JP6277430B2 - バスバーユニットおよびモータ - Google Patents

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Description

本発明は、バスバーユニットおよびモータに関する。
従来、コイルの上方に、バスバーと称される導電性の部品を配置し、当該部品を介してコイルと外部電源とを電気的に接続する構造のモータが、知られている。一般に、バスバーは、円環状に配列された複数のコイルと接続されるため、円環状または円弧状に形成されることが多い。しかしながら、材料となる銅板をプレス機で円環状または円弧状に打ち抜くと、銅板に無駄な部分が生じ、材料の歩留まりが悪いという問題があった。
この点について、特許第3717832号明細書には、銅板等の導電性金属板材をプレス装置で帯状に打ち抜いた帯状成形素材を、厚さ方向に湾曲させて、バスバーを作製することが記載されている(段落0021)。当該公報では、帯状成形素材を並列に打ち抜くことで、歩留まりを向上させることができるとされている(段落0070)。
特許第3717832号明細書
しかしながら、特許第3717832号明細書では、略C字状のバスバーから、複数のタブが突出している(段落0022)。これらのタブは、導電性金属板材をプレス装置で打ち抜くときに、それと同時に打ち抜かれるものである。したがって、バスバーとタブとは、1回のプレス工程を経ることにより連結された状態で一体成形される(段落0022)。
このように、特許第3717832号明細書の構造では、複数のタブにより、プレス工程において打ち抜かれる帯状成形素材の形状が複雑化する。このため、導電性金属板材に依然として無駄な部分が残る。モータの製造コストをより削減するためには、材料の歩留まりをより高めることが求められる。
ただし、複数のバスバーを含むバスバーユニットを用いる場合には、これらのバスバーが互いに接触することを避けながら、バスバーユニット全体のサイズを抑えなければならない。すなわち、材料の歩留まりを高め、かつ、バスバーユニットのサイズを抑えることができる構造が求められている。
本願の例示的な第1発明は、モータに用いられるバスバーユニットであって、複数の金属製のバスバーを有し、複数の前記バスバーの少なくとも1つは、前記モータの中心軸に対して略周方向に延びる本体部と、前記モータのコイルに電気的に接続される第1端子部と、前記本体部の一方の端部と前記第1端子部とを繋ぐアーチ型のブリッジ部と、を有するバスバーユニットである。前記第1端子部は、前記ブリッジ部と繋がると共に、周方向に延びる部分と、前記周方向に延びる部分の端部から径方向に延びると共に、前記モータのコイルと接続される部分と、を有する。前記ブリッジ部は、複数の前記バスバーの他の少なくとも1つを跨ぎ、前記本体部の軸方向位置と、前記第1端子部の軸方向位置とが、少なくとも部分的に重なる。
本願の例示的な第1発明は、モータに用いられるバスバーユニットであって、複数の金属製のバスバーを有する。複数の前記バスバーの少なくとも1つは、前記モータの中心軸に対して略周方向に延びる本体部と、前記モータのコイルに電気的に接続される第1端子部と、前記本体部の一方の端部と前記第1端子部とを繋ぐアーチ型のブリッジ部と、を有する。前記ブリッジ部は、複数の前記バスバーの他の少なくとも1つを跨ぎ、前記本体部の軸方向位置と、前記第1端子部の軸方向位置とが、少なくとも部分的に重なるバスバーユニットである。
本願の例示的な第1発明によれば、本体部の途中から第1端子部を突出させる必要がない。このため、材料の歩留まりを高めることができる。また、1つのバスバーの本体部と、他のバスバーとを、径方向に重なる位置に配置しながら、径方向に第1端子部を延ばし、かつ、両バスバーの接触を避けることができる。その結果、バスバーユニットのサイズを抑えることができる。
図1は、第1実施形態に係るバスバーユニットの縦断面図である。 図2は、第2実施形態に係るモータの縦断面図である。 図3は、第2実施形態に係るコイルの接続構成を概念的に示した図である。 図4は、第2実施形態に係るコイルの接続構成を概念的に示した図である。 図5は、第2実施形態に係るバスバーユニットの上面図である。 図6は、第2実施形態に係るU相用バスバー、V相用バスバー、およびW相用バスバーの上面図である。 図7は、第2実施形態に係るU相用バスバー、V相用バスバー、およびW相用バスバーの斜視図である 図8は、第2実施形態に係るバスバーユニットの製造手順を示すフローチャートである。 図9は、U相用バスバーの作製時の様子を示した図である。 図10は、変形例に係るバスバーユニットの部分分解斜視図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、モータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、モータの中心軸に直交する方向を「径方向」、モータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、コイルに対してバスバーユニット側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係るモータの製造時および使用時の向きを限定する意図はない。
また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るバスバーユニット23Aの縦断面図である。このバスバーユニット23Aは、モータに用いられ、コイル43Aと外部電源とを電気的に接続する役割を果たす。図1に示すように、バスバーユニット23Aは、2つの金属製のバスバー51A,52Aを有する。
2つのバスバー51A,52Aのうちの一方のバスバー51Aは、本体部510Aと、第1端子部511Aと、ブリッジ部513Aとを有する。本体部510Aは、モータの中心軸9Aに対して略周方向に延びる。第1端子部511Aは、モータのコイル43Aに電気的に接続される。本体部510Aの軸方向位置と、第1端子部511Aの軸方向位置とは、少なくとも部分的に重なる。
本体部510Aの一方の端部と第1端子部511Aとは、アーチ型のブリッジ部513Aにより繋がれる。また、図1に示すように、ブリッジ部513Aは、他方のバスバー52Aを跨ぐ。
このように、このバスバーユニット23Aでは、本体部510Aの端部から、ブリッジ部513Aを介して第1端子部511Aが延びている。このため、本体部510Aの途中から第1端子部511Aを軸方向または径方向に突出させる必要がない。これにより、材料の歩留まりを高めることができる。また、一方のバスバー51Aの本体部510Aと、他方のバスバー52Aとを、径方向に重なる位置に配置しながら、径方向に第1端子部511Aを延ばし、かつ、両バスバー51A,52Aの接触を避けることができる。その結果、バスバーユニット23Aのサイズを抑えることができる。
<2.第2実施形態>
<2−1.モータの全体構成>
続いて、本発明の第2実施形態について、説明する。図2は、第2実施形態に係るモータ1の縦断面図である。本実施形態のモータ1は、例えば、自動車に搭載され、パワーステアリングの駆動力を発生させるために使用される。ただし、本発明のモータは、パワーステアリング以外の用途に使用されるものであってもよい。例えば、本発明のモータは、自動車の他の部位、例えばエンジン冷却用ファンやオイルポンプの駆動源として、使用されるものであってもよい。また、本発明のモータは、家電製品、OA機器、医療機器等に搭載され、各種の駆動力を発生させるものであってもよい。
このモータ1は、ステータ22の径方向内側にロータ32が配置される、いわゆるインナロータ型のモータである。図2に示すように、モータ1は、静止部2と回転部3とを有する。静止部2は、駆動対象となる機器の枠体に固定される。回転部3は、静止部2に対して、回転可能に支持される。
本実施形態の静止部2は、ハウジング21、ステータ22、バスバーユニット23、下軸受部24、および上軸受部25を有する。
ハウジング21は、筒状部211、底板部212、および蓋部213を有する。筒状部211は、ステータ22およびバスバーユニット23の径方向外側において、軸方向に略円筒状に延びる。底板部212は、ステータ22および後述するロータ32の下側において、中心軸9に対して略垂直に広がる。蓋部213は、バスバーユニット23の上側において、中心軸9に対して略垂直に広がる。ステータ22、バスバーユニット23、および後述するロータ32は、ハウジング21の内部空間に、収容される。
筒状部211、底板部212、および蓋部213は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属により構成される。本実施形態では、筒状部211と底板部212とが一部材で構成され、蓋部213が他部材で構成されている。ただし、筒状部211と蓋部213とが一部材で構成され、底板部212が他部材で構成されていてもよい。
ステータ22は、後述するロータ32の径方向外側に、配置される。ステータ22は、ステータコア41、インシュレータ42、および複数のコイル43を有する。ステータコア41は、電磁鋼板が軸方向に積層された積層鋼板からなる。ステータコア41は、円環状のコアバック411と、コアバック411から径方向内側へ向けて突出した複数のティース412とを有する。コアバック411は、中心軸9と略同軸に配置される。また、コアバック411の外周面は、ハウジング21の筒状部211の内周面に、固定される。複数のティース412は、周方向に略等間隔に配列される。
インシュレータ42は、絶縁体である樹脂からなる。各ティース412の上面、下面、および周方向の両端面は、インシュレータ42に覆われる。コイル43は、インシュレータ42の周囲に巻かれた導線431により、構成される。すなわち、本実施形態では、磁芯となるティース412の周囲に、インシュレータ42を介して、導線431が巻かれる。インシュレータ42は、ティース412とコイル43との間に介在することによって、ティース412とコイル43とが電気的に短絡することを、防止する。
なお、インシュレータ42に代えて、ティース412の表面に、絶縁塗装が施されていてもよい。
バスバーユニット23は、導体である銅などの金属からなるバスバー51〜54と、バスバー51〜54を保持する樹脂製のバスバーホルダ55とを有する。バスバー51〜54は、コイル43を構成する導線431と、電気的に接続される。また、モータ1の使用時には、外部電源から延びる導線が、バスバー51〜54に接続される。すなわち、コイル43と外部電源とが、バスバー51〜54を介して、電気的に接続される。
図2の例では、ステータ22より上側、かつ、蓋部213より下側に、バスバーユニット23が配置されている。ただし、バスバーユニット23は、蓋部213より上側に配置されていてもよい。バスバーユニット23のより詳細な構造については、後述する。
下軸受部24および上軸受部25は、ハウジング21と、回転部3側のシャフト31との間に配置される。本実施形態の下軸受部24および上軸受部25には、球体を介して外輪と内輪とを相対回転させるボールベアリングが、使用されている。これにより、ハウジング21に対してシャフト31が、回転可能に支持される。ただし、ボールベアリングに代えて、すべり軸受や流体軸受等の他方式の軸受が、使用されていてもよい。
本実施形態の回転部3は、シャフト31とロータ32とを有する。
シャフト31は、中心軸9に沿って延びる柱状の部材である。シャフト31の材料には、例えばステンレスが使用される。シャフト31は、上述した下軸受部24および上軸受部25に支持されながら、中心軸9を中心として回転する。また、シャフト31の上端部311は、蓋部213より上方へ突出する。シャフト31の当該上端部311には、ギア等の動力伝達機構を介して、駆動対象となる装置が連結される。
ロータ32は、ステータ22の径方向内側に位置し、シャフト31とともに回転する。ロータ32は、ロータコア61、複数のマグネット62、およびマグネットホルダ63を
有する。ロータコア61は、電磁鋼板が軸方向に積層された積層鋼板からなる。ロータコア61は、その中央に、軸方向に延びる挿入孔60を有する。シャフト31は、ロータコア61の当該挿入孔60に圧入される。これにより、ロータコア61とシャフト31とが、互いに固定される。
複数のマグネット62は、ロータコア61の外周面に、例えば接着剤で固定される。各マグネット62の径方向外側の面は、ティース412の径方向内側の端面に対向する磁極面となっている。複数のマグネット62は、N極とS極とが交互に並ぶように、周方向に配列される。なお、複数のマグネット62に代えて、N極とS極とが周方向に交互に着磁された1つの円環状のマグネットが、使用されていてもよい。
マグネットホルダ63は、ロータコア61に対して固定された樹脂製の部材である。マグネットホルダ63は、例えば、ロータコア61をインサート部品とするインサート成型により得られる。複数のマグネット62の下面および周方向の両端面は、マグネットホルダ63に接触する。これにより、各マグネット62が、周方向および軸方向に位置決めさ
れる。また、マグネットホルダ63により、ロータ32全体の剛性が高められる。
外部電源から、バスバー51〜54を介してコイル43に駆動電流が与えられると、ステータコア41の複数のティース412に、磁束が生じる。そして、ティース412とマグネット62との間の磁束の作用により、周方向のトルクが発生する。その結果、静止部2に対して回転部3が、中心軸9を中心として回転する。
<2−2.コイルの接続構成について>
本実施形態のモータ1は、U相、V相、およびW相の三相交流により駆動する三相同期型のモータである。図3および図4は、コイル43を構成する導線431の接続構成を、概念的に示した図である。図3および図4に示すように、本実施形態のステータ22は、12個のコイル43を有する。12個のコイル43は、4つのU相コイル43(U1〜U4)、4つのV相コイル43(V1〜V4)、および4つのW相コイル43(W1〜W4)を含む。これらのコイル43は、U1、V1、W1、U2、V2、W2、U3、V3、W3、U4、V4、W4の順で、周方向に等角度間隔で配列される。
図3中に概念的に示したように、本実施形態では、U1とU2、U3とU4、V1とV2、V3とV4、W1とW2、およびW3とW4の6組のコイル対が、それぞれ、1本の連続した導線431により、構成される。すなわち、図4のように、これらの6組のコイル対が、それぞれ直列に接続される。また、U1,U2のコイル対と、U3,U4のコイル対とは、並列に接続されてU相コイル群UGを形成する。また、V1,V2のコイル対と、V3,V4のコイル対とは、並列に接続されて、V相コイル群VGを形成する。また、W1,W2のコイル対と、W3,W4のコイル対とは、並列に接続されて、W相コイル群WGを形成する。
そして、これらのU相コイル群UG、V相コイル群VG、およびW相コイル群WGの一方の端部は、マイクロコントローラを含む回路基板70と、電気的に接続される。また、これらのU相コイル群UG、V相コイル群VG、およびW相コイル群WGの他方の端部は、中性点Nにおいて互いに電気的に接続される。すなわち、本実施形態では、U相コイル群UG、V相コイル群VG、およびW相コイル群WGが、Y結線にて接続される。
また、図3および図4に示すように、本実施形態では、中心軸9を含む平面73により区分される一方の空間である第1空間71に、各コイル対の一方のコイル43(U1,V1,W1,U4,V4,W4)が配置される。これらのU1,V1,W1,U4,V4,W4のコイル43は、いずれも、回路基板70側に接続されるコイルである。また、本実施形態では、上述した平面73により区分される他方の空間である第2空間72に、各コイル対の他方のコイル43(U2,V2,W2,U3,V3,W3)が配置される。これらのU2,V2,W2,U3,V3,W3のコイル43は、いずれも、中性点N側に接続
されるコイルである。なお、バスバー51〜54と回路基板70とを電気的に接続するためのインターフェースが存在してもよい。
<2−3.バスバーユニットの構成について>
続いて、モータ1に用いられるバスバーユニット23の構成について、説明する。図5は、バスバーユニット23の上面図である。図5に示すように、バスバーユニット23は、U相用バスバー51、V相用バスバー52、W相用バスバー53、および中性点用バスバー54と、これらのバスバー51〜54を保持するバスバーホルダ55とを有する。バスバーホルダ55は、U相用バスバー51、V相用バスバー52、W相用バスバー53、および中性点用バスバー54のそれぞれの一部分をインサート部品とする樹脂成型品である。
U相用バスバー51は、2つのU相用端子部511,512を有する。2つのU相用端子部511,512は、上述した第1空間71に配置される。また、U相用端子部511,512には、U1,U4の各コイル43から引き出された導線431の端部が、それぞれ接続される。すなわち、図4に示したように、回路基板70とU1,U4の各コイル43とが、U相用バスバー51を介して、電気的に接続される。
V相用バスバー52は、2つのV相用端子部521,522を有する。2つのV相用端子部521,522は、上述した第1空間71に配置される。また、V相用端子部521,522には、V1,V4の各コイル43から引き出された導線431の端部が、それぞれ接続される。すなわち、図4に示したように、回路基板70とV1,V4の各コイル43とが、V相用バスバー52を介して、電気的に接続される。
W相用バスバー53は、2つのW相用端子部531,532を有する。2つのW相用端子部531,532は、上述した第1空間71に配置される。また、W相用端子部531,532には、W1,W4の各コイル43から引き出された導線431の端部が、それぞれ接続される。すなわち、図4に示したように、回路基板70とW1,W4の各コイル43とが、W相用バスバー53を介して、電気的に接続される。
中性点用バスバー54は、6つの中性点用端子部541〜546を有する。6つの中性点用端子部541〜546は、上述した第2空間72に配置される。また、中性点用端子部541〜546には、U2,V2,W2,U3,V3,W3の各コイル43から引き出された導線431の端部が、それぞれ接続される。すなわち、図4に示したように、中性点Nと、U2,V2,W2,U3,V3,W3の各コイル43とが、中性点用バスバー54を介して、電気的に接続される。
図6は、U相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53の上面図である。図7は、U相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53の斜視図である。図6および図7に示すように、本実施形態のU相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53は、いずれも、屈曲した帯状の板材である。これらのバスバー51〜53は、接近して配置されているものの、バスバーホルダ55により互いに絶縁される。
U相用バスバー51は、本体部510、第1端子部511、第2端子部512、およびブリッジ部513を有する。本体部510は、V相用バスバー52より径方向内側において、略周方向に延びる。第1端子部511は、後述するV相用バスバー52の弧状部520より、径方向外側に位置する。本実施形態では、本体部510の軸方向の中央位置と、第1端子部511の軸方向の中央位置とが、略同一である。本体部510の一方の端部と、第1端子部511とは、アーチ型のブリッジ部513を介して繋がる。また、第2端子部512は、本体部510の他方の端部から、径方向外側へ延びる。
第1端子部511および第2端子部512は、上面視において略U字状である。第1端子部511および第2端子部512のそれぞれの先端は、径方向内側へ向けられる。第1端子部511および第2端子部512は、モータ1に組み込まれたときに、上述したU相用端子部511,512となる。
V相用バスバー52は、弧状部520と、一対の端子部521,522とを有する。弧状部520は、U相用バスバー51およびW相用バスバー53の各本体部510.530より径方向外側、かつ、U相用バスバー51およびW相用バスバー53の各第1端子部511,532より径方向内側において、略周方向に延びる。一対の端子部521,522は、弧状部520の周方向の両端から、それぞれ径方向外側へ延びる。
一対の端子部521,522は、上面視において略U字状である。一対の端子部521,522のそれぞれの先端は、径方向内側へ向けられる。一対の端子部521,522は、モータ1に組み込まれたときに、上述したV相用端子部521,522となる。
W相用バスバー53は、本体部530、第1端子部532、第2端子部531、およびブリッジ部523を有する。本体部530は、V相用バスバー52より径方向内側において、略周方向に延びる。第1端子部532は、V相用バスバー52の弧状部520より、径方向外側に位置する。本実施形態では、本体部530の軸方向の中央位置と、第1端子部532の軸方向の中央位置とが、略同一である。本体部530の一方の端部と、第1端子部532とは、アーチ型のブリッジ部533を介して繋がる。また、第2端子部531は、本体部530の他方の端部から、径方向外側へ延びる。
第1端子部532および第2端子部531は、上面視において略U字状である。第1端子部532および第2端子部531のそれぞれの先端は、径方向内側へ向けられる。第1端子部532および第2端子部531は、モータ1に組み込まれたときに、上述したW相用端子部532,531となる。
このように、本実施形態のU相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53は、それぞれ、屈曲した板材であり、その両端に端子部を有する。すなわち、本実施形態の各バスバー51〜53は、本体部510,530や弧状部520の途中から端子部を突出させていない。このような構造を採ることで、材料の歩留まりを高めることができる。
特に、U相用バスバー51の本体部510、第1端子部511、および第2端子部512と、V相用バスバー52の弧状部520および一対の端子部521,522と、W相用バスバー53の本体部510、第1端子部511、および第2端子部512とは、いずれも、板材の厚み方向のみに屈曲する。このため、各バスバー51〜53の製造時に、これらの部分を容易に形成することができる。
U相用バスバー51のブリッジ部513は、V相用バスバー52の弧状部520の上側を、アーチ状に跨ぐ。これにより、U相用バスバー51の本体部510とV相用バスバー52の弧状部520とを、径方向に重なる位置に配置しながら、U相用バスバー51の第1端子部511を径方向に延ばすことができる。また、U相用バスバー51とV相用バスバー52との接触を避けることができる。
W相用バスバー53のブリッジ部533は、V相用バスバー52の弧状部520の下側を、アーチ状に跨ぐ。これにより、W相用バスバー53の本体部530とV相用バスバー52の弧状部52とを、径方向に重なる位置に配置しながら、W相用バスバー53の第1端子部532を径方向に延ばすことができる。また、W相用バスバー53とV相用バスバー52との接触を避けることができる。
また、本実施形態では、U相用バスバー51のブリッジ部513、V相用バスバー52の弧状部520、およびW相用バスバー53のブリッジ部533が、平面視において相互に交差する。このように、3つのバスバー51〜53を平面視において重なる位置に配置することで、3つのバスバー51〜53の全体としてのサイズが小型化される。
なお、本実施形態では、U相用バスバー51のブリッジ部513が、V相用バスバー52の上側を通り、W相用バスバー53のブリッジ部533が、V相用バスバー52の下側を通る。しかしながら、U相用バスバー51のブリッジ部513が、V相用バスバー52の下側を通り、W相用バスバー53のブリッジ部533が、V相用バスバー52の上側を通ってもよい。
また、本実施形態では、U相用バスバー51のブリッジ部513が、天板部514を有する。天板部514は、V相用バスバー52の弧状部520の上側に位置する。また、天板部514は、中心軸9に対して略垂直に広がる。このように、ブリッジ部513に平坦な天板部514を設けることで、ブリッジ部513の上方への突出を抑えることができる。その結果、U相用バスバー51の軸方向の高さを抑制できる。
また、本実施形態では、W相用バスバー53のブリッジ部533が、天板部534を有する。天板部534は、V相用バスバー52の弧状部520の下側に位置する。また、天板部534は、中心軸9に対して略垂直に広がる。このように、ブリッジ部533に平坦な天板部534を設けることで、ブリッジ部533の下方への突出を抑えることができる。その結果、W相用バスバー53の軸方向の高さを抑制できる。
また、本実施形態の構造では、U相用バスバー51とW相用バスバー53とを、同一形状とすることができる。このため、同一形状のバスバーを多量に製造し、それらのバスバーを、U相用バスバー51またはW相用バスバー53として用いることができる。これにより、材料の無駄をより減らすことができる。
また、本実施形態では、U相用バスバー51の本体部510と、W相用バスバー53の本体部530とが、互いに異なる周方向位置に配置される。このため、U相用バスバー51の本体部510と、W相用バスバー53の本体部530とが、径方向に重ならない。これにより、複数のバスバー51〜53の径方向の重なりを減らすことができる。その結果、バスバーユニット23全体の径方向の寸法が、より抑制される。
このように、UVW相のような複数相のコイルが周方向に交互に配置される場合、各相用のバスバーを複雑に絡み合うように配置する必要がある。そのような場合においても、本実施形態のように、2つ以上のバスバーの本体部を同一の径方向位置に配置すれば、バスバーユニットを径方向に小型化できる。
<2−4.バスバーユニットの製造手順について>
図8は、バスバーユニット23の製造手順を示すフローチャートである。バスバーユニット23を製造するときには、まず、U相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53を、それぞれ準備する(ステップS1)。U相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53は、上述の通り、金属製の板材をプレス機で屈曲させることにより形成される。
図9は、U相用バスバー51の作製時の様子を示した図である。図9では、プレス機による加工の向きが、破線矢印で示されている。なお、破線矢印は、加工後の図に示している。U相用バスバー51を作製するときには、まず、1本の帯状の金属板90を、その板面に沿う方向に屈曲させる。これにより、図9中の上から2段目の図のように、金属板90が、略S字状に湾曲する。すなわち、金属板90が、略同方向に延びる二箇所のストレート部91,92と、これらの間を斜めに繋ぐ中継部93とを有する状態となる。次に、中継部93を厚み方向に屈曲させて、二箇所のストレート部91,92を、同一の高さ位
置に配置する。そうすると、図9中の上から3段目の図のように、中継部93がアーチ状に湾曲する。その結果、ブリッジ部513が形成される。
続いて、2つのストレート部91,92を、それぞれ厚み方向に屈曲させる。これにより、図9中の上から4段目の図のように、本体部510、第1端子部511、および第2端子部512が形成される。その結果、本体部510、第1端子部511、第2端子部512、およびブリッジ部513を有するU相用バスバー51が得られる。
なお、図9の上から2段目の図のように、中継部93は、傾斜部931と一対の垂直部932とを有していてもよい。傾斜部931は、2つのストレート部91,92に対して、斜めに延びる。一対の垂直部932は、傾斜部931の両端部と、各ストレート部91,92との間に位置し、ストレート部91,92に対して略垂直に延びる。このような垂直部932があれば、2つのストレート部91,92の径方向の間隔を、広くとることができる。したがって、U相用バスバー51とV相用バスバー52との間に、絶縁のための距離をより広くとることができる。また、垂直部932があれば、中継部93を径方向に長くとることができる。したがって、中継部93を厚み方向に屈曲させやすい。
仮に、製造後のU相用バスバー51の板厚方向の屈曲のみを展開したとすると、図9の上から2番目の図の状態となる。すなわち、本体部510および第2端子部512に相当するストレート部91と、第1端子部511に相当するストレート部92とが、略同方向に延び、かつ、ブリッジ部513に相当する中継部93が、ストレート部91,92とは異なる方向に延びた状態となる。この形状は、従来技術ほど複雑な形状ではない。したがって、図9の上から2段目の図のような形状をプレス加工で打ち抜いたとしても、従来よりも歩留まりを高めることができる。
なお、W相用バスバー53は、U相用バスバー51と同形状であるため、図9と同じ手順で作製できる。また、V相用バスバー52は、金属板90を、厚み方向のみに屈曲させて、弧状部520および一対の端子部521,522を形成することにより得られる。
次に、中性点用バスバー54を準備する(ステップS2)。中性点用バスバー54は、例えば、複数のバスバー部材を、互いに接続することにより得られる。各バスバー部材は、例えば、帯状の金属板を、厚み方向に屈曲させることにより得られる。なお、中性点用バスバー54を準備するタイミングは、ステップS1より前であってもよく、ステップS1と同時であってもよい。
U相用バスバー51、V相用バスバー52、W相用バスバー53、および中性点用バスバー54が揃うと、次に、樹脂成型用の金型の内部に、これらのバスバー51〜54を配置する(ステップS3)。ここでは、上下方向に配置された一対の金型により形成される空洞に、各バスバー51〜54の少なくとも一部分が配置される。
続いて、金型内の空洞に、溶融樹脂を流し込む(ステップS4)。溶融樹脂は、金型に設けられたゲートから流し込まれ、U相用バスバー51、V相用バスバー52、W相用バスバー53、および中性点用バスバー54の表面に接触しつつ、空洞内に広がる。このとき、U相用バスバー51、V相用バスバー52、およびW相用バスバー53の隙間にも、溶融樹脂が入り込む。これにより、接近して配置される3つのバスバー51〜53が、互いに絶縁される。
そして、金型内の空洞に溶融樹脂が行き渡ると、金型内の溶融樹脂を、冷却して固化させる(ステップS5)。金型内の溶融樹脂は、固化されることにより、バスバーホルダ55となる。また、溶融樹脂の固化とともに、U相用バスバー51、V相用バスバー52、W相用バスバー53、および中性点用バスバー54と、バスバーホルダ55とが、互いに固定される。これにより、バスバーユニット23が得られる。
その後、一対の金型を開き、金型からバスバーユニット23を離型させる(ステップS6)。
このように、本実施形態のバスバーユニット23は、インサート成型により得られる。インサート成型を利用すれば、バスバーホルダ55の成型と、各バスバー51〜54に対するバスバーホルダ55の固定とを、同時に行うことができる。したがって、バスバーホルダ55を単独で成型した後に、当該バスバーホルダ55に各バスバー51〜54を固定する場合と比べて、バスバーユニット23の製造工程を短縮できる。
また、インサート成型を利用すれば、各バスバー51〜54の一部分を、バスバーホルダ55を構成する樹脂で、完全に覆うことができる。このため、バスバーユニット23の全体としての剛性を、より高めることができる。
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
図10は、一変形例に係るバスバーユニット23Bの部分分解斜視図である。図10の例では、バスバーホルダ55Bが、U相用バスバー51B、V相用バスバー52B、およびW相用バスバー53Bとは別に成型される。バスバーホルダ55Bは、その上面から下側へ向けて凹むバスバー保持溝551Bを有する。そして、バスバーホルダ55Bの成型後に、バスバーホルダ55Bのバスバー保持溝551Bに、U相用バスバー51B、V相用バスバー52B、およびW相用バスバー53Bが嵌められる。このとき、各バスバー51Bの、少なくとも一部分が、バスバー保持溝551B内に配置される。このようにすれ
ば、難度の高いインサート成型を行うことなく、U相用バスバー51B、V相用バスバー52B、およびW相用バスバー53Bをバスバーホルダ55Bに保持させることができる。
また、上記の実施形態では、U相用バスバー51およびW相用バスバー53に関して、本体部の軸方向の中央位置と、第1端子部の軸方向の中央位置とが、略同一となっていた。しかしながら、本体部の軸方向位置と、第1端子部の軸方向位置とは、少なくとも部分的に重なっていればよい。
また、上記の実施形態では、U相用バスバー51およびW相用バスバー53が、V相用バスバー52を跨ぐブリッジ部を有していた。しかしながら、複数のバスバーのうちの1つのみが、他のバスバーを跨ぐブリッジ部を有していてもよい。また、バスバーユニットに含まれる全てのバスバーが、他のバスバーを跨ぐブリッジ部を有していてもよい。
また、上記の実施形態では、U相用バスバー、V相用バスバー、およびW相用バスバーに本発明の構造を適用したときの例を説明したが、本発明の構造を、中性点用バスバーを含む複数のバスバーに適用してもよい。また、上記の実施形態では、三相同期型のモータに用いられるバスバーユニットについて説明したが、本発明のバスバーユニットは、三相以外の多相同期型のモータに用いられるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、図9中の上から1段目に記載された帯状の金属板90を打ち抜き、当該金属板90を屈曲させていたが、図9中の上から2段目に記載された略S字状の金属板を、直接打ち抜いてもよい。その場合にも、打ち抜かれる金属板は、従来ほど複雑な形状ではないため、従来よりも歩留まりを高めることができる。
また、各部材の細部の形状については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
本発明は、バスバーユニットおよびモータに利用できる。
1 モータ
2 静止部
3 回転部
9,9A 中心軸
21 ハウジング
22 ステータ
23,23A,23B バスバーユニット
24 下軸受部
25 上軸受部
31 シャフト
32 ロータ
41 ステータコア
42 インシュレータ
43 コイル
51,51B U相用バスバー
51A バスバー
52,52B V相用バスバー
52A バスバー
53,53B W相用バスバー
54 中性点用バスバー
55,55B バスバーホルダ
61 ロータコア
62 マグネット
63 マグネットホルダ
70 回路基板
90 金属板
510,510A,530, 本体部
511,511A 第1端子部(U相用端子部)
512 第2端子部(U相用端子部)
513,513A ブリッジ部
514 天板部
520 弧状部
521,522 端子部(V相用端子部)
523 ブリッジ部
530 本体部
531 第2端子部(W相用端子部)
532 第1端子部(W相用端子部)
533 ブリッジ部
534 天板部
541〜546 中性点用端子部
551B バスバー保持溝
N 中性点
UG U相コイル群
VG V相コイル群
WG W相コイル群

Claims (14)

  1. モータに用いられるバスバーユニットであって、
    複数の金属製のバスバーを有し、
    複数の前記バスバーの少なくとも1つは、
    前記モータの中心軸に対して略周方向に延びる本体部と、
    前記モータのコイルに電気的に接続される第1端子部と、
    前記本体部の一方の端部と前記第1端子部とを繋ぐアーチ型のブリッジ部と、
    を有し、
    前記第1端子部は、
    前記ブリッジ部と繋がると共に、周方向に延びる部分と、
    前記周方向に延びる部分の端部から径方向に延びると共に、前記モータのコイルと接続される部分と、
    を有し、
    前記ブリッジ部は、複数の前記バスバーの他の少なくとも1つを跨ぎ、
    前記本体部の軸方向位置と、前記第1端子部の軸方向位置とが、少なくとも部分的に重なるバスバーユニット。
  2. 請求項1に記載のバスバーユニットにおいて、
    前記本体部の軸方向の中央位置と、前記第1端子部の軸方向の中央位置とが、略同一であるバスバーユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバスバーユニットにおいて、
    前記ブリッジ部は、前記中心軸に対して垂直に広がる天板部を有するバスバーユニット。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載のバスバーユニットにおいて、
    前記バスバーは屈曲した帯状の板材であり、
    少なくとも前記第1端子部は、前記板材の厚み方向のみに屈曲するバスバーユニット。
  5. 請求項4に記載のバスバーユニットにおいて、
    前記バスバーの板厚方向の屈曲を展開すると、
    前記本体部と前記第1端子部とが、略同方向に延び、かつ、
    前記ブリッジ部が、前記本体部および前記第1端子部とは異なる方向に延びるバスバーユニット。
  6. 請求項1から請求5までのいずれかに記載のバスバーユニットにおいて、
    多相同期型のモータに用いられ、
    各相に対応する導線が、複数の前記バスバーに、それぞれ接続されるバスバーユニット。
  7. 請求項6に記載のバスバーユニットにおいて、
    三相同期型のモータに用いられ、
    三相に対応する導線が、3つの前記バスバーに、それぞれ接続され、
    3つの前記バスバーのうち、少なくとも2つの前記バスバーが、同一形状であるバスバーユニット。
  8. 請求項7に記載のバスバーユニットにおいて、
    複数の前記バスバーは、第1バスバー、第2バスバー、および第3バスバーを含み、
    前記第1バスバーは、前記第3バスバーの軸方向一方側を通る前記ブリッジ部を有し、
    前記第2バスバーは、前記第3バスバーの軸方向他方側を通る前記ブリッジ部を有し、
    前記第1バスバーの前記ブリッジ部と、前記第2バスバーの前記ブリッジ部とが、平面視において交差するバスバーユニット。
  9. 請求項8に記載のバスバーユニットにおいて、
    前記第1バスバーの前記本体部と、前記第2バスバーの前記本体部とが、互いに異なる周方向位置に配置されるバスバーユニット。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかに記載のバスバーユニットにおいて、
    前記少なくとも1つの前記バスバーは、
    前記本体部の他方の端部から径方向に延びる第2端子部
    をさらに有するバスバーユニット。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれかに記載のバスバーユニットにおいて、
    複数の前記バスバーを保持する樹脂製のバスバーホルダ
    をさらに有するバスバーユニット。
  12. 請求項11に記載のバスバーユニットにおいて、
    前記バスバーホルダは、複数の前記バスバーの少なくとも一部分をインサート部品とする樹脂成型品であるバスバーユニット。
  13. 請求項11に記載のバスバーユニットにおいて、
    前記バスバーホルダは、バスバー保持溝を有し、
    複数の前記バスバーの少なくとも一部分が、前記バスバー保持溝に嵌まるバスバーユニット。
  14. 静止部と、
    前記中心軸を中心として回転可能に支持される回転部と、
    を有し、
    前記静止部は、
    前記中心軸に対して周方向に配列された複数のコイルと、
    請求項1から請求項13までのいずれかに記載のバスバーユニットと、
    を有し、
    前記回転部は、
    前記複数のコイルの磁芯と対向するマグネット
    を有するモータ。
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