JP6297864B2 - 金属張複合積層基板及び半導体装置 - Google Patents

金属張複合積層基板及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理ガラス繊維フィルムを用いた金属張複合積層基板、及びそれを用いた半導体装置に関する。
従来の金属張積層基板の製造方法は、ガラス繊維を、樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂に含浸、乾燥した未硬化状態のプリプレグと、金属層である銅箔を積層、加熱、加圧プレスする方法が広く用いられている。特に、エポキシ樹脂をガラス繊維に含浸させた銅張ガラスエポキシ基板が汎用されている。しかし、近年は高融点の鉛フリー半田の採用、高性能化による素子の発熱の点から高耐熱基板が求められている。ガラスエポキシ基板は、ガラス転移温度が200℃付近であり、変色し易いという特徴があり、耐熱性に問題があった。そこで、放熱性を目的として、無機充填剤を高充填したガラスエポキシ基板が採用されている。
金属張積層基板に使用するガラス繊維は、樹脂との親和力を高めるためにシランカップリング剤によって繊維を表面処理する方法が採用されており、その付着量は0.05〜0.25質量%が一般的である(特許文献1)。従来の表面処理されたガラス繊維は、それ自体には自立性はなく、繊維が固定化されていない。従って、上述のように無機充填剤を高充填した樹脂をガラス繊維に含浸し、未硬化状態のプリプレグを作製した後、加熱、加圧プレスした際に、目開き、捩れが発生する。また、内在する応力により基板自身にも捩れ、反りが発生し、加えて特性が基板内で不均一になるという問題があった。
また、熱時に変形や膨張が起こり、基板の寸法安定性が低下する問題があった。この寸法安定性の問題を解決するために、ガラス繊維のより数と、たて糸とよこ糸の打ち込み本数の比率を既定したガラスクロスを用いる方法が提案されている(特許文献2)。このようなガラスクロスを用いた場合、クロス自体の熱時の寸法安定性やはんだ耐熱が良好になる。しかし、特定の繊維構造、織組織を持つことが必要になり、かつ、依然として繊維の固定化がなされていないため、上述のように無機充填剤を高充填した樹脂での寸法安定性には疑問が残る。
さらに、近年、エポキシ樹脂において問題になっている耐熱性、耐候性の特性に優れたシリコーン樹脂を用いた金属張積層基板が検討されている(特許文献3〜5)。しかし、シリコーン樹脂はエポキシ樹脂と比較してガラス転移温度が低いため、樹脂自体に寸法安定性の問題がある。加えて、加熱、加圧プレス時に発生するガラスクロスの目開き、捩れの問題が依然解決されておらず、耐熱、耐候性に優れ、尚且つ寸法安定性が良好な積層基板の開発が求められている。
特開平04−370275号公報 特開平07−022719号公報 特開2010−089493号公報 特開平09−111187号公報 特開2013−095862号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、基板としたときのガラス繊維の目開きや捩れが発生しない均一、均質な絶縁層を有し、高強度、かつ耐熱性、寸法安定性、耐変色性に優れた金属張複合積層基板を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、本発明は、
表面処理ガラス繊維フィルムを用いたプリプレグを1枚、もしくは複数枚積層させたものを含む複合積層基板であって、
前記プリプレグが前記表面処理ガラス繊維フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗工し乾燥させた未硬化状態のものであり、JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記プリプレグ又はその積層体の片面もしくは両面に金属層を有する金属張複合積層基板を提供する。
このような金属張複合積層基板であれば、表面処理によりガラス繊維の目開きや捩れがなく、高強度で繊維が固定化され、耐熱性、寸法安定性、耐変色性に優れ、かつ絶縁層の均一性、均質性の高い基板を得ることができる。
このうち、前記表面処理繊維フィルムが、ガラス繊維を含むものであり、該ガラス繊維の一部又は全部が有機ケイ素化合物の硬化物で結束及び表面処理されたものであることが好ましい。
このような表面処理繊維フィルムを用いたものであれば、より高強度で繊維が固定化され、また、有機ケイ素化合物により表面処理を行ったフィルムであるため、優れた耐熱性及び耐変色性を有する基板を得ることができる。
また、前記熱硬化性樹脂組成物がシリコーン樹脂組成物であることが好ましい。
また、前記シリコーン樹脂組成物が、下記(A)〜(C)成分を含有するものであることが好ましい。
(A)下記平均組成式で示されるオルガノポリシロキサン、
(SiO(R 1−m SiO1.5(R 2−n SiO)(R 3−L SiO0.5
(式中、Rは炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、m=0〜1、n=0〜2、L=0〜3、かつ1≦m+n+L≦6であり、a、b、c、及びdは、それぞれ、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9、a+b>0、かつa+b+c+d=1を満たす数である。)
(B)ヒドロシリル基を1つ以上含有するハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)硬化有効量の白金系触媒
このような熱硬化性樹脂組成物を用いれば、より優れた耐熱性、耐変色性、及びより高い機械的強度を有する基板を得ることができる。
さらに、前記熱硬化性樹脂組成物が、充填剤を含むものであることが好ましい。
このような熱硬化性樹脂組成物を用いれば、より優れた寸法安定性や機械的強度を有し、さらに優れた熱伝導性を有する基板を得ることができる。
さらに、前記充填剤が白色顔料を含有するものであることが好ましい。
このような熱硬化性樹脂組成物を用いれば、良好な光反射率を有する基板を得ることができる。
また、前記金属層が、金属メッキ、金属箔、及び金属板のいずれかによって形成されるものであることが好ましい。
本発明の金属張複合積層基板は、金属層を上記のように形成することができる。
さらに、本発明は、
前記金属張複合積層基板を用いて作製される半導体装置を提供する。
このような半導体装置であれば、均一、均質な絶縁層を有し、高強度であり、耐熱性、寸法安定性、及び耐変色性に優れた基板を用いるため、高耐熱性が要求される分野に好適に用いることのできる半導体装置となる。
本発明に係る金属張複合積層基板であれば、プリプレグに用いるガラス繊維の目開きや捩れがなく、高強度でガラス繊維が固定化され、耐熱性、寸法安定性に優れ、表面均一性及び表面均質性の高い基板が得られる。また、プリプレグを未硬化状態で用いるため、プリプレグ自身に自己接着能があるため、金属層と絶縁層間、絶縁層の積層間で接着層を設ける必要がなく、簡便に製造することができる。
実施例及び比較例におけるIRリフロー試験後の反りを測定する際の基板の上面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、
表面処理ガラス繊維フィルムを用いたプリプレグを1枚、もしくは複数枚積層させたものを含む複合積層基板であって、
前記プリプレグが前記表面処理ガラス繊維フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗工し乾燥させた未硬化状態のものであり、JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記プリプレグ又はその積層体の片面もしくは両面に金属層を有する金属張複合積層基板である。
本発明の金属張複合積層基板は、表面処理ガラス繊維フィルムを用いたプリプレグを絶縁層として用いる。このプリプレグに用いる表面処理ガラス繊維フィルムとしては、ガラス繊維からなるガラスクロスに対して表面処理し、フィルム化したものが好ましい。具体的には、ガラスクロス中のガラス繊維の一部又は全部が有機ケイ素化合物の硬化物により結束され表面処理されたものを挙げることができる。
この表面処理ガラス繊維フィルムは、JIS R 3420で規定された方法で測定した慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラスクロスの慣用曲げ剛性の値に対して、3倍から100倍である。この倍数は、ガラス繊維を表面処理することによって、いわゆる「織布」状態から「フィルム」状態に変化する程度を示す指標として用いるものであり、好ましくは5倍から60倍であり、さらに好ましくは10倍から40倍である。
上記の倍数が、3倍未満では本発明が目的とする寸法安定性やガラス繊維の固定化、すなわち目開きや捩れの防止効果がほとんど得られず、またシロキサン特性に起因する電気絶縁性、耐熱性、耐候性などが不十分である。また、100倍を超えると上記表面処理ガラス繊維フィルムが固くなりすぎて、基板の柔軟性が損なわれ、クラック等が発生する。
表面処理に有機ケイ素化合物を用いた場合、上記特性を満足するために、ガラス繊維フィルムへの有機ケイ素化合物の付着量は、表面処理ガラス繊維フィルム(処理後のガラス繊維フィルム)の100質量%に対して、2質量%以上90質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上60質量%以下である。
2質量%以上の付着量であれば、上記特性を満足することができ、その結果、電気絶縁性、耐熱性、寸法安定性、自立性などの特性が良好となるため好ましい。また、90質量%以下の付着量であれば、耐熱性が低下したり、柔軟性が損なわれたりすることなく、電気絶縁性、寸法安定性などが得られるので好ましい。
本発明で用いるガラスクロスは、柱状流或いは高周波振動法による水流で開繊加工することも可能である。さらに、本発明に適応するガラス繊維は、Eガラス、Aガラス、Dガラス、Sガラス等のいずれのガラス繊維でも使用できる。コスト及び入手のしやすさから一般用のEガラスが好ましいが、より高度な特性を要求される場合(例えば、低誘電率、高耐熱性、低不純物など)には石英ガラスが好ましい。
このようなガラスクロスとしては、繊維の織り密度は10〜200本/25mmが好ましく、より好ましくは15〜100本/25mmであり、質量は5〜400g/mが好ましく、より好ましくは10〜300g/mである。この範囲であれば、表面処理による結束が効果的に行われ、電気絶縁性、耐熱性、寸法安定性、自立性などの特性を容易に得ることができる。
このようなガラスクロスの織り方としては、平織り、朱子織り、ななこ織り等が使用できる。また、双方又は一方がテクスチャード加工を施されたガラス繊維で製織されたガラス繊維であっても良い。さらに三軸組布されたガラス繊維はより強度が強く、信頼性の高い表面処理ガラス繊維フィルムとなる。また、不織布や長繊維を一定方向に配列された織物も使用可能である。加えて、ガラスクロスに集束剤が塗布されている場合、有機ケイ素化合物による処理が阻害される場合があるので、予め除去しておくことが望ましい。
本発明では、要求される特性に応じて、上記ガラス繊維に、炭素繊維、セラミック系などの無機繊維、ホウ素繊維、スチールファイバー、タングステン繊維などの金属繊維、アラミド、フェノール系などの新耐熱繊維などの繊維を混合した織布などをガラスクロスとして用いることができる。
表面処理ガラス繊維フィルムを得るために、ガラスクロスに表面処理する際に用いる有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン、ポリシラザン、及びこれらの部分加水分解縮合物、シリコーン変性ワニス、あるいは付加硬化型シリコーン樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物を挙げることができる。
例えば、アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのアルキルアルコキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどのアリールアルコキシシラン、ヒドロキシトリメトキシシラン、ヒドロキシトリエトキシシランなどのヒドロキシアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのアルケニルアルコキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−(N−ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩などのアミノ基含有アルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアネートアルコキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリスエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のアルコキシシラン化合物が挙げられ、これらのアルコキシシランは1種あるいは2種以上混合して使用しても良い。好ましくは、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
また、上記アルコキシシランの1種又は2種以上の部分加水分解縮合物を用いてもよい。この部分加水分解縮合物は、公知の縮合触媒を添加して任意に調製してもよく、市販されているものを用いてもよい。市販されているものの例としては、エポキシ基含有アルコキシシランオリゴマーX−41−1059A(信越化学工業(株)製)、アミノ基含有アルコキシシランオリゴマーX−40−2651(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
ポリシラザンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンなどの化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
シリコーン変性ワニスとしては、アルキッド変性ワニスやポリエステル変性ワニス、エポキシ変性ワニス、アクリル変性ワニスなど多様なシリコーン変性ワニスが使用されるが、最終用途、目的により選択すればよい。
付加硬化型シリコーン樹脂としては、SiO単位、RSiO1.5単位、R 2−q SiO単位、及びR 3−r SiO0.5単位からなる不飽和基含有オルガノポリシロキサン(ここで、q=0〜2及びr=0〜3)と少なくとも一つのヒドロシリル基を含有したオルガノポリシロキサンと硬化有効量の白金触媒からなる組成物が使用されるが、最終用途、目的により適宜選択すればよい。
尚、上記のRは炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、又は1価芳香族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、少なくとも一つはRを含み、かつ飽和基含有オルガノポリシロキサンにおいて、SiO単位若しくはRSiO1.5単位を有する。特に、Rが、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、Rが、ビニル基又はアリル基であることが好ましい。SiO単位若しくはRSiO1.5単位を必須成分とすることで、脆さを抑制しなおかつ、繊維を強固に固定化することが可能になる。
本発明における表面処理ガラス繊維フィルムのX−Y方向の線膨張係数は、20ppm/℃以下が好ましい。X−Y方向の線膨張係数の測定方法としては、幅3mm、長さ25mm、厚み50〜300mmにサンプルを切り出し、熱機械的分析(TMA)装置にて100mNの荷重を加えながら5℃/minの昇温速度で−60℃から200℃の温度範囲で引張り試験による測定方法を例示できる。線膨張係数が20ppm/℃以下、即ち、低線膨張係数であることにより、耐熱衝撃性が強く、高強度基板として使用可能であるため、プリント基板に対する高密度実装、軽薄短小化への要求に対応可能となる。
前記表面処理ガラス繊維フィルムの製造方法は、一般的なガラス繊維の処理方法が適応される。例えば、ガラス繊維としては、集束剤が付着しているタイプの場合、公知の手法により除去して使用、或いは予め集束剤を除去したガラス繊維を入手して使用する。
表面処理に用いる塗布液の好適な例としては、一般にアルコキシシランと水或いはアルコール類、ケトン類、グリコールエーテル類、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系非極性溶剤、エーテル類などの有機溶剤に添加したものを挙げることができ、さらにギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、アンモニア水などのpH調整剤、顔料、染料、界面活性剤、増粘剤などを添加することもできる。また、硬化を促進するために、アルコキシ基の縮合触媒、例えば各種有機金属系、アミン系化合物などを添加しても良い。さらに、必要に応じて充填剤を添加したものを、溶液又は分散液として調製しても良い。
この場合、塗布環境を考慮して、水系での塗布液が好ましい。アミノ基含有シランカップリング剤のKBM−903(信越化学工業(株)製)などは水系での安定性に優れ、溶解性も良いことから好ましい有機ケイ素化合物である。
本発明の表面処理ガラス繊維フィルムを製造する際の塗布液の塗布方法としては、一般的なガラス繊維の塗布方法が適応できる。代表的なコーティング方式としては、ダイレクトグラビアコーター、チャンバードクターコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、スロットダイ、エアードクターコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター、MBコーター、MBリバースコーターなどがある。中でもダイレクトグラビアコーター、オフセットコーター、含浸コーター塗布方式が表面処理ガラス繊維フィルムの製造には好ましい。
また。使用する有機ケイ素化合物により条件は異なるが、塗布後、乾燥、硬化目的で室温から300℃で1分から24時間加熱する工程を加えることができる。生産性やコスト、作業性などを考慮して、好ましくは室温から250℃で3分から4時間、より好ましくは室温から230℃で5分から1時間の加熱処理で表面処理ガラス繊維フィルムを製造する。
塗布液は、例えば、上記有機ケイ素化合物を溶媒で希釈したものである。溶媒の例としては、水あるいは有機溶剤をそれぞれ単独あるいは2種以上混合して用いることができる。有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。この希釈液に、さらにギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、などの有機酸やアンモニア水などのpH調整剤、顔料、充填剤、界面活性剤、増粘剤などを添加することもできる。
また、アルコキシ基の縮合触媒を添加してもよく、例えば有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ビスマス化合物のような有機金属化合物系、アミン系化合物などが挙げられる。
有機金属化合物系の縮合触媒としては、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(アセチルアセトナート)、ジブチルスズビス(ベンジルマレート)、ジメチルスズジメトキサイド、ジメチルスズジアセテート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジラウレート、スズジオクテート、及びスズジラウレート等の有機スズ化合物、並びに、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラノルマルプロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、ジイソプロピルジターシャリーブチルチタネート、ジメトキシチタンビスアセチルアセトナート、ジイソプロポキシチタンビスエチルアセトアセテート、ジターシャーリーブトキシチタンビスエチルアセトアセテート、及びジターシャリーブトキシチタンビスメチルアセトアセテート等の有機チタン化合物、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)又はビスマストリス(ネオデカノエート)等の有機ビスマス化合物などの金属ルイス酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。アミン系化合物の例としては、ヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
これら縮合触媒の中では、有機チタン化合物が特に好ましい。
本発明において、プリプレグを作製する際に、表面処理ガラス繊維フィルムに塗工する熱硬化性樹脂組成物としては、公知の熱硬化性樹脂組成物であればよく、例えば、シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、フェノール樹脂組成物等が挙げられ、好ましくはシリコーン樹脂組成物又はエポキシ樹脂組成物、さらに好ましくはシリコーン樹脂組成物が挙げられる。シリコーン樹脂組成物を用いれば、耐熱性、耐変色性に優れた高耐熱基板が得られる。
このシリコーン樹脂組成物としては、下記(A)〜(C)成分を含有するものであることが好ましい。
(A)下記平均組成式で示されるオルガノポリシロキサン、
(SiO(R 1−m SiO1.5(R 2−n SiO)(R 3−L SiO0.5
(式中、Rは炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、m=0〜1、n=0〜2、L=0〜3、かつ1≦m+n+L≦6であり、a、b、c、及びdは、それぞれ、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9、a+b>0、かつa+b+c+d=1を満たす数である。)
(B)ヒドロシリル基を1つ以上含有するハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)硬化有効量の白金系触媒
上述のシリコーン樹脂組成物が、SiO単位又はR 1−m SiO1.5単位を有するものであれば、脆さがなく、強固な未硬化状態のプリプレグ及び金属張複合積層基板が得られる。
また、上述のシリコーン樹脂組成物は室温で固体状又は半固体状のものであることがより好ましい。本発明で「室温」とは15〜30℃の範囲を示し、また、「半固体」とは可塑性を有し、特定の形状に成形されたときに少なくとも1時間、好ましくは8時間以上その形状を保持し得る物質の状態をいう。したがって、例えば、常温で非常に高い粘度を有する流動性物質が本質的には流動性を有するものの、非常に高い粘度のために少なくとも1時間という短時間では付与された形状に変化(即ち、くずれ)を肉眼では認めることができないとき、その物質は半固体の状態にある。
このようにシリコーン樹脂組成物が室温で固体状であることで、表面処理ガラス繊維フィルムに塗工、乾燥後、Aステージ状態であっても固形であるため、未硬化状態のプリプレグの保管がより容易であり、熱プレス機での成形をより容易に行うことができ、さらに、金属張複合積層基板の形状をより自由に成形できるという利点がある。
ここで、シリコーン樹脂組成物に含まれる(A)成分のオルガノポリシロキサンについて説明する。
(A)成分において、Rは炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基、もしくはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基などが挙げられる。これらの中でも、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
また、Rは炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペル基等のアルケニル基などが挙げられる。特にビニル基が好ましい。
(A)成分の具体例としては、下記のようなR 1−m SiO1.5単位、R 2−n SiO単位、及びR 3−m SiO0.5単位を有するオルガノポリシロキサン、
(PhSiO1.5e1(MeSiO)(MeViSiO0.5G1
(PhSiO1.5e1(MeSiO)(MeViSiO0.5G1
(PhSiO1.5e2(MeSiO)(MeViSiO)(MeViSiO0.5G2
(式中、e1、e2、f、G1、G2、H、及びiは、それぞれ、0.24≦(e1及びe2)≦0.9、0.09≦f≦0.75、0.01≦(G1、及びG2)≦0.5、0.01≦H≦0.74、0.01≦i≦0.74かつ、e1+f+G1=1、又はe2+H+i+G2=1を満たす数であり、上記MeSiO記単位の少なくとも一部、又は全てが連続して繰り返してなることが、樹脂の柔軟性を付与するために特に好ましい。)
あるいは、R 1−m SiO1.5単位のみを有するオルガノポリシロキサン、
(PhSiO1.5(ViSiO1.5
(MeSiO1.5(ViSiO1.5
(式中、j及びkは、それぞれ、0.5≦j≦0.95、0.05≦k≦0.5かつ、j+k=1を満たす数である。)
あるいは、SiO単位、及びR 3−L SiO0.5単位を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(SiO(MeSiO0.5t1(MePhViSiO0.5t2
(式中、s、t1及びt2は、それぞれ、0.25≦s≦0.77、0.02≦t1≦0.12、0.18≦t2≦0.73かつ、s+t1+t2=1を満たす数である)
尚、上記各式において、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。また、上記のオルガノポリシロキサンは1種又は2種以上を使用することができる。
また、この(A)成分のポリスチレン換算での重量平均分子量は1,000〜1,000,000の範囲にあることが好ましく、この重量平均分子量であれば、室温で固体状もしくは半固体状であり作業性、硬化性などから好適である。
このような樹脂構造の(A)成分は、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で各シロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
ここで各シロキサン単位の原料としては、各シロキサン単位に相当するクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン類などを例示することができる。
また、シリコーン樹脂組成物に含まれる(B)成分のハイドロジェンポリシロキサンについて説明する。
(B)成分はヒドロシリル基を1つ以上含有するものであることが好ましい。
(B)成分の具体例としては、下記に例示するハイドロジェンポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、このハイドロジェンポリシロキサンは1種又は2種以上を使用することができる。
(PhSiO1.5u1(MeSiO)(MeHSiO0.5w1
(PhSiO1.5u2(MeSiO)(MeHSiO)(MeHSiO0.5w2
(PhSiO1.5u3(MeHSiO)
(MeSiO1.5u4(MeHSiO)
(MeHSiO1/2(PhSiO2/2
(式中、u1、u2、u3、u4、v、w1、w2、x、y、及びzは、それぞれ、0.24≦(u1、u2、u3、及びu4)≦0.9、0.09≦v≦0.75、0.01≦(w1、及びw2)≦0.5、0.01≦x≦0.74、0.01≦y≦0.74、z=1〜10の整数かつ、u1+v+w1=1、u2+x+y+w2=1、u3+x=1、又はu4+y=1を満たす数である。)
(B)成分の配合量は、前述の(A)成分の1価不飽和炭化水素基の合計に対する、(B)成分のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)がモル比で0.1〜4.0となる量、特に好ましくは0.5〜3.0となる量、さらに好ましくは0.8〜2.0となる量であることが好ましい。0.1以上であれば、硬化反応が順調に進行し、シリコーン硬化物を容易に得ることができ、4.0以下であれば、硬化物中の未反応のSiH基の残存量を少なくすることができ、硬化物の特性の経時的な変化を抑制できるため好ましい。
本発明では、接着性付与のために、(A)成分及び(B)成分の一方又は両方がシラノール基を含有するものであることが好ましい。シラノール基を有するシロキサン単位の量は、(A)成分及び(B)成分において、全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)程度であることが好ましい。
シリコーン樹脂組成物に用いる(C)成分の白金族金属系触媒は、前記シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応を生じさせるために配合されるものであり、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがある。該触媒としてはヒドロシリル化反応を促進するものとして従来公知であるいずれのものも使用することができる。コスト等を考慮して、白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、HPtCl・pHO,KPtCl,KHPtCl・pHO,KPtCl,KPtCl・pHO,PtO・pHO,PtCl・pHO,PtCl,HPtCl・pHO(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができ、これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
白金族金属系触媒の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲である。
上述のシリコーン樹脂組成物に例示される熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて充填剤を含有することができる。充填剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。充填剤は、線膨張率を下げ、かつ金属張複合積層基板の熱伝導率や強度を向上させることを目的として、添加することができる。充填剤としては、公知の充填剤であればいずれのものであってもよく、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、ヒュームド二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
充填剤の配合量は得られる金属張複合積層基板の線膨張率及び強度の観点から、熱硬化性樹脂組成物100質量部当り、900質量部以下(0〜900質量部)の範囲が好ましく、600質量部以下(0〜600質量部)の範囲であることがより好ましく、10〜600質量部であることがさらに好ましく、50〜500質量部の範囲であることが特に好ましい。
充填剤は白色顔料若しくは白色顔料と無機充填剤の両方の成分を含有するものとすることができる。白色顔料は、得られる金属張複合積層基板が光を反射することが必要である場合には、金属張複合積層基板の光反射率を上げることを目的として、熱硬化性樹脂組成物に添加することができるが、特に光を反射することを必要としない金属張複合積層基板を得る場合には熱硬化性樹脂組成物に添加されなくてもよい。ここで、「金属張複合積層基板が光を反射することが必要である」とは、金属張複合積層基板の光反射率が全可視光領域にわたって好ましくは80%以上(即ち、80〜100%)であることをいう。
本発明で用いることのできる白色顔料は、従来から一般的に使用されている公知の白色顔料であれば制限なく使用できるが、好適には二酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウムなどが挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記白色顔料のうち、二酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウムがより好ましく、二酸化チタンがさらにより好ましい。二酸化チタンの結晶形はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わないが、ルチル型が好ましく使用される。
白色顔料の平均粒径及び形状は特に限定されないが、平均粒径が、0.05〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.1〜1.0μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。白色顔料成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
白色顔料の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の合計量100質量部当り1〜300質量部であることが好ましく、3〜200質量部であることがより好ましく、10〜150質量部であることが特に好ましい。配合量が1質量部以上の場合、得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物の白色度が十分となるため好ましい。配合量が300質量部以下の場合、本発明の金属張複合積層基板の線膨張率を下げ、かつ基板の機械的強度を向上させることを目的として添加される無機充填剤の全充填剤に占める割合が低くなることがないため好ましい。
無機充填剤は、この場合、白色顔料以外の充填剤を示し、本発明の金属張複合積層基板の線膨張率を下げ、かつ該基板の機械的強度を向上させることを目的として、熱硬化性樹脂組成物に添加することができる。無機充填剤の成分としては、公知の無機充填剤であればいずれのものであってもよく、例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられ、特に、溶融シリカ、溶融球状シリカ、アルミナが好ましい。無機充填剤の成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
無機充填剤の成分の平均粒径及び形状は特に限定されない。無機充填剤の成分の平均粒径は、通常0.5〜50μmであるが、得られるシリコーン樹脂組成物の成型性及び流動性からみて、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmである。なお、平均粒径は、上述の通り、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
無機充填剤の成分の配合量は、得られる金属張複合積層基板の線膨張率及び強度の観点から、熱硬化性樹脂組成物の合計量100質量部当り6、00質量部以下(0〜600質量部)の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜600質量部であり、さらに好ましくは50〜500質量部の範囲である。
また、上記白色顔料、無機充填剤の両方になり得る材料、すなわち、白色顔料にも、無機充填剤としても使うことができる材料があり、具体的には、二酸化チタン、アルミナ、シリカ等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物には、上述した成分以外にも、必要に応じて、公知の各種の添加剤を配合することができる。
接着助剤
熱硬化性樹脂組成物には、接着性を付与するため、接着助剤(接着性付与剤)を必要に応じて添加することができる。接着助剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。接着助剤としては、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマーや、下記一般式(1)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物、その加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)及びこれらの2種以上の組合せなどが挙げられる。
(式中、Rは、下記部分構造式(2)で表される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、Rの少なくとも1個は部分構造式(2)で表される有機基である。)
(式中、Rでは水素原子又は炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、n’は1〜6、特に1〜4の整数である。)
上記一般式(1)におけるRの脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜8、特に2〜6のアルケニル基、シクロヘキセニル基などの炭素原子数6〜8のシクロアルケニル基などが挙げられる。また、上記部分構造式(2)におけるRの一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、上記Rについて例示したアルケニル及びシクロアルケニル基、さらにフェニル基等のアリール基などの炭素原子数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。
さらに、接着助剤としては、1,5−ビス(グリシドキシプロピル)−1,3,5,7−テトリメチルシクロテトラシロキサン、1−グリシドキシプロピル−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等、並びに、下記式に示されるシロキサン化合物が例示される。
(式中、g及びhは各々0〜50の範囲の整数であり、かつg+hが2〜50、好ましくは4〜20を満たす整数である。)
上記のシロキサン化合物のうち、得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物に特に良好な接着性をもたらす化合物は、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基と、アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物である。
接着助剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物100質量部に対して、通常10質量部以下(即ち、0〜10質量部)、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部程度である。配合量が10質量部以下であれば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の硬度に悪影響を及ぼすことがなく、また、表面タック性を高めたりする恐れがない。
硬化抑制剤
本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化抑制剤を配合することができる。硬化抑制剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。硬化抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。硬化抑制剤は熱硬化性樹脂組成物100質量部当たり、通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部添加される。
熱硬化性樹脂組成物の調製方法について説明するが、これらに限定されるものではない。
通常は、硬化が進行しないように2液に分けて保存され、使用時に2液を混合して硬化を行う。勿論、前記した硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。また、熱硬化性樹脂組成物としてシリコーン樹脂組成物を用いる場合は、オルガノポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサン、触媒を均一に混合してベース組成物を得、このベース組成物にトルエン、キシレン、ヘプタン等の溶剤を加えた後、さらに無機充填剤を添加することにより、溶液又は分散液として調製してもよい。
このようなプリプレグであれば、ガラス繊維(フィラメント)が有機ケイ素化合物等の硬化物で表面処理され、結束されているフィルムを用いており、加熱、加圧後もガラス繊維の目開きや捩れがないため、耐熱性、寸法安定性に優れ、表面均一性及び表面均質性の高いプリプレグとなる。加えて、この表面処理ガラス繊維フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗工し乾燥させ、未硬化状態としており、プリプレグ自身に自己接着能があるため、金属層と絶縁層の間や絶縁層の積層間に新たな接着層を設ける必要がなく、簡便な方法で基板の製造が可能になる。
本発明の金属張複合積層基板の製造方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、有機ケイ素化合物でガラスクロスを表面処理し、加熱硬化させ表面処理ガラス繊維フィルムを得る。次に、表面処理ガラス繊維フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗工、乾燥させ未硬化のプリプレグを得る。そして、プリプレグを1枚、又は複数枚重ねたものの両面又は片面に金属層として金属箔又は金属板を配置し、加熱加圧成形することで、金属張複合積層基板が得られる。又は、前記プリプレグを1枚、又は複数枚重ねたものを加熱加圧成形し、そののち、両面又は片面に金属層として金属メッキを施すことで、金属張複合積層基板が得られる。
上記、プリプレグの乾燥条件としては、熱硬化性樹脂組成物中の溶剤が蒸発され、尚且つ、未硬化(Aステージ)状態のプリプレグが得られる条件ならば特に限定されない。このとき、熱硬化性樹脂組成物が室温で固体状又は半固体状であれば、乾燥後のプリプレグの表面にタックがなく、作業性に優れたプリプレグが得られる。乾燥条件としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解・分散された状態で塗工させた表面処理ガラス繊維フィルムを好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜100℃で乾燥することにより行うことができる。適宜、オーブン、ドライヤーなどの加熱装置を用いてもよい。
金属メッキを行う場合には、常法に従えばよく、特に限定されるものではない。例えば、繊維フィルムに無電解メッキ法により金属被膜層を形成する方法を挙げることができる。形成する金属膜層は、Ni,Cu、Fe,Coあるいはこれらの金属のうち2種類以上からなる合金、例えばNi−Cu合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、などから選ばれるのが好ましい。また、無電解メッキの後に電解メッキによる増膜形成を施しても良い。
メッキによるパターンの形成方法としては、例えば、ガラス繊維に無電解メッキを実施し、ドライフィルムをラミネートした後、露光、現像により任意のパターンを形成、さらに電解メッキを実施し、パターンを完成させることで、メッキによってパターン形成された金属張複合積層基板が得られる。
本発明で用いる金属箔又は金属板としては、公知の金属箔又は金属板であればいずれのものであってもよい。金属箔としては、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等の、厚さ5〜70μm程度の金属箔を使用することができる。これらの中でも、金属箔としては、導体箔として用いられるものが好ましく、通常銅箔が使用され、さらに表面を黒色酸化処理等の化成処理を施したものが好適に使用される。導体箔は、接着効果を高めるために、フィルムとの接触面(重ねる面)を予め化学的又は機械的に粗化したものを用いることが好ましい。表面粗化処理された導体箔の具体例としては、電解銅箔を製造する際に電気化学的に処理された粗化銅箔などが挙げられる。
金属板としては、例えば、銅板、アルミ板、セラミック板などが挙げられる。なお、金属板の厚さは特に限定されない。金属板を用いることにより放熱性を向上させることが可能になる。また放熱性を向上させる点においては、表面処理繊維フィルムの厚みは薄い方が好ましい。特に本発明における繊維フィルムは可撓性を有し機械的強度も高く、薄膜であっても絶縁性が保たれるため、高放熱基板として有用である。
表面処理繊維フィルム上に、金属箔又は金属板を配置する方法としては、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。例えば、表面処理繊維フィルムの少なくとも一方の面上に、金属箔又は金属板を貼り合わせる方法を挙げることができる。貼り合わせる方法としては、プレス法、ラミネート法等が挙げられる。プレス法及びラミネート法の条件は表面処理繊維フィルムの特性に応じて適宜選択することができる。貼りあわせた後、常法に従い、パターニング及びメッキ工程を経て、金属張複合積層基板が得られる。
加熱加圧成形下での加熱硬化は、例えば、熱プレス機、真空プレス機等を用いて、好ましくは1〜100MPa、より好ましくは5〜50MPaの圧力下、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜180℃の温度で行うことができる。硬化時間は好ましくは1〜200分、より好ましくは2〜120分でよい。また、必要に応じてポストキュアを行うことができる。
本発明の金属複合積層基板は、ガラス繊維(フィラメント)が有機ケイ素化合物等の硬化物で表面処理され、結束されているフィルムを用いており、加熱、加圧後もガラス繊維の目開きや捩れがないため、耐熱性、寸法安定性に優れ、表面均一性及び表面均質性の高い基板となる。加えて、この表面処理ガラス繊維フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗工し乾燥させたプリプレグを用いており、プリプレグ自身に自己接着能があるため、金属層と絶縁層の間や絶縁層の積層間に新たな接着層を設ける必要がなく、簡便な方法で基板の製造が可能になる。
上述の金属張複合積層基板は、例えば、基板上に半導体素子を搭載することで、半導体装置とすることができる。前述のように金属張複合積層基板は、ガラス繊維の目開きや捩れがないことから、高強度でガラス繊維が固定化された耐熱性、耐変色性、寸法安定性に優れ、表面均一性及び表面均質性の高い基板が得られるため、鉛フリー半田等を適用した高耐熱性が要求される半導体装置や高性能半導体装置に適用可能である。絶縁層自体が自己接着能を有するため、金属層と絶縁層の間や絶縁層の積層間に新たな接着層を設ける必要がなく、半導体装置の製造プロセスをより簡便なものとすることができる。
以下、製造例、比較製造例、合成例、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(製造例1)
有機ケイ素化合物として、メチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−13 信越化学工業製)を用いて、ガラスクロス((使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m)に塗工させ、100℃10分で加熱乾燥させた。その後100℃×1時間及び200℃×1時間加熱処理して表面処理ガラス繊維フィルム(A1)を作製した。
1.外観
得られた表面処理ガラス繊維フィルムの表面の均一性、即ち、該表面が平滑でクラックがないかを目視により確認した。
2.慣用曲げ剛性
得られた表面処理ガラス繊維フィルムについて、JIS R 3420に記載の方法で慣用曲げ剛性を測定し、下記に示す式から、慣用曲げ剛性倍率を測定した。
慣用曲げ剛性倍率 = 表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性/
未処理のガラス繊維の慣用曲げ剛性
また、得られた表面処理繊維フィルムから、幅25mm、長さ250mmの長方形試験片を試験する繊維から縦糸方向を各6つ切り取り、線膨張係数の測定を行った。
3.線膨張係数
得られた表面処理ガラス繊維フィルムについて、幅3mm、長さ25mm、厚み50〜300mmにサンプルを切り出し、熱機械的分析(TMA)装置(装置名:TMA/SS6000、(株)セイコーインスツルメンツ)にて100mNの荷重を加えながら5℃/minの昇温速度で−60℃から200℃の温度範囲で引張試験を行った。温度に対する表面処理ガラス繊維フィルムの伸び量から熱膨張係数を測定した。
これらの各測定結果を表1に示す。
(製造例2)
有機ケイ素化合物として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403 信越化学工業製)を10g、界面活性剤0.02g、酢酸0.05gを水100gに加え、塗布液を調製した。この塗布液を用いて製造例1と同様の方法で表面処理ガラス繊維フィルム(A2)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(製造例3)
エポキシ基含有オリゴマー(商品名:X−41−1059A 信越化学工業製)50gをトルエン50gに加えた塗布液を調製した。この塗布液に、酸化チタン(商品名:PF−691、平均粒子径:約0.2μm 石原産業製)を10g加えて、トルエン分散液を調製した。この分散液とガラスクロス(使用糸:D450、密度:タテ糸53本/25mm、ヨコ糸53本/25mm、厚さ:42μm、質量:47g/m)を用いて、製造例1と同様の方法で表面処理ガラス繊維フィルム(A3)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(製造例4)
SiO1.5単位含有不飽和基含有オルガノポリシロキサンと、ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンをH/Vi=1.1になるように配合した付加硬化型樹脂100gに、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液を白金10ppmになるように添加し、トルエン100gを加えた塗布液を調製した。この塗布液を用いて製造例1と同様の熱硬化した表面処理ガラス繊維フィルム(A4)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(比較製造例1)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403 信越化学工業製)5gをトルエン95gに加えて塗布液を調製した。この塗布液を用いて製造例1と同様の方法で表面処理ガラス繊維フィルム(B1)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(比較製造例2)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業製)を200mm×240mm×3mmのテフロン(登録商標)加工された型枠内に入れ、その中にガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m)を入れ、100℃10分で加熱乾燥させた。有機ケイ素化合物の付着量は92質量%であったが、表面処理ガラス繊維フィルムに大きなクラックが発生し、以後の測定ができなかった。
(比較製造例3)
表面処理されていないガラスクロス(使用糸:D450、密度:タテ糸53本/25mm、ヨコ糸53本/25mm、厚さ:42μm、質量:47g/m)(B3)を用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
表1で示すように、表面処理しないガラス繊維の場合や、樹脂の付着量が薄すぎる場合、慣用曲げ剛性倍率が低くなり、フィルムは自立性が無く繊維も固定化されていないことがわかった。一方、付着量が多すぎると表面にクラックが発生した。製造例1〜4では、付着量を調整することで慣用曲げ剛性倍率が3〜100倍の範囲内になる良好な表面処理ガラス繊維フィルムを得た。製造例1〜4で作製された表面処理ガラス繊維フィルムを用いて以下に記載する方法で金属張複合積層基板を成形し、評価を行った。
(合成例1)
−オルガノポリシロキサン樹脂(a1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:952.5g(81.5モル%)、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:398.0g(9.1モル%)、MeViSiCl:37.8g(4.9モル%)、MeViSiCl:30.2g(4.5モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、オルガノポリシロキサン樹脂(a1)を合成した。このレジンの重量平均分子量は11000、ビニル基含有量は0.05モル/100gであった。
(合成例2)
−オルガノポリシロキサン樹脂(a2)−
PhSClで示されるオルガノシラン:562.1g(90モル%)、VCl:47.8g(10モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、オルガノポリシロキサン樹脂(a2)を合成した。この樹脂は、重量平均分子量4000、ビニル基含有量は0.08モル/100gである。
(合成例3)
−ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:666.8g(81.8モル%)、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:278.6g(9.1モル%)、MeHSiCl:40.3g(9.1モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b1)を合成した。このレジンの重量平均分子量は11000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
(合成例4)
−ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b2)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:666.8g(81.8モル%)、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:278.6g(9.1モル%)、MeHSiCl:31.6g(9.1モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b2)を合成した。このレジンの重量平均分子量は9000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
(実施例1)
合成例1で得られたオルガノポリシロキサン樹脂(a1):95g、合成例3で得られたハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b1):105g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.2g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌してベース組成物を得た。このベース組成物に、溶剤としてトルエン290gを加え、さらにアルミナ(商品名:アドマファインAO−502、平均粒子径:約0.7μm、(株)アドマテックス製)を395g及び、二酸化チタン(商品名:PF−691、平均粒子径:約0.2μm、(株)石原産業製)を10g加えて、シンキーミキサーで撹拌し、シリコーン樹脂組成物のトルエン分散液を調製した。
このトルエン分散液に製造例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A1)を浸漬することにより、トルエン分散液を前記表面処理ガラス繊維フィルムに塗工させた。この表面処理ガラス繊維フィルムを110℃で8分間放置することによりトルエンを蒸発させた未硬化状態(Aステージ状態)のプリプレグを得た。このプリプレグは、室温で固体の皮膜が形成されていた。このプリプレグ2枚を熱プレス機にて160℃で20分間、その後200℃で70分間加圧成型して複合積層基板(E−1−1)を得た。また、このプリプレグ2枚を銅箔(古河電気工業製、厚さ35μm)2枚の間に挟み、熱プレス機にて160℃で20分間、その後200℃で70分間加圧成型して銅張複合積層基板(E−1−2)を得た。
4.外観
得られた複合積層基板の表面を目視で観察することで、繊維の目開き、捩れの有無を確認した。
5.耐熱性
得られた複合積層基板に対してIRリフロー装置により260℃、60秒間のIRリフロー処理を行った後、表面の色の変化を目視で観察した。
6.IRリフロー試験後の反り
得られた銅張複合積層基板を用いて図1で示すような形状の基板(縦50mm×横100mm)を作製した。作製した基板に対し、IRリフロー装置(装置名:TNR15−225LH、(株)田村製作所製)により260℃、60秒間のIRリフロー処置を行った後の基板の長手方向の反り(単位mm)を測定した。
これらの各測定結果を表2に示す。
(実施例2)
合成例2で得られたオルガノポリシロキサン樹脂(a2):71g、合成例3で得られたハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b1):129gを用い、その他は実施例1と同様に、複合積層基板(E−2−1)及び銅張複合積層基板(E−2−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例3)
合成例1で得られたオルガノポリシロキサン樹脂(a1):95g、合成例4で得られたハイドロジェンポリシロキサン樹脂(b2):105gを用い、その他は実施例1と同様に、複合積層基板(E−3−1)及び銅張複合積層基板(E−3−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例4)
製造例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A1)の代わりに製造例2で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A2)を用い、その他は実施例1と同様に、複合積層基板(E−4−1)及び銅張複合積層基板(E−4−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例5)
製造例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A1)の代わりに製造例3で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A3)を用い、その他は実施例1と同様に、複合積層基板(E−5−1)及び銅張複合積層基板(E−5−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例6)
製造例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A1)の代わりに製造例4で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A4)を用い、その他は実施例1と同様に、複合積層基板(E−6−1)及び銅張複合積層基板(E−6−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(比較例1)
製造例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A1)の代わりに、表面処理されていないガラス繊維(B3)を用い、その他は実施例1と同様に、複合積層基板(F−1−1)及び銅張複合積層基板(F−1−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。以下、測定結果を表3に示す。
(比較例2)
製造例1で得られた表面処理ガラス繊維フィルム(A1)の代わりに、表面処理されていないガラス繊維(B3)を用い、その他は実施例2と同様に、複合積層基板(F−2−1)及び銅張複合積層基板(F−2−2)を得た。得られた複合積層基板と銅張複合積層基板を用いて、実施例2と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(比較例3)
有機ケイ素化合物で処理されていないガラス繊維(B3)を用いて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(製品名:EPICRON N−695、(株)DIC製)10質量部、フェノールノボラック樹脂(製品名:PHENOLITE TD−2090、(株)DIC製)5質量部、イミダゾール系触媒(製品名:2E4MZ、(株)四国化成製)0.1質量部、球状シリカ(製品名:SC−2050−SE、(株)アドマテックス製)85質量部及びMEK溶剤50質量部からなるエポキシ樹脂組成物のスラリー溶液に含浸し、100℃10分間乾燥し、未硬化状態のエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを得た。得られた未硬化状態のエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを4枚用い、実施例1と同様の方法でガラスエポキシ基板(F−3−1)と銅張ガラスエポキシ基板(F−3−2)を得た。得られたガラスエポキシ基板と銅張ガラスエポキシ基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
表2に示すように、実施例1〜6は、良好なガラス繊維フィルムを用いることで、ガラス繊維の目開きや捩れがない基板を得ることができる。そのため、内在する応力により基板自身にも捩れ、反りの発生が抑制され、IRリフロー試験においても良好な結果を示すことが明らかになった。加えて、有機ケイ素化合物で表面処理されたガラス繊維フィルムを用い、フィルムを塗工する熱硬化性樹脂組成物がシリコーン樹脂組成物からなるため、高い耐変色性を有することが明らかになった。
一方、表3に示すように、表面処理を施していないガラス繊維を用いた比較例1,2では、ガラス繊維に目開きや捩れが発生し、IRリフロー試験において反りが発生した。また、市販の白色ガラスエポキシ基板を用いた比較例3では、エポキシ樹脂の作用によりIRリフロー試験において良好な結果を示したが、変色が発生した。
以上の結果から、本発明の金属張複合積層基板は、ガラス繊維の目開きや捩れが発生しない均一、均質な絶縁層を有し、耐熱性、寸法安定性、耐変色性に優れた基板であることが明らかになり、高融点の鉛フリー半田を適用した、もしくは高性能素子を使用した高耐熱性が要求される分野の半導体装置用基板に好適に用いることが示唆された。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (6)

  1. 表面処理ガラス繊維フィルムを用いたプリプレグを1枚、もしくは複数枚積層させたものを含む複合積層基板であって、
    前記プリプレグが前記表面処理ガラス繊維フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗工し乾燥させた未硬化状態のものであり、JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理ガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理のガラス繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記プリプレグ又はその積層体の片面もしくは両面に金属層を有し、
    前記表面処理ガラス繊維フィルムが、ガラス繊維を含むものであり、該ガラス繊維の一部又は全部が有機ケイ素化合物の硬化物で結束及び表面処理されたものであり、
    前記有機ケイ素化合物の付着量は、前記表面処理ガラス繊維フィルムの100質量%に対して、4.5質量%以上90質量%以下であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物がシリコーン樹脂組成物であることを特徴とする金属張複合積層基板。
  2. 前記シリコーン樹脂組成物が、下記(A)〜(C)成分を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の金属張複合積層基板。
    (A)下記平均組成式で示されるオルガノポリシロキサン、
    (SiO(R 1−m SiO1.5(R 2−n SiO)(R 3−L SiO0.5
    (式中、Rは炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、m=0〜1、n=0〜2、L=0〜3、かつ1≦m+n+L≦6であり、a、b、c、及びdは、それぞれ、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9、a+b>0、かつa+b+c+d=1を満たす数である。)
    (B)ヒドロシリル基を1つ以上含有するハイドロジェンポリシロキサン、及び
    (C)硬化有効量の白金系触媒
  3. 前記熱硬化性樹脂組成物が、充填剤を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属張複合積層基板。
  4. 前記充填剤が白色顔料を含有するものであることを特徴とする請求項3に記載の金属張複合積層基板。
  5. 前記金属層が、金属メッキ、金属箔、及び金属板のいずれかによって形成されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属張複合積層基板。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属張複合積層基板を用いて作製されるものであることを特徴とする半導体装置。
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