JP2020056446A - ボール螺子機構の製造方法及びボール螺子機構 - Google Patents

ボール螺子機構の製造方法及びボール螺子機構 Download PDF

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Abstract

【課題】構造の簡素化を図ることのできるボール螺子機構の製造方法及びボール螺子機構を提供する。【解決手段】ボール螺子ナット61の内周におけるナット側軌道溝77よりも軸方向一端側には雌ネジ部78が形成され、雌ネジ部78よりも軸方向一端側には内周テーパ部80が形成される。治具111の挿入部112の軸方向他端側には雄ネジ部113が形成され、雄ネジ部113の軸方向一端側にはボール螺子ナット61の内周テーパ部80と面接触可能な外周テーパ部115が形成される。リテーナ64を組み付ける際には、雄ネジ部113を雌ネジ部78に螺着するとともに外周テーパ部115を内周テーパ部80に面接触させることにより、治具111がボール螺子ナット61を支持した状態で、リテーナ64をボール螺子ナット61の外周に圧入した後、リテーナ64の軸方向一端側部分64aを径方向内側に向けてかしめる。【選択図】図3

Description

本発明は、ボール螺子機構の製造方法及びボール螺子機構に関する。
従来、車両用のステアリング装置には、モータの回転をボール螺子機構により転舵軸の軸方向移動に変換することで操舵機構にアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置(EPS)がある。この種のEPSとして、モータを転舵軸と平行となるように配置し、該モータの回転を一対のプーリ及びベルトを介してボール螺子機構に伝達するものが知られている(例えば特許文献1)。
こうしたボール螺子機構は、ラック軸の外周に形成された螺旋状の軸側軌道溝と、ボール螺子ナットの内周に形成された螺旋状のナット側軌道溝とを対向させてなる転動路内に複数のボールを設けることにより構成されている。ボール螺子ナットは、複列アンギュラ玉軸受等の転がり軸受により、ラックハウジング内に回転可能に支持されている。そして、転がり軸受は、ボール螺子ナットの外周に螺着されたロックナットにより軸方向の予圧が付与された状態で固定されている。
特開2017−197126号公報
ところで、近年、EPSでは、コスト低減等を目的としてより一層の構造の簡素化が求められている。ここで、ロックナットの内周面には、ネジ溝が形成されるとともに、ロックナットの外周面には、工具により把持可能な六角形状等の把持部が形成されている。このようにロックナットは比較的複雑な構造であるため、上記特許文献1のようにロックナットを用いて転がり軸受を固定したボール螺子機構では、近年求められる水準での構造の簡素化を実現できているとは言い難く、この点においてなお改善の余地があった。
本発明の目的は、構造の簡素化を図ることのできるボール螺子機構の製造方法及びボール螺子機構を提供することにある。
上記課題を解決するボール螺子機構の製造方法は、外周に螺旋状の軸側軌道溝が形成された螺子軸と、内周に螺旋状のナット側軌道溝が形成されたボール螺子ナットと、前記軸側軌道溝と前記ナット側軌道溝とを対向させてなる転動路内に設けられる複数のボールと、前記ボール螺子ナットの外周に設けられる転がり軸受と、前記ボール螺子ナットの外周に圧入され、前記転がり軸受に対して前記ボール螺子ナットの軸方向一端側から当接する環状のリテーナとを備え、前記ボール螺子ナットの内周における前記ナット側軌道溝よりも軸方向一端側には、雌ネジ部が形成されたボール螺子機構のものであって、雄ネジ部を有する治具を用い、前記雄ネジ部を前記雌ネジ部に螺着することにより、前記治具が前記ボール螺子ナットを支持した状態で、前記リテーナを前記ボール螺子ナットの外周に圧入する。
上記課題を解決するボール螺子機構は、外周に螺旋状の軸側軌道溝が形成された螺子軸と、内周に螺旋状のナット側軌道溝が形成されたボール螺子ナットと、前記軸側軌道溝と前記ナット側軌道溝とを対向させてなる転動路内に設けられた複数のボールと、前記ボール螺子ナットの外周に設けられた転がり軸受と、前記ボール螺子ナットの外周に圧入され、前記転がり軸受に対して前記ボール螺子ナットの軸方向一端側から当接した環状のリテーナとを備え、前記ボール螺子ナットの内周における前記ナット側軌道溝よりも軸方向一端側には、雌ネジ部が形成された。
上記各構成によれば、リテーナが圧入されることによりボール螺子ナットの外周に固定され、該リテーナによって転がり軸受が固定されるため、例えばロックナットのようにネジ溝や把持部を有する比較的複雑な構造の部材を用いずともよく、ボール螺子機構の構造を簡素化できる。
ここで、リテーナをボール螺子ナットの外周に圧入する際には、圧入によってボール螺子ナットに作用する軸方向荷重によって動かないように、該ボール螺子ナットを支持する必要がある。この際、例えばボール螺子ナットの軸方向他端部が下側となるように作業台の上に載置することでボール螺子ナットを支持する場合には、ボール螺子ナットの軸方向他端部がリテーナを圧入する際の軸方向荷重を受けることになる。そのため、圧入に起因する軸方向荷重がボール螺子ナットの軸方向一端側から他端側に向かって伝わることになり、その途中に形成されたナット側軌道溝が歪むおそれがある。
この点、上記各構成では、ボール螺子ナットの軸方向一端側に形成されたネジ溝に雄ネジ部を螺着することで、治具がボール螺子ナットを支持する。したがって、圧入に起因する軸方向荷重がボール螺子ナットと治具との締結部分を介して治具に伝わるため、ボール螺子ナットの軸方向他端側に伝わり難くなり、ナット側軌道溝が歪むことを抑制できる。
上記ボール螺子機構の製造方法において、前記リテーナの組み付け後に、前記リテーナの軸方向一端側部分をかしめることが好ましい。
上記構成によれば、リテーナがボール螺子ナットから脱落することを防止できる。
上記ボール螺子機構の製造方法において、前記ボール螺子ナットの内周には、前記雌ネジ部よりも軸方向一端側で、かつ前記リテーナの軸方向一端側部分が存在する軸方向位置に、該軸方向一端側に向かって前記ボール螺子ナットの内径が連続的に大きくなる内周テーパ部が形成され、前記治具には、前記内周テーパ部に面接触可能な外周テーパ部が形成されたものであって、前記雄ネジ部を前記雌ネジ部に螺着するとともに、前記外周テーパ部を前記内周テーパ部に面接触させることにより、前記治具が前記ボール螺子ナットを支持した状態で、前記リテーナの軸方向一端側部分を径方向内側に向けてかしめることが好ましい。
上記構成によれば、外周テーパ部を内周テーパ部に面接触させるため、外周テーパ部は、内周テーパ部を径方向内側からしっかりと支持できる。これにより、リテーナをかしめる際に、ボール螺子ナットに作用する径方向内側の荷重によって該ボール螺子ナットが変形することを抑制できる。
本発明によれば、ボール螺子機構の構造の簡素化を図ることができる。
電動パワーステアリング装置の概略構成図。 (a)はアクチュエータ近傍のラック軸の軸方向に沿った断面図、(b)は転がり軸受近傍の拡大断面図。 (a)〜(d)はボール螺子ナットの外周へのリテーナの組付けを示す作用説明図。
以下、ボール螺子機構の製造方法及びボール螺子機構を電動パワーステアリング装置(EPS)に適用した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、EPS1は、運転者によるステアリングホイール2の操作に基づいて転舵輪3を転舵させる操舵機構4と、操舵機構4にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与するアクチュエータ5とを備えている。
操舵機構4は、ステアリングホイール2が固定されるステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11に連結されたラック軸12と、ラック軸12が往復動可能に挿通されるラックハウジング13と、ステアリングシャフト11の回転をラック軸12の往復動に変換するラックアンドピニオン機構14とを備えている。なお、ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール2が位置する側から順にコラム軸11a、中間軸11b、及びピニオン軸11cを連結することにより構成されている。
ラックハウジング13は、それぞれ円筒状に形成された第1ハウジング15と第2ハウジング16とを連結してなる。ラック軸12とピニオン軸11cとは、第1ハウジング15内に所定の交差角をもって配置されている。ラックアンドピニオン機構14は、ラック軸12に形成されたラック歯17とピニオン軸11cに形成されたピニオン歯18とが噛合されることで構成されている。また、ラック軸12の両端には、タイロッド19が連結されており、タイロッド19の先端は、転舵輪3が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。したがって、EPS1では、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト11の回転がラックアンドピニオン機構14によりラック軸12の軸方向移動に変換され、この軸方向移動がタイロッド19を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪3の転舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
アクチュエータ5は、駆動源であるモータ21と、モータ21の回転を伝達する伝達機構22と、伝達機構22を介して伝達された回転をラック軸12の往復動に変換するボール螺子機構23とを備えており、第1ハウジング15と第2ハウジング16との連結部分に設けられている。そして、アクチュエータ5は、モータ21の回転を伝達機構22を介してボール螺子機構23に伝達し、ボール螺子機構23にてラック軸12の往復動に変換することで操舵機構4にアシスト力を付与する。
次に、アクチュエータ5の構成について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、ラック軸12におけるラックアンドピニオン機構14と反対側(図2中、左側)を軸方向一端側とし、ラックアンドピニオン機構14側(図2中、右側)を軸方向他端側とする。
図2(a)に示すように、第1ハウジング15は、第1筒状部31と、第1筒状部31の軸方向一端側に形成された第1収容部32とを有している。第1収容部32は、第1筒状部31よりも大径の筒状に形成されている。第1収容部32には、その周壁の一部をモータ21が配置された側(図2中、下側)に膨出させた形状の膨出部33が形成されている。膨出部33の端壁には、ラック軸12の軸方向に貫通した挿入孔34が形成されている。
第2ハウジング16は、第2筒状部36と、第2筒状部36の軸方向他端側に形成された第2収容部37とを有している。第2収容部37は、第2筒状部36よりも大径の円筒状に形成されている。第2収容部37には、第1ハウジング15の膨出部33を覆うカバー部38が形成されている。
モータ21の回転軸41は、挿入孔34を介して膨出部33内に挿入されている。そして、モータ21は、回転軸41がラック軸12と平行になる姿勢で、ボルト42を介して第1ハウジング15(ラックハウジング13)に取り付けられている。
伝達機構22は、駆動プーリ51と、従動プーリ52と、ベルト53とを備えている。駆動プーリ51は、円筒状に形成されており、モータ21の回転軸41に対して同軸上で一体回転可能に連結されている。従動プーリ52は、円筒状に形成されており、駆動プーリ51と同じ軸方向位置でラック軸12の外周に回転可能に配置されている。従動プーリ52の軸方向他端側には、径方向内側に延出された円環状のフランジ部54が形成されている。フランジ部54には、軸方向に貫通した複数の挿通孔55が形成されている。ベルト53は、ゴム等の弾性材料からなり、駆動プーリ51と従動プーリ52との間で所定の張力(テンション)が発生するように巻き掛けられている。
ボール螺子機構23は、螺子軸となるラック軸12と、ラック軸12の外周に同軸配置されたボール螺子ナット61と、ラック軸12とボール螺子ナット61との間に設けられた複数のボール62とを備えている。また、ボール螺子機構23は、ボール螺子ナット61を回転可能に支持する転がり軸受63と、転がり軸受63を固定するリテーナ64とを備えている。
ボール螺子ナット61は、外径が異なる段付きの円筒状に形成されており、小径筒部71と、小径筒部71の軸方向他端側に設けられた大径筒部72とを有している。
小径筒部71の外径は、大径筒部72の外径よりも小さく、かつ転がり軸受63の内径(厳密には、後述する内輪91の内径)と略等しく設定されている。また、小径筒部71の外周における軸方向一端寄りの位置には、凹部73が形成されている。凹部73は、ボール螺子ナット61の周方向全域に亘って延びる円環状に形成されている。小径筒部71の外周には、後述するように転がり軸受63がリテーナ64により小径筒部71と大径筒部72との段差面74に押し付けられた状態で固定されている。
大径筒部72の外径は、従動プーリ52の内径と略等しく設定されている。大径筒部72の軸方向他端面には、複数のボルト穴75が形成されている。また、大径筒部72の外周には、従動プーリ52が嵌合されている。そして、ボール螺子ナット61は、挿通孔55を介してボルト穴75にボルト76が螺着されることにより、従動プーリ52と一体回転可能に連結されている。
ボール螺子ナット61の内周には、螺旋状のナット側軌道溝77が形成されている。ナット側軌道溝77は、ボール螺子ナット61の軸方向他端面から大径筒部72の全域に亘って形成されるとともに、小径筒部71における軸方向他端側寄りの領域に差し掛かるように形成されている。また、ボール螺子ナット61の内周におけるナット側軌道溝77よりも軸方向一端側には、ネジ溝を有する雌ネジ部78が形成されている。雌ネジ部78は、その軸方向全域に亘ってピッチ円径(ネジ径)が一定となるように形成されている。また、ボール螺子ナット61の内周における雌ネジ部78よりも軸方向一端側には、円筒部79が形成されている。円筒部79の内径は、雌ネジ部78における最大の内径よりも大きく設定されている。さらに、ボール螺子ナット61の内周における円筒部79よりも軸方向一端側には、内周テーパ部80が形成されている。内周テーパ部80は、軸方向一端側に向かうにつれて直線的に内径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、内周テーパ部80は、該内周テーパ部80の存在する軸方向範囲が、凹部73の存在する軸方向範囲と重なるように形成されている。
一方、ラック軸12の外周には、ナット側軌道溝77に対応する螺旋状の軸側軌道溝81が形成されている。そして、ラック軸12とボール螺子ナット61との間には、軸側軌道溝81とナット側軌道溝77とを対向することによって螺旋状の転動路R1が形成されている。転動路R1内には、各ボール62が軸側軌道溝81とナット側軌道溝77とに保持された状態で設けられている。つまり、ボール螺子ナット61は、ラック軸12の外周に各ボール62を介して螺合されている。
これにより、各ボール62は、ラック軸12とボール螺子ナット61(従動プーリ52)との間の相対回転に伴い、その負荷(摩擦力)を受けつつ、転動路R1内を転動する。そして、各ボール62の転動によってラック軸12とボール螺子ナット61との軸方向の相対位置が変位することにより、モータ21のトルクがアシスト力として操舵機構4に付与される。なお、転動路R1内を転動するボール62は、ボール螺子ナット61に設けられた転動路R1の二点間を短絡する循環路R2を通過することで無限循環する。
次に、転がり軸受63及びその周辺構成について説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、転がり軸受63には、複列アンギュラ玉軸受が採用されており、内輪91と、外輪92と、内輪91と外輪92との間に軸方向に並んでそれぞれ配置された複数の第1及び第2転動体93,94とを備えている。そして、転がり軸受63は、その内部隙間(クリアランス)が予め設定された隙間となるように、リテーナ64によって予圧が付与された状態で、ボール螺子ナット61の外周に固定されている。
詳しくは、本実施形態の内輪91は、第1分割レース101と、第1分割レース101の軸方向他端側に配置された第2分割レース102とを備えている。第1分割レース101及び第2分割レース102は、それぞれ円筒状に形成されている。第1分割レース101と第2分割レース102とは、軸方向と直交する直線に関して対称に形成されている。第1分割レース101には、第1転動体93が転動する断面円弧状の第1内周軌道面103が形成されている。第2分割レース102には、第2転動体94が転動する断面円弧状の第2内周軌道面104が形成されている。第2分割レース102は、その軸方向他端面がボール螺子ナット61の段差面74に当接するように小径筒部71に嵌合され、第1分割レース101は、第2分割レース102の軸方向一端側に並んで小径筒部71の外周に嵌合されている。
外輪92は、円筒状に形成されている。外輪92は、その軸方向中央において軸方向と直交する直線に関して対称な形状に形成されている。外輪92の軸方向一端側には、第1転動体93が転動する断面円弧状の第1外周軌道面105が形成され、外輪92の軸方向他端側には、第2転動体94が転動する断面円弧状の第2外周軌道面106が形成されている。
外輪92の両側には、断面L字状の保持器107が隣接して配置されるとともに、保持器107には、皿ばねやゴム等の弾性体108がそれぞれ圧縮された状態で配置されている。これにより、外輪92は、ラックハウジング13に対して軸方向に変位可能な状態で弾性的に支持されている。
各第1転動体93は、球状のボールからなり、第1内周軌道面103と第1外周軌道面105とを対向させてなる円環状の転動路内を周方向に転動可能な状態で挟まれている。各第2転動体94は、球状のボールからなり、第2内周軌道面104と第2外周軌道面106とを対向させてなる円環状の転動路内を周方向に転動可能な状態で挟まれている。
リテーナ64は、金属材料からなり、円環状に形成されている。リテーナ64の内径は、ボール螺子ナット61の小径筒部71の外径よりも僅かに小さく設定されている。そして、リテーナ64は、小径筒部71の外周に圧入されており、第1分割レース101を軸方向に押圧した状態で、該第1分割レース101の軸方向一端面に当接している。これにより、転がり軸受63には、所定の予圧が付与されている。さらに、本実施形態のリテーナ64は、その軸方向一端側部分64aが径方向内側及び軸方向他端側に向けてかしめられている。これにより、リテーナ64の一部は、小径筒部71の凹部73に入り込んでいる。つまり、凹部73は、ボール螺子ナットの外周において、リテーナ64の軸方向一端側部分64aと径方向において対向する軸方向位置に形成されている。また、上記のように内周テーパ部80が存在する軸方向範囲が凹部73の存在する軸方向範囲と重なるため、内周テーパ部80は、リテーナ64の軸方向一端側部分64aが存在する軸方向位置に形成されている。
次に、本実施形態のボール螺子機構23の製造方法について、リテーナ64のボール螺子ナット61への組付けを中心に説明する。
図3(a)〜図3(d)に示すように、本実施形態のボール螺子機構23の製造方法では、治具111を用いてボール螺子ナット61を支持した状態で、リテーナ64をボール螺子ナット61に組み付ける。
詳しくは、図3(a)に示すように、治具111は、金属材料からなり、丸棒状の挿入部112を有している。挿入部112の外径は、小径筒部71の外径よりも小さく設定されている。挿入部112の軸方向他端側(先端側)には、ネジ山を有する雄ネジ部113が形成されている。雄ネジ部113の軸方向長さは、雌ネジ部78の軸方向長さよりもやや短く設定されている。雄ネジ部113の軸方向一端側(基端側)には、円柱状の連結部114が形成されている。連結部114の外径は、雄ネジ部113の外径よりも小さく設定され、連結部114の軸方向長さは、円筒部79の軸方向長さよりもやや短く設定されている。連結部114の軸方向一端側には、ボール螺子ナット61の内周テーパ部80と面接触可能な外周テーパ部115が形成されている。具体的には、外周テーパ部115の外径は、軸方向一端側に向かうにつれて、内周テーパ部80の内径と同一の変化割合で大きくなるように形成されている。
図3(b)に示すように、リテーナ64をボール螺子ナット61に組み付ける際には、ボール螺子ナット61の外周に転がり軸受63を組み付けた状態で、雄ネジ部113を雌ネジ部78に螺着し、外周テーパ部115(の外周面)を内周テーパ部80(の内周面)に面接触させることで、治具111がボール螺子ナット61を支持する。このとき、雄ネジ部113の軸方向長さが雌ネジ部78の軸方向長さよりもやや短く、かつ連結部114の軸方向長さが円筒部79の軸方向長さよりもやや短く設定されているため、外周テーパ部115は、内周テーパ部80に対して確実に接触する。
続いて図3(c)に示すように、リテーナ64を軸方向一端側からボール螺子ナット61の外周に圧入する。リテーナ64は、第1分割レース101を予め設定された荷重で軸方向に押圧するように該第1分割レース101の軸方向一端面に当接するまで、ボール螺子ナット61に対して圧入される。このとき、リテーナ64を圧入する際の軸方向荷重は、雌ネジ部78と雄ネジ部113との締結部分を介して治具111によって受けられる。
続いて図3(d)に示すように、リテーナ64をかしめるためのかしめ工具116を軸方向一端側からリテーナ64に押し付ける。なお、同図に示すように、かしめ工具116は、円筒状の押圧部117を有しており、押圧部117の軸方向他端部は、その内径が軸方向他端側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。これにより、リテーナ64は、径方向内側及び軸方向他端側に向かってかしめられ、その一部が凹部73に入り込む。このとき、リテーナ64をかしめる際の軸方向荷重は、雌ネジ部78と雄ネジ部113との締結部分を介して治具111によって受けられる。その後、ボール螺子ナット61に従動プーリ52やラック軸12、ボール62等の構成部材を組み付けることによりボール螺子機構23が製造される。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)雄ネジ部113を雌ネジ部78に螺着するとともに外周テーパ部115を内周テーパ部80に面接触させることにより、治具111がボール螺子ナット61を支持した状態で、リテーナ64をボール螺子ナットの外周に圧入し、該リテーナ64によって転がり軸受63を固定するようにした。そのため、例えばロックナットのようにネジ溝や把持部を有する比較的複雑な構造の部材を用いずともよく、ボール螺子機構23の構造を簡素化できる。
ここで、リテーナ64をボール螺子ナット61の外周に圧入する際及びかしめる際には、圧入及びかしめに起因してボール螺子ナット61に作用する軸方向荷重によって動かないように、該ボール螺子ナット61を支持する必要がある。この際、例えばボール螺子ナット61の軸方向他端部が下側となるよう作業台の上に載置することでボール螺子ナット61を支持する場合には、ボール螺子ナット61の軸方向他端部がリテーナ64を圧入する際及びかしめる際の軸方向荷重を受けることになる。そのため、圧入及びかしめに起因する軸方向荷重がボール螺子ナット61の軸方向一端側から他端側に向かって伝わることになり、その途中に形成されたナット側軌道溝77が歪むおそれがある。
この点、本実施形態では、ボール螺子ナット61の軸方向一端側に形成された雌ネジ部78に雄ネジ部113を螺着することで、治具111がボール螺子ナット61を支持する。したがって、圧入及びかしめに起因する軸方向荷重が、ボール螺子ナット61と治具111との締結部分を介して治具111に伝わるため、ボール螺子ナット61の軸方向他端側に伝わり難くなり、ナット側軌道溝77が歪むことを抑制できる。これにより、ボール螺子機構23でのボール62の円滑な転動を確保でき、例えばEPS1の操舵フィーリング、耐久性、静粛性を向上させることができる。
(2)リテーナ64の組み付け後に、リテーナ64の軸方向一端側部分64aを径方向内側及び軸方向他端側に向けてかしめるようにしたため、リテーナ64がボール螺子ナット61から脱落することを防止できる。
(3)ボール螺子ナット61の外周に、リテーナ64の軸方向一端側部分64a(かしめる部分)と径方向において対向する軸方向位置に凹部73を形成したため、リテーナ64の一部が凹部73に入り込むことで、リテーナ64のボール螺子ナット61からの脱落を好適に防止できる。
(4)外周テーパ部115が内周テーパ部80に対して面接触するようにしたため、外周テーパ部115が内周テーパ部80を径方向内側からしっかりと支持できる。これにより、リテーナ64をかしめる際に、ボール螺子ナット61に作用する径方向内側の荷重によって該ボール螺子ナット61が径方向内側に変形することを抑制できる。また、雌ネジ部78の変形が抑制されることで、リテーナ64の軸方向一端側部分64aをかしめた後に、治具111をボール螺子ナット61から抜きにくくなることを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、第2分割レース102をボール螺子ナット61の外周に一体的に形成してもよい。
・上記実施形態において、凹部73の形状は適宜変更可能である。例えば凹部73を、ボール螺子ナット61の周方向に延びる円弧状の溝としてもよい。なお、この場合には、凹部73を複数形成してもよい。また、ボール螺子ナット61に凹部73を形成しなくてもよい。
・上記実施形態では、内周テーパ部80を軸方向一端側に向かうにつれて直線的に内径が大きくなるテーパ状に形成したが、これに限らず、軸方向一端側に向かうにつれて曲線的に内径が大きくなるテーパ状に形成してもよく、その形状は適宜変更可能である。この場合、外周テーパ部115の形状は、内周テーパ部80の形状変更に応じて変更する。
・上記実施形態において、外周テーパ部115が内周テーパ部80に面接触可能であれば、ボール螺子ナット61の円筒部79、及び治具111の連結部114の少なくとも一方を形成しなくてもよい。
・上記実施形態において、内周テーパ部80及び外周テーパ部115の少なくとも一方を設けなくてもよい。
・上記実施形態において、雌ネジ部78をボール螺子ナット61の軸方向一端面まで延びるように形成してもよい。
・上記実施形態では、雌ネジ部78のピッチ円径を軸方向全域に亘って一定となるように形成したが、これに限らず、例えばピッチ円径が軸方向一端側に向かって大きくなるテーパ状となるように雌ネジ部78を形成してもよい。このように構成することで、雌ネジ部78と雄ネジ部113との密着度が向上するため、治具111によってボール螺子ナット61をしっかりと支持できる。
・上記実施形態では、かしめ工具116を軸方向一端側から押し付けることで、リテーナ64を径方向内側及び軸方向他端側に向けてかしめたが、これに限らず、かしめ工具116を径方向外側からリテーナ64に押し付けることで、リテーナ64を径方向内側に向けてかしめてもよい。また、リテーナ64の軸方向一端側部分64aをかしめなくてもよい。なお、この場合には、リテーナ64の軸方向一端側にスナップリング等の抜け止め部材を設けることが好ましい。
・上記実施形態において、ラック軸12におけるラックアンドピニオン機構14が位置する側が軸方向一端側、ラックアンドピニオン機構14と反対側が軸方向他端側となるようにボール螺子機構23(ボール螺子ナット61)を構成してもよい。
・上記実施形態では、ボール螺子機構23をEPSに適用したが、これに限らず、例えばステアバイワイヤ方式のステアリング装置等に適用してもよく、またステアリング装置以外の用途に適用してもよい。
・上記実施形態では、リテーナ64をボール螺子ナット61の外周に圧入する際に雌ネジ部78を利用したが、これに限らず、雌ネジ部78は種々の場面で利用可能である。例えば製造後のボール螺子機構23について、ボール螺子ナット61の軸方向のガタ(クリアランス)を計測する際に、雌ネジ部78を利用することができる。この場合、雌ネジ部78に螺着される円筒状の保持器具によってボール螺子ナット61を保持し、該保持器具をラック軸12が回転しない程度の小さな力で軸方向に往復動させた際の移動量に基づいて、がたつきを計測することができる。このように雌ネジ部78を利用してガタを計測することで、例えばボール螺子ナット61の両端を挟み込んで保持する場合と異なり、ナット側軌道溝77に荷重が作用しない状態でボール螺子ナット61を保持できるため、ガタを正確に測定できる。
次に、上記各実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記ボール螺子ナットの外周には、前記リテーナの軸方向一端側部分と径方向において対向する軸方向位置に凹部が形成されたボール螺子機構の製造方法。上記構成によれば、リテーナのかしめられた部分(軸方向一端側部分)が凹部に入り込むことで、リテーナがボール螺子ナットから脱落することを好適に防止できる。
12…ラック軸(螺子軸)、23…ボール螺子機構、61…ボール螺子ナット、62…ボール、63…転がり軸受、64…リテーナ、64a…軸方向一端側部分、71…小径筒部、72…大径筒部、73…凹部、77…ナット側軌道溝、78…雌ネジ部、80…内周テーパ部、81…軸側軌道溝、91…内輪、92…外輪、93…第1転動体、94…第2転動体、101…第1分割レース、102…第2分割レース、111…治具、112…挿入部、113…雄ネジ部、115…外周テーパ部、116…かしめ工具、117…押圧部。

Claims (4)

  1. 外周に螺旋状の軸側軌道溝が形成された螺子軸と、
    内周に螺旋状のナット側軌道溝が形成されたボール螺子ナットと、
    前記軸側軌道溝と前記ナット側軌道溝とを対向させてなる転動路内に設けられる複数のボールと、
    前記ボール螺子ナットの外周に設けられる転がり軸受と、
    前記ボール螺子ナットの外周に圧入され、前記転がり軸受に対して前記ボール螺子ナットの軸方向一端側から当接する環状のリテーナとを備え、
    前記ボール螺子ナットの内周における前記ナット側軌道溝よりも軸方向一端側には、雌ネジ部が形成されたボール螺子機構の製造方法であって、
    雄ネジ部を有する治具を用い、前記雄ネジ部を前記雌ネジ部に螺着することにより、前記治具が前記ボール螺子ナットを支持した状態で、前記リテーナを前記ボール螺子ナットの外周に圧入するボール螺子機構の製造方法。
  2. 請求項1に記載のボール螺子機構の製造方法において、
    前記リテーナの組み付け後に、前記リテーナの軸方向一端側部分をかしめるボール螺子機構の製造方法。
  3. 請求項2に記載のボール螺子機構の製造方法において、
    前記ボール螺子ナットの内周には、前記雌ネジ部よりも軸方向一端側で、かつ前記リテーナの軸方向一端側部分が存在する軸方向位置に、該軸方向一端側に向かって前記ボール螺子ナットの内径が連続的に大きくなる内周テーパ部が形成され、
    前記治具には、前記内周テーパ部に面接触可能な外周テーパ部が形成されたものであって、
    前記雄ネジ部を前記雌ネジ部に螺着するとともに、前記外周テーパ部を前記内周テーパ部に面接触させることにより、前記治具が前記ボール螺子ナットを支持した状態で、前記リテーナの軸方向一端側部分を径方向内側に向けてかしめるボール螺子機構の製造方法。
  4. 外周に螺旋状の軸側軌道溝が形成された螺子軸と、
    内周に螺旋状のナット側軌道溝が形成されたボール螺子ナットと、
    前記軸側軌道溝と前記ナット側軌道溝とを対向させてなる転動路内に設けられた複数のボールと、
    前記ボール螺子ナットの外周に設けられた転がり軸受と、
    前記ボール螺子ナットの外周に圧入され、前記転がり軸受に対して前記ボール螺子ナットの軸方向一端側から当接した環状のリテーナとを備え、
    前記ボール螺子ナットの内周における前記ナット側軌道溝よりも軸方向一端側には、雌ネジ部が形成されたボール螺子機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113738837A (zh) * 2021-09-07 2021-12-03 无锡市高盛机械制造有限公司 一种带有安全保险装置的滚珠丝杆副

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