分解縮合物あるいはシリコーン変性ワニスからなる群から選ばれる1種以上の化合物であり、
前記表面処理ガラス繊維フィルムの100質量%に対して、表面処理に用いた前記ケイ素含有化合物が2質量%以上90質量%以下であり、前記ガラス繊維フィルムを構成するガラス繊維の束の一部又は全部が前記表面処理により結束しているものであることを特徴とする表面処理ガラス繊維フィルム。 - 前記表面処理ガラス繊維フィルムのX−Y方向の線膨張係数が、20ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理ガラス繊維フィルム。
- 前記表面処理ガラス繊維フィルムが、JIS C 6481記載の方法で測定されるガラス転移温度を250℃以下の範囲に有さないものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面処理ガラス繊維フィルム。
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