JP4497977B2 - 表面処理ガラスクロス - Google Patents

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Description

本発明は電子・電気分野で使用されるプリント配線板に用いられるガラスクロスに関するものである。
現在、電子機器のモバイル化、デジタル化に伴う小型化により、使用されるプリント配線板において、回路配線の細線化、小径化、高密度化が著しく進行している。このプリント配線板の絶縁材料としては、ガラスクロスをエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(以下、「マトリックス樹脂」という。)に含浸させて得られるプリプレグを積層して加熱加圧硬化させた積層板が広く使用されているが、高密度化に伴い絶縁信頼性低下の問題が顕在化してきている。特に、回路配線を構成する銅等の金属が、高湿度下でイオンマイグレーションを起こし、絶縁不良が発生することがあるという問題が指摘されている。イオンマイグレーションとは、金属がイオン化し電位差によって移動する現象であるが、一般にガラスクロスとマトリックス樹脂との界面(以下、単に「界面」ともいう。)で発生することが指摘されている。
これまでにも、界面を改良してイオンマイグレーションの発生を抑制し、絶縁信頼性を改良するための提案は種々なされている。例えば、特殊なシランカップリング剤を用いること(特許文献1参照)、ガラスクロス表面にイオン交換体を導入すること(特許文献2参照)、及びガラスクロスに加湿処理を施すこと(特許文献3参照)等が提案されている。しかし、これらにおいても絶縁信頼性の改良は、未だ十分ではない。
特開平09−003770号公報 特開平09−132652号公報 特開2001−294675号公報
本発明は、ガラスクロスとマトリックス樹脂との界面において、イオンマイグレーションが発生しにくいガラスクロス、すなわち絶縁信頼性に優れた積層板を作成することができるガラスクロス、及び該ガラスクロスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討した結果、ガラスクロスを構成するガラス糸について、ガラス糸を構成するガラスフィラメントの表面がほぼ完全にシランカップリング剤層で覆われること、及び該シランカップリング剤層ができるだけ単分子層に近いことが界面の改良に必要であるとの着想を得た。そして、該状態のシランカップリング剤層を形成するためのガラスクロスの表面処理方法を検討した結果、ガラスクロス表面に、一旦、過剰にシランカップリング剤を塗布して加熱乾燥によって付着させた後、水、あるいは水蒸気で洗浄することによって過剰に付着した該シランカップリング剤を一部除去し、ガラスクロス表面のシランカップリング剤の付着状態を最適化することにより、絶縁信頼性に優れたガラスクロスを得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明の第一は、複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を製織してなるガラスクロスであって、ガラスクロスに下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤を塗布し、90〜300℃で加熱乾燥させることによってガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.3〜4.0×10-5molの該シランカップリング剤を付着させた後、付着した該シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり少なくとも0.3×10-5mol以上除去することによって、該シランカップリング剤の付着量をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.8〜2.0×10-5molに低下させたことを特徴とする表面処理ガラスクロスである。
X(R)3-nSiYn ・・・(1)
(式中、Xはアミノ基または不飽和二重結合基のうち少なくとも1つを有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
該表面処理ガラスクロスにおいては、ガラス糸が、平均フィラメント径が2.5〜5.0μmのガラスフィラメントからなるガラス糸であることが好ましい。また、シランカップリング剤が、下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤Aと下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤Bとの混合物であることが好ましい。
U(R)3-nSiYn ・・・(2)
(式中、Uはアミノ基を少なくとも2つ有し、かつ不飽和二重結合基を有さない有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
V(R)3-nSiYn ・・・(3)
(式中、Vはアミノ基、及び不飽和二重結合基を少なくともそれぞれ1つずつ有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
本発明の第二は、複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を製織してなる表面処理ガラスクロスの製造方法であって、ガラスクロスを製織する工程、該ガラスクロスに下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤濃度が0.2〜2.0質量%の処理液を塗布する工程、90〜300℃で加熱乾燥することによってガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.3〜4.0×10-5molの該シランカップリング剤を付着させる工程、水あるいは水蒸気により該ガラスクロスに塗布された該シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり少なくとも0.3×10-5mol以上除去することによって、該シランカップリング剤の付着量をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.8〜2.0×10-5molとする工程よりなることを特徴とする表面処理ガラスクロスの製造方法の製造方法である。
X(R)3-nSiYn ・・・(1)
(式中、Xはアミノ基、不飽和二重結合基のうち少なくとも1つを有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
該表面処理ガラスクロスの製造方法においては、シランカップリング剤として、下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤Aと下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤Bとの混合物を用い、処理液中の該シランカップリング剤Bに対する該シランカップリング剤Aの濃度がモル比で0.1以上10以下であることが好ましい。
U(R)3-nSiYn ・・・(2)
(式中、Uはアミノ基を少なくとも1つ有し、かつ不飽和二重結合基を有さない有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
V(R)3-nSiYn ・・・(3)
(式中、Vはアミノ基、及び不飽和二重結合基を少なくともそれぞれ1つずつ有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
本発明の表面処理ガラスクロスを用いることにより、イオンマイグレーションが発生しにくい、絶縁信頼性に優れた積層板を作成することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
(A)ガラスクロス
本発明の表面処理ガラスクロスにおいては、平均フィラメント径が2.5〜5.0μmのガラスフィラメントからなるガラス糸を製織してなるガラスクロスを好ましく使用することができる。なぜなら、平均フィラメント径5.0μm以下の場合、ガラス糸1本1本を構成するガラスフィラメントの本数が多くなり、且つマトリックス樹脂と接するガラスの有効表面積が大きいため、本発明の表面処理法を適用した効果がより顕著に現れるからである。
ガラスクロスを構成する経糸及び緯糸の打ち込み密度は、10〜100本/25mmの範囲のものが好ましく、30〜80本/25mmがより好ましい。また、布重量(目付け)は15〜110g/m2 の範囲のものが好ましく、15〜90g/m2 のものがより好ましい。
織り構造については平織り構造が好ましいが、ななこ織り、朱子織り、綾織り、等の織り構造を有するガラスクロスでもよい。
積層板に使用されるガラスクロスには、通常Eガラス(無アルカリガラス)と呼ばれるガラスが使用されるが、本発明の表面処理ガラスクロスにおいては、Dガラス、Sガラス、高誘電率ガラス等を使用してもよい。安価であるという点からは、Eガラスが最も好適に使用される。
(B)シランカップリング剤
本発明の表面処理ガラスクロスにおいては、下記の一般式(1)で示されるシランカップリング剤を使用することが好ましい。また、本発明の表面処理ガラスクロスの製造方法においては、ガラスクロスにシランカップリング剤を塗布する際には、シランカップリング剤を溶媒に溶解、又は分散させた処理液(以下、単に「処理液」という。)で処理する方法が好ましい。
X(R)3-nSiYn ・・・(1)
(式中、Xはアミノ基、不飽和二重結合基のうち少なくとも1つを有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
上記のアルコキシ基としては、何れの形態も使用できるが、ガラスクロスへの安定処理化のためには、炭素数5以下のアルコキシ基が好ましい。
具体的に使用できるシランカップリング剤としては、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−N−γ−(N−ビニルベンジル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の公知の単体、又はこれらの混合物が例示できる。
上記混合物としては、下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤Aと下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤Bとの混合物が好ましい。また、該混合物の処理液においては、該処理液中のシランカップリング剤Bに対するシランカップリング剤Aの濃度がモル比で0.1以上10以下であることが好ましい。
U(R)3-nSiYn ・・・(2)
(式中、Uはアミノ基を少なくとも1つ有し、かつ不飽和二重結合基を有さない有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
V(R)3-nSiYn ・・・(3)
(式中、Vはアミノ基、及び不飽和二重結合基を少なくともそれぞれ1つずつ有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
上記のモル比の混合物の処理液をガラスクロスに塗付することにより、シランカップリング剤層の形成し易さと、複数のガラスフィラメントからなるガラス糸の開繊し易さとのバランスをとることが容易になる。該モル比が0.1未満である場合には、加熱乾燥時にシランカップリング剤同士の縮合が生じやすくなり、後工程でのガラス糸の開繊が困難になることがある。開繊が不十分であると、マトリックス樹脂の含浸時にボイドが生じ易くなるため絶縁信頼性に劣ることがあるので好ましくない。一方、該モル比が10を超える場合には、水あるいは水蒸気により過剰なシランカップリング剤を除去する工程において、シランカップリング剤の脱落が多くなり、本発明で必要とされる量のシランカップリング剤の層を形成することが困難になることがある。
(C)ガラスクロスの表面処理
処理液の溶媒としては、水、又は有機溶媒の何れも使用できるが、安全性、地球環境保護の観点から、水を主溶媒とすることが好ましい。水を主溶媒とした処理液を得る方法としては、シランカップリング剤を直接水に投入する方法、シランカップリング剤を水溶性有機溶媒に溶解させて有機溶媒溶液とした後に該有機溶媒溶液を水に投入する方法、の何れかの方法が好ましい。また、シランカップリング剤の処理液中での水分散性、安定性を向上させるために、界面活性剤を併用することも可能である。
複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を製織してなるガラスクロスにおいて、各ガラスフィラメントの表面をほぼ完全にシランカップリング剤からなる層で覆うためには、1.反応場内のシランカップリング剤量を増やす方法、2.シランカップリング剤とガラスフィラメント表面の反応時間を長くする方法、等が考えられる。具体的には、1.では処理液中のシランカップリング剤濃度を高くする方法、2.ではガラスクロスを処理液中へ含浸させる時間を長くする方法、または処理液中へ含浸させる回数を2回以上に増やす方法が挙げられる。
本発明の表面処理ガラスクロスでの製造方法においては、まず1.ないし2.の方法によってガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.3〜4.0×10-5molのシランカップリング剤を塗布することにより、ほぼ完全にガラスフィラメントの表面を覆うのに必要な量より過剰量のシランカップリング剤を、加熱乾燥によりガラス表面に固着させる。次に、洗浄により該過剰量のシランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり少なくとも0.3×10-5mol以上除去し、付着量をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.8〜2.0×10-5molの範囲になるようにする。こうすることにより、ガラス糸を構成するガラスフィラメント1本1本の表面全体に、ほぼ完全、かつ均一にシランカップリング剤層を形成することができると考えられる。
該付着量が0.8×10-5mol未満の場合には、絶縁信頼性試験を行った場合に、マトリックス樹脂とガラスフィラメント表面の界面で吸水が生じることが原因と考えられる界面剥離による白化現象が俄かに発生するようになり、絶縁信頼性に劣る。一方、該付着量が2.0×10-5molを超える場合には、シランカップリング剤同士の縮合層の形成に起因すると考えられる吸水が生じ、かつガラス糸束内にボイドが生じ、やはり絶縁信頼性に劣る。
処理液中のシランカップリング剤の濃度は、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たりに対してシランカップリング剤を1.3〜4.0×10-5mol塗布する必要があることから、シランカップリング剤が0.2質量%以上、2.0質量%以下で選定されるのが好ましい。
処理液をガラスクロスに塗布する方法としては、(ア)処理液をバスに溜め、ガラスクロスを浸漬、通過させる方法(以下、「浸漬法」という。)、(イ)ロールコーター、ダイコーター、またはグラビアコーター等で処理液をガラスクロスに直接塗布する方法、等が可能である。上記(ア)の浸漬法にて塗布する場合は、ガラスクロスの処理液への浸漬時間を0.5秒以上、1分以下に選定するのが望ましい。
また、ガラスクロスに処理液を塗布した後、溶媒を加熱乾燥させる方法としては、熱風、電磁波等公知の方法が可能である。加熱乾燥温度は、シランカップリング剤とガラスとの反応が十分に行われるように、90℃以上が好ましく、100℃以上であればより好ましい。また、シランカップリング剤が有する有機官能基の劣化を防ぐために、300℃以下が好ましく、200℃以下であればより好ましい。
表面処理ガラスクロスの過剰なシランカップリング剤を除去する方法としては、洗浄液、又は蒸気(以下、一括して「洗浄液」という。)で洗浄する方法が好ましい。該洗浄液としては水、あるいは水蒸気が好ましい。具体的な洗浄の方法としては、高圧柱状流、高圧ウォータージェット、高圧蒸気等、公知の方法が適用可能であり、開繊加工を兼ねて実施することが好ましい。なお、参考までに、代表的スタイルを有する本発明の表面処理ガラスクロスについて、通常使用される強熱減量値で測定した、洗浄前後におけるシランカップリング剤の付着量を表1に示す。
次に実施例、比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たりのシランカップリング剤の付着量を求めるにあたって、ガラスクロス1平方m当たりのガラスフィラメントの表面積は以下のように計算した。なお、平均フィラメント径とはフィラメントの平均直径を意味し、目付とは加熱脱脂後のガラスクロス1m2 当たりの質量(g)をいい、Texとは収束剤を除いたガラス糸1km当たりの質量(g)をいう。
表面積(m2 )=(ガラス糸1本を構成するフィラメント本数(本))×(平均フィラメント径(μm)×10-6)×円周率×(目付(g))÷(Tex×10-3
(実施例1)
加熱脱糊後のガラスクロス(旭シュエーベル社製スタイル1080:平均フィラメント径5μm、使用するガラス糸は1本あたりのフィラメント本数204本でTex11g/km、経糸の打ち込み密度60本/25mm 緯糸の打ち込み密度47本/25mm 目付48g/m2 )を、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)、及び酢酸、界面活性剤を、それぞれ15g、2g、0.2gずつ水1リットルに分散させた処理液に2秒間浸漬し、170℃で1分間加熱乾燥することによって、シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり2.01×10-5mol付着させた。次に圧力2.0MPaの高圧柱状流水により2秒間洗浄して過剰なシランカップリング剤の一部を除去して、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.05×10-5molのシランカップリング剤が付着した表面処理ガラスクロスを得た。
(実施例2)
実施例1と同一の加熱脱糊後のガラスクロスを、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシランの塩酸塩(信越化学株式会社製;KBM6123)、酢酸、界面活性剤を、それぞれ15g、5g、2g、0.2gずつ水1リットルに分散させた処理液に2秒間浸漬し、170℃で1分間加熱乾燥することによって、シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり合計で2.08×10-5mol付着させた。次に、実施例1と同様に高圧柱状流水により洗浄し、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.95×10-5molのシランカップリング剤が付着した表面処理ガラスクロスを得た。
(実施例3)
実施例1と同一の加熱脱糊後のガラスクロスを、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)、酢酸、界面活性剤を、それぞれ6g、1g、0.2gずつ水1リットルに分散させた処理液に2秒間浸漬し170℃で1分間加熱乾燥することを2回繰り返し、シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.70×10-5mol付着させた。次に、実施例1と同様に高圧柱状流水により洗浄し、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.10×10-5molのシランカップリング剤が付着した表面処理ガラスクロスを得た。
(比較例1)
実施例1と同一の加熱脱糊後のガラスクロスを、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)、酢酸、界面活性剤を、それぞれ6g、1g、0.2gずつ水1リットルに分散させた処理液に2秒間浸漬し、170℃で1分間加熱乾燥することによって、シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.91×10-5mol付着させた。次に、実施例1と同様に高圧柱状流水により洗浄し、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.71×10-5molのシランカップリング剤が付着した表面処理ガラスクロスを得た。
(比較例2)
実施例1と同一の加熱脱糊後のガラスクロスを、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)、酢酸、界面活性剤を、それぞれ60g、10g、0.2gずつ水1リットルに分散させた処理液に2秒間浸漬し、170℃で1分間加熱乾燥することによってシランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり8.45×10-5mol付着させた。次に、実施例1と同様に高圧柱状流水により洗浄し、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たり2.52×10-5molのシランカップリング剤が付着した表面処理ガラスクロスを得た。
(比較例3)
実施例1と同一の加熱脱糊後のガラスクロスを、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)、酢酸、界面活性剤を、それぞれ6g、1g、0.2gずつ水1リットルに分散させた処理液に2秒間浸漬した。次に、170℃で1分間加熱乾燥し、ガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.91×10-5molのシランカップリング剤が付着した表面処理ガラスクロスを得た。
<積層板の作成方法>
上述の実施例・比較例で得た表面処理ガラスクロスに、エポキシ樹脂ワニス(低臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂40質量部、o−クレゾール型ノボラックエポキシ樹脂10質量部、ジメチルホルムアミド50質量部、ジシアンジアミド1質量部、及び2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1質量部の混合物)を含浸させ、160℃で2分間乾燥後プリプレグを得た。このプリプレグ4枚を重ね、さらに上下に厚さ12μmの銅箔を重ね、175℃、40kg/cm2 で60分間加熱加圧して積層板を得た。
<ガラスフィラメント表面におけるシランカップリング剤付着量評価方法>
表面処理ガラスクロスを約800℃で1分間加熱し、発生した気体中の二酸化炭素量をガスクロマトグラフィーで測定し、表面処理していない加熱脱糊後のガラスクロスから発生した気体中の二酸化炭素量を差し引いて、ガラスクロス表面処理剤から発生する炭素数を求め、そのすべてがシランカップリング剤のアルコキシ基を除く有機官能基部分のみ(前述の化学式におけるX、U、V)に由来するものと仮定して、付着量を算出した。なお、シランカップリング剤の他に、界面活性剤、加熱乾燥時に完全に除かれなかった酢酸等が含まれている可能性があるが、微量であり、且つ水あるいは水蒸気による除去工程で脱落し易いためすべてシランカップリング剤として計算するものとする。
また、シランカップリング剤を混合物として塗布する場合には、該混合物の処理液中におけるモル比からシランカップリング剤の平均分子量を決定し、同様に付着量を算出した。
<積層板の吸水率評価方法>
積層板を、温度120℃湿度100%RHの雰囲気下にまず12時間曝し重量を測定し、さらに150時間曝し重量を測定し、その間の重量変化から吸水率を評価した。
<絶縁信頼性評価方法>
積層板の両面の銅箔上に、0.2mm間隔のスルーホールを配する配線パターンを作成し、温度120℃湿度85%RHの雰囲気下で10Vの電圧をかけ、抵抗値の変化を測定した。試験開始後500時間以内に抵抗が1MΩ未満になった場合を絶縁不良とし、絶縁不良とならなかったサンプルの割合で評価した(サンプル数は10個とした。)。
<含浸性評価方法>
100cm2 のプリプレグを上から光学顕微鏡により観察し、糸束内に見えるボイドの数を数えた。
実施例1、2、3と比較例1、2、3で示した表面処理ガラスクロスを用いて作成した積層板の吸水率、及び絶縁信頼性評価結果を表2に、またプリプレグの含浸性評価結果を表3にそれぞれまとめた。
実施例1、2、3の表面処理ガラスクロスは、吸水率が比較例1、3に比べ著しく小さく、絶縁信頼性に非常に優れていることが分かった。また比較例2と比べて絶縁信頼性に優れていることが分かった。さらに、実施例2は、実施例1、3比較例1、2、3に比べボイド数が少なく、含浸性にも優れることが分かった。
Figure 0004497977
Figure 0004497977
Figure 0004497977
本発明の表面処理ガラスクロスは、電子・電気分野で使用されるプリント配線板に用いられる基材として好適に利用できる。

Claims (2)

  1. 複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を製織してなる表面処理ガラスクロスの製造方法であって、ガラスクロスを製織する工程、該ガラスクロスに下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤濃度が0.2〜2.0質量%の処理液を塗布する工程、90〜300℃で加熱乾燥することによってガラスフィラメントの表面積1平方m当たり1.3〜4.0×10-5molの該シランカップリング剤を付着させる工程、水あるいは水蒸気により該ガラスクロスに塗布された該シランカップリング剤をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり少なくとも0.3×10-5mol以上除去することによって、該シランカップリング剤の付着量をガラスフィラメントの表面積1平方m当たり0.8〜2.0×10-5molとする工程よりなることを特徴とする表面処理ガラスクロスの製造方法。
    X(R)3-nSiYn ・・・(1)
    (式中、Xはアミノ基、不飽和二重結合基のうち少なくとも1つを有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
  2. シランカップリング剤として、下記一般式(2)で示されるシランカップリング剤Aと下記一般式(3)で示されるシランカップリング剤Bとの混合物を用い、処理液中の該シランカップリング剤Bに対する該シランカップリング剤Aの濃度がモル比で0.1以上10以下であることを特徴とする請求項に記載の表面処理ガラスクロスの製造方法。
    U(R)3-nSiYn ・・・(2)
    (式中、Uはアミノ基を少なくとも1つ有し、かつ不飽和二重結合基を有さない有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
    V(R)3-nSiYn ・・・(3)
    (式中、Vはアミノ基、及び不飽和二重結合基を少なくともそれぞれ1つずつ有する有機官能基であり、Yはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数であり、Rはメチル基、エチル基、フェニル基のいずれかの基である。)
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