JP4899280B2 - 配線板用複合材料とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板用複合材料とその製造方法と、その材料を用いた配線板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータや、携帯電話の普及に伴い、これらに用いられるプリント配線板には高密度化が求められている。このような状況下、プリント配線板や金属張積層板にはこれまで以上の優れた信頼性が要求されている。特に、耐リフロー性に直接影響する耐熱性、耐湿性、耐電食性及び低応力性、層間や実装時の接続信頼性に直接影響する低熱膨張性などの向上が求められている。
【0003】
従来、無機材料を用いることで優れた耐熱性、耐湿性、耐電食性、低熱膨張係数が実現されており、さらに低価格で耐熱性、耐湿性、耐電食性を実現するために、有機材料と無機材料の両者の長所を活かす方法が検討されてきた。このような方法として、例えば、シランカップリング剤等の表面処理剤を使用することが挙げられる。シランカップリング剤は加水分解性のアルコキシ基に有機官能基が結合した構造を持ち、アルコキシ基が無機材料の表面と反応し、有機官能基が有機ポリマーと反応することによって、無機成分と有機成分を結合させ、無機材料と有機ポリマーとの密着性を高める作用を果たすことが知られている。
【0004】
各分野において無機材料と有機ポリマーとの密着性を高める性質が利用、応用されており、さらなる無機材料と有機ポリマー界面の接着性の向上について検討されている。例えば、無機材料と有機ポリマー界面との接着性を向上させる方法としては、通常のシランカップリング剤が有する有機官能基の種類や数を調整し有機ポリマーとの反応性を高める方法(特開昭63−230729号公報、特公昭62−40368号公報)があるが、有機ポリマーとの反応性を高くするだけではリジットな層ができるだけで、界面に生じる残留応力等の低減は困難であり接着性の顕著な向上は期待できない。
【0005】
界面の残留応力の低減も含めた改良方法としては、表面処理剤に加えて低応力化のために長鎖のポリシロキサンを併用するもの(特開平3−62845号公報、特開平3−287869号公報)があるが、通常の処理条件では表面処理剤と長鎖ポリシロキサンの反応性が非常に低いこと、また一般的な長鎖ポリシロキサンは無機材料と反応するアルコキシ基を有していないこと、長鎖ポリシロキサンが有するメチル基等の疎水性の影響により界面の高接着性を発現することは非常に困難である。
【0006】
これに対して、特開平1−204953号公報は、無機材料と反応するアルコキシル基及び有機ポリマーと反応する有機官能基を併せ持つ鎖状ポリシロキサンを用いることを特徴としている。しかしながら、このような鎖状ポリシロキサンでは鎖を長くした場合に、メチル基などの疎水性基の配向などにより、ポリシロキサン鎖が無機材料の表面に横向きとなる可能性が高いことから、樹脂中への鎖の入り込みは難しく、かつ数カ所で無機材料に物理的に吸着するためリジットな層を形成しやすいことから、鎖の長さに見合った界面の低応力化を実現するのは困難であった。
【0007】
また、長鎖状のポリシロキサンは物理的に吸着して大環状になりやすく、この大環状吸着物は有機ポリマー硬化物の物性低下を引き起こす原因となる可能性がある。上記の問題点を解決する手段として、ガラス基材等の基材を用いたプリプレグにおいては、無機材料表面の水酸基と反応する官能基及び有機ポリマーと反応する有機官能基を各々1個以上有する予め3次元縮合反応させたシリコーン重合体を分散剤、基材の表面処理剤として利用することが効果的であることが知られている。(特開平10−121363号公報、特開平11−60951号公報、特開平11−106530号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は無機材料と有機材料のそれぞれの長所をもつような絶縁材を備えた複合材料の提供を目的とし、優れた耐熱性及び耐湿性、耐電食性を実現し、かつ、優れた低応力性と低熱膨張係数を兼ね備えた配線板用新規複合材料を提供することを課題とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は優れた低応力性と低熱膨張係数を兼ね備えた樹脂組成物を用いた高い信頼性を実現する配線板用複合材料及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
本発明は以下に記載の各事項に関する。
(1)
無機質材料からなる層と、樹脂層とからなる配線板用複合材料であり、無機質材料と樹脂との熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下である配線板用複合材料。
(2)
無機質材料からなる層と、シリコーン重合体を含む樹脂層と、有機樹脂層からなる配線板用複合材料。
(3)
無機質材料が、金属である(1)または(2)に記載の配線板用複合材料。
(4)
金属が、銅である(3)に記載の配線板用複合材料。
(5)
無機質材料が、シリコンウェハである(1)または(2)に記載の配線板用複合材料。
(6)
無機質材料が、無機質絶縁材料である(1)または(2)に記載の配線板用複合材料。
(7)
シリコーン重合体を含む樹脂層が、さらに充填材を含む(1)〜(6)のうちいずれかに記載の配線板用複合材料。
【0011】
(8)
無機質材料からなる層に、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整した絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥する配線板用複合材料の製造方法。
(9)
無機質材料からなる層に、シリコーン重合体を含む接着ワニスを塗布・乾燥し、続いて有機樹脂層となる絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥する配線板用複合材料の製造方法。
(10)
シリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整する(9)に記載の配線板用複合材料の製造方法。
(11)
無機質材料が、銅であり、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整するために、熱硬化性樹脂100重量部に対して無機充填剤を100重量部以上配合する(9)に記載の配線板用複合材料の製造方法。
(12)
無機質材料が、銅であり、そのシリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整するために、熱硬化性樹脂100重量部に対して無機充填剤を100重量部以上配合する(9)に記載の配線板用複合材料の製造方法。
(13)
無機質材料が、セラミックスなどの無機質絶縁材料であり、そのシリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整するために、熱硬化性樹脂100重量部に対して無機充填剤を100重量部以上配合する(9)に記載の配線板用複合材料の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋭意検討の結果、無機質材料と、これに接する樹脂層との熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下である配線板用複合材料を用いることで、優れた低応力性をもち、耐湿性、難燃性などの配線板に求められる諸特性に優れた配線板を作製することが可能となる。基材としての取り扱い性を考慮すると、フィルム状に成形することが可能な樹脂を樹脂層として用いることが好ましい。また、熱膨張係数の差に起因する熱応力を効果的に抑えるためには、前記樹脂として、硬化後の引張り試験での伸びの値が1.0%以上である樹脂を用いることが好ましい。熱膨張係数は無機充填剤を配合することによって調整することができる。
【0013】
前記樹脂の具体例としては、主要成分である結合剤として、エポキシ基やアミノ基などに例示される熱硬化性官能基を有するシリコーン重合体(以下、熱硬化性シリコーン重合体と記載する。)を含有する樹脂を用いることができる。
【0014】
(熱硬化性シリコーン重合体)
ここで、熱硬化性シリコーン重合体は、一般式(I)
【0015】
【化1】
R′(H)SiX4−(m+k) (I)
(式中Xは、加水分解してOH基を生成する基であり、例えば、塩素、臭素等のハロゲン又は−ORを示し、ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルカルボニル基を示す。R′は、非反応性の基であり、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等のアリール基、kは1又は2、mは0又は1、m+kは1又は2を意味する)で表されるシラン化合物とヒドロシリル化反応剤とを反応させて得ることができるシリコーン重合体である。一般式(I)のシラン化合物は加水分解、重縮合によってSi−H基含有シリコーン重合体とされ、ヒドロシリル化反応剤をSi−H基含有シリコーン重合体のSi−H基との間でヒドロシリル化反応させて、熱硬化性官能基が導入された熱硬化性シリコーン重合体が得られる。
【0016】
一般式(I)のSi−H基含有シラン化合物に一般式(II)
【0017】
【化2】
R′SiX4−n (II)
(式中R′及びXは一般式(I)に同じであり、nは0〜2の整数を意味する。)
で表されるアルコキシシラン化合物を併用することができる。
【0018】
前記一般式(I)で表されるSi−H基含有シラン化合物は、具体的には
【0019】
【化3】
HCHSi(OCH、HCSi(OCH
CHSi(OCH、HCSi(OCH
HCHSi(OC、HCSi(OC
HCSi(OC、HCSi(OC
HCHSi(OC、HCSi(OC
HCSi(OC、HCSi(OC
HCHSi(OC、HCSi(OC
HCSi(OC、HCSi(OC
等のアルキルジアルコキシシラン
【0020】
【化4】
Si(OCH、HSi(OC
Si(OC、HSi(OC
等のジアルコキシシラン
【0021】
【化5】
HPhSi(OCH、HPhSi(OC、HPhSi(OC
HPhSi(OC
(ただし、Phはフェニル基を示す。以下同様)
等のフェニルジアルコキシシラン
【0022】
【化6】
Si(OCH、HSi(OC、HSi(OC
Si(OC
等のジアルコキシシランなどの2官能性シラン化合物(以下、シラン化合物における官能性とは、縮合反応性の官能基を有することを意味する。)
【0023】
【化7】
HSi(OCH、HSi(OC、HSi(OC
HSi(OC
等のトリアルコキシシランなどの3官能性シラン化合物などがある。
【0024】
一般式(II)で表されるシラン化合物は、具体的には、
【0025】
【化8】
Si(OCH、Si(OC
Si(OC、Si(OC
等のテトラアルコキシシラン
などの4官能性シラン化合物、
【0026】
【化9】
CSi(OCH、HSi(OCH
Si(OCH、HSi(OCH
CSi(OC、HSi(OC
Si(OC、HSi(OC
CSi(OC、HSi(OC
Si(OC、HSi(OC
CSi(OC、HSi(OC
Si(OC、HSi(OC
等のモノアルキルトリアルコキシシラン、
【0027】
【化10】
PhSi(OCH、PhSi(OC
PhSi(OC、PhSi(OC
(ただし、Phはフェニル基を示す。以下同様)
等のフェニルトリアルコキシシラン、
【0028】
【化11】
(HCCOO)SiCH、(HCCOO)SiC
(HCCOO)SiC、(HCCOO)SiC
等のモノアルキルトリアシルオキシシラン
【0029】
【化12】
ClSiCH、ClSiC
ClSiC、ClSiC
BrSiCH、BrSiC
BrSiC、BrSiC
等のモノアルキルトリハロゲノシランなどの3官能性シラン化合物、
【0030】
【化13】
(HC)Si(OCH、(HSi(OCH3)
(HSi(OCH、(HSi(OCH
(HC)Si(OC、(HSi(OC
(HSi(OC、(HSi(OC
(HC)Si(OC、(HSi(OC
(HSi(OC、(HSi(OC
(HC)Si(OC、(HSi(OC
(HSi(OC、(HSi(OC
等のジアルキルジアルコキシシラン、
【0031】
【化14】
PhSi(OCH、PhSi(OC
等のジフェニルジアルコキシシラン、
【0032】
【化15】
(HCCOO)Si(CH、(HCCOO)Si(C
(HCCOO)Si(C、(HCCOO)Si(C
等のジアルキルジアシルオキシシラン、
【0033】
【化16】
ClSi(CH、ClSi(C
ClSi(C、ClSi(C
BrSi(CH、BrSi(C
BrSi(C、BrSi(C
等のアルキルジハロゲノシランなどの2官能性シラン化合物がある。
【0034】
熱硬化性シリコーン重合体を製造する際には、前記一般式(I)で表されるSi−H基含有シラン化合物は必須成分として使用される。また、前記一般式(I)で表されるSi−H基含有シラン化合物と一般式(II)で表されるシラン化合物のうち、3官能性シラン化合物又は4官能性アルコキシシラン化合物が必須成分として用いられ、一般式(II)で表されるシラン化合物のうち、2官能性アルコキシシラン化合物は任意成分とされる。特に、4官能性シラン化合物としてはテトラアルコキシシランが好ましく、3官能性シラン化合物としてはモノアルキルトリアルコキシシラン又はトリアルコキシシランが好ましく、2官能性シラン化合物としてはジアルキルジアルコキシシラン又はアルキルジアルコキシシランが好ましい。
【0035】
熱硬化性シリコーン重合体の製造方法はシラン化合物の総量に対して、Si−H基含有アルコキシシラン化合物35モル%以上配合するものであり、シラン化合物の総量に対して、一般式(I)で表されるSi−H基含有アルコキシシラン化合物35〜100モル%(より好ましくは35〜85モル%)及び一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物0〜65モル%(15〜65モル%)の割合で使用されることが好ましい。
【0036】
前記熱硬化性シリコーン重合体は三次元架橋しており、一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物のうち15〜100モル%が4官能性シラン化合物又は3官能性シラン化合物であることが好ましく、20〜100モル%が4官能性シラン化合物又は3官能性シラン化合物であることがより好ましい。
すなわち
一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物のうち2官能性シラン化合物は、0〜85モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜80モル%の割合で使用される。
【0037】
特に好ましくは、一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物のうち4官能性シラン化合物が15〜100モル%、より好ましくは20〜100モル%、3官能性シラン化合物が0〜85モル%、より好ましくは0〜80モル%及び2官能性シラン化合物が0〜85モル%、より好ましくは0〜80モル%の割合で使用される。2官能性シラン化合物が85モル%を越えると、熱硬化性シリコーン重合体の鎖が長くなり、メチル基等の疎水性基の配向等により無機材料表面に横向きとなる可能性が高く、リジットな層を形成しやすいため、低応力化の効果が小さくなる。
【0038】
前記熱硬化性シリコーン重合体は、前記した一般式(I)で表されるSi−H基含有シラン化合物と一般式(II)で表されるシラン化合物を加水分解・重縮合させ、さらにヒドロシリル化反応して製造されるが、このとき、加水分解・重縮合触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、フッ酸等の無機酸、シュウ酸、マレイン酸、スルホン酸、ギ酸等の有機酸を使用することが好ましく、アンモニア、トリメチルアンモニウムなどの塩基性触媒を用いることもできる。これら加水分解・重縮合触媒は、一般式(I)で表されるSi−H基含有シラン化合物と一般式(II)で表されるシラン化合物の量に応じて適当量用いられるが、好適には一般式(I)で表されるSi−H基含有シラン化合物と一般式(II)で表されるシラン化合物1モルに対し0.001〜10モルの範囲で用いられる。ヒドロシリル化触媒としては、白金、パラジウム、ロジウム系の遷移金属化合物を用いることができ、特に塩化白金酸等の白金化合物を使用することが好ましく、過酸化亜鉛、過酸化カルシウム、過酸化水素、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ストロンチウム、過酸化ナトリウム、過酸化鉛、過酸化バリウム等の過酸化物、また、3級アミン、ホスフィンを用いることもできる。これらヒドロシリル化触媒は、一般式(I)で表されるSi−H基含有アルコキシシラン化合物のSi−H基1モルに対し、好ましくは0.0000001〜0.0001モルの範囲で用いられる。
【0039】
ヒドロシリル化反応剤は、ビニル基等のヒドロシリル化反応のための二重結合と、エポキシ基やアミノ基等の有機化合物と反応(硬化)する際に作用する官能基とを有しているものである。ここで、反応(硬化)する際に作用する官能基とは、硬化剤又は架橋剤と反応する反応性有機基、自硬化反応する反応性有機基、無機充填剤の分散性、耐熱性向上のための有機基、水酸基と反応する基等である。(本発明において、これら官能基を、熱硬化性官能基と記載する。)具体例としては、エポキシ基を有するヒドロシリル化反応剤としてアリルグリシジルエーテル等を用いることができ、また、アミノ基を有するヒドロシリル化反応剤としてアリルアミン、塩酸アリルアミン、アミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート、アミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルメタクリレートなどを用いることができる。これらヒドロシリル化反応剤は、一般式(I)で表されるSi−H基含有アルコキシシラン化合物1モルに対し、0.1〜2モルの範囲とすることが好ましく、特に0.2〜1.5モルが好ましい。
【0040】
また、上記の加水分解・重縮合、ヒドロシリル化反応は、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、ブチロニトリルなどのニトリル系溶剤等の溶剤中で行うことが好ましい。これら溶剤は単独で用いてもよく、数種類を併用した混合溶剤を用いることもできる。また、この反応に際して、水が存在させられる。水の量も適宜決められるが、多すぎる場合には塗布液の保存安定性が低下するなどの問題があるので、水の量は、前記シラン化合物の総量1モルに対して0〜5モルの範囲とすることが好ましく、特に、0.5〜4モルが特に好ましい。
【0041】
熱硬化性シリコーン重合体の製造は、上記の条件、配合を調整してゲル化しないように行われる。
【0042】
熱硬化性シリコーン重合体は、上記の反応溶媒と同じ溶媒に溶解して使用することが作業性の点で好ましい。このためには、上記の反応生成溶液をそのまま使用してもよく、反応生成溶液から熱硬化性シリコーン重合体を分離し、改めて上記溶媒に溶解してもよい。
【0043】
前記熱硬化性シリコーン重合体は、完全硬化又はゲル化していないが、3次元架橋しているものであり、本発明おける熱硬化性シリコーン重合体の3次元架橋は、例えば、反応溶媒に溶解する程度に制御される。
【0044】
このために、熱硬化性シリコーン重合体の製造、保管及び使用に際し、温度は、常温以上200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
【0045】
前記熱硬化性シリコーン重合体は、Si−H基含有シリコーン重合体を中間生成物として作成することができる。このSi−H基含有シリコーン重合体のSi−H基はSi−H基含有2官能性シロキサン単位(HR′SiO2/2)又は(HSiO2/2)(式中、R′は前記の通りであり、シリコーン重合体中のR′基は互いに同一であってもよいし、異なってもよい。以下同様)又はSi−H基含有3官能性シロキサン単位(HSiO3/2)によって導入されている。また、Si−H基含有シリコーン重合体は、Si−H基含有3官能性シロキサン単位(HSiO3/2)、3官能性シロキサン単位(R′SiO3/2)又は4官能性シロキサン単位(SiO4/2)(式中、R′は有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であってもよいし、異なってもよい)を含有し、Si−H基含有2官能性シロキサン単位(HR′SiO2/2)又は(HSiO2/2)及び2官能性シロキサン単位(R′SiO2/2)を任意成分とするものである。
【0046】
熱硬化性シリコーン重合体は、重合度が7000以下で三次元架橋しているものであることが好ましい。さらに好ましい重合度は4000以下であり、特に好ましい重合度は2000以下である。この熱硬化性シリコーン重合体の側鎖及び末端には、Si−H基に対するヒドロシリル化反応によって導入された熱硬化性官能基が存在する。ここで、熱硬化性シリコーン重合体の重合度は、その重合体の分子量(低重合度の場合)又はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン若しくはポリエチレングリコールの検量線を利用して測定した数平均分子量から算出したものである。
【0047】
なお、熱硬化性シリコーン重合体を作製する際には、前記の様にSi−H基含有シリコーン重合体を製造してからヒドロシリル化反応剤を添加してヒドロシリル化反応を行ってもよく、また、ヒドロシリル化反応剤を前記シラン化合物と同時に配合し、シラン化合物の加水分解・重縮合と同時に又はその途中でヒドロシリル化反応を行ってもよい。
【0048】
(シリコーンオイル)
本発明の絶縁材料を形成する樹脂として、分子内にエポキシ基を有するシリコーンオイル(本発明において、エポキシ変性シリコーンオイルと記載する)を結合剤の主成分として含有する樹脂を用いることもできる。ここで、エポキシ変性シリコーンオイルとは側鎖にエポキシ基を含む官能基を有する鎖状ポリシロキサン化合物であり、25℃における粘度が10〜10−6csの範囲にあるものである。なお、本発明における粘度は東京計器(株)製EMD型粘度計を用いて、25℃で測定した。エポキシ変性シリコーンオイルのエポキシ当量は150〜5000であることが好ましく、300〜1000であることが特に好ましい。
【0049】
(無機充填剤の改質剤)
エポキシ変性シリコーンオイルを結合剤の主成分とする場合、結合剤に無機充填剤の改質剤を含有することが好ましい。改質剤の配合量は、樹脂硬化物の伸びの値を考慮すると、エポキシ変性シリコーンオイルと改質剤の合計100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。改質剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系などの各種カップリング剤や、シリコーン重合体を用いることができる。無機充填剤を高充填化する場合などは、無機充填剤の分散性などの観点から、シリコーン重合体を改質剤として用いることが好ましい。シリコーン重合体としては前記熱硬化性シリコーン重合体を用いることができ、また、熱硬化性官能基を含まないシリコーン重合体(本発明において、非熱硬化性シリコーン重合体と記載する。)を使用することもできる。
【0050】
ここで、非熱硬化性シリコーン重合体とは、2官能性シロキサン単位(RSiO2/2)、3官能性シロキサン単位(RSiO3/2)(式中、Rは有機基であり、シリコーン重合体中のR基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)及び4官能性シロキサン単位(SiO4/2)から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するものである。重合度は2〜7000が好ましく、さらに好ましい重合度は2〜100、特に好ましい重合度は2〜70である。前記Rとしては、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等の芳香族基などがある。水酸基と反応する官能基としては、シラノール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、塩素等の臭素以外のハロゲン等がある。
【0051】
このような非熱硬化性シリコーン重合体は、前記一般式(II)で表されるシラン化合物を加水分解、重縮合させて得ることができる。非熱硬化性シリコーン重合体の合成に用いられる前記一般式(II)で表されるシラン化合物としては、4官能性シラン化合物又は3官能性シラン化合物が必須成分として用いられ、2官能性シラン化合物は必要に応じて適宜使用される。特に、4官能性シラン化合物としてはテトラアルコキシシランが好ましく、3官能性シラン化合物としてはモノアルキルトリアルコキシシランが好ましく、2官能性シラン化合物としてはジアルキルジアルコキシシランが好ましい。シラン化合物の使用割合は、好ましくは、4官能性シラン化合物又は3官能性シラン化合物15〜100モル%及び2官能性シラン化合物を0〜85モル%が好ましく、4官能性シラン化合物または3官能性シラン化合物の1種以上を20〜100モル%及び2官能性シラン化合物を0〜80モル%がより好ましい。また、特に、4官能性シラン化合物を15〜100モル%、3官能性シラン化合物0〜85モル%及び2官能性シラン化合物0〜85モル%の割合で使用することが好ましく、4官能性シラン化合物を20〜100モル%、3官能性シラン化合物を0〜80モル%と、2官能性シラン化合物を0〜80モル%の割合で使用することがより好ましい。加水分解・重縮合反応の触媒及び溶剤は熱硬化性シリコーン重合体を製造する際の加水分解・重縮合反応と同様のものを適用することができる。非熱硬化性シリコーン重合体の製造は条件、配合を調整してゲル化しないように行われる。非熱硬化性シリコーン重合体は、3次元架橋しているが完全硬化又はゲル化していないものであり、3次元架橋は、例えば、反応溶媒に溶解する程度に制御される。このために、非熱硬化性シリコーン重合体の製造、保管及び使用に際し、温度は、常温以上200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
【0052】
(熱硬化性シリコーン重合体とシリコーンオイルの併用)
結合剤として、熱硬化性シリコーン重合体とエポキシ変性シリコーンオイルとを併用することもできる。熱硬化性シリコーン重合体とエポキシ変性シリコーンオイルの配合割合は、無機充填剤の分散性の観点から、これらの合計100重量部に対して熱硬化性シリコーン重合体が0.1重量部以上含まれていることが好ましく、熱膨張係数、伸びの観点から、熱硬化性シリコーン重合体が1重量部以上含まれていることが特に好ましい。また、伸びの観点から、熱硬化性シリコーン重合体とエポキシ変性シリコーンオイルの配合の合計100重量部に対してエポキシ変性シリコーンオイルが5重量部以上含まれていることが好ましく、40重量部以上が特に好ましい。熱硬化性シリコーン重合体とエポキシ変性シリコーンオイルの配合比は熱膨張係数と伸びの値から、目的に応じて決めることができる。すなわち、熱硬化性シリコーン重合体の配合比が大きいほど熱膨張係数が小さくなり、エポキシ変性シリコーンオイルの配合比を増やすことで伸びの値を大きくすることができる。
【0053】
(無機充填剤)
熱膨張係数を小さい値に調整するために、本発明で用いる樹脂には、無機充填剤を多量に配合することが好ましい。無機充填剤としては、その種類は特に制約はなく、例えば、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、マイカ、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、ガラス短繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカや炭化ケイ素ウィスカ等の各種ウィスカ等が用いられる。また、これらを数種類併用しても良い。無機充填剤の形状、粒径については特に制限はなく、通常用いられている粒径0.001〜50μmのものを本発明においても用いることができ、絶縁材料の薄型化を考慮した場合、好ましくは0.01〜10μmのものが好適に用いられる。これら無機充填剤の配合量は、結合剤100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、300〜1500重量部が特に好ましい。硬化後の樹脂の熱膨張係数は無機充填剤の配合量によって調整することができる。無機充填剤の配合量が少なすぎると熱膨張係数が大きくなる傾向があり、無機充填剤が多すぎるとフィルム化が困難になる傾向がある。
【0054】
(硬化剤)
前記結合剤を含有する樹脂の硬化剤は、結合剤の主成分が有する熱硬化性官能基と反応(硬化)する化合物であればよく、特に制限はない。例えば熱硬化性官能基がエポキシ基の場合には、アミン系硬化剤やフェノール系硬化剤などの一般にエポキシ樹脂用硬化剤として用いられるものを利用することができる。エポキシ樹脂用硬化剤としては多官能フェノール化合物が好ましい。多官能フェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコール等の多価フェノールがあり、また、これらの多価フェノール又はフェノール、クレゾール等の一価のフェノール化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られるノボラック樹脂などがある。多官能フェノール化合物は臭素等のハロゲンで置換されていてもよい。硬化剤の使用量は、結合剤中の熱硬化性官能基1当量に対して、0.2〜1.5当量使用することが好ましく、0.5〜1.2当量使用することが特に好ましい。硬化物と金属との接着性を向上させるためにはエポキシ樹脂用硬化剤にアミン化合物を含むことが好ましく、また、硬化剤が過剰に含まれていることが好ましい。このアミン化合物は接着性補強剤として作用するものであり、具体例については後に記載する。耐熱性などの他の特性と接着性とのバランスを考慮すると、アミン化合物を含む硬化剤を結合剤中の熱硬化性官能基1当量に対して1.0〜1.5当量用いることが好ましく、熱硬化性官能基1当量に対して1.0〜1.2当量用いることが特に好ましい。
【0055】
(硬化促進剤)
また、硬化剤とともに硬化促進剤を加えてもよい。例えば熱硬化性官能基がエポキシ基の場合には、イミダゾール化合物などが一般に使用されており、本発明においてもこれを用いることができる。硬化促進剤として用いられるイミダゾール化合物の具体例としてはイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。硬化促進剤の十分な効果を得るためには、結合剤100重量部に対して0.01重量部以上使用することが好ましく、熱膨張係数や伸び等の観点から10重量部以下が好ましい。
【0056】
本発明おける樹脂には必要に応じて両末端シリル基変性エラストマを加えることができる。両末端シリル基変性エラストマを加えることで樹脂のフィルムとしての取り扱い性が向上する。ここで、両末端シリル基変性エラストマとは、重量平均分子量が3000〜10万程度の長鎖状エラストマであり、主鎖の両末端にアルコキシシリル基を有するものである。エラストマの主鎖については特に制限はなく、ポリイソブチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、ブタジエンゴム又はアクリルゴム等の主鎖骨格を有するエラストマが利用できる。アルコキシシリル基はSi元素に1〜3個のアルコキシ基が結合したものでよく、Si元素に結合したアルコキシ基の炭素数は1〜4であることが好ましい。両末端シリル基変性エラストマとしては、例えばSAT200(両末端シリル基変性ポリエーテル、鐘淵化学工業株式会社製商品名)、EP103S、EP303S(両末端シリル基変性ポリイソブチレン、鐘淵化学工業株式会社製商品名)等を用いることができる。両末端シリル基変性エラストマの配合量は、結合剤100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では配合することによる効果が現れにくく、30重量部を越えると熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
【0057】
本発明における樹脂組成物には、金属箔との接着性を高め、樹脂硬化物と金属箔との引き剥がし強度を高めるために、必要に応じて接着性補強材を加えることができる。接着性補強材としてはアミノ基や水酸基などの反応性官能基を複数持つ化合物を用いることができ、反応性官能基を複数持つアミン化合物が好ましい。反応性官能基を複数持つアミン化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル等の分子内に複数のアミノ基を持つ化合物やジシアンジアミドなどの、分子内に複数の活性N−H基を有する化合物、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノフェノール等の分子内にアミノ基と水酸基を併せ持つ化合物などを用いることができる。接着性補強材の配合量は結合剤100重量部に対して0.01〜9重量部であることが好ましく、0.1〜6重量部であることが特に好ましい。0.01重量部未満の場合は配合による効果が現れにくく、また、9重量部を越える場合は、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また、接着性補強材は硬化剤としても作用するため、他の硬化剤との配合量の合計が、前述した硬化剤の配合量の好ましい範囲内となることが好ましい。
【0058】
(無機質材料)
本発明の無機質材料としては、金属、半導体、絶縁材料等、用途に応じて用いることができる。金属では、銅、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル等から選択することができ、箔の状態でも板の状態でも用いることができる。また、これら金属の合金や複数の金属が層構造となっている複合体を用いることもできる。
【0059】
また、絶縁材料としては、ガラス、セラミックス等の無機質絶縁材料を用いることができる。
【0060】
用途としては、金属箔を用いた場合には、その金属箔の不要な箇所をエッチング除去して導体回路とする配線板に用いることができる。この金属箔は、樹脂層の両面にも設けることができ、穴をあけ、その穴内壁を金属化して接続用経由穴(スルーホール)とした後、不要な箇所の金属箔をエッチング除去して導体回路とすることもできる。
【0061】
また、金属板を用いた場合には、金属板を放熱板として用い、その表面に形成した樹脂層上にさらに導体回路を形成して、放熱板付き配線板として用いることもできる。
【0062】
ガラスやセラミックスなどを用いるのは、無機質絶縁材料の特性を必要とされる場合であり、ガラス多層材料やセラミックス多層材料、ガラス配線板やセラミックス配線板が用途として挙げられる。
【0063】
ところで、本発明の樹脂層にシリコーン重合体を用いたときに、樹脂層と無機質材料層との間の熱膨張係数を揃えることができるので、上記のような無機質材料との組み合わせでは、特に、配線板の用途では、加工の工程で加熱することが多く、また、配線板となった後にも、部品の搭載にはんだを用いるなどの加熱工程があり、そのときに、加わる熱衝撃に対して、ストレスを生じないので、樹脂層と無機質材料との間に亀裂を生じることがないのが大きな特徴である。
【0064】
このように無機質材料の熱膨張係数と樹脂層の熱膨張係数を揃えることは、無機充填剤の配合量を調整し、両者の熱膨張係数の差を10×10 −6 /℃以下にすることによって達成できる。例えば、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を450重量部以上配合することにより樹脂層の熱膨張係数を35×10 −6 /℃以下にすることができ,樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を900重量部以上配合することにより樹脂層の熱膨張係数を25×10 −6 /℃以下にすることができ,樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を1300重量部以上配合することにより樹脂層の熱膨張係数を20×10 −6 /℃以下にすることができるように、無機充填剤の配合量を調整することにより、複合材料の用途などを考慮して熱膨張係数を調整することができる。
【0065】
例えば、無機質材料が銅箔である場合、通常の配線板に用いる銅箔を用いたときには、その熱膨張係数が18×10 −6 /℃であるから、樹脂層の無機充填剤の配合量を調整することにより樹脂層の熱膨張係数を8×10 −6 /℃以上、28×10 −6 /℃以下にすればよい。
【0066】
金属箔がアルミニウム箔の場合には、その熱膨張係数が23×10 −6 /℃であるから、樹脂層の無機充填剤の配合量を調整することにより樹脂層の熱膨張係数を13×10 −6 /℃以上、33×10 −6 /℃以下にすればよい。
【0067】
また、金属板が鉄板の場合に、その熱膨張係数が12×10 −6 /℃であるから、樹脂層の無機充填剤の配合量を調整することにより樹脂層の熱膨張係数を2×10 −6 /℃以上、22×10 −6 /℃以下にすればよい。
【0068】
無機質材料として、ガラスを使用する場合には、Eガラスを用いたときには、その熱膨張係数が5.5×10 −6 /℃であるから、樹脂層の無機充填剤の配合量を調整することにより樹脂層の熱膨張係数を15.5×10 −6 /℃以下にすればよい。
【0069】
セラミックスの場合には、シリカを用いたときには、その熱膨張係数が3×10 −6 /℃であるから、樹脂層の無機充填剤の配合量を調整することにより樹脂層の熱膨張係数を13×10 −6 /℃以下にすればよい。
【0070】
(接着剤)
本発明の樹脂層に用いたシリコーン重合体を含む樹脂組成物(絶縁ワニス)は、接着剤(接着ワニス)として用いることもでき、この場合には、樹脂層として別のプラスチック、例えば、熱硬化性樹脂では、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂などを用いることができ、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンや、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリブテン−1樹脂、及び高圧法エチレンコポリマーなどのポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸系プラスチック、ジエン系プラスチック、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、フッ素系樹脂、ポリウレタン系プラスチック、及び、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、低結晶性1,2−ポリブタジエン、塩素化ポリマー系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、あるいはイオン架橋熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、などを用いることができる。さらに、これらの樹脂を、ガラスファイバやセルソースなどの絶縁性のファイバで織った布、織ってない紙に含浸したもの、ガラスチョップトストランドや絶縁性ウイスカなどの短繊維を混合したもの、あるいは、フィルム状に成型したものを用いることができる。
【0071】
このような有機絶縁材料との組み合わせを行うときには、配線板として用いるとやはり、加工の工程で加熱することが多く、また、配線板となった後にも、部品の搭載にはんだを用いるなどの加熱工程があり、熱衝撃による亀裂やはがれの現象が発生するので、有機絶縁材料と無機質材料との間に、接着剤として、本発明のシリコーン重合体を用い、熱膨張係数が、有機絶縁材料と無機質材料との間になるように調整すれば、熱衝撃によるストレスを緩和することができる。
【0072】
例えば、有機絶縁材料にポリイミドフィルムであるカプトン(デュポン社製、商品名)を用い、無機質材料に、銅箔を用いた場合には、そのポリイミドフィルムの熱膨張係数が30×10 −6 /℃であり、銅箔の熱膨張係数が18×10 −6 /℃であるから、樹脂層の無機充填剤の配合量を調整することにより熱膨張係数を18×10 −6 /℃以上、30×10 −6 /℃以下に調整することによって、ストレスを緩和することができる。接着剤の熱膨張係数が、接着される材料の熱膨張係数のうち低い方に近い値となるように調整されることが好ましい。例えば、前記のポリイミドフィルムと銅箔の接着の場合、18×10 −6 /℃以上、28×10 −6 /℃以下に調整されることが好ましく、20×10 −6 /℃以上、25×10 −6 /℃以下に調整されることが特に好ましい。
【0073】
(配線板用複合材料)
このような無機質材料と樹脂層としてのシリコーン重合体、あるいは、無機質材料と接着剤としてのシリコーン重合体と有機絶縁材料の組み合わせを用いて配線板用複合材料とするには、無機質材料からなる層に、シリコーン重合体を含む絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥する方法や、無機質材料からなる層に、シリコーン重合体を含む接着ワニスを塗布・乾燥し、続いて有機樹脂層となる絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥する方法があり、さらには、シリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整することができる。
【0074】
このときに、無機質材料が、銅であり、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を450重量部以上配合することにより熱膨張係数を28×10 −6 /℃以下にすることが好ましい。
【0075】
また、無機質材料が、アルミニウムであり、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を450重量部以上配合することにより熱膨張係数を13×10 −6 /℃以上、33×10 −6 /℃以下にすることが好ましい。
【0076】
また、無機質材料が、ガラスであり、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を900重量部以上配合することにより熱膨張係数を15.5×10 −6 /℃以下にすることが好ましく,樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を1300重量部以上配合することにより熱膨張係数を10×10 −6 /℃以下にすることがより好ましい。
【0077】
また、無機質材料が、セラミックスなどの無機質絶縁材料であり、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を1300重量部以上配合することにより熱膨張係数を13×10 −6 /℃以下にすることが好ましい。
【0078】
無機質材料が、銅であり、そのシリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を450重量部以上配合することにより熱膨張係数を28ppm/℃以下にすることが好ましい。
【0079】
無機質材料が、アルミニウムであり、そのシリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を450重量部以上配合することにより熱膨張係数を28×10 −6 /℃以下にすることが好ましく,樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を900重量部以上配合することにより熱膨張係数を15×10 −6 /℃以下にすることがより好ましく,樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を1300重量部以上配合することにより熱膨張係数を10×10 −6 /℃以下にすることがさらに好ましい。
【0080】
無機質材料が、ガラスであり、そのシリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を900重量部以上配合することにより熱膨張係数を15.5×10 −6 /℃以下にすることが好ましく、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を1300重量部以上配合することにより熱膨張係数を10×10 −6 /℃以下にすることがより好ましい。
【0081】
無機質材料が、セラミックスなどの無機質絶縁材料であり、そのシリコーン重合体を含む樹脂層の熱膨張係数が、無機質材料からなる層の熱膨張係数よりも大きく、有機樹脂層よりも小さくなるように調整するためには、樹脂層のシリコーン重合体の固形分100重量部に対して無機充填剤を1300重量部以上配合することにより熱膨張係数を13×10 −6 /℃以下にすることが好ましい。
【0082】
(配線板)
このような配線板用複合材料を用いて、無機質材料からなる層と、シリコーン重合体を含む樹脂層を有する配線板、無機質材料からなる層と、シリコーン重合体を含む樹脂層と、有機樹脂層を有する配線板、無機質材料からなる層と、シリコーン重合体を含む樹脂層と、導体回路からなる配線板、無機質材料からなる層と、シリコーン重合体を含む樹脂層と、有機樹脂層と、導体回路からなる配線板、あるいは、無機質材料が、金属である上記のうちいずれかに記載の配線板、金属が、銅である上記のうちいずれかに記載の配線板、金属が、アルミニウムである上記のうちいずれかに記載の配線板、無機質材料が、ガラスである上記のうちいずれかに記載の配線板、無機質材料が、セラミックスなどの無機質絶縁材料である上記のうちいずれかに記載の配線板、シリコーン重合体を含む樹脂層あるいは接着剤層が、さらに充填材を含む上記のうちいずれかに記載の配線板を製造することができる。
【0083】
(配線板の製造方法)
このような配線板を製造するには、無機質材料からなる層に、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整したシリコーン重合体を含む絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥する工程を有する方法や、無機質材料からなる層に、シリコーン重合体を含む接着ワニスを塗布・乾燥し、続いて有機樹脂層となる絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥する工程を有する方法があり、無機質材料が金属である場合には、無機質材料の不要な箇所をエッチング除去して導体回路を形成することができる。また、無機質材料からなる層に、その無機質材料との熱膨張係数の差が10×10 −6 /℃以下になるように調整したシリコーン重合体を含む絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥した後、必要な回路の形状に導体をめっきする方法や、無機質材料からなる層に、シリコーン重合体を含む接着ワニスを塗布・乾燥し、続いて有機樹脂層となる絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥した後、必要な回路の形状に導体をめっきする方法を用いることもできる。
【0084】
【実施例】
以下、本発明を実験例に基づいて具体的に説明する。
【0085】
(実験例A)
撹拌装置、コンデンサ及び温度計を備えたガラスフラスコに、テトラメトキシシラン20g、ジメトキシジメチルシラン60g、ジメトキシメチルシラン67g及び合成溶剤としてメタノール37gを配合した溶液に、合成触媒としてマレイン酸1.5g及び蒸留水50gを配合して80℃で2時間攪拌した後、アリルグリシジルエーテル72g及び塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)0.2gを添加し、更に4時間撹拌してエポキシ変性のシリコーン重合体(A)を合成した。得られたシリコーン重合体のシロキサン単位の重合度は65であった(GPCによって標準ポリスチレンの検量線を利用して測定した数平均分子量から換算、以下同じ)。
【0086】
(実験例B)
合成触媒としてマレイン酸に換えてリン酸1.2gを用い、塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)の添加量を0.02gに変えた以外は実験例Aと同様にしてエポキシ変性のシリコーン重合体(B)を合成した。得られたシリコーン重合体のシロキサン単位の重合度は13であった。
【0087】
(実験例C)
アリルグリシジルエーテルに換えてアリルアミン36gを用いた以外は実験例Aと同様にしてアミン変性のシリコーン重合体(C)を合成した。得られたシリコーン重合体のシロキサン単位の重合度は18であった。
【0088】
(実験例D)
アリルグリシジルエーテルに換えて塩酸アリルアミン(東京化成工業株式会社製)60gを用いた以外は実験例Aと同様にしてアミン変性のシリコーン重合体(D)を合成した。得られたシリコーン重合体のシロキサン単位の重合度は17であった。
【0089】
(実験例I−1)
撹拌装置、コンデンサ及び温度計を備えたガラスフラスコに、実験例Aで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に対してシリカ粉末(商品名:SO−25R,平均粒径:0.5μm,株式会社アドマテックス製)450重量部と希釈溶剤としてメタノールを202重量部配合し、80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、シリコーン重合体の固形分100重量部に対してテトラブロモビスフェノールAを78重量部と2−エチル−4−メチルイミダゾール3重量部を配合し、室温で1時間撹拌して無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0090】
(実験例I−2)
実験例Aで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に対して、シリカ粉末(商品名:SO−25R,平均粒径:0.5μm,株式会社アドマテックス製)の配合量を900重量部、メタノールの配合量を250重量部に変えた以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0091】
(実験例I−3)
実験例Aで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に対して、シリカ粉末(商品名:SO−25R,平均粒径:0.5μm,株式会社アドマテックス製)の配合量を1300重量部、メタノールの配合量を490重量部に変えた以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0092】
(実験例I−4)
実験例Aで合成したシリコーン重合体に換えて実験例Bで合成したシリコーン重合体を用いた以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0093】
(実験例I−5)
実験例Bで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に対して、シリカ粉末(商品名:SO−25R,平均粒径:0.5μm,株式会社アドマテックス製)の配合量を900重量部、メタノールの配合量を250重量部に変えた以外は実験例I−4と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0094】
(実験例I−6)
実験例Bで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に対して、シリカ粉末(商品名:SO−25R,平均粒径:0.5μm,株式会社アドマテックス製)の配合量を1300重量部、メタノールの配合量を490重量部に変えた以外は実験例I−4と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0095】
(実験例I−7)
実験例Aで合成したシリコーン重合体に換えて実験例Cで合成したシリコーン重合体を用いた以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0096】
(実験例I−8)
実験例Aで合成したシリコーン重合体に換えて実験例Dで合成したシリコーン重合体を用いた以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0097】
(実験例I−9)
実験例Aで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に換えて実験例Aで合成したシリコーン重合体の固形分50重量部と実験例Bで合成したシリコーン重合体の固形分50重量部の混合物を用いた以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0098】
(実験例I−10)
実験例Aで合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に換えてエポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF101、信越化学株式会社製)100重量部を用い、メタノールの配合量を219重量部とした以外は実験例I−1と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0099】
(実験例I−11)
エポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF101、信越化学株式会社製)100重量部に対してシリカ粉末(商品名:SO−25R,平均粒径:0.5μm,株式会社アドマテックス製)の配合量を900重量部、メタノールの配合量を267重量部に変えた以外は、実験例I−10と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0100】
(実験例I−12)
エポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF101、信越化学株式会社製)に換えてエポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF105、信越化学株式会社製)を用いた以外は、実験例I−10と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0101】
(実験例I−13)
エポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF101、信越化学株式会社製)に換えてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187、日本ユニカー株式会社製)を用いた以外は、実験例I−10と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0102】
(実験例I−14)
エポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF101、信越化学株式会社製)に換えてN−β−[N−(ビニルベンジル)アミノエチル]−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(商品名:SZ−6032、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を用いた以外は、実験例I−10と同様にして無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0103】
(実験例I−15)
撹拌装置、コンデンサ及び温度計を備えたガラスフラスコに、テトラメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)を8g、ジメトキシジメチルシラン(東京化成工業株式会社製)を32g、ジメトキシメチルシラン(東京化成工業株式会社製)を17g、合成溶剤としてメタノール(東京化成工業株式会社製)を98g配合した溶液に、合成触媒として酢酸を0.5g、蒸留水を16.2g配合して80℃で2時間攪拌した後、アリルグリシジルエーテル(東京化成工業株式会社製)を18.2gと塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)を0.04g添加し、更に4時間撹拌してエポキシ変性のシリコーン重合体(E)を合成した。得られたシリコーン重合体のシロキサン単位の重合度は18であった。
【0104】
上記方法で合成したシリコーン重合体の固形分100重量部に対してシリカ粉末(商品名:SO−25R、株式会社アドマテックス製)450重量部と希釈溶剤としてメタノールを202重量部配合し、80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、シリコーン重合体の固形分100重量部に対してテトラブロモビスフェノールAを78重量部と2−エチル−4−メチルイミダゾール3重量部を配合し、室温で1時間撹拌して無機充填剤溶液(樹脂組成物)を作製した。
【0105】
(評価方法1)
実験例I−1〜I−15で得た無機充填剤溶液(樹脂組成物)を離型フィルム上に塗布し、170℃2時間で硬化させることでフィルムを得た。得られた試料の熱膨張係数は、熱機械分析(TMA:MAC SCIENCE社製TMA)により引張モードで測定した。試料の伸びは、幅 10mm×長さ 80mm 厚み 50〜100μmのフィルムを試料として用いて、引張試験機(島津製作所オートグラフAG−100C)により、測定条件をチャック間距離:60mm、引張速度:5mm/minとして、引張試験で測定した。また、「無機充填剤分散性」は、無機充填剤を主剤で混合する場合に、無機充填剤が撹拌棒やフラスコ壁面への付着が無く、均一に混合される試料を「○」とし、無機充填剤が撹拌棒やフラスコ壁面への付着が有り、不均一に混合される試料を「×」で判断した。
結果を表1に示す。
【0106】
【表1】
Figure 0004899280
以上の結果より本発明におけるシリコーン重合体では、無機充填剤の分散性を損なうことなく組成物に多量の無機充填剤を充填でき、熱膨張係数を調整することが可能である。また、無機充填剤の高充填にもかかわらず伸びの値が大きく、これによって低応力性も実現されている。
【0107】
(実施例)
上記実験例I−1〜実験例I−6の樹脂組成物をそれぞれ厚さ18μmの電解銅箔(熱膨張係数:18×10 −6 /℃)の粗化面にナイフコーターで乾燥後の絶縁樹脂の厚さが50μmになるよう塗布し、140℃で3分間乾燥して半硬化状態の絶縁材料付金属箔を得た。この絶縁材料付金属箔を、絶縁樹脂側を重ね合わせ、プレスを用いて170℃、2MPa、1時間、加熱加圧し、両面銅はく付絶縁樹脂硬化物とした。
【0108】
また、厚さ0.2mmで銅箔厚さ18μmの両面銅張積層板に回路加工を施したコア材の両面に、先に作製した絶縁材料付金属箔を、絶縁材が内層回路板に向き合うように積層し、170℃、90分間、2MPaの条件で熱圧成形し、多層金属張積層板を作製した。
【0109】
また、上記実験例の樹脂組成物を厚さ75μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、140℃で3分間加熱乾燥して膜厚が80μmの塗膜とし、半硬化状態の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムの両面にガラスクロス−エポキシ樹脂プリプレグ(日立化成工業(株)製商品名:GE−67N、厚み0.1mm、大きさ500mm×600mm)を積層し、さらに電解銅箔を積層して、170℃、2MPa、1時間の条件で加熱加圧成形し、金属張積層板とした。
【0110】
得られた両面銅はく付絶縁樹脂硬化物、多層金属張積層板及び金属張積層板について、難燃性、耐熱性,耐電食性を評価した。難燃性は全面エッチングした積層板を用いて、UL94規格の垂直試験により評価した。耐熱性は50mm×50mmに切断し全面エッチングした試験片を用いて、260℃及び288℃の溶融はんだに20秒間浸漬させ、ミーズリングやフクレの有無について評価した。耐電食性は積層板に直径0.4mmのドリルを用いて横方向に50穴(穴間ピッチ1.0mm)を一列として縦方向に穴間ピッチ0.7mmの間隔で6列の合計300穴のスルーホールをあけ,常法に従い無電解めっきと電気めっきにより,銅の厚み35μmのスルーホールめっきを行った。そして,フォトリトグラフィーによりランド径が0.6mmでライン幅が0.1mmとなるように配線を形成し、横方向50穴のスルーホール間をクランク状に結合し,一列おきに配線を連結し,その一組を+電極,もう一組を−電極とし,85℃/85%RHの条件で100Vを印加した。本発明による両面銅はく付絶縁樹脂硬化物、多層金属張積層板及び金属張積層板は難燃性、耐熱性ともに良好であった。また,本発明による積層板は耐電食試験において1000時間後も1010Ω以上の絶縁抵抗値を有していた。
【0111】
(比較例)
上記実験例I−13〜実験例I−15の樹脂組成物を用いて実施例と同様の方法で、両面銅はく付絶縁樹脂硬化物、多層金属張積層板及び金属張積層板を作製し、難燃性、耐熱性、耐電食性を評価した。難燃性は全面エッチングした積層板を用いて、UL94規格の垂直試験により評価した。耐熱性は50mm×50mmに切断した試験片を用いて、260℃及び288℃の溶融はんだに20秒間浸漬させ、ミーズリングやフクレの有無について評価した。比較例の樹脂組成物による両面銅はく付絶縁樹脂硬化物、多層金属張積層板及び金属張積層板は難燃性に問題が生じ、特に耐熱性については、いずれもミーズリングやフクレが生じた。また、比較例による積層板は耐電食試験において約700時間でCAF(CONDUCTIVE ANODIC FILAMENT)による通電破壊が起こった。
【0112】
【発明の効果】
本発明によって、優れた低応力性を備えた配線板用新規複合材料を提供することが可能である。また、本発明において、複合材料の樹脂層又は接着剤として用いられる樹脂組成物は、多量の無機充填剤を含むことが可能であり、これによって優れた難燃性、耐湿性、耐電食性を実現する。
【0113】
本発明によって、基材によらずに樹脂自体で優れた低応力性をもち、耐湿性、難燃性などの配線板に求められる諸特性に優れた配線板用新規複合材料が提供される。

Claims (4)

  1. 無機質材料からなる層と、樹脂層とからなる配線板用複合材料であり、
    前記無機質材料からなる層と、前記樹脂層とが互いに接しており、
    前記無機質材料が銅であり、
    前記樹脂層が熱硬化性樹脂と無機充填剤とを含有し、
    前記熱硬化性樹脂が熱硬化性シリコーン重合体を含有し、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して100重量部以上であり、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂に含まれる熱硬化性シリコーン重合体の固形分100重量部に対して450重量部以上であり、
    前記無機質材料からなる層と前記樹脂層との熱膨張係数の差が、10×10−6/℃以下である配線板用複合材料。
  2. 無機質材料からなる層と、熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層と、有機樹脂層からなる配線板用複合材料であり、
    前記無機質材料からなる層と、前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層と、前記有機樹脂層とが、この順に積層され、
    前記無機質材料からなる層と前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層とが互いに接し、前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層と前記有機樹脂層とが互いに接しており、
    前記無機質材料が銅であり、
    前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層がさらに無機充填剤を含有し、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂100重量部に対して100重量部以上であり、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性シリコーン重合体の固形分100重量部に対して450重量部以上であり、
    前記無機質材料からなる層と前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層との熱膨張係数の差が、10×10−6/℃以下である配線板用複合材料。
  3. 無機質材料からなる層と、樹脂層とからなる配線板用複合材料を製造する方法であって、
    前記無機質材料からなる層に、絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥し、前記樹脂層を形成する工程を含み、
    前記無機質材料が銅であり、
    前記絶縁ワニスが熱硬化性樹脂と無機充填剤とを含有し、
    前記熱硬化性樹脂が熱硬化性シリコーン重合体を含有し、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して100重量部以上であり、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂に含まれる熱硬化性シリコーン重合体の固形分100重量部に対して450重量部以上であり、
    前記絶縁ワニスとして、硬化後に、前記無機質材料からなる層との熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となるように調整された絶縁ワニスを用いる配線板用複合材料の製造方法。
  4. 無機質材料からなる層と、熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層と、有機樹脂層からなる配線板用複合材料を製造する方法であって、
    前記無機質材料からなる層に、接着ワニスを塗布・乾燥し、前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層を形成する工程、
    次いで、前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂層に、絶縁ワニスを塗布し、加熱・乾燥し、前記有機樹脂層を形成する工程、を含み、
    前記無機質材料が銅であり、
    前記接着ワニスが熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂と無機充填剤とを含有し、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性シリコーン重合体を含む樹脂100重量部に対して100重量部以上であり、
    前記無機充填剤の含有量が、前記熱硬化性シリコーン重合体の固形分100重量部に対して450重量部以上であり、
    前記接着ワニスとして、硬化後に、前記無機質材料からなる層との熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となるように調整された接着ワニスを用いる配線板用複合材料の製造方法。
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