以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本明細書に開示する発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本明細書に開示する発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
「電気的に接続」や「電気的接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、PLDの一形態を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1(A)はPLDにおけるロジックアレイの一部を概念的に示したものである。ロジックアレイ101は、アレイ状の複数のロジックエレメント102(図1(A)においてはLEと記す。)を有する。ここでアレイ状とは、ロジックエレメントが周期的に配列していることを指し、配列は図1(A)の配列に限られない。
また、ロジックエレメント102を囲むように、複数の配線が形成されている。図1(A)においては、これらの配線は複数の水平な配線群103aと複数の垂直な配線群103bとにより構成される。配線群とは図1(A)のように、例えば4本等の複数の配線からなる配線の束である。水平な配線群103aと垂直な配線群103bとが交わる部分にはスイッチボックス104が設けられている。また、水平な配線群103a及び垂直な配線群103bは出力端子105と電気的に接続され、ロジックアレイ101の外部回路と信号の授受を行う。
複数のロジックエレメント102の入力端子、出力端子は、それぞれ周囲に設けられた水平な配線群103aや垂直な配線群103bと電気的に接続している。例えば、ロジックエレメント102の入出力端子は図1(A)においてそれぞれ上下左右の側に4ピンあり、上側及び左側を入力端子とし、右側及び下側を出力端子とすることができる。この入出力端子を用いることで、ロジックエレメント102は他のロジックエレメント102と電気的に接続することができる。
任意のロジックエレメント102と、これと異なるロジックエレメント102との電気的な接続関係は、スイッチボックス104内に設けられたプログラム可能なスイッチによって決定される。図1(B)に、スイッチボックス104の拡大図を示す。例えば、水平な配線群103aと垂直な配線群103bとが4本の配線で構成されている場合、水平な配線群103aと垂直な配線群103bそれぞれの交点は16個生じる。しかし交点全てにスイッチ群106を設けた場合、信号の遅延、チップ面積の増大、コストの増大等のデメリットが顕著である。そこで、例えば図1(B)に示すように16個の交点のうち斜めの交点のみにスイッチ群106を設ける。
スイッチ群106は、複数のスイッチにより構成される。スイッチ群106の構成を図2に示す。スイッチ群106は、図1(B)で示した水平な配線群103aに含まれる1本の配線111と、垂直な配線群103bに含まれる1本の配線110との交点に設けられている。スイッチ群106は、水平な配線群103aに含まれる配線111と垂直な配線群103bに含まれる配線110の接続を制御する機能を有する。具体的に、スイッチ群106は、スイッチ112乃至スイッチ117を有する。スイッチ112は、配線110におけるPointAと、配線111におけるPointCとの電気的な接続を制御する機能を有する。スイッチ113は、配線110におけるPointBと、配線111におけるPointCの電気的な接続を制御する機能を有する。スイッチ115は、配線110におけるPointAと、配線111におけるPointDの電気的な接続を制御する機能を有する。スイッチ114は、配線110におけるPointBと、配線111におけるPointDの電気的な接続を制御する機能を有する。スイッチ116は、配線110におけるPointAとPointBの電気的な接続を制御する機能を有する。スイッチ117は、配線111におけるPointCとPointDの電気的な接続を制御する機能を有する。
スイッチ112乃至スイッチ117のそれぞれにはコンフィギュレーションデータが記憶され、該コンフィギュレーションデータに従って、スイッチ112乃至スイッチ117のオンまたはオフの選択を行う。
(スイッチ200の回路構成)
図3に、本実施の形態に係るスイッチ200を示す。スイッチ200は、PLDにおけるロジックエレメント212(図3においてはLE1と記す。)とロジックエレメント218(図3においてはLE2と記す。)との接続を制御する。ロジックエレメント212、ロジックエレメント218はそれぞれ、組み合わせ回路、フリップフロップ、論理素子などから構成される。また組み合わせ回路は、ルックアップテーブル、AND−OR回路等により構成され、コンフィギュレーションデータに従って回路構成を変更することができる。例えば、図3においては、ロジックエレメント212、ロジックエレメント218はそれぞれ、ルックアップテーブル213、219、フリップフロップ214、220、AND回路215、221により構成される。フリップフロップ214、220には配線216から同一のクロック信号が入力され、ロジックエレメント212、ロジックエレメント218の同期に用いられる。また、AND回路215、221には配線217から同一のイネーブル信号が入力される。
スイッチ200は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子の組を3組有する回路により構成される。第1のトランジスタにはシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を用いる。このような材料として例えば酸化物半導体があげられる。図3においては、酸化物半導体を用いたトランジスタの記号の下に酸化物半導体を意味するOSの文字を記載している。第1のトランジスタとして酸化物半導体をチャネル形成領域に用いる。一方第2のトランジスタは、例えばシリコンなどの半導体材料をチャネル形成領域に用いた第1のトランジスタよりも高速にスイッチングが可能なトランジスタを用いるとよい。特に、本実施の形態においては、第2のトランジスタはn型のトランジスタを用いる。
また、第1のトランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に用い、且つ該酸化物半導体と接して設けられる酸化物とを含む多層膜により形成される。このような構成とすることで、第1のトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
図3に示すように、スイッチ200は具体的には、第1のトランジスタ201a、201b、201cと、第2のトランジスタ202a、202b、202cと、容量素子204a、204b、204cとを有する。第1のトランジスタ201a、201b、201cのゲートは、それぞれ配線206a、206b、206cと電気的に接続している。配線206a、206b、206cには書き込み信号が入力される。また、第1のトランジスタ201a、201b、201cのソースは共通の配線207と電気的に接続されている。配線207には書き込みデータ信号が入力される。また、第1のトランジスタ201a、201b、201cのドレインはそれぞれ第2のトランジスタ202a、202b、202cのゲート、及び容量素子204a、204b、204cの一対の電極のうちの一方と電気的に接続されている。第2のトランジスタ202a、202b、202cは互いに電気的に並列接続されている。すなわち、第2のトランジスタ202a、202b、202cのソースは互いに接続され、第2のトランジスタ202a、202b、202cのドレインは互いに接続されている。また第2のトランジスタ202a、202b、202cのソースは配線210を介して、ロジックエレメント212の出力端子に電気的に接続され、第2のトランジスタ202a、202b、202cのドレインは配線211を介して、ロジックエレメント218の入力端子に電気的に接続されている。また、容量素子204a、204b、204cの一対の電極のうちの他方は、それぞれ選択信号が入力される配線205a、205b、205cと電気的に接続されている。ここで、第1のトランジスタ201a、201b、201cのドレインと、第2のトランジスタ202a、202b、202cのゲートと、容量素子204a、204b、204cの一対の電極の一方との電気的な接続部位をそれぞれノード203a、203b、203cとする。該ノード203a、203b、203cにコンフィギュレーションデータを記憶させる。
このようにして、本実施の形態に係るスイッチ200は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子の3組230、231、232によって構成される。
ロジックエレメント212の出力信号は配線210に出力され、スイッチ200を介して配線211に供給され、ロジックエレメント218の入力信号となる。
配線206a、206b、206cの電位を「H(High)」とし、配線207に「H」又は「L(Low)」に対応する電位を供給すると、ノード203a、203b、203cに、配線207の電位に対応した電荷量を蓄積することができる。なお、このとき配線210、配線211の少なくとも一方は、「L」とすることが好ましい。
ここで第1のトランジスタ201a、201b、201cにオフ電流が極めて低いトランジスタを用いることで、配線206a、206b、206cを「L」としている間はノード203a、203b、203cに蓄積された電荷量を一定に保つことができる。すなわち、入力されたデータを記憶させることができる。また、配線206a、206b、206cを「L」とし、配線205a、205b、205cを「H」とすることで、ノード203a、203b、203cに蓄積された電荷量に応じて、第2のトランジスタ202a、202b、202cの導通状態が変化する。すなわち、配線205a、205b、205cのいずれか一を選択することで、ノード203a、203b、203cに蓄積された電荷量に応じてスイッチ200の導通状態を瞬時に切り換えることができる。
また、ノード203a、203b、203cに蓄積された電荷量をそれぞれ第1のコンフィギュレーションデータ、第2のコンフィギュレーションデータ、第3のコンフィギュレーションデータに対応させることで、配線205a、205b、205cの切り換えによりコンフィギュレーションデータの切り換えが可能となる。
このような構成とすることで、複数のコンフィギュレーションデータを格納する記憶装置からの読み出しに要する時間を削減することができる。従って、高速なコンフィギュレーションデータの切り替えが可能なPLDを提供することができる。
なお、スイッチ200を経由することで、スイッチの抵抗に応じて信号の電位が低下する場合があるため、配線211にラッチを設ける構成とすることが好ましい。ラッチは、インバータとプルアップ用のトランジスタを用いて構成することができる。
また、図3においてはロジックエレメント間のスイッチが1個の場合を示したが、複数個のスイッチが直列に接続された形態とすることが可能である。また、複数の配線対複数の配線の接続を制御するクロススイッチとすることができる。複数のスイッチを経由する場合には、スイッチの抵抗に応じて信号の電位が低下する場合がある。
一例として、図12(A)においてロジックエレメント間のスイッチが複数となる場合を示す。コンフィギュレーションデータを設定することで、例えば左上のロジックエレメント102と右下のロジックエレメント102を電気的に接続することができる。この場合、スイッチボックス104を3つ介して上記のロジックエレメント102どうしが電気的に接続される。従って、少なくとも直列接続された3つのスイッチを経由することとなる。これにより、スイッチ抵抗に応じて電位の低下が生じるのを防止するため、特定個数のスイッチを経由するごとにラッチを設ける構成とすることが好ましい。
ラッチは図12(B)に示すように、プルアップ用のトランジスタ51の入力端子にインバータ52の出力端子を電気的に接続させて構成することができる。また図12(C)に示すようにインバータ53の入力端子にインバータ54の出力端子を接続させ、インバータ53の出力端子にインバータ54の入力端子を接続させることで構成することができる。
(スイッチ200の回路動作)
次に、図3で示したスイッチ200の回路の動作方法について、図4に示すタイミングチャートを用いてその一例を説明する。
ここで、一例として、配線206a、206b、206cが「H」の場合の電位を+V、「L」の場合の電位を−Vとする。また、配線205a、205b、205cが「H」の場合の電位を+V、「L」の場合の電位を0とする。配線207が「H」の場合の電位を+Vとし、「L」の場合の電位を0とする。また、配線216、217、210、211がそれぞれ「H」の場合の電位を+Vとし、「L」の場合の電位を0とする。
初期状態として、配線205cが「H」、ノード203cの電位が+Vの場合を考える。すなわち、第3のコンフィギュレーションデータにしたがって、スイッチ200の導通が決められており、さらに、スイッチ200が導通している状態を初期状態とする。また、初期状態で、ノード203a、ノード203bの電位が−Vとする。
まず、コンフィギュレーションデータの書き込み(時刻T1〜T6)について説明する。
時刻T2に、配線206a、配線205aを「H」、配線217を「L」、配線207を「L」とする。このとき、ノード203aの電位は0となる。これは、スイッチ200を非導通とする電位に相当する。すなわち、第1のコンフィギュレーションデータとして、「L」を格納したことに相当する。なお、ロジックエレメント212の出力は「L」である。
時刻T3に、配線206a、配線205aを「L」とする。このとき、ノード203aの電位は−Vとなる。
時刻T5に、配線206b、配線205bを「H」、配線217を「L」、配線207を「H」とする。このとき、ノード203bの電位は+Vとなる。これは、スイッチ200を導通とする電位に相当する。すなわち、第2のコンフィギュレーションデータとして、「H」を格納したことに相当する。なお、ロジックエレメント212の出力は「L」である。
時刻T6に、配線206b、配線205bを「L」とする。このとき、ノード203bの電位は0となる。
なお、コンフィギュレーションデータの書き込みは、配線216に入力されるクロック信号のポジティブエッジの時刻T1、T4よりも後で、極力早い時刻から極力短時間で終了する構成が好ましい。より具体的には、時刻T1、T4からフリップフロップのホールド時間だけ経過した後に始める構成が好ましい。このような構成とすることで、PLDの動作を損なうことなく、コンフィギュレーションデータの書き換えが行える。
次に、コンフィギュレーションデータの切り替え(時刻T7〜T10)について説明する。
時刻T8に、配線205aを「H」、配線205cを「L」とする。このとき、ノード203aの電位は0、ノード203cの電位は0となる。従って、スイッチ200は非導通となる。これは、第1のコンフィギュレーションデータに切り替わったことになる。
時刻T10に、配線205aを「L」、配線205bを「H」とする。このとき、ノード203aの電位は−V、ノード203bの電位は+Vとなる。従って、スイッチ200は導通となる。これは、第2のコンフィギュレーションデータに切り替わったことになる。
なお、コンフィギュレーションデータの切り替えは、配線216に入力されるクロック信号のポジティブエッジの時刻T7、T9以降で、極力早い時刻に行う構成が好ましい。より具体的には、時刻T7、T9からフリップフロップのホールド時間だけ経過した後に行う構成が好ましい。このような構成とすることで、PLDの動作を損なうことなく、コンフィギュレーションデータの切り替えが行える。
以上のような構成とすることで、動的コンフィギュレーションにも対応することができる高速なコンフィギュレーションを可能とし、低消費電力で、起動時間が高速なPLDを提供することができる。
また、スイッチが有する第1のトランジスタを酸化物層と酸化物半導体層の多層膜構造とすることにより、トランジスタに安定した動作を付与し、信頼性の優れたPLDを提供することができる。
なお、図4で示したスイッチ200の動作方法においては、ノード203a、203b、203cへのコンフィギュレーションデータの書き込みのために、配線205a、205b、205cの電位を変化させている。しかし、第2のトランジスタ202a、202b、202cのゲート容量がソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合、または第2のトランジスタ202a、202b、202cのゲートに保持容量を別途電気的接続させ、ゲート容量と保持容量とがソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合には、配線205a、205b、205cの電位を変化させずにコンフィギュレーションデータを書き込むことができる。
また、図4で示したスイッチ200の動作方法においては、ノード203a、203b、203cへのコンフィギュレーションデータの書き込みのために、配線217にイネーブル信号0を入力している(ロジックエレメント212の出力を0としている)。しかし、第2のトランジスタ202a、202b、202cのゲート容量がソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合、または第2のトランジスタ202a、202b、202cのゲートに保持容量を別途電気的接続させ、ゲート容量と保持容量とがソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合には、配線217に入力するイネーブル信号を1としたままで(ロジックエレメント212の出力を0とせずに)、コンフィギュレーションデータを書き込むことができる。
ここで、多層膜中の酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタが有する「低いオフ電流」を説明するため、以下に、多層膜を用いたトランジスタのオフ電流を求めた結果について説明する。
<多層膜を用いたトランジスタのオフ電流測定>
まず、測定試料について説明する。
まず、シリコン基板上に下地絶縁膜を形成した。下地絶縁膜として、CVD法にて厚さ300nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。
次に、下地絶縁膜上に第1の酸化物膜を形成した。第1の酸化物膜は、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて5nm成膜した。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
次に、第1の酸化物膜上に酸化物半導体膜を形成した。酸化物半導体膜は、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて15nm成膜した。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を300℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
次に、酸化物半導体膜上に第2の酸化物膜を形成した。第2の酸化物膜は、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて5nm成膜した。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
次に、加熱処理を行い、酸化物半導体膜に含まれる水、水素等を脱離させた。ここでは、窒素雰囲気で、450℃、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気で、450℃、1時間の加熱処理を行った。
次に、下地絶縁膜および第2の酸化物膜上に導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により該導電膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該導電膜の一部をエッチングし、ソース電極およびドレイン電極を形成した。なお、該ソース電極およびドレイン電極となる導電膜は、厚さ100nmのタングステン膜を形成した。
次に、第2の酸化物膜、ソース電極およびドレイン電極上にゲート絶縁膜を形成した。ゲート絶縁膜として、CVD法にて酸化窒化シリコン膜を30nm形成した。
次に、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成した。スパッタリング法で厚さ30nmの窒化タンタル膜を形成し、該窒化タンタル膜上にスパッタリング法で厚さ135nmのタングステン膜を形成した。フォトリソグラフィ工程により該タングステン膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該窒化タンタル膜および該タングステン膜の一部をエッチングし、ゲート電極を形成した。
次に各構成を覆うように層間絶縁膜を形成した。層間絶縁膜として、スパッタリング法で厚さ70nmの酸化アルミニウム膜を形成し、さらに該酸化アルミニウム膜上にCVD法にて厚さ300nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。
トランジスタのチャネル長L=0.73μm,チャネル幅W=1cm、ゲート電極とソース電極(またはドレイン電極)の間の長さLoffは、0.67μmである。
以上の工程により、試料のトランジスタを作製した。
続いて、作製したトランジスタのリーク電流結果について説明する。
測定条件は、Dry雰囲気、暗状態でVgs=−4V、Vds=1Vで85℃および125℃の2条件で行った。
図30に示すように85℃、125℃において、時間が経過してもそれぞれ1×10−21A/μm以下、1×10−19A/μm以下と低いオフ電流を示している。
以上より、多層膜を用いたトランジスタのオフ電流は極めて低いことが確認された。
このように、多層膜中の酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタを用いることで、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。また、該トランジスタを用いるプログラマブルロジックデバイスにおいては、長い期間データを格納できるコンフィギュレーションメモリとすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示したスイッチ200に用いたn型の第2のトランジスタをp型の第2のトランジスタに代えたスイッチ300について、図5及び図6を用いて説明する。
(スイッチ300の回路構成)
図5に、本実施の形態に係るスイッチ300を示す。スイッチ300の回路構成は、実施の形態1で説明したスイッチ200におけるn型の第2のトランジスタ202a、202b、202cを、極性の異なるp型の第2のトランジスタ302a、302b、302cに代えたものであり、他の回路構成については同様である。
すなわち、スイッチ300はPLDにおけるロジックエレメント312とロジックエレメント318との接続を制御する。例えば、図5においては、ロジックエレメント312、ロジックエレメント318はそれぞれ、ルックアップテーブル313、319、フリップフロップ314、320、AND回路315、321により構成することができる。
スイッチ300は、実施の形態1に記載のスイッチ200と同様に、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子の組を3組有する回路により構成される。第1のトランジスタにはシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を用いる。第1のトランジスタとして酸化物半導体をチャネル形成領域に用いる。一方第2のトランジスタは、例えばシリコンなどの半導体材料をチャネル形成領域に用いた第1のトランジスタよりも高速にスイッチングが可能なトランジスタを用いるとよい。特に、本実施の形態においては、第2のトランジスタはp型のトランジスタを用いる。
また、第1のトランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に用い、且つ該酸化物半導体と接して設けられる酸化物とを含む多層膜により形成される。このような構成とすることで、第1のトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
図5に示すように、スイッチ300は具体的には、第1のトランジスタ301a、301b、301cと、第2のトランジスタ302a、302b、302cと、容量素子304a、304b、304cとを有する。第1のトランジスタ301a、301b、301cのゲートは、それぞれ配線306a、306b、306cと電気的に接続している。配線306a、306b、306cには書き込み信号が入力される。また、第1のトランジスタ301a、301b、301cのソースは共通の配線307と電気的に接続されている。配線307には書き込みデータ信号が入力される。また、第1のトランジスタ301a、301b、301cのドレインはそれぞれ第2のトランジスタ302a、302b、302cのゲート、及び容量素子304a、304b、304cの一対の電極のうちの一方と電気的に接続されている。p型の第2のトランジスタ302a、302b、302cは互いに電気的に並列接続されている。すなわち、第2のトランジスタ302a、302b、302cのソースは互いに接続され、第2のトランジスタ302a、302b、302cのドレインは互いに接続されている。また第2のトランジスタ302a、302b、302cのソースは配線310を介して、ロジックエレメント312の出力端子に電気的に接続され、第2のトランジスタ302a、302b、302cのドレインは配線311を介して、ロジックエレメント318の入力端子に電気的に接続されている。また、容量素子304a、304b、304cの一対の電極のうちの他方は、それぞれ選択信号が入力される配線305a、305b、305cと電気的に接続されている。ここで、第1のトランジスタ301a、301b、301cのドレインと、第2のトランジスタ302a、302b、302cのゲートと、容量素子304a、304b、304cの一対の電極の一方との電気的な接続部位をそれぞれノード303a、303b、303cとする。該ノード303a、303b、303cにコンフィギュレーションデータを記憶させる。
このようにして、本実施の形態に係るスイッチ300は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子の3組330、331、332によって構成される。
ロジックエレメント312の出力信号は配線310に出力され、スイッチ300を介して配線311に供給され、ロジックエレメント318の入力信号となる。
配線306a、306b、306cの電位を「H(High)」とし、配線307に「H」又は「L(Low)」に対応する電位を供給すると、ノード303a、303b、303cに、配線307の電位に対応した電荷量を蓄積することができる。なお、このとき配線310、配線311の少なくとも一方は、「L」とすることが好ましい。
ここで第1のトランジスタ301a、301b、301cにオフ電流が極めて低いトランジスタを用いることで、配線306a、306b、306cを「L」としている間はノード303a、303b、303cに蓄積された電荷量を一定に保つことができる。すなわち、入力されたデータを記憶させることができる。また、配線306a、306b、306cを「L」とし、配線305a、305b、305cを「L」とすることで、ノード303a、303b、303cに蓄積された電荷量に応じて、第2のトランジスタ302a、302b、302cの導通状態が変化する。すなわち、配線305a、305b、305cのいずれか一を選択することで、ノード303a、303b、303cに蓄積された電荷量に応じてスイッチ300の導通状態を瞬時に切り換えることができる。
ここで、ノード303a、303b、303cに蓄積された電荷量をそれぞれ第1のコンフィギュレーションデータ、第2のコンフィギュレーションデータ、第3のコンフィギュレーションデータに対応させることで、配線305a、305b、305cの切り換えによりコンフィギュレーションデータの切り換えが可能となる。
このような構成とすることで、複数のコンフィギュレーションデータを格納する記憶装置からの読み出しに要する時間を削減することができる。従って、高速なコンフィギュレーションデータの切り替えが可能なPLDを提供することができる。
なお、スイッチ300を経由することによりスイッチの抵抗に応じた信号の電位の低下が生ずる場合がある。これを防止するためのラッチの配置については、実施の形態1で説明した構成に準ずる。
(スイッチ300の回路動作)
次に、図5で示したスイッチ300の回路の動作方法について、図6に示すタイミングチャートを用いてその一例を説明する。
ここで、一例として、配線306a、306b、306cが「H」の場合の電位を+V、「L」の場合の電位を0とする。また、配線305a、305b、305cが「H」の場合の電位を+V、「L」の場合の電位を0とする。配線307が「H」の場合の電位を+Vとし、「L」の場合の電位を0とする。また、配線316、317、310、311がそれぞれ「H」の場合の電位を+Vとし、「L」の場合の電位を0とする。
初期状態として、配線305cが「L」、ノード303cの電位が0の場合を考える。すなわち、第3のコンフィギュレーションデータにしたがって、スイッチ300の導通が決められており、さらに、スイッチ300が導通している状態を初期状態とする。また、初期状態で、ノード303a、ノード303bの電位が+2Vとする。
まず、コンフィギュレーションデータの書き込み(時刻T1〜T6)について説明する。
時刻T2に、配線306aを「H」、配線305aを「L」、配線317を「L」、配線307を「H」とする。このとき、ノード303aの電位は+Vとなる。これは、スイッチ300を非導通とする電位に相当する。すなわち、第1のコンフィギュレーションデータとして、「H」を格納したことに相当する。なお、ロジックエレメント312の出力は「L」である。
時刻T3に、配線306aを「L」、配線305aを「H」とする。このとき、ノード303aの電位は+2Vとなる。
時刻T5に、配線306bを「H」、配線305bを「L」、配線317を「L」、配線307を「L」とする。このとき、ノード303bの電位は0となる。これは、スイッチ300を導通とする電位に相当する。すなわち、第2のコンフィギュレーションデータとして、「H」を格納したことに相当する。なお、ロジックエレメント312の出力は「L」である。
時刻T6に、配線306bを「L」、配線305bを「H」とする。このとき、ノード303bの電位は+Vとなる。
なお、コンフィギュレーションデータの書き込みは、配線316に入力されるクロック信号のポジティブエッジの時刻T1、T4よりも後で、極力早い時刻から極力短時間で終了する構成が好ましい。より具体的には、時刻T1、T4からフリップフロップのホールド時間だけ経過した後に始める構成が好ましい。このような構成とすることで、PLDの動作を損なうことなく、コンフィギュレーションデータの書き換えが行える。
次に、コンフィギュレーションデータの切り替え(時刻T7〜T10)について説明する。
時刻T8に、配線305aを「L」、配線305cを「H」とする。このとき、ノード303aの電位は+V、ノード303cの電位は+Vとなる。従って、スイッチ300は非導通となる。これは、第1のコンフィギュレーションデータに切り替わったことになる。
時刻T10に、配線305aを「H」、配線305bを「L」とする。このとき、ノード303aの電位は+2V、ノード303bの電位は0となる。従って、スイッチ300は導通となる。これは、第2のコンフィギュレーションデータに切り替わったことになる。
なお、コンフィギュレーションデータの切り替えは、配線316に入力されるクロック信号のポジティブエッジの時刻T7、T9以降で、極力早い時刻に行う構成が好ましい。より具体的には、時刻T7、T9からフリップフロップのホールド時間だけ経過した後に行う構成が好ましい。このような構成とすることで、PLDの動作を損なうことなく、コンフィギュレーションデータの切り替えが行える。
以上のような構成とすることで、動的コンフィギュレーションにも対応することができる高速なコンフィギュレーションを可能とし、低消費電力で、起動時間が高速なPLDを提供することができる。
また、スイッチが有する第1のトランジスタを酸化物層と酸化物半導体層の多層膜構造とすることにより、トランジスタに安定した動作を付与し、信頼性の優れたPLDを提供することができる。
特に本実施の形態に係るスイッチ300は、第2のトランジスタにp型のトランジスタを用いたことで、「−V」の電位を用いる必要がない。このため、実施の形態1で説明したスイッチ200に比べ、電源電圧の数を削減することができる。一方で、スイッチ300は第2のトランジスタにp型のトランジスタを用いているため、第2のトランジスタとしてn型のトランジスタを用いた実施の形態1に記載のスイッチ200に比べ、一般にスイッチング速度が遅くなるおそれがある。そこで用途に合わせて適宜、スイッチ200又はスイッチ300を選択して用いるとよい。
なお、図6で示したスイッチ300の動作方法においては、ノード303a、303b、303cへのコンフィギュレーションデータの書き込みのために、配線305a、305b、305cの電位を変化させている。しかし、第2のトランジスタ302a、302b、302cのゲート容量がソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合、または第2のトランジスタ302a、302b、302cのゲートに保持容量を別途電気的接続させ、ゲート容量と保持容量とがソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合には、配線305a、305b、305cの電位を変化させずにコンフィギュレーションデータを書き込むことができる。
また、図6で示したスイッチ300の動作方法においては、ノード303a、303b、303cへのコンフィギュレーションデータの書き込みのために、配線317にイネーブル信号0を入力している(ロジックエレメント312の出力を0としている)。しかし、第2のトランジスタ302a、302b、302cのゲート容量がソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合、または第2のトランジスタ302a、302b、302cのゲートに保持容量を別途電気的接続させ、ゲート容量と保持容量とがソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合には、配線317に入力するイネーブル信号を1としたままで(ロジックエレメント312の出力を0とせずに)、コンフィギュレーションデータを書き込むことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示したスイッチ200が第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子からなる組を3組用いているのに対し、3組以上の複数組(以下N組という。ここでNは3以上の整数である。)用いたスイッチ400について、図7を用いて説明する。
すなわち、スイッチ400はPLDにおけるロジックエレメント412とロジックエレメント418との接続を制御する。例えば、図7においては、ロジックエレメント412、ロジックエレメント418はそれぞれ、ルックアップテーブル413、419、フリップフロップ414、420、AND回路415、421により構成することができる。
スイッチ400は、実施の形態1に記載のスイッチ200と同様に、第1のトランジスタにはシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を用いる。第1のトランジスタとして酸化物半導体をチャネル形成領域に用いる。一方第2のトランジスタは、例えばシリコンなどの半導体材料をチャネル形成領域に用いた第1のトランジスタよりも高速にスイッチングが可能なトランジスタを用いるとよい。特に、本実施の形態においては、第2のトランジスタはn型のトランジスタを用いる。
また、第1のトランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に用い、且つ該酸化物半導体と接して設けられる酸化物とを含む多層膜により形成される。このような構成とすることで、第1のトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
図7に示すように、スイッチ400は具体的には、一組目の第1のトランジスタ401a、二組目の第1のトランジスタ401b、N組目の第1のトランジスタ401n(三組目からN−1組目までの第1のトランジスタは記載を省略。)と、一組目の第2のトランジスタ402a、二組目の第2のトランジスタ402b、N組目の第2のトランジスタ402n(三組目からN−1組目までの第2のトランジスタは記載を省略。)と、一組目の容量素子404a、二組目の容量素子404b、N組目の容量素子404n(三組目からN−1組目までの容量素子は記載を省略。)と、を有する。
第1のトランジスタ401a、401b、401nのゲートは、それぞれ配線406a、406b、406nと電気的に接続している。配線406a、406b、406nには書き込み信号が入力される。また、第1のトランジスタ401a、401b、401nのソースは共通の配線407と電気的に接続されている。配線407には書き込みデータ信号が入力される。また、第1のトランジスタ401a、401b、401nのドレインはそれぞれ第2のトランジスタ402a、402b、402nのゲート、及び容量素子404a、404b、404nの一対の電極のうちの一方と電気的に接続されている。第2のトランジスタ402a、402b、402nは互いに電気的に並列接続されている。すなわち、第2のトランジスタ402a、402b、402nのソースは互いに接続され、第2のトランジスタ402a、402b、402nのドレインは互いに接続されている。また第2のトランジスタ402a、402b、402nのソースは配線410を介して、ロジックエレメント412の出力端子に電気的に接続され、第2のトランジスタ402a、402b、402nのドレインは配線411を介して、ロジックエレメント418の入力端子に電気的に接続されている。また、容量素子404a、404b、404nの一対の電極のうちの他方は、それぞれ読み出し信号が入力される配線405a、405b、405nと電気的に接続されている。ここで、第1のトランジスタ401a、401b、401nのドレインと、第2のトランジスタ402a、402b、402nのゲートと、容量素子404a、404b、404nの一対の電極の一方との電気的な接続部位をそれぞれノード403a、403b、403nとする。該ノード403a、403b、403nにコンフィギュレーションデータを記憶させる。
このようにして、本実施の形態に係るスイッチ400は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子のN組(430、431、432を含む)によって構成される。
ロジックエレメント412の出力信号は配線410に出力され、スイッチ400を介して配線411に供給され、ロジックエレメント418の入力信号となる。
なお、スイッチ400の回路動作については、実施の形態1で説明した動作に準じて適宜行うことができる。
このような構成とすることで、複数のコンフィギュレーションデータを格納する記憶装置からの読み出しに要する時間を削減することができる。従って、高速なコンフィギュレーションデータの切り替えが可能なPLDを提供することができる。
また、スイッチが有する第1のトランジスタを酸化物層と酸化物半導体層の多層膜構造とすることにより、トランジスタに安定した動作を付与し、信頼性の優れたPLDを提供することができる。
特に本実施の形態に示すスイッチ400は、同時に複数のコンフィギュレーションデータをスイッチに記憶させておくことができるため、PLDの回路構成を短時間の間に多数変更する場合に有効である。なお、スイッチ400を構成する組の数は、用途に応じて適宜最適な数を選択すればよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1で示したスイッチ200が第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子からなる組を3組用いているのに対し、これらを2組のみとしたスイッチ500について、図8を用いて説明する。
すなわち、スイッチ500はPLDにおけるロジックエレメント512とロジックエレメント518との接続を制御する。例えば、図8においては、ロジックエレメント512、ロジックエレメント518はそれぞれ、ルックアップテーブル513、519、フリップフロップ514、520、AND回路515、521により構成することができる。
スイッチ500は、実施の形態1に記載のスイッチ200と同様に、第1のトランジスタにはシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を用いる。第1のトランジスタとして酸化物半導体をチャネル形成領域に用いる。一方第2のトランジスタは、例えばシリコンなどの半導体材料をチャネル形成領域に用いた第1のトランジスタよりも高速にスイッチングが可能なトランジスタを用いるとよい。特に、本実施の形態においては、第2のトランジスタはn型のトランジスタを用いる。
また、第1のトランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に用い、且つ該酸化物半導体と接して設けられる酸化物とを含む多層膜により形成される。このような構成とすることで、第1のトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
図8に示すように、スイッチ500は具体的には、第1のトランジスタ501a、501bと、第2のトランジスタ502a、502bと、容量素子504a、504bとを有する。第1のトランジスタ501a、501bのゲートは、それぞれ配線506a、506bと電気的に接続している。配線506a、506bには書き込み信号が入力される。また、第1のトランジスタ501a、501bのソースは共通の配線507と電気的に接続されている。配線507には書き込みデータ信号が入力される。また、第1のトランジスタ501a、501bのドレインはそれぞれ第2のトランジスタ502a、502bのゲート、及び容量素子504a、504bの一対の電極のうちの一方と電気的に接続されている。第2のトランジスタ502a、502bは互いに電気的に並列接続されている。すなわち、第2のトランジスタ502a、502bのソースは互いに接続され、第2のトランジスタ502a、502bのドレインは互いに接続されている。また第2のトランジスタ502a、502bのソースは配線510を介して、ロジックエレメント512の出力端子に電気的に接続され、第2のトランジスタ502a、502bのドレインは配線511を介して、ロジックエレメント518の入力端子に電気的に接続されている。また、容量素子504a、504bの一対の電極のうちの他方は、それぞれ読み出し信号が入力される配線505a、505bと電気的に接続されている。ここで、第1のトランジスタ501a、501bのドレインと、第2のトランジスタ502a、502bのゲートと、容量素子504a、504bの一対の電極の一方との電気的な接続部位をそれぞれノード503a、503bとする。該ノード503a、503bにコンフィギュレーションデータを記憶させる。
このようにして、本実施の形態に係るスイッチ500は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び容量素子の2組530、531によって構成される。
ロジックエレメント512の出力信号は配線510に出力され、スイッチ500を介して配線511に供給され、ロジックエレメント518の入力信号となる。
このような構成とすることで、複数のコンフィギュレーションデータを格納する記憶装置からの読み出しに要する時間を削減することができる。従って、高速なコンフィギュレーションデータの切り替えが可能なPLDを提供することができる。
特に本実施の形態に示すスイッチ500は、その回路動作については、実施の形態1で説明した動作に準じて適宜行うことができるが、組530及び531のうち、選択されていない方の組のコンフィギュレーションデータを、他方が選択されている期間に変更することができる。このため、選択されていない他の組のコンフィギュレーションデータを順次設定し直すことで、スイッチが2組からなる構成であってもPLDを実現させることが可能となる。
また、スイッチが有する第1のトランジスタを酸化物層と酸化物半導体層の多層膜構造とすることにより、トランジスタに安定した動作を付与し、信頼性の優れたPLDを提供することができる。
なお、本実施の形態に示すスイッチ500において、図8に示すように、配線510と配線511との間にトランジスタ540を設け、コンフィギュレーションデータをノード503a、503bに書き込む際に、ロジックエレメント512とロジックエレメント518とを短絡させておいてもよい。このような構成とすることで、ノード503a、503bは安定してコンフィギュレーションデータを記憶することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1で示したスイッチ200に用いた容量素子を用いず、また第3のトランジスタを用いたスイッチ600について、図9及び図10を用いて説明する。
(スイッチ600の回路構成)
図9に、本実施の形態に係るスイッチ600を示す。すなわち、スイッチ600はPLDにおけるロジックエレメント612とロジックエレメント618との接続を制御する。例えば、図9においては、ロジックエレメント612、ロジックエレメント618はそれぞれ、ルックアップテーブル613、619、フリップフロップ614、620、AND回路615、621により構成することができる。
スイッチ600は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタの組を3組有する回路により構成される。第1のトランジスタにはシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を用いる。第1のトランジスタとして酸化物半導体をチャネル形成領域に用いる。一方第2のトランジスタ及び第3のトランジスタは、例えばシリコンなどの半導体材料をチャネル形成領域に用いた第1のトランジスタよりも高速にスイッチングが可能なトランジスタを用いるとよい。特に、本実施の形態においては、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタにはn型のトランジスタを用いる。
また、第1のトランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に用い、且つ該酸化物半導体と接して設けられる酸化物とを含む多層膜により形成される。このような構成とすることで、第1のトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
図9に示すように、スイッチ600は具体的には、第1のトランジスタ601a、601b、601cと、第2のトランジスタ602a、602b、602cと、第3のトランジスタ608a、608b、608cとを有する。第1のトランジスタ601a、601b、601cのゲートは、それぞれ配線606a、606b、606cと電気的に接続している。配線606a、606b、606cには書き込み信号が入力される。また、第1のトランジスタ601a、601b、601cのソースは共通の配線607と電気的に接続されている。配線607には書き込みデータ信号が入力される。また、第1のトランジスタ601a、601b、601cのドレインはそれぞれ第2のトランジスタ602a、602b、602cのゲートと電気的に接続されている。さらに第2のトランジスタ602a、602b、602cのドレインは、第3のトランジスタ608a、608b、608cのソースとそれぞれ電気的に接続している。よって、第2のトランジスタ602a、602b、602cと第3のトランジスタ608a、608b、608cは、それぞれ電気的に直列接続している。また、第3のトランジスタ608a、608b、608cのドレインは、互いに接続されている。また第2のトランジスタ602a、602b、602cのソースは配線610を介して、ロジックエレメント612の出力端子に電気的に接続され、第3のトランジスタ608a、608b、608cのドレインは配線611を介して、ロジックエレメント618の入力端子に電気的に接続されている。ここで、第1のトランジスタ601a、601b、601cのドレインと、第2のトランジスタ602a、602b、602cのゲートとの電気的な接続部位をそれぞれノード603a、603b、603cとする。該ノード603a、603b、603cにコンフィギュレーションデータを記憶させる。
このようにして、本実施の形態に係るスイッチ600は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタの3組630、631、632によって構成される。
ロジックエレメント612の出力信号は配線610に出力され、スイッチ600を介して配線611に供給され、ロジックエレメント618の入力信号となる。
配線606a、606b、606cの電位を「H(High)」とし、配線607に「H」又は「L(Low)」に対応する電位を供給すると、ノード603a、603b、603cに、配線607の電位に対応した電荷量を蓄積することができる。なお、このとき配線610、配線611の少なくとも一方は、「L」とすることが好ましい。
ここで第1のトランジスタ601a、601b、601cにオフ電流が極めて低いトランジスタを用いることで、配線606a、606b、606cを「L」としている間はノード603a、603b、603cに蓄積された電荷量を一定に保つことができる。すなわち、入力されたデータを記憶させることができる。また、配線606a、606b、606cを「L」とし、配線605a、605b、605cを「H」として第3のトランジスタ608a、608b、608cを導通状態とすることで、ノード603a、603b、603cに蓄積された電荷量に応じた第2のトランジスタ602a、602b、602cの導通状態がスイッチ600の導通状態を決定する。すなわち、配線605a、605b、605cのいずれか一を選択することで、ノード603a、603b、603cに蓄積された電荷量に応じてスイッチ600の導通状態を瞬時に切り換えることができる。
ここで、ノード603a、603b、603cに蓄積された電荷量をそれぞれ第1のコンフィギュレーションデータ、第2のコンフィギュレーションデータ、第3のコンフィギュレーションデータに対応させることで、配線605a、605b、605cの切り換えによりコンフィギュレーションデータの切り換えが可能となる。
このような構成とすることで、複数のコンフィギュレーションデータを格納する記憶装置からの読み出しに要する時間を削減することができる。従って、高速なコンフィギュレーションデータの切り替えが可能なPLDを提供することができる。
なお、スイッチ600を経由することによりスイッチの抵抗に応じた信号の電位の低下が生ずる場合がある。これを防止するためのラッチの配置については、実施の形態1で説明した構成に準ずる。
(スイッチ600の回路動作)
次に、図9で示したスイッチ600の回路の動作方法について、図10に示すタイミングチャートを用いてその一例を説明する。
ここで、一例として、配線606a、606b、606cが「H」の場合の電位を+V、「L」の場合の電位を0とする。また、配線605a、605b、605cが「H」の場合の電位を+V、「L」の場合の電位を0とする。配線607が「H」の場合の電位を+Vとし、「L」の場合の電位を0とする。また、配線616、617、610、611がそれぞれ「H」の場合の電位を+Vとし、「L」の場合の電位を0とする。
初期状態として、配線605cが「H」、ノード603cの電位が+Vの場合を考える。すなわち、第3のコンフィギュレーションデータにしたがって、スイッチ600の導通が決められており、さらに、スイッチ600が導通している状態を初期状態とする。また、初期状態で、ノード603a、ノード603bの電位が0とする。
まず、コンフィギュレーションデータの書き込み(時刻T1〜T6)について説明する。
時刻T2に、配線606aを「H」、配線617を「L」、配線607を「L」とする。このとき、ノード603aの電位は0となる。これは、スイッチ600を非導通とする電位に相当する。すなわち、第1のコンフィギュレーションデータとして、「L」を格納したことに相当する。なお、ロジックエレメント612の出力は「L」である。
時刻T3に、配線606aを「L」とする。このとき、ノード603aの電位は0となる。
時刻T5に、配線606bを「H」、配線617を「L」、配線607を「H」とする。このとき、ノード603bの電位は+Vとなる。これは、スイッチ600を導通とする電位に相当する。すなわち、第2のコンフィギュレーションデータとして、「H」を格納したことに相当する。なお、ロジックエレメント612の出力は「L」である。
時刻T6に、配線606bを「L」とする。このとき、ノード603bの電位は+Vである。
なお、コンフィギュレーションデータの書き込みは、配線616に入力されるクロック信号のポジティブエッジの時刻T1、T4以降で、極力早い時刻から極力短時間で終了する構成が好ましい。より具体的には、時刻T1、T4からフリップフロップのホールド時間だけ経過した後に始める構成が好ましい。このような構成とすることで、PLDの動作を損なうことなく、コンフィギュレーションデータの書き換えが行える。
次に、コンフィギュレーションデータの切り替え(時刻T7〜T10)について説明する。
時刻T8に、配線605aを「H」、配線605cを「L」とする。このとき、ノード603aの電位は0、ノード603cの電位は+Vである。従って、スイッチ600は非導通となる。これは、第1のコンフィギュレーションデータに切り替わったことになる。
時刻T10に、配線605aを「L」、配線605bを「H」とする。このとき、ノード603aの電位は0、ノード603bの電位は+Vである。従って、スイッチ600は導通となる。これは、第2のコンフィギュレーションデータに切り替わったことになる。
なお、コンフィギュレーションデータの切り替えは、配線616に入力されるクロック信号のポジティブエッジの時刻T7、T9よりも後で、極力早い時刻に行う構成が好ましい。より具体的には、時刻T7、T9からフリップフロップのホールド時間だけ経過した後に行う構成が好ましい。このような構成とすることで、PLDの動作を損なうことなく、コンフィギュレーションデータの切り替えが行える。
以上のような構成とすることで、動的コンフィギュレーションにも対応することができる高速なコンフィギュレーションを可能とし、低消費電力で、起動時間が高速なPLDを提供することができる。
また、スイッチが有する第1のトランジスタを酸化物層と酸化物半導体層の多層膜構造とすることにより、トランジスタに安定した動作を付与し、信頼性の優れたPLDを提供することができる。
なお、図10で示したスイッチ600の動作方法においては、ノード603a、603b、603cへのコンフィギュレーションデータの書き込みのために、配線617にイネーブル信号0を入力している(ロジックエレメント612の出力を0としている)。しかし、第2のトランジスタ602a、602b、602cのゲート容量がソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合、または第2のトランジスタ602a、602b、602cのゲートに保持容量を別途電気的接続させ、ゲート容量と保持容量とがソース−ゲート間及びドレイン−ゲート間の容量よりも十分に大きい場合には、配線617に入力するイネーブル信号を1としたままで(ロジックエレメント612の出力を0とせずに)、コンフィギュレーションデータを書き込むことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、PLDが有するロジックアレイにおける、複数のスイッチの電気的な接続態様について、その一例を図11を用いて説明する。
実施の形態1で説明したように、ロジックアレイは複数のロジックエレメントや配線、スイッチの配列により構成されている。図11は、ロジックアレイにおいて、このうちスイッチ60のみを抽出した概念図である。スイッチ60は、例えば実施の形態1で説明したスイッチ200のように第1のトランジスタ61a、61b、61c、第2のトランジスタ62a、62b、62c、容量素子66a、66b、66cを有している。
ここで、スイッチ60の各第1のトランジスタ61a、61b、61cのソースに電気的に接続する配線63_1は、垂直方向に配列するスイッチ60と共通の配線である。配線63_2についても同様に、垂直方向に配列するスイッチ60との電気的接続において共有する。
一方、スイッチ60の第1のトランジスタ61a、61b、61cのゲートに接続する配線64_1a、64_1b、64_1c、64_2a、64_2b、64_2cは、水平方向に配列するスイッチ60どうしで共有する。
本実施の形態におけるスイッチの電気的接続関係においては、それぞれのスイッチ60における第1のトランジスタ61a、61b、61cを介したコンフィギュレーションデータの書き込みは、64_1c、64_1b、64_1a、64_2c、64_2b、64_2aの順に配線を選択することで、上の行の第1のトランジスタから順次導通状態にし、配線63_1、63_2を用いてコンフィギュレーションデータを書き込んでいく。
また、容量素子66a、66b、66cの一方の電極とそれぞれ電気的に接続する配線65_1a、65_1b、65_1c、65_2a、65_2b、65_2cは、水平方向のスイッチ60と共有され、さらに配線65a、65b、65cにより垂直方向のスイッチ60とも共有されている。従って、スイッチ60が有する3組の組ごとに、それぞれ容量素子の電極の一方が電気的に接続されているため、配線65a、65b、65cのいずれかを選択することで、3組のうち共通した任意の一組に記憶されたコンフィギュレーションデータを同時に読み出すことができる。
なお、上記のような構成をブロック単位に分割し、ブロックごとに読み出し、書き込み等の処理を行ってもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、他の実施の形態におけるロジックエレメントが有するルックアップテーブル(LUT)の構成例について説明する。LUTは複数のマルチプレクサを用いて構成することができる。そして、複数のマルチプレクサの入力端子及び制御端子のうちのいずれかにコンフィギュレーションデータが入力される構成とすることができる。
図13(A)に、ロジックエレメントが有するLUT30の一態様を示す。
図13(A)において、LUT30は、2入力のマルチプレクサを7つ(マルチプレクサ31、マルチプレクサ32、マルチプレクサ33、マルチプレクサ34、マルチプレクサ35、マルチプレクサ36、マルチプレクサ37)用いて構成されている。マルチプレクサ31乃至マルチプレクサ34の各入力端子が、LUT30の入力端子M1乃至M8に相当する。
マルチプレクサ31乃至マルチプレクサ34の各制御端子は電気的に接続されており、上記制御端子が、LUT30の入力端子IN3に相当する。マルチプレクサ31の出力端子、及びマルチプレクサ32の出力端子は、マルチプレクサ35の2つの入力端子と電気的に接続され、マルチプレクサ33の出力端子、及びマルチプレクサ34の出力端子は、マルチプレクサ36の2つの入力端子と電気的に接続されている。マルチプレクサ35及びマルチプレクサ36の各制御端子は電気的に接続されており、上記制御端子が、LUT30の入力端子IN2に相当する。マルチプレクサ35の出力端子、及びマルチプレクサ36の出力端子は、マルチプレクサ37の2つの入力端子と電気的に接続されている。マルチプレクサ37の制御端子は、LUT30の入力端子IN1に相当する。マルチプレクサ37の出力端子がLUT30の出力端子OUTに相当する。
入力端子M1乃至入力端子M8のいずれかに、コンフィギュレーションメモリからコンフィギュレーションデータを入力することによって、LUT30によって行われる論理演算の種類を定めることができる。
例えば、図13(A)のLUT30において、入力端子M1乃至入力端子M8に、デジタル値が”0”、”1”、”0”、”1”、”0”、”1”、”1”、”1”であるコンフィギュレーションデータをそれぞれ入力した場合、図13(C)に示す等価回路の機能を実現することができる。
図13(B)に、ロジックエレメントが有するLUT40の一態様を示す。
図13(B)において、LUT40は、2入力のマルチプレクサを3つ(マルチプレクサ41、マルチプレクサ42、マルチプレクサ43)と、2入力のOR回路44とを用いて構成されている。マルチプレクサ41及びマルチプレクサ42の各入力端子が、LUT40の入力端子M1乃至入力端子M4に相当する。マルチプレクサ41の制御端子は、LUT40の入力端子IN1に相当する。マルチプレクサ42の制御端子は、LUT40の入力端子IN2に相当する。マルチプレクサ41の出力端子、及びマルチプレクサ42の出力端子は、マルチプレクサ43の2つの入力端子と電気的に接続されている。OR回路44の2つの入力端子はそれぞれ、LUT40の入力端子IN3、IN4に相当し、OR回路44の出力がマルチプレクサ43の制御端子に入力されている。マルチプレクサ43の出力端子がLUT40の出力端子OUTに相当する。
入力端子M1乃至入力端子M4、及び入力端子IN1乃至入力端子IN4のいずれかに、コンフィギュレーションデータを入力することによって、LUT40によって行われる論理演算の種類を定めることができる。
例えば、図13(B)のLUT40において、入力端子M1、入力端子M3、入力端子M4、入力端子IN2、入力端子IN4に、デジタル値が”0”、”1”、”0”、”0”、”0”であるコンフィギュレーションデータをそれぞれ入力した場合、図13(C)に示す等価回路の機能を実現することができる。
なお、図13(A)及び図13(B)では、2入力のマルチプレクサを用いて構成したLUT30、LUT40の例を示したが、より多くの入力のマルチプレクサを用いて構成したLUT30、LUT40であっても良い。
また、LUT30、LUT40は、マルチプレクサの他に、ダイオード、抵抗素子、論理回路(あるいは論理素子)、スイッチのいずれかまたは全てを更に有していても良い。論理回路(あるいは論理素子)としては、バッファ、インバータ、NAND回路、NOR回路、スリーステートバッファ、クロックドインバータ等を用いることができる。スイッチとしては、例えばアナログスイッチ、トランジスタ等を用いることができる。
また、図13(A)や図13(B)に示したLUT30、LUT40を用いて、図13(C)の様な3入力1出力の論理演算を行う場合について示したがこれに限定されない。LUT30、LUT40及び入力するコンフィギュレーションデータを適宜定めることによって、より多くの入力、多くの出力の論理演算を実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したスイッチが有する第1のトランジスタに用いることのできる多層膜の構造について図14を用いて説明する。
図14に示す多層膜706は、酸化物層706aと、酸化物層706a上に設けられた酸化物半導体層706bと、酸化物半導体層706b上に設けられた酸化物層706cと、を有する。なお、以下では多層膜706が三層である場合について説明するが、多層膜706が二層または四層以上であっても構わない。例えば、多層膜706は、酸化物層706aと、酸化物層706a上に設けられた酸化物半導体層706bと、を有する。または、多層膜706は、酸化物半導体層706bと、酸化物半導体層706b上に設けられた酸化物層706cと、を有する。
ここで、多層膜706のバンド構造について、図15および図16を用いて説明する。
なお、酸化物層706aとしてエネルギーギャップが3.15eVであるIn−Ga−Zn酸化物を用い、酸化物半導体層706bとしてエネルギーギャップが2.8eVであるIn−Ga−Zn酸化物を用い、酸化物層706cとして酸化物層706aと同様の物性を有する酸化物層を用いた。また、酸化物層706aと酸化物半導体層706bとの界面近傍のエネルギーギャップを3eVとし、酸化物層706cと酸化物半導体層706bとの界面近傍のエネルギーギャップを3eVとした。エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定した。また、酸化物層706aの厚さを10nm、酸化物半導体層706bの厚さを10nm、酸化物層706cの厚さを10nmとした。
図15(A)は、多層膜706を酸化物層706cからエッチングしつつ、各層の真空準位と価電子帯上端のエネルギー差を測定し、その値をプロットした図である。真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(ULVAC−PHI社 VersaProbe)を用いて測定した。
図15(B)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差から、各層のエネルギーギャップを引くことで、真空準位と伝導帯下端のエネルギー差を算出し、プロットした図である。
図15(B)を模式的に示したバンド構造の一部が、図16(A)である。図16(A)では、酸化物層706aおよび酸化物層706cと接して酸化シリコン膜を設けた場合について説明する。ここで、EcI1は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS1は酸化物層706aの伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS2は酸化物半導体層706bの伝導帯下端のエネルギーを示し、EcS3は酸化物層706cの伝導帯下端のエネルギーを示し、EcI2は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを示す。
図16(A)に示すように、酸化物層706a、酸化物半導体層706bおよび酸化物層706cにおいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物層706a、酸化物半導体層706bおよび酸化物層706c間で、酸素が相互に拡散するためである。
このように、主成分を共通として積層された酸化物半導体層及び酸化物層は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸構造)が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面に酸化物半導体にとってトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位、あるいはキャリアの流れを阻害するバリアを形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体層及び酸化物層の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各層を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(1×10−4Pa〜5×10−7Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体(とくに、炭素成分または水化合物を含む気体)が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度真性酸化物半導体を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタガスの高純度化も必要である。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
なお、図16(A)では酸化物層706aおよび酸化物層706cが同様の物性を有する酸化物層である場合について示したが、酸化物層706aおよび酸化物層706cが異なる物性を有する酸化物層であっても構わない。例えば、EcS3よりもEcS1が高いエネルギーを有する場合、バンド構造の一部は、図16(B)のように示される。また、図16に示さないが、EcS1よりもEcS3が高いエネルギーを有しても構わない。
ここで、図16(B)に示すバンド構造において、例えば、酸化シリコン膜(伝導帯下端のエネルギーEcI2)をゲート絶縁膜、当該ゲート絶縁膜より左側にゲート電極がある構造を仮定すると、図16(B)に示すようにEcS1>EcS3となる伝導帯下端のエネルギーを有する構造が好ましい。なぜなら、ゲート電極側であるEcS3近傍のEcS2を電流が主に流れるためである。
また、酸化シリコン膜を挟んで酸化物層706cとゲート電極を配置する場合、酸化シリコン膜はゲート絶縁膜として機能し、酸化物半導体層706bに含まれるインジウムがゲート絶縁膜に拡散することを酸化物層706cによって防ぐことができる。酸化物層706cによってインジウムの拡散を防ぐためには、酸化物層706cは、酸化物半導体層706bに含まれるインジウムの量よりも少なくすることが好ましい。
図15および図16より、多層膜706の酸化物半導体層706bがウェル(井戸)となり、多層膜706を用いたトランジスタにおいて、チャネルが酸化物半導体層706bに形成されることがわかる。なお、多層膜706は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸(U Shape Well)とも呼べる。
なお、図17に示すように、酸化物層706aおよび酸化物層706cと、酸化シリコン膜などの絶縁膜との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物層706aおよび酸化物層706cがあることにより、酸化物半導体層706bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。ただし、EcS1またはEcS3と、EcS2とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体層706bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、絶縁膜界面にマイナスの電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
従って、EcS1およびEcS3と、EcS2とのエネルギー差を、それぞれ0.1eV以上、好ましくは0.15eV以上とすると、トランジスタのしきい値電圧の変動が低減され、安定した電気特性となるため、好ましい。
次に、酸化物半導体膜の構造について説明する。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
なお、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
なお、CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm2以上、5μm2以上または1000μm2以上となる結晶領域が観察される場合がある。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態においては、結晶部を有する酸化物半導体層706bを成膜するための成膜装置について、図18乃至図20を用いて説明する。また、該成膜装置を用いた酸化物半導体層の成膜方法について説明する。
まずは、成膜時に膜中に不純物の入り込みが少ない成膜装置の構成について図18を用いて説明する。
図18(A)は、マルチチャンバーの成膜装置の上面図を模式的に示している。該成膜装置は、基板を収容するカセットポート74を3つ有する大気側基板供給室71と、ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bと、搬送室73と、搬送室73aと、搬送室73bと、基板加熱室75と、成膜室70aと、成膜室70bと、を有する。大気側基板供給室71は、ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bと接続する。ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bは、搬送室73a及び搬送室73bを介して搬送室73と接続する。基板加熱室75、成膜室70a、および成膜室70bは、搬送室73とのみ接続する。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ(図中斜線のハッチング)が設けられており、大気側基板供給室71を除き各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板供給室71および搬送室73は、一以上の基板搬送ロボット76を有し、ガラス基板を搬送することができる。ここで、基板加熱室75は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。枚葉式マルチチャンバーの成膜装置は、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができる。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室および基板加熱室の数は、上述の数に限定されるわけではなく、設置スペースやプロセスに併せて適宜決めればよい。
図18(B)は、図18(A)と構成の異なるマルチチャンバーの成膜装置である。該成膜装置は、カセットポート84を有する大気側基板供給室81と、ロード/アンロードロック室82と、搬送室83と、基板加熱室85と、成膜室80aと、成膜室80bと、成膜室80cと、成膜室80dと、を有する。大気側基板供給室81、基板加熱室85、成膜室80a、成膜室80b、成膜室80cおよび成膜室80dは、搬送室83を介してそれぞれ接続される。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ(図中斜線のハッチング)が設けられており、大気側基板供給室81を除き各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板供給室81および搬送室83は一以上の基板搬送ロボット86を有し、ガラス基板を搬送することができる。
ここで、図19を用いて図18(B)に示す成膜室(スパッタリング室)の詳細について説明する。図19(A)に示す成膜室80bは、ターゲット87と、防着板88と、基板ステージ90と、を有する。なお、ここでは基板ステージ90には、ガラス基板89が設置されている。基板ステージ90は、図示しないが、ガラス基板89を保持する基板保持機構や、ガラス基板89を裏面から加熱する裏面ヒーター等を備えていても良い。また、防着板88は、ターゲット87からスパッタリングされる粒子が不要な領域に推積することを抑制できる。
また、図19(A)に示す成膜室80bは、ゲートバルブを介して、搬送室83と接続しており、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。搬送室83には、基板搬送ロボット86が設けられており、成膜室80bとロード/アンロードロック室82とのガラス基板の受け渡しを行うことができる。また、ロード/アンロードロック室82は、一つの真空チャンバー内で上下に分かれており、いずれか一方をロード室として用い、他方をアンロード室として用いることができる。このような構造とすることで、スパッタリング装置の設置面積を縮小することができるので、好適である。
また、図19(A)に示す成膜室80bは、マスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。なお、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。成膜室80bなどに導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いる。露点の低い酸素ガス、希ガス(アルゴンガスなど)などを用いることで、成膜時に混入する水分を低減することができる。
また、図19(A)に示す成膜室80bは、バルブを介してクライオポンプ95aと接続され、搬送室83は、バルブを介してクライオポンプ95bと接続され、ロード/アンロードロック室82は、バルブを介して真空ポンプ96と接続される。なお、ロード/アンロードロック室82は、ロードロック室、アンロードロック室をそれぞれ独立して真空ポンプと接続してもよい。また、成膜室80bおよび搬送室83は、それぞれバルブを介して真空ポンプ96と接続される。
なお、真空ポンプ96は、例えば、ドライポンプおよびメカニカルブースターポンプが直列に接続されたものとすればよい。このような構成とすることで、成膜室80bおよび搬送室83は、大気圧から低真空(0.1Pa〜10Pa程度)までは真空ポンプ96を用いて排気され、バルブを切り替えて低真空から高真空(1×10−4Pa〜1×10−7Pa)まではクライオポンプ95aまたはクライオポンプ95bを用いて排気される。
次に、図19(B)を用いて、図18(B)に示す成膜室の一例について、図19(A)と異なる態様について説明する。
図19(B)に示す成膜室80bはゲートバルブを介して、搬送室83と接続しており、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。
図19(B)に示す成膜室80bは、ガス加熱機構98を介してマスフローコントローラ97と接続され、ガス加熱機構98はマスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。ガス加熱機構98により、成膜室80bに導入されるガスを40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構98、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。
図19(B)に示す成膜室80bは、バルブを介してターボ分子ポンプ95cおよび真空ポンプ96bと接続される。なお、ターボ分子ポンプ95cは、補助ポンプとしてバルブを介して真空ポンプ96aが設けられる。真空ポンプ96aおよび真空ポンプ96bは真空ポンプ96と同様の構成とすればよい。
また、図19(B)に示す成膜室80bは、クライオトラップ99が設けられる。
ターボ分子ポンプ95cは大きいサイズの分子(または原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低いことが知られる。そこで、水などの比較的融点の高い分子(または原子)に対する排気能力が高い、クライオトラップ99が成膜室80bに接続された構成としている。クライオトラップ99の冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ99が複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。
また、図19(B)に示す搬送室83は、真空ポンプ96b、クライオポンプ95dおよびクライオポンプ95eとそれぞれバルブを介して接続される。クライオポンプが1台の場合、クライオポンプをリジェネしている間は排気することができないが、クライオポンプを2台以上並列に接続することで、1台がリジェネ中であっても残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、クライオポンプのリジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(または原子)を放出する処理をいう。クライオポンプは、分子(または原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネが行われる。
また、図19(B)に示すロード/アンロードロック室82は、クライオポンプ95fおよび真空ポンプ96cとそれぞれバルブを介して接続される。なお、真空ポンプ96cは真空ポンプ96と同様の構成とすればよい。
次に、図20を用いて図18(B)に示す基板加熱室85の詳細について説明する。
図20に示す基板加熱室85は、ゲートバルブを介して、搬送室83と接続している。なお、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。なお、ロード/アンロードロック室82の排気は、図19(A)または図19(B)と同様の構成とすることができる。
図20に示す基板加熱室85は、マスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。なお、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。また、基板加熱室85は、バルブを介して真空ポンプ96bと接続される。
また、基板加熱室85は、基板ステージ92を有する。基板ステージ92は、少なくとも一枚の基板が設置できればよく、複数の基板を設置可能な基板ステージとしても良い。また、基板加熱室85は、加熱機構93を有する。加熱機構93としては、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
なお、成膜室80bおよび基板加熱室85の背圧は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、質量電荷比(m/z)が18である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが28である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが44である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、成膜室80bおよび基板加熱室85は、リークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・m3/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m3/s以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが28である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが44である気体分子(原子)のリークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
なお、真空チャンバー内の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qulee CGM−051を用いればよい。なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧および分圧から導出すればよい。
リークレートは、外部リークおよび内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを上述の数値以下とするために、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要がある。
例えば、成膜室の開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属を用いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどによって被覆された金属の不動態を用いることで、メタルガスケットから放出される不純物を含む放出ガスが抑制され、内部リークを低減することができる。
成膜装置を構成する部材として、不純物を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の部材で鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金を被覆して用いてもよい。鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。
または、前述の成膜装置の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで被覆してもよい。
成膜装置の部材は、極力金属のみで構成することが好ましく、例えば石英などで構成される覗き窓などを設置する場合も、放出ガスを抑制するために表面をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで薄く被覆するとよい。
なお、成膜ガスを導入する直前に精製機を設ける場合、精製機から成膜室までの配管の長さを10m以下、好ましくは5m以下、さらに好ましくは1m以下とする。配管の長さを10m以下、5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。
さらに、成膜ガスの配管には、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで内部が被覆された金属配管を用いるとよい。前述の配管は、例えばSUS316L−EP配管と比べ、不純物を含むガスの放出量が少なく、成膜ガスへの不純物の入り込みを低減できる。また、配管の継手には、高性能超小型メタルガスケット継手(UPG継手)を用いるとよい。また、配管を全て金属で構成することで、樹脂等を用いた場合と比べ、生じる放出ガスおよび外部リークの影響を低減できて好ましい。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないものの、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り脱離し、あらかじめ排気しておくことは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、成膜室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを成膜室に導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。なお、導入する不活性ガスをベーキングの温度と同程度に加熱することで、吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ここで不活性ガスとして希ガスを用いると好ましい。また、成膜する膜種によっては不活性ガスの代わりに酸素などを用いても構わない。例えば、酸化物半導体層を成膜する場合は、主成分である酸素を用いた方が好ましい場合もある。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガスの導入により成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低減することができる。なお、この処理は2回以上30回以下、好ましくは5回以上15回以下の範囲で繰り返し行うと効果的である。具体的には、温度が40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下である不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、好ましくは1Pa以上1kPa以下、さらに好ましくは5Pa以上100Pa以下とし、圧力を保つ期間を1分以上300分以下、好ましくは5分以上120分以下とすればよい。その後、成膜室を5分以上300分以下、好ましくは10分以上120分以下の期間排気する。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基板および成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物および成膜室内壁の吸着物を膜中に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましく、例えば後述する基板700と同様の基板を用いてもよい。ダミー成膜を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体層を成膜することで、酸化物半導体層への不純物の入り込みを抑制できる。さらには、以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体層に接する膜を成膜することで、酸化物半導体層に接する膜から酸化物半導体層へ不純物の入り込みを抑制できる。
次に、上述した成膜装置を用いた酸化物半導体膜(とくに、CAAC−OS)の成膜方法について説明する。
ターゲットは、表面温度が100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温程度(代表的には20℃または25℃)とする。大面積の基板に対応するスパッタリング装置では大面積のターゲットを用いることが多い。ところが、大面積に対応した大きさのターゲットをつなぎ目なく作製することは困難である。現実には複数のターゲットをなるべく隙間のないように並べて大きな形状としているが、どうしても僅かな隙間が生じてしまう。こうした僅かな隙間から、ターゲットの表面温度が高まることでZnなどが揮発し、徐々に隙間が広がっていくことがある。隙間が広がると、バッキングプレートや接着に用いている金属がスパッタリングされることがあり、不純物濃度を高める要因となる。従って、ターゲットは、十分に冷却されていることが好ましい。
具体的には、バッキングプレートとして、高い導電性および高い放熱性を有する金属(具体的にはCu)を用いる。また、バッキングプレート内に水路を形成し、水路に十分な量の冷却水を流すことで、効率的にターゲットを冷却できる。ここで、十分な量の冷却水は、ターゲットの大きさにもよるが、例えば直径が300mmである正円形のターゲットの場合、3L/min以上、5L/min以上または10L/min以上とすればよい。
CAAC−OSは、基板加熱温度を100℃以上600℃以下、好ましくは150℃以上550℃以下、さらに好ましくは200℃以上500℃以下とし、酸素ガス雰囲気で成膜する。CAAC−OSの厚さは、1nm以上40nm以下、好ましくは3nm以上20nm以下とする。成膜時の加熱温度が高いほど、得られるCAAC−OSの不純物濃度は低くなる。また、被成膜面でスパッタリング粒子のマイグレーションが起こりやすくなるため、原子配列が整い、高密度化され、結晶性の高いCAAC−OSが成膜されやすくなる。さらに、酸素ガス雰囲気で成膜することで、プラズマダメージが軽減され、また希ガスなどの余分な原子が含まれないため、結晶性の高いCAAC−OSが成膜されやすくなる。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは100体積%とする。
なお、ターゲットがZnを含む場合、酸素ガス雰囲気で成膜することにより、プラズマダメージが軽減され、Znの揮発が起こりにくいCAAC−OSを得ることができる。
CAAC−OSは、成膜圧力を0.8Pa以下、好ましくは0.4Pa以下とし、ターゲットと基板との距離を40mm以下、好ましくは25mm以下として成膜する。このような条件でCAAC−OSを成膜することで、スパッタリング粒子と、別のスパッタリング粒子、ガス分子またはイオンとが衝突する頻度を下げることができる。即ち、成膜圧力に応じてターゲットと基板との距離をスパッタリング粒子、ガス分子またはイオンの平均自由行程よりも小さくすることで膜中に取り込まれる不純物濃度を低減できる。
例えば、圧力を0.4Pa、温度を25℃(絶対温度を298K)における平均自由行程は、水素分子(H2)が48.7mm、ヘリウム原子(He)が57.9mm、水分子(H2O)が31.3mm、メタン分子(CH4)が13.2mm、ネオン原子(Ne)が42.3mm、窒素分子(N2)が23.2mm、一酸化炭素分子(CO)が16.0mm、酸素分子(O2)が26.4mm、アルゴン原子(Ar)が28.3mm、二酸化炭素分子(CO2)が10.9mm、クリプトン原子(Kr)が13.4mm、キセノン原子(Xe)が9.6mmである。なお、圧力が2倍になれば平均自由行程は2分の1になり、絶対温度が2倍になれば平均自由行程は2倍になる。
平均自由行程は、圧力、温度および分子(原子)の直径から決まる。圧力および温度を一定とした場合は、分子(原子)の直径が大きいほど平均自由行程は短くなる。なお、各分子(原子)の直径は、H2が0.218nm、Heが0.200nm、H2Oが0.272nm、CH4が0.419nm、Neが0.234nm、N2が0.316nm、COが0.380nm、O2が0.296nm、Arが0.286nm、CO2が0.460nm、Krが0.415nm、Xeが0.491nmである。
従って、分子(原子)の直径が大きいほど、平均自由行程が短くなり、かつ膜中に取り込まれた際には、分子(原子)の直径が大きいために結晶化度を低下させる。そのため、例えば、Ar以上の直径を有する分子(原子)は不純物になりやすいといえる。
次に、加熱処理を行う。加熱処理は、減圧下、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行う。加熱処理により、CAAC−OS中の不純物濃度を低減することができる。
加熱処理は、減圧下または不活性雰囲気で加熱処理を行った後、温度を保持しつつ酸化性雰囲気に切り替えてさらに加熱処理を行うと好ましい。これは、減圧下または不活性雰囲気にて加熱処理を行うと、CAAC−OS中の不純物濃度を低減することができるが、同時に酸素欠損も生じてしまうためであり、このとき生じた酸素欠損を、酸化性雰囲気での加熱処理により低減することができる。
CAAC−OSは、成膜時の基板加熱に加え、加熱処理を行うことで、膜中の不純物濃度を低減することが可能となる。
具体的には、CAAC−OS中の水素濃度は、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とすることができる。
また、CAAC−OS中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とすることができる。
また、CAAC−OS中の炭素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とすることができる。
また、CAAC−OSは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析によるm/zが2(水素分子など)である気体分子(原子)、m/zが18である気体分子(原子)、m/zが28である気体分子(原子)およびm/zが44である気体分子(原子)の放出量が、それぞれ1×1019個/cm3以下、好ましくは1×1018個/cm3以下とすることができる。
なお、TDS分析にて放出量を測定する方法については、後述の酸素原子の放出量の測定方法についての記載を参照する。
以上のようにして、結晶性の高いCAAC−OSを成膜することができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したスイッチが有する第1のトランジスタの一態様について説明する。
本実施の形態においては、ボトムゲート型トランジスタの一種であるボトムゲートトップコンタクト構造(BGTC構造)のトランジスタについて図21を用いて説明する。
図21に、BGTC構造であるトランジスタの上面図および断面図を示す。図21(A)は、トランジスタの上面図を示す。図21(A)において、一点鎖線A1−A2に対応する断面図を図21(B)に示す。また、図21(A)において、一点鎖線A3−A4に対応する断面図を図21(C)に示す。
図21(B)に示すトランジスタは、基板700上に設けられたゲート電極704と、ゲート電極704上に設けられたゲート絶縁膜712と、ゲート絶縁膜712上に設けられた多層膜706と、ゲート絶縁膜712および多層膜706上に設けられたソース電極716aおよびドレイン電極716bと、多層膜706、ソース電極716aおよびドレイン電極716b上に設けられた保護絶縁膜718と、を有する。また、図21(B)において、多層膜706は、酸化物層706aと、酸化物層706a上に設けられた酸化物半導体層706bと、酸化物半導体層706b上に設けられた酸化物層706cを含む構成で形成されている。
なお、ソース電極716aおよびドレイン電極716bは、酸化物半導体層706bの側端部と接して設けられると良い。
また、図21(B)に示すように、ソース電極716aおよびドレイン電極716bに用いる導電膜の種類によっては、酸化物層706cの一部から酸素を奪い、ソース領域706dおよびドレイン領域706eを形成することがある。
図21(A)において、ゲート電極704と重なる領域において、ソース電極716aとドレイン電極716bとの間隔をチャネル長という。ただし、トランジスタが、ソース領域706dおよびドレイン領域706eを含む場合、ゲート電極704と重なる領域において、ソース領域706dとドレイン領域706eとの間隔をチャネル長といってもよい。
なお、チャネル形成領域とは、多層膜706において、ゲート電極704と重なり、かつソース電極716aとドレイン電極716bとに挟まれる領域をいう(図21(B)参照)。また、チャネルとは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる領域をいう。ここでは、チャネルは、チャネル形成領域中の酸化物半導体層706b部分である。
以下では、多層膜706、ならびに多層膜706を構成する酸化物層706a、酸化物半導体層706bおよび酸化物層706cについて説明する。
酸化物層706aは、酸化物半導体層706bを構成する元素一種または二種以上から構成され、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層706bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真空準位に近い酸化物層である。なお、酸化物半導体層706bは少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度が高くなるため好ましい。このとき、ゲート電極704に電界を印加すると、多層膜706のうち、伝導帯下端のエネルギーが小さい酸化物半導体層706bにチャネルが形成される。即ち、酸化物半導体層706bとゲート絶縁膜712との間に酸化物層706aを有することによって、トランジスタのチャネルをゲート絶縁膜712と接しない酸化物半導体層706bに形成することができる。また、酸化物半導体層706bを構成する元素一種以上から酸化物層706aが構成されるため、酸化物半導体層706bと酸化物層706aとの界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
酸化物層706aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体層706bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
また、酸化物層706cは、酸化物半導体層706bを構成する元素一種または二種以上から構成され、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層706bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真空準位に近い酸化物層である。酸化物半導体層706bを構成する元素一種以上から酸化物層706cが構成されるため、酸化物半導体層706bと酸化物層706cとの界面に界面準位を形成しにくい。該界面が界面準位を有すると、該界面をチャネルとしたしきい値電圧の異なる第2のトランジスタが形成され、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。従って、酸化物層706cを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。
酸化物層706cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。
例えば、酸化物層706a及び酸化物層706cは、酸化物半導体層706bと同じ元素(インジウム、ガリウム、亜鉛)を主成分とし、ガリウムを酸化物半導体層706bよりも高い原子数比で含む酸化物層とすればよい。具体的には、酸化物層706a及び酸化物層706cとして、酸化物半導体層706bよりもガリウムを1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比で含む酸化物層を用いる。ガリウムは酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物層に生じることを抑制する機能を有する。即ち、酸化物層706a及び酸化物層706cは酸化物半導体層706bよりも酸素欠損が生じにくい酸化物層である。
なお、酸化物層706a、酸化物半導体層706bおよび酸化物層706cは、非晶質または結晶質とする。好ましくは、酸化物層706aは非晶質とし、酸化物半導体層706bは結晶質とし、酸化物層706cは非晶質または結晶質とする。チャネルが形成される酸化物半導体層706bが結晶質であることにより、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
以下では、トランジスタのその他の構成について説明する。
基板700に大きな制限はない。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを、基板700として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板700として用いてもよい。
また、基板700によっては、半導体装置の作製工程における加熱処理などで生じる基板700の縮みによって、微細な加工が困難になる場合ある。そのため、基板700は、加熱処理による縮みの小さいものを用いることが好ましい。例えば、基板700として、400℃、好ましくは450℃、さらに好ましくは500℃の温度で1時間加熱処理を行った後の縮み量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下であるガラス基板を用いればよい。
また、基板700として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板700に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。
ゲート電極704は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電膜を、単層で、または積層で用いればよい。
なお、ゲート電極704は、図21(A)に示すように、多層膜706が内側に含まれるように設けられる。こうすることで、基板700側から光が入射した際に、多層膜706中で光によってキャリアが生成されることを抑制することができる。ただし、ゲート電極704の外側まで多層膜706が形成されていても構わない。
ゲート絶縁膜712は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
ゲート絶縁膜712は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)にてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。酸化シリコン層は、過剰酸素を有する酸化シリコン層を用いると好ましい。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。
ソース電極716aおよびドレイン電極716bは、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電膜を、単層で、または積層で用いればよい。なお、ソース電極716aとドレイン電極716bは同一組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
保護絶縁膜718は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
保護絶縁膜718は、例えば、1層目を酸化シリコン層とし、2層目を窒化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
または、保護絶縁膜718は、例えば、1層目を第1の酸化シリコン層718aとし、2層目を第2の酸化シリコン層718bとし、3層目を窒化シリコン層718cとした多層膜とすればよい(図21(D)参照)。この場合、第1の酸化シリコン層718aまたは/および第2の酸化シリコン層718bは酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層718cは窒化酸化シリコン層でも構わない。第1の酸化シリコン層718aは、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。第2の酸化シリコン層718bは、過剰酸素を有する酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層718cは水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
過剰酸素を含む酸化シリコン層とは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコン層をいう。酸化シリコン層を絶縁膜に拡張すると、過剰酸素を有する絶縁膜は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁膜である。
ここで、加熱処理によって酸素を放出する膜は、TDS分析によって1×1018atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以上または1×1020atoms/cm3以上の酸素(酸素原子数に換算)を放出することもある。
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、および測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、数式(1)で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてほかにCH3OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。数式(1)の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016atoms/cm2の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
または、加熱処理によって酸素を放出する膜は、過酸化ラジカルを含むこともある。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm3以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む膜は、ESRにて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有することもある。
または、過剰酸素を含む絶縁膜は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))は、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、RBSにより測定した値である。
ゲート絶縁膜712および保護絶縁膜718の少なくとも一方が過剰酸素を含む絶縁膜を含む場合、酸化物半導体層706bの酸素欠損を低減することができる。
以上のようにして構成されたトランジスタは、多層膜706の酸化物半導体層706bにチャネルが形成されることにより、安定した電気特性を有し、高い電界効果移動度を有する。
ここで、図21に示すトランジスタの作製方法について、図22及び図23を用いて説明する。
まず、基板700を準備する。
次に、ゲート電極704となる導電膜を成膜する。ゲート電極704となる導電膜は、ゲート電極704として示した導電膜をスパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法またはパルスレーザ堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法を用いて成膜すればよい。
次に、ゲート電極704となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極704を形成する(図22(A)参照)。
次に、ゲート絶縁膜712を成膜する(図22(B)参照)。ゲート絶縁膜712は、ゲート絶縁膜712として示した絶縁膜をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次に、酸化物層706aとなる酸化物層を成膜する。酸化物層706aとなる酸化物層は、酸化物層706aとして示した酸化物層をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次に、酸化物半導体層706bとなる酸化物半導体層を成膜する。酸化物半導体層706bの成膜方法については、先の実施の形態の記載を参酌することで形成することができる。
次に、酸化物層706cとなる酸化物層を成膜する。酸化物層706cとなる酸化物層は、酸化物層706cとして示した酸化物層をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
なお、酸化物層706aとなる酸化物層、酸化物半導体層706bとなる酸化物半導体層および酸化物層706cとなる酸化物層は、大気曝露することなく連続で成膜すると、各界面に不純物が取り込まれることが少なくなり好ましい。
次に、酸化物層706aとなる酸化物層、酸化物半導体層706bとなる酸化物半導体層および酸化物層706cとなる酸化物層の一部をエッチングし、酸化物層706a、酸化物半導体層706bおよび酸化物層706cを含む多層膜706を形成する(図22(C)参照)。
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体層706bの結晶性を高め、さらにゲート絶縁膜712または/および多層膜706から水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、ソース電極716aおよびドレイン電極716bとなる導電膜を成膜する。ソース電極716aおよびドレイン電極716bとなる導電膜は、ソース電極716aおよびドレイン電極716bとして示した導電膜をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次に、ソース電極716aおよびドレイン電極716bとなる導電膜の一部をエッチングし、ソース電極716aおよびドレイン電極716bを形成する(図23(A)参照)。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理の記載を参照して行えばよい。第2の加熱処理により、多層膜706から水素や水などの不純物を除去することができる。なお、水も水素を含む化合物であるため、酸化物半導体層706b中で不純物となり得る。
次に、保護絶縁膜718を成膜する(図23(B)参照)。保護絶縁膜718は、保護絶縁膜718として示した絶縁膜をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
ここで、保護絶縁膜718を図21(D)に示すような3層構造とする場合について説明する。まず、第1の酸化シリコン層718aを成膜する。次に、第2の酸化シリコン層718bを成膜する。次に、第2の酸化シリコン層718bに酸素イオンを添加する処理を行うと好ましい。酸素イオンを添加する処理は、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いればよい。イオンドーピング装置として、質量分離機能を有するイオンドーピング装置を用いてもよい。酸素イオンの原料として、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いればよい。次に、窒化シリコン層718cを成膜することで、保護絶縁膜718を形成すればよい。
次に、第3の加熱処理を行うと好ましい。第3の加熱処理は、第1の加熱処理の記載を参照して行えばよい。第3の加熱処理により、ゲート絶縁膜712または/および保護絶縁膜718から過剰酸素が放出され、多層膜706の酸素欠損を低減することができる。なお、多層膜706中では、酸素欠損が隣接する酸素原子を捕獲していくことで、見かけ上移動する。従って、過剰酸素は、酸化物層706aまたは酸化物層706cを介して酸化物半導体層706bに達することができる。
以上のようにして、BGTC構造のトランジスタを作製することができる。当該トランジスタは、多層膜706の酸化物半導体層706bの酸素欠損が低減されているため、安定した電気特性を有する。
(実施の形態11)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した図21に示すトランジスタと異なる態様のトランジスタについて説明する。
本実施の形態においては、トップゲート型トランジスタの一種であるトップゲートトップコンタクト構造(TGTC構造)のトランジスタについて図24を用いて説明する。
図24に、TGTC構造であるトランジスタの上面図および断面図を示す。図24(A)は、トランジスタの上面図を示す。図24(A)において、一点鎖線B1−B2に対応する断面図を図24(B)に示す。また、図24(A)において、一点鎖線B3−B4に対応する断面図を図24(C)に示す。
図24(B)に示すトランジスタは、基板800上に設けられた下地絶縁膜802と、下地絶縁膜802上に設けられた酸化物層806a、酸化物層806a上に設けられた酸化物半導体層806b、および酸化物半導体層806b上に設けられた酸化物層806cを含む多層膜806と、下地絶縁膜802および多層膜806上に設けられたソース電極816aおよびドレイン電極816bと、多層膜806、ソース電極816aおよびドレイン電極816b上に設けられたゲート絶縁膜812と、ゲート絶縁膜812上に設けられたゲート電極804と、ゲート絶縁膜812およびゲート電極804上に設けられた保護絶縁膜818と、を有する。なお、トランジスタは、下地絶縁膜802または/および保護絶縁膜818を有さなくても構わない。
なお、ソース電極816aおよびドレイン電極816bは、酸化物半導体層806bの側端部と接して設けられると良い。
また、図24(B)に示すように、ソース電極816aおよびドレイン電極816bに用いる導電膜の種類によっては、酸化物層806cの一部から酸素を奪い、ソース領域806dおよびドレイン領域806eを形成することがある。
図24(A)において、ゲート電極804と重なる領域において、ソース電極816aとドレイン電極816bとの間隔をチャネル長という。ただし、トランジスタが、ソース領域およびドレイン領域を含む場合、ゲート電極804と重なる領域において、ソース領域とドレイン領域との間隔をチャネル長といってもよい。
なお、チャネル形成領域とは、多層膜806において、ゲート電極804と重なり、かつソース電極816aとドレイン電極816bとに挟まれる領域をいう。また、チャネルとは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる領域をいう。ここでは、チャネルは、チャネル形成領域中の酸化物半導体層806b部分である。
多層膜806は多層膜706についての記載を参照する。具体的には、酸化物層806aは酸化物層706cについての記載を参照し、酸化物半導体層806bは酸化物半導体層706bについての記載を参照し、酸化物層806cは酸化物層706aについての記載を参照する。
基板800は、基板700についての記載を参照する。また、ソース電極816aおよびドレイン電極816bは、ソース電極716aおよびドレイン電極716bについての記載を参照する。また、ゲート絶縁膜812は、ゲート絶縁膜712についての記載を参照する。また、ゲート電極804は、ゲート電極704についての記載を参照する。また、保護絶縁膜818は、保護絶縁膜718についての記載を参照する。
なお、図24(A)では、多層膜806がゲート電極804よりも外側まで形成されているが、多層膜806中で光によってキャリアが生成されることを抑制するために、ゲート電極804の内側に多層膜806が形成されていても構わない。
下地絶縁膜802は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
下地絶縁膜802は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
または、下地絶縁膜802は、例えば、1層目を第1の窒化シリコン層とし、2層目を第1の酸化シリコン層とし、3層目を第2の酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、第1の酸化シリコン層または/および第2の酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。第1の酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。第2の酸化シリコン層は、過剰酸素を有する酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
ゲート絶縁膜812および下地絶縁膜802の少なくとも一方が過剰酸素を含む絶縁膜を含む場合、酸化物半導体層806bの酸素欠損を低減することができる。
以上のようにして構成されたトランジスタは、多層膜806の酸化物半導体層806bにチャネルが形成されることにより、安定した電気特性を有し、高い電界効果移動度を有する。
ここで、図24に示すトランジスタの作製方法について、図25及び図26を用いて説明する。
まず、基板800を準備する。次に、下地絶縁膜802を成膜する。下地絶縁膜802の膜種等は上述の記載を参照する。
次に、酸化物層806aとなる酸化物層を成膜する。酸化物層806aとなる酸化物層の成膜方法は、酸化物層706cについての記載を参照する。
次に、酸化物半導体層806bとなる酸化物半導体層を成膜する。酸化物半導体層806bとなる酸化物半導体層の成膜方法は、酸化物半導体層706bについての記載を参照する。
次に、酸化物層806cとなる酸化物層を成膜する。酸化物層806cとなる酸化物層の成膜方法は、酸化物層706aについての記載を参照する。
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体層806bとなる酸化物半導体層の結晶性を高め、さらに下地絶縁膜802、酸化物層806aとなる酸化物層、酸化物半導体層806bとなる酸化物半導体層または/および酸化物層806cとなる酸化物層から水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、酸化物層806aとなる酸化物層、酸化物半導体層806bとなる酸化物半導体層および酸化物層806cとなる酸化物層の一部をエッチングし、酸化物層806a、酸化物半導体層806bおよび酸化物層806cを含む多層膜806を形成する(図25(A)参照)。
次に、ソース電極816aおよびドレイン電極816bとなる導電膜を成膜する。ソース電極816aおよびドレイン電極816bとなる導電膜の成膜方法は、ソース電極716aおよびドレイン電極716bについての記載を参照する。
次に、ソース電極816aおよびドレイン電極816bとなる導電膜の一部をエッチングし、ソース電極816aおよびドレイン電極816bを形成する(図25(B)参照)。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理の記載を参照して行えばよい。第2の加熱処理により、多層膜806から水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、ゲート絶縁膜812を成膜する(図25(C)参照)。ゲート絶縁膜812の成膜方法は、ゲート絶縁膜712についての記載を参照する。
次に、ゲート電極804となる導電膜を成膜する。ゲート電極804となる導電膜の成膜方法は、ゲート電極704となる導電膜についての記載を参照する。
次に、ゲート電極804となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極804を形成する(図26(A)参照)。
次に、保護絶縁膜818を成膜する(図26(B)参照)。保護絶縁膜818の成膜方法は、保護絶縁膜718についての記載を参照する。
以上のようにして、トランジスタを作製することができる。当該トランジスタは、多層膜806の酸化物半導体層806bの酸素欠損が低減されているため、安定した電気特性を有する。
(実施の形態12)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したスイッチに、第1のトランジスタ902としてチャネル形成領域に酸化物半導体を用い、第2のトランジスタ901としてチャネル形成領域に単結晶シリコンウェハを用いた場合の断面構造の例、及びその作製方法の例について、図27を用いて説明する。
ただし、スイッチが有する第2のトランジスタ901は、シリコンの他、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、単結晶炭化シリコンなどの半導体材料を用いていても良い。また、例えば、シリコンを用いたトランジスタは、SOI法により作製されたシリコン薄膜、気相成長法により作製されたシリコン薄膜などを用いて形成することができる。この場合、基板にはフュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミック基板等を用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。
図27は、スイッチにおいて一のコンフィギュレーションデータを記憶させる一組の回路構成を断面構造として具現したものを示す図である。この場合、単結晶シリコンウェハを用いて形成された第2のトランジスタ901と、その上階層に酸化物半導体を用いて形成された第1のトランジスタ902、及び容量素子903が形成されている。すなわち、本実施の形態で示すスイッチは、シリコンウェハを基板として、その上層に第1のトランジスタ層が設けられた三次元の積層構造を有する半導体装置であり、また、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタと酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタとを有するハイブリッド型の半導体装置である。
なお、本実施の形態においては、スイッチの一部の構造についてのみ断面を示すが、この積層構造を用いてロジックエレメント等その他の回路構成を作製することができる。したがって、PLD全体を一つの積層構造体として作製することができる。
半導体材料を含む基板900を用いて作製された第2のトランジスタ901は、nチャネル型トランジスタ(NMOSFET)、pチャネル型トランジスタ(PMOSFET)のいずれも用いることができる。図27に示す例においては、第2のトランジスタ901は、STI(Shallow Trench Isolation)905によって他の素子と絶縁分離されている。STI905を用いることにより、LOCOSによる素子分離法で発生した素子分離部のバーズビークを抑制することができ、素子分離部の縮小等が可能となる。一方で、構造の微細化小型化が要求されない半導体装置においてはSTI905の形成は必ずしも必要ではなく、LOCOS等の素子分離手段を用いることもできる。第2のトランジスタ901が形成される基板900には、ボロンやリン、ヒ素等の導電性を付与する不純物が添加されたウェル904が形成されている。
図27における第2のトランジスタ901は、基板900中に設けられたチャネル形成領域と、チャネル形成領域を挟むように設けられた不純物領域906(ソース領域及びドレイン領域ともいう)と、チャネル形成領域上に設けられたゲート絶縁膜907と、ゲート絶縁膜907上にチャネル形成領域と重畳するように設けられたゲート電極層908とを有する。ゲート電極層908は、加工精度を高めるための第1の材料からなるゲート電極層と、配線として低抵抗化を目的とした第2の材料からなるゲート電極層を積層した構造とすることができる。例えば導電性を付与するリン等の不純物を添加した結晶性シリコンとニッケルシリサイドとの積層構造などが挙げられる。しかし、この構造に限らず、適宜要求される仕様に応じて材料、積層数、形状等を調整することができる。
なお、図27に示す第2のトランジスタ901を、フィン型構造のトランジスタとしてもよい。フィン型構造とは、半導体基板の一部を板状の突起形状に加工し、突起形状の長尺方向を交差するようにゲート電極層を設けた構造である。ゲート電極層は、ゲート絶縁膜を介して突起構造の上面及び側面を覆う。第2のトランジスタをフィン型構造のトランジスタとすることで、チャネル幅を縮小してトランジスタの集積化を図ることができる。また、電流を多く流すことができ、加えて制御効率を向上させることができるため、トランジスタのオフ時の電流及びしきい値電圧を低減することができる。
また、基板900中に設けられた不純物領域906には、コンタクトプラグ913、915が接続されている。ここでコンタクトプラグ913、915は、第2のトランジスタ901のソース電極やドレイン電極としても機能する。また、不純物領域906とチャネル形成領域の間には、不純物領域906と異なる不純物領域が設けられていても良い。該不純物領域は、導入された不純物の濃度によって、LDD領域やエクステンション領域としてチャネル形成領域近傍の電界分布を制御する機能を果たす。ゲート電極層908の側壁には絶縁膜を介してサイドウォール絶縁膜909を有する。この絶縁膜やサイドウォール絶縁膜909を用いることで、LDD領域やエクステンション領域を形成することができる。
また、第2のトランジスタ901は、絶縁膜910により被覆されている。絶縁膜910には保護膜としての機能を持たせることができ、外部からチャネル形成領域への不純物の入り込みを防止することができる。また、絶縁膜910をPE−CVD法による窒化シリコン等の材料とすることで、チャネル形成領域に単結晶シリコンを用いた場合には加熱処理によって水素化を行うことができる。また、絶縁膜910に引張応力又は圧縮応力を有する絶縁膜を用いることで、チャネル形成領域を構成する半導体材料に歪みを与えることができる。nチャネル型のトランジスタの場合にはチャネル形成領域となるシリコン材料に引張応力を、pチャネル型のトランジスタの場合にはチャネル形成領域となるシリコン材料に圧縮応力を付加することで、各トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。
さらに、絶縁膜910上に絶縁膜911が設けられ、その表面はCMPによる平坦化処理が施されている。これにより、第2のトランジスタ901を含む階層よりも上の階層に高い精度で素子層を積層していくことができる。
第2のトランジスタ901を含む階層よりも上層に、酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いた第1のトランジスタ902及び容量素子903を含む階層を形成する。
第1のトランジスタ902は、多層膜926と、ソース電極層927と、ドレイン電極層928と、ゲート絶縁膜929と、ゲート電極層930と、を含むトップゲート構造のトランジスタである。第1のトランジスタ902は、先の実施の形態の図24に示すトランジスタと同様の構成を用いることができるため、先の記載を参酌することで形成できる。したがって、以下ではその他の構成について説明を行う。
絶縁膜924は、加熱により酸素を放出する酸素放出型の酸化物絶縁膜を用いると好適である。「加熱により酸素を放出する」とは、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上であることをいう。
加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜は、加熱により酸素が脱離するため、後に形成される多層膜926中の酸化物半導体膜に酸素を拡散させることができる。例えば、絶縁膜924として、酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とする。このような絶縁膜924を用いることで、酸化物半導体膜に酸素を供給することができ、酸化物半導体膜へ酸素を供給することにより、酸化物半導体膜中の酸素欠損を補填することができる。
また、絶縁膜924としては、スパッタリング法、PE−CVD法等により形成することができる。例えば、絶縁膜924をPE−CVD法で形成する場合、原料ガス由来の水素または水が絶縁膜924中に混入する場合がある。このため、PE−CVD法で絶縁膜924を形成した後、脱水素化または脱水化として、加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処理の温度は、絶縁膜924から水素または水を放出させる温度が好ましい。また、該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、絶縁膜924からの水素または水の放出の時間を短縮することができる。
上記加熱処理によって、絶縁膜924の脱水素化または脱水化を行うことができ、後に形成される多層膜926中の酸化物半導体膜への水素または水の拡散を抑制することができる。
さらに、絶縁膜924に、酸素を導入することで、加熱により脱離する酸素量を増加させることができる。絶縁膜924に酸素を導入する方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマ処理等がある。
ここで、図27に示す半導体装置の構成にて、絶縁膜924に酸素導入を行い、その後、熱処理、及び酸素導入を行い、多層膜926を形成したトランジスタについて、電気特性の確認を行った。
絶縁膜924としては、膜厚300nmのSiON膜を用いた。なお、SiON膜の成膜条件としては、PE−CVD装置を用い、基板温度=400℃、SiH4/N2O=2/800sccm、成膜圧力=40Pa、成膜電力(27MHz)=50Wとした。
熱処理条件としては、真空中で450℃ 1時間とした。
酸素導入条件としては、イオン注入法にて、酸素イオン(16O+)を、加速電圧=60kV、ドーズ量=2.0×1016cm−2とした。
多層膜926としては、絶縁膜924側に接して第1の酸化物層を形成し、第1の酸化物層に接し、酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層に接し第2の酸化物層を形成する構造を用いた。
第1の酸化物層としては、膜厚20nmのIGZO(In:Ga:Zn=1:3:2)膜を用いた。なお、IGZO(In:Ga:Zn=1:3:2)膜の成膜条件としては、スパッタリング装置を用い、基板温度200℃、Ar/O2=30/15sccm、成膜圧力=0.4Pa、成膜電力(DC)=0.5kW、基板−ターゲット間距離(T−S間距離)=60mmとした。
酸化物半導体層としては、膜厚15nmのIGZO(In:Ga:Zn=1:1:1)膜を用いた。なお、IGZO(In:Ga:Zn=1:1:1)膜の成膜条件としては、スパッタリング装置を用い、基板温度300℃、Ar/O2=30/15sccm、成膜圧力=0.4Pa、成膜電力(DC)=0.5kW、基板−ターゲット間距離(T−S間距離)=60mmとした。
第2の酸化物層としては、膜厚5nmのIGZO(In:Ga:Zn=1:3:2)膜を用いた。なお、IGZO(In:Ga:Zn=1:3:2)膜の成膜条件としては、スパッタリング装置を用い、基板温度200℃、Ar/O2=30/15sccm、成膜圧力=0.4Pa、成膜電力(DC)=0.5kW、基板−ターゲット間距離(T−S間距離)=60mmとした。
上記作製したトランジスタの電気特性結果を図28に示す。
図28に示す電気特性結果は、ドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)測定結果である。なお、図28に示すトランジスタは、チャネル長(L)=0.39μm、チャネル幅(W)=0.8μmのトランジスタである。なお、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)は1Vとした。
図28に示す実線は、ゲート電圧(Vg)を−4Vから4Vまで0.1V間隔で変化させた際のドレイン電流(Id)である。また、細い点線は、ゲート電圧(Vg)を−4Vから4Vまで0.1V間隔で変化させた際の電界効果移動度(μFE)である。
図28より、トランジスタは、ソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を1Vとし、ゲート電圧(Vg)を−4Vから4Vの飽和領域での最大の電界効果移動度(μFE)は8.7cm2/Vsであった。
上述の通り、本実施の形態に示すトランジスタは、電界効果移動度が高いことがわかった。また、図28よりノーマリオフのトランジスタであることが分かる。
なお、ゲート電極層930及び上部電極層931は、10nm〜400nm、好ましくは100nm〜300nmとする。本実施の形態では、スパッタリング法により膜厚30nmの窒化タンタル上に膜厚135nmのタングステンを積層させてゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工(パターニング)することで、ゲート電極層930及び上部電極層931を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
また、第1のトランジスタ902にはバックゲート電極層923が設けられている。バックゲート電極層923を設けた場合、さらに容易に第1のトランジスタ902のノーマリオフ化を実現することができる。例えば、バックゲート電極層923の電位をGNDや固定電位とすることで第1のトランジスタ902のしきい値電圧をよりプラスとし、さらにノーマリオフのトランジスタとすることができる。また、第1のトランジスタ902は、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタとしても良い。
このような第2のトランジスタ901、第1のトランジスタ902及び容量素子903を電気的に接続して電気回路を形成するために、各階層間及び上層に接続のための配線層を単層又は多層積層する。
図27においては、例えば図3のスイッチの一組分を形成するために、第2のトランジスタ901のソース又はドレインの一方は、コンタクトプラグ913を介して配線層914と電気的に接続している。配線層914は、ロジックエレメントの出力端子に電気的に接続する。一方、第2のトランジスタ901のソース又はドレインの他方はコンタクトプラグ915を介して配線層916と電気的に接続している。
配線層916は、他のロジックエレメントの入力端子に電気的に接続する。また、第2のトランジスタ901のゲートは、コンタクトプラグ917、配線層918、コンタクトプラグ921、配線層922、コンタクトプラグ925を介して第1のトランジスタ902のドレイン電極層928と電気的に接続する。
上記ドレイン電極層928は、図27において右方向に延び、容量素子903の下部電極層として機能する。ドレイン電極層928上には第1のトランジスタ902のゲート絶縁膜929が設けられている。このゲート絶縁膜929が、容量素子903が形成される領域においては容量素子903の電極間誘電体膜として機能する。この電極間誘電体膜上に上部電極層931が設けられ、上部電極層931は、コンタクトプラグ935を介して配線層936と電気的に接続している。配線層936は、スイッチにおける一のコンフィギュレーションデータを記憶した組を選択するための配線である。
配線層914、916、918、922、936、及びバックゲート電極層923は、絶縁膜中に埋め込まれている。これらの配線層等は、例えば銅、アルミニウム等の低抵抗な導電性材料を用いることが好ましい。また、PE−CVD法により形成したグラフェンを導電性材料として用いて配線層を形成することもできる。グラフェンとは、sp2結合を有する1原子層の炭素分子のシートのこと、または2乃至100層の炭素分子のシートが積み重なっているものをいう。このようなグラフェンを作製する方法として、金属触媒の上にグラフェンを形成する熱CVD法や、紫外光を照射して局所的にプラズマを発生させることで触媒を用いずにメタンからグラフェンを形成するPE−CVD法などがある。
このような低抵抗な導電性材料を用いることで、配線層を伝播する信号のRC遅延を低減することができる。配線層に銅を用いる場合には、銅のチャネル形成領域への拡散を防止するため、バリア膜を形成する。バリア膜として、例えば窒化タンタル、窒化タンタルとタンタルとの積層、窒化チタン、窒化チタンとチタンとの積層等による膜を用いることができるが、配線材料の拡散防止機能、及び配線材料や下地膜等との密着性が確保される程度においてこれらの材料からなる膜に限られない。バリア膜は配線層とは別個の層として形成してもよく、バリア膜となる材料を配線材料中に含有させ、加熱処理によって絶縁膜に設けられた開口の内壁に析出させて形成しても良い。
絶縁膜911、912、919、920、933、934には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、炭素を添加した酸化シリコン(SiOC)、フッ素を添加した酸化シリコン(SiOF)、Si(OC2H5)4を原料とした酸化シリコンであるTEOS(Tetraethyl orthosilicate)、HSQ(Hydrogen Silsesquioxane)、MSQ(Methyl Silsesquioxane)、OSG(Organo Silicate Glass)、有機ポリマー系の材料等の絶縁体を用いることができる。特に半導体装置の微細化を進める場合には、配線間の寄生容量が顕著になり信号遅延が増大するため酸化シリコンの比誘電率(k=4.0〜4.5)では高く、kが3.0以下の材料を用いることが好ましい。また該絶縁膜に配線を埋め込んだ後にCMP処理を行うため、絶縁膜には機械的強度が要求される。この機械的強度が確保できる限りにおいて、これらを多孔質(ポーラス)化させて低誘電率化することができる。絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法、スピンコート法(Spin On Glass:SOGともいう)を含む塗布法等により形成する。
絶縁膜911、912、919、920、933、934には、配線材料をこれら絶縁膜中に埋め込んだ後、CMP等による平坦化処理を行う際のエッチングストッパとして機能させるための絶縁膜を別途設けてもよい。
配線層914、916、918、922、936、及びバックゲート電極層923上には、バリア膜が設けられており、バリア膜上に保護膜が設けられている。バリア膜は銅等の配線材料の拡散を防止することを目的とした膜である。バリア膜は、窒化シリコンやSiC、SiBON等の絶縁性材料で形成することができる。但し、バリア膜の膜厚が厚い場合には配線間容量を増加させる要因となるため、バリア性を有し、かつ低誘電率の材料を選択することが好ましい。
コンタクトプラグ913、915、917、921、925、935は、絶縁膜に高アスペクト比の開口(ビアホール)を形成し、タングステン等の導電材料で埋め込むことで作製する。開口は、異方性の高いドライエッチングを行うことが好ましい。特に、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いることが好ましい。開口の内壁にはチタン膜、窒化チタン膜又はこれらの積層膜等からなるバリア膜(拡散防止膜)が設けられ、バリア膜の内部にタングステンやリン等をドープしたポリシリコン等の材料が充填される。例えばブランケットCVD法により、ビアホール内にタングステンを埋め込むことができ、CMPによりコンタクトプラグの上面は平坦化されている。
また最上層には保護絶縁膜937が設けられ、外部から水分や汚染物が半導体装置へ入り込むのを防止する。保護絶縁膜937は、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の材料を用いて形成することができ、単層でも積層でもよい。
半導体装置を以上のような構成とすることで、高速動作性能を有する第1の半導体材料を用いたトランジスタと、オフ電流が極めて小さい第2の半導体材料を用いたトランジスタとを組み合わせ、低消費電力化が可能な高速動作の論理回路を有するPLDあるいは半導体装置を作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態13)
本発明の一態様に係る半導体装置又はPLDは、デジタル信号処理装置、ソフトウェア無線装置、アビオニクス(通信機器、航法システム、自動操縦装置、飛行管理システム等の航空に関する電子機器)、医療用画像処理装置、音声認識装置、暗号装置、機械装置のエミュレータ、電波天文学における電波望遠鏡等、幅広い分野の電子機器に用いることができる。また、ASICのプロトタイピングや、バイオインフォマティクス(生物情報科学)の領域において応用することも可能である。
このような電子機器の例として、例えば民生機器としては、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(DVD等の記録媒体を再生し、その画像を表示するディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置又はPLDを用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレーヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機等が挙げられる。これら電子機器の具体例を図29に示す。
図29(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカ5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。なお、図29(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図29(B)は携帯情報端末であり、第1の筐体5601、第2の筐体5602、第1の表示部5603、第2の表示部5604、接続部5605、操作キー5606等を有する。第1の表示部5603は第1の筐体5601に設けられており、第2の表示部5604は第2の筐体5602に設けられている。そして、第1の筐体5601と第2の筐体5602とは、接続部5605により接続されており、第1の筐体5601と第2の筐体5602の間の角度は、接続部5605により可動となっている。第1の表示部5603における映像を、接続部5605における第1の筐体5601と第2の筐体5602との間の角度に従って、切り替える構成としても良い。また、第1の表示部5603及び第2表示部5604の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。あるいは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図29(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402、キーボード5403、ポインティングデバイス5404等を有する。
図29(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303等を有する。
図29(E)はビデオカメラであり、第1の筐体5801、第2の筐体5802、表示部5803、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。操作キー5804及びレンズ5805は第1の筐体5801に設けられており、表示部5803は第2の筐体5802に設けられている。そして、第1の筐体5801と第2筐体5802とは、接続部5806により接続されており、第1の筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、接続部5806により可動となっている。表示部5803における映像の切り替えを、接続部5806における第1の筐体5801と第2の筐体5802との間の角度に従って行う構成としても良い。
図29(F)は普通自動車であり、車体5101、車輪5102、ダッシュボード5103、ライト5104等を有する。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。