(画像処理装置1)
図1は本実施の形態が適用される画像処理装置1の全体構成の一例を示した図である。
図1に示す画像処理装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像処理装置である。この画像処理装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、PC2や画像読取装置3から受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色毎に設けられ、それぞれ区別する場合には、画像形成ユニット11の末尾に、それぞれY、M、C、Kを付す。
画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。ここで、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、現像器15に収納されたトナーを除いて、同様に構成されている。そして、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙に多重転写させるために、この記録用紙を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
この画像処理装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。
そして、画像出力制御部30による制御の下で、PC2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。
そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙上の合成トナー像は、定着器24によって熱及び圧力による定着処理を受けて記録用紙上に定着され、画像処理装置1から排出される。
(プリントヘッド14)
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。このプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタ)からなる光源部63を備えた露光手段の一例としての発光装置65、光源部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、光源部63、光源部63を駆動する信号発生回路110(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。なお、発光装置65が信号発生回路110を備えず、発光装置65の外部の画像出力制御部30等が信号発生回路110を備えてもよい。この場合、画像出力制御部30等から、信号発生回路110が光源部63に供給する信号等がハーネス等を介して発光装置65に供給される。以下では、発光装置65が信号発生回路110を備えているとして説明する。
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62及びロッドレンズアレイ64を支持し、光源部63の発光素子における発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向であって、後述する図3、図4(b)のX方向)に沿って配置されている。
(発光装置65)
図3は、本実施の形態における発光装置65の上面図である。
図3に示すように、本実施の形態における発光装置65では、光源部63は、回路基板62上に、20個の発光チップCa1〜Ca20(発光チップ群#a)と、同じく20個の発光チップCb1〜Cb20(発光チップ群#b)とを、主走査方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。すなわち、本実施の形態では、2つの発光チップ群(発光チップ群#aと発光チップ群#b)を備えている。ここでは、発光チップ群を群と略すことがある。なお、発光チップ群#aと発光チップ群#bとの向かい合わせについての詳細は後述する。
本実施の形態では、「〜」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「〜」の前後に記載されたもの及びその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光チップCa1〜Ca20は、発光チップCa1から番号順に発光チップCa20までを含む。
発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20の構成は同一であってよい。なお、発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20をそれぞれ区別しないときは、発光チップCと表記する。また、本実施の形態では、発光チップCの数として、合計40個を用いたが、これに限定されない。
そして、発光装置65は、光源部63を駆動する信号発生回路110を搭載している。なお、前述したように、発光装置65は、信号発生回路110を搭載していなくともよい。
図4は、本実施の形態における発光チップCの構成、信号発生回路110の構成、並びに回路基板62上の配線構成を示した図である。図4(A)は発光チップCの構成を示し、図4(B)は発光装置65の信号発生回路110の構成、並びに回路基板62上の配線構成を示す。本実施の形態では、発光チップCは2つの発光チップ群(#a及び#b)に分けられている。
はじめに、図4(A)に示す発光チップCの構成を説明する。
発光チップCは、表面形状が長方形である基板80の表面において、長辺の一辺に近い側に長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)からなる発光部102を備えている。さらに、発光チップCは、基板80の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである入力端子(φE端子、φ1端子、Vga端子、φ2端子、φW端子、φI端子)を備えている。なお、これらの入力端子は、基板80の一端部からφE端子、φ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φW端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。さらに、基板80の裏面にはVsub端子として裏面電極(図示省略)が設けられている。ここで、φW端子は設定端子の一例であり、φE端子は許可端子の一例である。
なお、「列状」とは、図4(A)に示したように複数の発光素子が一直線上に配置されている場合に限らず、複数の発光素子のそれぞれの発光素子が、列方向と直交する方向に対して、互いに異なるずれ量を有して配置されている状態でもよい。例えば、それぞれの発光素子が、列方向と直交する方向に数画素分又は数十画素分のずれ量をもって配置されていてもよい。また、隣接する発光素子間で交互に、或いは複数の発光素子毎に、ジグザグに配置されていてもよい。
次に、図4(B)により、発光装置65の信号発生回路110の構成、並びに回路基板62上の配線構成を説明する。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110及び発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)が搭載され、信号発生回路110と発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)とを相互に接続する配線(ライン)が設けられている。なお、図4(B)では、発光チップCa5、Cb5まで記載し、発光チップCa6、Cb6以降は、同一配線の繰り返しなので、図示を省略した。
まず、図7を用いて、信号発生回路110の構成について説明する。
図7は、信号発生回路110の構成を示すブロック図である。信号発生回路110は、画像データ展開部111、濃度ムラ補正データ部112、タイミング信号発生部114、基準クロック発生部116、各発光チップ(発光チップ群Ca1、Cb1〜Ca20、Cb20)に対応して設けられた点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20により主要部が構成されている。
点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20は、それぞれ、設定信号発生部150に接続されている。また、タイミング信号発生部114は、許可信号発生部130a、130b、転送信号発生部120a、120b、点灯信号発生部140a、140bに接続されている。さらに、信号発生回路110では、電源電位供給部170、基準電位供給部160から、それぞれの電位が出力されるようになっている。
画像データ展開部111には、画像処理部(イメージプロセッサ)40から画像データがシリアルに送信されてくる。画像データ展開部111は、送信された画像データを1〜128ドット目、129〜256ドット目、・・・のように各発光チップC(発光チップ群Ca1、Cb1〜Ca20、Cb20)毎の画像データに分割する。
画像データ展開部111は点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20と接続されており、分割した画像データを各々対応する点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20に出力する。
濃度ムラ補正データ部112は、発光チップC内の各発光サイリスタ毎の光量のバラツキ等に起因する画像形成時の画像濃度ムラを修正するための濃度ムラ補正データが記憶されている。そして、濃度ムラ補正データ部112からのデータ読出し信号に同期して、濃度ムラ補正データを点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20に出力する。
なお、この濃度ムラは、発光サイリスタ個体の光量特性によるものであり、後述の、各発光サイリスタへの配線長の違いによる電気抵抗率ρを主要因する光量特性とは異なる。
EEPROM(1)32には、各発光サイリスタ毎の濃度ムラ補正データ(以下、「個体差光量補正値データ」という)が格納されている。そして、マシン電源投入時に、EEPROM(1)32から濃度ムラ補正データ部112に対して、各発光サイリスタ毎の個体差光量補正値データがダウンロードされる。
次に、基準クロック発生部116は、画像出力制御部30、タイミング信号発生部114、及び点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20と接続されている。
基準クロック発生部116は、図示しないPLL回路と、ルックアップテーブル(LUT)とを含み、点灯可能期間を256分割する周波数に相当するコントロール電圧が供給され、この周波数の基準クロック信号を生成して、すべての点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20へ出力する。
タイミング信号発生部114は、画像出力制御部30及び基準クロック発生部116と接続されており、基準クロック発生部116からの基準クロック信号を基に、制御部30からの水平同期信号(Lsync)と同期して、転送信号を生成する。
また、タイミング信号発生部114は、濃度ムラ補正データ部112及び画像データ展開部111と接続されており、基準クロック発生部116からの基準クロック信号を基に、画像出力制御部30からのLsync信号と同期して、画像データ展開部111から各画素(各発光サイリスタ)に対応した画像データを読み出すためのデータ読出し信号、並びに濃度ムラ補正データ部112から各画素に対応した個体差光量補正値データを読み出すためのデータ読出し信号を各々に対して出力している。
さらに、タイミング信号発生部114は、点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20とも接続されており、基準クロック発生部116からの基準クロック信号を基に、画像出力制御部30からのLsync信号と同期して、発光サイリスタの点灯開始のトリガ信号を出力している。
点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20は、各画素(各発光サイリスタ)の点灯時間(点灯パルス幅)を個体差光量補正値データ及び直線性補正値データに基づいて設定し、発光チップの各LEDを点灯するための制御信号(発光開始タイミングである設定信号)φW1〜φW20を生成する。
以上説明したように、発光装置65において、発光チップCa1〜Ca20、並びにCb1〜Cb20の各発光サイリスタL1、L2、L3・・・を発光させる場合の発光開始タイミングは、20個の設定信号φW1〜φW20に依存していることがわかる。
この20個の設定信号φW1〜φW20の物理的配線長、すなわち、信号発生回路110の出力端から各発光サイリスタL1、L2、L3・・・までの配線の長さは、基板80(図4(A)参照)の設計によって異なる。基板80において、当該基板80での配線パターンに基づく物理的配線長さの違いは、ある程度の線形特性を有するものの、基本的には非線形である。
このため、20個の設定信号φW1〜φW20の物理的配線長に起因する電気抵抗率ρの差により、20個の設定信号φW1〜φW20の発信時期に対する到達時期が異なり、同一の光量を指示する信号であっても、発光サイリスタL1、L2、L3・・・で光量変動が発生する。
すなわち、電気抵抗率ρは、R・A/L(Ω・m)で表され、電気抵抗R(Ω)は、配線の長さL(m)に正比例し、断面積A(m2)に反比例する。
そこで、本実施の形態では、EEPROM(2)34に、図4(A)に示す、各発光サイリスタL1、L2、L3・・・(本実施の形態では、128個の発光サイリスタL1〜L128を配列)の位置(配線長の差)による光量変化量を補正するオフセット補正値データを格納している。なお、配線の断面積は共通とする。
このオフセット補正値データは、前述した濃度ムラ補正データ部112によって補正する個体差光量補正値データとは異なるものである。
オフセット補正値データは、設定信号φW1〜φW20の出力タイミングの時期を早める役目を有しており、EEPROM(2)34には、各発光サイリスタL1、L2、L3・・・毎のオフセット補正用の定量値(加算値Δ1〜128)が格納される。このオフセット補正値が加算された発光サイリスタL1、L2、L3・・・は、発光時間が長くなるため、光量が増加される。
図8(A)は、1つの発光チップCにおける、配線長差に起因する光量変化量を示した特性図である。この図8(A)では、配線長の短い左端の光量が最も高く、配線長の長い右端の光量が最も低くなっている。また、点灯時間(点灯開始から終了までの時間)が長ければ長いほど最大値と最小値の光量差が大きくなる傾向にある。
なお、図8(A)の右肩下がりの傾向は、設定信号φW1〜φW20の出力源が、発光チップCの左端にあるためであり、出力源の位置によって特性は変化する。例えば、出力源が中央にある場合は山形となり、右端にある場合は右肩上がりとなり、左右に分割されている場合は谷型となる。従って、光量変化量の特性は、図8(A)に限定されるものではないが、ここでは、図8(A)の特性を例にとり説明する。
図8(B)は、EEPROM(2)34に格納される、各発光チップ共通として適用される、発光サイリスタL1〜L128に対する、それぞれ加算値Δ1〜Δ128の対照テーブルが示されている。加算値Δ1〜Δ128は、それぞれ、設定信号φW1〜φW20の出力タイミングの時期を早める時間情報である。数値が大きければ大きいほど出力タイミングが早くなる。
従って、図8(A)の光量特性を是正する場合は、最も光量が高い左端の発光サイリスタL1を基準として(Δ1=0)、以下、発光サイリスタL2〜L128の光量を嵩上げする加算値を設定すればよい(Δ2〜Δ128>0)。
なお、各発光サイリスタL1〜L128の加算値Δ1〜Δ128は、理論上は、物理的な配線長に基づき演算可能であるが、より精度を高めるためには、実験結果に基づき、非線形の情報をテーブル化することが好ましい。
本実施の形態に係る信号発生回路110では、画像出力制御部30及び画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データ及び各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データ及び各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca20)に対して、第1転送信号φ1a及び第2転送信号φ2aを送信する転送信号発生部120aと、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb20)に対して、第1転送信号φ1b及び第2転送信号φ2bを転送信号発生部120bから送信する。
さらに、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca20)に対して、許可信号φEaを送信する許可信号発生部130aと、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb20)に対して、許可信号φEbを許可信号発生部130bから送信する。
さらにまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca20)に対して、点灯信号φIaを点灯信号発生部140aから送信すると共に、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb20)に対して、点灯信号φIbを点灯信号発生部140bから送信する。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとを一つの発光チップ組にして、発光チップ組毎に設定信号φW1〜φW20を設定信号発生部150から送信する。
例えば、設定信号発生部150は、発光チップ群#aに属する発光チップCa1と発光チップ群#bに属する発光チップCb1との発光チップ組#1に対して、設定信号φW1を送信する。発光チップ群#aに属する発光チップCa2と発光チップ群#bに属する発光チップCb2との発光チップ組#2に対して、設定信号φW2を送信する。以下同様にして、発光チップ群#aに属する発光チップCa20と発光チップ群#bに属する発光チップCb20との発光チップ組#20に対して、設定信号φW20を送信する。
さらにまた、信号発生回路110は、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)に電位の基準となる基準電位Vsubを基準電位供給部160から供給すると共に、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)の駆動のための電源電位Vgaを電源電位供給部170から供給する。
なお、上述したように、図4では、転送信号発生部120aと転送信号発生部120bとを分けて示したが、これらを総称する場合は、転送信号発生部120という。
同様に、許可信号発生部130aと許可信号発生部130bとを分けて示したが、これらを総称する場合は、許可信号発生部130という。
さらに同様に、点灯信号発生部140aと点灯信号発生部140bとを分けて示したが、これらを総称する場合は、点灯信号発生部140という。
同様に、第1転送信号φ1aと第1転送信号φ1bとを区別しない場合には第1転送信号φ1といい、第2転送信号φ2aと第2転送信号φ2bとを区別しない場合には第2転送信号φ2という。さらに、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを区別しないときは転送信号という。同様に、許可信号φEaと許可信号φEbとを区別しない場合には許可信号φEといい、点灯信号φIaと点灯信号φIbとを区別しない場合には点灯信号φIと、設定信号φW1〜φW20これらをまとめて設定信号φWという。
次に、発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20の配列について説明する。
発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca20は、それぞれの長辺の方向に間隔を設けて一列に配列されている。発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb20も、同様にそれぞれの長辺の方向に一列に間隔を設けて配列されている。そして、発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca20及び発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb20のそれぞれに設けられた発光部102に近い側の長辺が向かい合うように、互いに180°回転した状態で千鳥状に配列されている。そして、発光チップC間においても発光素子が主走査方向に予め定められた間隔で並ぶように、発光チップCの位置が設定されている。なお、図4(B)の発光チップCa1、Ca2、Ca3、…及び発光チップCb1、Cb2、Cb3、…に、図4(A)に示した発光部102の発光素子の並び(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…の番号順)の方向を矢印で示している。
信号発生回路110と発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)とを相互に接続する配線(ライン)について説明する。
回路基板62には、発光チップCの基板80裏面に設けられたVsub端子(後述の図6参照)に接続され、基準電位供給部160より基準電位Vsubが与えられる電源ライン200aが設けられている。
そして、発光チップCに設けられたVga端子に接続され、電源電位供給部170より電力供給のための電源電位Vgaが与えられる電源ライン200bが設けられている。
また、回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφ1端子に、第1転送信号φ1aを送信するための第1転送信号ライン201a、及び発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφ2端子に、第2転送信号φ2aを送信するための第2転送信号ライン202aが設けられている。第1転送信号φ1a及び第2転送信号φ2aは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の転送信号発生部120bから、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφ1端子に、第1転送信号φ1bを送信するための第1転送信号ライン201b、及び発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφ2端子に、第2転送信号φ2bを送信するための第2転送信号ライン202bが設けられている。第1転送信号φ1b及び第2転送信号φ2bは、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20に共通(並列)に送信される。
そして、回路基板62には、信号発生回路110の許可信号発生部130aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφE端子に、許可信号φEaを送信するための許可信号ライン203aが設けられている。許可信号φEaは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の許可信号発生部130bから、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφE端子に、許可信号φEbを送信するための許可信号ライン203bが設けられている。許可信号φEbは、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20に共通(並列)に送信される。
さらに、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφI端子に、点灯信号φIaを送信するための点灯信号ライン204aが設けられている。点灯信号φIaは、発光チップCa1〜Ca20のそれぞれに対して設けられた電流制限抵抗RIを介して、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の点灯信号発生部140bから、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφI端子に、点灯信号φIbを送信するための点灯信号ライン204bが設けられている。点灯信号φIbは、発光チップCb1〜Cb20のそれぞれに対して設けられた電流制限抵抗RIを介して、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20に共通(並列)に送信される。
なお、電流制限抵抗RIは、発光チップCの内部に設けられてもよい。
さらにまた、回路基板62には、信号発生回路110の設定信号発生部150から、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとを発光チップの組(発光チップ組)にして、発光チップ組毎に設定信号φW1〜φW20を送信する設定信号ライン205〜224が設けられている。
例えば、設定信号ライン205は、発光チップ群#aの発光チップCa1のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb1のφW端子とに接続され、発光チップCa1と発光チップCb1とで構成する発光チップ組#1に対して設定信号φW1を送信する。設定信号ライン206は、発光チップ群#aの発光チップCa2のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb2のφW端子とに接続され、発光チップCa2と発光チップCb2とで構成する発光チップ組#2に対して設定信号φW2を送信する。以下同様にして、設定信号ライン224は、発光チップ群#aの発光チップCa20のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb20のφW端子とに接続され、発光チップCa20と発光チップCb20とで構成する発光チップ組#20に対して設定信号φW20を送信する。
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップCには、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に送信される。
そして、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbは、発光チップ群#bに対して共通に送信される。
一方、設定信号φW1〜φW20は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとの構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信される。
図5は、本実施の形態における発光装置65の発光チップCをマトリクスの各要素として配置して示した図である。
図5では、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)を2×20のマトリクスの各要素として配置して、上記した信号発生回路110と発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)とを相互に接続する信号(第1転送信号φ1a、φ1b、第2転送信号φ2a、φ2b、点灯信号φIa、φIb、許可信号φEa、φEb、設定信号φW1〜φW20)の配線(ライン)のみを示している。
上述したように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbは、発光チップ群#bに対して共通に送信される。
これに対し、設定信号φW1〜φW20は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとの構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信される。
(発光チップC)
図6は、本実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。
ここでは、発光チップCa1を例に、発光チップCを説明する。そこで、図6において、発光チップCを発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20の構成は、発光チップCa1と同じである。
なお、入力端子(Vga端子、φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φI端子)は、図4(A)と異なるが、説明の便宜上、図中左端に示した。
発光チップCa1(C)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列(発光部102(図4(A)参照))を備えている。
さらに、発光チップCa1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…からなる転送サイリスタ列、並びに同様に列状に配列された設定サイリスタS1、S2、S3、…からなる設定サイリスタ列を備えている。
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…をそれぞれ区別しないときは、発光サイリスタLと表記する。転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ区別しないときは、転送サイリスタTと、設定サイリスタS1、S2、S3、…をそれぞれ区別しないときは設定サイリスタSと表記する。
さらにまた、発光チップCa1(C)は、設定許可サイリスタS0を備えている。
なお、上記のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、設定サイリスタS、設定許可サイリスタS0)は、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
ここでは、発光サイリスタLのアノード端子を第1のアノード端子、カソード端子を第1のカソード端子、ゲート端子を第1のゲート端子と表記することがある。同様に、設定サイリスタSのアノード端子を第2のアノード端子、カソード端子を第2のカソード端子、ゲート端子を第2のゲート端子と表記することがある。さらに、転送サイリスタTのアノード端子を第3のアノード端子、カソード端子を第3のカソード端子、ゲート端子を第3のゲート端子と表記することがある。さらにまた、設定許可サイリスタS0のアノード端子を第4のアノード端子、カソード端子を第4のカソード端子、ゲート端子を第4のゲート端子と表記することがある。
また、発光チップCa1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間に電気的手段の一例としての結合ダイオードD1、D2、D3、…を備えている。そして、転送サイリスタT1、T2、T3、…と設定サイリスタS1、S2、S3、…との間に第2の接続抵抗の一例としての接続抵抗Rx1、Rx2、Rx3、…を備えている。さらに、設定サイリスタS1、S2、S3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…との間に第1の接続抵抗の一例としての接続抵抗Ry1、Ry2、Ry3、…を備えている。接続抵抗Ry1、Ry2、Ry3、…は、後に詳細に説明するが、設定サイリスタSがオフ状態にあるときと、オン状態にあるときとで、抵抗値が異なる。よって、図6において、接続抵抗Ry1、Ry2、Ry3、…に矢印を付して、抵抗値が変化することを表記している。
さらに、発光チップCa1(C)は、第3の接続抵抗の一例としての接続抵抗Rz1、Rz2、Rz3、…を備えている。
ここで、発光サイリスタLなどと同様に、結合ダイオードD1、D2、D3、…、接続抵抗Rx1、Rx2、Rx3、…、接続抵抗Ry1、Ry2、Ry3、…、接続抵抗Rz1、Rz2、Rz3、…のそれぞれを区別しないときは、結合ダイオードD、接続抵抗Rx、接続抵抗Ry、接続抵抗Rzと表記する。
発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。本実施の形態で、発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタT、設定サイリスタSのそれぞれの数も128個である。同様に、接続抵抗Rx、接続抵抗Ry、接続抵抗Rzの数も128個である。しかし、結合ダイオードDの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127個である。
なお、転送サイリスタT及び設定サイリスタSのそれぞれの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
そして、発光チップCa1(C)は、1個のスタートダイオードD0を備えている。さらに、電流制限抵抗RW及び電流制限抵抗REを備えている。さらにまた、後述する第1転送信号φ1を送信する第1転送信号線72と第2転送信号φ2を送信する第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止するための電流制限抵抗R1及び電流制限抵抗R2を備えている。
なお、発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…、設定サイリスタ列の設定サイリスタS1、S2、S3、…は、図6中において、左側から番号順に配列されている。そして、設定許可サイリスタS0は、設定サイリスタ列の外側に、設定サイリスタS1に並んで設けられている。
さらに、結合ダイオードD1、D2、D3、…、接続抵抗Rx1、Rx2、Rx3、…、接続抵抗Ry1、Ry2、Ry3、…、接続抵抗Rz1、Rz2、Rz3、…も、同様に、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列、設定サイリスタ列は、図6中上から、転送サイリスタ列、設定サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
転送サイリスタ列、結合ダイオードD、スタートダイオードD0、電流制限抵抗R1及びR2がシフト部103を構成する。設定サイリスタ列、接続抵抗Rx、接続抵抗Ry、接続抵抗Rz、設定許可サイリスタS0、電流制限抵抗RW及び電流制限抵抗REがセット部104を構成する。なお、発光サイリスタ列は、前述したように発光部102を構成する。
次に、発光チップCa1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
発光サイリスタL、転送サイリスタT、設定サイリスタS、設定許可サイリスタS0のそれぞれのアノード端子は基板80に接続されている(アノードコモン)。
そして、これらのアノード端子は、基板80裏面に設けられた裏面電極85(後述の図7参照)であるVsub端子を介して電源ライン200a(図4参照)に接続されている。この電源ライン200aは、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番目の転送サイリスタT1、T3、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号φ1aの入力端子であるφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン201a(図4参照)が接続され、第1転送信号φ1aが送信される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番目の転送サイリスタT2、T4、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して第2転送信号φ2aの入力端子であるφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン202a(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2aが送信される。
なお、発光チップCb1の場合には、φ1端子には、第1転送信号ライン201b(図4参照)が接続され、第1転送信号φ1bが送信される。同様に、φ2端子には、第2転送信号ライン202b(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2bが送信される。
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子は、設定信号線74に接続されている。そして、設定信号線74は、電流制限抵抗RWを介して、設定信号φW1の入力端子であるφW端子に接続されている。このφW端子には、設定信号ライン205(図4参照)が接続され、設定信号φW1が送信される。
また、設定許可サイリスタS0のゲート端子Gs0は、許可信号線76と接続されている。許可信号線76は、電流制限抵抗REを介して、許可信号φEaの入力端子であるφE端子に接続されている。このφE端子には、許可信号ライン203a(図4参照)が接続され、許可信号φEaが送信される。
発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線75に接続されている。そして、点灯信号線75は、点灯信号φIaの入力端子であるφI端子に接続されている。このφI端子には、電流制限抵抗RIを介して、点灯信号ライン204a(図4参照)が接続され、点灯信号φIaが送信される。
転送サイリスタTのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、同じ番号の設定サイリスタS1、S2、S3、…のゲート端子GS1、GS2、GS3、…に、1対1で、それぞれ接続抵抗Rx1、Rx2、Rx3、…を介して接続されている。
一方、設定サイリスタS1、S2、S3、…のゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で、それぞれ接続抵抗Ry1、Ry2、Ry3、…を介して接続されている。
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…のそれぞれを区別しないときは、ゲート端子Gt、ゲート端子Gs、ゲート端子Glと表記する。
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードD1、D2、D3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードD1、D2、D3、…はそれぞれがゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードD1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードD2、D3、D4、…についても同様である。
発光サイリスタLのゲート端子Glは、発光サイリスタLのそれぞれに対応して設けられた接続抵抗Rzを介して電源線71に接続されている。
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードD0のカソード端子に接続されている。一方、スタートダイオードD0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
発光装置65は発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca20と発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb20とを備えている(図3、4、5参照)。
図4に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca20と発光チップCb1〜Cb20)には、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20には、前述したように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaが共通に送信される。よって、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20は並列に駆動される。
同様に、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20には、前述したように、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbが共通に送信される。よって、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20は並列に駆動される。
一方、設定信号φW1〜φW20は、発光チップ群#aの一つの発光チップCと発光チップ群#bの一つの発光チップCとが構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して送信される。例えば、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とを発光チップ組#1として、設定信号φW1が共通に送信される。また、20個の設定信号φW1〜φW20は、同じタイミングで並列に送信される。よって、発光チップ組#1〜#20は並列に駆動される。
なお、後述するように、発光サイリスタLの光量補正のために、設定信号φW1〜φW20のタイミングをずらして送信してもよい。
発光チップ群#aの発光チップCa2〜Ca20は発光チップCa1と並行して駆動され、発光チップ群#bの発光チップCb2〜Cb20は発光チップCb1と並行して駆動されるので、発光チップ組#1に属する発光チップCa1及びCb1の動作を説明すれ足りる。同様に、発光チップ組#2〜#20は発光チップ組#1と並行して駆動されるので、発光チップCa1とCb1とが属する発光チップ組#1を説明すれば足りる。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
(発光開始タイミングを含む制御信号生成)
画像データ展開部111に、画像処理部(イメージプロセッサ)40から画像データがシリアルに送信されてくると、画像データ展開部111では、送信された画像データを各発光チップC(発光チップ群Ca1、Cb1〜Ca20、Cb20)毎の画像データに分割する。
画像データ展開部111は、分割した画像データを各々対応する点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20に出力する。
EEPROM(1)32には、マシン電源投入時に、各発光サイリスタ毎の個体差光量補正値データがダウンロードされている。濃度ムラ補正データ部112では、データ読出し信号に同期して、EEPROM(1)32から個体差光量補正値データを読み出して、点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20に出力する。
また、EEPROM(2)34には、マシン電源投入時に、時間制御・駆動部118−1〜118−20に対して、各発光サイリスタ毎の配線長の差(電気抵抗率の差)に起因する光量変動を補正するためのオフセット補正値データがダウンロードされている。
このオフセット補正値データは、個体差光量補正値データを点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20に出力される。
基準クロック発生部116は、基準クロック信号を生成して、タイミング信号発生部114及び全ての点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20へ出力する。
タイミング信号発生部114では、基準クロック発生部116からの基準クロック信号を基に、制御部30からの水平同期信号(Lsync)と同期して、転送信号を生成する。
また、タイミング信号発生部114は、画像出力制御部30からのLsync信号と同期して、画像データ展開部111から各画素(各発光サイリスタ)に対応した画像データを読み出すためのデータ読出し信号、並びに濃度ムラ補正データ部112から各画素に対応した個体差光量補正値データを読み出すためのデータ読出し信号を各々に対して出力する。
さらに、タイミング信号発生部114は、画像出力制御部30からのLsync信号と同期して、発光サイリスタの点灯開始のトリガ信号を出力する。
点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20は、各画素(各発光サイリスタ)の点灯時間(点灯パルス幅)を個体差光量補正値データ及び直線性補正値データに基づいて設定し、最後にオフセット補正値データを加算して、発光チップCの各発光サイリスタを点灯するための制御信号(発光開始タイミングである設定信号)φW1〜φW20を生成する。
なお、オフセット補正値データの補正(加算)を最後に実行するのは、他の補正に依存して絶対量を変化させないためである。言い換えれば、オフセット補正値データは、制御信号φW1〜φW20のベース値を上げるものであり、光量に応じた割合で補正するものではない。
また、本実施の形態では、最大光量を基準としているため、加算としているが、中間光量を基準として加減算してもよいし、最小光量を基準として減算してもよい。
(オフセット補正値データに基づく、光量変動補正に関する作用及び効果)
本実施の形態における発光装置65において、発光チップCa1〜Ca20、並びにCb1〜Cb20の各発光サイリスタL1、L2、L3・・・を発光させる場合の発光開始タイミングは、20個の設定信号φW1〜φW20に依存していることがわかる。
この20個の設定信号φW1〜φW20の物理的配線長、すなわち、信号発生回路110の出力端から各発光サイリスタL1、L2、L3・・・までの配線の長さは、基板80(図4(A)参照)の設計によって異なる。基板80において、当該基板80での配線パターンに基づく物理的配線長さの違いは、ある程度の線形特性を有するものの、基本的には非線形である。
このため、20個の設定信号φW1〜φW20の物理的配線長に起因する抵抗値(電気抵抗率ρ)の差により、20個の設定信号φW1〜φW20の発信時期に対する到達時期が異なり、同一の光量を指示する信号であっても、発光サイリスタL1、L2、L3・・・で光量変動が発生する(一例として、図8(A)参照)。
図8(A)は、1つの発光チップCにおける、配線長差に起因する光量変化量を示した特性図であり、図8(A)の場合、左端に位置する最大発光量となる発光サイリスタL1を抽出し、当該最大光量となる発光サイリスタL1の発光量に合わせるように、その他の発光サイリスタL2〜L128の光量を増加する補正を行う。
なお、この図8(A)では、左端の発光サイリスタL1が最大発光量となっているが、これに限らず、中央部や右端の発光サイリスタが最大発光量となる場合もある。
そこで、本実施の形態では、予め適用される基板80の配線パターンに起因する光量変動特性情報を取得しておき、当該光量変動特性情報に基づく補正値(光量を増加するオフセット補正データ)をEEPROM(2)34に格納するようにした。なお、光量特性情報を取得は、例えば、実測による取得であっても、演算による取得であってもよいが、精度の面では実測による取得が好ましい。
オフセット補正値データによる光量を増加する補正は、前記設定信号φW1〜φW20の出力タイミングの時期を早める(又は遅くする)オフセット補正であり、EEPROM(2)には、各発光サイリスタL1、L2、L3・・・毎のオフセット補正用の定量値(加算値)が格納される。設定信号φW1〜φW20の出力タイミングが早まれば発光時間が増える、また、設定信号φW1〜φW20の出力タイミングが遅くなれば発光時間が減る)。
図7に示す信号発生回路110でのオフセット補正データに基づく補正時期は、各発光チップCa1〜Ca20、並びにCb1〜Cb20の点灯時間制御・駆動部118−1〜118−20において、他の補正(画像データの並び替えや濃度ムラ是正のための光量補正等)が実行された後であり、EEPROM(2)34から読み出したオフセット補正データを、設定信号φW1〜φW20の出力タイミングに加減算する補正を実行する(本実施の形態では、加算)。
なお、発光サイリスタL1、L2、L3・・・が配列された各発光チップCa1〜Ca20、並びにCb1〜Cb20は、それぞれ光量変動特性をもつが、基板80の配線パターンに依存するため、同一の配線パターンで形成された基板80間では、同一の光量変動特性となる。言い換えれば、各発光チップCa1〜Ca20、並びにCb1〜Cb20は、単一種類の光量変動特性を持つことになる。
従って、EEPROM(2)34に記憶されるオフセット補正データは、1つの発光チップC分でよい。言い換えれば、配線パターンが異なる複数種類の発光チップCが適用される場合は、その種類に応じたオフセット補正データを記憶すればよい。
また、画像処理装置1が、出荷後のメンテナンスにおいて、プリントヘッド14が交換された場合は、電源投入時にEEPROM(2)34にダウンロードされるオフセット補正値データを書き換えればよい。
(発光チップの発光動作制御)
図9は、本実施の形態における発光装置及び発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9では、発光チップ組#1(発光チップCa1及びCb1)の動作に加えて、発光チップ組#2(発光チップCa2及びCb2)の動作を説明している。そして、図9では、それぞれの発光チップCにおいて、発光サイリスタL1〜L4の4個の発光サイリスタLの点灯又は非点灯を制御する部分を示している。なお、発光サイリスタLの点灯又は非点灯を制御することを点灯制御と表記する。
そして、発光チップ組#1(発光チップCa1及びCb1)では、それぞれの発光サイリスタL1〜L4をすべて点灯させるとした。発光チップ組#2(発光チップCa2及びCb2)では、発光チップCa2の発光サイリスタL2、L3、L4を点灯させるとし、発光チップCb2の発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させるとした。そして、発光チップCa2の発光サイリスタL1及び発光チップCb2の発光サイリスタL2は点灯させない(非点灯)とした。
以下では、発光チップCa1及びCb1の動作を説明する。
図9において、時刻aから時刻zへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光チップ群#aの発光チップCa1において、発光サイリスタL1は、時刻cから時刻pの期間Ta(1)において点灯制御される。発光サイリスタL2は、時刻pから時刻vの期間Ta(2)において点灯制御される。発光サイリスタL3は、時刻vから時刻xの期間Ta(3)において点灯制御される。発光サイリスタL4は、時刻xから時刻zの期間Ta(4)において点灯制御される。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
一方、発光チップ群#bの発光チップCb1において、発光サイリスタL1は、時刻iから時刻sの期間Tb(1)において点灯制御される。発光サイリスタL2は、時刻sから時刻wの期間Tb(2)において点灯制御される。発光サイリスタL3は、時刻wから時刻yの期間Tb(3)において点灯制御される。以下、同様にして番号が4以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
本実施の形態では、期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…、並びに期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと表記する。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…と、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20を制御する期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…とは、期間Tの半分の長さ(位相でいうと180°)ずれているとする。すなわち、期間Tb(1)は、期間Ta(1)が開始したのち、期間Tの半分の期間が経過したときに開始する。
したがって、以下では、発光チップ群#aの発光チップCa1を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…について説明する。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間Tの長さを可変としてもよい。
期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…における信号波形は、画像データによって変化する設定信号φW(設定信号φW1〜φW20)を除いて、同じ波形の繰り返しである。
したがって、以下では、時刻cから時刻pまでの期間Ta(1)のみを説明する。なお、時刻aから時刻cまでの期間は、発光チップCa1(C)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEa、点灯信号φIaの、期間Ta(1)における信号波形について説明する。
第1転送信号φ1aは、時刻cで「L」であって、時刻nで「L」から「H」に移行し、時刻pで「H」を維持している。
第2転送信号φ2aは、時刻cで「H」であって、時刻mで「H」から「L」に移行し、時刻pで「L」を維持している。
ここで、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを比較すると、期間Ta(1)における第1転送信号φ1aの波形が、期間Ta(2)における第2転送信号φ2aの波形になっている。そして、期間Ta(1)における第2転送信号φ2aの波形が、期間Ta(2)における第1転送信号φ1aの波形になっている。
すなわち、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは期間Tの2倍の期間(2T)を単位として繰り返す信号波形である。そして、時刻mから時刻nまでの期間のように、共に「L」となる期間を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。そして、時刻aから時刻bまでの期間を除いて、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、同時に「H」となる期間を有さない。
第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとの一組の転送信号により、図6に示した転送サイリスタTが、後述するように、順番にオン状態になって、点灯又は非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを指定する。
許可信号φEaは、時刻cで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻hで「L」から「H」に移行する。そして、時刻pで「H」を維持している。
許可信号φEaは、後述するように、点灯又は非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを点灯可能な状態又は点灯不能な状態のいずれかに設定する。
点灯信号φIaは、時刻cで、「H」から「L」に移行し、時刻oにおいて、「L」から「H」に移行する。そして、時刻pにおいて「H」を維持する。
点灯信号φIaは、発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流を供給する。
設定信号φW1は、時刻cで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。さらに、時刻kで「H」から「L」に移行し、時刻lで「L」から「H」に移行する。すなわち、設定信号φW1は、期間Ta(1)において、「L」になる期間が2つある。
そして、設定信号φW1と許可信号φEaとの関係を見ると、設定信号φW1は許可信号φEaが「L」である時刻dから時刻hまでの期間に含まれる時刻eから時刻fまでの期間おいて「L」になっている。
一方、設定信号φW1と、許可信号φEaに対して位相が180°ずれて送信される許可信号φEbとの関係を見ると、設定信号φW1は期間Tb(1)における許可信号φEbが「L」である時刻jから時刻oまでの期間に含まれる時刻kから時刻lまでの期間おいて「L」になっている。
すなわち、期間Ta(1)において、設定信号φW1が最初に「L」となる期間(時刻eから時刻f)は、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号であって、設定信号φW1が後に「L」となる期間(時刻kから時刻l)は、発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号である。
このため、許可信号φEaが「L」である期間(時刻dから時刻h)は、発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために設定信号φW1が「L」となる期間(時刻kから時刻l)と重ならないように設定されている。同様に、許可信号φEbが「L」である期間(時刻jから時刻o)は、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために設定信号φW1が「L」となる期間(時刻eから時刻f)と重ならないように設定されている。
では、図4及び図6を参照しつつ、図9に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65の動作を説明する。なお、接続抵抗Rx、抵抗Rv、抵抗Rv´、抵抗Ru、接続抵抗Rzに前述の値を用いて説明する。
(1)時刻a
発光装置65に基準電位Vsub及び電源電位Vgaの供給を開始した時刻aでの状態(初期状態)について説明する。
<発光装置65>
図9に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、電源ライン200bは「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定される(図4参照)。よって、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)のそれぞれのVsub端子は「H」に設定され、それぞれのVga端子は「L」に設定される(図6参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120aは第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2aをそれぞれ「H」に、転送信号発生部120bは第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2bをそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201a、201b及び第2転送信号ライン202a、202bが「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)のそれぞれのφ1端子及びφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72、並びに電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている第2転送信号線73がともに「H」になる(図6参照)。
さらに、信号発生回路110の許可信号発生部130aは許可信号φEaを「H」に、許可信号発生部130bは許可信号φEbを「H」に設定する。すると、許可信号ライン203a、203bが「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップCのφE端子が「H」になり、電流制限抵抗REを介してφE端子に接続されている許可信号線76が「H」になる(図6参照)。
さらにまた、信号発生回路110の点灯信号発生部140aは点灯信号φIaを「H」に、点灯信号発生部140bは点灯信号φIbを「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204a、204bが「H」になる(図4参照)。そして、点灯信号ライン204a、204bに電流制限抵抗RIを介して接続された発光チップCのφI端子が「H」になる。φI端子に接続されている点灯信号線75も「H」になる(図6参照)。
信号発生回路110の設定信号発生部150は設定信号φW1〜φW20を「H」に設定する。すると、設定信号ライン205〜224が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップCのφW端子が「H」になる(図6参照)。
発光チップCのφW端子は、電流制限抵抗RWを介して、設定信号線74に接続されている。よって、設定信号線74も「H」になる(図6参照)。
次に、図6を参照しつつ、図9に示したタイミングチャートにしたがって、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20及び発光チップCb1〜Cb20)の動作を、発光チップ組#1に属する発光チップCa1とCb1とを中心に説明する。
なお、図9、並びに以下における説明では、各端子の電位がステップ状に変化するとしているが、各端子の電位は徐々に変化する。よって、電位変化の間であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタはターンオン又はターンオフなど、状態の変化を生じる。
<発光チップCa1>
発光サイリスタL、転送サイリスタT、設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のアノード端子は、Vsub端子に接続されているので、「H」に設定される。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTのアノード端子及びカソード端子はともに「H」となり、転送サイリスタTはオフ状態にある。
同様に、設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子は、設定信号線74に接続され、前述したように、「H」に設定されている。よって、設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のアノード端子及びカソード端子はともに「H」となり、設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0はオフ状態にある。
さらに、発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線75に接続され、「H」に設定されている。よって、発光サイリスタLのアノード端子及びカソード端子はともに「H」となり、発光サイリスタLはオフ状態にある。
発光サイリスタL、転送サイリスタT、設定サイリスタSがいずれもオフ状態にあるので、転送サイリスタTのゲート端子Gt、設定サイリスタSのゲート端子Gs及び発光サイリスタLのゲート端子Glは、アノード端子の電位である「H」(0V)に固定されていない。
発光サイリスタLのゲート端子Glは、接続抵抗Rzを介して電源線71に接続されている。よって、ゲート端子Glの電位は「L」(−3.3V)になっている。
また、設定サイリスタSのゲート端子Gsは、接続抵抗Rz及び接続抵抗Ry1を介して電源線71に接続されている。よって、後述するゲート端子Gs1、Gs2を除いて、ゲート端子Gsの電位は「L」(−3.3V)になっている。
さらに、転送サイリスタTのゲート端子Gtは、接続抵抗Rz、接続抵抗Ry及び接続抵抗Rxを介して電源線71に接続されている。よって、後述するゲート端子Gt1、Gt2を除いて、ゲート端子Gtの電位は「L」(−3.3V)になっている。
以上のことから、後述する転送サイリスタT1、T2、設定サイリスタS1、S2、発光サイリスタL1、L2を除いて、転送サイリスタT、設定サイリスタS及び発光サイリスタLのしきい電圧はそれぞれのゲート端子Gt、Gm、Glの電位(−3.3V)からpn接合の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−4.8Vである。
一方、設定許可サイリスタS0のゲート端子Gs0は、「H」(0V)の許可信号線76に接続されている。よって、設定許可サイリスタS0のしきい電圧はゲート端子Gs0の電位(0V)からpn接合の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vである。
図6中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、前述したように、スタートダイオードD0のカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードD0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は「H」に設定されている。すると、スタートダイオードD0は、そのカソード端子が「L」でそのアノード端子が「H」となって、順方向に電圧が印加(順バイアス)されている。これにより、スタートダイオードD0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードD0のアノード端子の「H」(0V)からスタートダイオードD0の拡散電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3.0Vとなる。
そして、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に結合ダイオードD1を介して接続されている。転送サイリスタT2のゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から結合ダイオードD1のpn接合の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3.0Vになる。よって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.5Vになる。
なお、番号が3以上の転送サイリスタTのしきい電圧は、前述したように−4.8Vである。
一方、設定サイリスタS1のゲート端子Gs1は、接続抵抗Rx1を介して−1.5Vのゲート端子Gt1に接続されている。よって、前述したように、設定サイリスタS1のしきい電圧は−3.15Vとなる。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.35Vである。
同様に、設定サイリスタS2のゲート端子Gs2は、接続抵抗Rx2を介して−3.0Vのゲート端子Gt2に接続されている。よって、設定サイリスタS2のしきい電圧は−4.35Vとなる。そして、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.73Vとなる。
なお、番号が3以上の設定サイリスタS及び発光サイリスタLのしきい電圧は、前述したように−4.8Vである。
以上説明したように、ゲート端子Gtの電位が−3.0Vの場合には、設定サイリスタS及び発光サイリスタLのしきい電圧が、「L」(−3.3V)に比べ低い値となる。よって、設定信号φW、点灯信号φIが「L」になっても、これらの設定サイリスタS及び発光サイリスタLはターンオンしない。よって、以下において、ゲート端子Gtが−3Vの場合の説明を省略する。
<発光チップCb1>
発光チップCb1においても、初期状態は発光チップCa1と同じであるので、説明を省略する。
(2)時刻b
図9に示す時刻bにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65が動作状態に入る。
<発光チップCa1>
奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−3.0Vである転送サイリスタT1がターンオンする。そして、第1転送信号線72の電位が、アノード端子の「H」(0V)からpn接合の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
よって、しきい電圧が−4.8Vである転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番目の転送サイリスタTはターンオンしない。
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1の電位は、アノード端子の「H」(0V)になる。そして、転送サイリスタT1のカソード端子(図6の第1転送信号線72)の電位は、転送サイリスタT1のアノード端子の「H」(0V)からpn接合の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。すると、カソード端子(ゲート端子Gt2)が−3Vであった結合ダイオードD1は、そのアノード端子(ゲート端子Gt1)が「H」(0V)になるので、順バイアスである。よって、結合ダイオードD1のカソード端子(ゲート端子Gt2)の電位は、そのアノード端子(ゲート端子Gt1)の「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3.0Vになる。
転送サイリスタT2のゲート端子Gt2に結合ダイオードD2を介して接続されたゲート端子Gt3の電位は−3.0Vになる。これにより、転送サイリスタT3のしきい電圧は−4.5Vになる。番号が4以上の転送サイリスタTは、ゲート端子Gtの電位が電源電位Vga(「L」(−3.3V))であるので、しきい電圧は−4.8Vが維持される。
一方、転送サイリスタT1がターンオンして、ゲート端子Gt1の電位が「H」(0V)となると、設定サイリスタS1のしきい電圧は、前述したように、−1.78Vになる。一方、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3.98Vとなる。
また、ゲート端子Gt2の電位が−1.5Vになると、設定サイリスタS2のしきい電圧は−3.15V、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.35Vになる。
しかし、設定信号線74及び点灯信号線75は「H」であるので、設定サイリスタS1、S2及び発光サイリスタL1、L2はオン状態に移行しない。
すなわち、時刻bにおいて、転送サイリスタT1がターンオンする。そして、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。)において、転送サイリスタT1がオン状態にある。他の転送サイリスタT、すべての発光サイリスタL及びすべての設定サイリスタS、設定許可サイリスタS0はオフ状態にある。
なお、以下では、オン状態のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、設定サイリスタS、設定許可サイリスタS0)を説明し、オフ状態のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、設定サイリスタS、設定許可サイリスタS0)の説明を省略する。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持される。
以上説明したように、サイリスタ(転送サイリスタT、設定サイリスタS、発光サイリスタL)のゲート端子(ゲート端子Gt、Gs、Gl)はダイオード(結合ダイオードD)、抵抗(接続抵抗Rx、Ry、接続抵抗Rz)によって相互に接続されている。よって、ゲート端子の電位が変化すると、他のゲート端子の電位が変化する。ゲート端子の電位が変化することで、サイリスタのしきい電圧が変化する。
(3)時刻c
時刻cにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
発光サイリスタLのカソード端子が接続された点灯信号線75が「H」から「L」(−3.3V)になる。発光サイリスタL1のしきい電圧は−3.98V、番号が2以上の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.35V以下であるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。
よって、時刻cの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持されている。
(4)時刻d
時刻dにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
設定許可サイリスタS0のゲート端子Gs0が接続された許可信号線76が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。すると、設定許可サイリスタS0のゲート端子Gs0の電位が−3.3Vになって、設定許可サイリスタS0のしきい電圧が−1.5Vから−4.8Vになる。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持されている。
(5)時刻e
時刻eにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが属する発光チップ組#1に送信される設定信号φW1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。設定許可サイリスタS0は、しきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンできない。
その一方、しきい電圧が−1.78Vである設定サイリスタS1がターンオンする。なお、しきい電圧が−3.15Vである設定サイリスタS2は、しきい電圧がより高い設定サイリスタS1が先にターンオンして、設定サイリスタS1のカソード端子が接続された設定信号線74をアノード端子の電位から拡散電位Vdを引いた−1.5Vに設定するので、ターンオンできない。
設定サイリスタS1がターンオンすると、ゲート端子Gs1が0Vになり、前述したように、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.89Vになる。
時刻cにおいて、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になっているので、発光サイリスタL1はターンオンして、点灯(発光)する。
よって、時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、設定サイリスタS1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。しきい電圧が−1.5Vである設定許可サイリスタS0がターンオンし、設定信号線74の電位を−1.5Vに設定する。なお、設定サイリスタS1はしきい電圧が−3.15Vであるが、しきい電圧が−1.5Vとより高い設定許可サイリスタS0が先にターンオンする。よって、設定サイリスタS1はターンオンできない。このため、発光サイリスタL1は、しきい電圧−4.35Vが維持される。
時刻eの直後においては、設定許可サイリスタS0がオン状態にある。
(6)時刻f
時刻fにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが属する発光チップ組#1に送信される設定信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「L」から「H」(0V)に移行する。設定サイリスタS1のアノード端子とカソード端子がともに「H」(0V)になるので、設定サイリスタS1がターンオフする。
しかし、発光サイリスタL1はオン状態を維持し、点灯(発光)している。
発光サイリスタL1がオン状態にあるので、ゲート端子Gl1の電位は0Vになっている。また、ゲート端子Gt1の電位も0Vになっている。これにより、ゲート端子Gs1の電位も0Vであって、設定サイリスタS1のしきい電圧は−1.5Vである。
よって、時刻fの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「L」から「H」(0V)に移行する。設定許可サイリスタS0のアノード端子とカソード端子がともに「H」(0V)になるので、設定許可サイリスタS0がターンオフする。
(7)時刻g
時刻gにおいて、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
発光チップCa1が属する発光チップ群#aに送信される信号には変化がないので、時刻fの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1>
発光チップCb1の動作は、時刻bにおける発光チップCa1の動作と同様である。すなわち、奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。そして、転送サイリスタT1がターンオンする。これにより、第1転送信号線72の電位が−1.5Vになる。さらに、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3V、設定サイリスタS1のしきい電圧が−1.78Vになる。
つまり、発光チップCb1は、発光チップCa1の動作を時間軸上でシフトしたタイミング(ここでは、位相が180°ずれた関係とする。)で動作する。
(8)時刻h
時刻hにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
設定許可サイリスタS0のゲート端子Gs0が接続された許可信号線76が「L」から「H」(0V)に移行する。設定許可サイリスタS0のゲート端子Gs0の電位が0Vになって、設定許可サイリスタS0のしきい電圧が−1.5Vに戻る。なお、設定信号線74は「H」(0V)であるので、設定許可サイリスタS0はターンオンしない。
ここでも、発光サイリスタL1はオン状態を維持し、点灯(発光)している。
よって、時刻hの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻gの直後の状態が維持される。
(9)時刻i
時刻iにおいて、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
発光チップCa1が属する発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1>
時刻cにおける発光チップCa1の動作と同様であるので、詳細な説明を省略する。
時刻iの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(10)時刻j
時刻jにおいて、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
発光チップCa1が属する発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1>
時刻dにおける発光チップCa1の動作と同様に、設定許可サイリスタS0のしきい電圧が−4.8Vとなる。
時刻jの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(11)時刻k
時刻kにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが属する発光チップ組#1に送信される設定信号φW1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。このとき、設定許可サイリスタS0のしきい電圧、並びに設定サイリスタS1のしきい電圧がともに−1.5Vである。
よって、設定許可サイリスタS0と設定サイリスタS1との両方又はいずれか一方がターンオンする。たとえ、設定サイリスタS1がターンオンしても、発光サイリスタL1はすでにオン状態であるので、状態の変化を生じない。
よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持し、点灯(発光)している。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1、設定許可サイリスタS0及び/又は設定サイリスタS1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
なお、後述するように、発光サイリスタL1がオフ状態のときは、設定サイリスタS1のしきい電圧は−1.78Vであるので、しきい電圧が−1.5Vである設定許可サイリスタS0がターンオンする。
<発光チップCb1>
時刻eにおける発光チップCa1の動作と同様に、設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。設定許可サイリスタS0はしきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンしない。その一方、しきい電圧が−1.78Vの設定サイリスタS1がターンオンする。これにより、発光サイリスタL1は、しきい電圧が−1.5Vになり、ターンオンして点灯(発光)する。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1、設定サイリスタS1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(12)時刻l
時刻lにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが属する発光チップ組#1に送信される設定信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
設定サイリスタS及び設定許可サイリスタS0のカソード端子が接続された設定信号線74の電位が「L」から「H」(0V)に移行する。よって、設定許可サイリスタS0及び/又は設定サイリスタS1は、アノード端子とカソード端子がともに「H」(0V)になるので、ターンオフする。ここでも、発光サイリスタL1はオン状態を維持し、点灯(発光)している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
時刻fにおける発光チップCa1の動作と同様に、設定サイリスタS1がターンオフする。しかし、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)している。
時刻fの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(13)時刻m
時刻mにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
偶数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続された第2転送信号線73の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT2がターンオンする。しかし、転送サイリスタT4以降の番号の大きい偶数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンしない。
転送サイリスタT2がターンオンすると、ゲート端子Gt2は「H」(0V)になる。すると、転送サイリスタT2のゲート端子Gt2に結合ダイオードD2を介して接続されたゲート端子Gt3の電位は−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT3のしきい電圧は−3.0Vになる。そして、第2転送信号線73の電位が−1.5Vになる。
一方、転送サイリスタT2がターンオンしてゲート端子Gt2が「H」(0V)になると、前述したように、設定サイリスタS2のしきい電圧が−1.78Vになる。しかし、設定信号線74の電位は「H」であるので、設定サイリスタS2はターンオンしない。
さらに、発光サイリスタL2のしきい電圧が−3.98Vになる。このとき、点灯信号線75の電位は、オン状態の発光サイリスタL1により−1.5Vとなっているので、発光サイリスタL2はターンオンしない。
すなわち、時刻mにおいて、転送サイリスタT2がターンオンする。
そして、時刻mの直後においては、転送サイリスタT1、転送サイリスタT2がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻lの直後の状態が維持される。
(14)時刻n
時刻nにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位が「L」から「H」(0V)に移行する。オン状態にあった転送サイリスタT1は、カソード端子及びアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。しかし、発光サイリスタL1がオン状態であるので、ゲート端子Gl1の電位が「H」(0V)となっている。よって、ゲート端子Gt1の電位は「H」(0V)であって、転送サイリスタT1のしきい電圧は−1.5Vである。
同様に、設定サイリスタS1のゲート端子Gs1も0Vであるので、設定サイリスタS1のしきい電圧も−1.5Vである。
時刻nの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻lの状態が維持される。
(15)時刻o
時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。また、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
発光サイリスタLのカソード端子が接続された点灯信号線75が「L」から「H」(0V)になる。オン状態にあった発光サイリスタL1は、カソード端子及びアノード端子がともに「H」となってターンオフし、消灯する(非点灯になる)。これにより、ゲート端子Gl1、Gs1、Gt1の電位は、接続抵抗Rz、接続抵抗Rx、Ryを介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))になる。これにより、転送サイリスタT1のしきい電圧が−4.8Vに、設定サイリスタS1のしきい電圧が−1.78Vに、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3.98Vになる。
発光チップCa1の発光サイリスタL1は、時刻eの設定信号φW1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻oの点灯信号φIaが「L」から「H」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻eから時刻oまでの期間が、発光チップCa1の発光サイリスタL1の点灯(発光)期間に対応する。
時刻oの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態になっている。
<発光チップCb1>
発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行することにより、発光チップCa1の時刻hと同様に、許可信号線76の電位が「L」から「H」に移行する。これにより、設定サイリスタS1のしきい電圧が−1.5Vになる。
時刻oの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態であって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
なお、本実施の形態では、時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaを「L」から「H」に移行し、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbを「L」から「H」に移行したが、これらの移行を同時にする必要はなく、どちらが先でもかまわない。
(16)時刻p
時刻pにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
時刻pからは、発光サイリスタL2の点灯制御の期間Ta(2)に入る。
第1転送信号φ1a及び第2転送信号φ2aは、期間Ta(1)及びTa(2)を周期として変化するため、これらの信号の波形は異なるが、発光チップCa1の動作は、時刻cから時刻pまでの期間Ta(1)の繰り返しとなる。よって、期間Ta(2)では、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、並びにこれらに関連する転送サイリスタTの説明を除き、発光チップCa1の動作の説明を省略する。
時刻pの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態になっている。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻oの直後の状態が維持される。
時刻qは、後述する第2の実施の形態で使用する。よって、本実施の形態の説明では、説明を省略する。
(17)時刻r
時刻rにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。また、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
時刻hと同様であるので説明を省略する。
時刻rの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態であって、発光サイリスタL2が点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
時刻oにおける発光チップCa1の動作と同様に、点灯信号φIbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行し、発光サイリスタLのカソード端子が接続された点灯信号線75が「L」から「H」(0V)になる。すると、オン状態にあった発光サイリスタL1は、カソード端子及びアノード端子がともに「H」となってターンオフし、消灯する。これにより、転送サイリスタT1のしきい電圧が−4.8Vに、設定サイリスタS1のしきい電圧が−1.78Vに、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3.98Vになる。
すなわち、発光チップCb1の発光サイリスタL1は、時刻kの設定信号φW1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻rの点灯信号φIbが「L」から「H」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻kから時刻rまでの期間が、発光チップCb1の発光サイリスタL1の点灯(発光)期間に対応する。
時刻rの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態になっている。
(18)時刻s
時刻sにおいて、発光チップ群#bの発光サイリスタL1を制御する期間Tb(1)が終了する。
(19)時刻t
時刻tにおいて、発光チップCa1が属する発光チップ群#aへ送信される第1転送信号φ1aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。しきい電圧が−3Vであった転送サイリスタT3がターンオンする。すると、ゲート端子Gt3の電位は「H」(0V)に、ゲート端子Gt4の電位は−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT4のしきい電圧は−3Vになる。そして、設定サイリスタS3のしきい電圧が−1.78Vに、発光サイリスタL3のしきい電圧が−3.98Vになる。
なお、時刻tの直後においては、転送サイリスタT2、T3がオン状態であって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、状態の変化はない。
なお、時刻tの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態であって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
(20)時刻u
時刻uにおいて、発光チップCa1が属する発光チップ群#aへ送信される第2転送信号φ2aが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
偶数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続された第2転送信号線73の電位が「L」から「H」(0V)に移行する。オン状態にあった転送サイリスタT2は、カソード端子及びアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。
時刻uの直後においては、転送サイリスタT3がオン状態であって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、状態の変化はない。
なお、時刻uの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態であって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
(21)その他
時刻vにおいて、発光チップ群#aの発光サイリスタL2を制御する期間Ta(2)が終了する。時刻wにおいて、発光チップ群#bの発光サイリスタL2を制御する期間Tb(2)が終了する。時刻xにおいて、発光チップ群#aの発光サイリスタL3を制御する期間Ta(3)が終了する。時刻yにおいて、発光チップ群#bの発光サイリスタL3を制御する期間Tb(3)が終了する。そして、時刻zにおいて、発光チップ群#aの発光サイリスタL4を制御する期間Ta(4)が終了する。以下同様に、発光チップCのすべての発光サイリスタLの点灯制御を行う。
以上説明した発光チップCの動作をまとめて説明する。
はじめに転送サイリスタTの動作を説明する。
本実施の形態における発光チップCでは、2相の転送信号(第1転送信号φ1及び第2転送信号φ2)により、転送サイリスタTのオン状態を順に移している。
すなわち、2相の転送信号の内の一方の転送信号が「L」(−3.3V)になることにより、一方の転送信号がカソード端子に送信された転送サイリスタTがオン状態になり、そのゲート端子Gtが0Vになる。0Vになったゲート端子Gtと順バイアスの結合ダイオードDで接続された隣接する転送サイリスタTのゲート端子Gtの電位が−1.5Vになる。これにより、隣接する転送サイリスタTは、しきい電圧が高くなる(−4.5Vから−3V)。そして、隣接する転送サイリスタTは、他方の転送信号が「L」(−3.3V)になるタイミングでオン状態になる。
つまり、2相の転送信号(第1転送信号φ1及び第2転送信号φ2)を、「L」(−3.3V)の期間が重なる(図9における時刻mから時刻nまでの期間)ようにして、位相をずらして送信することにより、転送サイリスタTを順にオン状態に設定する。
転送サイリスタTがオン状態で、ゲート端子Gtが「H」(0V)になると、そのゲート端子Gtに接続抵抗Rxを介して接続された設定サイリスタSのしきい電圧が高く(−1.78Vに)なる。
そして、許可信号φE(許可信号φEa又はφEb)が「L」であるときに、設定信号φW(設定信号φW1〜φW20)が「H」から「L」に移行すると、設定信号線74の電位が「L」(−3.3V)になって、しきい電圧が高く(−1.78Vに)なっていた設定サイリスタSがターンオンする。
設定サイリスタSがオン状態になると、設定サイリスタSのゲート端子Gsが0Vになり、このゲート端子Gsに接続抵抗Ryを介して接続されたゲート端子Glの電位も0Vになって、発光サイリスタLのしきい電圧が−1.5Vになる。
設定信号φW(φW1〜φW20)を「L」(−3.3V)にする時刻の前に、点灯信号φI(φIa又はφIb)を「L」(−3.3V)に設定しておくと、設定信号φW(φW1〜φW20)が「H」から「L」になるタイミング(時刻)において、発光サイリスタLがターンオンして、点灯(発光)する。
以上のことから、発光サイリスタLが点灯(発光)している点灯期間は、設定信号φW(設定信号φW1〜φW20)が「H」から「L」になるタイミング(時刻)から、点灯信号φI(φIa又はφIb)が「L」から「H」になる時刻(例えば、図9における時刻eから時刻o)までとなる。
一方、設定信号φW(設定信号φW1〜φW20)を「H」から「L」に移行するときに、許可信号φE(許可信号φEa又はφEb)が「H」であると、設定許可サイリスタS0がオン状態になって、設定信号線74を−1.5V(−Vd)に設定するので、設定サイリスタSはターンオンせず、発光サイリスタLもターンオンしない。
なお、前述したように、発光サイリスタLがすでにオン状態になっていると、設定サイリスタSもオン状態になりうる。しかし、発光サイリスタLはすでにオン状態になっているので、設定サイリスタSがオン状態になっても、状態の変化を生じない。
このように、許可信号φEが「L」である発光チップCでは、設定許可サイリスタS0がオフ状態となって、設定信号φWの「H」から「L」へ移行により、発光サイリスタLが点灯(発光)する。一方、許可信号φEが「H」であると、設定許可サイリスタS0がオン状態となって、設定信号φWが「H」から「L」へ移行により、発光サイリスタLがターンオンして、点灯(発光)することを阻止する。なお、前述したように、発光サイリスタLがオン状態のときは、そのまま維持される。
すなわち、許可信号φE(許可信号φEa及びφEb)は、設定許可サイリスタS0のしきい電圧を制御して、発光サイリスタLのターンオンを許可又は不可に設定する。
本実施の形態では、発光チップ群#aと発光チップ群#bとに属する発光チップCから構成される発光チップ組に対して、それぞれの発光チップCを共に点灯(発光)するときは、共通に送信する設定信号φW(φW1〜φW20)に「L」になる期間を2つ設けている(図9の時刻eから時刻fまでの期間、並びに時刻kから時刻lまでの期間)。すなわち、前の「L」の期間は発光チップ群#aの発光チップCに対して、後の「L」の期間は発光チップ群#bの発光チップCに対して、点灯の開始を設定する。
そして、本実施の形態では、発光チップ群#aと発光チップ群#bとで、それぞれに送信する転送信号(第1転送信号φ1a、φ1b又は第2転送信号φ2a、φ2b)、許可信号φE(許可信号φEa又はφEb)及び点灯信号φI(点灯信号φIa又はφIb)の位相を180°ずらしている。これにより、設定信号φW(設定信号φW1〜φW20)の2つの「L」の期間を設定するための幅(マージン)を最大にしている。
すなわち、位相を180°ずらしているので、設定信号φWに設ける2つの「L」の時刻は、期間Tの前半の1/2の期間と後半の1/2の期間とに設ければよい。
そして、許可信号φE(許可信号φEa又はφEb)が「L」の期間に、設定信号φW(φW1〜φW20)を「H」から「L」とすることにより、発光サイリスタLを点灯させている。
すなわち、発光チップ群#aの発光チップCの発光サイリスタLを点灯させるときは、発光チップ群#aに送信する許可信号φEaの「L」の期間に、設定信号φW(φW1〜φW20)を「H」から「L」に移行すればよい。このとき、発光チップ群#bの発光チップCの発光サイリスタLを点灯させないときは、発光チップ群#bに送信する許可信号φEbを「H」にして、設定許可サイリスタS0をターンオンさせればよい。このようにすることで、意図しない発光サイリスタLが点灯することを抑制している。
次に、発光チップ組#2に属する発光チップCa2及びCb2において、発光サイリスタLのいくつかを点灯させない場合を説明する。
前述したように、発光チップ組#2では、発光チップCa2の発光サイリスタL2、L3、L4を点灯させるとし、発光チップCb2の発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させるとした。発光チップCa2の発光サイリスタL1、並びに発光チップCb2の発光サイリスタL2は非点灯のままとした。
発光チップCa2の発光サイリスタL1を非点灯のままとする(点灯させない)ときは、発光チップ組#1の発光サイリスタL1を点灯させるために設定信号φW1を「L」にする時刻eから時刻fまでの期間において、設定信号φW2を「H」のままに維持すればよい。これにより、時刻eにおいて、発光チップCa2の設定信号線74が「H」(0V)のまま維持されるで、しきい電圧が−1.78Vである設定サイリスタS1はターンオンできない。これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3.98Vが維持され、発光サイリスタL1もターンオンできず、点灯(発光)しない。
発光チップCb2の発光サイリスタL2においても同様である。
なお、発光サイリスタLの光量は、製造条件のばらつきなどにより、発光チップC間、発光サイリスタL間で異なることがある。このため、発光サイリスタLの光量を補正(光量補正)することが行われる。光量補正の方法には、発光サイリスタLに流す電流を調整して行う方法と、発光サイリスタLの点灯期間を調整して行う方法とがある。
前述したように、発光サイリスタLの点灯期間は、設定信号φWが「H」から「L」に移行して発光サイリスタLをターンオンする時刻から、点灯信号φIが「L」から「H」に移行して発光サイリスタLをターンオフ(消灯)する時刻までである。よって、設定信号φWが「H」から「L」に移行する時刻(例えば、図9の時刻e)を調整することで、発光サイリスタLの光量が補正される。発光サイリスタLに対応する光量補正のためのデータ(光量補正データ)を書き込んだROMなどの不揮発メモリを、回路基板62に搭載し、このROMから読み出して、設定信号φWが「H」から「L」に移行する時刻を調整すればよい。