JP6264049B2 - デフレクタ、ボールねじ装置、ボールねじ装置の製造方法、及びステアリング装置 - Google Patents
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Description
この構成によれば、押圧治具により凹部の座面に押圧力を付与した際に、凹部の座面には、本体部の挿入方向と同じ方向の力が付与される。したがって、ナットの取付孔に本体部を押し込み易くなるため、ナットに対するデフレクタの組み付けが容易となる。
上記デフレクタについて、前記凹部は、前記本体部の外面における長手方向の両端部にそれぞれ配置される一対の凹部からなることが好ましい。
そして、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、同ねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が内周面に形成された円筒状のナットと、前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールと、前記ナットの外周面に形成された取付孔に挿入されるデフレクタと、前記ナットの外周面に組み付けられる環状部材と、を備え、前記デフレクタにより前記転動路の二箇所間を短絡する環流路を形成し、同環流路を介して前記ボールが前記転動路を無限循環するボールねじ装置において、前記デフレクタとして上記のようなデフレクタが用いられることが好ましい。
この構成によれば、ねじ軸の作動力がボールを介してナットに伝達された際にデフレクタの突出部が環状部材の内周面に接触することにより、デフレクタのガタツキを抑制することができる。これにより、環流路内のボールが円滑に転動し易くなるため、ねじ軸とナットとの間での駆動力の伝達効率を高めることができる。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、運転者のステアリングホイール2の操作に基づき転舵輪3を転舵させる操舵機構4、及び運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構5を備えている。
図2に示すように、ラックシャフト42の外周面にはねじ溝45が形成されている。ボールねじ装置8は、ラックシャフト42のねじ溝45に対向する螺旋状のねじ溝81が内周面に形成された円筒状のナット80、及びラックシャフト42のねじ溝45とナット80のねじ溝81とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路R1に配置される複数のボール82を備えている。
図7に示すように、ナット80の取付孔83にデフレクタ20を組み付ける際には、まず、ナット80の取付孔83にデフレクタ20を差し込んだ後、ナット80に押圧治具50を組み付ける。具体的には、デフレクタ20の外面25に形成された一対の突出部27,28の座面27a,28aに押圧治具50を当接させる。その後、矢印Aで示す方向の押圧力Fを押圧治具50に加えることにより、デフレクタ20をナット80の取付孔83に圧入する。これにより、図8に示すように、デフレクタ20は、その外面25の全てが取付孔83内に収容され、且つ、一対の突出部27,28の一部がナット80の外周面86から飛び出た状態で取付孔83内に挿入されて固定される。その後、一対の突出部27,28においてナット80の外周面86から飛び出た部分、すなわち図中の点ハッチングで示す部分27b,28bを適宜の機器を用いて切削することにより、一対の突出部27,28をナット80の外周面86と面一の状態となるように加工する。また、ナット80の取付孔84に対するデフレクタ30の組み付けについても、同様の圧入工程及び切削工程を行う。こうしてナット80にデフレクタ20,30を組み付けた後、ナット80の外周面86に軸受87及び従動プーリ91を組み付ける。これにより、図9に示すように、デフレクタ20における一対の突出部27,28の切削された部分が軸受87の内周面に当接する。また、図示は割愛するが、デフレクタ30における一対の突出部の切削された部分が従動プーリ91の内周面に当接する。以上により、デフレクタ20,30、軸受87、及び従動プーリ91のナット80に対する組み付けが完了する。
(1)図7に示すように、デフレクタ20の外面25に形成された一対の突出部27,28の座面27a,28aに押圧治具50を当接させることができるため、デフレクタ20に対する押圧治具50の組み付けが容易となる。そのため、ナット80にデフレクタ20を組み付ける際の作業効率を向上させることができる。なお、デフレクタ30に関しても同様の作用及び効果を得ることができる。
・上記実施形態では、一対の突出部27,28の座面27a,28aがデフレクタ20の挿入方向Aに直交する平面であったが、座面27a,28aは、挿入方向Aに対して所定角度(>0°)だけ傾斜した平面であってもよい。
・ボールねじ装置に用いられるデフレクタとしては、上記実施形態のデフレクタ20に限らず、種々の形状のデフレクタがあるため、デフレクタの形状に併せて突出部の位置を適宜変更してもよい。上記実施形態のデフレクタ20とは別のデフレクタとしては、例えば図10に示すデフレクタ100がある。図10に示すように、このデフレクタ100の本体部101は、断面略小判型状の第1挿入部102及び第2挿入部103を連結部104を介して連結した形状からなる。第1挿入部102及び第2挿入部103は、上記実施形態のナット80に形成された一対の取付孔83,84にそれぞれ挿入される部分である。連結部104は、上記実施形態のナット80に形成された凹部85に挿入される部分である。したがって、本変形例では、ナット80の凹部85もデフレクタ100の取付孔に相当する。このデフレクタ100には、一方の挿入部102の長手方向の一端部102aから連結部104を介して他方の挿入部103の長手方向の一端部103aに貫通する貫通孔105が形成されている。この貫通孔105により環流路R2が構成される。なお、図10では、一方の挿入部102において貫通孔105の一方の開口部105aが形成されている一端部102aとは反対側の他端部を符号「102b」で示している。また、他方の挿入部103において貫通孔105の他方の開口部105bが形成されている一端部103aとは反対側の他端部を符号「103b」で示している。このようなデフレクタ100では、本体部101の外面106において、例えば一方の挿入部102の他端部102bに対応した位置に突出部107を形成するとともに、他方の挿入部103の他端部103bに対応した位置に突出部108を形成する。そして、突出部107の先端部及び突出部108の先端部に座面107a及び座面108aをそれぞれ形成してもよい。
・上記実施形態では、デフレクタ20の一対の突出部27,28を軸受87の内周面に当接させたが、これに代えて、例えばデフレクタ20の一対の突出部27,28を軸受87及び従動プーリ91のそれぞれの内周面に当接させてもよい。また、上記実施形態では、ナット80の外周面86に組み付けられる環状部材として軸受87及び従動プーリ91を例示したが、それら以外の環状部材がナット80の外周面に組み付けられる場合には、その環状部材の内周面にデフレクタ20の一対の突出部27,28を当接させたり、デフレクタ30の一対の突出部を当接させてもよい。
Claims (10)
- 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
同ねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が内周面に形成された円筒状のナットと、前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールと、を備えるボールねじ装置に用いられ、
前記ナットの外周面に形成された取付孔に挿入されることにより前記転動路の二箇所間を短絡する環流路を形成し、同環流路を介して前記転動路における前記ボールの無限循環を可能とするデフレクタであって、
前記ナットの取付孔に挿入される本体部と、
同本体部が前記ナットの取付孔に挿入された際に前記ナットの外周面側に位置する前記本体部の外面に形成された凹部と、を備え、
前記凹部は、その底部に平面状の座面を有し、
前記座面は、前記ナットの取付孔に対する前記本体部の挿入方向に直交する平面からなることを特徴とするデフレクタ。 - 請求項1に記載のデフレクタにおいて、
前記凹部は、前記本体部の外面において前記環流路に対向しない部分に形成されることを特徴とするデフレクタ。 - 請求項1又は2に記載のデフレクタにおいて、
前記凹部は、前記本体部において前記ナットの取付孔に対する前記本体部の挿入方向の厚さが最も厚い部分に形成されることを特徴とするデフレクタ。 - 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
同ねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が内周面に形成された円筒状のナットと、前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールと、を備えるボールねじ装置に用いられ、
前記ナットの外周面に形成された取付孔に挿入されることにより前記転動路の二箇所間を短絡する環流路を形成し、同環流路を介して前記転動路における前記ボールの無限循環を可能とするデフレクタであって、
前記ナットの取付孔に挿入される本体部と、
同本体部が前記ナットの取付孔に挿入された際に前記ナットの外周面側に位置する前記本体部の外面に形成された凹部と、を備え、
前記凹部は、前記本体部において前記ナットの取付孔に対する前記本体部の挿入方向の厚さが最も厚い部分に形成されることを特徴とするデフレクタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のデフレクタにおいて、
前記凹部は、前記本体部の外面における長手方向の両端部にそれぞれ配置される一対の凹部からなることを特徴とするデフレクタ。 - 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
同ねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が内周面に形成された円筒状のナットと、
前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールと、を備えるボールねじ装置に用いられ、
前記ナットの外周面に形成された取付孔に挿入されることにより前記転動路の二箇所間を短絡する環流路を形成し、同環流路を介して前記転動路における前記ボールの無限循環を可能とするデフレクタであって、
前記ナットの取付孔に挿入される本体部と、
同本体部が前記ナットの取付孔に挿入された際に前記ナットの外周面側に位置する前記本体部の外面に形成される突出部と、を備え、
前記突出部は、その先端部に平面状の座面を有することを特徴とするデフレクタ。 - 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
同ねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が内周面に形成された円筒状のナットと、
前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールと、
前記ナットの外周面に形成された取付孔に挿入されるデフレクタと、
前記ナットの外周面に組み付けられる環状部材と、を備え、
前記デフレクタにより前記転動路の二箇所間を短絡する環流路を形成し、同環流路を介して前記ボールが前記転動路を無限循環するボールねじ装置であって、
前記デフレクタとして、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデフレクタが用いられるボールねじ装置。 - 請求項7に記載のボールねじ装置において、
前記デフレクタは、前記本体部の外面に設けられた突出部を備え、同突出部が前記環状部材の内周面に当接することを特徴とするボールねじ装置。 - 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
同ねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が内周面に形成された円筒状のナットと、
前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールと、
前記ナットの外周面に形成された取付孔に挿入されるデフレクタと、
前記ナットの外周面に組み付けられる環状部材と、を備え、
前記デフレクタにより前記転動路の二箇所間を短絡する環流路を形成し、同環流路を介して前記ボールが前記転動路を無限循環するボールねじ装置の製造方法において、
前記デフレクタとして、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデフレクタが用いられ、
前記デフレクタの凹部を押圧治具で押圧することにより前記ナットの取付孔に前記デフレクタを挿入する工程と、
前記ナットの外周面に前記環状部材を組み付ける工程と、を備えることを特徴とするボールねじ装置の製造方法。 - 車両の転舵軸をねじ軸として、前記転舵軸の外周面に形成された螺旋状のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が形成された円筒状のナット、及び前記転舵軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝とにより囲まれた空間からなる螺旋状の転動路に配置される複数のボールを備えるボールねじ装置と、
前記ナットにトルクを付与するモータと、を備えるステアリング装置において、
前記ボールねじ装置として、請求項7又は8に記載のボールねじ装置が用いられることを特徴とするステアリング装置。
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