JP6072662B2 - シリコーン樹脂組成物、該組成物を用いた積層板、及び該積層板を有するled装置 - Google Patents
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(R1 3−nR2 nSiO1/2)a(R1 2−mR2 mSiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d…(1)
(式中、R1は炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、または1価芳香族炭化水素基であり、R2は炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、R3は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、nは1〜3の整数、mは0〜2の整数であり、式(1)中に少なくとも一つはR2を含み、かつ0≦a≦0.5、0<b≦0.75、0<c≦0.90、0≦d≦0.1、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
(B−1) 下記平均式(2)で示されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、
(R1 2R4SiO1/2)p(R1R4SiO2/2)q(R5SiO3/2)r(SiO4/2)s…(2)
(式中、R1は、上記と同様であり、R4は水素原子またはR1で示される基であり、かつ、全R4中少なくとも一つは水素原子であり、R5は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、0≦p≦0.5、0<q≦0.75、0<r≦0.9、0≦s≦0.1、かつ、p+q+r+s=1を満たす数である。)
(B−2) 下記平均式(3)で示される両末端ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、
(R1 2HSiO1/2)2(R1 2SiO2/2)x…(3)
(式中、R1は、上記と同様であり、xは1〜10の整数である。)
:前記(A)成分中の1価不飽和炭化水素基の合計に対する前記(B−1)及び前記(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C) 白金族金属触媒:有効量、
を含有するものであることを特徴とするシリコーン樹脂組成物を提供する。
を含有することが好ましい。
(D1)白色顔料:前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部
(D2)白色顔料以外の無機質充填材:前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して600質量部以下(ただし、(D1)と(D2)の合計が、前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して100〜900質量部である。)
の一方又は両方を含むことが好ましい。
前記シリコーン樹脂組成物が、上記本発明のシリコーン樹脂組成物であることを特徴とする積層板を提供する。
上記のように、接着強度、耐熱性、耐候性等の特性に優れた硬化物を与えるシリコーン樹脂組成物の開発が望まれていた。
(R1 3−nR2 nSiO1/2)a(R1 2−mR2 mSiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d…(1)
(式中、R1は炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、または1価芳香族炭化水素基であり、R2は炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、R3は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、nは1〜3の整数、mは0〜2の整数であり、式(1)中に少なくとも一つはR2を含み、かつ0≦a≦0.5、0<b≦0.75、0<c≦0.90、0≦d≦0.1、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
(B−1) 下記平均式(2)で示されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、
(R1 2R4SiO1/2)p(R1R4SiO2/2)q(R5SiO3/2)r(SiO4/2)s…(2)
(式中、R1は、上記と同様であり、R4は水素原子またはR1で示される基であり、かつ、全R4中少なくとも一つは水素原子であり、R5は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、0≦p≦0.5、0<q≦0.75、0<r≦0.9、0≦s≦0.1、かつ、p+q+r+s=1を満たす数である。)
(B−2) 下記平均式(3)で示される両末端ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、
(R1 2HSiO1/2)2(R1 2SiO2/2)x…(3)
(式中、R1は、上記と同様であり、xは1〜10の整数である。)
:前記(A)成分中の1価不飽和炭化水素基の合計に対する前記(B−1)及び前記(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C) 白金族金属触媒:有効量、
を含有するものであることを特徴とするシリコーン樹脂組成物を用いることにより、上記課題を達成できることを見出した。また、本発明の組成物の硬化物を有する積層板は、銅箔等の金属箔との接着強度が改善され、耐熱性、耐候性等の特性に優れたものとなることを見出した。
なお、本明細書において、「半固体」とは、可塑性を持ちながら流動性を持たない性質を有し、温度・応力・歪みなどの外部からのストレスによって液体又は固体の性質を呈する状態であることを意味する。また、Phはフェニル基、Meはメチル基、Etはエチル基、Viはビニル基を示す。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、下記(A)、(B−1)、(B−2)、(C)成分、場合によって(D)成分を含み、本発明の積層板(シリコーン積層基板)を製造するのに好適に使用される。本発明の組成物は未硬化状態(Aステージ)で固体状であることが好ましく、可塑性の固体であることがより好ましい。Aステージで固体状の組成物は、取り扱いが容易である。
以下、本発明のシリコーン樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明の組成物の重要な構成成分である(A)成分は、R1 3−nR2 nSiO1/2単位、R1 2−mR2 mSiO2/2単位、R3SiO3/2単位及びSiO4/2単位からなり、下記平均式(1)で示される不飽和基含有オルガノポリシロキサンである。
(R1 3−nR2 nSiO1/2)a(R1 2−mR2 mSiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d…(1)
(式中、R1は炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、または1価芳香族炭化水素基であり、R2は炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、R3は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、nは1〜3の整数、mは0〜2の整数であり、式(1)中に少なくとも一つはR2を含み、かつ0≦a≦0.5、0<b≦0.75、0<c≦0.90、0≦d≦0.1、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
R1 2−mR2 mSiO2/2単位の原料としては、
MeViSiCl2、
ClMe2SiO(Me2SiO)jSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)k(PhMeSiO)LSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)k(Ph2SiO)LSiMe2Cl、
HOMe2SiO(Me2SiO)jSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)k(PhMeSiO)LSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)k(Ph2SiO)LSiMe2OH、
MeOMe2SiO(Me2SiO)jSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)k(PhMeSiO)LSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)k(Ph2SiO)LSiMe2OMe
(但し、j=3〜48の整数(平均値)、かつk=0〜47の整数(平均値)、L=1〜48の整数(平均値)、かつk+L=3〜48の整数(平均値))
等を例示することができる。
本発明の組成物の重要な構成成分の一つである(B−1)成分は、R1 2R4SiO1/2単位、R1R4SiO2/2単位、R5SiO3/2単位及びSiO4/2単位からなり、下記平均式(2)で示されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンである。
(R1 2R4SiO1/2)p(R1R4SiO2/2)q(R5SiO3/2)r(SiO4/2)s…(2)
(式中、R1は、上記と同様であり、R4は水素原子またはR1で示される基であり、かつ、全R4中少なくとも一つは水素原子であり、R5は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、0≦p≦0.5、0<q≦0.75、0<r≦0.9、0≦s≦0.1、かつ、p+q+r+s=1を満たす数である。)
MeHSiCl2、
ClMe2SiO(Me2SiO)jSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)k(PhMeSiO)LSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)k(Ph2SiO)LSiMe2Cl、
HOMe2SiO(Me2SiO)jSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)k(PhMeSiO)LSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)k(Ph2SiO)LSiMe2OH、
MeOMe2SiO(Me2SiO)jSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)k(PhMeSiO)LSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)k(Ph2SiO)LSiMe2OMe
(但し、j=3〜48の整数(平均値)、かつk=0〜47の整数(平均値)、L=1〜48の整数(平均値)、かつk+L=3〜48の整数(平均値))
等を例示することができる。
本発明の組成物の重要な構成成分の一つである(B−2)成分は、R1 2HSiO1/2単位及びR1 2SiO2/2単位からなり、下記平均式(3)で示される両末端ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)である。
(R1 2HSiO1/2)2(R1 2SiO2/2)x…(3)
(式中、R1は、上記と同様であり、xは1〜10の整数である。)
この触媒成分は、本発明の組成物の付加硬化反応を生じさせるために配合されるものであり、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがある。該触媒としてはヒドロシリル化反応を促進するものとして従来公知であるいずれのものも使用することができる。コスト等を考慮して、白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、H2PtCl6・pH2O,K2PtCl6,KHPtCl6・pH2O,K2PtCl4,K2PtCl4・pH2O,PtO2・pH2O,PtCl4・pH2O,PtCl2,H2PtCl4・pH2O(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができ、これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
(D)成分の充填材は、本発明の積層板(シリコーン積層基板)の線膨張率を下げ且つ該基板の強度を向上させることを目的として、本発明の組成物に添加される。(D)成分としては、公知の充填材であればいずれのものであってよく、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、ヒュームド二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。(D)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(D1)成分は白色顔料であり、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化物を白色にするための白色着色剤として用いられる。(D1)成分は、得られるシリコーン積層基板が光を反射することが必要である場合には、該シリコーン積層基板の光反射率を上げることを目的として、本発明の組成物に添加されるが、特に光を反射することを必要としないシリコーン積層基板を得る場合には本発明の組成物に添加されないこともある。ここで、「シリコーン積層基板が光を反射することが必要である」とは、後述のとおり、該シリコーン積層基板の光反射率が全可視光領域にわたって好ましくは80%以上(即ち、80〜100%)であることをいう。(D1)成分としては、従来から一般的に使用されている公知の白色顔料であれば制限なく使用できるが、好適には二酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウムなどが挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記(D1)成分のうち、二酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウムがより好ましく、二酸化チタンが更により好ましい。二酸化チタンの結晶形はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のどれでも構わないが、ルチル型が好ましく使用される。
(D2)は、白色顔料以外の無機質充填材であり、本発明のシリコーン積層基板の線膨張率を下げ且つ該基板の機械的強度を向上させることを目的として、本発明の組成物に添加される。(D2)成分としては、通常、シリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができ、公知の無機質充填材であればいずれのものであってもよく、例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン等が挙げられ、特に、溶融シリカ、溶融球状シリカ、アルミナが好ましい。(D2)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用するこができる。
カップリング剤は前記(D)成分と樹脂成分との親和性及び分散性を上げ、樹脂との結合強度を高め、シリコーン樹脂組成物の強度を向上するために使用する。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
本発明の組成物には、上述した(A)〜(D)成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。
本発明の組成物には、接着性を付与するため、接着助剤(接着性付与剤)を必要に応じて添加できる。接着助剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。接着助剤としては、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH2基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも1種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマーや、下記一般式(6)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物、その加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)及びこれらの2種以上の組合せなどが挙げられる。
で表される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、R6の少なくとも1個は式(7)の有機基である。]
本発明のシリコーン樹脂組成物には必要に応じて適宜硬化抑制剤を配合することができる。硬化抑制剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。硬化抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。硬化抑制剤は(A)成分100質量部当たり通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部添加される。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、所要の成分を均一に混合することによって調製される。通常は、硬化が進行しないように2液に分けて保存され、使用時に2液を混合して硬化を行う。勿論、前述したアセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、(A)〜(C)成分を均一に混合してベース組成物を得て、このベース組成物にトルエン、キシレン、ヘプタン等の溶剤を加えたのち、更にカップリング剤で表面処理した(D)成分を添加することにより、溶液または分散液として調製してもよい。また、(D)成分を、(D1)若しくは(D2)又はその両方の成分とすることができる。その場合、本発明のシリコーン樹脂組成物は、まず、(A)〜(C)成分を均一に混合してベース組成物を得て、このベース組成物にトルエン、キシレン、ヘプタン等の溶剤を加えた後、更に(D1)若しくは(D2)又はその両方の成分を添加することにより、分散液として調製してもよい。
本発明の積層板は、
ガラスクロスと、該ガラスクロス中に含浸された本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物とを有してなるものである。
本発明の積層板は、ガラスクロス中に本発明の組成物の硬化物が充填され、かつ、ガラスクロス表面が本発明の組成物の硬化物によって被覆されたものである。
シリコーン積層基板の厚さは、該基板の用途や該基板の製造に用いるガラスクロスの厚さ等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。なお、シリコーン積層基板としては、例えば、LED装置用シリコーン積層基板、電気電子部品等の実装用シリコーン積層基板が挙げられる。
ガラスクロスは特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、石英ガラスクロス、無アルカリガラスクロス、高引張強度のTガラスクロスを用いることができる。ガラスクロスはシート状であって、その厚さは、本発明の積層板の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、10〜2,000μm、好ましくは10〜1,000μm、より好ましくは20〜300μmである。本発明のLED装置にシリコーン積層基板を用いる場合、ガラスクロスの厚さは、用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。
上述した(A)〜(C)成分、場合によっては(D)成分等を含むシリコーン樹脂組成物をガラスクロス中に含浸させて硬化することで、硬化物が上記ガラスクロス中に充填され、かつ、該ガラスクロス表面を被覆することになる。本発明の積層板において、該硬化物はガラスクロスの片面のみを被覆しても両面を被覆してもよいが、該ガラスクロスの両面を被覆することが好ましい。該ガラスクロス表面を被覆する硬化物の厚さは、本発明の積層板の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。LED装置に本発明の積層板を用いる場合、ガラスクロス表面を被覆する硬化物の厚さは、用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは50〜2,000μm、より好ましくは60〜1,000μmである。
本発明の積層板は、
上記(A)〜(C)成分、場合によっては(D)成分等を含むシリコーン樹脂組成物を溶剤に溶解・分散された状態でガラスクロスに含浸させ、
次に、該ガラスクロスから上記溶剤を蒸発させて除去し、
次に、該ガラスクロスに含浸されたシリコーン樹脂組成物を加圧成型下で加熱硬化させることにより得ることができる。ここで、本発明のLED装置にシリコーン積層基板を用いる場合、(D)成分として、(A)成分、(B−1)成分及び(B−2)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部の(D1)成分と、(A)成分、(B−1)成分及び(B−2)成分の合計100質量部に対して600質量部以下の(D2)成分の一方又は両方を含有する充填材を用いることが好ましい。
溶剤は、上述したシリコーン樹脂組成物を溶解・分散させることができ、かつ、該組成物が未硬化または半硬化の状態に保持される温度で蒸発させることができるものであれば特に限定されず、例えば、沸点が50〜200℃、好ましくは80〜150℃の溶剤が挙げられる。LED装置用のシリコーン積層基板を製造する場合には、上述したシリコーン樹脂組成物を溶解・分散することができ、かつ、該組成物が未硬化または半硬化の状態に保持される温度で蒸発させることができるものであれば特に限定されず、例えば、沸点が50〜150℃、好ましくは60〜100℃の溶剤が挙げられる。溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系非極性溶剤;エーテル類等が挙げられる。溶剤の使用量は、上述したシリコーン樹脂組成物が溶剤・分散し、得られた溶液または分散液をガラスクロスに含浸させることができる量であれば、特に制限されず、該シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは、10〜200質量部、より好ましくは20〜100質量部である。LED装置用のシリコーン積層基板を製造する場合には、上述したシリコーン樹脂組成物が溶解・分散し、得られた溶液または分散液をガラスクロスに含浸させることができる量であれば、特に制限されず、該シリコーン樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは、10〜200質量部、より好ましくは50〜100質量部である。
本発明のLED装置は、本発明の積層板と、該基板上に実装されたLEDチップとを有する。図1は本発明のLED装置の一例を示す断面図である。図1に示すLED装置1において、本発明の積層板(シリコーン積層基板)2上には陽極と陰極とからなる電極パターン3が作製され、電極パターンの一方の電極にダイボンディングペースト4を介してLEDチップ5がダイボンディングされている。LEDチップ5と電極パターン3の他方の電極との間にはボンディングワイヤー6が接続されている。電極パターン3の一部、LEDチップ5およびボンディングワイヤー6は透明封止体7によって封止されている。
[測定条件]
展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A1)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:952.5g(81.5モル%)、ClMe2SiO(Me2SiO)8SiMe2Cl:398.0g(9.1モル%)、MeViSiCl2:37.8g(4.9モル%)、Me2ViSiCl:30.2g(4.5モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジンを合成した。このレジンの重量平均分子量は11000、ビニル基含有量は0.05モル/100gであった。
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A2)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:499.6g(81.5モル%)、ClMe2SiO(Me2SiO)8SiMe2Cl:398.0g(9.1モル%)、MeViSiCl2:37.8g(9.4モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、T単位からなる三次元網状構造のビニル基含有樹脂(A2)を合成した。この樹脂は、重量平均分子量14000、ビニル基含有量は0.15モル/100gである。
−ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂(B−1−1)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:666.8g(81.8モル%)、ClMe2SiO(Me2SiO)8SiMe2Cl:278.6g(9.1モル%)、MeHSiCl2:21.8g(4.9モル%)、Me2HSiCl:16.6g(4.5モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジンを合成した。このレジンの重量平均分子量は9000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
−ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂(B−1−2)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:666.8g(81.8モル%)、ClMe2SiO(Me2SiO)8SiMe2Cl:278.6g(9.1モル%)、MeHSiCl2:40.3g(9.4モル%)をトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジンを合成した。このレジンの重量平均分子量は11000、ヒドロシリル基含有量は0.05モル/100gであった。
−直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−1)−
Ph2Si(OMe) 2で示されるオルガノシラン:5376g(57.1モル%)、アセトニトリル:151.8gを10℃以下まで冷却し、濃硫酸:303.69g、水:940.36g、(HSiMe2)2O:2216g(42.9モル%)を滴下し、終夜撹拌した。水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを合成した。得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは下記一般式(8)に示される両末端ハイドロジェンポリシロキサンを主成分とするものだった。
−直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−2)−
[(Me)2SiO]n(n=4.0(平均値))で示されるジメチルシクロシロキサン:2340g(66.8モル%)に、濃硫酸:69.85g、水:216.28g、(HSiMe2)2O:528g(33.2モル%)を滴下し、終夜撹拌した。水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを合成した。得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは下記一般式(9)に示される両末端ハイドロジェンポリシロキサンを主成分とするものだった。
(実施例1)
合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A1):122.8g、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−1):55.4g、合成例5で得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−1):7.35g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.2g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌してベース組成物を得た。このベース組成物に、溶剤としてトルエン290gを加え、さらにトリメトキシビニルシラン(ViSi(OMe)3)で表面処理したアルミナ(商品名:アドマファインAO−502、平均粒子径:約0.7μm、(株)アドマテックス製)を395gおよび、二酸化チタン(商品名:PF−691、平均粒子径:約0.2μm、(株)石原産業製)を10g加えて、シンキーミキサーで撹拌し、シリコーン樹脂組成物のトルエン分散液を調製した。
合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A−1):111.8g、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−1):73.8g、合成例5で得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−1):4.9gを用い、実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
実施例1において、合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A−1)の代わりに、合成例2で得られたビニル基含有樹脂(A−2):122.8gを用い、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−1)の代わりに、合成例4で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−2):55.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A−1):121.2g、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−1):66.7g、合成例6で得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−2):12.1gを用い、実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
実施例1において、二酸化チタンを用いずにアルミナのみを395g用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
実施例1において、合成例5で得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−1)を用いずに、合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A−1):94.7g、合成例3で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−1):105.3gを用いて、シランカップリング処理していないアルミナ(商品名:アドマファインAO−502、平均粒子径:約0.7μm、(株)アドマテックス製)を使用した以外は実施例1と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
実施例3において、合成例5で得られた直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−2−1)を用いずに、合成例2で得られたビニル基含有樹脂(A−2):94.7g、合成例4で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−1−2):105.3gを用いて、シランカップリング処理していないアルミナ(商品名:アドマファインAO−502、平均粒子径:約0.7μm、(株)アドマテックス製)を使用した以外は実施例3と同様にして、シリコーン積層基板および銅張積層基板を得た。
実施例1で作製したシリコーン積層基板の代わりに、市販の白色ガラスエポキシ基板を用いて、耐熱変色性試験を行った。
得られたシリコーン積層基板の表面の均一性、即ち、該表面が平滑であるか、凹凸を有し不均一であるかどうかを目視により確認した。
JIS C 6481に従い、得られた銅張積層基板を25mm幅に切りだし、35μm銅箔1mm幅のピール強度をヘッドスピード50mm/minで測定した(n=3の平均値を測定した。)。
得られたシリコーン銅張積層板に対してIRリフロー装置(商品名:リフローソルダリング装置、(株)田村製作所製)により260℃、10秒間のIRリフロー処理を2回行って、銅箔が剥離したかどうかを確認した。
得られた銅張積層基板の銅箔をエッチング処理によって除去したのち、該積層基板表面の青色LEDの平均波長(450nm)における反射率を光反射率測定機X−rite 8200(積分球分光光度計、X−rite社(US)製)にて測定し、さらに200℃23時間加熱処理したのちの反射率も同様に測定した。
得られた銅張積層基板の銅箔をエッチング処理によって除去したのち、該積層基板表面の青色LEDの平均波長(450nm)における反射率を光反射率測定機X−rite 8200(積分球分光光度計、X−rite社(US)製)にて測定し、さらに波長365nm、強度30mW/cm2の紫外線を120℃で5時間照射したのちの反射率も同様に測定した。
4…ダイボンディングペースト、 5…LEDチップ、 6…ボンディングワイヤー、
7…透明封止体。
Claims (10)
- (A) 下記平均式(1)で示される不飽和基含有オルガノポリシロキサン、
(R1 3−nR2 nSiO1/2)a(R1 2−mR2 mSiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d…(1)
(式中、R1は炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、または1価芳香族炭化水素基であり、R2は炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基であり、R3は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、nは1〜3の整数、mは0〜2の整数であり、式(1)中に少なくとも一つはR2を含み、かつ0≦a≦0.5、0<b≦0.75、0<c≦0.90、0≦d≦0.1、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
(B−1) 下記平均式(2)で示されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、
(R1 2R4SiO1/2)p(R1R4SiO2/2)q(R5SiO3/2)r(SiO4/2)s…(2)
(式中、R1は、上記と同様であり、R4は水素原子またはR1で示される基であり、かつ、全R4中少なくとも一つは水素原子であり、R5は1価芳香族炭化水素基、または炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基であり、0≦p≦0.5、0<q≦0.75、0<r≦0.9、0≦s≦0.1、かつ、p+q+r+s=1を満たす数である。)
(B−2) 下記平均式(3)で示される両末端ヒドロシリル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、
(R1 2HSiO1/2)2(R1 2SiO2/2)x…(3)
(式中、R1は、上記と同様であり、xは1〜10の整数である。)
:前記(A)成分中の1価不飽和炭化水素基の合計に対する前記(B−1)及び前記(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C) 白金族金属触媒:有効量、
(D) 充填材:前記(A)成分、前記(B−1)成分、前記(B−2)成分の合計100質量部に対して900質量部以下、
を含有するものであり、
前記(D)成分が、カップリング剤によって表面処理されていることを特徴とするシリコーン樹脂組成物。 - 前記(D)成分が、
(D1)白色顔料:前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して1〜300質量部
(D2)白色顔料以外の無機質充填材:前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して600質量部以下(ただし、(D1)と(D2)の合計が、前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して100〜900質量部である。)
の一方又は両方を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。 - 前記シリコーン樹脂組成物において、前記(A)成分、前記(B−1)成分及び前記(B−2)成分中のケイ素に結合した全置換基中の10〜80%が1価芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコーン樹脂組成物。
- 前記(B−1)成分と前記(B−2)成分を、(B−1)及び(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1:0.9〜0.9:0.1(但し、合計で1)となる量含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
- 前記(A)成分における(R1 2−mR2 mSiO2/2)単位(R1及びR2は上記と同じ)若しくは前記(B−1)成分における(R1R4SiO2/2)単位(R1及びR4は上記と同じ)又はその両方の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜50個である構造を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
- 前記シリコーン樹脂組成物が、未硬化状態(Aステージ)で固体状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物。
- ガラスクロスと、該ガラスクロス中に含浸されたシリコーン樹脂組成物の硬化物とを有してなる積層板であって、
前記シリコーン樹脂組成物が、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシリコーン樹脂組成物であることを特徴とする積層板。 - 前記積層板の最表面に、更に、金属箔を配置したものであることを特徴とする請求項7に記載の積層板。
- 前記積層板の、JIS C 6481に規定される金属箔の引きはがし強さが0.4kN/m以上のものであることを特徴とする請求項8に記載の積層板。
- 請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の積層板と、該積層板上に実装されたLEDチップとを有するものであることを特徴とするLED装置。
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