JP2005213693A - 耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体および耐熱性繊維強化複合材料 - Google Patents

耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体および耐熱性繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族ポリアミド繊維などの耐熱性繊維の特徴を阻害することなく、マトリックス樹脂に対して優れた密着性を示し、かつ吸水率が少なく寸法安定性、電気絶縁性を向上させた耐熱繊維強化複合材料用繊維構造体、これを用いて得られる耐熱性繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】目付が100〜1,000g/m2の芳香族ポリアミドからなる繊維構造体の表面に、シラン系コート剤が塗布され、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化されている耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体、これと熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とを複合化してなる耐熱性繊維強化複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合材料として用いたときに、マトリックス樹脂に対して優れた密着性を示し、かつ吸水率が少なく寸法安定性に優れた耐熱性繊維強化複合材料が得られる耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体およびこれを用いた耐熱性繊維強化複合材料に関する。
芳香族ポリアミド繊維、ポリベンザゾール繊維などの耐熱性繊維は、高強度、高弾性率および優れた耐熱性を有する有機高分子材料であることから、この耐熱性繊維を強化材として用いて、マトリックスを熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とした繊維強化複合材料が自動車、建築、土木、電気など種々の分野で使用され、その他の分野でもその活用が望まれている。
しかしながら、耐熱性繊維、中でも芳香族ポリアミド繊維は、他の汎用樹脂補強用繊維であるガラス繊維や炭素繊維に比べて、樹脂との親和性に劣ることが知られており、また上記汎用樹脂補強用繊維に比べて水分率が高いことから、マトリックス樹脂を含浸する際に気泡が生じ、また樹脂含浸後の複合材料の水分率が高くなり、寸法安定性、電気絶縁性が低下するため、種々の分野への展開が思うように進んでいないのが現実である。
例えば、マトリックスとの親和性向上に関しては、ガラス繊維であればシランカップリング剤の表面処理が施される。炭素繊維であればプラズマ処理や陽極酸化の手法が用いられる。
芳香族ポリアミド繊維では、今までに種々の化学処理[非特許文献1(A. S. Hoffmann, T. S. Keller,A. Miyake, B. D. Ratner, B. J. Mc Elory, The 3rd Pacific Chemical Engineering Congress (1983))、非特許文献2(M. Takayanagi, T. Kajiyama, T. Katayose, J. Appl.Polym. Sci., 27, 3903 (1977))]やプラズマ処理による化学的表面処理[非特許文献3(H. Ishida, G. Kumar, Molecular Characterization of Composite Interfaces, Prenum Press (1985))]が試みられてきた。
しかしながら、このような処理では、過度の反応による繊維の劣化が見られるとともに、プラズマ処理では表面改質基の経時退行が短期的に生じるといった問題がある。
一方、化学処理以外にも、これまで芳香族ポリアミド繊維の表面をエッチングする方法としてプラズマ放電[特許文献1(特公平1−12867号公報)]やエキシマレーザー[特許文献2(特開平4−136267号公報)]による表面処理加工法が知られている。
しかしながら、これらの方法も、表面形態を変化させる際に表面の結晶性の低下を招き、高強度、高弾性率および耐熱性を阻害する。上記のような表面処理は、結晶性の高い芳香族ポリアミド繊維では表面近傍で著しい結晶性の低下とともに繊維のフィブリル化現象が顕著になることが知られている。その結果、複合材料に用いられた際に、フィブリル化による繊維破損を招きやすい。界面の接着性を向上させてもフィブリル化による繊維脆化が複合材料特性の低下につながることが知られている。
表面を直接化学的に物理的にあるいは形態的に変化させない方法として、例えばエポキシ樹脂を直接繊維に被覆する方法[特許文献3(特開昭56−94640号公報)]が知られている。この方法では、被覆材料と繊維間の結合様式に関して積極的に工夫がないので、被覆材料が溶解する場合には親和性の改善効果が発現しないという問題があった。また、被覆する際に多量の有機溶媒を必要とするので、工業的にも、資源的にも、環境安全的にも実用化には問題が生じる。
通常、芳香族ポリアミド繊維の実用的表面処理は、紡糸時に付与される油剤を抽出で取り除くことによって界面強度を向上させるという方法が取られている。この手法は、単に界面で潤滑剤として働く油剤を取り除くだけであり、極めて消極的な処理である。しかしながら、界面の接着性は十分でないものの、少なくとも芳香族ポリアミド繊維の結晶性や配向性を損なわないで高分子系複合材料を作製できる。
このように芳香族ポリアミド繊維では、高い結晶性、配向性によって高強度、高弾性率、耐熱性を有する繊維強化複合材料が期待される反面、芳香族ポリアミド繊維表面が不活性であるために繊維とマトリックス樹脂界面に十分な強度、接着性が乏しくなる。不活性な表面を活性にする上記の方法は、いずれも表面を活性化するとともに繊維構造の結晶性、配向性を低下させるため、結果的に複合材料の特性もそれに対応して著しく低下することになる。
繊維強化複合材料において、繊維とマトリックス樹脂の親和性および接着性が低い場合には、単に複合材料の機械的特性だけでなく、繊維とマトリックス樹脂間の界面に水分が浸透するため、吸湿性が高い芳香族ポリアミド繊維では複合材料の電気特性のみならず、寸法安定性の低下、引いてはマトリックス樹脂の微視破壊すら引き起こす可能性がある。
A. S. Hoffmann, T. S. Keller,A. Miyake, B. D. Ratner, B. J. Mc Elory, The 3rd Pacific Chemical Engineering Congress (1983) M. Takayanagi, T. Kajiyama, T. Katayose, J. Appl.Polym. Sci., 27, 3903 (1977) H. Ishida, G. Kumar, Molecular Characterization of Composite Interfaces, Prenum Press (1985) 特公平1−12867号公報 特開平4−136267号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑み、芳香族ポリアミド繊維などの耐熱性繊維の特徴を阻害することなく、マトリックス樹脂に対して優れた密着性を示し、かつ吸水率が少なく寸法安定性を向上させた耐熱性繊維強化複合材料が得られる耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体、およびこれを用いた耐熱性繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、目付が100〜1,000g/m2の芳香族ポリアミドからなる耐熱性繊維構造体(以下、単に「繊維構造体」ともいう)の表面に、下記式1で表される化合物を主成分とするシラン系コート剤が塗布され、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化されていることを特徴とする耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体(以下、単に「複合材料用繊維構造体」ともいう)、ならびにこの複合材料用繊維構造体と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とからなる耐熱性繊維強化複合材料(以下、単に「複合材料」ともいう)に関する。
Figure 2005213693
(式1において、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ同一または異なり、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10の数を示す。)
本発明によれば、従来の有機耐熱性繊維からなる複合材料が有する諸問題、特に繊維構造体とマトリックス樹脂との接着性が改良され、かつ吸湿を低減させた耐熱性繊維強化複合材料を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリアミドからなる耐熱性繊維構造体は、芳香族ポリアミド繊維を主成分とする織物状、不織布状、編物状、メッシュ状、一方向引き揃えシート状物から選ばれる1種または2種以上の材料を組み合せたものである。
本発明に用いられる芳香族族ポリアミドからなる耐熱性繊維構造体の目付は、100〜1,000g/m2、好ましくは110〜800g/m2でなければならない。目付が100g/m2未満の場合は、該繊維構造体の柔軟性を保持しつつ、接着性向上と低水分率化を両立させることが難しく、例えば複雑な形状を有し、形状追従性が求められる複合材料などに用いた場合に効果が十分に発揮されない可能性があるため、本発明においては好ましくない。一方、1,000g/m2を超えると、該繊維構造体自体の柔軟性が乏しく、また、コーティングによって繊維表面に均一な被膜を形成することが難しく、繊維構造体の柔軟性を損なう可能性があるため本発明においては好ましくない。
本発明で用いる芳香族ポリアミド繊維とは、ポリアミドを構成する繰り返し単位の80モル%以上好ましくは90モル%以上)が、下記式(1)で表される芳香族ホモポリアミド、または、芳香族コポリアミドからなる短繊維である。ここでAr1、Ar2は、芳香族基を表し、なかでも下記式(2)から選ばれた同一の、または、相異なる芳香族基からなるものが好ましい。ただし、芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。
−NHAr1−NHCO−Ar2−CO− ………(1)
Figure 2005213693
このような芳香族ポリアミド繊維の製造方法や繊維特性については、例えば、英国特許第1501948号公報、米国特許第3733964号明細書、同第3767756号明細書、同第3869429号明細書、特開昭49−100322号公報、特開昭47−10863号公報、特開昭58−144152号公報、特開平4−65513号公報などに記載されているものが使用できる。
また、該芳香族ポリアミド短繊維の中で耐熱性の優れたものとして、パラ型芳香族ポリアミド短繊維が挙げられるが、これは上記芳香族ポリアミドの延鎖結合が共軸または平行で、かつ、反対方向に向いているポリアミドからなる短繊維であり、例えば、上記Ar1、Ar2の80モル%以上がパラ配位の芳香族基である短繊維が例示される。
具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短繊維[例えば、デュポン(株)製、「ケブラー」]、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維[例えば、帝人(株)製、「テクノーラ」]などが例示され、特に後者は、比較的水分率が少ないので複合材料にしたときの水分率を低減させる効果を発現しやすいのでより好ましい。
本発明の複合材料用繊維構造体は、上記芳香族ポリアミドからなる繊維構造体の表面に、上記式1で示される化合物を主成分とするシラン系コート剤が塗布され、触媒の作用で硬化・固化させて、表面形成されていることを特徴とする。
式1において、R1,R2,R3およびR4は、それぞれ同一または異なっても良い、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10の数である。
式1の化合物を芳香族ポリアミドからなる繊維構造体の表面に塗布することにより、芳香族ポリアミド繊維とマトリックス樹脂との親和性が向上し、加熱加圧成形などの方法により形成された複合材料の接着性の向上および水分率の低下が可能となる。このように、本発明は、上記目的を達成するため、式1で示される化合物を使用することに特徴を有する。
かかる化合物は、単量体(例えば、メチルトリメトキシシラン)を縮合することにより得ることができる。主鎖の繰り返しがn=2〜10であるのは、n=1、すなわち単量体を用いると、ポリマー化に時間が掛かかり、短時間で十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難となり、接着力の低下を及ぼすからである。しかしながら、nが11以上となると、逆に、繊維に塗布したときに、繊維上でのポリマー化のためのアルコキシ基などの数が不足して、十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難になる。その場合にも最終的に十分な接着力は得られない。したがって、本発明において、n=2〜10、中でもn=2〜8の縮合体である。
なお、一般に単量体から式1のような縮合体を合成する場合、その重合度を正確に制御することは、技術的にいって、事実上不可能である。したがって、本発明でn=2〜10、好ましくはn=2〜8のものを使用するとの意味は、重合度の分布から見て、主としてnが2〜10、好ましくは主として2〜8のものが含まれているようなコート剤を使用することに他ならず、例えばnが11以上である化合物が含まれていたとしても、差し支えない。
式1で示される化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシランなどの縮合体を例示できる。なお、式1の化合物は、かかる単量体の1種類のみを縮合したものであっても、また上記例示した単量体の2種類以上を縮合したものであっても良い。
なお、式1の化合物における加水分解不可能な置換基(R4)の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、同時にコート膜に吸水して接着力を低下させることの無いよう、コート膜に撥水性を付与するために、R4はアルキル基とすることが好ましい。一般に有機性置換基は、炭素数が増えるほど、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、アルキル基の炭素数や式1の化合物(縮合体)を構成する各単量体の種類・量は、予備的な製造試験を行うなどして決定することが好ましい。
本発明では、式1の化合物に加え、下記式2の化合物(以下「化合物2」ともいう)および/または下記式3の化合物(以下「化合物3」ともいう)を含むコート剤を用いることができる。
Figure 2005213693
(式2において、R5,R6およびR7はそれぞれ同一または異なり、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、R8はその分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。)
Figure 2005213693
(式3において、R9およびR11はそれぞれ同一または異なった、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、R10およびR12はその分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。)
ここで、式2の化合物は、かかる単量体の2種以上であっても良い。また、式2の化合物は、かかる単量体の1種または2種以上を縮合した、2分子以上の縮合体であっても良い。ただし、式1に示す化合物は除く。
本発明では、式1の化合物に加え、上記式2の化合物を含むコート剤を使用することにより、これを使用せずに製造した複合材料用繊維構造体に比べて、式2の化合物が有する有機性などの性質を新たに付与できる。このため、本発明の複合材料用繊維構造体において、処理を行なった繊維構造体とマトリックス樹脂との接着性を大きく向上させる効果を付与することができる。かかる目的で加えられる式2の化合物は、4個の置換基のうち、3個が加水分解可能な置換基であり、残り1個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。
式2において、R5,R6およびR7は、それぞれ同一または異なっていても良い、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基であり、R8は、その分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、炭素数が1〜10のアルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。
式2で示される化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シランなどの単量体や、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シランなどの2〜10分子程度の縮合体を例示できる。
また、本発明では、式1の化合物を含むコート剤に加え、また、式1の化合物および式2の化合物の両方を含むコート剤に加え、さらに、上記式3の化合物を添加したコート剤を使用することによって、これを使用せずに製造した複合材料用繊維構造体に比べて、式3の化合物が有する有機性などの性質を新たに付与したり、または、有機性などの性質を増加することが可能である。このため、得られる複合材料において、処理を行なった繊維構造体とマトリックス樹脂との接着性を大きく向上させる効果を付与することができる。
式3の化合物は、4個の置換基のうち、2個が加水分解可能な置換基であり、他の2個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。式3において、R9およびR11は、それぞれ同一または異なっていても良い、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基であり、R10およびR12は、その分子内にエポキシ基またはグリシジル基を含んでいても良い、炭素数が1〜10のアルキル基、アルケニル基またはフェニル基である。
式3で示される化合物としては、具体的に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどや、これらの2〜10分子程度の縮合体を例示できる。なお、式3の化合物は、かかる単量体の2種以上であっても良く、また2分子以上の縮合体を使用する場合にも、かかる単量体の2種以上の縮合体であっても良い。
上記したような、式2の化合物または式3の化合物のいずれかをコート剤に添加することで、繊維のコート膜に対し、特に樹脂との接着性を増加させることができるが、式2および式3の化合物の両者をコート剤に添加すれば、コート膜の有機性をさらに向上させ、結果的に複合材料用繊維構造体の撥水性などをさらに向上できる。換言すれば、撥水性の向上により、低吸湿性を実現することができる。
式2の化合物および/または式3の化合物は、コート剤の主成分である、上記式1で示される化合物に対し、一般的には総量が50重量%を超えない範囲にてコート剤に添加することが好ましい。両者(化合物2〜3)の合計添加量がこの範囲を超えると、コート剤を繊維構造体に塗布したときに、主成分である式1の化合物との間でうまく結合せず、コート膜の強度が不十分となる可能性があるからである。したがって、実際に式2の化合物および/または式3の化合物を添加する場合には、添加量に依存してコート膜の強度が低下することを想定し、本明細書の実施例を参照しつつ、予備的な製造試験を行うなどして、目的を達成し得る添加量の範囲を明らかにしたうえで、添加を最小限に抑えるようにすることが好ましい。
なお、式2の化合物および式3の化合物における加水分解不可能な置換基(R8、R10、R12)の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、これらはアルキル基などの有機性置換であるため、同時にコート膜に撥水性を付与する役割をも果たす。一般に、有機性置換基は、炭素数が増えるほど、有機性、すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、有機性置換基の炭素数や式2および/または式3の化合物(縮合体を含む)を構成する各単量体の種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行うなどして決定することが好ましい。
ところで、耐熱性があり強力の強いシロキサン結合は、一方でいわゆる「硬い」結合でもある。しかしながら、繊維は、通常、柔軟性を有する必要があり、コート素材には、時としてその素材である繊維と同様な柔軟性が求められる。
従来から一般に用いられているゾル・ゲルコート剤は、出発原料にテトラアルコキシシラン[Si(OR)4]やそのオリゴマー体が用いられる。このものを完全に加水分解反応[下記反応式1における(1)〜(3)]させてコート膜を形成させると、ケイ素原子の4個の結合全てが硬いシロキサン結合のネットワークを形成し、セラミックと同様に硬いが、しかし、柔軟性に欠けた脆い膜となってしまうため、繊維などの柔軟性を生かした膜材を製造することは事実上不可能であった。
しかしながら、本発明は、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解されない式1の化合物をコート剤の主成分に用いることで、この課題を解決したものである。また、本発明では、加水分解されない置換基を1個または2個有する式2の化合物と式3の化合物をコート剤に添加することにより、さらに柔軟性を増すことが可能となる。
以上の式1で示される化合物(化合物2〜3を含む、以下同じ)を硬化・固化させる触媒としては、得られるコート剤が長期保存可能であるという観点から、加水分解可能な有機金属化合物を用いると良い。
有機金属化合物を式1の化合物(化合物2〜3を含む)と混合してコート剤とし、これを繊維構造体に塗布すると、繊維上の水分または空気中の水分(湿気)を吸い、有機金属化合物が自ら加水分解するが、このとき、式1の化合物とネットワークを形成し、式1の化合物(化合物2〜3を含む)が硬化・固化する。そのため、平衡水分率の比較的高い芳香族ポリアミド繊維に処理を行なう際には、繊維の水分で有機金属化合物の加水分解を起こし、式1の化合物を硬化・固化するため、有機金属化合物が加水分解の際に必要な水分が芳香族ポリアミド繊維から取り出されるとともに、繊維表面全体が均一に撥水性のネットワークを形成し、それ以上、吸水・吸湿することがなくなる。このようにして、繊維の低水分率化が可能となる。
本発明において好ましく用いられる有機金属化合物としては、例えばチタン、ジルコニウム、アルミニウムまたはスズを含むものを例示できる。より具体的には、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネート、トリプロポキシアルミネート、アルミニウムアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジラウレートなどを例示できる。
以上の触媒(有機金属化合物)の使用量は、式1で表される化合物(化合物2〜3を含む)100重量部に対し、通常、1〜30重量部、好ましくは4〜10重量部である。
また、本発明において、塗布するコート剤には、式1の化合物(化合物2〜3を含む)と触媒を均一に混合させるため、有機溶剤を添加することができる。この目的で使用される有機溶剤としては、アルコール類を例示できる。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールまたはヘキサノールなどを例示できる。また、その添加量を制御することによって、コート剤の粘度や乾燥速度の調整も可能である。
このような調整の目的では、特に、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノールまたはブトキシプロパノールなどのセルソルブ類などの粘度や沸点の高い有機溶剤を単独または2種以上混合して使用することが好ましい。むろん、上記粘度や沸点の高い有機溶媒の1種以上と共に、上記アルコール類を同時に添加しても良い。なお、コート剤の粘度や乾燥速度の調整を目的とする場合は、上記有機溶媒のみならず、界面活性剤によっても同様の効果を達成することができる。
特に、上記したグリコール類やセルソルブ類は、その分子内に水酸基を有しているため、式1の化合物(化合物2〜3を含む)の縮合反応によって形成されるシロキサン結合のネットワーク内に導入されることがある。グリコール類やセルソルブ類は有機性を有しているため、これが導入されることにより、得られるコート膜の有機性が増す、すなわちコート膜の有機性が増すことになる。また、コート膜の有機性が増すことにより、マトリックス樹脂との親和性が向上し、接着力が向上する傾向がみられる。
また、本発明のコート剤(後記する添加剤を含む)の固形分濃度は、通常、10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。
なお、本発明のコート剤には、顔料、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、硬化剤、消泡剤、防カビ剤などの添加剤を配合することができる。
これらの添加剤は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。
本発明の複合材料用繊維構造体は、芳香族ポリアミドからなる繊維構造体に本発明のコート剤を塗布されてなり、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用により硬化・固化されているものである。
具体的な塗布の方法は、特に制限されないが、例えば、コート剤に繊維構造体を浸漬したり、コート剤を繊維構造体に塗りつけたり、あるいはコート剤を繊維構造体に吹き付けたりすることにより行い得る。
なお、繊維構造体にコート剤を塗布後、乾燥・熱処理を施し、該コート剤を硬化・固化させる。
この硬化・固化のための乾燥・熱処理条件は、通常、温度30〜250℃、好ましくは120〜230℃、時間1〜30分、好ましくは1〜10分である。
繊維構造体に対する本発明のコート剤の付与量は、固形分換算で、通常、0.001〜15g/m2、好ましくは0.01〜10g/m2である。
上記のように、繊維構造体に、コート剤を塗布すると、式1の化合物が加水分解し、下記反応式1の(1)〜(3)に示した反応を経て、シロキサン結合(Si-O-Si)が生成する。
反応式1;
(1)Si−OR+H2O → Si−OH+ROH
(2)Si−OH+HO−Si → Si−O−Si+H2
(3)Si−OH+RO−Si → Si−O−Si+ROH
このようにして生成したシロキサン結合(Si-O-Si)内のSi-Oの結合エネルギーは106kcal/molである。一方、有機化合物の典型的な結合であるC-C結合の結合エネルギーは82.6kcal/molである。したがって、式1の化合物が加水分解することによって生成する、シロキサン結合を有するガラス質のコート膜は、有機化合物に比べ、はるかに熱的安定な結合を有していることが分かる。この熱的安定な結合により、本発明により形成されるコート膜は耐熱性に優れたものとなり、その結果、耐熱性に優れた複合材料用繊維構造体、ひいてはこれを用いた耐熱性繊維強化複合材料の製造も可能となる。
また、本発明のコート剤が、触媒として上記した有機金属化合物(例えばテトラブトキシチタニウムなど)を含む場合は、コート剤中に反応水が含まれなくとも、上記の反応式1における(1)〜(3)の反応が進行するのであるが、この場合の反応は、詳しくは下記反応式2における(4)および(5)のようになる。
反応式2;
(4)Ti−OR+H2O → Ti−OH+ROH
(5)Ti−OH+RO−Si → Ti−O−Si+ROH
上記のように、Ti-O結合がコート膜内に導入されることにより、シロキサン結合のみのコート膜に比べ、さらに耐熱性および強力を向上することができる。このように、触媒として有機金属化合物を使用すると、反応水を共存させる必要が無いばかりでなく、コート膜の耐熱性・強力をさらに向上させ、そして結果的には得られる複合残留用繊維構造体の接着力、耐熱接着力をよりいっそう向上させることできるのである。
このようなシラン系コート剤が塗布され、該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化された芳香族ポリアミドからなる複合材料用繊維構造体の嵩密度は、通常、0.1〜1.05g/cm3、好ましくは0.2〜1.0g/cm3である。該繊維構造体の嵩密度が0.1g/cm3未満の場合には、芳香族ポリアミドからなる複合材料用繊維構造体による補強効果が得られないため好ましくない。一方、嵩密度が1.05g/cm3を上回る場合には、繊維構造体を構成する単繊維どうしが近接もしくは密着している部分が多くなるため、該繊維構造体を構成する単繊維一本一本の表面に均一にシラン系コート被膜を形成することが難しくなるため、好ましくない。
このような複合材料用繊維構造体とマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とからなる耐熱性繊維強化複合材料の製造方法には特に制限はなく、目的とする形状や、マトリックス樹脂の種類に応じてハンドレイアップ法、コールドプレス法、レジンインジェクション法、BMC法、SMC法などから最適な成形方法を適用すればよい。
ここで、本発明の繊維強化複合材料に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが、また熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂などが用いられる。
また、この場合、複合材料用繊維構造体とマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の重量比(複合材料用繊維構造体/マトリックス樹脂)は、通常、5/95〜80/20、好ましくは10/90〜70/30である。
このようにして得られる本発明の繊維強化複合材料の下記方法で測定された平衡水分率は、1%以下、好ましくは0.001〜0.8%である。1%を超えると、成形体内部に存在する気泡により、環境の変化によって成形体が変形を生じる可能性があるため好ましくない。この平衡水分率は、コート剤の固形分の濃度を変更することにより、容易に調整することができる。
<吸水率の測定方法>
プレッシャークッカーにて温度121℃、湿度100%RH、圧力2atm雰囲気中で200時間処理した後の重量M1を計測し、その後、温度105℃で2時間乾燥し、デシケーター中で30分間徐冷した後の重量M0から、下記式によって算出した値を吸水率とする。
(吸水率)=[(M1−M0)/M0]×100 (%)
上記の方法により製造された耐熱性繊維強化複合材料は、上記複合材料用繊維構造体とマトリックス樹脂との接着性が向上し、かつ低吸湿であることから、寸法安定性、電気絶縁性に優れ、自動車、船舶などの筐体、プリント基板などの電気絶縁材料、その他種々の分野へ好適に使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例で用いた試験片の作成方法、およびその評価方法は下記のとおりである。
(1)アルコキシシラン縮合体の製造
以下のようにして、メチルトリメトキシシラン縮合体(MTM)、エチルトリメトキシシラン縮合体(ETM)およびメチルトリエトキシシラン縮合体(MTE)を合成した。
(a)MTMの合成
500ml三つ口フラスコに、メチルトリメトキシシラン181g、メタノール50gおよび純水18gを加え十分に攪拌した。さらに61重量%硝酸2gを加え攪拌しながら3時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反応容器内を減圧にしメタノールを除去した。このようにして得られたMTMは、ガスクロマトグラフィー分析により3〜4量体が中心であった。
(b)ETMの合成
500ml三つ口フラスコに、エチルトリメトキシシラン200g、メタノール50gおよび純水18gを加え十分に攪拌した。さらに61重量%硝酸2gを加え攪拌しながら7時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反応容器内を減圧にしメタノールを除去した。このようにして得られたETMは、ガスクロマトグラフィー分析により3〜4量体が中心であった。
(c)MTEの合成
500ml三つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン273g、エタノール50gおよび純水18gを加え十分に攪拌した。さらに61重量%硝酸2gを加え攪拌しながら12時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反応容器内を減圧にしエタノールを除去した。このようにして得られたMTEは、ガスクロマトグラフィー分析により3〜4量体が中心であった。
(2)コート処理された芳香族ポリアミドからなる複合材料用繊維構造体の製造
まず、芳香族ポリアミドからなる繊維構造体を準備し、各コート剤または処理液に10秒間浸漬した。過剰のコート剤を十分に絞った後、最初130℃で1分、次いで230℃で1分乾燥を行いコート処理された芳香族ポリアミドからなる繊維構造体を製造した。
(3)耐熱性繊維強化複合材料の製造
上記(2)で作成されたコート処理された繊維構造体を基材として用い、該基材に高純度のブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に硬化剤としてジシアンジアミド、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを配合してなるエポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトンとメチルセロソルブの混合溶液に溶解して得た配合ワニスを含浸させた後、110〜120℃の温度で5〜15分間乾燥して、Bステージのプリプレグシートを作成した。
さらに、上記プリプレグを、厚さが1.5〜2.0mmとなるように必要な枚数を重ね、その両面に厚さ:18μmの電解銅箔を重ね、圧力:20〜50kg/cm2、積層温度:170℃の範囲で50分間熱圧着処理を行い、さらに200℃の熱風乾燥機内で約20分間硬化処理を行い、芳香族ポリアミド繊維からなる耐熱性繊維強化複合材料を製造した。
(4)耐熱性繊維強化複合材料の吸水率
上記(3)で得た複合材料の表面の銅箔を全面エッチングし、水洗・風乾した後、プレッシャークッカーにて温度121℃、湿度100%RH、圧力2atm雰囲気中で200時間処理した後の重量M1を計測し、その後温度105℃で2時間乾燥し、デシケーター中で30分間徐冷した後の重量M0から、下記式によって算出した値を吸水率とする。
(吸水率)=[(M1−M0)/M0]×100 (%)
(5)耐熱性繊維強化複合材料の銅箔引き剥がし強度
上記(3)で得た複合材料を用い、JIS C 6481−1996の5.7に準拠して銅箔引き剥がし強度を測定し、また複合材料側の剥離面観察から剥離界面を確認した。
実施例1
上記(1)の(a)で作成したMTM19.0重量部、溶剤としてイソプロピルアルコール18.0重量部およびエチレングリコール2.0重量部、触媒としてテトラブトキシチタニウム0.8重量部を混合し、コート剤を調製した。
芳香族ポリアミドからなる繊維構造体として、目付162g/m2、厚さ0.24mmであり、繊度1,100dtexの繊維をタテ、ヨコ共に18本/吋で配列した、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド[帝人テクノプロダクツ(株)製、テクノーラ]からなる平織物を用いて、上記(2)に示す方法でコート処理を行い、その後上記(3)に示す方法にて、全重量におけるコート繊維素材の比率が40重量%の複合材料を作成した。
この複合材料について上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
実施例2
実施例1において、上記(1)の(a)で作成したMTMを14.0重量部、化合物としてフェニルトリメトキシシランを5.0重量部、溶剤としてイソプロピルアルコールのみを20.0重量部とした以外は、実施例1と同様に行って複合材料を作成した。
この複合材料について上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
実施例3
実施例2において、MTMをETMに変更した以外は、実施例2と同様に行って複合材料を作成した。
この複合材料について上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
実施例4
実施例1において、MTMをMTEに変更した以外は、実施例1と同様に行って複合材料を作成した。
この複合材料について上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
実施例5
実施例1において、芳香族ポリアミドからなる繊維構造体として、目付170g/m2、厚さ0.25mmであり、繊度1,270dtexの繊維をタテ、ヨコ共に17本/吋で配列した、ポリパラフェニレンテレフタルアミド[カネボウ(株)製]からなる平織物を用いた以外は、実施例1と同様に行って、複合材料を作成した。
この複合材料について、上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
比較例1
実施例1において、耐熱性繊維からなる材料にコート処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に行って、複合材料を作成した。
この複合材料について、上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
比較例2
実施例5において、耐熱性繊維からなる材料にコート処理を行わなかった以外は、実施例5と同様に行って、複合材料を作成した。
この複合材料について、上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
比較例3
実施例1において、MTMをMS−51(コルコート社製の、テトラメトキシシランの平均重合度3〜4のオリゴマー体)に変更した以外は、実施例1と同様に行って、複合材料を作成した。
この複合材料について、上記(4)、(5)の測定法にて評価した諸特性は、表2に示すとおりであった。
なお、表1には、実施例1〜5および比較例1〜3に示した耐熱性繊維強化複合材料の主な構成成分を示した。











































Figure 2005213693
Figure 2005213693
本発明により製造された耐熱性繊維強化複合材料は、繊維構造体とマトリックス樹脂との接着性が向上し、かつ低吸湿であることから、寸法安定性、電気絶縁性に優れ、自動車、船舶などの筐体、プリント基板などの電気絶縁材料、その他種々の分野へ好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 目付が100〜1,000g/m2の芳香族ポリアミドからなる耐熱性繊維構造体の表面に、下記式1で表される化合物を主成分とするシラン系コート剤が塗布され、かつ該シラン系コート剤が触媒の作用で硬化・固化されていることを特徴とする耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体。
    Figure 2005213693

    (式1において、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ同一または異なり、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10の数を示す。)
  2. 芳香族ポリアミドからなる繊維構造体が、織物、不織布、編物、メッシュ、および一方向引き揃えシートの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体。
  3. 請求項1記載のシラン系コート剤を硬化・固化させる触媒として、加水分解可能な有機金属化合物を使用する請求項1記載の耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体。
  4. 嵩密度が0.10〜1.05g/cm3である請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の耐熱性繊維強化複合材料用繊維構造体と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とからなる耐熱性繊維強化複合材料。
  6. 下記方法にて測定された吸水率が1%以下である請求項5記載の耐熱性繊維強化複合材料。
    <吸水率の測定方法>
    プレッシャークッカーにて温度121℃、湿度100%RH、圧力2atm雰囲気中で200時間処理した後の重量M1を計測し、その後、温度105℃で2時間乾燥し、デシケーター中で30分間徐冷した後の重量M0から、下記式によって算出した値を吸水率とする。
    (吸水率)=[(M1−M0)/M0]×100 (%)
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