JP6249233B2 - 非水系二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液を備える電池(非水系二次電池)の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の製造においては、例えば、正極と負極と非水電解液を用いて電池組立体を構築した後、当該電池組立体に対して初期充電(コンディショニング)や高温域での保持(エージング)、品質検査等が行われる。例えば特許文献1には、構築した電池組立体を所定の電圧まで充電した後一定期間放置し、放置前後の電圧変化量(電圧降下量)から内部短絡の有無を判定する、二次電池の自己放電検査方法が開示されている。
特開2005−251538号公報
ところで、非水系二次電池では、耐久性の向上等を目的として非水電解液中に添加剤を含有させることがある。例えば、電池組立体の構築時にいわゆる皮膜形成剤(例えば不飽和カーボネート類)を添加すると、典型的には初期充電時に当該化合物が分解されて電極(例えば負極)表面に皮膜(保護膜)が形成される。これによって電極と非水電解液との界面が安定化されるため、電池の耐久性(サイクル特性や高温保存特性等)を向上させることができる。
しかしながら、本発明者らが新たに得た知見によれば、非水電解液中に不飽和カーボネート類を含有させる場合に、上述の自己放電検査が長引くことがあった。したがって、生産性や作業効率、コストの観点から、非水電解液中に不飽和カーボネート類を含有させる場合であっても、検査の精度を低下させることなく自己放電検査期間を短縮することが求められている。
本発明はかかる状況を鑑みて創出されたものであり、その目的は、電池構築時に不飽和カーボネート類を含有する非水系二次電池の製造方法であって、短時間で精度の高い自己放電検査を行うことを可能にし、それによって信頼性に優れた電池を効率的に製造する方法を提供することにある。
上記電圧降下量の結果に基づいて内部短絡の有無(良品と不具合品と)を判別するには、まず良品判定のための基準値を設定する。そして、かかる基準値と各電池組立体の電圧降下量との差分を算出し、この差分が所定の閾値以下の場合にその電池組立体を「内部短絡なし」(すなわち良品)と判定し、この差分が所定の閾値を超える場合にその電池組立体を「内部短絡有り」(すなわち不具合品)と判定する。
一例として、図2(A)には良品と不具合品の一般的な判別方法を示している。この態様では、良品判定の基準値として複数の電池の電圧降下量ΔVの中央値(メジアン)を採用し、良品群の閾値を3σ(σは標準偏差を意味する。以下同様。)と設定している。ここで、良品と不具合品の判別を短時間で精度よく行うためには、良品群の電圧降下量ΔV(ここでは良品群の中央値+下限3σ)が小さく、これに対して不具合品の電圧降下量が十分に大きいことが必要である。図2(A)では、不具合品の電圧降下量ΔVが良品群の電圧降下量ΔVに対して十分に大きくなったとき(電圧降下量がVAとなったとき)を検査日としている。
本発明者らの知見によれば、自己放電中の電圧降下量ΔVは、「電池が存在する電圧における抵抗値」と「消費電流値」により決定される。自己放電検査において良品と不具合品の電池電圧は等しく抵抗値は同じであるため、良品と不具合品の判別には、良品群の消費電流をより小さく、あるいは不具合品の消費電流をより大きくすることが重要である。ここで、不具合品の消費電流は「電極(例えば負極)表面での皮膜形成反応により消費される電流」と「内部短絡箇所から消費される電流」の合算であるのに対し、良品の電流値は前者のみであると考えられる。
そこで、本発明者らは、自己放電検査期間における皮膜の形成を抑制することで良品の電圧降下量ΔVを低減し、良品群の電圧降下量ΔVの3σを減少させる(バラつきを減らす)ことを考えた。そして、鋭意検討を重ねた結果、本発明を創出するに至った。
すなわち、本発明により、以下の工程:(S10)正極と、負極と、不飽和カーボネート類を含有する非水電解液と、を用いて電池組立体を構築する工程;(S20)上記電池組立体を活性化処理して上記不飽和カーボネート類の一部を分解し、上記非水電解液全体を100質量%としたときの上記不飽和カーボネート類の割合を0.9質量%以下に調整する工程;(S30)上記電池組立体を自己放電させて電圧降下量を計測する工程;(S40)上記電圧降下量に基づいて内部短絡の有無を判定する工程;を包含する非水系二次電池の製造方法が提供される。
自己放電検査前に非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を0.9質量%以下に調整することで、自己放電検査時の良品の消費電流を低減することができる。これにより、良品の電圧降下量をより小さくすることができる。その結果、良品群と不具合品の電圧降下量の差が顕著なものとなり、電池内部に内部短絡が生じているか否かの判別が容易になる。したがって、検査の精度を維持したまま自己放電検査に要する時間を短縮することができる。すなわち、ここに開示される製造方法によれば、非水電解液中に不飽和カーボネート類を含有する場合であっても、短時間で信頼性の高い電池を製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記活性化処理において、上記非水電解液中の上記不飽和カーボネート類の割合を0.7質量%以上(特には0.8質量%以上)に調整する。これにより、特に活性化処理に要する時間やコスト(工程負荷:Process Load)を低く抑えることができる。したがって、生産性や作業効率、コストの観点から、トータルバランスに優れた製造方法を提供することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記活性化処理は、上記電池組立体を初期充電するコンディショニング工程と、上記電池組立体を40℃以上の温度環境下で所定の時間保持するエージング工程と、を包含する。そして、上記エージング工程の保持時間(エージング時間)を制御することで上記非水電解液中の上記不飽和カーボネート類の割合を調整する。
本発明者らの知見によれば、高温エージング工程の保持時間と非水電解液中に残存する不飽和カーボネート類の割合には相関関係が認められる。すなわち、高温エージング期間が長くなるほど皮膜形成のために消費される不飽和カーボネート類の量が増え、非水電解液中の当該化合物の割合が低下する。したがって、高温エージング工程での保持時間を制御することで、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を精度よく調整することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記電池組立体の構築において、上記不飽和カーボネート類を1質量%以上含有する非水電解液を用いる。
不飽和カーボネート類を非水電解液全体の1質量%以上含むことで、負極の表面に当該不飽和カーボネート類に由来する成分を含んだ皮膜(SEI膜;Solid Electrolyte Interface膜)を適切に形成させることができる。したがって、更に耐久性に優れた非水系電池を実現することができる。
また、不飽和カーボネート類としては、例えばビニレンカーボネート化合物(具体的には、例えばビニレンカーボネート)を好ましく用いることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法のフローチャートである。 図2(A)は、良品と不具合品の一般的な判別方法を示す説明図である。 図2(B)は、本発明の一実施形態に係る良品と不具合品の判別方法を示す説明図である。 図3は、高温エージング時の電圧と、自己放電検査時の良品の電圧降下量ΔVと、の関係を示すグラフである。 図4は、高温エージングの時間と、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合と、の関係を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施形態に係る非水系二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 図6は、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合と、工程負荷および電圧降下量ΔVと、の関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪非水系二次電池の製造方法≫
ここに開示される製造方法は、以下の工程:(S10)電池組立体の構築工程;(S20)活性化処理工程;(S30)自己放電検査工程;(S40)良品判定工程;を包含する。図1には、本発明の一実施形態に係る製造方法のフローチャートを示している。以下、図1を参照しつつ各工程について順に説明する。
なお、本明細書において「常温域」とは、20℃±10℃(典型的には15℃〜30℃、例えば20℃〜25℃)を指すものとする。
(S10)電池組立体の構築工程
本工程では、典型的には常温域において、正極と、負極と、不飽和カーボネート類を含有する非水電解液と、を用いて電池組立体を構築する。
図1に示す態様では、本工程は、(S12)電極体の準備;(S14)非水電解液の準備;(S16)電池組立体の組み立て;の3つの工程を包含する。
電極体の準備(S12)では、正極および負極を備える電極体を準備する。かかる電極体は、例えば、正極と負極を、セパレータを介して対向させ、積層することで作製し得る。
正極は、典型的には、正極活物質を含む正極活物質層が正極集電体上に固着された形態である。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル等)からなる導電性部材を好ましく用いることができる。
正極活物質としては、非水系二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られているものを1種または2種以上用いることができる。好適例として、層状系やスピネル系のリチウム複合金属酸化物(例えば、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Mn1.5、LiFePO等)が挙げられる。なかでも、熱安定性やエネルギー密度の観点から、構成元素としてLi,Ni,CoおよびMnを含む層状構造(典型的には層状岩塩型構造)のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を好適に用いることができる。
正極活物質層は、上記正極活物質に加えて一般的な非水系二次電池において正極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の一例として、導電材やバインダが挙げられる。導電材としては、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)、活性炭、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を好適に用いることができる。また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、更に各種添加剤(例えば、過充電時にガスを発生させる無機化合物、分散剤、増粘剤等)を含ませることもできる。
負極は、典型的には、負極活物質を含む負極活物質層が負極集電体上に固着された形態である。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル等)からなる導電性部材を好ましく用いることができる。
負極活物質としては、非水系二次電池の負極活物質として使用し得ることが知られているものを1種または2種以上使用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。
負極活物質層は、上記負極活物質に加えて一般的な非水系二次電池において負極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の一例としてバインダが挙げられる。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を好適に用いることができる。また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、更に各種添加剤(例えば、増粘剤、分散剤、導電材等)を含ませることもできる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)を好適に用いることができる。
特に限定するものではないが、電極体の構築に際しては、正負極の初期容量比、すなわち正極の初期充電容量(C)に対する負極の初期充電容量(C)の比として算出される容量比(C/C)が、例えば1.01〜1.6となるよう調整するとよい。上記範囲とすることで、負極における金属の析出を的確に防止することができ、優れた耐久性を実現することができる。
セパレータとしては、一般的な非水系二次電池と同様の多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル等の樹脂から成る多孔質樹脂シートが挙げられる。また、セパレータは上記多孔質シートからなる樹脂基材と、この樹脂基材の片面または両面(典型的には片面)に保持された多孔質耐熱層と、を備える耐熱性セパレータとして構成されていてもよい。なお、上記多孔質耐熱層は、例えば無機材料(例えば、アルミナ粒子等の無機フィラー類)とバインダとを含む層であり得る。あるいは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の粒子)を含む層であり得る。
非水電解液の準備(S14)では、不飽和カーボネート類を含む非水電解液を準備する。かかる非水電解液は、例えば支持塩と不飽和カーボネート類とを非水溶媒中に溶解または分散させることで調製し得る。
非水溶媒としては特に限定されず、一般的な非水系二次電池において非水溶媒として使用され得る各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を用いることができる。なかでも、負極の表面により良質な皮膜を形成する観点から、飽和カーボネート類(特には飽和環状カーボネート類)を好ましく用いることができる。好適例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。
支持塩としては、電荷担体(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン等。リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン。)を含む限りにおいて特に限定されず、一般的な非水系二次電池において使用され得るものを適宜選択して用いることができる。例えば電荷担体をリチウムイオンとする場合は、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩が例示される。なかでもLiPFを好ましく用いることができる。
不飽和カーボネート類としては、炭素−炭素結合(C−C)間に不飽和結合を有するカーボネートであれば特に限定されず、一般的な非水系二次電池の非水電解液においていわゆる皮膜形成剤として使用され得るものを適宜選択して用いることができる。例えば、炭素−炭素二重結合を有するカーボネート類、炭素−炭素三重結合を有するカーボネート類、芳香環を有するカーボネート類が挙げられる。具体例として、ビニレンカーボネート化合物、フェニルカーボネート化合物、ビニルカーボネート化合物等が挙げられる。なかでも、下記式(I)で表される不飽和環状カーボネート類、すなわちエチレン性の不飽和結合を有するビニレンカーボネート化合物を好ましく用いることができる。かかる化合物は比較的低い電位(例えば3.8〜4V(vs.Li/Li+))において負極で還元され、これによって当該負極表面に安定かつ低抵抗な皮膜が形成され得る。その結果、耐久性に優れた非水系二次電池を好適に実現し得る。したがって、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
Figure 0006249233
(ただし、式(I)において、R,Rは、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
上記式(I)で示されるビニレンカーボネート化合物の具体例としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、エチルメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、ブチルビニレンカーボネート等が挙げられる。
好適な一態様では、上記式(I)におけるR,Rがいずれも水素原子である。すなわち、ビニレンカーボネート化合物がビニレンカーボネートである。
電池構築時の非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合は、例えば活物質の種類や性状(例えば平均粒径や比表面積)、活物質層の空隙率等に応じて決定すればよく、特に限定されない。後述の実施例に示すような場合では、負極の表面に十分な皮膜を形成する観点から、非水電解液全体を100質量%としたときに凡そ0.8質量%以上(好ましくは1質量%以上)とするとよい。負極が十分な皮膜で覆われることにより、非水電解液の還元分解を高いレベルで抑制することができ、電池の耐久性を向上することができる。
ただし、ここに開示される技術では非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を所定の範囲に調整した後に自己放電検査を行うため、電池構築時に不飽和カーボネート類を過剰に含む場合は、かかる調整(例えば後述する高温エージング工程)に比較的長い時間を要することがある。また、負極に過度な皮膜が形成され、電池反応の抵抗成分となることもあり得る。これらの観点から、非水電解液全体を100質量%としたときの不飽和カーボネート類の割合の上限は、典型的には5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、例えば1.5質量%以下とするとよい。
なお、ここで用いられる非水電解液は、本発明の効果を大きく損なわない限度で、上述した非水溶媒、支持塩および不飽和カーボネート類以外の成分を必要に応じて含有し得る。かかる任意成分は、例えば、電池の保存性の向上、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上、入出力性能の向上、過充電時におけるガス発生量の増加のうちの1または2以上の目的で使用され得る。このような任意成分の一例として、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、2−ブチン−1,4−ジオール ジメタンスルホネート等の皮膜形成剤;シクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)等のガス発生剤;等が挙げられる。
電池組立体の組み立て(S16)では、上記準備した電極体と非水電解液とを電池ケース内に収容する。電池ケースとしては、例えばアルミニウムやスチール等の軽量な金属材製のものを好ましく用いることができる。なお、本明細書において「電池組立体」とは、上記電極体と非水電解液とを用いて活性化処理工程に先立った段階にまで組み立てられているもの全般をいい、電池の種類や構成等は特に限定されない。例えば電池ケースの蓋体は封口前であってもよいし封口後であってもよい。
(S20)活性化処理工程
本工程では、電池組立体を活性化処理して非水電解液の一部を分解させる。典型的には不飽和カーボネート類の一部を負極で還元分解させる。これにより、負極の表面に当該非水電解液由来の(典型的には不飽和カーボネート類由来の)皮膜を形成すると同時に、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を所定の範囲に調整する。かかる皮膜によって負極と非水電解液との界面が安定化され、以後の充放電に伴う非水電解液の分解を抑制することができる。
図1に示す態様では、本工程は、(S22)コンディショニング、および(S24)高温エージングの2つの工程を包含する。
コンディショニング(S22)では、典型的には常温域において、上記構築した電池組立体を少なくとも1回充電(初期充電)する。これによって、不飽和カーボネート類を分解することができ、非水電解液中の当該不飽和カーボネート類の割合を低減し得る。一般には、当該電池組立体の正極(正極端子)と負極(負極端子)の間に外部電源を接続し、所定の電圧まで充電(典型的には定電流充電)するとよい。
コンディショニング時の到達電圧(典型的には最高到達電圧)は、使用する活物質材料や非水溶媒、不飽和カーボネート類の種類等にも依るため特に限定されない。典型的には、負極の電位が使用する不飽和カーボネート類の還元分解電位より高くなるよう調整するとよい。一好適例では、電池組立体のSOCが65%〜110%(典型的には80%〜110%、例えば80%〜105%)の範囲にあるときに示し得る電圧範囲に調整するとよい。例えば4.2Vで満充電となる電池では、正負極間の電圧を凡そ3.8V〜4.3V(好ましくは3.95V〜4.1V)に設定するとよい。
また、充電方式は特に限定されず、例えば上記電圧に到達するまで定電流で充電する方式(CC充電)で行ってもよく、上記電圧に到達するまで定電流で充電した後、定電圧で充電する方式(CCCV充電)で行ってもよい。CC充電時のレートは特に限定されないが、あまりに低すぎると処理効率(作業効率)が低下しがちである。一方、あまりに高すぎると、形成される皮膜の緻密性が不足して耐久性が低下することがあり得る。かかる観点から、充電レートは凡そ0.1C〜5C(例えば0.5C〜2C)とするとよい。これによって、負極の表面に短時間で良質な(緻密性が高く、かつ低抵抗な)皮膜を形成することができる。
なお、充電は1回でもよく、例えば放電を挟んで2回以上繰り返し行うこともできる。また、電池特性に悪影響を与えない範囲で、上記非水電解液の還元分解を促進し得るようなその他の操作(例えば、圧力の負荷や超音波の照射)を適宜併用することもできる。
高温エージング(S24)では、上記コンディショニング後の電池組立体を、40℃以上の高温域まで昇温し、当該温度環境下で所定の時間保持(放置)する。なお、電池組立体を昇温して保持する手段としては、例えば、温度制御恒温槽や赤外線ヒーター等を用いることができる。
これによって、コンディショニング(S22)に引き続き不飽和カーボネート類を分解することができ、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を所定の範囲に精度よく制御することができる。また、負極の表面に形成された皮膜をより良質な(すなわち、低抵抗で、かつ非水電解液との反応を十分抑制し得る)ものへと改質する効果もある。さらには、例えば外部(典型的には製造装置の構成部材)から金属製の異物(例えばFe粉やCu粉)が混入した場合であっても、当該金属異物を金属イオン(例えばFeイオンやCuイオン)として溶解、拡散させることができ、電池の内部において微小な内部短絡が発生することを防止することができる。
好適な一態様では、本工程の保持温度を50℃以上(好ましくは55℃以上)に設定する。これにより、不飽和カーボネート類の分解反応が好適に進行し、非水電解液中の当該不飽和カーボネート類の割合を比較的短時間で上記範囲に調整することができる。
本工程では電池組立体を高温域に維持するため、工程負荷が特に大きい。したがって、本工程を短時間で完了させることは生産性や作業効率の向上のみならず、コストの観点から特に好ましい。保持温度の上限は、電池の劣化を防止する観点から通常は80℃以下、例えば70℃以下、好ましくは65℃以下とするとよい。
好適な一態様では、本工程全体に亘って上記コンディショニング工程で調整した端子間電圧またはこれとほぼ同等の電圧(例えば±0.5V程度)を維持する。電圧の維持は、例えば充放電装置(CCCV充電)等の電圧維持手段で行うことができる。
図3は、本発明者らが4.2Vで満充電となる電池を構築して、本工程(高温エージング時)の保持電圧と、後述の自己放電検査期間(10日間)における良品の電圧降下量ΔVとの関係を調べた結果である。ここでは保持温度を60℃、保持時間を17時間で一定とし、保持電圧の依存性を確認している。図3によれば、本工程全体に亘って正負極間の電圧が3.8V〜4.2V(好ましくは3.95V〜4.1V)の状態を保つことで、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を効果的に低下させることが可能である。
電池組立体を高温域で保持する時間(エージング時間)は、例えば上記保持温度や保持電圧、非水電解液の構成(例えば電池構築時の不飽和カーボネート類の含有量)等にも依るため特に限定されないが、例えば昇温開始からの合計時間を4時間〜100時間(例えば10時間〜50時間)程度とするとよい。
図4は、本発明者らが4.2Vで満充電となる電池を構築して、本工程(高温エージング)の所要時間と、非水電解液中に残存する不飽和カーボネート類の割合との関係を調べた結果である。ここでは保持温度を60℃で一定とし、保持電圧と保持時間(高温エージング時間)の依存性を確認している。図4によれば、高温エージング時間と非水電解液中に残存する不飽和カーボネート類の割合は負の比例関係(リニアの関係)にあり、高温エージング時間が長いほど当該不飽和カーボネート類の割合が低下する傾向にある。また、保持電圧が高いほど高温エージング時間が短縮される傾向にある。
このことから、本工程(高温エージング工程)の保持条件、例えば保持温度や保持電圧、保持時間をバランスさせることで、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を所定の範囲に精度よく制御することができるといえる。さらには生産性や作業効率の向上、コストの削減を行い得る。
このようにして、活性化処理工程後に非水電解液中に残存する不飽和カーボネート類の割合を、0.9質量%以下(例えば0.5質量%〜0.9質量%、好ましくは0.7質量%〜0.9質量%、特には0.8質量%〜0.9質量%)に調整する。これにより、生産性や作業効率、コストの観点からトータルバランスに優れた製造方法を提供することができる。なお、かかる不飽和カーボネート類の割合は、一般的なGC−MS(Gas Chromatography-Mass Spectrometer)によって測定することができる。具体的な測定条件については、後述の実施例で示す。
(S30)自己放電検査工程
ここでは、典型的には常温域で、不飽和カーボネート類の割合を調整した電池組立体を放置して自己放電させ、放置前後の電圧降下量ΔVを計測する。これによって、製造条件等に由来する何らかの影響に起因した内部短絡の有無を精度よく評価・把握することができる。すなわち、内部短絡が生じている電池は、ある程度の期間放置すると自己放電による消費電流が大きくなるので、電圧降下量も大きくなる。このため、電圧降下量に基づいて電池に内部短絡が生じているか否かを判断することができる。
図2(B)は、本発明の一実施形態に係る良品と不具合品の判別方法を示す説明図である。すなわち、ここに開示される技術によれば、良品の電圧降下量ΔVの絶対値を小さくすることができ、図2(B)に示す良品群の中央値を示す直線の傾きを緩やかにすることができる。また、これにより良品群の中央値からの3σ(バラつき)も小さく抑えることができる。その結果、良品群と不具合品の電圧降下量の差がより一層明瞭なものとなり、電池の内部に内部短絡が生じているか否かの判別が容易になる。
換言すれば、(1)良品と不良品の差が電圧降下量に早期に反映されるようになり、自己放電検査にかかる時間を従来よりも短縮することができる。すなわち、検査の精度を維持したまま生産性や作業効率を大きく向上することができる。例えば高容量型の電池において、従来は本工程に10日程度を要していたところ、ここに開示される技術によれば5日程度で済み、所要時間を凡そ半減させることが可能となる。あるいは、(2)自己放電検査の時間を従来と同じくする場合は、電圧降下量がVAよりも大きくなる(VBとなる)ことで、一層精度の高い良品判定を行うことができる。
(S40)良品判定工程
ここでは、上記自己放電検査工程で得られた結果に基づいて、電池組立体の良否(内部短絡の有無)を判定する。具体的には、先ず、電圧降下量の計測結果に基づいて、良品判定のための基準値を設定する。基準値の設定方法は特に限定されないが、例えば、複数の電池組立体の電圧降下量の算術平均値、中央値(メジアン)等を採用し得る。次に、かかる基準値と各電池組立体の電圧降下量との差分を算出し、この差分が所定の閾値以下の場合にその電池組立体を「内部短絡なし」と判定し、この差分が所定の閾値を超える場合にその電池組立体を「内部短絡有り」と判定する。閾値としては、対象とする電池の規格等にも依るため特に限定されないが、例えば2σ〜4σ程度に相当する値を設定することができる。そして、かかる判定結果に基づいて「内部短絡有り」と判定された電池組立体を取り除くことで、不具合品が後の工程に流れることを防止し得、信頼性の高い電池を提供することができる。
上述の通り、ここに開示される技術によれば、より短時間で信頼性の高い電池を製造することができる。とりわけ高容量型の非水系二次電池では、自己放電検査期間が増大することが課題となっている。すなわち、容量の大きな電池では、容量の小さな電池に比べて内部短絡に由来する電圧降下が判別し難くなるため、短時間で良品と不具合品とを判別することが極めて困難である。その結果、かかる判別を的確に行うために自己放電検査が長期化することが問題となっている。したがって、本発明は、特に理論容量が10Ah以上(特には20Ah以上)であって例えば100Ah以下の高容量型の非水系二次電池を製造する場合に、とりわけ有益であるといえる。
なお、上記良品判定(S40)で「内部短絡なし(良品)」と判定された電池組立体は、典型的にはSOCの調整がなされて出荷される。換言すれば、自己放電検査工程以降は、実際に使用が開始されるまで不飽和カーボネート類の割合がほぼ一定である。したがって、例えば出荷直後の電池を回収して非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合を測定すれば、自己放電検査時の不飽和カーボネート類の割合を概ね把握することができる。具体的な手順としては、まず不活性雰囲気下において電池ケースの上面に穴をあけて、そこから非水電解液を採取する。この電解液をGC−MS(Gas Chromatography-Mass Spectrometer)やLC−MS(Liquid Chromatography-Mass Spectrometer)、IC(Ion Chromatography)等の手法によって分析し、不飽和カーボネート類およびそれらの分解物に起因する化学種を定性・定量することにより、自己放電検査時の不飽和カーボネート類の割合を推定し得る。
≪非水系二次電池の一実施形態≫
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態として、扁平形状の捲回電極体と非水電解液とを扁平な直方体形状の電池ケースに収容した形態の非水系二次電池を例に説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図5は、非水系二次電池100の断面構造を模式的に示す縦断面図である。この非水系二次電池100では、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが長尺状のセパレータシート40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、非水電解液60と共に扁平な箱型形状の電池ケース50に収容されている。
電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(箱型)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極と電気的に接続する外部接続用の正極端子70、および捲回電極体80の負極と電気的に接続する負極端子72が設けられている。蓋体54にはまた、従来の非水系二次電池の電池ケースと同様に、電池ケース50の内部で発生したガスをケース50の外部に排出するための安全弁55が備えられている。さらに、電池ケース50の内部には、蓋体54に固定された正極端子70と捲回電極体80との間に、電池ケース内の圧力上昇時に作動する電流遮断機構30が設けられている。電流遮断機構30は、電池ケース50の内圧が上昇した場合に、少なくとも一方の電極端子(ここでは正極端子70)から捲回電極体80に至る導電経路を切断することで充電電流を遮断するよう構成されている。
電池ケース50の内部には、扁平状の捲回電極体80と非水電解液60とが収容されている。捲回電極体80は、組み立てる前段階において、長尺状のシート構造(シート状電極体)を有している。正極シート10は、長尺状の正極集電体と、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された正極活物質層14とを備えている。負極シート20は、長尺状の負極集電体と、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された負極活物質層24とを備えている。また、正極活物質層14と負極活物質層24の間には、両者の直接接触を防ぐ絶縁層として2枚の長尺シート状のセパレータ(セパレータシート)40が配置されている。
捲回電極体80の捲回軸方向の一の端部から他の一の端部に向かう方向として規定される幅方向において、その中央部には、正極集電体の表面に形成された正極活物質層14と負極集電体の表面に形成された負極活物質層24とが重なり合って密に積層された捲回コア部分が形成されている。また、捲回電極体80の捲回軸方向の両端部では、正極シート10の正極活物質層非形成部および負極シート20の負極活物質層非形成部が、それぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。そして、正極側はみ出し部分(すなわち正極活物質層非形成部)には正極集電板74が、負極側はみ出し部分(すなわち負極活物質層非形成部)には負極集電板76が付設され、それぞれ上述の正極端子70および負極端子72と電気的に接続されている。
≪非水系二次電池の用途≫
ここに開示される製造方法によって製造された非水系二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、電池性能(例えばエネルギー密度や耐久性)が高く、信頼性に優れたものであり得る。したがって、このような性質を活かして、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、典型的には自動車、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等が挙げられる。したがって、本発明の他の側面として、ここに開示されるいずれかの非水系二次電池(組電池の形態であり得る。)を備えた車両が提供される。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここでは、活性化工程の高温エージング時間(エージング開始時を0時間とする)を4時間〜100時間の間で異ならせたときの不飽和カーボネート類の割合、電圧降下量ΔV、および工程負荷についての検討を行った。
〔電池組立体の構築〕
正極活物質粉末としてのLi1.00Ni0.38Co0.32Mn0.30粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とをN−メチルピロリドン(NMP)中で混合し、スラリー状組成物を調製した。この組成物を長尺状アルミニウム箔(正極集電体)に塗布して正極活物質層を形成した。得られた正極を乾燥およびプレスし、シート状の正極(正極シート)を作製した。
次に、負極活物質としてのカーボンブラック粉末と、スチレンブタジエンゴム(SBR)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)とをイオン交換水中で混合して、スラリー状組成物を調製した。この組成物を長尺状銅箔(負極集電体)に塗布して負極活物質層を形成した。得られた負極を乾燥およびプレスし、シート状の負極(負極シート)を作製した。
次に、セパレータシートとして、ポリエチレン(PE)層の両面にポリプロピレン(PP)層が積層された三層構造の樹脂基材と、当該基材の片側の表面に、無機材料としてのアルミナ(Al)とバインダとしてのアクリル樹脂とを含む多孔質耐熱層と、を備えた構成のシートを用意した。上記で作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシートを介して重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形した。そして、かかる捲回電極体の正極集電体の端部に正極端子を、負極集電体の端部に負極端子を溶接によりそれぞれ接合した。
この電極体を角型の電池ケースに収容し、非水電解液を注入した。なお、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてのLiPFを凡そ1mol/Lの濃度で溶解し、さらに、非水電解液全体の1質量%の割合でビニレンカーボネート(VC)を、0.3質量%の割合で2−ブチン−1,4−ジオール ジメタンスルホネートを、ガス発生剤としてのシクロヘキシルベンゼン(CHB)およびビフェニル(BP)を、添加したものを用いた。このようにして、電池組立体(容量比(負極の初期容量/正極の初期容量)は1.36、定格容量25Ah。)を構築した。
〔活性化処理〕
次に、上記構築した電池組立体に20Aの定電流で正負極端子間電圧が3.95Vに到達するまで定電流充電を行った後、さらに当該電圧で電流が0.2Aになるまで定電圧充電を行った(コンディショニング)。
次に、上記コンディショニング後の電池組立体を温度制御恒温槽内に設置して60℃まで昇温し、昇温開始からの経過時間が4時間〜100時間となるまで、3.95Vの電圧を維持したまま、60℃の温度環境下で保持した(高温エージング)。
〔不飽和カーボネート類の割合の測定〕
高温エージング後の電池組立体から非水電解液を少量採取し、水とアセトニトリルとを1:1の質量比で含む混合溶液で測定対象成分(ビニレンカーボネート)を液−液抽出した。これをアセトンで希釈した後、GC−MSを用いて表1の条件で分析し、リテンションタイム(カラム内での保持時間)からMSスペクトルで同定した。なお、詳細は示していないが、ビニレンカーボネートのリテンションタイムは7.29min.であった。結果を表2に示す。
Figure 0006249233
〔品質検査〕
次に、60Aの定電流で正負極端子間電圧が2.0Vに到達するまで定電流放電を行い、区間容量とIV抵抗を測定した。次に、電池組立体を3.3V(SOC3%の状態)に調整した後、10日間放置して自己放電させ、自己放電前の電圧値から自己放電後の電圧値を差し引くことで電圧降下量ΔVを算出した。結果を表2に示す。また、図6には不飽和カーボネート類の割合と電圧降下量ΔVの関係を示す。
また、高温エージング工程および自己放電検査工程に要する時間と各工程の単位時間当たりのコストの積から、工程負荷を算出した。結果を表2に示す。また、図6には工程負荷と電圧降下量ΔVの関係を示す。
Figure 0006249233
表2に示すように、高温エージング時間を調整することで、非水電解液中に残存する不飽和カーボネート類の割合を精度よく制御することができる。ここに示す例では、温度60℃、電圧3.95Vの環境下で17時間以上(例えば17時間〜100時間)の高温エージングを行うことにより、非水電解液中のVCの割合を0.9質量%以下(例えば0.5質量%〜0.9質量%)にすることができる。
また、表2および図6に示すように、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合が0.9質量%以下になるよう調整した状態で自己放電検査を行うことで、良品の電圧降下量ΔV(絶対値)を10mV以下(好ましくは6.55mV以下)に低減することができる。これにより、良品と不具合品が判別し易くなり、従来に比べて短時間で信頼性の高い電池を安定的に製造することができる。かかる結果は、本発明の技術的意義を示している。
なお、活性化処理の温度条件や電圧条件が同じであれば、不飽和カーボネート類の割合を低減しようとすればするほど、活性化処理の所要時間は長くなる傾向がある。特に、高温エージング工程では電池組立体を高温域で保持する必要があるため、単位時間当たりのコストが高く、かかる観点からは高温エージングを短期間で完了させることが好ましい。そこで、表2および図6に示すように高温エージング工程および自己放電検査工程の工程負荷(所要時間×単位時間当たりの費用)を考慮すると、例えば上記例では高温エージングを60時間以下(特には34時間以下)とすることで、非水電解液中の不飽和カーボネート類の割合が0.7質量%以上(特には0.8質量%以上)となるよう調整した状態で自己放電検査を行うことが好ましい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
24 負極活物質層
30 電流遮断機構
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
60 非水電解液
70 正極端子
72 負極端子
74 正極集電板
76 負極集電板
80 捲回電極体
100 非水系二次電池

Claims (6)

  1. 非水系二次電池を製造する方法であって、
    正極と、負極と、不飽和カーボネート類を含有する非水電解液と、を用いて電池組立体を構築する構築工程;
    前記構築工程の後に、前記電池組立体を活性化処理して前記不飽和カーボネート類の一部を分解し、前記非水電解液全体を100質量%としたときの前記不飽和カーボネート類の割合を0.5質量%以上0.9質量%以下に調整する活性化処理工程;
    前記活性化処理工程の後に、前記電池組立体を自己放電させて電圧降下量を計測する自己放電検査工程;および
    前記自己放電検査工程の後に、前記電圧降下量に基づいて内部短絡の有無を判定する良品判定工程;
    を包含する、非水系二次電池の製造方法。
  2. 前記活性化処理工程において、前記非水電解液中の前記不飽和カーボネート類の割合を0.7質量%以上に調整する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記活性化処理工程において、前記非水電解液中の前記不飽和カーボネート類の割合を0.8質量%以上に調整する、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記活性化処理工程は、前記電池組立体を初期充電するコンディショニング工程と、前記電池組立体を40℃以上の温度環境下で所定の時間保持するエージング工程と、を包含し、
    前記エージング工程の保持時間を制御することで前記非水電解液中の前記不飽和カーボネート類の割合を調整する、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 記構築工程において、前記不飽和カーボネート類を1質量%以上含有する非水電解液を用いる、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記不飽和カーボネート類としてビニレンカーボネート化合物を用いる、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
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