JP6100716B2 - 金属張表面処理繊維基板及び半導体装置 - Google Patents

金属張表面処理繊維基板及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理繊維フィルムを用いた金属張表面処理繊維基板、及びそれを用いた半導体装置に関する。
従来の金属張積層基板の製造方法は、ガラス繊維を、樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂に含浸、乾燥した未硬化状態のプリプレグと、金属層である銅箔を積層、加熱、加圧プレスする方法が広く用いられている。特に、エポキシ樹脂をガラス繊維に含浸させた銅張ガラスエポキシ基板が汎用されている。しかし、近年は高融点の鉛フリー半田の採用、高性能化による素子の発熱の点から高耐熱基板が求められている。ガラスエポキシ基板は、ガラス転移温度が200℃付近であり、変色し易いという特徴があり、耐熱性に問題があった。そこで、放熱性を目的として、無機充填材を高充填したガラスエポキシ基板が採用されている。
金属張積層基板に使用するガラス繊維は、樹脂との親和力を高めるためにシランカップリング剤によって繊維を表面処理する方法が採用されており、その付着量は0.05〜0.25質量%が一般的である(特許文献1)。従来の表面処理されたガラス繊維は、それ自体には自立性はなく、繊維が固定化されていない。従って、上述のように無機充填剤を高充填した樹脂をガラス繊維に含浸し、未硬化状態のプリプレグを作製した後、加熱、加圧プレスした際に、目開き、捩れが発生する。また、内在する応力により基板自身にも捩れ、反りが発生し、加えて特性が基板内で不均一になるという問題があった。
一方、耐熱性が要求される実装基板として、セラミックスも使われてきたが、価格が高く、加工性の面から大型基板には対応できない状況であった。
近年、耐熱性、耐候性等の特性に優れているシリコーン樹脂を用いた金属張積層基板が検討されている(特許文献2、3)。しかし、シリコーン樹脂は、従来の実装基板に用いられているエポキシ樹脂と比較して、ガラス転移温度が低いため、薄層化による反りが発生するという問題がある。加えて、銅箔張積層板とした場合金属箔との接着力が不十分で信頼性に劣っており、上述のガラスエポキシ基板と同様に表面処理ガラス繊維を用いているため、依然、ガラス繊維の目開きや捩れという問題があった。
そこで、予め高温で積層成形したガラスシリコーン樹脂積層板を熱処理し、有機金属化合物を含浸熱分解させた後、熱可塑性繊維フィルムと金属箔を重ねて成形した金属張積層基板が報告されている(特許文献4)。この方法では、銅箔との接着力は向上するが、実際には、熱可塑性繊維フィルムとしてポリイミドフィルムを用いているため、初期の段階から基板の絶縁層表面がポリイミド樹脂由来の黄色に着色されている。したがって、LED実装用基板や太陽電池モジュールへの展開が困難である。また、ガラスシリコーン積層板を用いているため、可撓性に問題があり、加えて、依然、ガラス繊維の目開きや捩れという問題があった。
特開平04−370275号公報 特開2010−089493号公報 特開平09−111187号公報 特開2011−152724号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、基板としたときの繊維の目開きや捩れが発生しない均一、均質な絶縁層を有し、耐熱性、寸法安定性に優れた金属張表面処理繊維基板を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、本発明は、
表面処理繊維フィルムを1枚、もしくは複数枚積層させたものを含む基板であって、
JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理の繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記表面処理繊維フィルム又はその積層体の片面もしくは両面に金属層を有する金属張表面処理繊維基板を提供する。
このような金属張表面処理繊維基板であれば、表面処理により繊維の目開きや捩れがなく、高強度で繊維が固定化され、耐熱性、寸法安定性に優れ、かつ絶縁層の均一性、均質性の高い基板を得ることができる。
このうち、前記表面処理繊維フィルムが、ガラス繊維を含むものであり、該ガラス繊維の一部又は全部が有機ケイ素化合物の硬化物で結束及び表面処理されたものであることが好ましい。
このような表面処理繊維フィルムを用いたものであれば、より高強度で繊維が固定化され、また、有機ケイ素化合物により表面処理を行ったフィルムであるため、優れた耐熱性及び耐変色性を有する基板を得ることができる。
また、前記金属層が、金属メッキ、金属箔、及び金属板のいずれかによって形成されるものであることが好ましい。
本発明の金属張表面処理繊維基板は、金属層を上記のように形成することができる。
また、前記表面処理繊維フィルムと前記金属層との間又は前記表面処理繊維フィルム同士の間、もしくはその両方に接着性樹脂組成物からなる接着層を有するものであることが好ましい。
このような金属張表面処理繊維基板であれば、表面処理繊維フィルムと金属層との間、及び表面処理繊維フィルム同士の間の接着力が向上するため、寸法安定性に優れた基板を得ることができる。
さらに、前記接着性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
このような金属張表面処理繊維基板であれば、より優れた耐熱性、耐変色性、及びより高い機械的強度を有する基板を得ることができる。
また、前記表面処理繊維フィルムが、充填材を含むものであることが好ましい。
このような金属張表面処理繊維基板であれば、より優れた寸法安定性や機械的強度を有し、さらに優れた熱伝導性を有する基板を得ることができる。
さらに、前記充填材が、白色顔料を含有するものであることが好ましい。
このような金属張表面処理繊維基板であれば、良好な光反射率を有する基板を得ることができる。
また、前記金属張表面処理繊維基板が、90°以上に折り曲げ可能なものであることが好ましい。
このような金属張表面処理繊基板であれば、フレキシブル基板として好適に用いることができる。
さらに、本発明は、
前記金属張表面処理繊維基板を用いて作製される半導体装置を提供する。
このような半導体装置であれば、均一、均質な絶縁層を有し、高強度であり、耐熱性、寸法安定性、及び耐変色性に優れた基板を用いるため、高耐熱性が要求される分野に好適に用いることのできる半導体装置となる。
本発明に係る金属張表面処理繊維基板であれば、ガラス繊維の目開きや捩れがなく、高強度でガラス繊維が固定化された耐熱性、寸法安定性に優れ、表面均一性の高い基板が得られる。加えて、この表面処理繊維フィルムは可撓性を有するため基板の機械的強度が向上する。また、有機ケイ素化合物を用いたフィルムであるため、耐変色性にも優れている。したがって、本発明の金属張表面処理繊維基板は、高融点の鉛フリー半田を適用した、もしくは高性能素子を使用した高耐熱性が要求される分野に好適に用いることができる。
製造例1における柔軟性試験の際に用いた半円筒状の筐体の断面図である。 実施例1におけるIRリフロー試験後の反りを測定する際の基板の上面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、
表面処理繊維フィルムを1枚、もしくは複数枚積層させたものを含む基板であって、
JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理の繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記表面処理繊維フィルム又はその積層体の片面もしくは両面に金属層を有する金属張表面処理繊維基板である。
本発明の金属張表面処理繊維基板において、表面処理繊維フィルムは主に絶縁層としての役割を担う。この表面処理繊維フィルムとしては、ガラス繊維からなるガラスクロスに対して表面処理し、フィルム化したものが好ましい。具体的には、ガラスクロス中のガラス繊維の一部又は全部が有機ケイ素化合物の硬化物により結束され表面処理されたものが好ましく、例えば、特許文献4で開示されたものを挙げることができる。
このような表面処理繊維フィルムは、JIS R 3420で規定された方法で測定したクロスの慣用曲げ剛性の値が、未処理の繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して、3倍から100倍である。この倍数は、繊維フィルムを表面処理することによって、いわゆる「織布」状態から「フィルム」状態に変化する程度を示す指標として用いるものであり、好ましくは5倍から60倍であり、更に好ましくは10倍から40倍である。
上記の値が、3倍未満では本発明が目的とする寸法安定性やガラス繊維の固定化すなわち目開きや捩れの防止効果がほとんど得られず、またシロキサン特性に起因する電気絶縁性、耐熱性、耐候性などが不十分である。また、100倍を超えると上記表面処理繊維フィルムが固くなりすぎて、基板の柔軟性が損なわれ、クラック等が発生する。
繊維フィルムとしてガラスクロスを、表面処理に有機ケイ素化合物を用いた場合、上記特性を満たすためには、繊維フィルムへの有機ケイ素化合物の付着量は、表面処理繊維フィルム(処理後の繊維フィルム)100質量%に対して、2質量%以上90質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上60質量%以下である。
2質量%以上の付着量であれば、上記特性を満たすことができ、その結果、電気絶縁性、耐熱性、寸法安定性、自立性などの特性が良好となるため好ましい。また、90質量%以下の付着量であれば、耐熱性が低下したり、柔軟性が損なわれたりすることなく、電気絶縁性、寸法安定性などが得られるので好ましい。
本発明においてガラスクロスを用いる場合、柱状流或いは高周波振動法による水流で開繊加工することも可能である。さらに、本発明において適応するガラス繊維は、Eガラス、Aガラス、Dガラス、Sガラス等のいずれのガラス繊維でも使用できる。コスト及び入手のしやすさから一般用のEガラスが好ましいが、より高度な特性を要求される場合(例えば、低誘電率、高耐熱性、低不純物など)には石英ガラスが好ましい。
このようなガラスクロスとしては、繊維の織り密度は10〜200本/25mmが好ましく、より好ましくは15〜100本/25mmであり、質量は5〜400g/mが好ましく、より好ましくは10〜300g/mである。この範囲であれば、表面処理による結束が効果的に行われ、電気絶縁性、耐熱性、寸法安定性、自立性などの特性を容易に得ることができる。
このようなガラスクロスの織り方としては、平織り、朱子織り、ななこ織り等が使用できる。また、双方又は一方がテクスチャード加工を施されたガラス繊維で製織されたガラス繊維であっても良い。さらに三軸組布されたガラス繊維はより強度が強く、信頼性の高い表面処理繊維フィルムとなる。また、不織布や長繊維を一定方向に配列された織物も使用可能である。加えて、ガラスクロスに集束剤が塗布されている場合、有機ケイ素化合物による処理が阻害される場合があるので、予め除去しておくことが望ましい。
上述のガラスクロスに表面処理をする際に用いる有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン、ポリシラザン、及びこれらの部分加水分解縮合物、シリコーン変性ワニス、あるいは付加硬化型シリコーン樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物を挙げることができる。
例えば、アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのアルキルアルコキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどのアリールアルコキシシラン、ヒドロキシトリメトキシシラン、ヒドロキシトリエトキシシランなどのヒドロキシアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのアルケニルアルコキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−(N−ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩などのアミノ基含有アルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアネートアルコキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリスエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のアルコキシシラン化合物が挙げられ、これらのアルコキシシランは1種あるいは2種以上混合して使用しても良い。好ましくは、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
また、上記アルコキシシランの1種又は2種以上の部分加水分解縮合物を用いてもよい。この部分加水分解縮合物は、公知の縮合触媒を添加して任意に調製してもよく、市販されているものを用いてもよい。市販されているものの例としては、エポキシ基含有アルコキシシランオリゴマーX−41−1059A(信越化学工業(株)製)、アミノ基含有アルコキシシランオリゴマーX−40−2651(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
ポリシラザンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンなどの化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
シリコーン変性ワニスとしては、アルキッド変性ワニスやポリエステル変性ワニス、エポキシ変性ワニス、アクリル変性ワニスなど多様なシリコーン変性ワニスが使用されるが、最終用途、目的により選択すればよい。
付加硬化型シリコーン樹脂としては、SiO4/単位、RSiO1.5単位、R 2−n SiO単位、及びR 3−m SiO0.5単位からなる不飽和基含有オルガノポリシロキサンと少なくとも一つのヒドロシリル基を含有したオルガノポリシロキサンと硬化有効量の白金触媒からなる組成物が使用されるが、最終用途、目的により適宜選択すればよい。
尚、上述のRは炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、又は1価芳香族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、少なくとも一つはRを含み、かつ飽和基含有オルガノポリシロキサンにおいて、SiO4/単位若しくはRSiO1.5単位を有する。特に、Rが、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、Rが、ビニル基又はアリル基であることが好ましい。SiO4/2単位若しくはRSiO3/2単位を用いることで、脆さを抑制しなおかつ、繊維を強固に固定化することが可能になる。
本発明では、ガラス繊維の代わりに、炭素繊維、セラミック系などの無機繊維、ホウ素繊維、スチールファイバー、タングステン繊維などの金属繊維、アラミド、フェノール系などの新耐熱繊維などの繊維も適応可能である。
上記表面処理繊維フィルムには、必要に応じて充填材を含有することができる。充填材は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。充填材は、線膨張率を下げ、かつ該金属張表面処理繊維基板の熱伝導率や強度を向上させることを目的として、添加することができる。充填材としては、公知の充填材であればいずれのものであってもよく、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、ヒュームド二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
表面処理に有機ケイ素化合物を用いる場合における充填材の配合量は、得られる金属張表面処理繊維基板の線膨張率及び強度の観点から、有機ケイ素化合物100質量部当り900質量部以下(0〜900質量部)の範囲が好ましく、600質量部以下(0〜600質量部)の範囲であることがより好ましく、10〜600質量部、特には50〜500質量部の範囲であることが好ましい。
上記の充填材は、必要に応じて白色顔料をさらに含有するものであってもよい。このような白色顔料としては、得られる金属張表面処理繊維基板が光を反射することが必要である場合には、該金属張表面処理繊維基板の光反射率を上げることを目的として、表面処理用の組成物(例えば、有機ケイ素化合物)に添加されるが、特に光を反射することを必要としない金属張表面処理繊維基板を得る場合には添加されないこともある。ここで、「金属張表面処理繊維基板が光を反射することが必要である」とは、表面処理繊維基板の光反射率が全可視光領域にわたって好ましくは80%以上(即ち、80〜100%)であることを要求される場合のことをいう。
本発明で用いる白色顔料は、従来から一般的に使用されている公知の白色顔料であれば制限なく使用できるが、好適には二酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウムなどが挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記白色顔料のうち、二酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウムがより好ましく、二酸化チタンが更により好ましい。二酸化チタンの結晶形はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わないが、ルチル型が好ましく使用される。
白色顔料の平均粒径及び形状は特に限定されないが、平均粒径が、0.05〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.1〜1.0μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。白色顔料成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
表面処理に有機ケイ素化合物を用いる場合における白色顔料の配合量は、有機ケイ素化合物の合計量100質量部当り1〜300質量部であることが好ましく、3〜200質量部であることがより好ましく、10〜150質量部であることが特に好ましい。該配合量が1質量部以上の場合、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化物の白色度が十分となるため好ましい。該配合量が300質量部以下の場合、本発明のシリコーン積層基板の線膨張率を下げ且つ該基板の機械的強度を向上させることを目的として添加される後述の無機充填材の全充填材に占める割合が低くなることがないため好ましい。
無機充填材は、白色顔料以外の充填材を示し、本発明の金属張表面処理繊維基板の線膨張率を下げかつ該基板の機械的強度を向上させること及び熱伝導率を向上させることを目的として添加される。無機充填材の成分としては、公知の無機充填材であればいずれのものであってもよく、例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられ、特に、溶融シリカ、溶融球状シリカ、アルミナが好ましい。無機充填材の成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
無機充填材の成分の平均粒径及び形状は特に限定されない。無機充填材の成分の平均粒径は、通常0.5〜50μmであるが、表面処理に用いる有機ケイ素化合物の成型性及び流動性からみて、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは1〜5μmである。尚、平均粒径は、上述の通り、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
表面処理に有機ケイ素化合物を用いる場合における無機充填材の成分の配合量は、得られる金属張表面処理繊維基板の線膨張率及び強度の観点から、有機ケイ素化合物の合計量100質量部当り600質量部以下(0〜600質量部)の範囲であることが好ましく、より好ましくは、10〜600質量部であり、さらに好ましくは、50〜500質量部の範囲である。
また、上記白色顔料、無機充填材の両方になり得る材料、すなわち、白色顔料にも、無機充填材としても使うことができる材料があり、具体的には、二酸化チタン、アルミナ、シリカ等が挙げられる。
本発明における表面処理繊維フィルムのX−Y方向の線膨張係数は、20ppm/℃以下が好ましい。X−Y方向の線膨張係数の測定方法としては、幅3mm、長さ25mm、厚み50〜300mmにサンプルを切り出し、熱機械的分析(TMA)装置にて100mNの荷重を加えながら5℃/minの昇温速度で−60℃から200℃の温度範囲で引張り試験による測定方法を例示できる。線膨張係数が20ppm/℃以下、即ち、低線膨張係数であることにより、耐熱衝撃性が強く、高強度基板として使用可能であるため、プリント基板に対する高密度実装、軽薄短小化への要求に対応可能となる。
表面処理繊維フィルムの製造方法は、一般的なガラス繊維の処理方法を適応できる。例えば、ガラス繊維としては、集束剤が付着しているタイプの場合、公知の手法により除去して使用、或いは予め集束剤を除去したガラス繊維を入手して使用する。
表面処理に用いる塗布液の好適な例としては、一般にアルコキシシランに水或いはアルコール類、ケトン類、グリコールエーテル類、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系非極性溶剤、エーテル類などの有機溶剤を添加したものを挙げることができ、さらにギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、アンモニア水などのpH調整剤、顔料、染料、充填材、界面活性剤、増粘剤などを添加することもできる。また、硬化を促進するために、アルコキシ基の縮合触媒、例えば各種有機金属系、アミン系化合物などを添加しても良い。さらに、必要に応じて前述の充填材を添加したものを、溶液又は分散液として調製しても良い。
この場合、塗布環境を考慮して、水系での塗布液が好ましい。シランカップリング剤のKBM−903(信越化学工業(株)製)などは水系での安定性に優れ、溶解性も良いことから好ましい有機ケイ素化合物である。
本発明における繊維フィルムに対する塗布液の塗布方法としては、一般的なガラス繊維の塗布方法が適応される。代表的なコーティング方式としては、ダイレクトグラビアコーター、チャンバードクターコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、スロットダイ、エアードクターコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター、MBコーター、MBリバースコーターなどがある。中でもダイレクトグラビアコーター、オフセットコーター、含浸コーター塗布方式が表面処理繊維フィルムの製造には好ましい。
また、使用する有機ケイ素化合物により条件は異なるが、塗布後、乾燥、硬化目的で室温から300℃で1分から24時間加熱する工程を例示できる。生産性やコスト、作業性などを考慮して、好ましくは室温から250℃で3分から4時間、より好ましくは室温から230℃で5分から1時間の加熱処理で表面処理繊維フィルムを製造する。
塗布液は、例えば、上記有機ケイ素化合物を溶媒で希釈したものである。溶媒の例としては、水あるいは有機溶剤をそれぞれ単独あるいは2種以上混合して用いることができる。有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。この希釈液に、更にギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、などの有機酸やアンモニア水などのpH調整剤、顔料、充填剤、界面活性剤、増粘剤などを添加することもできる。
また、アルコキシ基の縮合触媒を添加してもよく、例えば有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ビスマス化合物のような有機金属化合物系、アミン系化合物などが挙げられる。
有機金属化合物系の縮合触媒としては、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(アセチルアセトナート)、ジブチルスズビス(ベンジルマレート)、ジメチルスズジメトキサイド、ジメチルスズジアセテート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジラウレート、スズジオクテート、及びスズジラウレート等の有機スズ化合物、並びに、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラノルマルプロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、ジイソプロピルジターシャリーブチルチタネート、ジメトキシチタンビスアセチルアセトナート、ジイソプロポキシチタンビスエチルアセトアセテート、ジターシャーリーブトキシチタンビスエチルアセトアセテート、及びジターシャリーブトキシチタンビスメチルアセトアセテート等の有機チタン化合物、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)又はビスマストリス(ネオデカノエート)等の有機ビスマス化合物などの金属ルイス酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。アミン系化合物の例としては、ヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
これら縮合触媒の中では、有機チタン化合物が特に好ましい。
本発明で用いる表面処理繊維フィルムは、少なくとも250℃以下にガラス転移点を有さないことが好ましく、300℃以下にガラス転移点を有さないことが特に好ましい。250℃以下にガラス転移点を有さないものであれば、耐熱性に優れ、熱時の反りが抑制された基板が得られるため、プリント基板に対する高密度実装、軽薄短小化への要求に対応可能となる。また、これにより、耐熱性、電気絶縁性に優れた金属張表面処理繊維基板が提供できる。
上記表面処理繊維フィルムを金属張表面処理繊維基板に用いる際には、表面処理繊維フィルムを1枚、もしくは複数枚積層させ積層体としたものを使用することができる。可撓性と耐熱性の観点から、表面処理繊維フィルムは1枚であることが好ましい。
また、本発明で用いる金属層は、金属メッキ、金属箔、又は金属板によって形成されることが好ましい。特に、金属メッキ又は金属箔を用いることで、基板の可撓性が維持され、90°以上に折り曲げ可能な基板を容易に得ることができる。一方、金属板を用いることで、基板の放熱性が高まり、高耐熱性の基板を得ることができる。
金属メッキを行う場合には、常法に従えばよく、特に限定されるものではない。例えば、繊維フィルムに無電解メッキ法により金属被膜層を形成する方法を挙げることができる。形成する金属膜層は、Ni,Cu、Fe,Coあるいはこれらの金属のうち2種類以上からなる合金、例えばNi−Cu合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、などから選ばれるのが好ましい。また、無電解メッキの後に電解メッキによる増膜形成を施しても良い。
メッキによるパターンの形成方法としては、例えば、ガラス繊維に無電解メッキを実施し、ドライフィルムをラミネートした後、露光、現像により任意のパターンを形成、さらに電解メッキを実施し、パターンを完成させることで、メッキによってパターン形成された金属張表面処理繊維基板が得られる。
本発明で用いる金属箔又は金属板としては、公知の金属箔又は金属板であればいずれのものであってもよい。金属箔としては、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等の、厚さ5〜70μm程度の金属箔を使用することができる。これらの中でも、金属箔としては、導体箔として用いられるものが好ましく、通常銅箔が使用され、さらに表面を黒色酸化処理等の化成処理を施したものが好適に使用される。導体箔は、接着効果を高めるために、フィルムとの接触面(重ねる面)を予め化学的又は機械的に粗化したものを用いることが好ましい。表面粗化処理された導体箔の具体例としては、電解銅箔を製造する際に電気化学的に処理された粗化銅箔などが挙げられる。
金属板としては、例えば、銅板、アルミ板、セラミック板などが挙げられる。なお、金属板の厚さは特に限定されない。金属板を用いることにより放熱性を向上させることが可能になる。また放熱性を向上させる点においては、表面処理繊維フィルムの厚みは薄い方が好ましい。特に本発明の繊維フィルムは可撓性を有し機械的強度も高く、薄膜であっても絶縁性が保たれるため、高放熱基板として有用である。
表面処理繊維フィルム上に、金属箔又は金属板を配置する方法としては、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。例えば、表面処理繊維フィルムの少なくとも一方の面上に、金属箔又は金属板を貼り合わせる方法を挙げることができる。貼り合わせる方法としては、プレス法、ラミネート法等が挙げられる。プレス法及びラミネート法の条件は表面処理繊維フィルムの特性に応じて適宜選択することができる。貼りあわせた後、常法に従い、パターニング及びメッキ工程を経て、プリント配線板基板が得られる。
また本発明では、必要に応じて表面処理繊維フィルムと金属層との間、表面処理繊維フィルム同士の間、もしくはその両方に接着性樹脂組成物からなる接着層を有してもよく、この接着性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。このような金属張表面処理繊維基板を用いれば、接着層として熱硬化性樹脂を用いるため、耐熱性、耐変色性に優れ、機械的強度の高い基板が得られる。
熱硬化性接着性樹脂組成物としては、公知の熱硬化性樹脂組成物であり、接着性を有するものであればいずれのものであってもよく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、特にシリコーン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性接着性樹脂組成物には、必要に応じて充填材を含んでもよい。充填材は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。充填材は、線膨張率を下げ且つ該金属張表面処理繊維基板の熱伝導率や強度を向上させることを目的として、添加することができる。充填材としては、公知の充填材であればいずれのものであってもよく、表面処理繊維フィルムに記載した充填材が好ましい。
また本発明では、表面処理繊維フィルムと接着層との接着性を向上させるために、繊維フィルム、接着層の少なくとも一方に、接着改良処理が施されていてもよい。接着改良処理としては、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理などの放電処理や、アルカリによる表面膨潤処理、過マンガン酸によるデスミア処理、シランカップリング剤によるプライマー処理を挙げることができる。
接着層は表面処理繊維フィルム上に例えば、ラミネート法、含浸法、スプレーコート法、及びバーコート法のいずれか少なくとも1つを用いて形成され、特に、ラミネート法及び含浸法が好ましい。
本発明の金属張表面処理繊維基板の製造方法の一態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、有機ケイ素化合物でガラス繊維表面処理し、加熱硬化させ表面処理繊維フィルムを得る。表面処理繊維フィルムを1枚、又は複数枚重ねたものの両面に金属箔を重ねて、必要に応じてその間に接着層を配置し、加熱加圧成形することで、金属張表面処理繊維基板が得られる。
このような金属張表面処理繊維基板であれば、絶縁層中の繊維の目開きやよれがなく、均一、均質、かつ歪みが抑制されたものとなり、さらに耐熱性、寸法安定性が優れていることから熱時の反りが抑制された高信頼性の基板とすることができる。また、加えて耐変色性に優れていることから、加熱による劣化、変色、反射率低下が少ない。
上述の金属張表面処理繊維基板は、例えば、基板上に半導体素子を搭載することで、半導体装置とすることができる。前述のように金属張表面処理繊維基板は、ガラス繊維の目開きや捩れがないことから、高強度でガラス繊維が固定化された耐熱性、耐変色性、寸法安定性に優れ、表面均一性の高い基板が得られるため、鉛フリー半田等を適用した高耐熱性が要求される半導体装置や高性能半導体装置に適用可能である。加えて、表面処理繊維フィルムは可撓性を有するため基板の機械的強度が向上し、フレキシブル基板としての適用も可能になる。
以下、製造例、比較製造例、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(製造例1)
有機ケイ素化合物として、メチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−13 信越化学工業製)を用いて、ガラスクロス((使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m)に含浸させ、100℃10分で加熱乾燥させた。その後100℃×1時間及び200℃×1時間加熱処理して表面処理繊維フィルム(A1)を作製した。得られた表面処理繊維フィルムに対し、以下の測定を行なった。
1.外観
得られた表面処理繊維フィルムの表面の均一性、即ち、該表面が平滑でクラックがないかを目視により確認した。
2.慣用曲げ剛性
得られた表面処理繊維フィルムについて、JIS R 3420に記載の方法で慣用曲げ剛性を測定し、下記に示す式から、慣用曲げ剛性倍率を測定した。
慣用曲げ剛性倍率 = 表面処理繊維フィルムの慣用曲げ剛性/
未処理の繊維フィルムの慣用曲げ剛性
また、得られた表面処理繊維フィルムから、幅25mm、長さ250mmの長方形試験片を試験する繊維から縦糸方向を各6つ切り取り、以下の測定を行った。
3.線膨張係数
得られた表面処理繊維フィルムについて、幅3mm、長さ25mm、厚み50〜300mmにサンプルを切り出し、熱機械的分析(TMA)装置(装置名:TMA/SS6000、(株)セイコーインスツルメンツ)にて100mNの荷重を加えながら5℃/minの昇温速度で−60℃から200℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対する表面処理繊維フィルムの伸び量から熱膨張係数を測定した。
4.フィルムの柔軟性試験
得られた表面処理繊維フィルムを、図1に示すような幅100mm、半径75mmの半円筒状の筐体2の外周部にはめ込み、フィルム1のわれ、くずれなどを確認した。
これらの各測定結果を表1に示す。
(製造例2)
有機ケイ素化合物として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403 信越化学工業製)を10質量部、界面活性剤0.02質量部、酢酸0.05質量部を水100質量部に加え、塗布液を調製した。この塗布液を用いて製造例1と同様の方法で表面処理繊維フィルム(A2)を得た。得られた表面処理繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(製造例3)
エポキシ基含有オリゴマー(商品名:X−41−1059A 信越化学工業製)50gをトルエン50gに加えた塗布液を調製した。この塗布液に、酸化チタン(商品名:PF−691、平均粒子径:約0.2μm 石原産業製)を10g加えて、トルエン分散液を調製した。この分散液とガラスクロス(使用糸:D450、密度:タテ糸53本/25mm、ヨコ糸53本/25mm、厚さ:42μm、質量:47g/m)を用いて、製造例1と同様の方法で表面処理繊維フィルム(A3)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(製造例4)
SiO1.5単位含有不飽和基含有オルガノポリシロキサンと、ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンをH/Vi=1.1になるように配合した付加硬化型樹脂100gに、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液を白金10ppmになるように添加し、トルエン100gを加えた塗布液を調製した。この塗布液を用いて製造例1と同様の熱硬化したガラス繊維フィルム(A4)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(比較製造例1)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403 信越化学工業製)5gをトルエン95gに加えて塗布液を調製した。この塗布液を用いて製造例1と同様の方法で表面処理繊維フィルム(B1)を得た。得られたガラス繊維フィルムを用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
(比較製造例2)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403 信越化学工業製)を200mm×240mm×3mmのテフロン(登録商標)加工された型枠内に入れ、その中にガラスクロス(使用糸:E250、密度:タテ糸59本/25mm、ヨコ糸57本/25mm、厚さ:87μm、質量:95g/m)を入れ、100℃10分で加熱乾燥させ、表面処理繊維フィルム(B2)を得た。有機ケイ素化合物の付着量は92質量%であったが、表面処理繊維フィルムに大きなクラックが発生し、以後の測定ができなかった。
(比較製造例3)
表面処理されていないガラスクロス(使用糸:D450、密度:タテ糸53本/25mm、ヨコ糸53本/25mm、厚さ:42μm、質量:47g/m)(B3)を用いて、製造例1と同様にして、外観、機械的特性、線膨張係数を評価した。
*1 フィルム柔軟性
○良好(割れ、剥離なし) ×不良(割れ又は剥離あり)
表1が示すように、ガラス繊維を処理しない場合や、付着量が薄すぎる場合、慣用曲げ剛性倍率が低くなり、フィルムは自立性が無く繊維も固定化されていない。一方、付着量が多すぎると表面にクラックが発生した。本発明では、付着量を調製することで慣用曲げ剛性倍率が3〜100倍になる良好な表面処理繊維フィルムである製造例1〜4を得た。製造例1〜4を用いて以下に記載する方法で金属張表面処理繊維基板を成形し、評価を行った。
(実施例1)
製造例1で得られた表面処理繊維フィルム(A1)を1枚配置し、熱プレス機にて150℃で30分間加圧成形し、更にこれを150で1時間二次硬化させて表面処理繊維板(C1−1)を得た。同様に、表面処理繊維フィルム(A1)1枚とその両側に銅箔(福田金属製、厚さ:18μm)を配置し、表面処理繊維フィルムと銅箔の間にシリコーン樹脂製接着層製品名:KE−109、信越化学工業(株)製)を塗布し、熱プレス機にて150℃で30分間加圧成型し、更にこれを150℃で1時間二次硬化させて銅張表面処理繊維基板(C1−2)を得た。
5.外観
得られた表面処理繊維基板の表面を目視で観察することで、繊維の目開き、捩れの有無を確認した。
6.耐熱性
得られた表面処理繊維基板に対して上記IRリフロー装置により260℃、60秒間のIRリフロー処理を行った後、表面の色の変化を目視で観察した。
7.IRリフロー試験後の反り
得られた銅張表面処理繊維基板を用いて図2で示すような形状の基板(縦50mm×横100mm)を作製した。作製した基板に対し、IRリフロー装置(装置名:TNR15−225LH、(株)田村製作所製)により260℃、60秒間のIRリフロー処置を行った後の基板の長手方向の反り(単位mm)を測定した。
これらの各測定結果を表2に示す。
(実施例2)
製造例2で得られた表面処理繊維フィルム(A2)を1枚用い、実施例1と同様の方法で表面処理繊維基板(C2−1)と銅張表面処理繊維基板(C2−2)を得た。得られた表面処理繊維基板と銅張表面処理繊維基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例3)
製造例3で得られた表面処理繊維フィルム(A3)を1枚配置し、熱プレス機にて150℃で30分間加圧成形し、更にこれを150で1時間二次硬化させて表面処理繊維基板(C3−1)を得た。同様に、表面処理繊維フィルム(A3)1枚とその両側に銅箔(福田金属製、厚さ:18μm)を配置し、熱プレス機にて150℃で30分間加圧成型し、更にこれを150℃で1時間二次硬化させて銅張表面処理繊維基板(C3−2)を得た。得られた表面処理繊維基板と銅張表面処理繊維基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例4)
製造例3で得られた表面処理繊維フィルム(A3)を2枚用い、実施例3と同様の方法で表面処理基板(C4−1)と銅張表面処理繊維基板(C4−2)を得た。得られた表面処理繊維基板と銅張表面処理繊維基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(実施例5)
製造例4で得られた表面処理繊維フィルム(A4)を1枚用い、実施例3と同様の方法で表面処理繊維基板(C5−1)と銅張表面処理繊維基板(C5−2)を得た。得られた表面処理繊維基板と銅張表面処理繊維基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(比較例1)
市販の付加反応硬化型シリコーンワニス(商品名:KJR−632 信越化学工業製)180gを用い、溶剤としてトルエンを200g加え、更にシリカ(商品名:アドマファインE5/24C、平均粒子径:約3μm、アドマテックス製)を189g加えてトルエン分散液を得た。トルエン分散液に比較製造例1で得られたガラス繊維(B1)を浸漬し、100℃10分間乾燥し、未硬化状態のシリコーン樹脂プリプレグを得た。得られた未硬化シリコーン樹脂プリプレグを4枚用い、実施例3と同様の方法でシリコーン樹脂基板(D1−1)と銅張シリコーン樹脂基板(D1−2)を得た。得られたシリコーン樹脂基板と銅張ケイ素樹脂基板を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
(比較例2)
有機ケイ素化合物で処理されていないガラス繊維(B3)を用いて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(製品名:EPICRON N−695、(株)DIC製)10質量部、フェノールノボラック樹脂(製品名:PHENOLITE TD−2090、(株)DIC製)5質量部、イミダゾール系触媒(製品名:2E4MZ、(株)四国化成製)0.1質量部、球状シリカ(製品名:SC−2050−SE、(株)アドマテックス製)85質量部及びMEK溶剤50質量部からなるエポキシ樹脂組成物のスラリー溶液に含浸し、100℃10分間乾燥し、未硬化状態のエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを得た。得られた未硬化状態のエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを4枚用い、実施例3と同様の方法でガラスエポキシ基板(D2−1)と銅張ガラスエポキシ基板(D2−2)を得た。得られたガラスエポキシ基板と銅張ガラスエポキシ基を用いて、実施例1と同様にして、外観、IRリフロー試験、耐熱性を評価した。
表2が示すように、良好な表面処理繊維フィルムを用いることで、繊維の目開きや捩れがない基板を得ることができる。そのため、内在する応力により基板自身にも捩れ、反りの発生が抑制され、IRリフロー試験においても良好な結果を示すことが明らかになった。加えて、有機ケイ素化合物で処理された表面処理繊維フィルムであるため、高い耐変色性を有することがわかった。
以上の結果から、本発明の金属張表面処理繊維基板は、基板としたときの繊維の目開きや捩れが発生しない均一、均質な絶縁層を有し、耐熱性、耐変色性、寸法安定性に優れたものであることが明らかであり、高融点の鉛フリー半田を適用した、もしくは高性能素子を使用した高耐熱性が要求される分野の半導体装置用基板に好適に用いることが期待される。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…表面処理繊維フィルム、 2…半円筒状筐体。

Claims (8)

  1. 表面処理繊維フィルムを1枚、もしくは複数枚積層させたものを含む基板であって、
    JIS R 3420記載の方法で測定した前記表面処理繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値が、未処理の繊維フィルムの慣用曲げ剛性の値に対して3倍から100倍であり、前記表面処理繊維フィルム又はその積層体の片面もしくは両面に金属層を有するものであり、
    前記表面処理繊維フィルムが、ガラス繊維を含むものであり、該ガラス繊維の一部又は全部が有機ケイ素化合物の硬化物で結束及び表面処理されたものであり、
    前記有機ケイ素化合物の硬化物は、前記有機ケイ素化合物成分としては、アルコキシシラン、ポリシラザン、これらの部分加水分解縮合物、及びシリコーン変性ワニスから選ばれる1種以上からなるものだけを含むものであることを特徴とする金属張表面処理繊維基板。
  2. 前記金属層が、金属メッキ、金属箔、及び金属板のいずれかによって形成されるものであることを特徴とする請求項1に記載の金属張表面処理繊維基板。
  3. 前記表面処理繊維フィルムと前記金属層との間又は前記表面処理繊維フィルム同士の間、もしくはその両方に接着性樹脂組成物からなる接着層を有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の金属張表面処理繊維基板。
  4. 前記接着性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項に記載の金属張表面処理繊維基板。
  5. 前記表面処理繊維フィルムが、充填材を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の金属張表面処理繊維基板。
  6. 前記充填材が、白色顔料を含有するものであることを特徴とする請求項に記載の金属張表面処理繊維基板。
  7. 90°以上に折り曲げ可能なものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の金属張表面処理繊維基板。
  8. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の金属張表面処理繊維基板を用いて作製されるものであることを特徴とする半導体装置。
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