以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、実際の製造工程において、エッチングなどの処理によりレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易にするため省略して示すことがある。
第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
また、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
また、ソースおよびドレインの機能は、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本実施の形態に記載の内容は、適宜組み合わせて用いることができる。
<1.酸化物半導体層を用いたトランジスタの劣化機構>
まず、酸化物半導体層を用いたトランジスタの劣化機構のモデルについて説明し、酸化物半導体層を用いたトランジスタの信頼性を向上させるために、DOSをなくすこと、または少なくすることが有効であることを示す。
酸化物半導体層を用いたトランジスタの一例を図1(A)に示す。図1(A)中のOSは酸化物半導体層を示し、Sはソース電極を示し、Dはドレイン電極を示し、GIはゲート絶縁膜を示し、GEはゲート電極を示す。なお、酸化物半導体層と、ソース電極、ドレイン電極との間には、酸化物半導体層よりもキャリア密度の高いn層(図中ではnと表記)を有する。
図1(B)に、図1(A)に示した一点鎖線E1−E2におけるバンド構造を示す。図1(B)より、DOSには、浅い準位(shallow level DOS)と、深い準位(deep level DOS)の2種類が存在する。浅い準位、深い準位を形成する共通の要因は、酸素欠損(Vo)である。特にインジウムを含む酸化物半導体層中では、インジウムに隣接する酸素が抜けて、酸素欠損を形成する。なお、Ecは酸化物半導体層の伝導帯下端のエネルギーを示し、Evは酸化物半導体層の価電子帯上端のエネルギーを示し、Efは酸化物半導体層のフェルミエネルギーを示し、mid gapは酸化物半導体層のエネルギーギャップの中間のエネルギー(真性準位)を示す。なお、酸化物半導体層としては、真性(i型)または実質的に真性を仮定している。このとき、フェルミエネルギーはmid gapと一致するが、図中では見やすさのため、僅かにずらして示す。なお、DOSはエネルギー軸方向に分布を持っており、その高さ(電子エネルギーの軸と直交する方向)はDOSの密度を示す。
ゲート電極に電圧を印加しない場合、DOSは中性であり、プラスにもマイナスにも帯電しない。
また、ゲート電極にプラスの電圧を印加した場合、図2(A)に示すように酸化物半導体層のバンドは曲がる。そして、ゲート電極からの電界によってフェルミエネルギーよりも、浅い準位のエネルギーが低くなったときに、浅い準位にマイナスの電荷(電子など)が捕獲される。
同様に、ゲート電極にマイナスの電圧を印加した場合、図2(B)に示すように酸化物半導体層のバンドは曲がる。そして、ゲート電極からの電界によってフェルミエネルギーよりも深い準位のエネルギーが高くなったときに、深い準位にプラスの電荷(ホールなど)が捕獲される。
なお、酸化物半導体層のDOSに捕獲された電荷は極めて長い緩和時間(τ)を有するため、ゲート電極からの電界を止めても長時間にわたって電荷が保持される。したがって、DOSに捕獲された電荷はあたかも固定電荷のように振る舞う。例えば、浅い準位にマイナスの電荷が捕獲された場合、マイナスの固定電荷によって電界が生じた場合と同じように作用し、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向に変動する。また、深い準位にプラスの電荷が捕獲された場合、プラスの固定電荷によって電界が生じた場合と同じように作用し、トランジスタのしきい値電圧はマイナス方向に変動する。
上述したように、酸化物半導体層を用いたトランジスタは、酸化物半導体層中のDOSによって、しきい値電圧がプラス方向にもマイナス方向にも変動する劣化機構を有する。したがって、酸化物半導体層を用いたトランジスタの信頼性を向上させるために、DOSをなくすこと、または少なくすることが有効であることがわかる。
次に、トランジスタのドレイン電極にプラスの電圧を印加した場合の劣化について説明する。
図3(A)に、図1(A)に示した一点鎖線E3−E4におけるバンド構造を示す。なお、図3(A)では、n層との対比で、酸化物半導体層(OS)をi層(iと表記)と呼ぶ。
図3(A)に示すように、酸化物半導体層のフェルミエネルギーはmid gapよりも高いエネルギーとなる。これは、ソース電極およびドレイン電極間の距離が十分小さいとき、ソース電極およびドレイン電極の影響で伝導帯下端のエネルギー(Ec)が、低くなり、伝導帯下端のエネルギーとフェルミエネルギーが近づくためである。この現象を、CBL効果(Conduction band lowering effect)と呼ぶ。CBL効果は、酸化物半導体層の空乏層が極めて広いことに起因する酸化物半導体特有の現象である。
ここで、CBL効果について詳述する。
酸化物半導体層として真性または実質的に真性の酸化物半導体層を用いた場合、直観的には、ソース電極およびドレイン電極と酸化物半導体層との間には、酸化物半導体層のエネルギーギャップの半分程度の障壁が形成されると考えられる。ところが、実際には、酸化物半導体層を用いたトランジスタは、Vg−Id特性において、ゲート電圧が0V付近からドレイン電流が流れ始める。
そこで、図4に示すように、酸化物半導体層(OS)と、酸化物半導体層上に設けられたソース電極(S)およびドレイン電極(D)と、酸化物半導体層、ソース電極およびドレイン電極上に設けられたゲート絶縁膜(GI)を有する構造を仮定し、チャネル長(L)を変更した場合の一点鎖線H1−H2におけるバンド構造を計算により導出した。なお、図4では、ソース電極およびドレイン電極と接する酸化物半導体層の領域にn層を設けている。
ポアソン方程式を解くことによりバンドの曲がり幅を見積もると、バンドの曲がり幅は下式よりデバイの遮蔽長λDで特徴付けられる長さであることがわかった。なお、下式において、kBはボルツマン定数である。
上式に酸化物半導体層の真性キャリア密度niを6.6×10−9cm−3とし、酸化物半導体層の比誘電率εを15とし、温度Tに300Kを代入すると、デバイの遮蔽長λDは、5.7×1010μmと、非常に大きな値であることがわかった。したがって、チャネル長がデバイの遮蔽長λDの2倍である1.14×1011μmよりも大きければn層とi層の障壁高さは酸化物半導体層のエネルギーギャップの半分となることがわかる。
図5では、チャネル長を0.03μm、0.3μm、1μm、10μm、100μmおよび1×1012μmのときのバンド構造の計算結果を示す。なお、図5中の、nはn層を示し、iはn層に挟まれた酸化物半導体層の領域(i層)を示し、一点鎖線は酸化物半導体層のフェルミエネルギーを示し、破線は酸化物半導体層のmid gapを示す。
図5より、チャネル長が十分大きい1×1012μmの場合、i層とn層の電子エネルギーの差が、酸化物半導体層のエネルギーギャップの半分となることがわかった。ところが、チャネル長を小さくしていくと、徐々にi層とn層の電子エネルギーの差が小さくなり、チャネル長が1μm以下ではほとんど障壁がなくなることがわかった。なお、n層の電子エネルギーはソース電極およびドレイン電極によって固定される。
上述したように、チャネル長が小さいとき、n層とi層との障壁は十分小さくなることがわかる。
CBL効果があることにより、酸化物半導体層を用いたトランジスタは、ソース電極、ドレイン電極と酸化物半導体層との間に障壁があっても、サブスレッショルド値が理論限界近くまで小さくなり、優れたスイッチング特性を有する。
図3(A)から、ドレイン電極にプラスの電圧Vddを印加すると、バンド構造は図3(B)のようになる。ここで、ゲート電極にプラスの電圧を印加するとトランジスタの順方向に電流が流れる。このとき、フェルミエネルギーよりも低いエネルギーにある浅い準位には、さらにマイナスの電荷が蓄積される。したがって、ドレイン電極にプラスの電圧を印加することで、浅い準位のエネルギーはさらにフェルミエネルギーよりも低くなりやすいことがわかる。そのため、ゲート電極にプラスの電圧を印加した場合も、マイナスの電圧を印加した場合も、ドレイン電極に印加する電圧次第ではしきい値電圧をプラス方向に変動させることがある。
また、ゲート電極にプラスの電圧を印加した後、ソース電位(接地電位(GND))と同電位とすると、図6(A)または図6(B)のようになる。このとき、トラップされた電荷により、表面のバンドが逆方向に曲がる。例えば、図6(A)に示すように、マイナスの電荷がトラップされていた場合には、よりノーマリオフの方向にバンドが曲がり、しきい値電圧はプラス方向に変動する。また、図6(B)に示すように、プラスの電荷がトラップされていた場合には、よりノーマリオンの方向にバンドが曲がり、しきい値電圧はマイナス方向に変動する。
また、チャネルがn型化(n−化)していると、電子がソースからドレインに通りやすくなることで、ソースとドレイン間にパスが形成されてしまい、スイッチング特性が得られにくくなる。これを防ぐためには、チャネルのn型化を徹底的に防ぎ、真性化(i型化)する必要がある。
ここで、DOSを作る原因と対策について説明する。
DOSを作る原因の一つにシリコンによる酸素欠損の形成が挙げられる。具体的には、シリコンによりインジウムと酸素の結合が切断されて、下記化学式(1)で示すように、酸素欠損が形成される。
シリコンによる酸素欠損の形成を抑制するためには、DOSの形成を誘導する物質であるシリコンを酸化物半導体層と接させない、または、酸化物半導体層中にシリコンを混入させないことが重要である。特に、インジウムを含む酸化物半導体層とシリコンを含む層とを離すことが重要である。
また、DOSを作る原因の他の一つに、プラズマによる損傷が挙げられる。酸化物半導体層の成膜、または酸化物半導体層の上層に設けられる層の成膜にプラズマを使用する場合、プラズマによって酸化物半導体層が損傷して結合力の最も弱いIn−O−Inが切断され、酸素欠損を形成することがある(下記、化学式(2)参照)。さらに、脱離した酸素は水素と結合して、水となる。
DOSを低減するためには、プラズマによる酸化物半導体層の損傷を抑制することに加えて、加熱処理によって酸化物半導体層に酸素を供給して酸素欠損を補填することが重要である。
また、酸化物半導体層に生じうる2種類のDOSについて、以下に説明する。
DOSの一つである、深い準位について詳述する。深い準位は、価電子帯上端のエネルギー(Ev)とmid gapの間の禁止帯(field band)にできる深い準位(伝導帯下端のエネルギー(Ec)と比較してエネルギー的に深い位置)のDOSである。上述したように、酸化物半導体層に含まれるIn−O−Inの結合が切れた時に酸素欠損が作られるが、この酸素欠損が中性の深い準位となる。深い準位は、ホールに対して捕獲中心となり、フェルミエネルギーより高いエネルギーではプラスの電荷(positive charge)が捕獲される。
なお、深い準位は、CPMによって定量化することができる。
また、DOSの他の一つである、浅い準位について詳述する。浅い準位は、伝導帯下端のエネルギーの近くの禁止帯にできるとされている。
ここでは、浅い準位をIn−VoHと仮定している。即ち、酸素欠損に酸化物半導体層中に多量に存在する水素が接近してできるNeutral(中性)は、電子に対して捕獲中心となり、フェルミエネルギーより低いエネルギーではマイナスの電荷(negative charge)が捕獲される。
酸素欠損を減らすには、該チャネルを形成する酸化物半導体層をInの少ない(M、例えばGaの多い)酸化物半導体層で囲む(包む、覆う)ことにより、電流の流れるチャネルを、酸化物半導体層と接する絶縁膜から混入しうる不純物から離せばよい。酸化物半導体層と接する絶縁膜としては、例えば酸化シリコン膜などがある。シリコンは、Voの形成を誘導する物質となる。
Inの少ない(M、例えばGaの多い)酸化物半導体層は、DOSを作りにくいため、チャネルを囲む酸化物半導体層と、酸化シリコンとの界面にはDOSが形成されにくくなる。チャネルを囲む酸化物半導体層においてM(例えば、Ga)の原子数比を高くして、酸化物半導体層のIn−O面のInに代えてM(例えば、Ga)を含ませることで、結合力の弱いIn−O結合が低減するためVoが形成されにくくなり、トランジスタに安定した電気特性(高い信頼性)を与えることができる。
図7に、Vg−Id特性とDOSの関係を示す。図7に示すように、深い準位にプラスの電荷が捕獲されると、Vg−Id特性においてしきい値電圧がマイナス方向に変動する。また、浅い準位にマイナスの電荷が捕獲されると、Vg−Id特性においてしきい値電圧がプラス方向に変動する。
ドレインにプラスの電圧が加わり、浅い準位がフェルミエネルギーよりも低いエネルギーをとると、DOSはマイナスに帯電しやすい。即ち、しきい値電圧がプラス方向に変動しやすい。この変動を防ぐためには、浅い準位を減らす必要がある。
さらに、ドレインに一定のプラスの電圧を印加し、ゲート電圧を可変にすると、そのドレイン電圧、ゲート電圧にしたがって浅い準位がフェルミエネルギーよりも低いエネルギーとなり、DOSがマイナスに帯電する。このマイナスの帯電は見かけ上、ゲート電圧にマイナスの電圧を印加させた場合と同等の効果を有する。よって、ゲート電圧が低いところで、ドレイン電流(Id)の低下、即ち、Vg−Id特性のグラフに肩(ショルダー)ができる(図8参照)。
図8に示すショルダーは、ドレインにプラスの電圧が印加されたときに起こる。より電界が加わるゲート電極側のDOS(特に浅い準位)を低減することで、図8に示すショルダーを緩和することができると考えられる。
上述したように、酸化物半導体層を用いたトランジスタの信頼性を向上させるために、DOSをなくすこと、または少なくすることが有効であることがわかる。
<2.酸化物半導体層を含む多層膜について>
以下では、安定した電気特性を有する酸化物半導体層を用いたトランジスタを実現可能な、DOSの小さい多層膜について説明する。
<2−1.多層膜の構造>
本項では、多層膜の構造について説明する。
DOSの小さい多層膜は、チャネルが形成される酸化物半導体層を囲むように、酸化物半導体層よりもDOSを形成しにくい酸化物層を設ける構造を有する。なお、酸化物半導体層を酸化物層で囲む構造について、様々な形成方法が考えられるが、以下ではその一例を示す。
図9(A)乃至図9(D)に、多層膜108の断面構造を示す。多層膜108は、酸化物層105aと、酸化物層105a上に設けられた酸化物半導体層106と、酸化物半導体層106上に設けられた酸化物層105bと、少なくとも酸化物半導体層106の側面に接して設けられた酸化物層105cと、を有する。なお、酸化物層105cは曲面を有する。
図9(A)および図9(B)に示す多層膜108の一断面の一側面において、酸化物層105cは、一つの接触円(曲率円ともいう。)からなる曲率(曲面)を有する。また、図9(C)および図9(D)に示す多層膜108の一断面の一側面において、酸化物層105cは上端部および下端部にそれぞれ一つの接触円からなる曲率を有する。
多層膜108は、図9(A)および図9(C)に示すように、酸化物層105a、酸化物半導体層106および酸化物層105bの側面と酸化物層105aの下面との為す角度がほぼ垂直であってもよく、図9(B)および図9(D)に示すように傾斜(テーパー角)を有してもよい。
このように、多層膜108の一部である側面に曲面を有する酸化物層105cを有することにより、多層膜108を用いたトランジスタの形状不良の発生を抑制することができる。
<2−1−1.多層膜の端部を構成する酸化物層>
酸化物層105cが有する曲面について図10を用いて説明する。
図10(A)は、図9(A)および図9(B)に示した多層膜108の一断面の一側面に対応する酸化物層105cの断面図である。図10(A)に示す酸化物層105cは、曲率半径がrである接触円からなる曲率を有する。なお、曲率半径とは、曲線の接触円の半径と等しい。
図10(B)は、図9(C)および図9(D)に示した多層膜108の一断面の一側面に対応する酸化物層105cの断面図である。図10(B)に示す酸化物層105cは、曲率半径がrである接触円からなる曲率を上端部および下端部にそれぞれ有する。なお、上端部、下端部の曲率は、それぞれ異なる曲率半径を有しても構わない。
図10(C)に示す酸化物層105cは、曲率半径がrである接触円からなる曲率を有する。なお、酸化物層105cは、異なる接触円からなる曲率を二カ所または三カ所有しても構わない。
このとき、曲率半径rは、多層膜108の厚さt(酸化物層105a、酸化物半導体層106および酸化物層105bの合計の厚さ)に対し、50分の1以上50倍以下、好ましくは20分の1以上20倍以下、さらに好ましくは10分の1以上10倍以下、より好ましくは5分の1以上5倍以下とする。
<2−1−2.多層膜の形成機構>
曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108の形成機構について説明する。
<2−1−3.形成機構(1)>
曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108の形成機構の一例を、図11乃至図13を用いて説明する。
まず、下地絶縁膜132上に設けられた酸化物層135aと、酸化物層135a上に設けられた酸化物半導体層136と、酸化物半導体層136上に設けられた酸化物層135bと、を有する多層膜を準備する(図11(A)参照。)。
次に、酸化物層135b上の一部にレジストマスク140を形成する(図11(B)参照。)。
次に、ドライエッチング法によって、レジストマスク140の設けられていない領域の酸化物層135bおよび酸化物半導体層136をエッチングし、酸化物層135aを露出させる(図11(C)参照。)。
次に、ドライエッチング法によって、露出した酸化物層135aをエッチングしていく(図12(A)参照。)。このとき、酸化物層135aの反応生成物が、多層膜の少なくとも酸化物半導体層106の側面に再付着し、側壁保護膜(ラビットイヤーとも呼べる。)である酸化物層を形成する。なお、酸化物層135aの反応生成物は、スパッタリング現象によって再付着するほか、ドライエッチング時のプラズマ150を介して再付着する。ドライエッチングの条件は、例えば、エッチングガスとして三塩化ホウ素ガスおよび塩素ガスを用い、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)電力および基板バイアス電力を印加して行えばよい。
続けて酸化物層135aをエッチングしていくことで、酸化物層105aおよび酸化物層175cを形成する。この際、下地絶縁膜132も一部がエッチングされて、下地絶縁膜133となる(図12(B)参照。)。
なお、酸化物層175cは、酸化物層135aの反応生成物であるため、エッチング時に用いたエッチングガス由来の成分(塩素、ホウ素など)が残存する。当該成分が大気中などの水分などと反応すると、酸化物層175cはさらにエッチングされる。
次に、エッチングされた酸化物層175cに残存するエッチングガス由来の成分をアッシング処理によって除去することで酸化物層105cとなる酸化物層を形成する。
次に、レジストマスク140を除去する。
次に、酸化性ガスを含む雰囲気で加熱処理を行い、酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cとなる酸化物層の酸素欠損を低減する。特に、酸化物層105cとなる酸化物層は、エッチング時の反応生成物から形成されるため、酸素欠損が生じやすい。したがって、酸化物層105cとなる酸化物層は、前述のアッシング処理および当該加熱処理によって、キャリア密度の極めて小さな酸化物層105cとする(図12(C)参照。)。なお、酸化性ガスとは、酸素、亜酸化窒素、オゾンなどのガスをいう。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。加熱処理の雰囲気は、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。または、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
以上のようにして、曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108を形成することができる。したがって、曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108を形成するためには、酸化物層105cを形成するために専用のフォトマスクなどは必要ないことがわかる。
また、このようにして形成された酸化物層105a、酸化物層105bおよび酸化物層105cは厳密に区別のつかない場合がある。そのため、酸化物層105a、酸化物層105bおよび酸化物層105cをまとめて酸化物層105と呼んでもよい。図13(A)に示すように、酸化物半導体層106を包む酸化物層105をあわせて多層膜108としてもよい。
次に、下地絶縁膜133をエッチングすることで、複数の段差(ここでは2段)を有する下地絶縁膜102を形成しても構わない(図13(B)参照。)。下地絶縁膜102が2段の段差を有する、を換言すると、下地絶縁膜102が厚さの異なる三つの領域を有する、となる。
<2−1−4.形成機構(2)>
曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108の形成機構の一例を、図14および図15を用いて説明する。
まず、下地絶縁膜132上に設けられた酸化物層135aと、酸化物層135a上に設けられた酸化物半導体層136と、酸化物半導体層136上に設けられた酸化物層135bと、を有する多層膜を準備する(図14(A)参照。)。
次に、酸化物層135b上の一部にレジストマスク140を形成する(図14(B)参照。)。
次に、ドライエッチング法によって、レジストマスク140の設けられていない領域の酸化物層135b、酸化物半導体層136および酸化物層135aをエッチングし、それぞれ酸化物層155b、酸化物半導体層156および酸化物層155aとする。このとき、下地絶縁膜132も一部がエッチングされて下地絶縁膜152となる(図14(C)参照。)。なお、酸化物層155b、酸化物半導体層156および酸化物層155aはテーパー角を有する。
次に、ドライエッチング法によって、酸化物層155b、酸化物半導体層156および酸化物層155aをエッチングし、それぞれ酸化物層105b、酸化物半導体層106および酸化物層105aを形成する。このとき、酸化物層155aの反応生成物が、多層膜の側面に再付着し、側壁保護膜(ラビットイヤーとも呼べる。)である酸化物層105cとなる酸化物層を形成する。なお、酸化物層155aの反応生成物は、スパッタリング現象によって再付着するほか、ドライエッチング時のプラズマを介して再付着する。この際、下地絶縁膜152も一部がエッチングされて、下地絶縁膜102となる(図15(A)参照。)。
なお、酸化物層105cとなる酸化物層は、酸化物層155aの反応生成物であるため、エッチング時に用いたエッチングガス由来の成分(塩素、ホウ素など)が残存する。
次に、酸化物層105cとなる酸化物層に残存するエッチングガス由来の成分をアッシング処理によって除去する。
次に、レジストマスク140を除去する。
次に、酸化性ガスを含む雰囲気で加熱処理を行い、酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cとなる酸化物層の酸素欠損を低減すると好ましい。特に、酸化物層105cとなる酸化物層は、エッチング時の反応生成物から形成されるため、酸素欠損が生じやすい。したがって、酸化物層105cとなる酸化物層は、前述のアッシング処理および当該加熱処理によって、キャリア密度の極めて小さな酸化物層105cとする(図15(B)参照。)。
以上のようにして、曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108を形成することができる。したがって、曲面を有する酸化物層105cを有する多層膜108を形成するためには、酸化物層105cを形成するために専用のフォトマスクなどは必要ないことがわかる。
上述したように、酸化物層105cは、酸化物層105aとなる酸化物層155aの反応生成物から形成される。したがって、酸化物層105cは酸化物層105aとは、その形成過程のために、異なる組成、異なる物性となることがある。ただし、酸化物層105aと酸化物層105cとは、分析などによって区別がつかない場合もある。その場合、酸化物層105cは酸化物層105aと同様の物性を有する酸化物層となり、酸化物層105cの物性について特に記載がない場合、酸化物層105aについての記載を参照することができる。また、酸化物層105bについても、酸化物層105aと同様の構成である場合に、酸化物層105cと区別がつかないことがある。そのため、酸化物層105a、酸化物層105bおよび酸化物層105cをまとめて酸化物層105と呼んでもよい。図15(C)に示すように、酸化物半導体層106を包む酸化物層105をあわせて多層膜108としてもよい。
多層膜108は、酸化物層105a、酸化物層105bおよび酸化物層105cによって、酸化物半導体層106が囲まれている(包まれているまたは覆われている)構造を有する。したがって、酸化物半導体層106への不純物の混入を小さくできる。また、酸化物半導体層106は他の酸化物層との間に準位を有さないため、キャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。
<2−2.多層膜の物性>
本項では、多層膜の物性について説明する。
<2−2−1.多層膜の組成>
以下では、多層膜108、ならびに多層膜108を構成する酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cの組成について説明する。
酸化物半導体層106は、少なくともインジウムを含む酸化物半導体層である。また、インジウムに加えて、元素M(アルミニウム、チタン、シリコン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、ランタン、セリウムまたはハフニウム)を含むと好ましい。なお、酸化物半導体層106は、少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなるため好ましい。
酸化物層105aは、酸化物半導体層106を構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物層である。そのため、酸化物半導体層106と酸化物層105aとの界面において、界面散乱が起こりにくい。したがって、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
酸化物層105aは、例えば、アルミニウム、チタン、シリコン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、ランタン、セリウムまたはハフニウムをインジウムよりも高い原子数比で含む酸化物層とすればよい。具体的には、酸化物層105aとして、インジウムよりも前述の元素を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比で含む酸化物層を用いる。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物層に生じることを抑制する機能を有する。即ち、酸化物層105aは酸素欠損が生じにくい酸化物層である。また、酸化物層105aは、前述の元素を酸化物半導体層106よりも高い原子数比で含む酸化物層である。
また、酸化物層105bは、酸化物半導体層106を構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される。酸化物半導体層106を構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から酸化物層105bが構成されるため、酸化物半導体層106と酸化物層105bとの界面に界面準位を形成しにくい。該界面が界面準位を有すると、該界面をチャネルとしたしきい値電圧の異なる第2のトランジスタが形成され、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物層105bを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。
酸化物層105bは、例えば、アルミニウム、チタン、シリコン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、ランタン、セリウムまたはハフニウムをインジウムよりも高い原子数比で含む酸化物層とすればよい。具体的には、酸化物層105bとして、インジウムよりも前述の元素を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比で含む酸化物層を用いる。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物層に生じることを抑制する機能を有する。即ち、酸化物層105bは酸素欠損が生じにくい酸化物層である。また、酸化物層105bは、前述の元素を酸化物半導体層106よりも高い原子数比で含む酸化物層である。
酸化物層105cは、酸化物層105aの記載を参照する。酸化物層105cは、多層膜108の側面を形成する層である。そのため、酸化物層105cに酸素欠損が生じると、酸化物層105cと酸化物半導体層106との界面に、該界面をチャネルとしたしきい値電圧の異なる第2のトランジスタが形成され、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸素欠損の生じにくい酸化物層105cを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。第2のトランジスタによる電気特性のばらつきは、チャネル長の小さいトランジスタほど顕著となる。したがって、微細化されたトランジスタほど、酸素欠損の生じにくい酸化物層105cを設けることにより高い効果を奏する。
なお、酸化物層105bに含まれるインジウムが外方拡散すると、トランジスタの電気特性を劣化させることがあるため、酸化物層105bは、酸化物半導体層106よりもインジウムの原子数比が小さいことが好ましい。
なお、酸化物層105aおよび酸化物層105cは、酸化物層105bよりも酸素欠損の生じにくい酸化物層とすると好ましい。また、酸化物層105aおよび酸化物層105cは、酸化物層105bよりも高い絶縁性を有する酸化物層であると好ましい。酸化物層105aおよび酸化物層105cが、酸化物層105bよりも酸素欠損が生じにくく、高い絶縁性を有するためには、酸化物層105aおよび酸化物層105cに含まれる、酸素欠損が酸化物層に生じることを抑制する元素、または酸素との結合力が強い金属元素を、酸化物層105bよりも高い濃度で含むとよい。
なお、酸化物層105aがIn−M−Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、酸化物半導体層106がIn−M−Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。また、酸化物層105bがIn−M−Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、酸化物層105cがIn−M−Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率は好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。
なお、酸化物層105aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体層106の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。なお、酸化物層105bの厚さは、3nm以上50nm以下、好ましくは3nm以上20nm以下とする。ただし、酸化物層105aおよび酸化物層105cの厚さは、酸化物層105bよりも大きい方が好ましい。換言すると、酸化物層105bの厚さは、酸化物層105aおよび酸化物層105cよりも小さい方が好ましい。
なお、酸化物層105a、酸化物層105bをスパッタリング法で成膜する場合、パーティクル数を増大させないために、インジウムを含むターゲットを用いると好ましい。また、ガリウムの原子数比が比較的小さい酸化物ターゲットを用いることが好ましいとわかる。特に、インジウムを含むターゲットを用いる場合、ターゲットの導電率を高めることができ、DC放電およびAC放電が容易となるため、大面積の基板へ対応しやすくなる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる。
<2−2−2.多層膜のバンド構造>
まずは、酸化物半導体層を含む多層膜のバンド構造について説明する。
まずは、比較例として酸化物半導体層106を単層で用いた場合の断面図を図16(A)に示し、図16(A)の一点鎖線F1−F2に対応するバンド構造を図16(B)に示す。酸化物半導体層106の伝導帯下端のエネルギーをEcSと表記する。なお、図16では、酸化物半導体層106の上下に酸化物半導体層106よりも十分にエネルギーギャップが大きく、かつ十分に伝導帯下端のエネルギーが高い絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を設けた場合について示す。
図16(B)より、酸化物半導体層106を単層で用いた場合、酸化物半導体層106と絶縁膜との間の伝導帯下端のエネルギーが不連続的に変化する(不連続接合)と考えられる。これは、当該絶縁膜が酸化物半導体層106よりも十分にエネルギーギャップが大きく、かつ十分に伝導帯下端のエネルギーが高い絶縁膜、即ち、酸化物半導体層106と全く物性の異なる絶縁膜であることに起因する。
したがって、酸化物半導体層106と絶縁膜との界面には多数のDOSが存在することが示唆される。また、酸化物半導体層106を単層で用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体層106と絶縁膜(ゲート絶縁膜や保護絶縁膜に相当)との界面にDOSが存在すると、トランジスタの劣化を引き起こす場合がある。
次に、多層膜108の断面図を図17(A)に示し、図17(A)の一点鎖線G1−G2に対応するバンド構造を図17(B)に、図17(A)の一点鎖線G3−G4に対応するバンド構造を図17(C)に示す。酸化物層105a、酸化物層105b、酸化物層105cの伝導帯下端のエネルギーは、それぞれEcO1、EcO2、EcO3と表記する。なお、図17では、多層膜108を囲んで多層膜108のいずれの層よりも十分にエネルギーギャップが大きく、かつ十分に伝導帯下端のエネルギーが高い絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を設けた場合について示す。
なお、酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cの伝導帯下端のエネルギーが、それぞれEcS1、EcS2、EcS3およびEcS4のとき、数式(2)に示す関係を満たすように酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cを選択する。
図17(B)より、多層膜108において、酸化物層105aおよび酸化物層105bと、酸化物半導体層106との間の伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する(連続接合)と考えられる。これは、酸化物層105aおよび酸化物層105bと、酸化物半導体層106とが、物性の近い酸化物層であることに起因する。
したがって、酸化物半導体層106と、酸化物層105aおよび酸化物層105bと、の界面にはそれぞれDOSがほとんど存在しないことが示唆される。また、酸化物層105aおよび酸化物層105bは、前述したように酸素欠損の生じにくい酸化物層であるため、酸素欠損に起因すると考えられるDOSはほとんどないと考えられる。
なお、酸化物層105a、酸化物層105b、酸化物層105cおよび酸化物半導体層106の真空準位と伝導帯下端のエネルギー差(電子親和力ともいう。)は、各層において真空準位と価電子帯上端のエネルギー差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネルギーギャップを引くことで求めることができる。
また、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定することができる。また、イオン化ポテンシャルは、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定することができる。
図17(B)および図17(C)より、多層膜108の酸化物半導体層106がウェル(井戸)となり、多層膜108を用いたトランジスタにおいて、チャネルが酸化物半導体層106に形成されることがわかる。なお、多層膜108は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、酸化物半導体層106と酸化物層105bとが連続接合している、ともいえる。
ここで、加熱処理によって多層膜108中の酸素が、350℃または450℃の加熱処理後に拡散する様子について図18を用いて説明する。
図18に、多層膜108のうち、いずれかの層を18O2ガスを用いて成膜した試料について、SIMSを行い、深さ方向における18Oの濃度分布を測定した結果を示す。
ここで、酸化物層105aは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物層である。
また、酸化物半導体層106は、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=3:1:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物半導体層である。
また、酸化物層105bは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物層である。
ここで、図18(A)は、酸化物層105aに18O2ガスを用い、そのほかの層には18O2ガスを用いていない試料の酸化物層105aおよび酸化物半導体層106の界面を含む深さ方向における18Oの濃度分布である。加熱処理なし(as−depoと表記、点線)と比べ、350℃加熱処理後(350℃加熱後と表記、一点鎖線)および450℃加熱処理後(450℃加熱後と表記、実線)では、18Oが酸化物層105aから酸化物半導体層106まで拡散していることがわかった。
また、図18(B)は、酸化物半導体層106に18O2ガスを用い、そのほかの層には18O2ガスを用いていない試料の酸化物半導体層106および酸化物層105bの界面を含む深さ方向における18Oの濃度分布である。加熱処理なし(as−depoと表記、点線)と比べ、350℃加熱処理後(350℃加熱後と表記、一点鎖線)および450℃加熱処理後(450℃加熱後と表記、実線)では、18Oが酸化物半導体層106から酸化物層105bまで拡散していることがわかった。
また、図18(C)は、酸化物半導体層106に18O2ガスを用い、そのほかの層には18O2ガスを用いていない試料の酸化物層105aおよび酸化物半導体層106の界面を含む深さ方向における18Oの濃度分布である。加熱処理なし(as−depoと表記、点線)および350℃加熱処理後(350℃加熱後と表記、一点鎖線)と比べ、450℃加熱処理後(450℃加熱後と表記、実線)では、18Oが酸化物半導体層106から酸化物層105aまで拡散していることがわかった。
図18に示すように、多層膜108中で酸素は相互に拡散し合っている。即ち、酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cのいずれかの組み合わせにより形成される界面は、お互いの構成元素が混ざり合った層(混合層ともいう。)を形成しており、連続接合していることがわかる。なお、混合層は、混ざり合った層と層との中間の性質を有する。
次に、多層膜108中のDOSについて、CPMによって評価した。
なお、トランジスタが高い電界効果移動度を有し、かつ安定した電気特性を有するためには、多層膜108中のCPM測定で得られる局在準位による吸収係数を、1×10−3cm−1未満、好ましくは3×10−4cm−1未満とすればよい。
CPM測定を行った試料について以下に説明する。
酸化物層105aは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物層である。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
また、酸化物半導体層106は、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物半導体層である。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
また、酸化物層105bは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物層である。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
ここで、CPM測定の精度を高めるため、多層膜108はある程度の厚さが必要となる。具体的には、多層膜108に含まれる酸化物層105aの厚さを30nm、酸化物半導体層106の厚さを100nm、酸化物層105bの厚さを30nmとした。
CPM測定では、試料である多層膜108に接して設けられた第1の電極および第2の電極間に電圧を印加した状態で光電流値が一定となるように端子間の試料面に照射する光量を調整し、照射光量から吸収係数を導出することを各波長にて行うものである。CPM測定において、試料に欠陥があるとき、欠陥の存在する準位に応じたエネルギー(波長より換算)における吸収係数が増加する。この吸収係数の増加分に定数を掛けることにより、試料の欠陥密度を導出することができる。
図19(A)に、分光光度計によって測定した吸収係数(点線)と、CPMによって測定した吸収係数(実線)とを多層膜108の各層のエネルギーギャップ以上のエネルギー範囲において、フィッティングした結果を示す。なお、CPMによって測定した吸収係数より得られたアーバックエネルギーは78.7meVであった。図19(A)の破線丸で囲んだエネルギー範囲においてCPMによって測定した吸収係数からバックグラウンド(細点線)を差し引き、当該エネルギー範囲における吸収係数の積分値を導出した(図19(B)参照。)。その結果、本試料のDOSによる吸収係数は、2.02×10−4cm−1であることがわかった。
したがって、多層膜108は、DOSが極めて少ないことがわかった。即ち、多層膜108を用いたトランジスタは高い電界効果移動度を有し、かつ安定した電気特性を有することがわかる。
<2−2−3.多層膜の不純物>
以下では、多層膜108を構成する各層におけるシリコン濃度について、図20を用いて説明する。
ここで、酸化物層105aは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物層である。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
また、酸化物半導体層106は、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物半導体層である。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を300℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
また、酸化物層105bは、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜した酸化物層である。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
シリコンウェハ上に多層膜108を設け、加熱処理なしの試料と450℃にて2時間加熱処理を行った試料を準備し、飛行時間二次イオン質量分析(ToF−SIMS:Time−of−flight secondary ion mass spectrometer)によって、深さ方向のInを示す二次イオン強度、Gaを示す二次イオン強度、Znを示す二次イオン強度およびSiO3の二次イオン強度から換算したSi濃度[atoms/cm3]を示す。多層膜108は、厚さが10nmの酸化物層105aと、酸化物層105a上に設けられた厚さが10nmの酸化物半導体層106と、酸化物半導体層106上に設けられた厚さが10nmの酸化物層105bと、を有する。
図20より、多層膜108を構成する各層の組成は、成膜時のターゲットの組成によって変化することがわかる。ただし、各層の組成について、図20から単純な比較を行うことはできない。
図20より、多層膜108のシリコンウェハと酸化物層105aとの界面、および酸化物層105bの上面において、Si濃度が高くなることがわかった。また、酸化物半導体層106のSi濃度がToF−SIMSの検出下限である1×1018atoms/cm3程度であることがわかった。これは、酸化物層105aおよび酸化物層105bがあることにより、シリコンウェハや表面汚染などに起因したシリコンが酸化物半導体層106にまで影響することがなくなったと考えられる。また、酸化物層105aおよび酸化物層105b中にはシリコンが混入しているものの、酸化物層105aおよび酸化物層105b自体がシリコンの混入によって酸素欠損を生じにくい酸化物層であるため、トランジスタの電気特性の劣化には寄与しないと考えられる。
また、図20に示すas−depo(加熱処理なしの試料)と加熱処理後の試料との比較により、加熱処理によってシリコンの拡散は起こりにくく、成膜時の混合が主であることがわかる。
多層膜108を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層106を高純度真性化することが有効である。具体的には、酸化物半導体層106のキャリア密度を、1×1017/cm3未満、1×1015/cm3未満、または1×1013/cm3未満とすればよい。酸化物半導体層106において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。酸化物半導体層106中の不純物濃度を低減するためには、近接する酸化物層105a中および酸化物層105b中の不純物濃度も酸化物半導体層106と同程度まで低減することが好ましい。
特に、酸化物半導体層106にシリコンが高い濃度で含まれることにより、酸化物半導体層106にシリコンに起因する不純物準位が形成される。該不純物準位は、トラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。トランジスタの電気特性の劣化を小さくするためには、酸化物半導体層106のシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とすればよい。また、酸化物層105aと酸化物半導体層106との界面、および酸化物半導体層106と酸化物層105bとの界面のシリコン濃度についても、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
また、酸化物半導体層106中で水素は、酸素欠損部に入り込むことでDOSを形成する。酸化物半導体層106を真性または実質的に真性とするためには、酸化物半導体層106中の水素濃度は、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。
なお、酸化物半導体層106にシリコンおよび炭素が高い濃度で含まれることにより、酸化物半導体層106の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体層106の結晶性を低下させないためには、酸化物半導体層106のシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とすればよい。また、酸化物半導体層106の結晶性を低下させないためには、酸化物半導体層106の炭素濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とすればよい。多層膜108の結晶性については、後述する。
<2−2−4.多層膜の結晶性>
以下では、多層膜108に含まれる酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cの結晶性について説明する。
多層膜108において、酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cは非晶質構造または結晶質構造とする。
以下では、酸化物半導体層(酸化物層)の構造について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体層は、単結晶酸化物半導体層と非単結晶酸化物半導体層とに大別される。非単結晶酸化物半導体層とは、非晶質酸化物半導体層、微結晶酸化物半導体層、多結晶酸化物半導体層、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)層などをいう。
非晶質酸化物半導体層は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶成分を有さない酸化物半導体層である。微小領域においても結晶部を有さず、膜全体が完全な非晶質構造の酸化物半導体層が典型である。
微結晶酸化物半導体層は、例えば、1nm以上10nm未満の大きさの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を含む。したがって、微結晶酸化物半導体層は、非晶質酸化物半導体層よりも原子配列の規則性が高い。そのため、微結晶酸化物半導体層は、非晶質酸化物半導体層よりも欠陥準位密度が低いという特徴がある。
CAAC−OS層は、複数の結晶部を有する酸化物半導体層の一つであり、ほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。したがって、CAAC−OS層に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。CAAC−OS層は、微結晶酸化物半導体層よりも欠陥準位密度が低いという特徴がある。以下、CAAC−OS層について詳細な説明を行う。
CAAC−OS層を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、結晶部同士の明確な境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS層は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS層を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS層の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS層の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OS層を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS層の結晶部は配向性を有していることがわかる。
CAAC−OS層に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS層のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS層の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS層に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体層であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS層の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS層では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。したがって、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS層を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS層の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。したがって、例えば、CAAC−OS層の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS層の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS層中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS層の結晶部が、CAAC−OS層の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAAC−OS層に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS層のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS層中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS層は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS層を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
なお、酸化物半導体層は、例えば、非晶質酸化物半導体層、微結晶酸化物半導体層、CAAC−OS層のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
多層膜108において、少なくとも酸化物半導体層106は結晶質構造を有すると好ましい。特に、CAAC−OS層であると好ましい。
酸化物半導体層106をCAAC−OS層とするためには、下地である酸化物層105aがCAAC−OS層と同様の結晶質構造であるか、非晶質構造であると好ましい。また、酸化物半導体層106がCAAC−OS層であるとき、酸化物半導体層106を下地とする酸化物層105bはCAAC−OS層と同様の結晶質構造となりやすい。ただし、酸化物層105bは結晶質構造に限定されず、非晶質構造であっても構わない。
なお、酸化物層105cは、非晶質構造または結晶質構造のいずれであっても構わない。
多層膜108を用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体層106はチャネルとなる層であるため、酸化物半導体層106が高い結晶性を有すると、トランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。
<3.多層膜を用いたトランジスタについて>
以下では、酸化物半導体層106にチャネルが形成される、多層膜108を用いたトランジスタについて説明する。
<3−1.トランジスタ構造(1)>
ここでは、トップゲート型トランジスタの一種であるトップゲートトップコンタクト構造(TGTC構造)のトランジスタについて図21を用いて説明する。
図21に、TGTC構造であるトランジスタの上面図および断面図を示す。図21(A)は、トランジスタの上面図を示す。図21(A)において、一点鎖線A1−A2に対応する断面図を図21(B)に示す。また、図21(A)において、一点鎖線A3−A4に対応する断面図を図21(C)に示す。
図21(B)に示すトランジスタは、基板100上に設けられた下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上に設けられた酸化物半導体層106、および酸化物半導体層106を囲んで設けられた酸化物層105を含む多層膜108と、下地絶縁膜102および多層膜108上に設けられたソース電極116aおよびドレイン電極116bと、多層膜108、ソース電極116aおよびドレイン電極116b上に設けられたゲート絶縁膜112と、ゲート絶縁膜112上に設けられたゲート電極104と、ゲート絶縁膜112およびゲート電極104上に設けられた保護絶縁膜118と、を有する。なお、トランジスタは、下地絶縁膜102または/および保護絶縁膜118を有さなくても構わない。
なお、図22(A)、図22(B)および図22(C)に示すトランジスタのように、多層膜108がソース電極116aおよびドレイン電極116bの幅(チャネル幅方向の長さ)より内側に設けられていてもよい。図22に示すトランジスタは、ゲート電極104、ソース電極116aおよびドレイン電極116bなどによって多層膜108が遮光されるため、光による電気特性の変動が起こりにくい。
なお、図21に示すトランジスタにおいて、チャネル形成領域は、ソース電極116aとドレイン電極116bとに挟まれ、かつゲート電極104と重なる多層膜108である。ここでは、酸化物半導体層106に流れる電流の主経路をチャネルと呼ぶ。
なお、ソース電極116aおよびドレイン電極116bに用いる導電膜の種類によっては、多層膜108の一部から酸素を奪い、または混合層(導電膜の主成分である金属元素が多層膜108中に入り込んだ層)を形成し、チャネルとソース電極116aおよびドレイン電極116bとの間に、多層膜108中にソース領域およびドレイン領域を形成することがある。
なお、トランジスタのソース電極116aおよびドレイン電極116b近傍の断面図を図23に示す。ソース電極116aおよびドレイン電極116bは、図23に示すいずれの構造としても構わない。なお、図23は、ソース電極116aおよびドレイン電極116bの形成によって生じる多層膜108の上面がえぐれたエッチング領域が生じることがあるが、理解を容易にするために省略して示す。
図23(A)は、図21(B)に示すソース電極116aおよびドレイン電極116bと同様の構造である。このとき、多層膜108と、ソース電極116a、ドレイン電極116bとの間である破線で示す領域に、ソース領域108aおよびドレイン領域108bが形成される。ソース領域108aおよびドレイン領域108bは、多層膜108にソース電極116aおよびドレイン電極116bを形成する際のダメージや、ソース電極116aおよびドレイン電極116bである導電膜の作用で多層膜108に酸素欠損が生じることで形成される。なお、ソース領域108aおよびドレイン領域108bは、多層膜108の酸化物半導体層106まで形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、ソース領域108aおよびドレイン領域108bが、多層膜108の酸化物層105のみに形成されていてもよい。このように、多層膜108に含まれる酸化物層105bおよび酸化物半導体層106と、ソース領域108aおよびドレイン領域108bとは異なる物性を示す。具体的には、酸化物層105bおよび酸化物半導体層106よりもキャリア密度の高い(抵抗の低い)層となる。
図23(B)は、ソース電極116aとして、酸化されにくい導電層116a2と、導電層116a2上に設けられた導電層116a1を、ドレイン電極116bとして、酸化されにくい導電層116b2と、導電層116a2上に設けられた導電層116b1を、それぞれ有する構造である。なお、酸化されにくい導電層は、多層膜108を還元しにくい導電層である。ソース電極116aおよびドレイン電極116bが、図23(B)に示す構造を有することで、多層膜108に形成されるソース領域108aおよびドレイン領域108bは酸化物層105のみに形成される。したがって、チャネル長方向への酸素欠損の広がりが小さく、チャネル形成領域がn化しにくい場合がある。また、導電層116a1および導電層116b1を有するため、導電層116a2および導電層116b2自体は導電性が低くてもよい。したがって、導電層116a2および導電層116b2は、厚さが小さくてよく、微細加工にも有利となる。即ち、図23(B)に示す構造は、チャネル長の小さい微細化されたトランジスタに好適な構造である。
図23(C)は、ソース電極116aとして、導電層116a3と、導電層116a3上に設けられた酸化されにくい導電層116a4を、ドレイン電極116bとして、導電層116b3と、導電層116b3上に設けられた酸化されにくい導電層116b4を、それぞれ有する構造である。ソース電極116aおよびドレイン電極116bが、図23(C)に示す構造を有することで、多層膜108に形成されるソース領域108aおよびドレイン領域108bは、多層膜108の酸化物半導体層まで形成される領域と、酸化物層105のみに形成される領域を有する。したがって、チャネル長方向への酸素欠損の広がりが小さく、チャネル形成領域がn化しにくい場合がある。また、導電層116a3および導電層116b3の下部においては酸化物半導体層106までソース領域108aおよびドレイン領域108bが形成されるため、ソース電極116aおよびドレイン電極116b間の抵抗が小さくなり、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。また、導電層116a3および導電層116b3を有するため、導電層116a4および導電層116b4自体は導電性が低くてもよい。したがって、導電層116a4および導電層116b4は、厚さが小さくてよく、微細加工にも有利となる。即ち、図23(C)に示す構造は、チャネル長の小さい微細化されたトランジスタに好適な構造である。
図21(C)に示すように、トランジスタのチャネルを形成する酸化物半導体層106は、酸化物層105cが側面に設けられる構造となっている。酸化物半導体層106の側面は、保護膜がない場合、酸素欠損などが生じやすく、また不純物濃度が高くなりやすい領域である。当該側面において、酸素欠損や不純物が多く存在すると、当該側面においてしきい値電圧の異なる第2のトランジスタが形成されたように振る舞うことがあり、トランジスタの電気特性がばらついてしまう。図21に示すトランジスタは、酸化物層105cが酸化物半導体層106の側面を保護していることにより、当該側面に、酸素欠損が生じることがなく、また不純物濃度が高くなることがない。したがって、電気特性の安定したトランジスタとなる。
また、図21(C)において、下地絶縁膜102は、厚さの異なる三つの領域を有する。具体的には、酸化物層105aと接する第1の領域が最も厚さが大きく、酸化物層105cの外周(図21(A)参照。)と同じか、酸化物層105cの外周よりも外側にある第2の領域が次に厚さが大きく、第2の領域のさらに外側にある第3の領域が最も厚さが小さい。
多層膜108は、前項で示した多層膜108についての記載を参照する。図21に示すトランジスタは、酸化物層105に囲まれた酸化物半導体層106にチャネルが形成されるトランジスタである。酸化物層105を有することで、多層膜108はDOSが極めて小さくでき、安定した電気特性を有するトランジスタとなる。また、酸化物半導体層106は、広いバンドギャップを有し、また実質的に真性であるため、トランジスタがオフ状態のときのリーク電流(オフ電流ともいう。)が極めて小さいトランジスタである。具体的には、チャネル長が3μm、チャネル幅が10μmのトランジスタにおいて、オフ電流を1×10−20A未満、好ましくは1×10−22A未満、さらに好ましくは1×10−24A未満とすることができる。即ち、オンオフ比が15桁以上50桁以下、好ましくは20桁以上50桁以下、さらに好ましくは20桁以上150桁以下とすることができる。
図21に示すトランジスタは、多層膜108の一部として側面に曲面を有する酸化物層105cが設けられており、また厚さの異なる三つの領域を有する下地絶縁膜102を有するため、上層に形成する膜の段差被覆性が高くなり、膜の割れや鬆の発生が抑制される。したがって、膜の割れや鬆によって外部から不純物が入り込むことがなく、安定した電気特性を有するトランジスタとなる。
基板100に大きな制限はない。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを、基板100として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板100として用いてもよい。
また、基板100として、第5世代(1000mm×1200mmまたは1300mm×1500mm)、第6世代(1500mm×1800mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2500mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2880mm×3130mm)などの大型ガラス基板を用いる場合、半導体装置の作製工程における加熱処理などで生じる基板100の縮みによって、微細な加工が困難になる場合ある。そのため、前述したような大型ガラス基板を基板100として用いる場合、加熱処理による縮みの小さいものを用いることが好ましい。例えば、基板100として、400℃、好ましくは450℃、さらに好ましくは500℃の温度で1時間加熱処理を行った後の縮み量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下である大型ガラス基板を用いればよい。
また、基板100として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板100に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。
下地絶縁膜102は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
下地絶縁膜102は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。酸化シリコン層は、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
なお、過剰酸素とは、加熱処理により酸化物層中、酸化物半導体層中、酸化シリコン層中、酸化窒化シリコン層中などを移動可能な酸素、化学量論的組成より過剰に存在する酸素、または酸素欠損に入り酸素欠損を低減する機能を有する酸素をいう。
過剰酸素を含む酸化シリコン層とは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコン層をいう。また、過剰酸素を含む絶縁膜は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁膜である。
ここで、加熱処理によって酸素を放出する膜は、TDS分析によって、例えば基板温度が50℃以上650℃以下において1×1018atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以上または1×1020atoms/cm3以上の酸素(酸素原子数に換算)を放出することもある。
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、および測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、数式(3)で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてほかにCH3OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。数式(3)の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016atoms/cm2の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
または、加熱処理によって酸素を放出する膜は、過酸化ラジカルを含むこともある。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm3以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む膜は、ESRにて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有することもある。
または、過剰酸素を含む絶縁膜は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiOX(X>2))は、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、RBSにより測定した値である。
ソース電極116aおよびドレイン電極116bは、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電膜を、単層で、または積層で用いればよい。なお、ソース電極116aとドレイン電極116bは同一組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
ここで、ソース電極116a、ドレイン電極116bに用いることのできる酸化されにくい導電層116a2、導電層116a4、導電層116b2、導電層116b4としては、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデンなどが挙げられ、好ましくは、窒化チタンを用いる。
また、ソース電極116a、ドレイン電極116bに用いることのできる導電層116a1、導電層116a3、導電層116b1、導電層116b3としては、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを用いる。
ゲート絶縁膜112は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
ゲート絶縁膜112は、例えば、1層目を窒化シリコン層とし、2層目を酸化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)にてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。酸化シリコン層は、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いると好ましい。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。
ゲート絶縁膜112の厚さは、酸化物層105aおよび下地絶縁膜102の形状によって最適値を有する。ここで、酸化物層105aの厚さをHS1、下地絶縁膜102の第2の領域の厚さと第3の領域の厚さの差をHO1とし、第1の領域と第2の領域の厚さの差をHO2とする。このとき、ゲート絶縁膜112の厚さは、(HS1+HO2+HO1)以下、好ましくは(HS1+HO2)以下、さらに好ましくはHS1以下とする。具体的には、ゲート絶縁膜112の厚さは、100nm以下、好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下とする。ゲート絶縁膜112の厚さを前述の範囲にすることで、酸化物層105cを介して酸化物半導体層106にゲート電極104からの電界を印加することができるため、トランジスタのオンオフの切り替えが速やかに行われ、トランジスタを高速動作させることができる。
ゲート電極104は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電膜を、単層で、または積層で用いればよい。
なお、図21(A)に示すように、ゲート電極104の外側まで多層膜108が設けられる構成に限定されず、多層膜108がゲート電極104の内側に含まれるように設けられてもよい。こうすることで、基板100側から光が入射した際に、多層膜108中で光によってキャリアが生成されることを抑制することができる。
なお、図21(A)では、多層膜108がゲート電極104よりも外側まで形成されているが、多層膜108中で光によってキャリアが生成されることを抑制するために、ゲート電極104の内側に多層膜108が形成されていても構わない。
保護絶縁膜118は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
保護絶縁膜118は、例えば、1層目を酸化シリコン層とし、2層目を窒化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
または、保護絶縁膜118は、例えば、1層目を第1の酸化シリコン層とし、2層目を第2の酸化シリコン層とし、3層目を窒化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、第1の酸化シリコン層または/および第2の酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。第1の酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。第2の酸化シリコン層は、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112、または下地絶縁膜102および保護絶縁膜118が過剰酸素を含む絶縁膜を含むことで、多層膜108が過剰酸素を含む絶縁膜に囲まれた構造とすることができる。多層膜108が過剰酸素を含む絶縁膜に囲まれた構造とすることで、酸化物半導体層106の酸素欠損を効果的に低減することができる。
以上のようにして構成されたトランジスタは、酸化物半導体層106を酸化物層105で囲んだ多層膜108を用いることで、安定した電気特性を有し、高い電界効果移動度を有する。また、多層膜108の一部として側面に曲面を有する酸化物層105が設けられており、厚さの異なる三つの領域を有する下地絶縁膜102を有するため、上層の段差被覆性が高く、さらに安定した電気特性を有するトランジスタとなる。
<3−2.トランジスタ構造(1)の作製方法>
ここで、図21に示したトランジスタの作製方法について図24および図25を用いて説明する。
まずは、基板100を準備する。
次に、下地絶縁膜102となる絶縁膜を成膜する。
ここで、下地絶縁膜102となる絶縁膜を3層構造とする場合について説明する。まず、窒化シリコン層を成膜する。次に、第1の酸化シリコン層を成膜する。次に、酸化シリコン層に酸素イオンを添加する処理を行ってもよい。酸素イオンを添加する処理は、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いればよい。イオンドーピング装置として、質量分離機能を有するイオンドーピング装置を用いてもよい。酸素イオンの原料として、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いればよい。次に、第2の酸化シリコン層を成膜することで下地絶縁膜102となる絶縁膜を形成すればよい。
窒化シリコン層は、プラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガス、窒素ガスおよびアンモニアガスを用いて圧力20Pa以上250Pa以下、好ましくは40Pa以上200Pa以下として、高周波電力を供給することで成膜すればよい。
なお、窒素ガスはアンモニアガスの流量の5倍以上50倍以下、好ましくは10倍以上50倍以下とする。なお、アンモニアガスを用いることで、シリコンを含む堆積性ガスおよび窒素ガスの分解を促すことができる、これは、アンモニアガスがプラズマエネルギーおよび熱エネルギーによって解離し、解離することで生じるエネルギーが、シリコンを含む堆積性ガスの結合、および窒素ガスの結合の分解に寄与するためである。
したがって、上述の方法によって、水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を成膜することができる。また、水素の含有量が少ないため、緻密となり、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層とすることができる。
第1の酸化シリコン層は、プラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を160℃以上350℃以下、好ましくは180℃以上260℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガスおよび酸化性ガスを用いて圧力100Pa以上250Pa以下、好ましくは100Pa以上200Pa以下として、電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給することで成膜すればよい。
上述の方法によって、プラズマ中でのガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、ガスの酸化が進むため、過剰酸素を含む第1の酸化シリコン層を成膜することができる。
第2の酸化シリコン層は、CVD法の一種であるプラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガスおよび酸化性ガスを用いて圧力20Pa以上250Pa以下、好ましくは40Pa以上200Pa以下として、電極に高周波電力を供給することで成膜すればよい。なお、シリコンを含む堆積性ガスの代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン、などがある。酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、亜酸化窒素、二酸化窒素などがある。
なお、シリコンを含む堆積性ガスに対する酸化性ガスの流量を100倍以上とすることで、第2の酸化シリコン層中の水素含有量を低減し、かつダングリングボンドを低減することができる。
以上のようにして、欠陥密度の小さい第2の酸化シリコン層を成膜する。即ち、第2の酸化シリコン層は、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、または5×1016spins/cm3以下とすることができる。
次に、酸化物半導体層106と、酸化物半導体層106を囲んで設けられた酸化物層105と、を有する多層膜108を形成する。このとき、下地絶縁膜102となる絶縁膜は、一部がエッチングされて下地絶縁膜133となる(図24(A)参照。)。下地絶縁膜133および多層膜108の形成方法については、図11乃至図15の記載を参照する。
次に、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとなる導電膜を成膜する。ソース電極116aおよびドレイン電極116bとなる導電膜は、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとして示した導電膜をスパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法またはパルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法を用いて成膜すればよい。
次に、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとなる導電膜の一部をエッチングし、ソース電極116aおよびドレイン電極116bを形成するとともに、下地絶縁膜133の一部がエッチングされ、下地絶縁膜102となる(図24(B)参照。)。下地絶縁膜102は、2回に分けて一部がエッチングされることにより、厚さの異なる三つの領域を有する。
なお、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとなる導電膜をスパッタリング法によって成膜する場合、成膜時に多層膜108の表面にプラズマによるダメージが生じ、酸素欠損が形成されることがある。また、形成された酸素欠損には水素が入り込むことがある。
多層膜108として、In−M−Zn酸化物を用いるとき、プラズマダメージによってIn、M、Znと結合する酸素が脱離する。酸素が脱離することで生じたIn、M、Znのダングリングボンドが水素終端することによって、In−H、M−H、Zn−Hが形成されうる。特に、イオン半径が最も大きく、酸素との結合力が最も弱いInからの酸素の脱離が起こりやすく、In−O−Inが切断されて、In−Voが形成され、さらにHが入り込むことで、In−VoHが形成されやすい。
したがって、ソース電極116aおよびドレイン電極116bとなる導電膜を形成後では、該導電膜と接する多層膜108の面がn型化されうる。
なお、プラズマダメージが与えられ、ソース電極116aおよびドレイン電極116bを形成するためのエッチングにより多層膜108までオーバーエッチされても、Ga(Zn)−O−Ga(Zn)は、結合力が強いため切れずに結晶性を保つことができる。
そこで、n型化した多層膜108の一部と接して過剰酸素を含むゲート絶縁膜112を形成し、多層膜108においてゲート絶縁膜112と接する領域に酸素を供給する加熱処理を行うことは有効である。
当該加熱処理を行うことで、多層膜108のチャネル形成領域においてn型化した領域に含まれるIn−VoHに酸素が補填されて、再びIn−O−Inを形成することができる。これは、Ga(Zn)−O−Ga(Zn)の結合が切れないことで、歪みエネルギーにより初期の結合状態に戻ろうとするためである。また、加熱処理により、酸素欠損部に取り込まれた水素は、水として外部に放出することができる。即ち、加熱処理によって多層膜108へ酸素を供給することで、n型化したチャネル領域を再びi型化することが可能となる。
また、加熱処理の温度および時間を適宜調整することで、ソース電極116aおよびドレイン電極116bと接する領域ではIn−VoHを残存させながら、チャネル領域においてはi型化を図ることができる。この場合、ソース領域108aまたはドレイン領域108bとして機能するn層を含み、かつチャネル形成領域は真性化または実質的に真性化した多層膜108を形成することができる。
なお、n型化したチャネル形成領域への酸素の供給は、加熱処理に代えて(または加熱処理に加えて)、当該領域へのN2Oプラズマ処理、または、レジストをアッシングするためのプラズマ処理によって行ってもよい。
以上のようにして、ソース電極116aおよびドレイン電極116bと接する多層膜108の面にソース領域108aおよびドレイン領域108bを形成し、かつ多層膜108のチャネル形成領域は真性または実質的に真性とすることができる。
次に、ゲート絶縁膜112を成膜する(図24(C)参照。)。ゲート絶縁膜112は、ゲート絶縁膜112として示した絶縁膜をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。ゲート絶縁膜112は、多層膜108の一部として側面に曲面を有する酸化物層105cが設けられており、下地絶縁膜102が厚さの異なる三つの領域を有することにより、段差被覆性が高く、形状不良が発生しにくい。
次に、ゲート電極104となる導電膜を成膜する。ゲート電極104となる導電膜は、ゲート電極104として示した導電膜をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次に、ゲート電極104となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極104を形成する(図25(A)参照。)。
次に、保護絶縁膜118を成膜する(図25(B)参照。)。保護絶縁膜118は、保護絶縁膜118として示した絶縁膜をスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。保護絶縁膜118は、多層膜108の一部として側面に曲面を有する酸化物層105cが設けられており、下地絶縁膜102が厚さの異なる三つの領域を有することにより、段差被覆性が高く、形状不良が発生しにくい。
ここで、保護絶縁膜118を3層構造とする場合について説明する。まず、第1の酸化シリコン層を成膜する。次に、第2の酸化シリコン層を成膜する。次に、第2の酸化シリコン層に酸素イオンを添加する処理を行うと好ましい。酸素イオンを添加する処理は、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いればよい。イオンドーピング装置として、質量分離機能を有するイオンドーピング装置を用いてもよい。酸素イオンの原料として、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いればよい。次に、窒化シリコン層を成膜することで、保護絶縁膜118を形成すればよい。
第1の酸化シリコン層は、CVD法の一種であるプラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガスおよび酸化性ガスを用いて圧力20Pa以上250Pa以下、好ましくは40Pa以上200Pa以下として、電極に高周波電力を供給することで成膜すればよい。なお、シリコンを含む堆積性ガスの代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン、などがある。酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、亜酸化窒素、二酸化窒素などがある。
なお、シリコンを含む堆積性ガスに対する酸化性ガスの流量を100倍以上とすることで、第1の酸化シリコン層中の水素含有量を低減し、かつダングリングボンドを低減することができる。
以上のようにして、欠陥密度の小さい第1の酸化シリコン層を成膜する。即ち、第1の酸化シリコン層は、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンの密度が3×1017spins/cm3以下、または5×1016spins/cm3以下とすることができる。
第2の酸化シリコン層は、プラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を160℃以上350℃以下、好ましくは180℃以上260℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガスおよび酸化性ガスを用いて圧力100Pa以上250Pa以下、好ましくは100Pa以上200Pa以下として、電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給することで成膜すればよい。
上述の方法によって、プラズマ中でのガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、ガスの酸化が進むため、過剰酸素を含む第2の酸化シリコン層を成膜することができる。
窒化シリコン層は、プラズマCVD法によって成膜すると好ましい。具体的には、基板温度を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下とし、シリコンを含む堆積性ガス、窒素ガスおよびアンモニアガスを用いて圧力20Pa以上250Pa以下、好ましくは40Pa以上200Pa以下として、高周波電力を供給することで成膜すればよい。
なお、窒素ガスはアンモニアガスの流量の5倍以上50倍以下、好ましくは10倍以上50倍以下とする。なお、アンモニアガスを用いることで、シリコンを含む堆積性ガスおよび窒素ガスの分解を促すことができる、これは、アンモニアガスがプラズマエネルギーおよび熱エネルギーによって解離し、解離することで生じるエネルギーが、シリコンを含む堆積性ガスの結合、および窒素ガスの結合の分解に寄与するためである。
したがって、上述の方法によって、水素ガスおよびアンモニアガスの放出量が少ない窒化シリコン層を成膜することができる。また、水素の含有量が少ないため、緻密となり、水素、水および酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層とすることができる。
次に、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理により、下地絶縁膜102、ゲート絶縁膜112、保護絶縁膜118の少なくともいずれかから過剰酸素が放出され、多層膜108の酸素欠損を低減することができる。なお、多層膜108中では、酸素欠損が隣接する酸素原子を捕獲していくことで、見かけ上移動する。したがって、過剰酸素は、酸化物層105a、酸化物層105b、酸化物層105cなどを介して酸化物半導体層106に達することができる。
以上のようにして、トランジスタを作製することができる。
当該トランジスタは、多層膜108の酸素欠損が低減されているため、DOSが少なく、安定した電気特性を有する。また、多層膜108の一部として側面に曲面を有する酸化物層105が設けられており、下地絶縁膜102が厚さの異なる三つの領域を有することにより、ゲート絶縁膜112、保護絶縁膜118などの段差被覆性が高く、形状不良が起こりにくいため、生産性を高めることができる。
<3−2−1.製造装置について>
酸化物半導体層106に含まれる不純物濃度が低いことによって、トランジスタの電気特性は安定となる。また、酸化物半導体層106が高い結晶性を有することで、酸化物半導体層106が非晶質構造である場合と比べて、トランジスタの電気特性は安定となる。以下では、不純物濃度が低く、結晶性の高い酸化物半導体層106となる酸化物半導体層136を成膜するための成膜装置について説明する。
まずは、成膜時に不純物の入り込みが少ない成膜装置の構成について図26を用いて説明する。
図26(A)は、マルチチャンバーの成膜装置の上面図である。該成膜装置は、基板を収容するカセットポート74を3つ有する大気側基板供給室71と、ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bと、搬送室73と、搬送室73aと、搬送室73bと、基板加熱室75と、成膜室70aと、成膜室70bと、を有する。大気側基板供給室71は、ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bと接続する。ロードロック室72aおよびアンロードロック室72bは、搬送室73aおよび搬送室73bを介して搬送室73と接続する。基板加熱室75、成膜室70aおよび成膜室70bは、搬送室73とのみ接続する。なお、各室の接続部にはゲートバルブ(GV)が設けられており、大気側基板供給室71を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板供給室71および搬送室73は、一以上の基板搬送ロボット76を有し、基板を搬送することができる。ここで、基板加熱室75は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。マルチチャンバーの成膜装置は、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができる。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室および基板加熱室の数は、上述の数に限定されるわけではなく、設置スペースやプロセスに併せて適宜決めればよい。
図26(B)は、図26(A)と構成の異なるマルチチャンバーの成膜装置の上面図である。該成膜装置は、カセットポート84を有する大気側基板供給室81と、ロード/アンロードロック室82と、搬送室83と、基板加熱室85と、成膜室80aと、成膜室80bと、成膜室80cと、成膜室80dと、を有する。大気側基板供給室81、基板加熱室85、成膜室80a、成膜室80b、成膜室80cおよび成膜室80dは、搬送室83を介してそれぞれ接続される。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ(GV)が設けられており、大気側基板供給室81を除き各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板供給室81および搬送室83は一以上の基板搬送ロボット86を有し、ガラス基板を搬送することができる。
ここで、図27(A)を用いて図26(B)に示す成膜室(スパッタリング室)の詳細について説明する。成膜室80bは、ターゲット87と、防着板88と、基板ステージ90と、を有する。なお、ここでは基板ステージ90には、ガラス基板89が設置されている。基板ステージ90は、図示しないが、ガラス基板89を保持する基板保持機構や、ガラス基板89を裏面から加熱する裏面ヒーターなどを備えていてもよい。また、防着板88によって、ターゲット87からスパッタされる粒子が不要な領域に堆積することを抑制できる。
また、図27(A)に示す成膜室80bは、ゲートバルブを介して、搬送室83と接続しており、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。搬送室83には、基板搬送ロボット86が設けられており、成膜室80bとロード/アンロードロック室82とのガラス基板の受け渡しを行うことができる。また、ロード/アンロードロック室82は、一つの真空チャンバー内で上下に分かれており、いずれか一方をロード室として用い、他方をアンロード室として用いることができる。このような構造とすることで、スパッタリング装置の設置面積を縮小することができるため、好適である。
また、図27(A)に示す成膜室80bは、マスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。なお、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。成膜室80bなどに用いるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いる。露点の低い酸素ガス、希ガス(アルゴンガスなど)などを用いることで、成膜時に混入する水分を低減することができる。
また、図27(A)に示す成膜室80bは、バルブを介してクライオポンプ95aと接続され、搬送室83は、ゲートバルブを介してクライオポンプ95bと接続され、ロード/アンロードロック室82は、ゲートバルブを介して真空ポンプ96と接続される。なお、ロード/アンロードロック室82は、ロードロック室、アンロードロック室をそれぞれ独立して真空ポンプと接続してもよい。また、成膜室80bおよび搬送室83は、それぞれゲートバルブを介して真空ポンプ96と接続される。
なお、真空ポンプ96は、例えば、ドライポンプおよびメカニカルブースターポンプが直列に接続されたものとすればよい。このような構成とすることで、成膜室80bおよび搬送室83は、大気圧から低真空(0.1Pa〜10Pa程度)までは真空ポンプ96を用いて排気し、バルブを切り替えて低真空から高真空(1×10−4Pa〜1×10−7Pa)まではクライオポンプ95aまたはクライオポンプ95bを用いて排気される。
次に、図27(B)を用いて図26(B)に示す成膜室の他の一例について説明する。
図27(B)に示す成膜室80bはゲートバルブを介して、搬送室83と接続しており、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。
図27(B)に示す成膜室80bは、ガス加熱機構98を介してマスフローコントローラ97と接続され、ガス加熱機構98はマスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。ガス加熱機構98により、成膜室80bに用いるガスを40℃以上400℃以下、または50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構98、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。
図27(B)に示す成膜室80bは、バルブを介してターボ分子ポンプ95cおよび真空ポンプ96bと接続される。なお、ターボ分子ポンプ95cは、補助ポンプとしてバルブを介して真空ポンプ96aが設けられる。真空ポンプ96aおよび真空ポンプ96bは真空ポンプ96と同様の構成とすればよい。
また、図27(B)に示す成膜室80bは、クライオトラップ99が設けられる。
ターボ分子ポンプ95cは大きいサイズの分子(原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低いことが知られる。そこで、水などの比較的融点の高い分子(原子)に対する排気能力が高い、クライオトラップ99が成膜室80bに接続された構成としている。クライオトラップ99の冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ99が複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。
また、図27(B)に示す搬送室83は、真空ポンプ96b、クライオポンプ95dおよびクライオポンプ95eとそれぞれバルブを介して接続される。クライオポンプが1台の場合、クライオポンプをリジェネしている間は排気することができないが、クライオポンプを2台以上並列に接続することで、1台がリジェネ中であっても残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、クライオポンプのリジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(原子)を放出する処理をいう。クライオポンプは、分子(原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネが行われる。
また、図27(B)に示すロード/アンロードロック室82は、クライオポンプ95fおよび真空ポンプ96cとそれぞれバルブを介して接続される。なお、真空ポンプ96cは真空ポンプ96と同様の構成とすればよい。
成膜室80bに、ターゲット対向式スパッタリング装置を適用してもよい。
なお、成膜室80bに、平行平板型スパッタリング装置、イオンビームスパッタリング装置を適用しても構わない。
次に、図28を用いて図26(B)に示す基板加熱室の一例の排気について説明する。
図28に示す基板加熱室85はゲートバルブを介して、搬送室83と接続している。なお、搬送室83はゲートバルブを介してロード/アンロードロック室82と接続されている。なお、ロード/アンロードロック室82の構成は図27(A)または図27(B)の構成と同様である。
図28に示す基板加熱室85は、マスフローコントローラ97を介して精製機94と接続される。なお、精製機94およびマスフローコントローラ97は、ガス種の数だけ設けられるが、簡単のため一つのみを示す。また、基板加熱室85は、バルブを介して真空ポンプ96bと接続される。
また、基板加熱室85は、基板ステージ92を有する。基板ステージ92は、少なくとも1枚の基板が設置できればよく、複数の基板を設置可能な基板ステージとしても構わない。また、基板加熱室85は、加熱機構93を有する。加熱機構93は、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
なお、成膜室80bおよび基板加熱室85の背圧は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが18である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが28である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが44である気体分子(原子)の分圧が3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、成膜室80bおよび基板加熱室85は、リークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・m3/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m3/s以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが28である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
また、成膜室80bおよび基板加熱室85は、m/zが44である気体分子(原子)のリークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
なお、成膜室、基板加熱室、搬送室などの真空室内の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qulee CGM−051を用いればよい。なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧および分圧から導出すればよい。
リークレートは、外部リークおよび内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを上述の数値以下とするために、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要がある。
例えば、成膜室の開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属を用いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどによって被覆された金属の不動態を用いることで、メタルガスケットから放出される不純物を含む放出ガスが抑制され、内部リークを低減することができる。
成膜装置を構成する部材として、不純物を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の部材を鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金に被覆して用いてもよい。鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。
または、前述の成膜装置の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで被覆してもよい。
成膜装置の部材は、極力金属のみで構成することが好ましく、例えば石英などで構成される覗き窓などを設置する場合も、放出ガスを抑制するために表面をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで薄く被覆するとよい。
なお、成膜ガスを流す直前に精製機を設ける場合、精製機から成膜室までの配管の長さを10m以下、好ましくは5m以下、さらに好ましくは1m以下とする。配管の長さを10m以下、5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。
さらに、成膜ガスの配管には、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで内部が被覆された金属配管を用いるとよい。前述の配管は、例えばSUS316L−EP配管と比べ、不純物を含むガスの放出量が少なく、成膜ガスへの不純物の入り込みを低減できる。また、配管の継手には、高性能超小型メタルガスケット継手(UPG継手)を用いるとよい。また、配管を全て金属で構成することで、樹脂等を用いた場合と比べ、生じる放出ガスおよび外部リークの影響を低減できて好ましい。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないものの、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り脱離し、あらかじめ排気しておくことは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、成膜室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを成膜室に流しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。なお、不活性ガスをベーキングの温度と同程度に加熱することで、吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ここで不活性ガスとして希ガスを用いると好ましい。また、成膜する膜種によっては不活性ガスの代わりに酸素などを用いても構わない。例えば、酸化物半導体層を成膜する場合は、主成分である酸素を用いた方が好ましい場合もある。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを流すことで成膜室内の圧力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガスを流すことで成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低減することができる。なお、この処理は2回以上30回以下、好ましくは5回以上15回以下の範囲で繰り返し行うと効果的である。具体的には、温度が40℃以上400℃以下、または50℃以上200℃以下である不活性ガスまたは酸素などを流すことで成膜室内の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、好ましくは1Pa以上1kPa以下、さらに好ましくは5Pa以上100Pa以下とし、圧力を保つ期間を1分以上300分以下、好ましくは5分以上120分以下とすればよい。その後、成膜室を5分以上300分以下、好ましくは10分以上120分以下の期間排気する。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基板および成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物および成膜室内壁の吸着物を膜中に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましく、例えば後述する基板100と同様の基板を用いてもよい。ダミー成膜を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体層を成膜することで、酸化物半導体層への不純物の入り込みを抑制できる。さらには、以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体層に接する膜を成膜することで、酸化物半導体層に接する膜から酸化物半導体層へ不純物の入り込みを抑制できる。
次に、上述した成膜装置を用いて、酸化物層105aとなる酸化物層135a、酸化物半導体層106となる酸化物半導体層136および酸化物層105bとなる酸化物層135bを成膜する方法について説明する。
まず、酸化物層135aを成膜する。酸化物層135aは、基板加熱温度を室温(25℃)以上600℃以下、好ましくは70℃以上550℃以下、さらに好ましくは100℃以上500℃以下とし、酸素ガス雰囲気で成膜する。成膜時の加熱温度が高いほど、酸化物層135aの不純物濃度は低くなる。また、被成膜面でスパッタ粒子のマイグレーションが起こりやすくなるため、原子配列が整い、高密度化され、酸化物層135aの結晶性は高くなる。さらに、酸素ガス雰囲気で成膜することで、プラズマダメージが軽減され、また希ガスなどの余分な原子が含まれないため、結晶性の高い酸化物層135aが成膜される。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、より好ましくは80体積%以上とする。酸化物層135aは、基板を成膜室に搬送した後、成膜ガスを流し、成膜圧力を0.8Pa以下、好ましくは0.4Pa以下とし、圧力を安定させるために10秒以上1000秒以下、好ましくは15秒以上720秒以下保持してから成膜する。圧力を安定させるために上述の時間保持することで、酸化物層135aを成膜する際の不純物の混入量を低減できる。ただし、酸化物層135aは、非晶質構造であってもよいため、意図的に70℃未満の低温、酸素ガスの割合が30体積%未満として成膜しても構わない。
次に、酸化物半導体層136を成膜する。ターゲットは、表面温度が100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温程度(代表的には20℃または25℃)とする。大面積の基板に対応するスパッタリング装置では大面積のターゲットを用いることが多い。ところが、大面積に対応した大きさのターゲットをつなぎ目なく作製することは困難である。現実には複数のターゲットをなるべく隙間のないように並べて大きな形状としているが、どうしても僅かな隙間が生じてしまう。こうした僅かな隙間から、ターゲットの表面温度が高まることでZnなどが揮発し、徐々に隙間が広がっていくことがある。隙間が広がると、バッキングプレートや接着に用いている金属がスパッタリングされることがあり、不純物濃度を高める要因となる。したがって、ターゲットは、十分に冷却されていることが好ましい。
具体的には、バッキングプレートとして、高い導電性および高い放熱性を有する金属(具体的にはCu)を用いる。また、バッキングプレート内に水路を形成し、水路に十分な量の冷却水を流すことで、効率的にターゲットを冷却できる。ここで、十分な量の冷却水は、ターゲットの大きさにもよるが、例えば直径が300mmである正円形のターゲットの場合、3L/min以上、5L/min以上または10L/min以上とすればよい。
酸化物半導体層136は、基板加熱温度を100℃以上600℃以下、好ましくは150℃以上550℃以下、さらに好ましくは200℃以上500℃以下とし、酸素ガス雰囲気で成膜する。成膜時の加熱温度が高いほど、酸化物半導体層136の不純物濃度は低くなる。また、被成膜面でスパッタ粒子のマイグレーションが起こりやすくなるため、原子配列が整い、高密度化され、酸化物半導体層136の結晶性は高くなる。さらに、酸素ガス雰囲気で成膜することで、プラズマダメージが軽減され、また希ガスなどの余分な原子が含まれないため、結晶性の高い酸化物半導体層136が成膜される。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、より好ましくは80体積%以上とする。
なお、ターゲットがZnを含む場合、酸素ガス雰囲気で成膜することにより、プラズマダメージが軽減され、Znの揮発が起こりにくい酸化物半導体層136を得ることができる。
酸化物半導体層136は、基板を成膜室に搬送した後、成膜ガスを流し、成膜圧力を0.8Pa以下、好ましくは0.4Pa以下とし、圧力を安定させるために10秒以上1000秒以下、好ましくは15秒以上720秒以下保持してから成膜する。圧力を安定させるために上述の時間保持することで、酸化物半導体層136を成膜する際の不純物の混入量を低減できる。このとき、ターゲットと基板との距離を40mm以下、好ましくは25mm以下とする。このような条件で酸化物半導体層136を成膜することで、スパッタ粒子と、別のスパッタ粒子、ガス分子またはイオンとが衝突する頻度を下げることができる。即ち、成膜圧力に応じてターゲットと基板との距離をスパッタ粒子、ガス分子またはイオンの平均自由行程よりも小さくすることで膜中に取り込まれる不純物濃度を低減できる。
例えば、圧力を0.4Pa、温度を25℃(絶対温度を298K)における平均自由行程は、水素分子(H2)が48.7mm、ヘリウム原子(He)が57.9mm、水分子(H2O)が31.3mm、メタン分子(CH4)が13.2mm、ネオン原子(Ne)が42.3mm、窒素分子(N2)が23.2mm、一酸化炭素分子(CO)が16.0mm、酸素分子(O2)が26.4mm、アルゴン原子(Ar)が28.3mm、二酸化炭素分子(CO2)が10.9mm、クリプトン原子(Kr)が13.4mm、キセノン原子(Xe)が9.6mmである。なお、圧力が2倍になれば平均自由行程は2分の1になり、絶対温度が2倍になれば平均自由行程は2倍になる。
平均自由行程は、圧力、温度および分子(原子)の直径から決まる。圧力および温度を一定とした場合は、分子(原子)の直径が大きいほど平均自由行程は短くなる。なお、各分子(原子)の直径は、H2が0.218nm、Heが0.200nm、H2Oが0.272nm、CH4が0.419nm、Neが0.234nm、N2が0.316nm、COが0.380nm、O2が0.296nm、Arが0.286nm、CO2が0.460nm、Krが0.415nm、Xeが0.491nmである。
したがって、分子(原子)の直径が大きいほど、平均自由行程が短くなり、かつ膜中に取り込まれた際には、分子(原子)の直径が大きいために結晶性を低下させる。そのため、例えば、Ar以上の直径を有する分子(原子)は結晶性を低下させる不純物になりやすいといえる。
次に、酸化物層135bを成膜する。酸化物層135bは、基板加熱温度を室温(25℃)以上600℃以下、好ましくは70℃以上550℃以下、さらに好ましくは100℃以上500℃以下とし、酸素ガス雰囲気で成膜する。成膜時の加熱温度が高いほど、酸化物層135bの不純物濃度は低くなる。また、被成膜面でスパッタ粒子のマイグレーションが起こりやすくなるため、原子配列が整い、高密度化され、酸化物層135bの結晶性は高くなる。さらに、酸素ガス雰囲気で成膜することで、プラズマダメージが軽減され、また希ガスなどの余分な原子が含まれないため、結晶性の高い酸化物層135bが成膜される。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、より好ましくは80体積%以上とする。酸化物層135bは、基板を成膜室に搬送した後、成膜ガスを流し、成膜圧力を0.8Pa以下、好ましくは0.4Pa以下とし、圧力を安定させるために10秒以上1000秒以下、好ましくは15秒以上720秒以下保持してから成膜する。圧力を安定させるために上述の時間保持することで、酸化物層135bを成膜する際の不純物の混入量を低減できる。
次に、加熱処理を行う。加熱処理は、減圧下、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行う。加熱処理により、酸化物半導体層136中の不純物濃度を低減することができる。
加熱処理は、減圧下または不活性雰囲気で加熱処理を行った後、温度を保持しつつ酸化性雰囲気に切り替えてさらに加熱処理を行うと好ましい。これは、減圧下または不活性雰囲気にて加熱処理を行うと、酸化物半導体層136中の不純物濃度を低減することができるが、同時に酸素欠損も生じてしまうためであり、このとき生じた酸素欠損を、酸化性雰囲気での加熱処理により低減することができる。
酸化物半導体層136は、成膜時の基板加熱に加え、加熱処理を行うことで、膜中の不純物濃度を低減することが可能となる。
具体的には、酸化物半導体層136中の水素濃度は、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とすることができる。
また、酸化物半導体層136中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とすることができる。
また、酸化物半導体層136層中の炭素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは2×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とすることができる。
また、酸化物半導体層136は、TDS分析によるm/zが2(水素分子など)である気体分子(原子)、m/zが18である気体分子(原子)、m/zが28である気体分子(原子)およびm/zが44である気体分子(原子)の放出量が、それぞれ1×1019個/cm3以下、好ましくは1×1018個/cm3以下とすることができる。
なお、TDS分析にて放出量を測定する方法については、後述の酸素原子の放出量の測定方法についての記載を参照する。
以上のようにして、酸化物半導体層136および酸化物層135bを成膜することで、酸化物半導体層136の結晶性を高くでき、かつ酸化物半導体層136、酸化物層135b、および酸化物半導体層136と酸化物層135bとの界面における不純物濃度を低減することができる。
<3−3.トランジスタ構造(2)>
ここでは、ボトムゲート型トランジスタの一種であるボトムゲートトップコンタクト構造(BGTC構造)のトランジスタについて図29を用いて説明する。
図29にトランジスタ310の構成例を示す。図29(A)はトランジスタ310の平面図であり、図29(B)は図29(A)のX1−Y1における断面図であり、図29(C)は、図29(A)のV1−W1における断面図である。また、図29(D)は、図29(B)の部分拡大図である。なお、図29(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタ310の構成要素の一部(例えば、ゲート絶縁膜404等)を省略して図示している。
図29に示すトランジスタ310は、基板400上に形成されたゲート電極402と、ゲート電極402上のゲート絶縁膜404と、ゲート絶縁膜404を介してゲート電極402と重畳し、酸化物半導体層406b、酸化物半導体層406bの下面に接する第1の酸化物層406a、酸化物半導体層406bの上面に接する第2の酸化物層406c、および酸化物半導体層406bの側面に接する第3の酸化物層406dを含む多層膜406と、酸化物半導体層406bと電気的に接続するソース電極408aおよびドレイン電極408bと、を有する。なお、ソース電極408aおよびドレイン電極408b上に設けられた酸素を含む保護絶縁膜410をトランジスタ310の構成要素としてもよい。
トランジスタ310において、チャネル形成領域は、ソース電極408aおよびドレイン電極408bに挟まれ、かつゲート電極402と重畳する多層膜406である。ここでは、酸化物半導体層406bに流れる電流の主経路をチャネルとよぶ。
トランジスタ310は、上述した多層膜406を含む。即ち、トランジスタ310において、チャネルを形成する酸化物半導体層406bは、酸化物半導体層406bを構成する元素一種以上、または二種以上から構成され、かつ酸化物半導体層406bより酸素欠損を生じにくい酸化物層(第1の酸化物層406a、第2の酸化物層406cおよび第3の酸化物層406d)によって囲まれた構成を有する。これにより、チャネルを形成する酸化物半導体層406b中に生じうる酸素欠損を低減することが可能となる。また、シリコンを含む絶縁膜である、ゲート絶縁膜404および保護絶縁膜410と酸化物半導体層406bとを離す構成とすることができる。
なお、多層膜406と接する絶縁膜(ゲート絶縁膜404および保護絶縁膜410)は、過剰酸素を含む絶縁膜であることが好ましい。過剰酸素を含む絶縁膜によって、多層膜406を囲む構成とすることで、第1の酸化物層406a、第2の酸化物層406cまたは第3の酸化物層406dに生じうる酸素欠損を補填することができる。したがって、多層膜406中の酸素欠損を徹底的に低減し、酸化物半導体層406bにおけるDOSの形成を抑制することが可能となる。
トランジスタ310に含まれる各構成要素について以下に詳述する。
基板400は、単なる支持材料に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ310のゲート電極402、ソース電極408aまたはドレイン電極408bの少なくとも一つは、上記の他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
ゲート電極402は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。または、インジウムスズ酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウムスズ酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。ゲート電極402は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。
なお、ゲート電極402とゲート絶縁膜404との間に、In−Ga−Zn酸窒化物半導体層、In−Sn酸窒化物半導体層、In−Ga酸窒化物半導体層、In−Zn酸窒化物半導体層、Sn酸窒化物半導体層、In酸窒化物半導体層、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV以上、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn酸窒化物半導体層を用いる場合、少なくとも酸化物半導体層406bより高い窒素濃度、具体的には7atomic%以上のIn−Ga−Zn酸窒化物半導体層を用いる。
ゲート絶縁膜404は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、ゲート絶縁膜404は上記材料の積層であってもよい。
また、ゲート絶縁膜404として、過剰酸素を含む酸化絶縁物を用いることが好ましい。ゲート絶縁膜404が過剰酸素を含むことで、ゲート絶縁膜404と接する第1の酸化物層406aまたは第3の酸化物層406dが酸素欠損を有していたとしても、ゲート絶縁膜404から酸素を供給することができる。よって、酸化物半導体層406bに接する酸化物層の酸素欠損を補填することが可能となる。
ゲート絶縁膜404の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
多層膜406は、少なくともチャネルを形成する酸化物半導体層406bと、酸化物半導体層406bとゲート絶縁膜404との間に設けられた第1の酸化物層406aと、酸化物半導体層406bと保護絶縁膜410との間に設けられた第2の酸化物層406cと、第1の酸化物層406a、酸化物半導体層406bおよび第2の酸化物層406cの側面に接して設けられた第3の酸化物層406dと、を含んで構成される。また、第3の酸化物層406dは曲面を有する。
なお、上述したように、第3の酸化物層406dは、第1の酸化物層406aとなる酸化物層の反応生成物から形成される。そのため、第1の酸化物層406aと第3の酸化物層406dとは、境界が明確でない場合がある。また、第2の酸化物層406cについても、第1の酸化物層406aと同様の構成である場合に、第3の酸化物層406dと区別がつかないことがある。
ここで、曲面を有する第3の酸化物層406dを含むことで、多層膜406の断面は曲面を有する。これによって、多層膜406上に形成される膜(例えば、ソース電極およびドレイン電極を構成する導電膜、保護絶縁膜)の被覆性を向上させることができる。よって、多層膜406上に形成された膜を均一に形成することができ、膜密度の低い領域や、膜が形成されていない領域から多層膜406中に不純物元素が入り込み、半導体装置の特性を劣化させることを抑制することができる。
さらに、図29(C)に示すように、酸化物半導体層406bの端部(側面)は第3の酸化物層406dによって覆われている。これによって、島状の多層膜406のチャネル幅方向に生じうる寄生チャネルの発生を抑制することができる。
第1の酸化物層406aおよび第2の酸化物層406cは、酸化物半導体層406bを構成する金属元素を一種以上含む酸化物層である。また、第3の酸化物層406dは、第1の酸化物層406aと同一の構成元素でなる酸化物層である。但し、第3の酸化物層406dは、第1の酸化物層406aに含まれる元素Mの含有割合が第1の酸化物層406aより高いことが好ましい。多層膜406の詳細は、多層膜108についての記載を参酌することができる。
多層膜406において、チャネルを形成する酸化物半導体層406bを囲むように、酸化物半導体層406bと主成分が共通であり、かつ、酸化物半導体層406bよりも酸素欠損の生じにくい酸化物層(第1の酸化物層406a、第2の酸化物層406cおよび第3の酸化物層406d)を設けることで、トランジスタのチャネルにおける酸素欠損の形成を抑制することができる。
酸化物半導体層406b中の酸素欠損の増加を抑制して、不純物濃度を低減することで、酸化物半導体層406bを高純度真性化することができる。具体的には、酸化物半導体層406bのキャリア密度を、1×1017/cm3未満、1×1015/cm3未満、または1×1013/cm3未満とすることが好ましい。なお、酸化物半導体層406bにおいて、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。また、酸化物半導体層406b中の不純物濃度を低減するためには、近接する酸化物層の不純物濃度も酸化物半導体層406bと同程度まで低減することが好ましい。酸化物半導体層406bを高純度真性化することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
ソース電極408aおよびドレイン電極408bには、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化スズまたは酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
なお、図29(D)に、トランジスタ310のソース電極408aまたはドレイン電極408bと多層膜406とが接する領域近傍の断面図を示す。図29(D)に示すように、多層膜406においてソース電極408aおよびドレイン電極408bと接する界面近傍には、n型化した領域405が形成される。
n型化した領域405は、チャネルとソース電極408aおよびドレイン電極408bとの間に形成され、チャネルと比較して酸素欠損を有する領域である。n型化した領域405は、ソース電極408aおよびドレイン電極408bとなる導電膜を成膜する際に用いられるプラズマによって多層膜406が損傷し、酸素欠損が生じるために形成される。また、ソース電極408aおよびドレイン電極408bに用いる導電膜の種類によっては、多層膜406の一部から酸素を奪うことでn型化した領域405が形成されることもある。多層膜406から酸素を奪う導電膜としては、例えばタングステン膜が挙げられる。n型化した領域405はトランジスタ310のソースまたはドレインとして作用させることができる。n型化した領域405は、第1の酸化物層406a、第2の酸化物層406c、第3の酸化物層406d、および酸化物半導体層406bよりもキャリア密度の高い(抵抗の低い)層となる。
なお、図29では、n型化した領域405の界面を模式的に点線で図示している。ただし、n型化した領域405はトランジスタの作製条件によって膜厚方向の深さ、および/または、多層膜406の面方向における領域の広さが異なることがあるため、図29(D)の構成に限られるものではない。
保護絶縁膜410は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層で用いればよい。
また、保護絶縁膜410として、過剰酸素を含む酸化絶縁物を用いることが好ましい。保護絶縁膜410が過剰酸素を含むことで、該保護絶縁膜410と接する第2の酸化物層406cまたは第3の酸化物層406dが酸素欠損を有していたとしても、保護絶縁膜410から酸素を供給することができる。よって、酸化物半導体層406bに接する酸化物層の酸素欠損を補填することが可能となる。
また、保護絶縁膜410を多層膜として、過剰酸素を含む酸化絶縁物上に、酸素に対する透過性が低い(酸素に対するバリア性を有する)絶縁膜を設けることが好ましい。過剰酸素を含む酸化絶縁物上に酸素に対するバリア性を有する絶縁膜を設けることで、過剰酸素を含む酸化絶縁物から脱離した酸素を効果的に多層膜へ供給することができる。酸素に対するバリア性を有する絶縁膜として、例えば、窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜を設けることができる。
保護絶縁膜410は、例えば、1層目を酸化シリコン層とし、2層目を窒化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。水素、アンモニアの放出量は、TDS分析にて測定すればよい。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
または、保護絶縁膜410は、例えば、1層目を第1の酸化シリコン層とし、2層目を第2の酸化シリコン層とし、3層目を窒化シリコン層とした多層膜とすればよい。この場合、第1の酸化シリコン層および/または第2の酸化シリコン層は酸化窒化シリコン層でも構わない。また、窒化シリコン層は窒化酸化シリコン層でも構わない。第1の酸化シリコン層は、欠陥密度の小さい酸化シリコン層を用いると好ましい。具体的には、ESRにてg値が2.001の信号に由来するスピンのスピン密度が3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層を用いる。第2の酸化シリコン層は、過剰酸素を含む酸化シリコン層を用いる。窒化シリコン層は水素およびアンモニアの放出量が少ない窒化シリコン層を用いる。また、窒化シリコン層は、酸素を透過しない、またはほとんど透過しない窒化シリコン層を用いる。
上記本発明の一態様におけるトランジスタの構成は、チャネルとして機能する酸化物半導体層の酸素欠損を低減することができる。したがって、良好な電気特性を示すとともに長期信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
<3−4.トランジスタ構造(2)の変形例>
図30にトランジスタ320の構成例を示す。トランジスタ320は、図29のトランジスタ310の変形例である。図30(A)はトランジスタ320の平面図であり、図30(B)は図30(A)のX2−Y2における断面図であり、図30(C)は、図30(A)のV2−W2における断面図である。なお、図30(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタ320の構成要素の一部(例えば、ゲート絶縁膜404等)を省略して図示している。
トランジスタ310とトランジスタ320の相違点は、多層膜407と、ソース電極408aおよびドレイン電極408bの積層順である。即ち、トランジスタ320では、島状の酸化物半導体層407bの上面の一部と接するように、ソース電極408aおよびドレイン電極408bが設けられており、ソース電極408aおよびドレイン電極408bを覆うように第2の酸化物層407cが設けられている。そして、島状の第1の酸化物層407a、酸化物半導体層407bおよび第2の酸化物層407cの側面を覆うように、第3の酸化物層407dが設けられている。また、酸化物半導体層407bの上面において、ソース電極408aおよびドレイン電極408bと接する領域以外の領域は、第2の酸化物層407cによって覆われている。
トランジスタ320において、ゲート絶縁膜404と保護絶縁膜410との間には、第1の酸化物層407a、酸化物半導体層407bおよび第2の酸化物層407cを含む多層膜407が形成される。
トランジスタ320の作製工程において、第1の酸化物層407aおよび酸化物半導体層407bを島状に加工する前に、酸化物半導体層407b上にソース電極408aおよびドレイン電極408bとなる導電膜を成膜する。その後、導電膜を加工してソース電極408aおよびドレイン電極408bを形成した後、ソース電極408aおよびドレイン電極408bを覆う第2の酸化物層407cを形成する。次に、第1の酸化物層407a、酸化物半導体層407bおよび第2の酸化物層407cを島状に加工することで多層膜407を形成する。このような作製工程によって、トランジスタ310と比較してフォトリソグラフィのマスク数を増加することなく、トランジスタ320の構成とすることができる。ここで、多層膜407に含まれる酸化物半導体層407bの、ソース電極408aおよびドレイン電極408bと重畳しない領域は、ソース電極408aおよびドレイン電極408bの加工時に一部がエッチングされて、膜厚の小さい領域となる場合がある。
トランジスタ320に含まれる酸化物半導体層407bにおいて、ソース電極408aおよびドレイン電極408bと接する界面近傍の領域に酸素欠損が発生し、n型化した領域が形成される。n型化した領域はトランジスタ320のソースまたはドレインとして作用させることができる。
図30(B)に示すように、トランジスタ320ではチャネル長方向の断面において、多層膜407の端部(例えば、第3の酸化物層407d)も保護絶縁膜410と接する構成とすることができる。当該構成とすることで、多層膜407のチャネル長方向の端部において生じうる酸素欠損を保護絶縁膜410に含まれる酸素によって補填することができる。よって、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
<3−5.トランジスタ構造(2)の作製方法>
トランジスタの作製方法の一例を示す。以下では、図31を用いて図29に示したトランジスタ310を作製する場合を例に説明する。
まず、ゲート電極402となる導電膜を成膜する。ゲート電極402となる導電膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次に、ゲート電極402となる導電膜の一部をエッチングし、ゲート電極402を形成する。
次に、ゲート絶縁膜404を成膜する(図31(A)参照)。ゲート絶縁膜404は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次いで、多層膜406を形成する(図31(B)参照)。多層膜406の形成方法の詳細は、多層膜108の記載を参酌することができる。
なお、第1の酸化物層406a、酸化物半導体層406bおよび第2の酸化物層406cとなる酸化物層は、大気曝露することなく連続で成膜すると、各界面に不純物が取り込まれることが少なくなり好ましい。
多層膜406を形成後、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体層406bの結晶性を高め、さらにゲート絶縁膜404および/または多層膜406から水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、ソース電極408aおよびドレイン電極408bとなる導電膜を成膜し、該導電膜を加工してソース電極408aおよびドレイン電極408bを形成する(図31(C)参照)。該導電膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
次に、第2の加熱処理を行うと好ましい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理の記載を参酌して行えばよい。第2の加熱処理により、多層膜406から水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、保護絶縁膜410を成膜する(図31(D)参照)。保護絶縁膜410は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
ここで、保護絶縁膜410を3層構造とする場合について説明する。まず、第1の酸化シリコン層を成膜する。次に、第2の酸化シリコン層を成膜する。次に、第2の酸化シリコン層に酸素イオンを添加する処理を行うと好ましい。酸素イオンを添加する処理は、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いればよい。イオンドーピング装置として、質量分離機能を有するイオンドーピング装置を用いてもよい。酸素イオンの原料として、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いればよい。次に、窒化シリコン層を成膜することで、保護絶縁膜410を形成すればよい。
保護絶縁膜410を形成後、第3の加熱処理を行うと好ましい。第3の加熱処理は、第1の加熱処理の記載を参酌して行えばよい。第3の加熱処理により、ゲート絶縁膜404および/または保護絶縁膜410から過剰酸素が放出され、多層膜406の酸素欠損を低減することができる。
なお、ソース電極408aおよびドレイン電極408bとなる導電膜をスパッタリング法によって成膜する場合、成膜時に多層膜406の表面にプラズマによる損傷が生じ、酸素欠損(Vo)が形成されることがある。また、形成された酸素欠損には水素(H)が入り込むことがある。
多層膜406として、In−M−Zn酸化物を用いるとき、プラズマによる損傷による酸素欠損の形成、および酸素欠損への水素の移動によって、In−H、M−H、Zn−Hが形成されうる。特に、イオン半径が最も大きく、酸素との結合力が最も弱いインジウム(In)からの酸素の脱離が起こりやすく、In−O−Inが切断されて、In−Voが形成され、さらにHが入り込むことで、In−VoHが形成されやすい。
したがって、ソース電極408aおよびドレイン電極408bとなる導電膜を形成後では、該導電膜と接する多層膜406の全面がn型化されうる。
そこで、n型化した多層膜406の一部と接して酸素を含む保護絶縁膜410を形成し、多層膜406において保護絶縁膜410と接する領域に酸素を供給する第3の加熱処理を行うことは有効である。
なお、導電膜の成膜によるプラズマダメージが与えられても、多層膜406に含まれるGa(Zn)−O−Ga(Zn)は、結合力が強いため結合が切断されない。また、ソース電極408aおよびドレイン電極408bを形成する際に、多層膜406の一部がエッチングされて膜厚の小さい領域が形成されることがあるが、エッチングされる多層膜406がCAAC−OS層である場合、エッチング後においても結晶部は非晶質化せずにCAAC−OS層の構造が保存される。換言すると、プラズマダメージが与えられてもCAAC−OS層の構造は保存される。
第3の加熱処理を行うことで、多層膜406のバックチャネル側においてn型化した領域に含まれるIn−VoHに酸素が補填されて、再びIn−O−Inを形成することができる。これは、Ga(Zn)−O−Ga(Zn)の結合が切れないことで、歪みエネルギーにより初期の結合状態に戻ろうとするためである。また、加熱処理により、酸素欠損部に取り込まれた水素(H)は、水(H2O)として外部に放出することができる。即ち、第3の加熱処理によって多層膜406へ酸素を供給することで、n型化したチャネル領域を再びi型化することが可能となる。
また、第3の加熱処理の温度および時間を適宜調整することで、ソース電極408aおよびドレイン電極408bと接する領域ではIn−VoHを残存させながら、チャネル領域においてはi型化を図ることができる。この場合、ソース領域またはドレイン領域として機能するn型化した領域405を含み、かつ、真性化または実質的に真性化したチャネル領域を有する多層膜406を形成することができる。
なお、n型化したチャネル領域への酸素の供給は、第3の加熱処理に代えて(または第3の加熱処理に加えて)、当該領域へのN2Oプラズマ処理、または、レジストをアッシングするためのプラズマ処理によって行ってもよい。
以上によって、トランジスタ310を作製することができる。
ここで示すトランジスタは、チャネルを形成する酸化物半導体層が、当該酸化物半導体層と主成分が共通しており、かつ酸素欠損の生じにくい酸化物層によって囲まれた構成を有する。当該トランジスタの構成は、酸化物半導体層中の酸素欠損の増加を抑制して、不純物濃度を低減することができ、酸化物半導体層を高純度真性化することができる。
よって、チャネル形成領域の酸素欠損に起因して起こりうるしきい値電圧の変動等の電気特性の変動を抑制することができる。具体的には、例えば、安定したノーマリオフ特性のトランジスタを成就することができる。したがって、良好な電気特性を示すとともに長期信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
上記実施の形態で開示された酸化物半導体層はスパッタリング法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD法を使ってもよい。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送りながら、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴンまたは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の単原子層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の単原子層が第1の単原子層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、上述したガス導入の順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なトランジスタを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法で、これまでに記載した実施の形態に開示された半導体層を形成することができ、例えば、MOCVD法で、In−Ga−Zn酸化物層を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、およびジエチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、(CH3)3Inである。また、トリメチルガリウムの化学式は、(CH3)3Gaである。また、ジエチル亜鉛の化学式は、(CH3)2Znである。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式(C2H5)3Ga)を用いることもでき、ジエチル亜鉛に代えてジメチル亜鉛(化学式(C2H5)2Zn)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体層、例えばIn−Ga−Zn酸化物層を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを同時に導入してGa−O層を形成し、更にその後Zn(CH3)2とO3ガスを同時に導入してZn−O層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−In−O層、Zn−In−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成してもよい。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いてもよいが、Hを含まない酸化性ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いてもよい。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いてもよい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いてもよい。また、Zn(CH3)2ガスを用いてもよい。
本実施例では、酸化物半導体層を含む多層膜を用いたトランジスタを作製し、電子顕微鏡による断面観察および電気特性の測定を行った。
実施例試料は以下のようにして準備した。なお、実施例試料は、図21に示すTGTC構造のトランジスタである。
基板100としては、ガラス基板を用いた。
下地絶縁膜102としては、酸化窒化シリコン膜を用いた。
以下に、酸化物層105a、酸化物半導体層106、酸化物層105bおよび酸化物層105cの形成方法を説明する。
まず、酸化物層135aとして、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて厚さが5nmの酸化物層を成膜した。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
また、酸化物半導体層136として、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=3:1:2[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて厚さが5nmの酸化物半導体層を成膜した。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を200℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
また、酸化物層135bとして、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲットを用いて、スパッタリング法にて厚さが5nmの酸化物層を成膜した。なお、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度を300℃とし、DC電力を0.5kW印加することで成膜した。
次に、酸化物層135b上にレジストマスク140を形成し、ドライエッチング法によって酸化物層135b、酸化物半導体層136および酸化物層135aをエッチングすることで、それぞれ酸化物層105b、酸化物半導体層106および酸化物層105aを形成するとともに、少なくとも酸化物半導体層106の側面に接して、側壁保護膜である酸化物層105cを形成した。
なお、ドライエッチングの条件は、エッチングガスとして三塩化ホウ素ガスを60sccmおよび塩素ガスを20sccm用い、圧力を1.9Paとし、ICP電力を450Wおよび基板バイアス電力を100Wとし、基板温度を70℃として行った。また、アッシング処理として、酸素ガスを300sccm用い、圧力を66.5Paとし、ICP電力を1800Wとして3分間行った。次に、レジストマスク140を除去するために、ナガセケムテックス株式会社製「ナガセレジストストリップN−300」を用い、80℃にて3分間の処理を2回行った。
ソース電極116aおよびドレイン電極116bとして、タングステン膜を用いた。
ゲート絶縁膜112として、酸化窒化シリコン膜を用いた。
ゲート電極104として、窒化タンタル層と、窒化タンタル層上に設けられたタングステン層の多層膜を用いた。
保護絶縁膜118として、酸化アルミニウム層と、酸化アルミニウム層上に設けられた酸化窒化シリコン膜を用いた。
以上のようにして実施例試料を準備した。
実施例試料の走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)による断面観察像を図32(A)および図32(B)に示す。なお、図32(A)および図32(B)は、実施例試料であるトランジスタのチャネル幅方向(図21(A)における一点鎖線A3−A4方向)のSTEMによる位相コントラスト像(透過電子像(Transmitted Electron:TE像)ともいう。)である。
図32(A)に示す箇所において、多層膜108の端部のEDXによる組成のライン分析を行った。ライン分析は2カ所行い、それぞれの結果を図32(C)および図32(D)に示す。なお、図32(C)および図32(D)において、白丸(○)は酸素(O)を示し、黒ひし形(◆)はシリコン(Si)を示し、ばつ(×)はインジウム(In)を示し、黒丸(●)はガリウム(Ga)を示し、白三角(△)は亜鉛(Zn)を示す。
図32(C)および図32(D)より、多層膜108の端部において、ガリウムの原子数比が高い、酸化物層105cが観察された。