JP2011229290A - モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ステータコア片にコイルを装着した後に、ステータコア片をスムーズに円環状にしてステータを形成することが可能なコイルを有するモータを提供する。
【解決手段】ステータコア片45が連結されたステータコア41と、スロット部を架け渡すように挿入されるコイル20と、を備えたステータ21を有するモータにおいて、コイルは、ステータコア片が連結されて円環状になった際に、軸中心を指向するティース部の傾斜に沿う角度と略同一の傾斜角度を有する一対のスロット挿入部53,54と、ステータコアの軸方向端面41aにおいて一対のスロット挿入部の端部同士の間を連結する一対のコイル渡り部55,56と、を備え、コイル渡り部は、スロット挿入部がスロット部から突出した後、ヨーク部の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部57,58が形成されている。
【選択図】図8
【解決手段】ステータコア片45が連結されたステータコア41と、スロット部を架け渡すように挿入されるコイル20と、を備えたステータ21を有するモータにおいて、コイルは、ステータコア片が連結されて円環状になった際に、軸中心を指向するティース部の傾斜に沿う角度と略同一の傾斜角度を有する一対のスロット挿入部53,54と、ステータコアの軸方向端面41aにおいて一対のスロット挿入部の端部同士の間を連結する一対のコイル渡り部55,56と、を備え、コイル渡り部は、スロット挿入部がスロット部から突出した後、ヨーク部の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部57,58が形成されている。
【選択図】図8
Description
本発明は、モータに関するものである。
インナーロータ型のモータは、円環状のステータの内側に形成された空間にロータ(回転子)が配置され、ロータがステータに対して軸中心に回転可能に構成されたものである。また、ステータコアにおける隣り合うティース部間に形成されるスロット部にはコイルが巻回されるが、コイルの巻回方法としては分布巻や集中巻などが知られている。一般的に、コイルを分布巻で巻回する方が高トルク密度性能を維持し易いため、高トルクが必要なモータにおいては分布巻を採用することが多い。
しかしながら、分布巻は集中巻と異なり、所定距離離れたスロット部間を架け渡すようにコイルが巻回されるため、巻回方法が複雑化し、コイルの巻回作業に時間が掛かり、生産効率が低下していた。また、分布巻は、ステータコアの軸方向端面においてコイル同士が干渉するために渡り部(コイルエンド)が大きくなり、モータを小型化することが困難であった。
そこで、特許文献1では、従来よりもコイルエンド(渡り部)を小さくし、かつ、電流密度の低減を図り、小型で高出力の回転電機(モータ)を得ることを目的として、断面が矩形形状の導体素線を重ね巻きし、両端の頭頂部を重ね巻きした素線の全幅だけずれるように、かつ、隣接するスロット間隔の範囲内の長さとなるようにクランク形状に形成し、固定子のスロットに差し込むことにより形成した回転電機が提案されている。
また、一方で、スロット部内のコイルの占積率を向上、コイルの巻回作業の効率化およびモータの小型化を図るために、帯状にステータコア片を配置した状態で、コイルを巻回し、その後ステータコア片を円環状にしてステータを製造する方法が提案されている。
ここで、ステータコアを複数のステータコア片に分割し、ステータコア片にコイルを装着した後に、ステータコア片を円環状にすることでステータコアを形成する方法を採用する際に、装着されるコイル形状によっては、渡り部の高さが高くなることや、極間干渉することがある。その結果、コイルを構成する巻線の曲げ抵抗が大きくなり、ステータコア片を円環状にすることができないという問題がある。
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ステータコア片にコイルを装着した後に、ステータコア片をスムーズに円環状にしてステータを形成することが可能なコイルを有するモータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、ティース部(例えば、実施形態におけるティース42)およびヨーク部(例えば、実施形態におけるヨーク46)が形成されたステータコア片(例えば、実施形態におけるコア片45)が複数連結されて円環状に形成されたステータコア(例えば、実施形態におけるステータコア41)と、隣接する前記ステータコア片の前記ティース部間に形成されるスロット部(例えば、実施形態におけるスロット43)を架け渡すように挿入されるコイル(例えば、実施形態におけるコイル20)と、を備えたステータ(例えば、実施形態におけるステータ21)と、該ステータの内周側に配され、回転可能に支持されたロータ(例えば、実施形態におけるロータ22)と、を有するモータ(例えば、実施形態におけるモータ23)において、前記コイルは、前記ステータコア片が連結されて円環状になった際に、軸中心を指向する前記ティース部の傾斜に沿う角度と略同一の傾斜角度を有する一対のスロット挿入部(例えば、実施形態におけるスロット挿入部53,54)と、前記ステータコアの軸方向端面(例えば、実施形態における軸方向端面41a)において前記一対のスロット挿入部の端部同士の間を連結する一対のコイル渡り部(例えば、実施形態におけるコイル渡り部55,56)と、を備え、前記コイル渡り部は、前記スロット挿入部が前記スロット部から突出した後、前記ヨーク部の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部(例えば、実施形態におけるスロープ部57,58)が形成されていることを特徴としている。
請求項1に記載した発明によれば、コイルにおける一対のスロット挿入部は、軸中心を指向するティース部の傾斜に沿う角度と略同一の傾斜角度を有しているため、複数のステータコア片を円環状にする際に、変形してしまうのを防止することができる。また、コイルにおける一対のコイル渡り部は、ヨーク部の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部が形成されているため、別のコイルとの干渉を回避することができ、コイル渡り部の高さを低く抑えることができる。つまり、巻線数の多いコイルにおいても、相間干渉を避けられる形状が得られ、また、コイルのスロット挿入部はティース部の傾斜に沿う角度を有しているため、円環化する際にもコイル渡り部に無理な力がかからず、巻線の整列崩れを起こすのを防止することができる。結果として、帯状に複数連結されたステータコア片にコイルを装着した後、該ステータコア片をスムーズに円環状にしてステータを形成することができる。
次に、本発明の実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。なお、本実施形態では車両用モータユニットに採用したモータについて説明する。なお、本実施形態において、軸方向は出力軸の回転軸中心方向を示し、径方向はステータ21およびロータ22の径方向を示し、周方向はステータ21およびロータ22の周方向を示す。
図1は車両用モータユニットの概略構成断面図である。図1に示すように、車両用モータユニット(以下、モータユニットという。)10は、コイル20が巻回された円環状のステータ21および永久磁石25が配されたロータ22を備えたモータ23を有している。また、モータユニット10は、モータ23を収容するモータハウジング11と、モータハウジング11の一方側に締結され、モータ23の出力軸24からの動力を伝達する動力伝達部(不図示)を収容するミッションハウジング12と、モータハウジング11の他方側に締結され、モータ23の回転センサ25を収容するセンサハウジング13と、を備えている。なお、モータハウジング11の内部はモータ室36として、ミッションハウジング12の内部はミッション室37として、センサハウジング13の内部はセンサ室38として、それぞれ構成されている。
モータハウジング11は、モータ23全体を覆うような略円筒形状で形成されている。モータハウジング11とミッションハウジング12との境界部のミッションハウジング12側には、モータ23の出力軸24の一端を回転自在に支持するベアリング26が設けられ、モータハウジング11とセンサハウジング13との境界部のセンサハウジング13側には、モータ23の出力軸24の他端を回転自在に支持するベアリング27が設けられている。
また、モータハウジング11の壁部31、ミッションハウジング12の壁部32およびセンサハウジング13の壁部33には、互いに連通するブリーザ通路35がそれぞれ形成されている。
さらに、モータハウジング11の壁部31内には、モータ23を冷却するためのウォータジャケット40がモータ23のステータ21を全周覆うように設けられている。また、ステータ21は、モータハウジング11に圧入されており、モータハウジング11の内周面に密着するように配されている。
図2はステータ21の平面図であり、図3はステータ21の斜視図である。図2、図3に示すように、ステータ21は、円環状に構成されたステータコア41と、ステータコア41の隣り合うティース42,42間に形成されたスロット43に配されたコイル20と、で構成されている。ステータ21の円環状の中心に形成された空間には、ロータ22が軸中心に回転可能に配置されている。
図4はステータコア41の平面図である。図4に示すように、ステータコア41は、複数のコア片45が円環状に連結されて構成されている。ステータコア41は、円環状の外周を構成するヨーク46と、ヨーク46から円環状の中心に指向して突出されたティース42と、を備えている。また、隣り合うティース42,42の間には、スロット43が形成されている。そして、スロット43にコイル20を配置することで、上記のようにステータ21が構成される。
図5コア片45の平面図である。図5に示すように、コア片45は、ヨーク46およびティース42が形成された平板鋼板47を積層して構成されている。このコア片45を構成する平板鋼板47は、プレス成型により容易に製造することができる。一つのコア片45には、一つのティース42が形成されている。つまり、ティース42毎にコア片45は分割されている。
ヨーク46の周方向両側面(外周部と内周部との間の両側部)における一方の側面48に凹部49が形成され、他方の側面50に凹部49と嵌合する凸部51が形成されている。凹部49と凸部51は、隣接するコア片45が帯状のときは離反しており、コア片45が帯状から円環状に変形したときに嵌合するように構成されている。
次に、コイル20の形状について詳細に説明する。
図6はコイル20の斜視図であり、図7は図6のA−A線に沿う断面図であり、図8はステータ21の側面図である。
図6はコイル20の斜視図であり、図7は図6のA−A線に沿う断面図であり、図8はステータ21の側面図である。
図6〜図8に示すように、コイル20は、導線52が複数回巻き回されてリング状に形成されている。図6では導線52の両端の図示が省略されているが、導線52の両端は一方が中性点バスリング(不図示)に接続され、他方が3相配電バスリング(不図示)に接続されるように構成されている。
コイル20は、コア片45が連結されて円環状になった際に、軸中心を指向するティース42の傾斜に沿う角度と略同一の傾斜角度を有する一対のスロット挿入部53,54と、ステータコア41の軸方向端面41aにおいて一対のスロット挿入部53,54の端部同士の間を連結する一対のコイル渡り部55,56と、を備えている。一対のスロット挿入部53,54は、4つのスロット43を空けたスロット43内に配されている。つまり、コイル渡り部55,56の周方向の長さは4つのスロット43を空けて一対のスロット挿入部53,54が配される周方向長さを有している。
また、コイル渡り部55,56は、スロット挿入部53,54がスロット43から突出した後、ヨーク46(ステータコア41)の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部57,58がそれぞれ形成されている。つまり、コイル渡り部55,56は、軸方向から見て略C字状に形成されている。また、コイル渡り部55,56は、隣接する異相のコイル20(コイル渡り部55,56)との干渉を回避するようにスロープ部57,58が形成されている。例えば、本実施形態では、一方のスロット挿入部53側のコイル渡り部55,56の軸方向高さが一番高く、他方のスロット挿入部54側のコイル渡り部55,56の軸方向高さが一番低くなるようにスロープ部57,58がそれぞれ形成されている。
なお、スロープ部57,58の傾斜角度A°は略同一の角度で形成されており、図9に示すように、コイル20のスロット挿入部53,54間の基準ピッチをpとし、コイル渡り部55,56の最大高さをHとし、コイル渡り部55,56の最小高さをhとすると、
となる。つまり、ステータコア41の大きさやコイル20の導線52の巻数などにより基準ピッチp、最大高さHおよび最小高さhを設定することにより、スロープ部57,58の傾斜角度A°を算出することができる。
ここで、複数のコア片45を円環状に連結してステータコア41を構成したときに形成されるスロット43は全て軸中心を指向するように形成されている。一対のスロット挿入部53,54は、ステータコア41を構成したときにスロット43が軸中心を指向する方向と略一致するように一方のスロット挿入部53に対して他方のスロット挿入部54が傾斜するように形成されている。つまり、スロット挿入部53,54は、スロット43と略同一の方向(軸中心)を指向するように予め形成されている。
また、図2、図3にも示すように、隣り合うコイル20同士は、コイル渡り部55,56において交差しなければならず、かつ、スロット挿入部53,54とコイル渡り部55,56は略同一の断面形状のまま各所で折曲させる必要があるため、一方のスロット挿入部53とコイル渡り部55,56との境界部において、張出部59,60が形成されている。張出部59,60は、スロット挿入部53の端部からスロット挿入部54から遠ざかる方向に折曲し、交差するコイル20との干渉を回避可能な大きさの円弧を描くように湾曲してコイル渡り部55,56に繋がるように形成されている。
さらに、スロット挿入部53,54とコイル渡り部55,56は略同一の断面形状のまま各所で折曲させる必要があるため、他方のスロット挿入部54とコイル渡り部55,56との境界部において、張出部61,62が形成されている。張出部61,62は、スロット挿入部54の端部からスロット挿入部53から遠ざかる方向に折曲し、高屈曲を避ける大きさの円弧を描くように湾曲してコイル渡り部55,56に繋がるように形成されている。つまり、スロット挿入部54側のコイル渡り部55,56の軸方向高さは一番低く、スロット挿入部54とコイル渡り部55,56との距離が近接しているため、導線52を高屈曲させるのを避けるために張出部61,62が形成されている。
次に、コア片45およびコイル20を用いてステータ21を形成する手順を説明する。
図10はコア片45の帯状時の斜視図である。図10に示すように、複数の平板鋼板47を積層・接合して所望の厚みを有したコア片45を複数形成する。そして、コア片45を同じ向きに帯状に並べる。
図10はコア片45の帯状時の斜視図である。図10に示すように、複数の平板鋼板47を積層・接合して所望の厚みを有したコア片45を複数形成する。そして、コア片45を同じ向きに帯状に並べる。
コア片45を全て帯状に配置した後、スロット43にコイル20を配置する。なお、コイル20の周面は絶縁紙(不図示)で覆われている。
具体的には、図示しない巻線装置で複数のリング状のコイル20を形成する。このとき、コイル20を構成する導線52の両端部はリングから延出させて、中性点バスリングや3相配電バスリング(ともに不図示)に接続できるようにしておく。なお、本実施形態では、24個のコイル20を製造しておく。
具体的には、図示しない巻線装置で複数のリング状のコイル20を形成する。このとき、コイル20を構成する導線52の両端部はリングから延出させて、中性点バスリングや3相配電バスリング(ともに不図示)に接続できるようにしておく。なお、本実施形態では、24個のコイル20を製造しておく。
そして、帯状のコア片45を円環状にしていくと、隣り合うコア片45,45の間に形成されるスロット43の入口の幅が徐々に小さくなるとともに、スロット43の面積が徐々に小さくなる。すると、隣り合うスロット43,43の距離が徐々に近づく。そのため、まずコイル20の一方のスロット挿入部53を所望のスロット43内に挿入した後、コア片45を円環状にしていくと、ある時点で他方のスロット挿入部54が所望のスロット43内に挿入される。このようにしてスロット43にコイル20を順次配置していく。
図11は、コイル20のスロット43への挿入状態を示す説明図である。図11に示すように、コイル20は、三相のU相、V相、W相のいずれかを構成している。本実施形態においては、コア片45を48個用いてステータコア41を構成している。つまり、スロット43が48箇所形成される。ここで、U相を構成するコイル20Uは、リング状のコイル20を8個(リングU1〜U8)用いて構成されている。同じく、V相を構成するコイル20Vは、リングV1〜V8を用いて構成され、W相を構成するコイル20WはリングW1〜W8を用いて構成されている。なお、これらのリングは所定間隔置いた2つのスロット43,43に挿入できる大きさで形成されている。そして、コイル20を製造した後に、コイル20をスロット43に挿入する。
具体的には、U相のコイル20Uは、スロット番号1とスロット番号6のスロット43にリングU1を挿入し、スロット番号7とスロット番号12のスロット43にリングU2を挿入し、同様に繰り返し、スロット番号43とスロット番号48のスロット43にリングU8を挿入する。また、V相のコイル20Vは、スロット番号45とスロット番号2のスロット43にリングV1を挿入し、スロット番号3とスロット番号8のスロット43にリングV2を挿入し、同様に、スロット番号39とスロット番号44のスロット43にリングV8を挿入する。さらに、W相のコイル20Wは、スロット番号47とスロット番号4のスロット43にリングW1を挿入し、スロット番号5とスロット番号10のスロット43にリングW2を挿入し、同様に、スロット番号41とスロット番号46のスロット43にリングW8を挿入する。
次に、スロット43にコイル20を挿入する手順を説明する。なお、以下の説明ではスロット43に関しては、スロット番号のみを用いて説明する。
図12はコイル20の配置方法を示す斜視図であり、図13はコア片45の円環状時の概略正面図である。なお、本実施形態では円環化前の帯状のコア片45に対してコイル20を挿入するが、ここでは円環化後のコア片45を示す図13を参照しつつ説明する。
図11〜図13に示すように、V相を構成するコイル20VのリングV1をスロット番号2に挿入する。このとき、リングV1の他方側(図11のA部)は、コア片45がまだ帯状であるためスロット番号45には挿入されない。次に、W相を構成するコイル20WのリングW1をスロット番号4に挿入する。このとき、リングW1の他方側(図11のB部)は、リングV1と同様にスロット番号47には挿入されない。
続いて、U相を構成する20UのリングU1をスロット番号1に挿入する。スロット番号1には、コイル20Uのコイル挿入部53を挿入する。このとき、コア片45が帯状の場合は、コイル20Uのコイル挿入部54はスロット番号6に挿入することができない。そこで、コア片45を帯状から円環状に変形させることにより、スロット番号1とスロット番号6との距離が近づき、スロット同士の距離が所定距離まで近づいた時点で、スロット番号6にコイル20のコイル挿入部54を挿入することができる。これでリングU1の挿入が完了する。なお、一対のスロット挿入部53,54は、ステータコア41を構成したときにスロット43が軸中心を指向する方向と略一致するように一方のスロット挿入部53に対して他方のスロット挿入部54が傾斜するように形成されているため、スロット同士の距離が所定距離まで近づいた時点で、スロット番号6にコイル20のコイル挿入部54が挿入される。また、コイル渡り部55,56はヨーク46の軸方向端面に沿うように配される。
続いて、V相を構成する20VのリングV2をスロット番号3に挿入する。スロット番号3には、コイル20Vのコイル挿入部53を挿入する。ここで、スロット番号6にリングU1を構成するコイル20Uのコイル挿入部54が挿入された状態(当該部分が円環状になっている状態)では、スロット番号3のスロット入口が狭くなっているため、リングV2が挿入できない。そのため、スロット番号3付近のコア片45を一旦帯状に戻して、スロット番号3にコイル20のコイル挿入部53を挿入する。そして、上記リングU1の場合と同様に、コア片45を再度帯状から円環状に変形させることにより、スロット番号3とスロット番号8との距離が近づき、スロット同士の距離が所定距離まで近づいた時点でスロット番号8にコイル20のコイル挿入部54が挿入される。これでリングV2の挿入が完了する。なお、コイル渡り部55,56はスロープ部57,58が形成されているため、隣り合う異相のコイル20とは干渉せずに配することができる(図8参照)。
続いて、W相を構成する20WのリングW2をスロット番号5に挿入する。スロット番号5には、コイル20Wのコイル挿入部53を挿入する。ここで、スロット番号8にリングV2を構成するコイル20のコイル挿入部54が挿入された状態では、スロット番号5のスロット入口が狭くなっているため、リングW2が挿入できない。そのため、スロット番号5付近のコア片45を一旦帯状に戻して、スロット番号5にコイル20のコイル挿入部53を挿入する。そして、上記リングU1の場合と同様に、コア片45を再度帯状から円環状に変形させることにより、スロット番号5とスロット番号10との距離が近づき、スロット同士の距離が所定距離まで近づいた時点でスロット番号10にコイル20のコイル挿入部54が挿入される。これでリングW2の挿入が完了する。
W相のコイル20WのリングW2をスロット番号5とスロット番号10を掛け渡すように挿入した後は上記工程を繰り返し、リングU2→V3→W3→U3→V4→…→V8→W8→U8をそれぞれスロット43内に挿入する。このようにコイル20をスロット43内に挿入すると、コイル20U,20V,20Wはステータコア41の軸方向両端面41aから突出したコイル渡り部56,57が、軸方向から見て互いに交差するようにしながら配置される。なお、図14は、円環化装置65を用いてコア片45にコイル20を取り付けていく途中の状態を示している。
そして、リングV1のA部およびリングW1のB部以外のコイル20をスロット43に挿入し、最後にA部、B部を専用治具などを用いてスロット43内に挿入することで、ステータ21が完成する。その後、ステータ21をモータハウジング11内に取り付け、スロット43に挿入された各コイル20U,20V,20Wに緩みがないように導線52を調整した後、各コイル20U,20V,20Wの両端部から延出している導線52をU相、V相およびW相の3相配電バスリングおよび中性点バスリング(不図示)に接続することで、モータユニット10へのステータ21の取り付けが完了する。
本実施形態によれば、コイル20における一対のスロット挿入部53,54は、軸中心を指向するティース42の傾斜(スロット43の方向)に沿う角度と略同一の傾斜角度を有しているため、複数のステータコア片45を円環状にする際に、コイル20が変形してしまうのを防止することができる。また、コイル20における一対のコイル渡り部55,56は、ヨーク46の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部57,58が形成されているため、別のコイル20との干渉を回避することができ、コイル渡り部55,56の高さを低く抑えることができる。つまり、導線52の巻線数の多いコイル20においても、相間干渉を避けられる形状が得られ、また、コイル20のスロット挿入部53,54はティース42の傾斜に沿う角度を有しているため、円環化する際にもコイル渡り部55,56に無理な力がかからず、導線52の整列崩れを起こすのを防止することができる。結果として、帯状に複数連結されたステータコア片45にコイル20を装着した後、該ステータコア片45をスムーズに円環状にしてステータ21を形成することができる。
また、本実施形態のコイル20は、コイル渡り部55,56の高さを低く抑えることができるため、導線52の全長を短くすることができる。このように導線52の全長が短くなったコイル20を分布巻でステータコア41に取り付けることで、高トルク密度性能を維持することができ、高性能のモータ23のステータ21を製造することができる。
また、予め導線52を巻回してスロット43に対応した大きさの円環状のコイル20を形成したため、リング状に形成されたコイル20をスロット43に挿入するだけで、コイル20を取り付けることができる。したがって、コア片45を準備してから巻線機などを用いて導線52をスロット43に巻き付けながらコイルを形成する場合よりも生産効率を向上することができる。
さらに、モータ23の回転磁界を形成するU相、V相、W相を構成するコイル20(20U,20V,20W)を、全て同一形状で形成したため、U相、V相、W相からなる三相モータを製造するにあたって、各相に対応したコイル20(20U,20V,20W)を同じ工程で製造することができる。したがって、生産効率を向上することができる。
尚、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、コア片45の形状は本実施形態の形状に限らず、図15、図16に示すような形状であってもよい。図15は隣り合うコア片145,145をリンクピン67にて連結する構造であり、図16は隣り合うコア片245,245をリンクプレート68およびリンクピン67にて連結する構造である。また、図17に示すようにヨーク346の径方向の厚さを薄肉状にして帯状のコア片345を一体で形成し、ヨーク346を湾曲させることにより円環状に変形できるように構成してもよい。
20…コイル 21…ステータ 22…ロータ 23…モータ 41…ステータコア 41a…軸方向端面 42…ティース(ティース部) 43…スロット(スロット部) 45…コア片(ステータコア片) 46…ヨーク(ヨーク部) 53,54…スロット挿入部 55,56…コイル渡り部 57,58…スロープ部
Claims (1)
- ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片が複数連結されて円環状に形成されたステータコアと、隣接する前記ステータコア片の前記ティース部間に形成されるスロット部を架け渡すように挿入されるコイルと、を備えたステータと、
該ステータの内周側に配され、回転可能に支持されたロータと、を有するモータにおいて、
前記コイルは、
前記ステータコア片が連結されて円環状になった際に、軸中心を指向する前記ティース部の傾斜に沿う角度と略同一の傾斜角度を有する一対のスロット挿入部と、
前記ステータコアの軸方向端面において前記一対のスロット挿入部の端部同士の間を連結する一対のコイル渡り部と、を備え、
前記コイル渡り部は、前記スロット挿入部が前記スロット部から突出した後、前記ヨーク部の軸方向端面に沿うように径方向外側に湾曲形成されるとともに、一方端部から他方端部へ向かって軸方向高さが傾斜するスロープ部が形成されていることを特徴とするモータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010097064A JP2011229290A (ja) | 2010-04-20 | 2010-04-20 | モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010097064A JP2011229290A (ja) | 2010-04-20 | 2010-04-20 | モータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011229290A true JP2011229290A (ja) | 2011-11-10 |
Family
ID=45044031
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010097064A Pending JP2011229290A (ja) | 2010-04-20 | 2010-04-20 | モータ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011229290A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014050236A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Mitsubishi Electric Corp | 回転電機 |
CN114285195A (zh) * | 2021-12-08 | 2022-04-05 | 东南大学 | 电机铁芯轭部端环装置 |
-
2010
- 2010-04-20 JP JP2010097064A patent/JP2011229290A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014050236A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Mitsubishi Electric Corp | 回転電機 |
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