JP6911712B2 - ボールネジ装置及びステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、ボールネジ装置及びステアリング装置に関する。
従来、デフレクタ方式のボールネジ装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。ボールネジ装置は、車両の転舵輪を転舵させるステアリング装置などに用いられる装置である。特許文献1及び2記載のボールネジ装置は、ボールネジ軸と、ボールネジナットと、を備えている。ボールネジ軸は、車幅方向に延在する、車幅方向への移動により転舵輪の向きを変えるラックシャフトである。ボールネジ軸の外周面には、外周転動溝が螺旋状に形成されている。ボールネジナットは、ボールネジ軸に対して径方向外側に同軸上に配置されており、ボールネジ軸に対して相対回転できるように筒状に形成されている。ボールネジナットの内周面には、内周転動溝が螺旋状に形成されている。ボールネジ軸とボールネジナットとの間には、ボールネジ軸の外周転動溝とボールネジナットの内周転動溝とで囲まれる、ボールが転動し得る転動路が形成されている。
ボールネジナットは、ナット本体部と、デフレクタと、を有している。ナット本体部には、内周転動溝の少なくとも一部が形成されている。また、ナット本体部には、径方向に貫通するデフレクタ取付孔が二箇所、互いに軸方向に離間して設けられている。ナット本体部の二箇所のデフレクタ取付孔の間には、軸方向に延びてボールが転動し得る循環路が形成されている。デフレクタは、二箇所のデフレクタ取付孔に対応して二個設けられている。二個のデフレクタはそれぞれ、対応のデフレクタ取付孔に径方向外側から挿入されて固定される。各デフレクタには、ナット本体部の転動路と循環路とを連通する通過路が形成されている。デフレクタの通過路は、デフレクタ取付孔へのデフレクタの固定状態において転動路と循環路との間でボールを通過させる通路である。デフレクタの通過路の一端は、ボールネジナットの軸方向に向いた側面に開口し、ナット本体部の循環路に接続される。
特開2015−45394号公報 特開2010−71411号公報
ところで、上述の如くボールネジナットのデフレクタをナット本体部に組み付けるうえでは、デフレクタを、ナット本体部に形成されたデフレクタ取付孔に径方向外側から挿入することが必要である。デフレクタがナット本体部のデフレクタ取付孔に挿入されて所望位置に収容された後、デフレクタとナット本体部との接触部位が擦り減ることがある。例えば、デフレクタがデフレクタ取付孔に圧入される構造では、デフレクタが成形容易な材料(例えば亜鉛など)で構成されていると、デフレクタの圧入部の締め代が時間の経過と共に徐々に減っていく。この擦り減りが生じると、デフレクタ取付孔に挿入されていたデフレクタがナット本体部に対して径方向外方へ動き易くなる。ボールネジナットの径方向外側には、ボールベアリングやプーリなどの対向部品が配置されている。ボールネジナットとこの対向部品との間に隙間があると、デフレクタがデフレクタ取付孔から径方向外方へその隙間分だけ抜ける可能性がある。
ボールをデフレクタの通過路及びナット本体部の循環路をスムースに転動させるためには、デフレクタの通過路とナット本体部の循環路との接続部の開口幅がそのボールの直径以上であることが必要である。しかしながら、上記の如くデフレクタがデフレクタ取付孔から径方向外方へ抜けた場合はデフレクタの通過路とナット本体部の循環路とが径方向にずれるため、デフレクタの通過路の開口幅及びナット本体部の循環路の開口幅の双方が略ボール直径に設定されていると、上記の接続部で通路に段差が生じて、部分的にボールが転動する通路の路幅が小さくなることで、ボール詰まりが発生するおそれがある。
一方、上記のボール詰まりの発生を防止するうえでは、デフレクタがデフレクタ取付孔から径方向外方へ抜けても、上記の接続部でボールが転動する通路の路幅がボール直径以上に確保されるように、デフレクタの通過路全域の路幅及びナット本体部の循環路全域の路幅の少なくとも何れか一方をボール直径に比して上記の隙間分だけ大きくすることが考えられる。しかしながら、この構造では、デフレクタの通過路全域の路幅又はナット本体部の循環路全域の路幅がボール直径に比して上記の隙間分だけ大きいため、複数のボールがその通過路内又は循環路内で直列に整列せずに千鳥状に配列されて、ボールの循環が滑らかに行われなくなる。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、デフレクタとナット本体部との径方向ズレに起因するボール詰まりの発生を抑えつつ、滑らかなボール循環を確保することが可能なボールネジ装置及びステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明に係るボールネジ装置は、外周面に外周転動溝が螺旋状に形成されたボールネジ軸と、前記ボールネジ軸に対して径方向外側に同軸上に配置され、前記ボールネジ軸に対して相対回転できるように筒状に形成され、内周面に内周転動溝が螺旋状に形成されたボールネジナットと、前記外周転動溝と前記内周転動溝とで囲まれた転動路を転動可能なボールと、前記転動路の一端と他端とを連通して前記ボールを無限循環させる循環路と、を備えるボールネジ装置であって、前記ボールネジナットは、前記内周転動溝の少なくとも一部と前記循環路の少なくとも一部とがそれぞれ形成され、径方向に貫通するデフレクタ取付孔が設けられたナット本体部と、前記デフレクタ取付孔に径方向外側から挿入されて固定され、前記ナット本体部の前記内周転動溝と前記循環路とを連通して前記ボールを通過させる通過路が形成され、側面に前記通過路の前記循環路側が開口するデフレクタと、を有し、前記ナット本体部及び前記デフレクタのうち少なくとも一方は、前記ナット本体部の前記循環路と前記デフレクタの前記通過路とが互いに接続される接続部の周辺部位に設けられた、前記デフレクタ取付孔に対する前記デフレクタの挿入位置が所望位置から所定距離範囲内でずれたときに前記接続部での前記ボールの通過を確保する傾斜部を有する。
この構成によれば、デフレクタ取付孔に対するデフレクタの挿入位置が所望位置から径方向外方に所定距離範囲内でずれたときにも、傾斜部によって、デフレクタの通過路とナット本体部の循環路との接続部でのボールの通過が確保される。このため、デフレクタの挿入位置のズレが生じても、ボールが接続部近傍で詰まるのを抑えることができる。また、このデフレクタの構造においては、ボールの詰まりの発生を抑制するうえで、デフレクタの通過路全域に亘って路幅自体をボールの直径に比して所定距離範囲内だけ大きくすることは不要である。このため、通過路の傾斜部を除いた路幅を、ボールの直径と同じ或いはその直径に比して僅かに大きくすればよいので、デフレクタの通過路内で複数のボールが千鳥状に配列されるのを抑えることができる。従って、ボールネジナットのデフレクタとナット本体部との径方向ズレに起因するボール詰まりの発生を抑えつつ、滑らかなボール循環を確保することができる。
また、本発明に係るステアリング装置は、上記のボールネジ装置を備える。この構成によれば、ボールネジナットのデフレクタとナット本体部との径方向ズレに起因するボール詰まりの発生を抑えつつ、滑らかなボール循環を確保することができるステアリング装置を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るステアリング装置の全体構成図である。 実施形態のステアリング装置が備えるボールネジ装置を含む部分の断面図である。 実施形態のボールネジ装置が備えるボールネジナットを径方向外側から見た際の図である。 実施形態のボールネジナットが有するデフレクタ取付孔を径方向外側から見た際の図である。 実施形態のボールネジナットが有するデフレクタの斜視図である。 実施形態のデフレクタの側面図である。 実施形態のボールネジナットを図3に示す直線VII−VIIで切断した際の断面図である。 実施形態のデフレクタを図6に示す直線VIII−VIIIで切断した際の断面図である。 実施形態のボールネジナットを図3に示す直線IX−IXで切断した際の断面図である。 実施形態のボールネジ装置においてデフレクタがデフレクタ取付孔に対して所望位置から径方向外側に位置ずれしたときに生じる状態を説明するための図である。 本発明の第1変形形態のボールネジ装置が備えるボールネジナットを図3に示す直線IX−IXで切断した際の断面図である。 第1変形形態のボールネジ装置においてデフレクタがデフレクタ取付孔に対して所望位置から径方向外側に位置ずれしたときに生じる状態を説明するための図である。 本発明の第2変形形態のボールネジ装置が備えるボールネジナットを図3に示す直線IX−IXで切断した際の断面図である。 第2変形形態のボールネジ装置においてデフレクタがデフレクタ取付孔に対して所望位置から径方向外側に位置ずれしたときに生じる状態を説明するための図である。
本発明の一実施形態に係るボールネジ装置を備えるステアリング装置の構成について、図1〜図10を参照して説明する。
ステアリング装置は、転舵シャフトであるラックシャフトをそのラックシャフトの延びる軸方向に沿って移動させることにより、そのラックシャフトの両端それぞれに連結されている転舵輪を転舵させる装置である。ステアリング装置1は、運転者の操舵トルクを補助トルクによって補助することが可能である。尚、ボールネジ装置は、四輪操舵装置や後輪操舵装置,ステアバイワイヤ装置などに適用可能である。
(1.ステアリング装置の構成)
本実施形態のステアリング装置1は、図1に示す如く、ステアリングシャフト10を備えている。ステアリングシャフト10の一端部には、車両運転者による回転操作可能なステアリングホイール11が連結されている。ステアリングシャフト10は、車体に支持されたラックハウジング20に回転可能に保持されており、ステアリングホイール11の回転に伴って回転する。ステアリングシャフト10の他端部には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン12が形成されている。
ステアリング装置1は、車幅方向すなわち軸方向Aに延在する転舵シャフトであるラックシャフト13を備えている。ラックシャフト13の何れか一端に偏った箇所には、上記ピニオン12と共にラックアンドピニオン機構を構成するラック14が形成されている。ステアリングシャフト10のピニオン12とラックシャフト13のラック14とは、互いに噛合している。ステアリングシャフト10は、車両運転者による回転操作(すなわち、ステアリング操作)によってステアリングホイール11に加わったトルクをラックシャフト13に伝達する。ステアリングシャフト10の回転は、上記のラックアンドピニオン機構によりラックシャフト13の軸方向Aへの直線移動に変換される。ラックシャフト13は、ステアリングシャフト10の回転に伴って軸方向Aに移動する。
ラックシャフト13の軸方向両端部には、ボールジョイント15を介してタイロッド16が揺動可能に連結されている。タイロッド16には、ナックルアーム17を介して転舵輪18が連結されている。転舵輪18は、ラックシャフト13の軸方向Aへの移動により転舵される。この転舵輪18の転舵により車両は左右に操舵される。
ステアリング装置1は、電動モータを駆動源として、車両運転者がステアリングホイール11を回転操作するときの操舵トルクを補助する補助トルクを発生することが可能である。ステアリング装置1は、電動モータ30と、駆動力伝達装置40と、ボールネジ装置50と、を備えている。ステアリング装置1は、電動モータ30の発生した補助トルクを、駆動力伝達装置40を介してギヤ装置としてのボールネジ装置50に伝達すると共に、そのボールネジ装置50によってラックシャフト13を軸方向Aに直線移動させる力に変換する。この変換により、ラックシャフト13に転舵輪18の転舵を補助する補助トルクが付与される。ステアリング装置1は、いわゆるラックパラレル型の電動パワーステアリング装置である。
ラックハウジング20は、略筒状に形成された軸方向Aに延在するハウジングであって、ラックシャフト13を軸方向Aに移動可能に覆って保持している。ラックハウジング20は、ラックシャフト13が挿通される挿通孔20aを有している。ラックシャフト13は、軸方向Aへ移動可能にラックハウジング20に挿通されて保持されている。ラックハウジング20は、アルミニウムなどにより形成されている。ラックハウジング20は、ラックシャフト13の外径に比して僅かに大きな内径を有する小径部21と、小径部21の内径に比して大きな内径を有する大径部22と、を有している。
小径部21には、ステアリングシャフト10が挿通されるステアリングシャフト挿通部23が一体的に形成されている。大径部22には、駆動力伝達装置40が収容されると共に、ボールネジ装置50が収容される。大径部22には、主に後述のボールネジナット及び転動ボールを内包するボールネジ室24が形成されている。大径部22は、ラックハウジング20の略軸方向中央部に配置されている。尚、ラックハウジング20は、大径部22にボールネジ装置50のボールネジナットと駆動力伝達装置40とを容易に収容できるように軸方向Aに分離可能であってよい。
電動モータ30は、ラックハウジング20の大径部22近傍に固定されるケース31に収容されている。電動モータ30は、その出力軸がラックシャフト13の軸方向Aに対して平行となるように配置されている。電動モータ30は、電子制御装置(ECU)32に電気的に接続されている。ECU32は、ステアリングシャフト10の操舵トルクに相当する捩れ量に基づいて電動モータ30に発生させるべき補助トルクを演算し、その補助トルクを発生させるための指令を電動モータ30に対して行う。電動モータ30は、ECU32からの指令に従って補助トルクを発生する。電動モータ30の発生した補助トルクは、駆動力伝達装置40に伝達される。
駆動力伝達装置40は、図2に示す如く、駆動プーリ41と、従動プーリ42と、歯付ベルト43と、を有している。駆動プーリ41は、電動モータ30の出力軸に取り付け固定されている。駆動プーリ41は、外歯を有するように形成されている。従動プーリ42は、ボールネジ装置50の後述のボールネジナットに取り付け固定されている。従動プーリ42は、外歯を有するように形成されている。歯付ベルト43は、帯状かつ環状に形成されている。歯付ベルト43は、駆動プーリ41の外歯及び従動プーリ42の外歯に噛合可能な内歯を有している。駆動力伝達装置40は、電動モータ30が発生した補助トルクを、駆動プーリ41から歯付ベルト43を介して従動プーリ42へ伝達する。
電動モータ30から駆動力伝達装置40に補助トルクが伝達されると、ボールネジ装置50のボールネジナットがラックハウジング20の大径部22に対して後述のボールベアリングを介して支持されながら回転駆動されることで、複数の転動ボールを介してラックシャフト13が軸方向Aに移動される。
上記のステアリング装置1において、ステアリングホイール11が回転操作されると、その操舵トルクがステアリングシャフト10に伝達され、ピニオン12とラック14とからなるラックアンドピニオン機構を介してラックシャフト13が軸方向Aに移動される。また、ステアリングシャフト10に入力された入力トルクは、トルクセンサなどを用いて検出される。電動モータ30の出力は、ステアリングシャフト10の入力トルク及び電動モータ30の回転位置などに基づいて制御される。電動モータ30は、ECU32からの指令に従って補助トルクを発生する。電動モータ30が補助トルクを発生すると、その補助トルクが駆動力伝達装置40を介してボールネジ装置50に伝達されて、ラックシャフト13を軸方向Aに移動させる駆動力に変換される。
ラックシャフト13が軸方向Aに移動されると、ボールジョイント15、タイロッド16、及びナックルアーム17を介して転舵輪18の向きが変更される。従って、ステアリング装置1によれば、運転者によるステアリングシャフト10への操舵トルクと共に、その操舵トルクに応じた電動モータ30による補助トルクをラックシャフト13に付与して、そのラックシャフト13を軸方向Aに移動させることができるので、運転者がステアリングホイール11を操作する際に必要な操舵力を軽減することができる。
(2.ボールネジ装置の構成)
ボールネジ装置50は、ボールネジ軸60と、ボールネジナット70と、転動ボール51と、を備えている。ボールネジ軸60は、ラックシャフト13のうちボールネジ部が設けられた部位のことである。ボールネジ軸60の外周面には、外周転動溝61が螺旋状に形成されている。外周転動溝61は、断面形状が略半円状となる溝である。外周転動溝61は、ボールネジ軸60の外周面にボールネジ軸60の軸中心を中心にして複数回巻かれて螺旋状に延びている。外周転動溝61は、ボールネジ軸60のラック14とは異なる位置に設けられている。
ボールネジナット70は、円筒状に形成された軸方向Aに延在する円筒部材であって、ラックシャフト13と同軸に配置されている。ボールネジナット70の軸方向Aの一端側(図2における左側)は、ラックハウジング20の大径部22の内周面にボールベアリング52を介して回転可能に支持されている。また、ボールネジナット70の軸方向Aの他端側(図2における右側)には、従動プーリ42が取り付け固定されている。
ボールネジナット70の内周面には、内周転動溝71が螺旋状に形成されている。内周転動溝71は、断面形状が略半円状となる溝である。内周転動溝71は、ボールネジナット70の内周面にボールネジナット70の軸中心を中心にして複数回巻かれて螺旋状に延びている。ボールネジ軸60の外周転動溝61とボールネジナット70の内周転動溝71とは、径方向Rに対向して配置されている。外周転動溝61と内周転動溝71との間には、外周転動溝61と内周転動溝71とで囲まれる転動路53が形成されている。転動路53は、転動ボール51が転動可能となるように形成されている。転動路53には、複数の転動ボール51が配列されている。ボールネジ軸60の外周転動溝61とボールネジナット70の内周転動溝71とは、複数の転動ボール51を介して螺合している。
ボールネジナット70は、図3に示す如く、ナット本体部80と、デフレクタ90と、を有している。ナット本体部80は、円筒状のボールネジナット70の本体をなす部位である。ボールネジナット70の内周転動溝71の少なくとも一部(大部分)は、ナット本体部80の内周面に形成されている。
ナット本体部80は、図3及び図4に示す如く、デフレクタ取付孔81を有している。デフレクタ取付孔81は、ナット本体部80の外周面と内周転動溝71が形成された内周面との間で径方向Rに貫通する貫通孔である。デフレクタ取付孔81は、ナット本体部80にデフレクタ90を取り付け固定(具体的には、圧入)するための取付孔である。デフレクタ90は、ナット本体部80の径方向外側からデフレクタ取付孔81に挿入されてナット本体部80に圧入される。以下、デフレクタ取付孔81へのデフレクタ90の挿入方向を挿入方向Dとする(図7参照)。
デフレクタ取付孔81は、ナット本体部80に二箇所設けられている。以下適宜、二箇所のデフレクタ取付孔81をデフレクタ取付孔81−1,81−2とする。一対のデフレクタ取付孔81−1,81−2は、互いに軸方向Aにおいて所定間隔を隔てて配置されている。一対のデフレクタ取付孔81−1,81−2の軸方向Aの所定間隔は、ナット本体部80に螺旋状に形成された内周転動溝71の所定複数列を跨ぐのに必要な距離である。
デフレクタ取付孔81−1,81−2はそれぞれ、ナット本体部80の周方向Cに延びるように形成されている。デフレクタ取付孔81−1,81−2はそれぞれ、圧入孔部82と、ガイド孔部83と、支持面84と、を有している。圧入孔部82は、ボールネジナット70の径方向Rの外周面側に形成されている。ガイド孔部83は、ボールネジナット70の径方向Rの内周面側に形成されており、圧入孔部82に対して径方向内側に隣接して形成されている。支持面84は、圧入孔部82とガイド孔部83との段差部に形成される面である。
圧入孔部82は、デフレクタ90の後述の外周部を収容しつつ圧入固定するための部位である。圧入孔部82は、デフレクタ90の外周部の形状に倣って、デフレクタ90の挿入方向Dに直交する断面の形状が、角部が曲面となる略長方形状となるように形成されている。圧入孔部82は、軸方向Aに向いて互いに平行に対向する一対の軸方向側面82a1,82a2と、周方向Cに向いて互いに平行に対向する一対の周方向側面82c1,82c2と、を有している。軸方向側面82a1,82a2は、周方向C及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されている。周方向側面82c1,82c2は、軸方向A及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されている。軸方向側面82a1,82a2と周方向側面82c1,82c2とは、互いに直交しており、曲面が形成されるように角部端部で交差するように接続されている。
一方の軸方向側面82a1は、軸方向Aに凹んだ凹部82bを有している。凹部82bは、軸方向側面82a1の周方向C両端部それぞれに設けられている。尚、凹部82bは、他方の軸方向側面82a2にも設けられていてもよい。但し、デフレクタ90の誤組み付け防止等のため、凹部82bは軸方向側面82a1と軸方向側面82a2とで非対称になるように形成されていることが望ましい。
凹部82bは、径方向Rすなわちデフレクタ90の挿入方向Dに延在しかつ内面が周方向Cで曲面となるように溝形状(例えば、半円柱状)に形成されている。凹部82bは、ナット本体部80の外周面に開口し、その外周面から挿入方向Dに所定深さまで延在している。凹部82bは、デフレクタ90の後述の突出部に係合可能かつその突出部を挿入方向Dに向けて案内可能に形成されている。尚、凹部82bを形成する軸方向側面82a1は、周方向側面82c1,82c2に一体化されるようにそれらの周方向側面82c1,82c2と連続した面であってよい。
ガイド孔部83は、デフレクタ90の後述の内周部を収容するための部位である。ガイド孔部83は、デフレクタ90の内周部の形状に倣って、デフレクタ90の挿入方向Dに直交する断面の形状が、角部が曲面となる略長方形状となるように形成されている。ガイド孔部83は、軸方向Aの孔幅が圧入孔部82の軸方向Aの孔幅に略一致しかつ周方向Cの孔幅が圧入孔部82の周方向Cの孔幅に比して小さくなるように形成されている。
ガイド孔部83は、軸方向Aに向いて互いに平行に対向する一対の軸方向側面83a1,83a2と、周方向Cに向いて互いに平行に対向する一対の周方向側面83c1,83c2と、を有している。軸方向側面83a1,83a2は、周方向C及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されており、圧入孔部82の軸方向側面82a1,82a2に対して段差無く同一面をなしている。周方向側面83c1,83c2は、軸方向A及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されている。軸方向側面83a1,83a2と周方向側面83c1,83c2とは、互いに直交しており、曲面が形成されるように角部端部で交差して接続されている。
支持面84は、デフレクタ取付孔81に挿入されたデフレクタ90の挿入方向Dにおける位置決めを行うための面である。支持面84は、圧入孔部82の周方向側面82c1とガイド孔部83の周方向側面83c1との境界に位置する段差部に形成される、法線が径方向外側に向いた面である。支持面84は、デフレクタ取付孔81の周方向C両側それぞれに設けられている。尚、支持面84は、凹部82bの底面を含んでいてもよい。
ナット本体部80は、また、循環路85を有している。循環路85は、一対のデフレクタ取付孔81−1,81−2の間に設けられた通路である。循環路85は、ボールネジナット70の軸方向Aに略一致する方向に沿って延在している。循環路85は、ナット本体部80をデフレクタ取付孔81−1とデフレクタ取付孔81−2との間で貫通するようにトンネル状に形成されている。すなわち、循環路85の一端は、デフレクタ取付孔81−1の軸方向側面82a1,83a1に開口し、かつ、循環路85の他端は、デフレクタ取付孔81−2の軸方向側面82a1,83a1に開口している。循環路85は、転動ボール51の直径(=2S)と同じ路幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな路幅(内径)を有するように形成されている。
デフレクタ90は、ナット本体部80のデフレクタ取付孔81に挿入されて固定される駒部材である。以下、デフレクタ90の説明中に記載される方向は、ボールネジナット70のナット本体部80の軸方向A、径方向R、及び周方向Cとそれぞれ同じ方向とする。デフレクタ90は、図5に示す如く、製造が容易であるいわゆる開放溝型のデフレクタである。デフレクタ90は、ナット本体部80の材料に比して軟らかい金属材料(例えば亜鉛などの金属)により構成されている。デフレクタ90は、例えばダイカスト方式により金型に溶融金属を流し込むことにより成形される。デフレクタ90は、二箇所のデフレクタ取付孔81に対応して二個設けられている(図3参照)。以下適宜、二個のデフレクタ90のうち、デフレクタ取付孔81−1に挿入されるデフレクタ90をデフレクタ90−1とし、デフレクタ取付孔81−2に挿入されるデフレクタ90をデフレクタ90−2とする。
デフレクタ90は、デフレクタ取付孔81の圧入孔部82に対応する外周部91と、デフレクタ取付孔81のガイド孔部83に対応する内周部92と、を有している。外周部91は、圧入孔部82の形状に倣って、デフレクタ90の挿入方向Dに直交する断面の形状が、角部が曲面となる略長方形状となるように形成されている。また、内周部92は、ガイド孔部83の形状に倣って、デフレクタ90の挿入方向Dに直交する断面の形状が、角部が曲面となる略長方形状となるように形成されている。
外周部91は、軸方向Aに向いて互いに平行に対向する一対の軸方向側面91a1,91a2と、周方向Cに向いて互いに平行に対向する一対の周方向側面91c1,91c2と、を有している。軸方向側面91a1,91a2は、周方向C及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されている。周方向側面91c1,91c2は、軸方向A及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されている。軸方向側面91a1,91a2と周方向側面91c1,91c2とは、互いに直交しており、曲面が形成されるように角部端部で交差するように接続されている。
デフレクタ90がデフレクタ取付孔81に収容された状態において、外周部91の軸方向側面91a1,91a2は、圧入孔部82の軸方向側面82a1,82a2に対向していると共に、周方向側面91c1,91c2は、圧入孔部82の周方向側面82c1,82c2に対向している。
一方の軸方向側面91a1は、圧入孔部82の凹部82bの形状と対をなす形状に形成された、軸方向Aに突出する突出部91bを有している。突出部91bは、軸方向側面91a1の周方向C両端部それぞれに設けられている。尚、突出部91bは、圧入孔部82の他方の軸方向側面82a2にも凹部82bが設けられている構造では、他方の軸方向側面91a2にも設けられる。突出部91bは、径方向Rすなわちデフレクタ90の挿入方向Dに延在しかつ外面が周方向Cで曲面となるように突形状(例えば、半円柱状)に形成されている。突出部91bは、挿入方向Dにおいてデフレクタ90の外周面からナット本体部80の支持面84に当接する深さまで延在している。突出部91bの外面(すなわち、軸方向端面)は、デフレクタ取付孔81の圧入孔部82の凹部82bの内面(すなわち、軸方向端面)に係合可能かつ案内可能に形成されている。
内周部92は、軸方向Aの幅が外周部91の軸方向Aの幅に比して小さくかつ周方向Cの幅が外周部91の周方向Cの幅に比して小さくなるように形成されている。内周部92は、軸方向Aに向いて互いに平行に対向する一対の軸方向側面92a1,92a2と、周方向Cに向いて互いに平行に対向する一対の周方向側面92c1,92c2と、を有している。軸方向側面92a1,92a2は、周方向C及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されており、外周部91の軸方向側面91a1,91a2に対して上記の突出部91bを除いて段差無く同一面をなしている。周方向側面92c1,92c2は、軸方向A及び径方向Rの双方を含む面内に平面状又は湾曲面状に広がるように形成されている。軸方向側面92a1,92a2と周方向側面92c1,92c2とは、互いに直交しており、曲面が形成されるように角部端部で交差して接続されている。
デフレクタ90がデフレクタ取付孔81に収容された状態において、内周部92の軸方向側面92a1,92a2は、ガイド孔部83の軸方向側面83a1,83a2に対向していると共に、周方向側面92c1,92c2は、ガイド孔部83の周方向側面83c1,83c2に対向している。
デフレクタ90は、また、外周部91(具体的には、周方向側面91c1,91c2)と内周部92(具体的には、周方向側面92c1,92c2)との境界に位置する段差部に形成される被支持面93を有している。被支持面93は、その法線が径方向内側に向いた面である。被支持面93は、デフレクタ90がデフレクタ取付孔81に挿入された際にナット本体部80の支持面84に当接してデフレクタ90の挿入方向Dにおける位置を規制するための面である。
デフレクタ90には、転動ボール51が通過可能な通過路94が形成されている。通過路94は、ナット本体部80の内周転動溝71と循環路85とを連通して、転動路53と循環路85との間で転動ボール51を通過させる連通路である。通過路94の一端は、デフレクタ90の径方向内面に開口している。また、通過路94の他端は、デフレクタ90の軸方向側面(具体的には、外周部91の軸方向側面91a1及び内周部92の軸方向側面92a1)に開口している。通過路94は、転動ボール51の直径2Sと同じ路幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな路幅を有するように形成されている。
通過路94は、デフレクタ90内において、転動路53と循環路85との間で転動ボール51をスムースに通過させるように湾曲或いは屈曲して延びるように形成されている。具体的には、通過路94における転動路53との接続部96近傍は、ボールネジナット70の径方向内側にある螺旋状の転動路53が延びる方向に沿って延びつつ径方向外側へ延びるように形成されている。通過路94における循環路85との接続部97近傍は、循環路85が延びる軸方向Aに沿って延びるように形成されている。また、通過路94は、デフレクタ90の内部で両端の接続部96,97同士を繋ぐように湾曲或いは屈曲している。
デフレクタ90の一方の軸方向側面91a1,92a1には、通過路94をその軸方向側面91a1,92a1に開口させる開放溝95が形成されている。開放溝95は、通過路94の一端と転動路53との接続部96と、通過路94の他端と循環路85との接続部97と、の間に亘って連続的に設けられた溝である。開放溝95は、図6及び図7に示す如く、デフレクタ90を軸方向Aから見た場合に、デフレクタ90の径方向内面側から径方向外方へボールネジナット70の軸中心を中心にして周方向Cへ延びるように形成されている。通過路94及び開放溝95は、図8及び図9に示す如く、断面形状が略半円状になるように形成されている。開放溝95は、転動ボール51の直径2Sと同じ溝幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな溝幅を有するように形成されている。
一対のデフレクタ90−1,90−2は、開放溝95が設けられた軸方向側面91a1,92a1同士が軸方向Aで対向するようにナット本体部80のデフレクタ取付孔81−1,81−2に配置される。一対のデフレクタ90−1,90−2がデフレクタ取付孔81−1,81−2に挿入されて固定された状態では、一方のデフレクタ90−1の通過路94と他方のデフレクタ90−2の通過路94とが循環路85を介して互いに接続される。この場合、循環路85は、ボールネジ軸60とボールネジナット70との間に形成された転動路53の所定二点間である一端と他端とを連通して転動ボール51を無限循環させることが可能である。
デフレクタ90は、転動路53内に位置する転動ボール51を径方向内面の開口孔を通じて掬い上げ、通過路94を介して循環路85へ導く導入機能を有する。また、デフレクタ90は、循環路85内に位置する転動ボール51を軸方向側面91a1,92a1の開口孔(具体的には、開放溝95の一部)を通じて通過路94に導入し、その後、転動路53へ排出する排出機能を有する。
各デフレクタ90はそれぞれ、上記の導入機能及び排出機能の双方を有する。また、一方向への操舵が行われることでボールネジ軸60が軸方向Aの一方へストロークしたときは、一対のデフレクタ90のうち一方のデフレクタ90−1が導入機能を、かつ、他方のデフレクタ90−2が排出機能を、それぞれ同時に発揮する。また、他方向への操舵が行われることでボールネジ軸60が軸方向Aの他方へストロークしたときは、他方のデフレクタ90−2が導入機能を、かつ、一方のデフレクタ90−1が排出機能を、それぞれ同時に発揮する。
デフレクタ90は、ナット本体部80への組み付け時、デフレクタ取付孔81に径方向外側から挿入される。このデフレクタ取付孔81へのデフレクタ90の挿入は、両者の形状同士が合致する向きに、具体的には、デフレクタ90の突出部91bがデフレクタ取付孔81の凹部82bに嵌るように行われる。デフレクタ90は、被支持面93がナット本体部80の支持面84に当接した位置を挿入方向Dの所望位置として位置決めされて、そのデフレクタ取付孔81に収容される。
上記の如く、デフレクタ90がデフレクタ取付孔81に挿入されて収容された状態では、外周部91の軸方向側面91a1,91a2がデフレクタ取付孔81の圧入孔部82の軸方向側面82a1,82a2に対向しかつ外周部91の周方向側面91c1,91c2がデフレクタ取付孔81の圧入孔部82の周方向側面82c1,82c2に対向すると共に、内周部92の軸方向側面92a1,92a2がデフレクタ取付孔81のガイド孔部83の軸方向側面83a1,83a2に対向しかつ内周部92の周方向側面92c1,92c2がデフレクタ取付孔81のガイド孔部83の周方向側面83c1,83c2に対向する。
デフレクタ90は、外周部91の軸方向側面91a1,91a2及び周方向側面91c1,91c2のうち少なくとも軸方向側面91a1,91a2の一部(例えば、図6において斜線で示す領域)が圧入孔部82の軸方向側面82a1,82a2及び周方向側面82c1,82c2に対して締め代を有するように形成されている。以下、デフレクタ90の外周部91の締め代を有する部位を圧入部98と称す。デフレクタ90の外周部91の圧入部98が設けられた軸方向側面91a1と軸方向側面91a2との幅は、圧入前は、デフレクタ取付孔81の圧入孔部82の軸方向側面82a1と軸方向側面82a2との孔幅よりも大きく、圧入後は、その孔幅と略一致する。
圧入部98は、少なくとも周方向C両側の突出部91bそれぞれの一部の外面に設けられていることが好ましい。また、圧入部98は、開放溝95に対して径方向外側に位置する部位に設けられていてもよいが、開放溝95に対して径方向内側に位置する部位には設けられていない。デフレクタ90は、圧入部98でデフレクタ取付孔81に圧入されて締り嵌めされる。
デフレクタ90は、外周部91の軸方向側面91a1,91a2及び周方向側面91c1,91c2のうち圧入部98以外の部位(以下、非圧入部99と称す。)が、圧入孔部82の軸方向側面82a1,82a2及び周方向側面82c1,82c2に対してほとんど隙間無く嵌合するように形成されている。デフレクタ90の外周部91の非圧入部99が設けられた軸方向側面91a1と軸方向側面91a2との幅は、デフレクタ取付孔81の圧入孔部82の軸方向側面82a1と軸方向側面82a2との孔幅とほとんど同じである。デフレクタ90の非圧入部99は、デフレクタ取付孔81に中間嵌めされる。
デフレクタ90は、内周部92の軸方向側面92a1,92a2及び周方向側面92c1,92c2がガイド孔部83の軸方向側面83a1,83a2及び周方向側面83c1,83c2に対して隙間を有するように形成されている。デフレクタ90の内周部92の軸方向側面92a1と軸方向側面92a2との幅は、デフレクタ取付孔81のガイド孔部83の軸方向側面83a1と軸方向側面83a2との孔幅よりも小さい。デフレクタ90は、内周部92においてデフレクタ取付孔81に隙間嵌めされる。デフレクタ90の内周部92は、デフレクタ90がデフレクタ取付孔81に挿入方向Dへ挿入される際、外周部91がデフレクタ取付孔81に圧入される前からその圧入が完了するまでの間において、ガイド孔部83との間でガイドされる。
ボールネジナット70の外周面には、ボールベアリング52及び従動プーリ42が組み付けられる。ボールネジナット70とボールベアリング52及び従動プーリ42との間には、径方向Rに空いた隙間が形成される。以下、この隙間の径方向寸法を“B”とする。ボールベアリング52及び従動プーリ42は、この組み付け後、ナット本体部80のデフレクタ取付孔81に挿入されたデフレクタ90が径方向外方へ抜けるのを阻止する抜け止め機能を有する。
(3.ボールネジナット70におけるデフレクタとナット本体部との関係)
本実施形態のボールネジ装置50において、ボールネジナット70のデフレクタ90は、一方の軸方向側面91a1,92a1に通過路94の少なくとも一端(具体的には、循環路85との接続部97側)が開口するように形成されている。デフレクタ90において、通過路94における循環路85との接続部97近傍は、循環路85が延びる軸方向Aに沿って延びるように形成されている。また、デフレクタ90において、通過路94は、転動路53との接続部96と循環路85との接続部97との間において接続部97及びその接続部97周辺を除いて、転動ボール51の直径2Sと同じ路幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな路幅を有するように形成されている。一方、通過路94は、接続部97及びその接続部97周辺において、転動ボール51の直径2Sに比して大きな路幅を有するように形成されている。
デフレクタ90は、接続部97の周辺部位に設けられた傾斜部100を有している。傾斜部100は、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置がナット径方向において所望位置から所定距離範囲内でずれたときに接続部97での転動ボール51の通過を確保する機能を有する。傾斜部100は、接続部97に近い位置ほど通過路94の路幅が大きくなるように形成されている。傾斜部100は、デフレクタ90における接続部97に対して下方の径方向内側に位置する角部をテーパ状に面取りした部分である。通過路94の接続部97での開口幅は、通過路94全域の路幅のうちで最大であって、転動ボール51の直径2Sに、ボールネジナット70とボールベアリング52及び従動プーリ42との間の隙間の径方向寸法Bを加算して得られる値に略一致している。
傾斜部100は、図9に示す如く、接続部97の位置から軸方向Aに転動ボール51の半径S分だけ離間した位置よりもその接続部97側に形成されている。傾斜部100は、接続部97の位置から軸方向Aの内側に距離T(<S)だけ離間する位置(点Q2)までの領域に設けられている。傾斜部100は、軸方向側面92a1に交わる点Q1と、元々の開放溝95や通過路94を形成するための面に交わる点Q2と、の間に形成されている。尚、点Q2は、接続部97の位置から軸方向Aに転動ボール51の半径S分だけ離間した位置よりも接続部97側に位置する。
傾斜部100は、デフレクタ90がナット本体部80に対して所望位置から径方向外方に最大寸法(すなわち、上記隙間の径方向寸法B)だけ位置がずれたときに、点Q1と点Q2との間のすべての表面上の位置において、ナット本体部80における接続部97に対して上方に位置する角部の点Pとの距離が転動ボール51の直径2S以上となるように形成されている。尚、傾斜部100によってデフレクタ90の通過路94の路幅が過剰に大きくなるのを回避するうえでは、傾斜部100は、点Q1と点Q2との間の表面において、断面形状が直線状になるように形成されていることは好ましくなく、断面形状が下方に凸となる曲線状になるように形成されていることが望ましい。
上記のボールネジナット70においては、デフレクタ90が、ナット本体部80のデフレクタ取付孔81に径方向外側から挿入されることでその被支持面93がナット本体部80の支持面84に当接した所望位置に位置決めされた後、そのデフレクタ90が、径方向外方へ最大で、ボールネジナット70とボールベアリング52及び従動プーリ42との間の隙間の径方向寸法Bだけ位置ずれすることがある。
これに対して、ボールネジナット70においては、デフレクタ90における通過路94とナット本体部80の循環路85との接続部97の周辺部位(具体的には、接続部97に対して径方向内側に位置する角部)に、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から上記の径方向寸法Bだけずれたときに接続部97での転動ボール51の通過を確保する傾斜部100が設けられている。この傾斜部100は、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方に最大で上記隙間の径方向寸法Bだけずれたときにも、点Q1と点Q2との間のすべての表面上の位置においてナット本体部80の点Pとの距離が転動ボール51の直径2S以上となるように形成されている。
かかる構造では、図10に示す如く、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方へ上記の径方向寸法Bだけずれたときにも、接続部97で通路が狭まることは回避され、接続部97において通過路94と循環路85とが有効に接続される開口幅は、転動ボール51の直径2S以上に確保される。このため、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方へ最大で上記の径方向寸法Bずれても、転動ボール51が接続部97近傍で詰まるのを抑えることができる。
また、上記の傾斜部100を有するデフレクタ90の構造においては、転動ボール51の詰まりの発生を抑制するうえで、デフレクタ90の通過路94全域の路幅自体を転動ボール51の直径2Sに比して上記隙間の径方向寸法B分だけ大きくすることは不要であって、デフレクタ90の通過路94における接続部97周辺の傾斜部100を除いた部位の路幅を、転動ボール51の直径2Sと同じ或いはその直径2Sに比して僅かに大きくすることが可能である。
傾斜部100は、デフレクタ90における接続部97の位置から転動ボール51の半径S分だけ離間した位置よりも接続部97側に形成されている。また、通過路94は、傾斜部100を除いて、転動ボール51の直径2Sと同じ路幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな路幅を有するように形成されている。この構造によれば、デフレクタ90の通過路94全域の路幅が転動ボール51の直径2Sに比して上記の径方向寸法B分だけ大きい構造とは異なり、デフレクタ90の通過路94内で複数の転動ボール51の球中心が三角波状に並ぶことすなわち複数の転動ボール51が千鳥状に配列されることは抑えられ、複数の転動ボール51の球中心が直線状に並んで複数の転動ボール51が直列に整列するので、通過路94内での転動ボール51の循環を滑らかなものとすることができる。
従って、本実施形態のボールネジ装置50によれば、ボールネジナット70のデフレクタ90とナット本体部80との径方向ズレに起因する転動ボール51の詰まりの発生を抑えつつ、その転動ボール51の滑らかなボール循環を確保することができる。このため、ボール詰まりに起因するトルク変動の発生を抑えることができ、スムースな操舵フィーリングを確保することができる。
(4.ボールネジ装置及びステアリング装置の作用効果)
本実施形態のボールネジ装置50は、外周面に外周転動溝61が螺旋状に形成されたボールネジ軸60と、ボールネジ軸60に対して径方向外側に同軸上に配置され、ボールネジ軸60に対して相対回転できるように筒状に形成され、内周面に内周転動溝71が螺旋状に形成されたボールネジナット70と、外周転動溝61と内周転動溝71とで囲まれた転動路53を転動可能な転動ボール51と、転動路53の一端と他端とを連通して転動ボール51を無限循環させる循環路85と、を備える。ボールネジナット70は、内周転動溝71の少なくとも一部と循環路85の少なくとも一部とがそれぞれ形成され、径方向Rに貫通するデフレクタ取付孔81が設けられたナット本体部80と、デフレクタ取付孔81に径方向外側から挿入されて固定され、ナット本体部80の内周転動溝71と循環路85とを連通して転動ボール51を通過させる通過路94が形成され、側面に通過路94の循環路85側が開口するデフレクタ90と、を有する。デフレクタ90は、ナット本体部80の循環路85とデフレクタ90の通過路94とが互いに接続される接続部97の周辺部位に設けられた、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置からボールネジナット70とボールベアリング52及び従動プーリ42との間の隙間の径方向寸法Bの範囲内でずれたときに接続部97での転動ボール51の通過を確保する傾斜部100を有する。
この構成によれば、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方に最大で上記隙間の径方向寸法Bだけずれたときにも、傾斜部100によって、デフレクタ90の通過路94とナット本体部80の循環路85との接続部97での転動ボール51の通過が確保される。このため、デフレクタ90の挿入位置のズレが生じても、転動ボール51が接続部97近傍で詰まるのを抑えることができる。また、このデフレクタ90の構造においては、転動ボール51の詰まりの発生を抑制するうえで、デフレクタ90の通過路94全域に亘って路幅自体を転動ボール51の直径2Sに比して上記隙間の径方向寸法B分だけ大きくすることは不要である。このため、通過路94の傾斜部100を除いた路幅を、転動ボール51の直径2Sと同じ或いはその直径2Sに比して僅かに大きくすればよいので、デフレクタ90の通過路94内で複数の転動ボール51が千鳥状に配列されるのを抑えることができる。従って、ボールネジナット70のデフレクタ90とナット本体部80との径方向ズレに起因する転動ボール51の詰まりの発生を抑えつつ、その転動ボール51の滑らかなボール循環を確保することができる。
ボールネジ装置50において、傾斜部100は、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方に上記隙間の径方向寸法Bの範囲内でずれたときに接続部97での転動ボール51の通過を確保するように形成されている。この構成によれば、デフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方へずれても、転動ボール51が接続部97近傍で詰まるのを抑えることができる。
ボールネジ装置50において、傾斜部100は、デフレクタ90における接続部97に対する径方向内側の周辺部位に設けられている。この構成によれば、デフレクタ90に設けられた傾斜部100により、転動ボール51が接続部97近傍で詰まるのを抑えることができる。
ボールネジ装置50において、傾斜部100は、デフレクタ90における接続部97から転動ボール51の半径S分だけ離間した位置よりも接続部97側に形成されている。この構成によれば、デフレクタ90の通過路94内で複数の転動ボール51が千鳥状に配列されるのを可能な限り抑えることができる。従って、ボールネジナット70のデフレクタ90とナット本体部80との径方向ズレに起因する転動ボール51の詰まりの発生を抑えつつ、その転動ボール51の滑らかなボール循環を確保することができる。
ボールネジ装置50において、傾斜部100は、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から上記隙間の径方向寸法Bの範囲内でずれたときに接続部97の有効な開口幅が転動ボール51の直径2S以上となるように形成されている。この構成によれば、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方に最大で上記隙間の径方向寸法Bだけずれたときにも、傾斜部100によって、接続部97における有効な開口幅が転動ボール51の直径2S以上に確保される。このため、デフレクタ90の挿入位置のズレが生じても、転動ボール51が接続部97近傍で詰まるのを抑えることができる。
また、ボールネジ装置50は、ステアリング装置1に設けられる。この構成によれば、ボールネジナット70のデフレクタ90とナット本体部80との径方向ズレに起因する転動ボール51の詰まりの発生を抑えつつ、その転動ボール51の滑らかなボール循環を確保することができるステアリング装置1を実現することができる。
(5.変形形態)
ところで、上記の実施形態においては、デフレクタ90をナット本体部80のデフレクタ取付孔81に固定するうえで、デフレクタ90をデフレクタ取付孔81に圧入することとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、デフレクタ90をデフレクタ取付孔81に挿入した後、カシメによってデフレクタ90をデフレクタ取付孔81に固定することとしてもよい。
また、上記の実施形態においては、図6及び図8に示す如く、傾斜部100を、デフレクタ90における通過路94とナット本体部80の循環路85との接続部97の周辺部位に設けることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、傾斜部100を、その接続部97の周辺部位だけでなく、デフレクタ90における、転動路53との接続部96と循環路85との接続部97との間に亘って連続的に設けられた、通過路94を軸方向側面91a1,92a1に開口させる開放溝95の全域に亘って設けることとしてもよい。
また、上記の実施形態においては、ボールネジナット70のデフレクタ90が、通過路94が全域に亘って開口したいわゆる開放溝型のデフレクタである。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、デフレクタ90が、通過路94の一部がトンネル状に閉塞したいわゆるトンネル型のデフレクタであってもよい。この場合、傾斜部100は、そのデフレクタ90における上記の接続部97の周辺部位に設けられる。
また、上記の実施形態においては、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置がナット径方向における所望位置からナット径方向外方に所定距離範囲内でずれたときに、デフレクタ90の通過路94とナット本体部80の循環路85との接続部97での転動ボール51の通過を確保するうえで、デフレクタ90に傾斜部100を設けることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、デフレクタ90に代えて、図11及び図12に示す如く、ナット本体部80に傾斜部100を設けることとしてもよい。
この変形形態において、ナット本体部80の循環路85におけるデフレクタ90の通過路94との接続部97近傍は、軸方向Aに沿って延びるように形成されている。また、循環路85は、通過路94との接続部97及びその接続部97周辺を除いて、転動ボール51の直径2Sと同じ路幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな路幅を有するように形成されている。一方、循環路85は、接続部97及びその接続部97周辺において、転動ボール51の直径2Sに比して大きな路幅を有するように形成されている。
ナット本体部80は、接続部97の周辺部位に設けられた傾斜部100を有している。傾斜部100は、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置がナット径方向における所望位置からナット径方向外方に所定距離範囲内でずれたときに接続部97での転動ボール51の通過を確保する機能を有する。傾斜部100は、接続部97に近い位置ほど循環路85の路幅が大きくなるように形成されている。傾斜部100は、ナット本体部80における接続部97に対して上方の径方向外側に位置する角部をテーパ状に面取りした部分である。循環路85の接続部97での開口幅は、循環路85全域の路幅のうちで最大であって、転動ボール51の直径2Sに、ボールネジナット70とボールベアリング52及び従動プーリ42との間の隙間の径方向寸法Bを加算して得られる値に略一致している。
この傾斜部100は、接続部97の位置から軸方向Aの内側に距離Taだけ離間する位置(点P2)までの領域に設けられている。傾斜部100は、軸方向側面82a1に交わる点P1と、元々の循環路85を形成するための面に交わる点P2と、の間に形成されている。
この傾斜部100は、デフレクタ90がナット本体部80に対して所望位置から径方向外方に最大寸法(すなわち、上記隙間の径方向寸法B)だけ位置ずれたときに、点P1と点P2との間のすべての表面上の位置において、デフレクタ90における接続部97に対して下方に位置する角部の点Qとの距離が転動ボール51の直径2S以上となるように形成されている。尚、傾斜部100によってナット本体部80の循環路85の路幅が過剰に大きくなるのを回避するうえでは、傾斜部100は、点P1と点P2との間の表面において、断面形状が直線状になるように形成されていることは好ましくなく、断面形状が下方に凸となる曲線状になるように形成されていることが望ましい。
この変形形態のボールネジナット70の構造においては、図12に示す如く、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方へ上記の径方向寸法Bだけずれたときにも、接続部97で通路が狭まることは回避され、接続部97において通過路94と循環路85とが有効に接続される開口幅は、転動ボール51の直径2S以上に確保される。このため、デフレクタ取付孔81に対するデフレクタ90の挿入位置が所望位置から径方向外方へ最大で上記の径方向寸法Bずれても、転動ボール51が接続部97近傍で詰まるのを抑えることができる。
また、上記の傾斜部100を有するナット本体部80の構造においては、転動ボール51の詰まりの発生を抑制するうえで、ナット本体部80の循環路85全域の路幅自体を転動ボール51の直径2Sに比して上記隙間の径方向寸法B分だけ大きくすることは不要であって、その循環路85における接続部97周辺の傾斜部100を除いた部位の路幅を、転動ボール51の直径2Sと同じ或いはその直径2Sに比して僅かに大きくすることが可能である。
循環路85は、傾斜部100を除いて、転動ボール51の直径2Sと同じ路幅或いはその直径2Sに比して僅かに大きな路幅を有するように形成されている。この構造によれば、ナット本体部80の循環路85全域の路幅が転動ボール51の直径2Sに比して上記の径方向寸法B分だけ大きい構造とは異なり、ナット本体部80の循環路85内で複数の転動ボール51が千鳥状に配列されることは抑えられ、複数の転動ボール51が直列に整列するので、循環路85内での転動ボール51の循環を滑らかなものとすることができる。
従って、この変形形態のボールネジ装置50においても、ボールネジナット70のデフレクタ90とナット本体部80との径方向ズレに起因する転動ボール51の詰まりの発生を抑えつつ、その転動ボール51の滑らかなボール循環を確保することができる。このため、ボール詰まりに起因するトルク変動の発生を抑えることができ、スムースな操舵フィーリングを確保することができる。
尚、上記の変形形態においては、デフレクタ90に代えて、ナット本体部80に傾斜部100を設けることとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図13及び図14に示す如く、デフレクタ90及びナット本体部80の双方に傾斜部100を設けることとしてもよい。この変形形態においても、上記の実施形態や上記の変形形態と同様の効果を得ることができる。また、この変形形態においては、ナット本体部80の傾斜部100−1とデフレクタ90の傾斜部100−2とによって、接続部97における有効な開口幅を転動ボール51の直径2S以上に確保することができるので、傾斜部100−1,100−2それぞれの面取り部分の径方向高さB1,B2や面取り容積を、上記の実施形態や上記の変形形態の傾斜部100の面取り部分の径方向高さBや面取り容積に比べて低く抑えることができる。これにより、傾斜部100−1,100−2によってナット本体部80の循環路85の路幅及びデフレクタ90の通過路94の路幅が過剰に大きくなるのを回避することができる。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
1:ステアリング装置、50:ボールネジ装置、51:転動ボール、53:転動路、60:ボールネジ軸、61:外周転動溝、70:ボールネジナット、71:内周転動溝、80:ナット本体部、81,81−1,81−2:デフレクタ取付孔、85:循環路、90,90−1,90−2:デフレクタ、94:通過路、95:開放溝、96:通過路の一端と転動路との接続部、97:通過路の他端と循環路との接続部、100:傾斜部。

Claims (7)

  1. 外周面に外周転動溝が螺旋状に形成されたボールネジ軸と、前記ボールネジ軸に対して径方向外側に同軸上に配置され、前記ボールネジ軸に対して相対回転できるように筒状に形成され、内周面に内周転動溝が螺旋状に形成されたボールネジナットと、前記外周転動溝と前記内周転動溝とで囲まれた転動路を転動可能なボールと、前記転動路の一端と他端とを連通して前記ボールを無限循環させる循環路と、を備えるボールネジ装置であって、
    前記ボールネジナットは、
    前記内周転動溝の少なくとも一部と前記循環路の少なくとも一部とがそれぞれ形成され、径方向に貫通するデフレクタ取付孔が設けられたナット本体部と、
    前記デフレクタ取付孔に径方向外側から挿入されて固定され、前記ナット本体部の前記内周転動溝と前記循環路とを連通して前記ボールを通過させる通過路が形成され、側面に前記通過路の前記循環路側が開口するデフレクタと、
    を有し、
    前記ナット本体部及び前記デフレクタのうち少なくとも一方は、前記ナット本体部の前記循環路と前記デフレクタの前記通過路とが互いに接続される接続部の周辺部位に設けられた、前記デフレクタ取付孔に対する前記デフレクタの挿入位置が所望位置から所定距離範囲内でずれたときに前記接続部での前記ボールの通過を確保する傾斜部を有する、ボールネジ装置。
  2. 前記傾斜部は、前記デフレクタ取付孔に対する前記デフレクタの挿入位置が前記所望位置から径方向外方に前記所定距離範囲内でずれたときに前記接続部での前記ボールの通過を確保するように形成されている、請求項1に記載のボールネジ装置。
  3. 前記傾斜部は、前記デフレクタにおける前記接続部に対する径方向内側の前記周辺部位に設けられている、請求項2に記載のボールネジ装置。
  4. 前記傾斜部は、前記ナット本体部における前記接続部に対する径方向外側の前記周辺部位に設けられている、請求項2又は3に記載のボールネジ装置。
  5. 前記傾斜部は、前記デフレクタにおける前記接続部から前記ボールの半径分離間した位置よりも前記接続部側に形成されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載のボールネジ装置。
  6. 前記傾斜部は、前記デフレクタ取付孔に対する前記デフレクタの挿入位置が前記所望位置から前記所定距離範囲内でずれたときに前記接続部の有効な開口幅が前記ボールの直径以上となるように形成されている、請求項1乃至5の何れか一項に記載のボールネジ装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載のボールネジ装置を備えるステアリング装置。
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