JP6480360B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属張シリコーン樹脂基板上に、半導体素子が載置され、シリコーン樹脂組成物の成形体が形成された半導体装置に関する。
LEDの実装基板又は電気電子部品等の実装基板として、エポキシ樹脂含浸ガラスクロスが広く使用されてきた。しかしながら、近年のハンダの鉛フリー化及びLEDの高輝度化に伴うLED素子自体の発熱量の増大によって、上記のような基板では、基板が劣化するという問題が生じてきた。このような背景から、近年では、LEDの実装基板又は電気電子部品等の実装基板に、より高い耐熱性及び耐候性が求められている。
このような課題を達成する手段として、特許文献1では、耐熱性、耐候性等の特性に優れているシリコーン樹脂含浸ガラスクロス(以下、「シリコーン樹脂基板」とも称する)をLEDの実装基板又は電気電子部品等の実装基板として使用することが検討されている。
一方で、シリコーン樹脂組成物は、耐熱性、耐候性に優れていることから、特許文献2のように、電気電子部品等の半導体装置における半導体素子やLED素子あるいは接続部のコーティング材、半導体素子やLED素子の封止材、ダム材やパッケージ材料としても用いられている。このような用途で用いられる場合、シリコーン樹脂組成物は、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形などによって基板上に成形される。
しかし、シリコーン樹脂基板上に、シリコーン樹脂組成物からなるコーティング材、封止材、ダム材、パッケージ材料等を成形しようとすると、シリコーン樹脂基板に対するシリコーン樹脂組成物の濡れ性が低いために、成形時にボイドや未充填が発生するという問題があった。このような問題を解決する方法として、特許文献3では、基板の表面にプラズマ処理を実施する方法が提案されている。しかしながら、このような方法では、プラズマ処理工程が増えることで、半導体装置の生産性が低下するという問題があった。
特開2010−089493号公報 特許3523098号公報 特開2003−298228号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、良好な耐熱性及び耐候性を有し、かつシリコーン樹脂組成物の成形体がプラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に基板と接着した半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明では、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させた1枚又は複数枚のガラスクロスの硬化物であるシリコーン樹脂基板の片面又は両面に金属層を有する金属張シリコーン樹脂基板、該金属張シリコーン樹脂基板上に載置された半導体素子、及び前記金属張シリコーン樹脂基板の前記半導体素子が載置された面側に形成され、前記シリコーン樹脂基板と接着しているシリコーン樹脂組成物(Y)の成形体を有する半導体装置であり、前記シリコーン樹脂組成物(X)及び前記シリコーン樹脂組成物(Y)のうち、一方が、ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであり、他方が、ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものである半導体装置を提供する。
本発明の半導体装置は、具体的には、前記シリコーン樹脂組成物(X)が、ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであり、前記シリコーン樹脂組成物(Y)が、ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものとすることができる。
あるいは、本発明の半導体装置は、前記シリコーン樹脂組成物(X)が、ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであり、前記シリコーン樹脂組成物(Y)が、ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものとすることができる。
このような半導体装置であれば、良好な耐熱性及び耐候性を有し、かつシリコーン樹脂組成物の成形体がプラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に基板と接着した半導体装置となる。
また、前記シリコーン樹脂組成物(X)が、
(A−1)下記平均組成式(1)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (1)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a、b、c、dは、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、a+b+c+d=1、及び0<(c+d)≦1.0を満足する数である。)
(B−1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A−1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−1)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、
(C−1)白金族金属系触媒、及び
(D)充填材:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して30質量部以上900質量部以下、
を含むものであることが好ましい。
このようなシリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスの硬化物(シリコーン樹脂基板)を金属張シリコーン樹脂基板の材料とすることで、金属張シリコーン樹脂基板の耐熱性及び耐候性を特に良好なものとすることができる。
また、前記(D)成分が、
(D−1)白色顔料:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して0質量部を超え300質量部以下、及び
(D−2)前記(D−1)成分以外の無機質充填材:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して1質量部以上600質量部以下、
のいずれか又は両方を含むものであることが好ましい。
このような(D)成分を含むシリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスの硬化物(シリコーン樹脂基板)を金属張シリコーン樹脂基板の材料とすることで、金属張シリコーン樹脂基板の機械的強度を高めることができ、また必要に応じて金属張シリコーン樹脂基板の光反射率を高めることができる。
また、前記(D−1)成分が、二酸化チタン及び酸化亜鉛のいずれか又は両方であることが好ましい。
このような(D−1)成分を含むシリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスの硬化物(シリコーン樹脂基板)を金属張シリコーン樹脂基板の材料とすることで、金属張シリコーン樹脂基板の光反射率を更に高めることができる。
また、前記シリコーン樹脂組成物(X)が、25℃で固体状のものであることが好ましい。
このようなシリコーン樹脂組成物(X)であれば、取り扱いが容易であり、シリコーン樹脂基板の作製により好適である。
また、前記シリコーン樹脂組成物(Y)が、
(A−2)下記平均組成式(2)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(R SiO1/2a’(R SiO2/2b’(RSiO3/2c’(SiO4/2d’ (2)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a’、b’、c’、d’は、a’≧0、b’≧0、c’≧0、d’≧0、及びa’+b’+c’+d’=1を満足する数である。)
(B−2)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A−2)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、及び
(C−2)白金族金属系触媒、
を含むものであることが好ましい。
このようなシリコーン樹脂組成物(Y)であれば、耐熱性及び耐候性に優れた成形体が得られるため、封止材、リフレクター材、アンダーフィル材等の形成に特に好適である。
以上のように、本発明の半導体装置であれば、半導体素子を載置する基板に対する成形体材料の濡れ性が良好であるため、プラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に基板と成形体とを接着させることができる。また、プラズマ処理を行う必要がないため、半導体装置の生産性が低下する恐れがない。また、良好な耐熱性及び耐候性を有するシリコーン樹脂組成物を基板及び成形体に使用するため、耐熱性及び耐候性に優れた半導体装置となる。
金属張シリコーン樹脂基板上にシリコーン樹脂組成物(Y)を封止材として成形した本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。 金属張シリコーン樹脂基板上にシリコーン樹脂組成物(Y)をリフレクター材として成形した本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。 金属張シリコーン樹脂基板上にシリコーン樹脂組成物(Y)をアンダーフィル材として成形した本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。
上述のように、良好な耐熱性及び耐候性を有し、かつシリコーン樹脂組成物の成形体がプラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に基板と接着した半導体装置が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、半導体素子を載置する基板に含浸させるシリコーン樹脂組成物(即ち、シリコーン樹脂組成物(X))に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合と、基板上に形成される成形体の材料となるシリコーン樹脂組成物(即ち、シリコーン樹脂組成物(Y))に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合を、一方は高く、他方は低くすることで、基板に対する成形体材料の濡れ性を向上させることができ(即ち、成形性を向上させることができ)、プラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に成形体と基板が接着した半導体装置が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させた1枚又は複数枚のガラスクロスの硬化物であるシリコーン樹脂基板の片面又は両面に金属層を有する金属張シリコーン樹脂基板、該金属張シリコーン樹脂基板上に載置された半導体素子、及び前記金属張シリコーン樹脂基板の前記半導体素子が載置された面側に形成され、前記シリコーン樹脂基板と接着しているシリコーン樹脂組成物(Y)の成形体を有する半導体装置であり、前記シリコーン樹脂組成物(X)及び前記シリコーン樹脂組成物(Y)のうち、一方が、ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであり、他方が、ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものである半導体装置である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基、「Vi」はビニル基を示す。
<半導体装置>
図1は、金属張シリコーン樹脂基板上にシリコーン樹脂組成物(Y)を封止材として成形した本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。図1に示される半導体装置では、シリコーン樹脂基板1の両面に金属層2を有する金属張シリコーン樹脂基板3の片面(金属層2上)に、半導体素子4が搭載されている。また、半導体素子4は金属製のボンディングワイヤ5によりワイヤボンディングされており、その上からシリコーン樹脂組成物(Y)の成形体である封止材6によって樹脂封止されている。なお、シリコーン樹脂基板1は、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスの硬化物である。また、金属張シリコーン樹脂基板3には、金属層2によってシリコーン樹脂基板1が被覆されている箇所と、パターニング等によって金属層2が除去されシリコーン樹脂基板1が表層に現れている箇所があり、シリコーン樹脂基板1が表層に現れている箇所で、シリコーン樹脂基板1と封止材6が接着している。
図2は、金属張シリコーン樹脂基板上にシリコーン樹脂組成物(Y)をリフレクター材として成形した本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。図2に示される半導体装置では、シリコーン樹脂基板1の両面に金属層2を有する金属張シリコーン樹脂基板3の片面(金属層2上)に、半導体素子4が搭載されている。また、半導体素子4は金属製のボンディングワイヤ5によりワイヤボンディングされており、半導体素子4の外周部にシリコーン樹脂組成物(Y)の成形体であるリフレクター材7が形成されている。なお、図1に示される半導体装置と同様、シリコーン樹脂基板1が表層に現れている箇所で、シリコーン樹脂基板1とリフレクター材7が接着している。
図3は、金属張シリコーン樹脂基板上にシリコーン樹脂組成物(Y)をアンダーフィル材として成形した本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。図3に示される半導体装置では、シリコーン樹脂基板1の両面に金属層2を有する金属張シリコーン樹脂基板3の片面(金属層2上)に、半導体素子4がフリップ素子方式で半導体バンプ8を介して搭載されている。また、半導体素子4と金属層2の隙間には、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体であるアンダーフィル材9が形成されている。なお、図1に示される半導体装置と同様、シリコーン樹脂基板1が表層に現れている箇所で、シリコーン樹脂基板1とアンダーフィル材9が接着している。
ここで、上記のシリコーン樹脂組成物(X)とシリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合について説明する。
ガラスクロスに含浸させるシリコーン樹脂組成物(X)は、
(X−1)ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであるか、
(X−2)ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものである。
一方、成形体の材料となるシリコーン樹脂組成物(Y)は、
(Y−1)ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであるか、
(Y−2)ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものである。
本発明において、上記の(X−1)、(X−2)と(Y−1)、(Y−2)の組み合わせは、以下の2パターンのいずれかである。
(パターン1)
パターン1は、シリコーン樹脂組成物(X)が(X−1)であり、シリコーン樹脂組成物(Y)が(Y−1)の場合である。この場合、シリコーン樹脂組成物(X)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合が高く、シリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合が低い(あるいは、シリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサンがケイ素原子結合アリール基を含有しない)。
(パターン2)
パターン2は、シリコーン樹脂組成物(X)が(X−2)であり、シリコーン樹脂組成物(Y)が(Y−2)の場合である。この場合、シリコーン樹脂組成物(X)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合が低く(あるいは、シリコーン樹脂組成物(X)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサンがケイ素原子結合アリール基を含有せず)、シリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合が高い。
このように、ガラスクロスに含浸させるシリコーン樹脂組成物(X)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合と、成形体の材料となるシリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合アリール基の割合を、一方は高く、他方は低くすることで、基板に対するシリコーン樹脂組成物(Y)の濡れ性を向上させることができ(即ち、成形性を向上させることができ)、プラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に成形体と基板が接着した半導体装置を得ることができる。
以下、本発明の半導体装置の各構成要素について、詳細に説明する。
[金属張シリコーン樹脂基板]
本発明の半導体装置に使用される金属張シリコーン樹脂基板は、シリコーン樹脂基板の片面又は両面に金属層を有するものである。なお、金属張シリコーン樹脂基板の厚さは、半導体装置の用途や基板の製造に用いるガラスクロスの厚さ等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは20〜2,000μm、より好ましくは50〜1,000μmである。
(金属層)
シリコーン樹脂基板の片面又は両面に形成される金属層は、特に限定されないが、例えば、Ni、Cu、Fe、Co、あるいはこれらの金属のうち2種類以上からなる合金、例えばNi−Cu合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金などから選ばれる金属を含む層とすることが好ましい。
なお、上記のように、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体は、金属張シリコーン樹脂基板の半導体素子が載置された面側に形成され、かつシリコーン樹脂基板(即ち、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスの硬化物)と接着している。つまり、金属張シリコーン樹脂基板の半導体素子が載置される面側は、全面が金属層に被覆されてはおらず、シリコーン樹脂基板の一部もしくは全部が表層に現れている。
(シリコーン樹脂基板)
本発明の半導体装置に使用される金属張シリコーン樹脂基板の材料となるシリコーン樹脂基板は、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させた1枚又は複数枚のガラスクロスの硬化物である。
−ガラスクロス−
シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させるガラスクロスとしては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、石英ガラスクロス、無アルカリガラスクロス、高引張強度のTガラスクロス等を用いることができる。ガラスクロスはシート状であって、その厚さは、本発明の半導体装置の用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは10〜2,000μm、より好ましくは20〜1,000μm、特に好ましくは50〜300μmである。
−シリコーン樹脂組成物(X)−
ガラスクロスに含浸させるシリコーン樹脂組成物(X)は、
(X−1)ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであるか、
(X−2)ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものである。
上記(X−1)の場合、アリール基の含有率は、ケイ素原子に結合した全有機基に対して、好ましくは30モル%以上90モル%以下、より好ましくは35モル%以上90モル%以下である。
一方、上記(X−2)の場合、アリール基の含有率は、ケイ素原子に結合した全有機基に対して、好ましくは0モル%を超え28モル%以下、より好ましくは2モル%以上28モル%以下である。
シリコーン樹脂組成物(X)の性状としては、25℃の未硬化状態(Aステージ)で固体状であることが好ましく、可塑性の固体であることがより好ましい。このような性状の樹脂組成物であれば、取扱いが容易であり、シリコーン樹脂基板の作製により好適である。
また、シリコーン樹脂組成物(X)は、
(A−1)下記平均組成式(1)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (1)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a、b、c、dは、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、a+b+c+d=1、及び0<(c+d)≦1.0を満足する数である。)
(B−1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A−1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−1)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、
(C−1)白金族金属系触媒、及び
(D)充填材:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して30質量部以上900質量部以下、
を含むものであることが好ましい。
以下、シリコーン樹脂組成物(X)に含まれる各成分について詳細に説明する。
(A−1)成分
(A−1)成分は、下記平均組成式(1)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン(即ち、不飽和基含有オルガノポリシロキサン)である。
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (1)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a、b、c、dは、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、a+b+c+d=1、及び0<(c+d)≦1.0を満足する数である。)
(A−1)成分は、(RSiO3/2)単位及び(SiO4/2)単位のいずれか又は両方を含有するものであり、このような分岐構造を含むことで、得られるシリコーン樹脂基板がより強固なものとなる。
上記平均組成式(1)において、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6)の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜6)のアルケニル基から選ばれる基である。Rの具体例としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。これらの中でも、特にメチル基、フェニル基、及びビニル基が好ましい。
(A−1)成分の具体例としては、例えば、(R SiO1/2)単位、(R SiO2/2)単位、及び(RSiO3/2)単位を有する、以下の不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2a1(MeSiO2/2b1(PhSiO3/2c1
(MeViSiO1/2a2(MeSiO2/2b2(PhSiO3/2c2
(MeViSiO1/2a3(MeSiO2/2b3(MeViSiO2/2b4(PhSiO3/2c3
(式中、a1、a2、a3、b1、b2、b3、b4、c1、c2、及びc3は、それぞれ、0.01≦a1≦0.5、0.01≦a2≦0.5、0.01≦a3≦0.74、0.09≦b1≦0.75、0.09≦b2≦0.75、0.01≦b3≦0.74、0.01≦b4≦0.74、0.24≦c1≦0.9、0.24≦c2≦0.9、0.24≦c3≦0.9、かつa1+b1+c1=1、a2+b2+c2=1、a3+b3+b4+c3=1を満たす数であり、上記(MeSiO2/2)単位の少なくとも一部、又は全てが連続して繰り返してなることが、樹脂の柔軟性の観点から特に好ましい。)
また、(A−1)成分の具体例としては、例えば、(RSiO3/2)単位のみを有する、以下の不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(PhSiO3/2c4(ViSiO3/2c5
(MeSiO3/2c6(ViSiO3/2c7
(式中、c4、c5、c6、及びc7は、それぞれ、0.5≦c4≦0.95、0.05≦c5≦0.5、0.5≦c6≦0.98、0.02≦c7≦0.5、かつc4+c5=1、c6+c7=1を満たす数である。)
また、(A−1)成分の具体例としては、例えば、(R SiO1/2)単位及び(SiO4/2)単位を有する、以下の不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeSiO1/2a4(MePhViSiO1/2a5(SiO4/2d1
(式中、a4、a5、及びd1は、それぞれ、0.02≦a4≦0.12、0.18≦a5≦0.73、0.25≦d1≦0.77、かつa4+a5+d1=1を満たす数である。)
なお、例えば上記の(PhSiO3/2)単位や(MePhViSiO1/2)単位の含有率(即ち、上記のc1〜c4及びa5)を調節することで、シリコーン樹脂組成物(X)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサンにおけるケイ素原子結合アリール基の割合を所望の範囲に調節することができる。
(A−1)成分の不飽和基含有オルガノポリシロキサンは、上記の具体例に限定されるものではない。また、(A−1)成分としては、上記のような不飽和基含有オルガノポリシロキサンを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A−1)成分のポリスチレン換算での重量平均分子量は、1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。また、(A−1)成分が、室温で固体状又は半固体状であれば、作業性、硬化性等から好適である。
(A−1)成分の不飽和基含有オルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で各シロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
各シロキサン単位の原料としては、各シロキサン単位に相当するクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類などを例示することができる。
(B−1)成分
(B−1)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH基」とも称する)を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、上述の(A−1)成分の架橋剤として作用する成分である。
(B−1)成分の具体例としては、例えば、以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
(MeHSiO1/2e1(MeSiO2/2f1(PhSiO3/2g1
(MeHSiO1/2e2(MeSiO2/2f2(MeHSiO2/2f3(PhSiO3/2g2
(MeHSiO2/2f4(PhSiO3/2g3
(MeHSiO2/2f5(MeSiO3/2g4
(MeHSiO1/2e3(PhSiO2/2f6
(MeHSiO1/2e4(MeSiO2/2f7
(MeHSiO1/2e5(MeSiO3/2g5
(式中、e1、e2、e3、e4、e5、f1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、g1、g2、g3、g4、及びg5は、それぞれ、0.01≦e1≦0.5、0.01≦e2≦0.5、0.01≦e3≦0.5、0.01≦e4≦0.5、0.01≦e5≦0.5、0.09≦f1≦0.75、0.01≦f2≦0.74、0.01≦f3≦0.74、0.1≦f4≦0.75、0.1≦f5≦0.75、0.5≦f6≦0.99、0.5≦f7≦0.99、0.24≦g1≦0.9、0.24≦g2≦0.9、0.25≦g3≦0.9、0.25≦g4≦0.9、0.5≦g5≦0.99、かつe1+f1+g1=1、e2+f2+f3+g2=1、f4+g3=1、f5+g4=1、e3+f6=1、e4+f7=1、e5+g5=1を満たす数である。)
なお、例えば上記の(PhSiO3/2)単位や(PhSiO2/2)単位の含有率(即ち、上記のg1〜g3及びf6)を調節することで、シリコーン樹脂組成物(X)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサンにおけるケイ素原子結合アリール基の割合を所望の範囲に調節することができる。
(B−1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記の具体例に限定されるものではない。また、(B−1)成分としては、上記のようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(B−1)成分の配合量は、上記(A−1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−1)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の量が0.1〜5.0モルとなる量であり、好ましくは0.1〜4.0モルとなる量、より好ましくは0.5〜3.0モルとなる量、特に好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。0.1モル以上であれば硬化反応を十分に進行させることができるため、容易に硬化物を得ることができ、5.0モル以下であれば未反応のSiH基が硬化物に多量に残存する恐れがないため、硬化物の特性が経時的に変化することを防止できる。
本発明では、接着性付与のために、上記の(A−1)成分及び(B−1)成分のいずれか又は両方を、シラノール基を含有するものとすることが好ましい。なお、この場合、シラノール基を有するシロキサン単位の量は、全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)程度とすることが好ましい。
(C−1)成分
(C−1)成分は、白金族金属系触媒であり、シリコーン樹脂組成物(X)の付加硬化反応を生じさせるために配合される成分である。
(C−1)成分としては、ヒドロシリル化反応を促進する白金族金属系触媒であれば、従来公知のいずれのものも使用することができる。(C−1)成分として、具体的には、コスト等の観点から、白金、白金黒、塩化白金酸等の白金系のもの、例えば、HPtCl・pHO、KPtCl、KHPtCl・pHO、KPtCl、KPtCl・pHO、PtO・pHO、PtCl・pHO、PtCl、HPtCl・pHO(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール、又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等が挙げられる。なお、(C−1)成分としては、上記のような触媒を1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(C−1)成分の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、上記(A−1)成分及び(B−1)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲である。
(D)成分
(D)成分は、充填材であり、シリコーン樹脂基板の機械的強度や光反射率の向上を目的として添加される成分である。
(D)成分の配合量は、得られるシリコーン樹脂基板の機械的強度の観点から、上記(A−1)成分及び(B−1)成分の合計100質量部に対して、30質量部以上900質量部以下であり、好ましくは35質量部以上600質量部以下、より好ましくは50質量部以上500質量部以下である。
(D)成分としては、従来公知のいずれの充填材も使用することができ、特に限定されないが、(D−1)白色顔料:上記(A−1)成分及び上記(B−1)成分の合計100質量部に対して0質量部を超え300質量部以下、及び(D−2)上記(D−1)成分以外の無機質充填材:上記(A−1)成分及び上記(B−1)成分の合計100質量部に対して1質量部以上600質量部以下、のいずれか又は両方を含むものであることが好ましい。
このような(D−1)成分及び/又は(D−2)成分を含む充填材は、シリコーン樹脂組成物(X)に添加される(D)成分として好適であり、また、本発明の半導体装置がLED装置である場合に、特に好適である。
(D−1)成分
(D−1)成分は、白色顔料であり、シリコーン樹脂組成物(X)の硬化物を白色にするための白色着色剤として用いられる成分である。この(D−1)成分は、得られるシリコーン樹脂基板に光反射性が求められる場合に、光反射率の向上を目的としてシリコーン樹脂組成物(X)に添加される成分であり、シリコーン樹脂基板に光反射性が求められない場合には、添加しなくてもよい。なお、半導体装置の用途等によって異なるが、シリコーン樹脂基板に光反射性が求められる場合、シリコーン樹脂基板の光反射率は、全可視光領域にわたって80%以上(即ち、80〜100%)であることが好ましい。
(D−1)成分としては、一般的に使用されている白色顔料であれば、従来公知のいずれのものも使用でき、好適なものとしては、二酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、及び酸化マグネシウムがより好ましく、二酸化チタン及び酸化亜鉛が特に好ましい。二酸化チタンの結晶形はルチル型、アナタース型、ブルカイト型のいずれでも構わないが、ルチル型のものが好ましく使用される。なお、(D−1)成分としては、上記のような白色顔料を1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(D−1)成分の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.05〜10.0μm、より好ましくは0.1〜5.0μm、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
また、(D−1)成分の白色顔料と(A−1)成分及び(B−1)成分の樹脂成分ならびに後述する(D−2)成分の無機質充填材との混合性を高めるため、(D−1)成分の白色顔料を、Al、SiO、ZrO、シランカップリング剤等で予め表面処理してもよい。シランカップリング剤としては、一般的に使用されているシランカップリング剤であれば、従来公知のいずれのものも使用でき、好適なものとしては、メチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
(D−1)成分の配合量は、上記(A−1)成分及び(B−1)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0質量部を超え300質量部以下、より好ましくは3質量部以上200質量部以下、特に好ましくは10質量部以上180質量部以下である。このような配合量であれば、光反射性を良好なものとすることができ、また機械的強度が低下する恐れもない。
(D−2)成分
(D−2)成分は、上記(D−1)成分(即ち、白色顔料)以外の無機質充填材であり、シリコーン樹脂基板の線膨張率の低減や機械的強度の向上を目的として添加される成分である。
(D−2)成分としては、通常、シリコーン樹脂組成物に配合される無機質充填材であれば、従来公知のいずれのものも使用することができ、好適なものとしては、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類や、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、溶融シリカ、溶融球状シリカが特に好ましい。なお、(D−2)成分としては、上記のような無機質充填材を1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(D−2)成分の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜50μmであり、得られるシリコーン樹脂組成物(X)の成形性及び流動性の観点から、より好ましくは1〜10μm、更に好ましくは1〜5μmである。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。また、(D−2)成分の形状は、特に限定されない。
(D−2)成分の無機質充填材は、樹脂と無機質充填材との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものであってもよい。このとき使用されるカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については、特に限定されない。
また、(D−2)成分の無機質充填材は、該無機質充填材を有機溶剤に分散させたスラリーの状態でシリコーン樹脂組成物(X)に添加してもよい。
(D−2)成分の配合量は、得られるシリコーン樹脂基板の線膨張率及び強度の観点から、上記(A−1)成分及び(B−1)成分の合計量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上600質量部以下、より好ましくは5質量部以上600質量部以下、特に好ましくは30質量部以上500質量部以下である。
その他の成分
シリコーン樹脂組成物(X)には、上述した(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D)成分以外にも、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。なお、添加剤としては、公知のものを使用することができる。
・接着助剤
シリコーン樹脂組成物(X)には、必要に応じて、接着性を付与するために、接着助剤(接着性付与剤)を添加することができる。接着助剤としては、例えば、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、及びエポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマーや、下記式(3)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物、及びその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)等が挙げられる。なお、接着助剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
Figure 0006480360
(式中、Rは下記式(4)で示される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、Rのうち1つ以上は式(4)で示される有機基である。)
Figure 0006480360
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、vは1〜6、好ましくは1〜4の整数である。)
上記式(3)におけるRの脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数6〜8のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記式(4)におけるRの一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、上記Rについて例示したアルケニル基及びシクロアルケニル基、更にフェニル基等のアリール基などの炭素数1〜8、好ましくは1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、これらの中でも、アルキル基が好ましい。
更に、接着助剤としては、1,5−ビス(グリシドキシプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−グリシドキシプロピル−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、及び下記式で示される化合物等を例示できる。
Figure 0006480360
(式中、h1及びh2はそれぞれ0〜50の範囲の整数であって、かつh1+h2が2〜50、好ましくは4〜20を満足するものである。)
Figure 0006480360
Figure 0006480360
上記の接着助剤のうち、得られるシリコーン樹脂組成物(X)の硬化物に特に良好な接着性をもたらす化合物は、1分子中にケイ素原子に結合したアルコキシ基と、アルケニル基又はケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物である。
接着助剤の配合量は、上記(A−1)成分100質量部に対して、通常、10質量部以下(即ち、0〜10質量部)、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部程度である。10質量部以下であれば、シリコーン樹脂組成物(X)の硬化物の硬度に悪影響を及ぼしたり、表面タック性を高めたりする恐れがない。
・硬化抑制剤
シリコーン樹脂組成物(X)には、必要に応じて、硬化抑制剤を添加することができる。硬化抑制剤としては、例えば、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類、及びそのシラン変性物又はシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、及びベンゾトリアゾール等が挙げられる。なお、硬化抑制剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
硬化抑制剤の配合量は、上記(A−1)成分100質量部に対して、通常、0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部である。
−シリコーン樹脂組成物(X)の調製方法−
シリコーン樹脂組成物(X)は、所要の成分を均一に混合することによって調製することができる。通常は、硬化が進行しないように2液に分けて保存され、使用時に2液を混合して硬化を行う。また、前述したアセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。シリコーン樹脂組成物(X)は、(A−1)、(B−1)、(C−1)成分を均一に混合してベース組成物を得て、このベース組成物に溶剤を加えたのち、更に(D)成分を添加することにより、溶液又は分散液として調製してもよい。
このとき使用される溶剤は、シリコーン樹脂組成物(X)を溶解・分散させることができ、かつシリコーン樹脂組成物(X)が未硬化又は半硬化の状態に保持される温度で蒸発させることができるものであれば、特に限定されない。このような溶剤としては、例えば、沸点が50〜150℃、好ましくは60〜100℃の溶剤が挙げられる。溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系非極性溶剤;エーテル類等が挙げられ、これらの中でも、トルエン及びキシレンが好ましい。
溶剤の添加量は、シリコーン樹脂組成物(X)を溶解・分散でき、得られた溶液又は分散液をガラスクロスに含浸させることができる量であれば、特に限定されず、シリコーン樹脂組成物(X)100質量部に対して、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜100質量部である。
[金属張シリコーン樹脂基板の製造方法]
本発明の半導体装置に使用される金属張シリコーン樹脂基板は、例えば、以下のような方法で製造することができる。(i)上述のシリコーン樹脂組成物(X)を溶剤に溶解・分散させた状態でガラスクロスに含浸させる。(ii)次に、ガラスクロスから溶剤を蒸発させて除去する。(iii)次に、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスを1枚又は複数枚重ね、これの片面又は両面に金属層として金属箔又は金属板を配置し、加熱加圧成形する。なお、金属層を形成した後、常法に従い、金属層のパターニング及びメッキ工程を行ってもよい。
金属層の形成方法としては、金属箔や金属板を貼り合わせる方法のほかに、シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させたガラスクロスを1枚又は複数枚重ねたものを、加熱加圧成形した後、サブトラクティブ法、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着やスパッタリング法などの物理的蒸着法、金属フィラーを含有する塗料組成物をシリコーン樹脂基板に塗布、あるいは塗料組成物にシリコーン樹脂基板を浸漬して金属層を形成する方法を用いてもよい。
上記加熱加圧成形による硬化は、例えば、熱プレス機、真空プレス機等を用いて、好ましくは1〜100MPa、より好ましくは5〜50MPaの圧力下、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜180℃の温度で行うことができる。硬化時間は、好ましくは1〜200分間、より好ましくは2〜120分間である。また、必要に応じて、ポストキュアを行うことができる。
このような金属張シリコーン樹脂基板は、シリコーン樹脂を用いているため、耐熱性、耐候性に優れており、高性能半導体装置に好適である。
[半導体素子]
本発明の半導体装置において、半導体素子は、上述の金属張シリコーン樹脂基板の金属層又はシリコーン樹脂基板の上に載置されている。半導体素子は、特に限定されず、本発明の半導体装置の用途等に応じて適宜選択すればよい。
[シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体]
本発明の半導体装置において、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体は、上述の金属張シリコーン樹脂基板の半導体素子が載置された面側に形成され、シリコーン樹脂基板と接着している。
−シリコーン樹脂組成物(Y)−
成形体の材料となるシリコーン樹脂組成物(Y)は、
(Y−1)ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであるか、
(Y−2)ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものである。
上記(Y−1)の場合、アリール基の含有率は、ケイ素原子に結合した全有機基に対して、好ましくは0モル%を超え28モル%以下、より好ましくは2モル%以上28モル%以下である。
一方、上記(Y−2)の場合、アリール基の含有率は、ケイ素原子に結合した全有機基に対して、好ましくは30モル%以上90モル%以下、より好ましくは35モル%以上90モル%以下である。
また、シリコーン樹脂組成物(Y)は、
(A−2)下記平均組成式(2)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(R SiO1/2a’(R SiO2/2b’(RSiO3/2c’(SiO4/2d’ (2)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a’、b’、c’、d’は、a’≧0、b’≧0、c’≧0、d’≧0、及びa’+b’+c’+d’=1を満足する数である。)
(B−2)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A−2)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、及び
(C−2)白金族金属系触媒、
を含むものであることが好ましい。
以下、シリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる各成分について詳細に説明する。
(A−2)成分
(A−2)成分は、下記平均組成式(2)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン(即ち、不飽和基含有オルガノポリシロキサン)である。
(R SiO1/2a’(R SiO2/2b’(RSiO3/2c’(SiO4/2d’ (2)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a’、b’、c’、d’は、a’≧0、b’≧0、c’≧0、d’≧0、及びa’+b’+c’+d’=1を満足する数である。)
上記平均組成式(2)において、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6)の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜6)のアルケニル基から選ばれる基である。Rの具体例としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペ二ル基等のアルケニル基などが挙げられる。これらの中でも、特にメチル基、フェニル基、及びビニル基が好ましい。
(A−2)成分の具体例としては、例えば、(R SiO1/2)単位及び(SiO4/2)単位を有する、以下の不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2i1(SiO4/2r1
(MeSiO1/2i2(MePhViSiO1/2i3(SiO4/2r2
(式中、i1、i2、i3、r1、及びr2は、それぞれ、0.01≦i1≦0.75、0.005≦i2≦0.745、0.005≦i3≦0.745、0.25≦r1≦0.99、0.25≦r2≦0.99、かつi1+r1=1、i2+i3+r2=1を満たす数である。)
また、(A−2)成分の具体例としては、例えば、(R SiO1/2)単位及び(RSiO3/2)単位を有する、以下の不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2i4(MeSiO3/2k1
(MeViSiO1/2i5(PhSiO3/2k2
(式中、i4、i5、k1、及びk2は、それぞれ、0.05≦i4≦0.5、0.05≦i5≦0.5、0.5≦k1≦0.95、0.5≦k2≦0.95、かつi4+k1=1、i5+k2=1を満たす数である。)
また、(A−2)成分の具体例としては、例えば、(R SiO1/2)単位及び(R SiO2/2)単位を有する不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2i6(MeSiO2/2j1
(MeViSiO1/2i7(MeSiO2/2j2(MePhSiO2/2j3
(MePhViSiO1/2i8(MeSiO2/2j4
(MeViSiO1/2i9(MeSiO2/2j5(PhSiO2/2j6
(MeViSiO1/2i10(MePhSiO2/2j7
(MeViSiO1/2i11(MePhSiO2/2j8(PhSiO2/2j9
(式中、i6、i7、i8、i9、i10、i11、j1、j2、j3、j4、j5、j6、j7、j8、及びj9は、それぞれ、0.001≦i6≦0.2、0.001≦i7≦0.2、0.001≦i8≦0.2、0.001≦i9≦0.2、0.001≦i10≦0.2、0.001≦i11≦0.4、0.8≦j1≦0.999、0.1≦j2≦0.899、0.1≦j3≦0.899、0.8≦j4≦0.999、0.1≦j5≦0.899、0.1≦j6≦0.899、0.8≦j7≦0.999、0.009≦j8≦0.99、0.009≦j9≦0.99、かつi6+j1=1、i7+j2+j3=1、i8+j4=1、i9+j5+j6=1、i10+j7=1、i11+j8+j9=1を満たす数である。)
また、(A−2)成分の具体例としては、例えば、(R SiO1/2)単位、(R SiO2/2)単位、及び(SiO4/2)単位を有する不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2i12(MeSiO1/2i13(PhSiO2/2j10(PhMeSiO2/2j11(MeViSiO2/2j12(SiO4/2r3
(式中、i12、i13、j10、j11、j12、及びr3は、それぞれ、0≦i12≦0.3、0≦i13≦0.3、0≦j10≦0.5、0≦j11≦0.5、0≦j12≦0.5、0.1≦r3≦0.5、かつi12+i13+j10+j11+j12+r3=1を満たす数である。)
なお、例えば上記の(MePhViSiO1/2)単位、(PhSiO3/2)単位、(MePhSiO2/2)単位、(PhSiO2/2)単位の含有率(即ち、上記のi3、i8、j2、j6〜j10、及びk2)を調節することで、シリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサンにおけるケイ素原子結合アリール基の割合を所望の範囲に調節することができる。
(A−2)成分の不飽和基含有オルガノポリシロキサンは、上記の具体例に限定されるものではない。また、(A−2)成分としては、上記のような不飽和基含有オルガノポリシロキサンを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A−2)成分のポリスチレン換算での重量平均分子量は、1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。
(A−2)成分の不飽和基含有オルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で各シロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
各シロキサン単位の原料としては、各シロキサン単位に相当するクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類などのアルコキシシラン類などを例示することができる。
(B−2)成分
(B−2)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、上述の(A−2)成分の架橋剤として作用する成分である。
(B−2)成分の具体例としては、例えば、以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
(MeHSiO1/2m1(PhSiO3/2p1
(MeHSiO1/2m2(MeSiO3/2p2
(MeHSiO1/2m3(PhSiO2/2n1
(MeHSiO1/2m4(MeSiO2/2n2
(MeSiO1/2m5(PhSiO2/2n3(MeHSiO2/2n4
(MeSiO1/2m6(MeSiO2/2n5(MeHSiO2/2n6
(MeSiO1/2m7(MeHSiO2/2n7
(MeHSiO1/2m8(SiO4/2q1
(ここで、m1、m2、m3、m4、m5、m6、m7、m8、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、p1、p2、及びq1は、それぞれ、0.3≦m1≦0.9、0.3≦m2≦0.9、0.05≦m3≦0.7、0.05≦m4≦0.7、0.01≦m5≦0.2、0.01≦m6≦0.2、0.1≦m7≦0.6、0.2≦m8≦0.75、0.3≦n1≦0.95、0.3≦n2≦0.95、0.1≦n3≦0.5、0.3≦n4≦0.8、0.1≦n5≦0.5、0.3≦n6≦0.8、0.4≦n7≦0.9、0.1≦p1≦0.7、0.1≦p2≦0.7、0.25≦q1≦0.8、かつm1+p1=1、m2+p2=1、m3+n1=1、m4+n2=1、m5+n3+n4=1、m6+n5+n6=1、m7+n7=1、m8+q1=1を満たす数である。)
なお、例えば上記の(PhSiO3/2)単位や(PhSiO2/2)単位の含有率(即ち、上記のp1、n1、及びn3)を調節することで、シリコーン樹脂組成物(Y)に含まれる硬化性オルガノポリシロキサンにおけるケイ素原子結合アリール基の割合を所望の範囲に調節することができる。
(B−2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記の具体例に限定されるものではない。また、(B−2)成分としては、上記のようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(B−2)成分の配合量は、上記(A−2)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の量が0.1〜5.0モルとなる量であり、好ましくは0.1〜4.0モルとなる量、より好ましくは0.5〜3.0モルとなる量、特に好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。0.1モル以上であれば硬化反応を十分に進行させることができるため、容易に硬化物を得ることができ、5.0モル以下であれば未反応のSiH基が硬化物に多量に残存する恐れがないため、硬化物の特性が経時的に変化することを防止できる。
(C−2)成分
(C−2)成分は、白金族金属系触媒であり、シリコーン樹脂組成物(Y)の付加硬化反応を生じさせるために配合される成分である。(C−2)成分としては、上述のシリコーン樹脂組成物(X)中の(C−1)成分の白金族金属系触媒と同様のものを使用することができる。
(C−2)成分の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、上記(A−2)成分及び(B−2)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲である。
その他の成分
シリコーン樹脂組成物(Y)には、上述した(A−2)、(B−2)、(C−2)成分以外にも、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。なお、添加剤としては、公知のものを使用することができる。
・充填材
シリコーン樹脂組成物(Y)には、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体の機械的強度や光反射率の向上を目的として、必要に応じて、充填材を添加することができる。充填材としては、公知のものを用いることができ、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、ガラスファイバー、ヒュームド二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、三酸化アンチモン、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。補強性無機質充填材としては、例えば、沈降シリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ類、ガラスファイバー、ヒュームド二酸化チタン、アルミナ、窒化アルミ等が挙げられる。非補強性無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、酸化亜鉛等を挙げられる。なお、充填材は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
充填材の配合量は、該充填材を除く成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0質量部以上200質量部以下、より好ましくは5質量部以上180質量部以下である。
その他の添加剤としては、上述のシリコーン樹脂組成物(X)の添加材として記載した、接着助剤及び硬化抑制剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
−シリコーン樹脂組成物(Y)の調製方法−
シリコーン樹脂組成物(Y)は、一般の付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物と同様の方法で調製することができる。例えば、(A−2)成分の一部、(B−2)成分、及び(C−2)成分を一液とし、(A−2)成分の残部を他の一液とする、いわゆる二液型の組成物として調製する方法、あるいは、(A−2)成分、(B−2)成分、及び(C−2)成分に更に硬化抑制剤を添加して、いわゆる一液型の組成物として調製する方法が挙げられる。また、上述のように、必要に応じて、充填材や接着助剤等を適宜添加してもよい。
−シリコーン樹脂組成物(Y)の成形・硬化方法−
シリコーン樹脂組成物(Y)は、例えば二液型の場合には、二液の混合により容易に硬化させることができる。また、一液型の場合には、混合せずにそのまま使用することができる。硬化させる温度は、室温(例えば25℃)でもよいが、加熱により硬化反応を速めることができる。具体的には、通常、40℃〜160℃で加熱処理することが好ましい。また、成形方法としては、電気電子部品などの半導体装置における半導体素子やLED素子あるいは接続部のコーティング材、半導体素子やLED素子の封止材、ダム材やパッケージ材料として、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、毛細管現象を使用した成形法などを用いて金属張シリコーン樹脂基板上に成形することができる。
<半導体装置の製造方法>
本発明の半導体装置は、上述の金属張シリコーン樹脂基板上に、半導体素子を載置し、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体を形成することで製造することができる。なお、半導体素子を載置するタイミングは、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体の形成前であってもよいし、シリコーン樹脂組成物(Y)の成形体の形成後であってもよい。
以上のように、本発明の半導体装置であれば、半導体素子を載置する基板に対する成形体材料の濡れ性が良好であるため、プラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に基板と成形体とを接着させることができる。また、プラズマ処理を行う必要がないため、半導体装置の生産性が低下する恐れがない。また、良好な耐熱性及び耐候性を有するシリコーン樹脂組成物を基板及び成形体に使用するため、耐熱性及び耐候性に優れた半導体装置となる。
以下、製造例、実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の製造例では、下記の不飽和基含有オルガノポリシロキサンを用いた。
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−a):
(PhSiO3/2)単位 87.3モル%
(MeSiO2/210単位 6.7モル%
(MeViSiO2/2)単位 3.0モル%
(MeViSiO1/2)単位 3.0モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−b):
(PhSiO3/2)単位 90モル%
(ViSiO3/2)単位 10モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−c):
(MeSiO3/2)単位 97モル%
(MeViSiO1/2)単位 3モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−d):
(SiO4/2)単位 57モル%
(MeViPhSiO1/2)単位 13モル%
(MeSiO1/2)単位 30モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−e):
(PhSiO2/2)単位 30モル%
(MeSiO2/2)単位 68モル%
(MeViSiO1/2)単位 2モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−f):
(SiO4/2)単位 94モル%
(MeViSiO1/2)単位 6モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−g):
(MeSiO2/2)単位 99モル%
(MeViSiO1/2)単位 1モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−h):
(PhSiO3/2)単位 70モル%
(MeViSiO1/2)単位 30モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−i):
(PhSiO2/2)単位 30モル%
(MeSiO2/2)単位 68モル%
(MeViSiO1/2)単位 2モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−j):
(PhSiO3/2)単位 80モル%
(MeViSiO1/2)単位 20モル%
不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−k):
(PhSiO2/2)単位 24モル%
(MeSiO2/2)単位 71モル%
(MeViSiO1/2)単位 5モル%
以下の製造例では、下記のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いた。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−a):
(PhSiO3/2)単位 81.8モル%
(MeSiO2/210単位 9.1モル%
(MeHSiO2/2)単位 9.1モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−b):
(PhSiO3/2)単位 50モル%
(MeHSiO1/2)単位 50モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−c):
(MeSiO3/2)単位 97モル%
(MeHSiO1/2)単位 3モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−d):
(PhSiO3/2)単位 81.8モル%
(MeSiO2/210単位 9.1モル%
(MeHSiO2/2)単位 4.55モル%
(MeHSiO1/2)単位 4.55モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−e):
(MeSiO2/2)単位 83.3モル%
(MeHSiO1/2)単位 16.7モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−f):
(PhSiO2/2)単位 30モル%
(MeHSiO2/2)単位 67モル%
(MeSiO1/2)単位 3モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−g):
(MeHSiO2/2)単位 40モル%
(MeSiO2/2)単位 50モル%
(MeSiO1/2)単位 10モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−h):
(PhSiO2/2)単位 50モル%
(MeHSiO1/2)単位 50モル%
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−i):
(PhSiO3/2)単位 33モル%
(MeHSiO1/2)単位 67モル%
[シリコーン樹脂基板の製造例1]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−a):105gと、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−a):95gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(S1)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(S1)において、ケイ素原子に結合した全有機基に対するフェニル基の量は33モル%であった。この硬化性オルガノポリシロキサン(S1)に、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.2g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌してベース組成物を得た。このベース組成物に、溶剤としてトルエン290gを加え、更にアルミナ(商品名:アドマファインAO−502、平均粒子径:約0.7μm、(株)アドマテックス製)を395g、及び酸化チタン(商品名:PF−691、平均粒子径:約0.2μm、(株)石原産業製)を10g加えて、シンキーミキサーで撹拌し、シリコーン樹脂組成物(X1)のトルエン分散液を調製した。
このシリコーン樹脂組成物(X1)のトルエン分散液にガラスクロス(日東紡製、厚さ:100μm)を浸漬させることにより、シリコーン樹脂組成物(X1)のトルエン分散液をガラスクロスに含浸させた。次に、このガラスクロスを80℃で8分間放置することによりトルエンを蒸発させた。トルエンを蒸発させた後のガラスクロスの両面には、室温で固体の皮膜が形成されていた。該ガラスクロスを熱プレス機にて160℃で20分間、その後200℃で70分間加圧成形してシリコーン樹脂基板(F1)を得た。
[シリコーン樹脂基板の製造例2]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−b):170gと、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−b):30gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(S2)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(S2)において、ケイ素原子に結合した全有機基に対するフェニル基の量は70モル%であった。硬化性オルガノポリシロキサン(S1)の代わりに硬化性オルガノポリシロキサン(S2)を用いる以外は、上記のシリコーン樹脂基板の製造例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物(X2)のトルエン分散液を調製し、これを用いてシリコーン樹脂基板(F2)を得た。
[シリコーン樹脂基板の製造例3]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−c):99gと、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−c):101gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(S3)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(S3)は、ケイ素原子に結合したフェニル基を含有しない。硬化性オルガノポリシロキサン(S1)の代わりに硬化性オルガノポリシロキサン(S3)を用いる以外は、上記のシリコーン樹脂基板の製造例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物(X3)のトルエン分散液を調製し、これを用いてシリコーン樹脂基板(F3)を得た。
[シリコーン樹脂基板の製造例4]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−c):104gと、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−d):93gと、オイル構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−e):3gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(S4)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(S4)において、ケイ素原子に結合した全有機基に対するフェニル基の量は13モル%であった。硬化性オルガノポリシロキサン(S1)の代わりに硬化性オルガノポリシロキサン(S4)を用いる以外は、上記のシリコーン樹脂基板の製造例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物(X4)のトルエン分散液を調製し、これを用いてシリコーン樹脂基板(F4)を得た。
(シリコーン樹脂基板の耐熱性試験)
上記のようにして得られたシリコーン樹脂基板(F1〜F4)の耐熱性を確認するために、シリコーン樹脂基板(F1〜F4)表面の青色LEDの平均波長(450nm)における熱処理前の光反射率を光反射率測定機X−rite 8200(積分球分光光度計、X−rite社(US)製)にて測定した。次いで、シリコーン樹脂基板(F1〜F4)を200℃で100時間加熱処理した後、熱処理前と同様にして、熱処理後の光反射率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006480360
表1に示されるように、上記のようにして製造したシリコーン樹脂基板(F1〜F4)は、いずれも耐熱性に優れるものであった。
[成形用シリコーン樹脂組成物の製造例1]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−d):54gと、オイル構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−e):122gと、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−f):102gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(T1)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(T1)において、ケイ素原子に結合した全有機基に対するフェニル基の量は24モル%であった。この硬化性オルガノポリシロキサン(T1)に、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.08g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌して成形用シリコーン樹脂組成物(Y1)を調製した。
[成形用シリコーン樹脂組成物の製造例2]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−f):56gと、オイル構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−g):130gと、オイル構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−g):9gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(T2)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(T2)は、ケイ素原子に結合したフェニル基を含有しない。この硬化性オルガノポリシロキサン(T2)に、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.08g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌して成形用シリコーン樹脂組成物(Y2)を調製した。
[成形用シリコーン樹脂組成物の製造例3]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−h):61gと、レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−i):112gと、オイル構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−h):50gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(T3)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(T3)において、ケイ素原子に結合した全有機基に対するフェニル基の量は41モル%であった。この硬化性オルガノポリシロキサン(T3)に、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.2g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌して成形用シリコーン樹脂組成物(Y3)を調製した。
[成形用シリコーン樹脂組成物の製造例4]
レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−j):119gと、レジン構造の不飽和基含有オルガノポリシロキサン(A−k):28gと、オイル構造のオルガノオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−h):48gと、レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B−i):5gとをよく撹拌して硬化性オルガノポリシロキサン(T4)を得た。なお、硬化性オルガノポリシロキサン(T4)において、ケイ素原子に結合した全有機基に対するフェニル基の量は44モル%であった。硬化性オルガノポリシロキサン(T4)に、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルメチルデシルカルビノール:0.2g、塩化白金酸の1質量%オクチルアルコール溶液:0.2gを加え、よく撹拌して成形用シリコーン樹脂組成物(Y4)を調製した。
(成型用シリコーン樹脂組成物の耐熱性試験)
上記のようにして得られた成形用シリコーン樹脂組成物(Y1〜Y4)の耐熱性を確認するために、成形用シリコーン樹脂組成物(Y1〜Y4)をガラス板上に1mmの厚みになるように塗布し、150℃で4時間加熱硬化した。得られたガラス板上のシリコーン樹脂硬化物表面の青色LEDの平均波長(450nm)における熱処理前の光透過率を分光光度計U−4100(日立社製)にて測定した。次いで、シリコーン樹脂硬化物が形成されたガラス板を、200℃で100時間加熱処理した後、熱処理前と同様にして、熱処理後の光透過率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006480360
表2に示されるように、上記のようにして製造した成型用シリコーン樹脂組成物(Y1〜Y4)は、いずれも耐熱性に優れるものであった。
[実施例1〜8及び比較例1〜8]
上記のようにして製造したシリコーン樹脂基板(F1〜F4)と成形用シリコーン樹脂組成物(Y1〜Y4)を表3及び表4に記載の組み合わせで使用して、以下に示す濡れ性試験及び成形性試験を行った。なお、比較例7、8では、濡れ性試験及び成形性試験を行う前に、シリコーン樹脂基板(F1、F3)にプラズマ処理を行った。
(濡れ性試験)
接触角計(協和界面科学社製、CA−X150型)を用いて、成形用シリコーン樹脂組成物(Y1〜Y4)をシリコーン樹脂基板(F1〜F4)上に滴下し、滴下60秒後の成形用シリコーン樹脂組成物の接触角を測定した。結果を表3及び表4に示す。なお、接触角の値が小さいほど濡れ性は高いと判断できる。
(成形性試験)
シリコーン樹脂基板(F1〜F4)上に幅1mm、長さ50mm、深さ0.5mmのスリットを作製し、この基板をホットプレート上で40℃に温めた。続いてスリットの片方の末端に成形用シリコーン樹脂組成物(Y1〜Y4)を10g注入し、20秒後にスリットが成形用シリコーン樹脂組成物により充填されているか確認した。結果を表3及び表4に示す。なお、成形性は以下の基準で判定した。
○:スリットが完全に成形用シリコーン樹脂組成物で充填されている。
×:スリットの一部もしくは全てが成形用シリコーン樹脂組成物で充填されていない。
Figure 0006480360
Figure 0006480360
表3に示されるように、ケイ素原子結合全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(S1、S2)を用いて作製したシリコーン樹脂基板(F1、F2)と、ケイ素原子結合全有機基に対して0モル%を超え30モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(T1)又はケイ素原子結合フェニル基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン(T2)を含む成形用シリコーン樹脂組成物(Y1、Y2)を組み合わせた実施例1〜4では、比較例に比べて接触角が低く、濡れ性が良好なため、成形性も良好であった。
また、表3に示されるように、ケイ素原子結合フェニル基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン(S3)又はケイ素原子結合全有機基に対して0モル%を超え30モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(S4)を用いて作製したシリコーン樹脂基板(F3、F4)と、ケイ素原子結合全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(T3、T4)を含む成形用シリコーン樹脂組成物(Y3、Y4)を組み合わせた実施例5〜8でも、比較例に比べて接触角が低く、濡れ性が良好なため、成形性も良好であった。
これに対し、表4に示されるように、ケイ素原子結合全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(S1、S2)を用いて作製したシリコーン樹脂基板(F1、F2)と、ケイ素原子結合全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(T3)を含む成形用シリコーン樹脂組成物(Y3)を組み合わせた比較例1、2では、接触角が高く、濡れ性が悪いために、成形性試験において、スリットが完全に充填されなかった。このことから、比較例1、2の組み合わせでは、成形時にボイドなどが発生し不良となる可能性があることが分かった。
また、表4に示されるように、ケイ素原子結合フェニル基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン(S3)又はケイ素原子結合全有機基に対して0モル%を超え30モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(S4)を用いて作製したシリコーン樹脂基板(F3、F4)と、ケイ素原子結合全有機基に対して0モル%を超え30モル%以下のフェニル基を含有する硬化性オルガノポリシロキサン(T1)又はケイ素原子結合フェニル基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン(T2)を含む成形用シリコーン樹脂組成物(Y1、Y2)を組み合わせた比較例3〜6では、接触角が高く、濡れ性が悪いために、成形性試験において、スリットが完全に充填されなかった。このことから、比較例3〜6の組み合わせでは、成形時にボイドなどが発生し不良となる可能性があることが分かった。
また、表4に示されるように、シリコーン樹脂基板にプラズマ処理を施した比較例7、8では、実施例には及ばないが接触角が低下し、成形性が改善していた。しかしながら、比較例7、8では、プラズマ処理が増えることで生産性の低下及びコストの上昇が危惧される。
以上のように、本発明であれば、シリコーン樹脂組成物を基板及び成形体材料の両方に使用した半導体装置において、基板に対する成形体材料の濡れ性を良好なものとすることができる。従って、プラズマ処理を行わなくともボイドや未充填なく十分に基板と成形体とを接着させることができる。また、プラズマ処理を行う必要がないため、半導体装置の生産性が低下する恐れがない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…シリコーン樹脂基板、 2…金属層、 3…金属張シリコーン樹脂基板、
4…半導体素子、 5…金属製のボンディングワイヤ、 6…封止材、
7…リフレクター材、 8…半導体バンプ、 9…アンダーフィル材。

Claims (6)

  1. シリコーン樹脂組成物(X)を含浸させた1枚又は複数枚のガラスクロスの硬化物であるシリコーン樹脂基板の片面又は両面に金属層を有する金属張シリコーン樹脂基板、該金属張シリコーン樹脂基板上に載置された半導体素子、及び前記金属張シリコーン樹脂基板の前記半導体素子が載置された面側に形成され、前記シリコーン樹脂基板と接着しているシリコーン樹脂組成物(Y)の成形体を有する半導体装置であり、
    前記シリコーン樹脂組成物(X)が、ケイ素原子に結合したアリール基を含有しない硬化性オルガノポリシロキサン又はケイ素原子に結合した全有機基に対して0モル%を超え30モル%未満のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであり、前記シリコーン樹脂組成物(Y)が、ケイ素原子に結合した全有機基に対して30モル%以上95モル%以下のアリール基を含有する硬化性オルガノポリシロキサンを含むものであることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記シリコーン樹脂組成物(X)が、
    (A−1)下記平均組成式(1)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
    (R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (1)
    (式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a、b、c、dは、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、a+b+c+d=1、及び0<(c+d)≦1.0を満足する数である。)
    (B−1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A−1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−1)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、
    (C−1)白金族金属系触媒、及び
    (D)充填材:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して30質量部以上900質量部以下、
    を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記(D)成分が、
    (D−1)白色顔料:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して0質量部を超え300質量部以下、及び
    (D−2)前記(D−1)成分以外の無機質充填材:前記(A−1)成分及び前記(B−1)成分の合計100質量部に対して1質量部以上600質量部以下、
    のいずれか又は両方を含むものであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記(D−1)成分が、二酸化チタン及び酸化亜鉛のいずれか又は両方であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記シリコーン樹脂組成物(X)が、25℃で固体状のものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
  6. 前記シリコーン樹脂組成物(Y)が、
    (A−2)下記平均組成式(2)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
    (R SiO1/2a’(R SiO2/2b’(RSiO3/2c’(SiO4/2d’ (2)
    (式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の一価炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、a’、b’、c’、d’は、a’≧0、b’≧0、c’≧0、d’≧0、及びa’+b’+c’+d’=1を満足する数である。)
    (B−2)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A−2)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(B−2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、及び
    (C−2)白金族金属系触媒、
    を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
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