JP2017172605A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】ナットの外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができるボールねじを提供する。【解決手段】ボール4を転動路Rから取り出す一方のこま部材の導出部が挿入される一方の貫通孔3cと、転動路Rから取り出したボール4を転動路Rに戻すこま部材9の導入部が挿入される他方の貫通孔3eとがナット3の外周面からナット3のねじ溝に至るように形成され、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとの間に複数列の転動路Rが介在するように、前記ナット3の側面視で前記他方の貫通孔3eが前記一方の貫通孔3cから軸方向に離間し、前記一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとが重複しないように、前記ナット3の一方の貫通孔3c側からの軸方向視で前記他方の貫通孔3eが前記一方の貫通孔3cからナット側ねじ溝3aの巻方向に離間している。【選択図】図2
Description
本発明はボールねじに関する。詳しくはこま式ボールねじに関する。
従来、一般産業用の電動機、自動車のトランスミッションやパーキングブレーキ等の電動アクチュエータにおいて、電動モータの出力軸の回転運動を高効率で直線運動に変換して出力するためにボールねじが用いられている。ボールねじは、外周面にねじ溝が形成されたねじ軸と内周面にねじ溝が形成されたナットとから構成されている。ボールねじは、ねじ軸がナットに挿入され、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝とから構成される転動路に複数のボールが配置されている。これにより、ボールねじは、ねじ軸またはナットのうち一方を回転運動させることで他方が直動部材として直線運動する運動変換機構として構成されている。
このように構成されるボールねじには、転動路に配置されているボールを無限循環させるための循環路が形成されている。循環路の循環方式は、その構造によりリターンチューブ式、ガイドプレート式、エンドキャップ式、こま式等に分類される。これらの循環方式のうち、こま部材によってボールを循環させるこま式ボールねじは、リターンパイプ式やガイドプレート式のボールねじ等に比べてナットの外径を小さくすることができる。また、エンドキャップ式のボールネジに比べて軸方向長さを小さくすることができる。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載のこま式ボールねじは、ボールをねじ溝(転動路)から取り出す一方のデフレクタ(こま部材)とボールをねじ溝に戻す他方のデフレクタがナットの取り付け孔(貫通孔)に挿入されている。また、各デフレクタに形成されている循環路同士を連通する凹部(循環溝)がナットに形成されている。これにより、こま式ボールねじには、ねじ溝から一方のデフレクタによって取り出されたボールが凹部を通過して複数列のねじ溝を跨いで他方のデフレクタからねじ溝に戻される還流路(周回経路)が構成されている。しかし、特許文献1に記載のこま式ボールねじは、二つのデフレクタが軸方向に並ぶように配置されている。つまり、こま式ボールねじは、実質的に荷重を負担することができない二つのデフレクタが軸方向に並んで配置されている。これにより、こま式ボールねじは、負荷をうけることができる転動路の列数が少なくなり、負荷容量が制限される場合があった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、ナットの外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができるボールねじの提供を目的とする。
即ち、ねじ軸がナットに挿入され、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝とから構成される転動路に複数のボールが配置され、転動路を周回経路とする循環路の少なくとも一部が形成されたこま部材が前記ナットに設けられるボールねじにおいて、前記ボールを前記転動路から取り出す前記こま部材の導出部が挿入される一方の貫通孔と、前記転動路から取り出したボールを前記転動路に戻す前記こま部材の導入部が挿入される他方の貫通孔とが前記ナットの外周面からナットのねじ溝に至るように形成され、前記一方の貫通孔と他方の貫通孔との間に複数列の転動路が介在するように、前記ナットの側面視で前記他方の貫通孔が前記一方の貫通孔から軸方向に離間し、前記一方の貫通孔と他方の貫通孔とが重複しないように、前記ナットの一方の貫通孔側からの軸方向視で前記他方の貫通孔が前記一方の貫通孔からねじ溝の巻方向に離間しているものである。
前記こま部材の導出部によって前記転動路から取り出された前記ボールを前記こま部材の導入部まで案内するように前記循環路の一部が前記一方の貫通孔と他方の貫通孔とを連通するように前記ナットに形成されるものである。
前記こま部材の導出部と前記こま部材の導入部とが一体に形成され、前記こま部材の導出部によって前記転動路から前記ボールを取り出し、前記こま部材の導入部によって前記転動路に戻すように前記循環路が前記こま部材に形成されるものである。
前記一方の貫通孔と他方の貫通孔とを連通する循環路が前記ナットの径方向外側が開放された溝から構成されるものである。
前記こま部材に形成される循環路の一部が前記ナットの径方向外側に開放された溝から構成されるものである。
前記循環路の開放部分が前記ナットの外周面に嵌合される筐体によって覆われるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、ボールねじは、ボールを転動路から取り出すこま部材と転動路に戻すこま部材とを設けるための一方の貫通孔と他の貫通孔とを形成によって複数列の転動路からなる循環路が構成される。また、一方の貫通孔と他の貫通孔との形成によって減少する循環路である転動路の列数の減少が最小限になる。これにより、ナットの外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができる。
ボールねじは、ナットに循環路を構成するための部品を設けることなく複数列の転動路が循環路の一部を構成している。これにより、ナットの外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができる。
ボールねじは、ナットに循環路を構成するための部品を設けることなく、任意の経路からなる循環路が構成されている。これにより、ナットの外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができる。
ボールねじは、溝の開放部分を覆うだけで密閉された循環路が構成される。これにより、ナットの外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができる。
以下に、図1と図2とを用いて、ボールねじの第一実施形態であるボールねじ1について説明する。
図1と図2とに示すように、ボールねじ1は、回転運動を直線運動に変換して出力するものである。ボールねじ1は、ねじ軸2、ナット3、複数のボール4、筐体7等から構成されている。
ねじ軸2は、S55C等の中炭素鋼あるいはSCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、高周波焼入れ、真空浸炭焼入れによって55〜62HRC程度の硬化処理が施されている。ねじ軸2は、その外周面にボール4が転動するための一条ねじである軸側ねじ溝2aが複数形成されている。
ナット3は、ねじ軸2を挿入可能な中空円筒状に形成されている。ナット3は、SCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、真空浸炭焼入れによって55〜62HRC程度の硬化処理が施されている。
図2(b)に示すように、ナット3の内周面には、ボール4が転動するための一条ねじであるナット側ねじ溝3aがねじ軸2の軸側ねじ溝2aと同一のリードおよびピッチで形成されている。ナット3の外周面には、その外径を部分的に拡径した段付き部である鍔部3bが形成されている。ナット3には、軸側ねじ溝2aとナット側ねじ溝3aとが対向するようにしてねじ軸2が挿入されている。軸側ねじ溝2aとナット側ねじ溝3aとから構成される空間には、複数のボール4が転動自在に収容されている。つまり、軸側ねじ溝2aとナット側ねじ溝3aとは、ボール4が転動する転動路Rを構成している。ナット3は、複数のボール4を介してねじ軸2をナット3の軸回りに回転自在に支持している。ナット3の外周面には、筐体7が隙間なく嵌合されている。筐体7は、ナット3の外周面に形成されている循環溝3gの開放部分を覆うように構成されている。
ボールねじ1は、ナット3が回転されると転動路Rに収容されている複数のボール4を介してねじ軸2に回転力が伝達される。ねじ軸2は、図示しない回り止め機構により軸回りの回転が規制されている場合、ナット3の回転運動が軸側ねじ溝2aの傾きによってねじ軸2の軸方向の直線運動に変換される。同様にして、ボールねじ1は、ねじ軸2が回転されると転動路Rに収容されている複数のボール4を介してナット3に回転力が伝達される。ナット3は、図示しない回り止め機構により軸回りの回転が規制されている場合、ねじ軸2の回転運動が軸側ねじ溝2aの傾きによってナット3の軸方向の直線運動に変換される。なお、本実施形態において、ねじ軸2の軸側ねじ溝2aとナット側ねじ溝3aとは一条ねじとしたがこれに限定されるものではない。また、本実施形態において、ねじ軸2に形成されている軸側ねじ溝2aは右ねじであるものとするがこれに限定されるものではない。
以下に、図2から図5を用いて、ボールねじ1のナット3に形成されている一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3e、および一方のこま部材5と他方のこま部材6の構成について詳細に説明する。
図2と図3とに示すようにナット3の外周面には、径方向に内周面に至る一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとが形成されている。一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、周方向に延びる長穴状に形成されている。一方の貫通孔3cの内周面と他方の貫通孔3eの内周面とには、段差部3dが形成されている。段差部3dは、ナット3の外周面側が大きくなるように構成されている。さらに、ナット3には、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとを連通する循環溝3gが形成されている。循環溝3gは、循環路の一部を構成している。循環溝3gは、ナット3の径方向外側が開放するように形成されている。循環溝3gは、ナット3に嵌合されている筐体7によって開放部分が覆われている。すなわち、ナット3の外周面に形成されている循環溝3gは、筐体7によって密閉されている。これにより、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、循環溝3gによって任意の経路で連通されている。
図3に示すように、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、ナット3のナット側ねじ溝3aの隣り合う溝間の中心(ナット側ねじ溝3aの頂部)を貫通するように形成されている。一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、ナット3の側面視で軸方向に互いに離間している。具体的には、他方の貫通孔3eは、一方の貫通孔3cからナット3の軸方向に所定の間隔Lだけ離間している。これにより、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとの間には、ナット3の側面視で複数列の転動路Rが介在している。
加えて、図4に示すように、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、ナット3の軸方向視で互いに重複しないように離間している。具体的には、他方の貫通孔3eは、一方の貫通孔3c側からの軸方向視で一方の貫通孔3cからナット側ねじ溝3aの巻方向に一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとが重複しない所定の角度θだけ離間している。これにより、転動溝Rは、軸方向両側を一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとに挟まれることがない。従って、循環路中の転動溝Rは、一方の貫通孔3cまたは他方の貫通孔3eによって削減される列数が最小になる。
加えて、図4に示すように、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、ナット3の軸方向視で互いに重複しないように離間している。具体的には、他方の貫通孔3eは、一方の貫通孔3c側からの軸方向視で一方の貫通孔3cからナット側ねじ溝3aの巻方向に一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとが重複しない所定の角度θだけ離間している。これにより、転動溝Rは、軸方向両側を一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとに挟まれることがない。従って、循環路中の転動溝Rは、一方の貫通孔3cまたは他方の貫通孔3eによって削減される列数が最小になる。
図2(b)に示すように、一方のこま部材5と他方のこま部材6とは、軸側ねじ溝2aとナット側ねじ溝3aとから構成される転動路Rを周回経路にするものである。一方のこま部材5は、一方の貫通孔3cに挿入され、他方のこま部材6は、他方の貫通孔3eに挿入されている。なお、一方のこま部材5と他方のこま部材6とは同一の形状であるため、一方のこま部材5について説明し、他方のこま部材6についての説明を省略する。
図5に示すように、一方のこま部材5は、一方の貫通孔3c(図3参照)に隙間なく挿入可能な長穴形状に形成されている。また、一方のこま部材5の側壁面には、一方の貫通孔3cの段差部3d(図3参照)に係合するように段差部5aが形成されている。つまり、一方のこま部材5は、ナット3の外周面から挿入され、段差部5aが一方の貫通孔3cの段差部3dと接触することでナット3における径方向の位置が定まるように構成されている。一方のこま部材5のうち、ナット3の外周面側の側面である外側面は、突出部等の一方のこま部材5の加工時および組み付け時に必要な任意の形状に形成されている。一方のこま部材5のうち、ナット3の内周面側の側面には、ナット3のナット側ねじ溝3aと循環溝3gとを接続する連結路5bが形成されている。連結路5bは循環路の一部を構成している。
図2(b)に示すように、一方のこま部材5は、一方の貫通孔3cに隙間なく挿入されることで、一方のこま部材5の連結路5bの一側端がナット3のナット側ねじ溝3aに接続され、連結路5bの他側端がナット3の循環溝3gの一側端に接続されている。同様に、他方のこま部材6は、他方の貫通孔3eに隙間なく挿入されることで、他方のこま部材6の連結路6bの一側端がナット3の循環溝3gの他側端に接続され、連結路6bの他側端がナット側ねじ溝3aに接続されている。つまり、ナット3は、ナット側ねじ溝3aにおける一方の貫通孔3cが接続されている位置と他方の貫通孔3eが接続されている位置とが一方のこま部材5の連結路5b、他方のこま部材6の連結路6bおよび転動路Rによって接続されている。これにより、ナット3には、一方のこま部材5の連結路5bと循環溝3gと他方のこま部材6の連結路6bとから、一方の貫通孔3cから他方の貫通孔3eまでの転動路Rを周回経路とする循環路が構成されている。
一方のこま部材5は、ナット3の外周面側から一方の貫通孔3cに挿入され、ナット3の一方の端部から図示しないねじで固定されている。同様にして、他方のこま部材6は、ナット3の外周面側から他方の貫通孔3eに挿入され、ナット3の一方の端部から図示しないねじで固定されている。
次に、ボールねじ1におけるボール4の循環の態様について説明する。なお、本実施形態において、ボールねじ1のねじ軸2は、軸回りに回転しないように構成されているものとする。また、ナット3に形成されているナット側ねじ溝3aは右ねじであるものとするがこれに限定されるものではない。
図6(a)に示すように、ボールねじ1において、ナット3の一方の貫通孔3c側からの軸方向視でナット3を右方向に回転(以下、単に「右回転」と記す)させる場合、ボールねじ1は、ナット3の右回転(白塗矢印)に伴って複数のボール4が転動路Rを転動することで(矢印参照)ねじ軸2がナット3の一方の貫通孔3c側に軸方向移動される(黒塗矢印参照)。ボールねじ1は、ねじ軸2の軸方向移動とナット3の右回転により、ナット3の一方の貫通孔3cに挿入されている一方のこま部材5と他方の貫通孔3eに挿入されている他方のこま部材6とが転動路Rに沿って移動する。
転動路Rのボール4は、一方の貫通孔3cが形成されている位置に到達すると一方のこま部材5の連結路5bによって転動路Rから取り出される。つまり、一方のこま部材5は、ボール4を転動路Rから取り出す導出部として機能している。転動路Rから取り出されたボール4は、一方のこま部材5の連結路5bによってナット3に形成されている循環溝3gに導かれる。ボール4は、循環溝3gを通じてナット3の他方の貫通孔3eに挿入されている他方のこま部材6に導かれる。他方のこま部材6に導かれたボール4は、他方のこま部材6の連結路6bによって転動路Rに戻される。つまり、他方のこま部材6は、転動路Rから取り出されたボール4を転動路Rに戻し入れる導入部として機能している。
図6(b)に示すように、ボールねじ1において、ナット3の一方の貫通孔3c側からの軸方向視でナット3を左方向に回転(以下、単に「左回転」と記す)させる場合、図に示すように、ボールねじ1は、ナット3の左回転(白塗矢印)に伴って複数のボール4が転動路Rを転動することでねじ軸2がナット3の他方の貫通孔3e側に軸方向移動される(黒塗矢印参照)。ボールねじ1は、ねじ軸2の軸方向移動とナット3の右回転により、ナット3の一方の貫通孔3cに挿入されている一方のこま部材5と他方の貫通孔3eに挿入されている他方のこま部材6とが転動路Rに沿って移動する(矢印参照)。
転動路Rのボール4は、他方の貫通孔3eが形成されている位置に到達すると他方のこま部材6の連結路6bによって転動路Rから取り出される。つまり、他方のこま部材6は、ボール4を転動路Rから取り出す導出部として機能している。転動路Rから取り出されたボール4は、循環溝3gを通じて一方のこま部材5に導かれる。一方のこま部材5に導かれたボール4は、一方のこま部材5の連結路5bによって転動路Rに戻される。つまり、一方のこま部材5は、転動路Rから取り出されたボール4を転動路Rに戻し入れる導入部として機能している。
このようにボールねじ1は、ナット3が右回転された場合、導出部である一方のこま部材5、循環溝3g、導入部である他方のこま部材6および他方のこま部材6から一方のこま部材5までの転動路Rによって周回経路が構成されている。同様に、ボールねじ1は、ナット3が左回転された場合、導出部である他方のこま部材6、循環溝3g、導入部である一方のこま部材5および一方のこま部材5から他方のこま部材6までの転動路Rによって周回経路が構成されている。つまり、ボールねじ1は、ナット3の回転方向に関わらず、ボール4が無限循環する。
以上のごとく構成することで、ボールねじ1は、複数の転動路Rを跨ぐように一方の貫通孔3cに挿入されている一方のこま部材5と他方の貫通孔3eに挿入されている他方のこま部材6とが所定の間隔Lで配置されている。ボールねじ1は、転動路Rを転動しているボール4の数によって負荷容量が定まる。すなわち、ボールねじ1は、他方のこま部材6から一方のこま部材5までの間の転動路Rの列数によって負荷容量が定まる。つまり、ボールねじ1は、こま部材を増やすことなく負荷を受けることができるボール4の数が増加されている。さらに、ボールねじ1は、一方の貫通孔3c側からの軸方向視で一方の貫通孔3cからナット側ねじ溝3aの巻方向に所定の角度θだけ他方の貫通孔3eが離間している。つまり、ボールねじ1は、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとがナット3の軸方向視で重複することで減少する転動路Rの列数が最小限になるように構成されている。
また、ボールねじ1は、リターンチューブ式、ガイドプレート式、エンドキャップ式のボールねじ1のように、ナット3に循環路を構成するための部品を設けることなくナット3の外周面に任意の経路からなる循環溝3gを形成し、筐体7によって覆うだけで複数列の転動路Rからなる循環路が構成されている。これにより、ナット3の外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、一方のこま部材5と他方のこま部材6とを設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができる。
次に、図7と図8とを用いて、本発明に係るボールねじの第二実施形態であるボールねじ8について説明する。なお、以下の実施形態に係るボールねじ8は、図1から図6に示すボールねじ8において、ボールねじ8に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、記号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図7に示すようにナット3には、その外周面から内周面に至る径方向に一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとが形成されている。図7(b)に示すように、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、ナット3の側面視で軸方向に互いに間隔Lだけ離間している。これにより、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとの間には、ナット3の側面視で複数列の転動路Rが介在している。加えて、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、ナット3の軸方向視で互いに重複しないように離間している。一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとの間には、こま部材9を挿入する固定溝3hが形成されている。固定溝3hは、所定の幅および深さで形成され、一方の貫通孔3cから他方の貫通孔3eに至るまで形成されている。
図7(a)に示すように、こま部材9は、軸側ねじ溝2aとナット側ねじ溝3aとから構成される転動路Rを周回経路にするものである。こま部材9は、一方の突出部9aと他方の突出部9bと本体部9cとから形成されている。一方の突出部9aは、ナット3の一方の貫通孔3cに隙間なく挿入可能な長穴形状に形成されている。同様に、他方の突出部9bは、ナット3の他方の貫通孔3eに隙間なく挿入可能な長穴形状に形成されている。こま部材9の本体部9cは、ナット3の固定溝3hに隙間なく挿入可能な形状に形成されている。
こま部材9の本体部9cには、こま部材9の一方の突出部9aと他方の突出部9bとを連通する循環溝9dが形成されている。循環溝9dは循環路の一部を構成している。一方の突出部9aには、ナット3のナット側ねじ溝3aと循環溝9dとを接続する連結路9eが形成されている。他方の突出部9bには、ナット3のナット側ねじ溝3aと循環溝9dとを接続する連結路9fが形成されている。連結路9eと連結路9fとは、循環路の一部を構成している。こま部材9は、一方の突出部9aがナット3の一方の貫通孔3cに挿入され、他方の突出部9bがナット3の他方の貫通孔3eに挿入され、本体部9cが、ナット3の固定溝3hに挿入されている。つまり、ナット3は、ナット側ねじ溝3aにおける一方の貫通孔3cが接続されている位置と他方の貫通孔3eが接続されている位置とがこま部材9の循環溝9d、連結路9eおよび連結路9fによって接続されている。これにより、ナット3には、転動路Rを周回経路とする循環路が構成されている。
こま部材9が挿入されたナット3には、筐体7が嵌合される。これにより、こま部材9の循環溝9dは、筐体7によって開放部分が覆われている。すなわち、ナット3の外周面に構成されている循環溝9dは、筐体7によって密閉されている。これにより、一方の貫通孔3cと他方の貫通孔3eとは、循環溝9dによって任意の経路で連通されている。
以上のごとく構成することで、ボールねじ8は、こま部材9に形成されている一方の突出部9a、循環溝9d、他方の突出部9bおよび一方の突出部9aから他方の突出部9bまでの転動路Rによって周回経路が構成され、ボール4が無限循環する。ボールねじ8は、複数の転動路Rを跨ぐように一方の貫通孔3cに挿入されている一方の突出部9aと他方の貫通孔3eに挿入されている他方の突出部9bとが配置されている。つまり、ボールねじ8は、一つのこま部材9によって負荷を受けることができるボール4の数が増加されている。これにより、ナット3の外径および軸方向の長さを大きくすることなく負荷容量を増大させるとともに、こま部材9を設けたことによる負荷容量の低下を抑制することができる。
以上、上述した実施形態は、ボールねじ1およびボールねじ8のナット3を回転させる態様で説明したがこれに限定されるものではなく、ねじ軸2を回転させてナット3を移動させる構成でもよい。また、上述した実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、本実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 ボールねじ
2 ねじ軸
3 ナット
3c 一方の貫通孔
3e 他方の貫通孔
4 ボール
5 一方のこま部材
6 他方のこま部材
R 転動路
2 ねじ軸
3 ナット
3c 一方の貫通孔
3e 他方の貫通孔
4 ボール
5 一方のこま部材
6 他方のこま部材
R 転動路
Claims (6)
- ねじ軸がナットに挿入され、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝とから構成される転動路に複数のボールが配置され、転動路を周回経路とする循環路の少なくとも一部が形成されたこま部材が前記ナットに設けられるボールねじにおいて、
前記ボールを前記転動路から取り出す前記こま部材の導出部が挿入される一方の貫通孔と、前記転動路から取り出したボールを前記転動路に戻す前記こま部材の導入部が挿入される他方の貫通孔とが前記ナットの外周面からナットのねじ溝に至るように形成され、
前記一方の貫通孔と他方の貫通孔との間に複数列の転動路が介在するように、前記ナットの側面視で前記他方の貫通孔が前記一方の貫通孔から軸方向に離間し、
前記一方の貫通孔と他方の貫通孔とが重複しないように、前記ナットの一方の貫通孔側からの軸方向視で前記他方の貫通孔が前記一方の貫通孔からナットのねじ溝の巻方向に離間しているボールねじ。 - 前記こま部材の導出部によって前記転動路から取り出された前記ボールを前記こま部材の導入部まで案内するように前記循環路の一部が前記一方の貫通孔と他方の貫通孔とを連通するように前記ナットに形成される請求項1に記載のボールねじ。
- 前記こま部材の導出部と前記こま部材の導入部とが一体に形成され、
前記こま部材の導出部によって前記転動路から前記ボールを取り出し、前記こま部材の導入部によって前記転動路に戻すように前記循環路が前記こま部材に形成される請求項1に記載のボールねじ。 - 前記一方の貫通孔と他方の貫通孔とを連通する循環路が前記ナットの径方向外側が開放された溝から構成される請求項2に記載のボールねじ。
- 前記こま部材に形成される循環路の一部が前記ナットの径方向外側に開放された溝から構成される請求項3に記載のボールねじ。
- 前記循環路の開放部分が前記ナットの外周面に嵌合される筐体によって覆われる請求項4または請求項5に記載のボールねじ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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-
2016
- 2016-03-18 JP JP2016055967A patent/JP2017172605A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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