JP3731264B2 - 印刷配線板用プリプレグの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷配線板等の金属箔張り積層板や多層印刷配線板に用いられるプリプレグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリプレグは、これを所定枚数積層して片側又は両側に金属箔を配置して平行熱盤で加熱加圧し、金属張り積層板を成形したり、あるいはこれを両側が金属箔である積層板に回路加工を施した内層用印刷配線板の両側に積層しその外側に金属箔を配置して平行熱盤で加熱加圧し、多層印刷配線板を形成する際に用いられる。
【0003】
プリプレグは、通常シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理された基材に樹脂ワニスを含浸させた後、樹脂が半硬化するように乾燥させてつくられる。この乾燥工程で、基材表面の処理剤と樹脂の反応はある程度進行し、更に積層板や多層印刷配線板を成形する際の加熱時にも進行して基材と樹脂間の接着性を高めている。この基材と樹脂界面の接着性は、積層板とした場合の吸湿特性をはじめ耐熱性やドリル加工性、絶縁特性等の特性に大きな影響を与える。
【0004】
一方、電子機器の小型化・高性能化に伴って、印刷配線板に用いられる積層板は、これまで以上に優れた耐熱性やドリル加工性、絶縁特性等が要求されている。このため、これら特性に影響する基材と樹脂界面の接着性についても、更なる向上が必要となってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図1に一般的なシランカップリング剤処理された基材表面の理想的なモデル形態を示す。化学的に吸着したシランカップリング剤がある程度の層を形成し、樹脂層との接着性を発現するものである。しかしながら、工業的に行われる無機材料への処理は、非常に短時間で完結させるため、図2に示すように多くの欠陥を含んだ処理形態になっていると言われている。化学的に吸着したシランカップリング剤も均一に表面を被っておらず、樹脂層へ溶け出しやすい物理的に吸着したシランカップリング剤も多く存在する。このような欠陥の多い化学的吸着層では本来の接着性は期待できず、逆に物理的吸着層によって界面近傍の樹脂硬化物の不均一化や低強度化による更なる接着性の低下を引き起こす可能性が高い。
【0006】
基材と樹脂界面の接着性を向上させる手法としては、通常の表面処理剤が有する有機官能基の種類や数を調整し樹脂との反応性を高める方法(特開昭63−230729号公報、特公昭62−40368号公報)があるが、樹脂との反応性を高くするだけではリジッドな層ができるだけで、界面に生じる残留応力等の低減は困難であり接着性の顕著な向上は期待できない。界面の残留応力の低減も含めた改良手法としては、表面処理剤に加えて低応力化のために長鎖のポリシロキサンを併用するもの(特開平3−62845号公報、特開平3−287869号公報)があるが、通常の処理条件では表面処理剤と長鎖ポリシロキサンの反応性が非常に低いこと、また一般的な長鎖ポリシロキサンは基材と反応するアルコキシル基を有していないこと、長鎖ポリシロキサンが有するメチル基等の疎水性の影響によるプリプレグの含浸性の低下等により界面の高接着性を発現することは非常に困難である。
【0007】
これに対して、特開平1−204953号公報は、無機充填剤と反応するアルコキシル基及び樹脂と反応する有機官能基を併せ持つ鎖状ポリシロキサンを用いることを特徴としている。しかしながら、図3に示すようにポリシロキサンの鎖を長くした場合、メチル基等の疎水性基の配向等により基材表面に横向きとなる可能性が高く、樹脂中への鎖の入り込みは難しくかつ数箇所で基材に吸着するためリジッドな層を形成しやすい。樹脂内に侵入しても、鎖の回りを樹脂が取り囲むため、鎖の長さに見合った界面の低応力化を実現するのは困難である。また、物理的に吸着した層は大環状になりやすいため、樹脂硬化物の物性低下を引き起こしやすい。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、積層板や多層印刷配線板を成形した際に優れたドリル加工性及び絶縁特性を発現するプリプレグの製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材に樹脂またはワニスを含浸あるいは含浸後乾燥させて得られるプリプレグにおいて、図4に示すような基材表面の水酸基と反応する官能基及び樹脂と反応する有機官能基を各々1個以上有する予め3次元縮合反応させたシリコーンオリゴマで処理した基材を用いることを特徴とする印刷配線板用プリプレグの製造方法である。以下、本発明について説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる基材は、金属箔張り積層板や多層印刷配線板を製造する際に用いられるものであれば特に制限されないが、通常織布や不織布等の繊維基材が用いられる。繊維基材としては、たとえばガラス、アルミナ、アスベスト、ボロン、シリカアルミナガラス、シリカガラス、チラノ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、カーボン等の無機繊維やアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、セルロース等の有機繊維等及びこれらの混抄系があり、特にガラス繊維の織布が好ましく用いられる。
【0011】
これらシリコーンオリゴマで処理される基材の表面処理状態は特に制限はなく、通常のシランカップリング剤等を含んだ表面処理剤で処理されたものでもかまわないが、基材表面にシリコーンオリゴマと反応できる水酸基が存在する処理前の基材が好ましい。
【0012】
これら基材に処理されるシリコーンオリゴマは、予め3次元縮合反応しており基材表面の水酸基と反応する官能基及び樹脂と反応する有機官能基を各々1個以上有していればその分子量や骨格等に特に制限はないが、重合体の中でシロキサン単位の重合度が2〜70程度が好ましい。この重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により数平均分子量或いは重量平均分子量から換算して得られる。重合度が低いとプリプレグ作製の乾燥時等に揮発しやすく、70を越えると耐熱性が低下してくる。2官能性、3官能性、4官能性シロキサン単位のR2Si02/2、RSi03/2、Si04/2は、それぞれ次のような構造を意味する。
【0013】
【0014】
ここで、Rは同じか又は別な有機基であり、具体的にメチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、アクリル基、アミノ基、アミノ基含有塩酸塩、アミノ基含有無機酸塩等を例示することができる。有機基としては、1個以上樹脂と反応する有機官能基を含んでいることが好ましく、エポキシ基やアミノ基及びアミノ基含有塩酸塩等が一般的である。基材表面の水酸基と反応する官能基は特に制限はないが、アルコキシル基やシラノール基等が一般的であり好ましい。また、シリコーンオリゴマは分子内に2官能性や3官能性あるいは4官能性シロキサン単位を1種類以上含有していることが好ましく、更には4官能性シロキサン単位がシリコーンオリゴマ全体の5mol%以上であるとより好ましい。シリコーンオリゴマは、予め3次元縮合反応しているものであるが、配合前にゲル状態とならない程度に反応させたものを用いる。このためには、反応温度、反応時間、オリゴマ組成比、触媒の種類や量を変えて調整する。触媒としては、酢酸、塩酸、マレイン酸、リン酸等の酸性溶液で合成することが好ましい。
【0015】
シリコーンオリゴマの処理液や処理条件等の基材への処理方法は特に制限されないが、基材に対する付着量は0.01重量%〜5重量%の範囲が好ましい。0.01重量%以下では界面接着性向上の効果は得にくく、5重量%以上では耐熱性等が低下する。また、基材に処理する際の処理液は、シリコーンオリゴマに加えて各種溶剤や各種カップリング剤等を含めた添加剤を配合してもよい。カップリング剤としてはシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等があり、シランカップリング剤としては、一般にエポキシシラン系、アミノシラン系、カチオニックシラン系、ビニルシラン系、アクリルシラン系、メルカプトシラン系及びこれらの複合系等が任意の付着量で多々用いられる。更に、上記処理液で処理した基材の表面にカップリング剤を処理してもよく、その際のカップリング剤の種類や処理条件は特に限定しないが、カップリング剤の付着量は5重量%以下が好ましい。
【0016】
本発明で用いるプリプレグ用の樹脂は特に限定されず、例えばエポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂系、ポリエステル樹脂系、これら樹脂の変性系等が用いられる。また、これらの樹脂は2種類以上を併用してもよく、必要に応じて各種溶剤溶液としてもかまわない。溶剤としては、アルコール系、工ーテル系、ケトン系、アミド系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系等どのようなものでもよく、数種類を併用した混合溶剤を用いることもできる。
【0017】
硬化剤としては、従来公知の種々のものを使用することができ、例えば樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、フェノールノボラックやクレゾールノボラック等の多官能性フェノール等をあげることができる。しばしば、樹脂と硬化剤との反応等を促進させる目的で促進剤が用いられる。促進剤の種類や配合量は特に限定するものではなく、例えばイミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が用いられ、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
本発明で用いるプリプレグの塗工条件は特に制約はないが、溶剤溶液を用いる場合には、溶剤が揮発可能な温度以上での乾燥が好ましい。
【0019】
以上で述べた本発明によれば、基材に基材表面の水酸基と反応する官能基及び樹脂と反応する有機官能基を各々1個以上有する予め3次元縮合反応したシリコーンオリゴマで処理しているため、積層板や多層印刷配線板にした場合に、従来のシランカップリング剤等による薄くてリジッドな処理剤層に対してシリコーンオリゴマが基材と樹脂の界面でクッション的な役割をはたし、界面に発生する歪みを緩和させ、樹脂が本来有している優れた接着性を引き出すことができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0023】
(実施例3)
撹拌装置、コンデンサ及び温度計を備えたガラスフラスコに、ジメトキシジメチルシランを32g、テトラメトキシシランを8g、ジメトキシメチルシランを17g、メタノールを98g配合した溶液に、酢酸を0.5g、蒸留水を16.2g配合して50℃で1時間撹拌した後、アリルグリシジルエーテルを18.2gと塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)を0.04g添加し、更に7時間撹拌してエポキシ変性のシリコーンオリゴマを合成した。得られたシリコーンオリゴマのシロキサン単位の重合度は18であった(GPCによる数平均分子量から換算、以下同じ)。このシリコーンオリゴマ溶液にメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0024】
(実施例4)
実施例3と同様に、ジメトキシジメチルシランを9g、テトラメトキシシランを20g、ジメトキシメチルシランを11g、メタノールを93g配合した溶液に、酢酸を0.5g、蒸留水を14g配合して50℃で1時間撹拌した後、アリルグリシジルエーテルを11.8gと塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)を0.03g添加し、更に7時間撹拌してエポキシ変性のシリコーンオリゴマを合成した。得られたシリコーンオリゴマのシロキサン単位の重合度は20であった。このシリコーンオリゴマ溶液にメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0025】
(実施例5)
実施例3と同様に、トリメトキシメチルシランを9g、テトラメトキシシランを20g、ジメトキシメチルシランを11g、メタノールを92g配合した溶液に、酢酸を0.5g、蒸留水を13.2g配合して50℃で1時間撹拌した後、アリルグリシジルエーテルを11.2gと塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)を0.03g添加し、更に7時間撹拌してエポキシ変性のシリコーンオリゴマを合成した。得られたシリコーンオリゴマのシロキサン単位の重合度は16であった。このシリコーンオリゴマ溶液にメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0026】
(実施例6)
実施例3と同様に、ジメトキシジメチルシランを9g、テトラメトキシシランを20g、ジメトキシメチルシランを11g、メタノールを93g配合した溶液に、酢酸を0.5g、蒸留水を14g配合して50℃で1時間撹拌した後、アリルアミンを5.9gと塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)を0.02g添加し、更に7時間撹拌してアミン変性のシリコーンオリゴマを合成した。得られたシリコーンオリゴマのシロキサン単位の重合度は18であった。このシリコーンオリゴマ溶液にメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0027】
(実施例7)
実施例3と同様に、ジメトキシジメチルシランを9g、テトラメトキシシランを20g、ジメトキシメチルシランを11g、メタノールを93g配合した溶液に、酢酸を0.5g、蒸留水を14g配合して50℃で1時間撹拌した後、塩酸アリルアミンを9.7gと塩化白金酸塩(2重量%イソプロピルアルコール溶液)を0.03g添加し、更に7時間撹拌してカチオニック変性のシリコーンオリゴマを合成した。得られたシリコーンオリゴマのシロキサン単位の重合度は17であった。このシリコーンオリゴマ溶液にメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0028】
(実施例8)
実施例4で得られたシリコーンオリゴマ溶液に、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187、日本ユニカー株式会社製)20gを加え、さらにメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0029】
(実施例9)
実施例4で得られたシリコーンオリゴマ溶液に、シランカップリング剤としてN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(商品名:SZ−6032、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)20gを加え、さらにメタノールを加えて、固形分1重量%の処理液を作製した。
【0030】
次に、実施例3〜9で作製した処理液に、ガラス繊維基材として熱処理脱脂した厚さ0.2mmのガラス布を浸漬後、120℃で加熱乾燥してシリコーンオリゴマを表面に付着させたガラス布を得た。シリコーンオリゴマの付着量は0.07〜0.12重量%であった。
【0031】
(実施例10)
実施例4で処理したガラス布に、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187、日本ユニカー株式会社製)を固形分で0.5重量%、酢酸を0.5重量%含有する水溶液で更に処理し、120℃で加熱乾燥したガラス布を得た。シランカプリング剤の付着量は0.04重量%であった。
【0032】
(実施例11)
実施例4で処理したガラス布に、シランカップリング剤としてN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(商品名:SZ−6032、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を固形分で0.5重量%、酢酸を0.5重量%含有する水溶液で更に処理し、120℃で加熱乾燥したガラス布を得た。シランカップリング剤の付着量は0.05重量%であった。
【0033】
(実施例12)
実施例4で作製した処理液に、ガラス繊維基材としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187、日本ユニカー株式会社製)が0.1重量%付着した厚さ0.2mmのガラス布を浸漬後、120℃で加熱乾燥してシリコーンオリゴマを表面に付着させたガラス布を得た。シリコーンオリゴマの付着量は0.05重量%であった。
【0034】
(実施例13)
実施例4で作製した処理液に、ガラス繊維基材としてN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(商品名:SZ一6032、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)が0.1重量%付着した厚さ0.2mmのガラス布を浸漬後、120℃で加熱乾燥してシリコーンオリゴマを表面に付着させたガラス布を得た。シリコーンオリゴマの付着量は0.04重量%であった。
【0035】
(比較例1)
ガラス繊維基材として、実施例12で使用したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187、日本ユニカー株式会社製)が0.1重量%付着した厚さ0.2mmのガラス布を用いた。
【0036】
(比較例2)
ガラス繊維基材として、実施例13で使用したN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(商品名:SZ−6032、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)が0.1重量%付着した厚さ0.2mmのガラス布を用いた。
【0037】
(比較例3)
シリコーンオリゴマ処理液のかわりに、エポキシ変性シリコーンオイル(商品名:KF101、信越化学工業株式会社製)を固形分で1.0重量%含有する溶液を作製し、この処理液にガラス繊維基材として熱処理脱脂した厚さ0.2mmのガラス布を浸漬後、120℃で加熱乾燥してシリコーンオイルを表面に付着させたガラス布を得た。シリコーンオイルの付着量は0.12重量%であった。
【0038】
実施例3〜13、比較例1〜3で得られたガラス布に以下に示すエポキシ樹脂ワニスを含浸後、140℃で5〜10分加熱乾燥して樹脂分41重量%のプリプレグを得た。このプリプレグ4枚を重ね、その両側に厚みが35μmの銅箔を重ね、170℃、90分、4.0MPaのプレス条件で両面銅張積層板を作製した。
臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100重量部
(エポキシ当量:530)
ジシアンジアミド 4重量部
2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.5重量部
上記化合物をメチルエチルケトン及びエチレングリコールモノメチルエーテル(50:50重量%)に溶解し、不揮発分70重量%のワニスを作製した。
【0039】
得られた両面銅張積層板について、ドリル加工性、吸水率、はんだ耐熱性及び絶縁抵抗を評価した。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
試験方法は以下の通りである。
ドリル加工性:Φ0.4mmのドリルを用いて、回転数:80,000rpm、送り速度:3,200mm/minで穴あけを行い、基材と樹脂界面の剥離等による穴壁クラックを評価した。穴壁クラックは、穴あけした試験片をレッドチェック液で1時間煮沸後、顕微鏡による表面観察より穴面積に対する穴回りに染み込んだ面積の割合を画像処理装置で測定した(20穴の平均)。単位:%
吸水率:常態及びプレッシャークッカーテスター中に2時間保持した後の重量差より算出した。単位:重量%
はんだ耐熱性:プレッシャークッカーテスター中に2時間保持した後、260℃のはんだに20秒間浸潰して、外観を目視で調べた。表中OKは、ミーズリング、ふくれがないことを意味する。
耐電食性:ドリル加工性で評価した穴壁間隔300μmのスルーホールを使用し、85℃/85%RH、100V印加での導通破壊までの時間を測定した。また、導通破壊は全てスルーホール間のCAF(Conductive Anodic Filaments)であることを確認した。
【0042】
以上の結果から、実施例3〜13は、従来行われていた比較例1、2に較べ、従来技術と同様はんだ耐熱性等の低下がなく良好であり、熱衝撃にも強く、またドリル加工時の内壁クラックが顕著に小さく、ドリル加工時の衝撃を緩和するのに優れている。吸湿率は、ほぼ同等であるが、耐電食性が著しく向上し優れていることが分かる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の印刷配線板用プリプレグは積層板とした場合に、これまでの積層板が有する特性を下げることなく、ドリル加工性や耐電食性等の絶縁特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基材表面にシランカップリング剤を処理したときの理想状態を示す基材断面のモデル。
【図2】 基材表面にシランカップリング剤を処理したときの実際の状態を示す基材断面のモデル。
【図3】 基材表面を長鎖ポリシロキサンで処理したときの基材断面モデル。
【図4】 本発明のシリコーンオリゴマーで処理したときのモデル。
【符号の説明】
1:化学的に吸着されたシリコーン鎖(基材との化学的結合があり)
2:物理的に吸着されたシリコーン鎖(基材との化学的結合がない)
3:樹脂
4:シリコーン鎖内の結合による環状鎖
Claims (10)
- 基材に樹脂またはワニスを含浸あるいは含浸後乾燥させて得られるプリプレグにおいて、分子内に4官能性(SiO4/2)シロキサン単位を含有し、基材表面の水酸基と反応する官能基と、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミノ基含有塩酸塩またはアミノ基含有無機酸塩から選択される樹脂と反応する有機官能基とを各々1個以上有する予め3次元縮合反応させた重合度が2〜70のシリコーンオリゴマで処理した基材を用いることを特徴とする印刷配線板用プリプレグの製造方法。
- シリコーンオリゴマが分子内に含有するシロキサン単位として、さらに2官能性(R2SiO2/2)を含む請求項1に記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法(式中、R基は同じか又は別異な有機基である。)。
- シリコーンオリゴマが分子内に含有するシロキサン単位として、さらに3官能性(RSiO3/2)を含む請求項1に記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法(式中、R基は同じか又は別異な有機基である。)。
- シリコーンオリゴマが分子内に含有するシロキサン単位として、さらに2官能性(R2SiO2/2)と3官能性(RSiO3/2)とを含む請求項1に記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法(式中、R基は同じか又は別異な有機基である。)。
- シリコーンオリゴマが分子内に含有する4官能性(SiO4/2)シロキサン単位が全体の5mol%以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法。
- シリコーンオリゴマで処理する際に、カップリング剤を併用することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法。
- シリコーンオリゴマで処理した後、カップリング剤で処理することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法。
- シリコーンオリゴマが有する有機官能基がエポキシ基であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法。
- シリコーンオリゴマが有する有機官能基がアミノ基であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法。
- シリコーンオリゴマが有する有機官能基がアミノ基含有無機酸塩であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の印刷配線板用プリプレグの製造方法。
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JPH10121363A (ja) | 1998-05-12 |
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