JP6141114B2 - 開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法 - Google Patents

開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法に係り、特に、開閉部材として車両の窓ガラスを開ける(つまり、窓ガラスを下降させる)方向に作動させるときに、異物が開閉部材としての窓ガラスとベルトモールとの間に巻き込まれる巻き込みを検出するときに好適に適用可能な開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法に関する。
従来のパワーウインドウなどの開閉部材制御装置には、異物などが挟まれた時に挟まれた異物を保護する目的でモータ回転周期・速度など所定データ数を記憶装置に記憶し、マイクロコンピュータを用いて、モータ回転周期・速度などの増減により挟み込み荷重を検出する技術が知られている(特許文献1,2)。
また、開閉部材として窓ガラスの開作動時には、ベルトモール自体が窓ガラスによって巻き込まれるとモータに通常よりも大きな負荷が加わり、そのまま使い続けるとモータにダメージを与えて異音の発生、作動速度が遅くなるのを防止し、同時にベルトモールと窓ガラスの間に異物が巻き込まれた場合、この異物が損傷してしまう不都合を解消する技術も提案されている(特許文献3)。
特開平8−260810号公報 国際公開第99/42691号公報(US 6,505,127 B1) 特開2011−122369号公報
特許文献1,2では、開閉部材としての窓ガラスの開作動時には、挟み込み防止機能について開示されているが、巻き込み防止機能は開示されていない技術であった。
特許文献3は、開閉部材の巻き込み防止機能付きの開閉部材制御装置及びその制御方法であり、開閉部材としての窓ガラスが開方向へ作動中に異物の巻き込みを検出した場合、異物の巻き込みに対する対応作動が可能な技術である。
しかし、異物の巻き込み検出がされたときに、開閉部材としての窓ガラスが停止等するように構成されているため、ベルトモールの変形、気温の低下などにより窓ガラスとの摺動ロスが大きくなった場合、悪路走行中や車種を含めた各種の開閉装置に生じるガタ、引っ掛かり、パワーウインドウなどのシステムの経年変化の場合、等により、摺動負荷が増大することにより、巻き込みが発生していないにもかかわらず、誤って巻き込みが発生したと検知して、開閉部材の作動を停止してしまう虞がある。このような誤検出が生じると、開閉部材としての窓ガラスが頻繁に停止してしまい、開閉部材制御装置の操作性が低下してしまう虞れがある。
また、開閉部材の開動作中に、巻き込みを検出してしまうと、開閉部材が停止するようになるが、時として確実に開動作を行う必要のある場合がある。例えば、開閉作動時の挟み込み検出後の挟み込みを解除する所定位置までの開動作、車両水没時における脱出するための開閉部材の開動作、自ら意思に基づく開閉部材の開動作や車内が無人である状態での車両の外部からの無線機器などの操作による開動作を優先しても不都合が少ない場合など、所定の条件やスイッチ操作などの状況においては、確実に所定位置まで開閉部材を開動作させたいときがある。
このため、上述のような各種状況において、巻き込みを防止できると共に、確実に開作動できる開閉部材制御装置が望まれている。
本発明の目的は、開閉部材の開作動時の巻き込み防止機能付き開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法において、巻き込み検出が誤検出であった場合でも確実に開動作させ操作性低下を防止することが可能な開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法を提供することにある。本発明の他の目的は、開作動中に巻き込みを検知して停止した後であっても、誤検出であった場合には、開動作を再開できるようにした開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、開閉部材の開作動時の巻き込み防止手段を備えた開閉部材制御装置において、巻き込みを防止できると共に、所定の条件の場合、開閉部材の開動作中の誤停止を防止して、確実に開作動が可能な開閉部材制御装置を提供することにある。
前記課題は、本発明の開閉部材制御装置によれば、操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止可能な開閉部材制御装置であって、前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、前記巻き込み検出手段は前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定し、前記制御手段は、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに、前記駆動手段への電力供給を停止し、一方で、前記巻き込みを検知して前記開閉部材が停止してから所定時間内に開作動のための操作スイッチの操作が行われることに基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給を行い、前記開閉部材の開作動を再開可能とすること、により解決される。
このように構成すると、開閉部材の摺動ロスが大きくなっても、再開の許可判定における所定の条件を満たしたときに、駆動手段へ電力供給によって前記開閉部材を駆動させ、開動作を再開可能とするので、確実に開閉部材を開作動することができる。また、このように開閉部材が停止してから所定時間内に開作動のためのスイッチ操作が行われたときにすると、操作者が速やかに開動作させたい場合に確実に開閉部材を開作動することが可能となる。
また、緩和された前記巻き込み検出条件は、巻き込み検知を非検出状態とすると好適である。このように、巻き込み検出を非検出状態とすることにより、その後の巻き込み検出による制御が不要となり、開動作を確保することができるものである。
さらに、緩和された前記巻き込み検出条件は、巻き込み検知のしきい値を行い難く設定すると好適である。つまり、巻き込み検知のしきい値を鈍く設定することで、巻き込み判定が緩くなることで、開動作を確保することができるものである。
また前記所定の条件は、制御手段へ開作動の信号を送る、手動による継続した操作スイッチの操作であると好適である。このように構成すると、スイッチ操作者の開動作を行うという意図に合致した開作動を確保することが可能となる。
前記課題は、本発明の開閉部材制御装置によれば、操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止可能な開閉部材制御装置であって、前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定し、前記制御手段は、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに、前記駆動手段への電力供給を停止し、一方で、所定の条件に基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給を行い、前記開閉部材の開作動を再開可能とするものであって、前記開閉部材は複数備えられ、各開閉部材には、個別に操作するための操作スイッチが前記開閉部材に近接して配置され、前記所定の条件は、巻き込み検知により開動作を停止した前記開閉部材に近接して配置された前記操作スイッチで開作動の操作がされること、により解決される。
このように構成すると、開動作させたい個所の開閉部材のみを確実に開作動することができる。例えば運転席から離れた後部座席の開閉部材としての窓ガラスも通常操作は可能であるが、開動作を再開するときは近接されたスイッチのみで操作可能とすることで離れた位置からの操作では作動させないようにすることができるため、開閉部材と直近する者だけがスイッチ操作したときに開作動が可能となり、開閉部材と直近する者による再開の判断が優先されることになり、更なる安全確認を向上できる。
前記課題は、本発明の開閉部材の制御方法によれば、前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止する開閉部材の制御方法であって、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定する工程と、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに前記駆動手段への電力供給を停止する工程と、巻き込みを検知して開閉部材が停止してから所定時間内に開作動のために操作スイッチの操作が行われる工程に基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給をする制御工程と、を備えたこと、により解決される。
前記課題は、本発明の開閉部材の制御方法によれば、前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止する開閉部材の制御方法であって、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定する工程と、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに前記駆動手段への電力供給を停止する工程と、所定の条件に基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給をする制御工程と、前記開閉部材は複数備えられ、各開閉部材には、個別に操作するための操作スイッチが前記開閉部材に近接して配置され、前記所定の条件は、巻き込み検知により開動作を停止した前記開閉部材に近接して配置された前記操作スイッチで開作動の操作がされる工程と、を備えたこと、により解決される。
前記課題は、本発明の開閉部材制御装置によれば、スイッチの操作または車両側の制御回路からの信号に基づき開閉部材を作動させ、前記開閉部材の開動作時の開閉部材への異物の巻き込みを防止する制御手段を備えた開閉部材制御装置において、前記制御手段は巻き込みを防止のための巻き込み検出の無効化手段又は巻き込みを防止のための巻き込み検出の条件を緩和する緩和手段を備え、 前記開閉部材に開作動指令が出されているときに、前記制御手段が、前記スイッチの操作が巻き込み検知した後の所定時間内に実行された操作信号を認識すると、前記巻き込み検出の無効化手段又は前記緩和手段を実行する、こと、により解決される。
前記課題は、本発明の開閉部材制御装置によれば、スイッチの操作または車両側の制御回路からの信号により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止可能な開閉部材制御装置であって、前記開閉部材を開閉駆動する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉駆動される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定し、前記制御手段は、巻き込み検出手段の無効化手段又は前記巻き込み判定しきい値を緩和する緩和手段を有し、前記制御手段は、前記開閉部材に開作動指令が出されているときに、所定の条件を満たすと、前記無効化手段又は前記緩和手段を実行すること、により解決される。
上述のように構成すると、開閉部材に開作動指令が出されて、開閉部材を確実に開作動させたいときに、巻き込み検出を無効化(つまり巻き込み検出の停止)又は検出条件を緩和するので、開閉部材の摺動ロスなどが大きくなっても開閉部材を開動作させることが可能となる。またこのように構成すると、操作者の開作動させたいという意図を反映して速やかに開閉部材を開動作させることができる。
このとき、前記所定の条件は、巻き込み検出した後の再作動時の開動作を指示する信号であると好適である。このように構成すると、摺動ロスの増加などで巻き込みを誤検出しても、再度のスイッチ操作で確実に開閉部材を開動作させることができる。
また、前記制御手段は、前記車両側の制御回路からの信号に基づき前記所定の条件を認識するように構成すると好適である。
このように構成すると、確実に開作動させるために、車両側の制御装置に信号を入力させるセンサーなどから、より多くの情報を得られるようになる。
さらに、前記車両側の制御回路からの信号は、車両が水没したときに生じる信号であると好適である。このように構成すると、車両側の制御装置に信号が入力されることで、車両の水没を検知可能であり、開閉部材を確実に開動作させることができる。
また、前記所定の条件は、車両の外部からの無線信号による開作動指令であると好適である。このように構成すると、車両の外部から開閉部材の作動を操作したときは、車内が無人のため開動作を優先しても不都合が少ないので、確実に所望の開動作をさせるようにすることができる。
さらに、前記制御手段は、挟み込み検出手段を有し、前記所定の条件は、前記挟み込み検出後の開作動指令であると好適である。このように構成すると、挟み込み検知によって挟み込みの開放に伴う開動作を確実に行わせることができる。
請求項1及び6の発明によれば、開閉部材の摺動ロスが大きくなっても、再開動作の許可判定における所定の条件を満たしたときに、駆動手段へ電力供給によって前記開閉部材を駆動させ、開動作を再開可能とするので、確実に開閉部材を開動作することが可能となる。一度巻き込みを検出した後で、次の操作によって検出する巻き込みに関する状況を、巻き込み検出をキャンセルする又は検出しきい値を鈍くすることで、巻き込み検出が誤検出であった場合でも確実に開動作させ操作性低下を防止することが可能で、開動作中に巻き込みを検知して停止した後であっても、誤検出であった場合には、開動作を再開できるようにしたものである。そして、開閉部材が停止してから所定時間内に開作動のためのスイッチ操作が行われたときにすることにより、操作者が速やかに開動作させたい場合に確実に開閉部材を開作動することが可能となる。
請求項2及び7の発明によれば、巻き込み検出を非検出状態とすることにより、その後の巻き込み検出による制御が不要となり、開動作を確保することができる。請求項3及び8の発明によれば、巻き込み検知のしきい値を鈍く設定することで、巻き込み判定が緩くなることで、開動作を確保することができる。請求項4及び9の発明によれば、スイッチ操作者の開動作を行うという意図に合致した開作動を確保することが可能となる。請求項5及び10の発明によれば、開動作させたい個所の開閉部材のみを確実に開作動することができ、開閉部材と直近する者による再開の判断が優先されることになり、更なる安全確認を向上できる。
請求項11及び12の発明によれば、開閉部材に開作動指令が出されているときに、所定の条件を認識すると、巻き込み検出を無効化(つまり巻き込み検出の停止)又は検出条件を緩和(鈍く)するので、開閉部材の摺動ロスなどが大きくなっても、開閉部材を確実に開作動させたいときに開閉部材を開動作させることが可能となり、また開閉部材の開動作中において、誤停止を防止して、確実に開動作を行うことが可能となる。また前記スイッチの操作が巻き込み検知した後の所定時間内に実行された操作信号であるため、操作者の開作動させる意図を反映して速やかに開閉部材を開動作させることができる。
請求項13の発明によれば、摺動ロスの増加などで巻き込みを誤検出しても、再度の開作動を指示するスイッチ操作で確実に開閉部材を開作動することができる。請求項14の発明によれば、確実に開作動させるために、車両側の制御装置に信号を入力させるセンサーなどから、より多くの情報を得られるようになる。請求項15の発明によれば、車両側の制御装置に信号が入力されることで、車両の水没を検知可能であり、確実に開動作をさせることができる。
請求項16の発明によれば、車両の外部から開閉部材を操作したときは、確実に所望の開動作をさせることができる。請求項17によれば、挟み込み検知によって挟み込みの開放に伴う開動作を確実に行わせることができる。以上のように、本発明の開閉部材制御装置によれば、巻き込みを防止できると共に誤停止を防止でき、開閉部材に開作動指令が出されているときに、所定の条件によって、開閉部材の開動作時の巻き込み検知を無効化或いは緩和して確実に開動作させることが可能となる。
本発明の開閉部材制御装置の一実施形態としてのパワーウインドウ装置の説明図である。 図1のパワーウインドウ装置の電気構成図である。 図1のIII−IIIによる断面説明図である。 巻き込み判定処理の説明図である。 外乱が生じたときの回転速度差の説明図である。 第一実施形態による巻き込み判定の処理フロー図である。 第一実施形態による開け切りモードを示すフロー図である。 第一実施形態による巻き込み検出後の開け切りモードを含むフロー図である。 第一実施形態による他の例を示す巻き込み検出後の開け切りモードを含むフロー図である。 第二実施形態による巻き込み判定及び巻き込み検出無効化の処理フロー図である。 第二実施形態による再開作動指令後の処理フロー図である。 第二実施形態による巻き込み判定及び巻き込み検出緩和の処理フロー図である。 第二実施形態によるスイッチ入力状態でしきい値の切換えや巻き込み検出の無効化処理を行う処理フロー図である。
[第一実施形態]
以下に、本発明の開閉部材制御装置の第一実施形態としてのパワーウインドウ装置1(以下、「装置1」という)を例にして、図に基づいて説明する。図1は本実施形態の装置1の説明図、図2は図1の電気構成図、図3は図1のIII−IIIによる断面説明図、図4は巻き込み判定処理の説明図、図5は外乱が生じたときの回転速度差の説明図、図6は巻き込み判定及び巻き込み検出無効化の処理フロー図、図7は再開作動指令後の処理フロー図、図8は巻き込み判定及び巻き込み検出緩和の処理フロー図、図9はスイッチ入力状態でしきい値の切換えや巻き込み検出の無効化処理を行う処理フロー図である。
本実施形態の装置1は、図1及び図2で示すように、車両のドア10に配設される開閉部材としての窓ガラス11を開閉駆動する駆動手段2と、駆動手段2の作動を制御し各種検出や演算を行うための制御手段3と、乗員が作動を指令するためのスイッチ4(下降スイッチ4a,上昇スイッチ4b,オートスイッチ4c),無線信号スイッチ6(下降スイッチ6a,上昇スイッチ6b)などを主要構成要素としている。駆動手段2は、駆動手段2の一部を構成するモータ20の回転駆動により窓ガラス11を昇降(開閉)作動させるものである。また制御手段3は、主にコントローラ31を含んで構成される。
ドア10は、図3で示すように、その下側部位の車両外部側(車幅方向外側)に配設されたアウタパネル15と車室側(車幅方向内側)に配設されたインナパネル16の間に、下降した窓ガラス11を収納する収納空間を有している。
また、図1で示すように、ドア10の上部には窓枠(ガラス枠)12が設けられており、窓ガラス11は、上記収納空間内から窓枠12の下枠部分を越えて窓枠12内に出現し、昇降動作する。
窓枠12の下枠部分には、図3で示すように、シール部材としてのベルトモール(ベルトモールディング)13,14が装着されている。ベルトモールはアウタモール13とインナモール14からなり、アウタモール13はアウタパネル15の上部に固定され、インナモール14はインナパネル16の上部に固定されている。
窓ガラス11は、アウタモール13とインナモール14との隙間を通過して窓枠12内を昇降作動する。アウタモール13とインナモール14には、それぞれ窓ガラス11側に突出するシール突起13a,13b,14a,14bが形成されており、このシール突起13a,13b,14a,14bが窓ガラス11のガラス表面に弾性的に圧接するようになっている。
また、窓枠12の上枠部分には、同様にシール部材として不図示のウェザストリップ(アッパーモールディング)が装着されている。ウェザストリップは、その下端部分に下方に開口した溝が形成されている。この溝は窓ガラス11の上端を所定の長さ分だけ挿入可能に形成されており、その溝内壁には、挿入された窓ガラス11の上端部分のガラス表面が弾性的に圧接するようになっている。
本実施形態では、窓ガラス11は不図示のレールに沿って上方の全閉位置(上端)と下方の全開位置(下端)との間で昇降動作する。
本実施形態の駆動手段2は、図1で示すように、ドア10に固定された減速機構を有するモータ20と、モータ20に駆動される扇形状のギヤ21aを備えた昇降アーム21と、昇降アーム21とクロスして枢支される従動アーム22と、ドア10に固定された固定チャンネル23及び窓ガラス11と一体のガラス側チャンネル24とを主要構成要素としている。昇降アーム21,従動アーム22,固定チャンネル23及びガラス側チャンネル24により、駆動手段2の駆動機構が構成されている。
本実施形態のモータ20は、後述するコントローラ31及び駆動回路32を介してバッテリー5から電力供給を受けることにより、回転子の巻線に通電され、これにより回転子とマグネットを有する固定子との間で磁気吸引作用が生じて回転子が正逆回転するように構成されている。本実施形態の駆動手段2では、モータ20の回動に応じて昇降アーム21及び従動アーム22が揺動すると、これらの各端部が各チャンネル23,24により摺動規制を受け、Xリンクとして駆動し、窓ガラス11を昇降作動させる。
本実施形態のモータ20には、移動速度検出手段としての回転検出装置27が一体に備えられている。回転検出装置27は、モータ20の回転と同期したパルス信号(速度検出信号)をコントローラ31へ出力するものである。本実施形態の回転検出装置27は、モータ20の出力軸と共に回動するマグネットの磁気変化を複数のホール素子で検出するように構成されている。
このような構成により、回転検出装置27は、モータ20の回転に同期したパルス信号を出力する。すなわち、パルス信号は、窓ガラス11の所定移動量毎もしくはモータ20の所定回転角毎に出力される。これにより、回転検出装置27は、モータ20の回転速度に略比例する窓ガラス11の移動に応じた信号を出力可能である。そして、コントローラ31が回転検出装置27からのパルス信号からパルスエッジをカウントし、パルスカウント値より窓ガラス11の位置を検出している。本実施形態では、回転検出装置27とコントローラ31によって位置検出手段が構成されている。
なお、本実施形態では、回転検出装置27にホール素子を用いたものを採用しているが、これに限らず、モータ20の回転を検出することができれば、エンコーダを採用してもよい。また、モータに通電し、巻線への通電が切り換わる際に発生するリップル電流を検知し、そのリップル電流の波形を検出することでモータの回転数や回転位置(開閉部材の位置)を検出しても良い。なお、本実施形態では、窓ガラス11の移動に応じたモータ20の出力軸の回転を検出するために、モータ20に回転検出装置27を一体に設けているが、これに限らず、公知の手段によって窓ガラス11の位置を直接的に検出するようにしてもよい。
本実施形態の制御手段3のコントローラ31は、巻き込み検出部31aと、挟み込み検出部31bを備えている。コントローラ31,モータ20,駆動回路32には、車両に搭載されるバッテリー5から作動・動作に必要な電力が供給される。本実施形態のコントローラ31は、CPU,ROM,RAM等のメモリ、入力回路、出力回路等を備えるマイクロコンピュータで構成されている。CPUは、メモリ、入力回路及び出力回路とバスを介して互いに接続されている。またコントローラ31は車体側のECU7と有線(ハーネス等)や無線などで接続されている。なお、コントローラ31はDSPやゲートアレイで構成してもよい。
またコントローラ31は、図2で示すように、車体側に設けられたECU7から遠隔操作信号7a,排煙作動信号7b,連動作動信号7cなどを含む各種信号を受信するように構成されている。遠隔操作信号7aは、無線信号スイッチ6(6a〜6b)や携帯電話などからのスイッチの信号やドアロックの開閉信号、トランクの開閉信号など各種信号を不図示の受信部で受信した信号である。排煙作動信号7bは車両に搭載されている不図示の異常熱感知・煙感知・炎感知などの感知手段によって車内空間に異常雰囲気が発生したときに生じるもので、車内空気を排出(或いは換気)するための信号である。連動作動信号7cは、車両のキーやドアノブの操作に応じて生じる信号、車両が水没したときに生じる信号などである。
コントローラ31は、装置1の通常作動時に、スイッチ4(下降スイッチ4a,上昇スイッチ4b,オートスイッチ4c)からの操作信号に基づいて駆動回路32を介してモータ20を正逆回転させて、窓ガラス11を開閉動作させる。また、コントローラ31は、回転検出装置27から受け取ったパルス信号に基づいて窓ガラス11の位置を検出し、窓ガラス11の検出位置に応じて駆動回路32を介してモータ20へ供給する駆動電力の大きさを調整する。具体的には、駆動電圧の大きさまたはPWM制御する場合はデューティー比の大きさを調整する。これによりモータ出力を調整している。
本実施形態の駆動回路32は、FETを有するICによって構成されており、コントローラ31からの入力信号に基づいて、モータ20への電力供給の極性を切換えている。すなわち、駆動回路32は、コントローラ31から正回転指令信号を受けたときは、モータ20を正回転方向に回転させるようにモータ20へ電力を供給し、コントローラ31から逆回転指令信号を受けたときは、モータ20を逆回転方向に回転させるようにモータ20へ電力を供給する。また、制御手段3から回転停止指令信号を受けたときは、モータ20への電力供給を停止する。なお、駆動回路32は、リレー回路を用いて極性を切換えるように構成してもよい。また、駆動回路32をコントローラ31内に組み込み制御手段3としての構成であってもよい。
コントローラ31は、入力されるパルス信号からパルス信号の立上がり部,立下がり部(パルスエッジ)を検出し、このパルスエッジの間隔(周期)に基づいてモータ20の回転速度(回転周期)を算出すると共に、各パルス信号の位相差に基づいてモータ20の回転方向を検出する。つまり、コントローラ31は、モータ20の回転速度(回転周期)に基づいて窓ガラス11の移動速度を間接的に算出し、モータ20の回転方向に基づいて窓ガラス11の移動方向を特定している。また、コントローラ31は、パルスエッジをカウントしている。このパルスカウント値は、窓ガラス11の開閉動作に伴って加減算される。コントローラ31は、このパルスカウント値の大きさによって窓ガラス11の開閉位置を特定する。
すなわち、本実施形態では、全閉位置を基準位置として窓ガラス11を駆動することができる。全閉位置を基準位置とする場合には、全閉位置でパルスカウント値が「0」となるように設定される。そして、このように基準位置でパルスカウント値が「0」となるように設定した後、作動領域(動作区間)の一端側、例えば全開位置方向へ窓ガラス11が移動しているときはパルス信号を受け取る毎にパルスカウント値を1インクリメントし、作動領域の他端側すなわち全閉位置方向へ窓ガラス11が移動しているときはパルス信号を受け取る毎にパルスカウント値を1デクリメントする。
なお、全開位置を基準位置として窓ガラス11を駆動してもよい。この場合には、全開位置でパルスカウント値が「0」となるように設定されると共に、全閉位置方向へ窓ガラス11が移動しているときにパルスカウント値がインクリメントされ、全開位置方向へ窓ガラス11が移動しているときにパルスカウント値がデクリメントされるようにすればよい。
本実施形態のスイッチ4は、窓ガラス11を開作動させる下降スイッチ4aと窓ガラス11を閉作動させる上昇スイッチ4bとオートスイッチ4cを備えており、これらの下降スイッチ4a,上昇スイッチ4b,オートスイッチ4cを乗員(運転者を含む)が操作することにより、コントローラ31へ窓ガラス11を開閉動作させるための指令信号が出力される。下降スイッチ4aと上昇スイッチ4bはマニュアルによる操作中のみ開閉動作が可能であり、オートスイッチ4cは一度の操作により開閉動作が可能である。
具体的には、下降スイッチ4aは、一方側へ操作される(引く又は押す)と下降スイッチ4aがオンされ、窓ガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させ、開方向へ作動させるための通常開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、上昇スイッチ4bは、一方側へ操作される(引く又は押す)と閉スイッチ4bがオンされ、窓ガラス11を通常閉動作(すなわち操作している間だけ閉動作)させるための通常閉指令信号をコントローラ31へ出力する。スイッチ4は、運転席近傍にある場合には、全ての窓ガラス11を制御できるように設けられて、全ての窓ガラス11に対応して複数のスイッチ4が配置され、運転席以外のスイッチ4では、乗員の窓ガラス11の近傍位置に配置され、乗員の傍の窓ガラス11を制御するように設けられている。
なおオートスイッチ4cの代わりに下降スイッチ4aと上昇スイッチ4bは2段階操作可能な揺動型スイッチ等で構成されて、開,閉及びオート機能を有するように構成することができる。具体的には、下降スイッチ4aは、一方側へ1段階操作される(引く又は押す)と下降スイッチ4aがオンされ、窓ガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させ、開方向へ作動させるための通常開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、上昇スイッチ4bは、一方側へ1段階操作される(引く又は押す)と閉スイッチ4bがオンされ、窓ガラス11を通常閉動作(すなわち操作している間だけ閉動作)させるための通常閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
また、下降スイッチ4aは、一方側へ2段階操作される(引く又は押す)と開スイッチ及びオートスイッチが共にオンされ、窓ガラス11をオート開動作(すなわち操作を止めても全開位置の直前位置まで開動作)させ、開方向へ作動させるためのオート開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、上昇スイッチ4bは、一方側へ2段階操作される(引く又は押す)と閉スイッチ及びオートスイッチが共にオンされ、窓ガラス11をオート閉動作(すなわち操作を止めても全閉位置の直前位置まで閉動作)させるためのオート閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
本実施形態のスイッチは、車内に存在する場合のほか、無線信号スイッチ6を含むものである。無線信号スイッチ6は、車外からの遠隔操作を行うもので、電波や赤外線などを利用したリモートキー(不図示)と一体となっており、ECU7の遠隔操作信号7aとして受信されるものである。本実施形態の無線信号スイッチ6は、下降スイッチ6aと上昇スイッチ6bであるが、これらのスイッチ操作により、ECU7の遠隔操作信号7aとしてコントローラ31へ出力され、遠隔操作が可能であり、この遠隔操作の点を除いて上述の下降スイッチ4aと上昇スイッチ4bと同様であるので、その機能の説明を省略する。
本実施形態のコントローラ31は、巻き込み検出部31a及び挟み込み検出部31bを備えており、下降スイッチ4aから通常開指令信号を受けている間中(下降スイッチが操作されている間中)、駆動回路32を介してモータ20を駆動し、窓ガラス11を通常開動作させる(このとき、巻き込みが生じるときは、巻き込み検出手段31で検出される)。一方、コントローラ31は、上昇スイッチ4bから通常閉指令信号を受けている間中(上昇スイッチが操作されている間中)、駆動回路32を介してモータ20を駆動し、窓ガラス11を通常閉動作させる(このとき、挟み込みが生じるときは挟み込み検出部31bで検出される)。
また、コントローラ31は、オートスイッチ4c(或いは下降スイッチ4aと上昇スイッチ4bの2段階操作)からオート開指令信号(或いはオート閉指令信号)を受けると、駆動回路32を介してモータ20を駆動し、窓ガラス11を全開位置(或いは全閉位置)の直前位置までオート開動作(オート閉動作)させる。
本実施形態におけるコントローラ31は、巻き込み検出部31aにより窓ガラス11を開動作(通常開動作及びオート開動作)しているとき、窓ガラス11による巻き込みの有無を監視している。すなわち、巻き込みが生じると、窓ガラス11の移動速度(下降速度)およびこれに関連してモータ20の回転速度が低下する(回転周期が長くなる)。このため本実施形態のコントローラ31は、モータ20の回転速度の変動を常時監視している。
本実施形態のコントローラ31の巻き込み検出部31aでは、開閉部材に掛かる負荷が高くなったとき、例えば、モータ20の回転速度(すなわち窓ガラス11の下降速度)の変動に基づいて、窓ガラス11とベルトモール13,14の間で、まず巻き込みの開始を検出し、次いで巻き込みの開始が検出されてから回転速度が所定量変動したことを検出した場合に、巻き込みと判定(確定)する。
そして、巻き込みを確定した場合には、コントローラ31は、窓ガラス11とベルトモール13,14との間に巻き込まれた異物を解放すべく、すなわち巻き込みの進行を止める動作をするために、モータ20への電力の供給を制御してモータ20の作動を停止または反転させ、窓ガラス11の開動作(下降)を停止させるかまたは窓ガラス11を所定距離(所定量)だけ閉動作(上昇)させる。
一方、本実施形態におけるコントローラ31は、挟み込み検出部31bにより、窓ガラス11を閉動作(通常閉動作及びオート閉動作)させているとき、窓ガラス11による挟み込みの有無を監視している。挟み込みに関しては、前述の特許文献と同様に公知技術を用いることが可能であるので、詳細は省略する。
また、上記本実施形態では、開閉部材に掛かる負荷が高くなったときとして、窓ガラス11の移動状態を移動速度に関連するモータ20の回転速度の変動に基づき、巻き込みの有無を監視しているが、これ以外に例えば駆動中にモータ20に流れる電流値の変動を監視することで窓ガラス11の移動状態を検知(検出)してもよく、その電流値が上昇し所定の電流値を超えた場合に巻き込みを検知するようにしてもよい。
次に、図4に基づいて、本実施形態の装置1における巻き込み判定の概略処理について説明する。本実施形態のパワーウインドウ装置1におけるコントローラ31の巻き込み検出部31aは、回転検出装置27から受け取るパルス信号に基づいて、モータ20の回転速度ωを算出し、算出した回転速度ωをRAMに記憶させる。図4(A)は、このようにして算出された回転速度ωの変動状況を表している。図4(A)の縦軸はモータ回転速度,横軸はパルスカウント数に対応する。図4(A)の例は、モータ20の回転速度ωが巻き込みにより途中から減速している状況である。データ線A1は、硬いものを巻き込んで回転速度ωが大きな減速率で低下している状況を示しており、データ線B1は、軟らかいものを巻き込んで回転速度ωが小さな減速率で低下している状況を示している。なお、図4(B),(C)では、データ線A2,A3が硬いものを巻き込んだ場合に対応しており、データ線B2,B3が軟らかいものを巻き込んだ場合に対応している。
そして、本実施形態の装置1では、移動速度変動値演算を不図示のCPUで行うが、この回転速度ωのデータに基づいて、現在の回転速度ωと数パルスエッジ前の回転速度ωとの差である回転速度差Δωを算出する。すなわち、数パルスエッジ前の回転速度ωに対する現在の回転速度ωの変動値を算出する。回転速度差Δωは、回転速度(移動速度)の変化率に相当する(もしくは、数パルスエッジ前からの回転速度の変化量または変化分に相当する)。図4(B)は、この回転速度差Δωの変動状況を表している。なお、図4(A)では、データ線A1の方がデータ線B1と比べて、回転速度差Δωの絶対値が大きくなっていることが分かる。
そして、まず、巻き込みの開始を検出するコントローラ31の巻き込み検出部31aは、このようにして算出した回転速度差Δωが変動判定しきい値αを超えたか否かを判定する。この変動判定しきい値αを超えると、巻き込みが開始したと判定される。図4(B)では、点P1,点P2でそれぞれ巻き込みの開始が検出される。しかし、この時点では、巻き込みが確定したわけではないので、モータ20は回転を継続し、窓ガラス11は下降(開動作)を続ける。この変動判定しきい値αは、装置1が、たとえ軟らかいもの(例えばベルトモールのリップ部分など)を巻き込んだ場合においても、これによって生じる回転速度差Δωがこの値を超えるような大きさに設定される。
このようにして、一旦、巻き込み検出部31aにより、巻き込みの開始が検出されると、装置1の巻き込み確定を行うコントローラ31は、この時点からの回転速度差Δωの累積値(すなわち、回転速度ωの変化量)が、巻き込み判定しきい値βを超えたか否かを判別する。そして、回転速度ωの変化量が、巻き込み判定しきい値βを超えた場合に、巻き込みが検出(確定)される。図4(C)は、回転速度差Δωの累積値の変動状況を表している。コントローラ31は、累積値が巻き込み判定しきい値βを超えた場合に、巻き込みと判定(確定)する。
なお、上述のように、巻き込み検出部31aにより、巻き込みの開始が検出されてからの回転速度差Δωの累積値(すなわち、回転速度ωの変化量)が、巻き込み判定しきい値βを超えた場合に、巻き込みを検出(確定)するのに換えて、巻き込みの開始が検出されてからの所定期間の回転速度差Δωの累積値、または所定数個分の回転速度差Δωの累積値(すなわち、これらの場合は回転速度ωの変化率)が、巻き込み判定しきい値βを超えた場合に、巻き込みを検出(確定)するように構成してもよい。
以上のように、本実施形態の装置1では、2つのしきい値が設定されているが、一方の変動判定しきい値αは回転速度差Δωに対して設定されており、他方の巻き込み判定しきい値βは回転速度ωの変化量(回転速度差Δωの総和)に対して設定されており、これらは判定対象が異なる。
そして、本実施形態の装置1では、回転速度差Δωが変動判定しきい値αを超えた後の継続時間やパルス信号数等によって実際に巻き込みが発生したと確定されるのではなく、回転速度差Δωが変動判定しきい値αを超えた後の回転速度ωの変動量によって巻き込みが確定される。
したがって、本実施形態の装置1では、異物を巻き込んだ場合に、巻き込み荷重が大きくなり過ぎることがないので、巻き込んだ異物に損傷を与えることなく、巻き込みを確定することができる。
また、本実施形態の装置1では、軟らかいものを巻き込んだ場合でも、回転速度差Δωは、比較的早い段階で変動判定しきい値αを超えるので、その後の変化量が巻き込み判定しきい値βを超えた時点で巻き込みが確定される。この場合、巻き込んだものが、例えばベルトモールのリップ部分などは軟らかいため、回転速度差Δωが小さな値(絶対値としては大きな値)とならないが、一旦、変動判定しきい値αを超えれば、回転速度差Δωの累積が開始されるので、この累積値が巻き込み判定しきい値βを超えた時点で確実に巻き込みを確定することができる。
また、中程度の硬さのものを巻き込んだ場合にも、軟らかいものを巻き込んだ場合と同様に、早い段階で回転速度差Δωが変動判定しきい値αを超えて、回転速度差Δωの累積が開始されるので、この値が巻き込み判定しきい値βを超えた時点で確実に巻き込みを確定することができる。つまり、開閉部材に掛かる負荷を基にして巻き込みを確定している。
このように、本実施形態の装置1では、巻き込んだものの硬さ軟らかさによらず、低荷重で確実に巻き込みを確定することができる。
また、窓ガラス11が移動する際には、巻き込みがなくても摺動抵抗や外的要因によって、モータ20の回転速度は影響を受ける。このような影響によって、仮に回転速度差Δωが変動判定しきい値αを超えた場合でも、その後に回転速度差Δωの累積値が巻き込み判定しきい値βを超えなければ巻き込みが確定されることがないので、変動判定しきい値αを軟らかいものを巻き込んだとき用の値に設定しても、誤判定を起こすことがなく、むしろ巻き込みの開始を確実に検出することができる。
次に、図6に基づいて、本実施形態のコントローラ31の巻き込み判定処理について説明する。本実施形態のコントローラ31の巻き込み検出部31aは、まず、回転検出装置27から受け取ったパルス信号に基づいて、モータ20の回転速度データの更新を行う(ステップS1)。具体的には、コントローラ31の巻き込み検出部31aは、まず回転検出装置27から受け取ったパルス信号を信号処理してパルスエッジを検出する。そして、パルスエッジを検出する毎に、前回検出されたパルスエッジと今回検出されたパルスエッジとのパルス幅(時間間隔)Tを算出してメモリ内に順次格納していく。
本実施形態では、パルス幅Tは、新たなパルスエッジが検出される度に順送りに更新されていき、最新の4つのパルス幅T(0)〜T(3)が記憶される。すなわち、パルスエッジが検出されると、新たにパルス幅T(0)を算出すると共に、前回のパルス幅T(0)〜T(2)を1ずらして、それぞれパルス幅T(1)〜T(3)として記憶し、前回のパルス幅T(3)を消去する。
そして、コントローラ31は、時間的に連続するn個のパルスエッジのパルス幅Tの総和(パルス周期P)の逆数から回転速度ωを算出する。この回転速度ωは実際の回転速度に比例する値である。
本実施形態では、現パルスエッジから4パルスエッジ前までのパルス幅T(0)〜T(3)によって(平均)回転速度ω(0)が算出される。そして、次のパルスエッジを検出すると、新たに算出されたパルス幅T(0)〜T(3)によって回転速度ω(0)が更新される。このとき、前回の回転速度ω(0)は回転速度ω(1)として記憶される。このようにして、コントローラ31内には、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎にまたは所定回転角毎に)更新される最新の8つの回転速度ω(0)〜ω(7)が常時記憶される。このように、複数のパルス幅Tによって回転速度ωを算出することにより、受信する各パルス信号出力のセンサーDutyのばらつきを相殺し、誤差変動分が相殺された回転速度を算出することができる。
次に、コントローラ31は、この回転速度ωから(平均)回転速度差(回転速度変化率)Δωを算出する(ステップS2)。具体的には、回転速度ω(0)〜ω(3)を現ブロックデータ、回転速度ω(4)〜ω(7)を前ブロックデータとし、それぞれのブロック内データの和を差し引く処理を行っている。すなわち、回転速度差Δωは、回転速度ω(4)〜ω(7)の和から回転速度ω(0)〜ω(3)の和を引くことにより算出され、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎にまたは所定回転角毎に)更新されていく。なお、算出された値を加算したデータ数(本実施形態では4)で除してもよい。このように、複数の回転速度ωによって回転速度差Δωを算出することにより、回転速度ω間の位相差を相殺することができる。
そして、本実施形態のコントローラ31は、窓ガラス11の所定位置を基準として、算出された回転速度差Δωを加算していく(ステップS3)。回転速度差Δωが算出される毎にこれを累積していくことによって、基準位置に対する回転速度ωの差が算出される。
次に、算出された回転速度差Δωが外乱判定しきい値γを正側に超えているか否かが判別される(ステップS4)。車両が段差に乗り上げたり、窓ガラス11が閉められたりすると、このような外乱によって窓ガラス11に衝撃が加わり、その結果、モータ20の回転速度に影響が及ぶ場合がある。本実施形態では、この処理により外乱によって巻き込みを誤検出してしまうことを防止している。
図5に示すように、外乱が加わると、回転速度差Δωは、通常、正負に大きな値をとる。正側に回転速度差Δωが振れることは、窓ガラス11を開く方向にモータ20の回転が加速されることを意味し、反対に、負側に回転速度差Δωが振れることは、モータ20の回転が減速されることを意味する。負側に回転速度差Δωが振れることは、巻き込みを擬似するものとなる。ここで、外乱判定しきい値γは、正側に設定された値であり、本実施形態のコントローラ31では、回転速度差Δωがこの外乱判定しきい値γを正側に超えた場合は、外乱が生じたものと判定する。
外乱が生じたと判定された場合(ステップS4;有)、コントローラ31は、巻き込み判定しきい値βを負側に増大させた後(ステップS7)、次のステップS5へ移行する。これにより、引き続いて、外乱によって負側に回転速度差Δωが振れて、巻き込みの開始が検出されたとしても、その後の回転速度差Δωの累積値が増大された巻き込み判定しきい値βを超えることがないので、巻き込みの誤判定を防止することができる。なお、本実施形態では、外乱判定しきい値γが変動判定しきい値αと無関係に設定されているが、例えば、外乱判定しきい値γを変動判定しきい値αの正負を反対にした値に設定してもよい。
ステップS4で外乱が生じたと判定されなかった場合(ステップS4;No)、或いはステップS7の処理の後で、コントローラ31は、巻き込み開始の判定処理を行う(ステップS5)。具体的には、回転速度差Δωが変動判定しきい値αを負側に超えた場合は巻き込みの開始と判定され、超えていない場合は巻き込みの開始と判定しない。巻き込みの開始と判定された場合(ステップS5;Yes)、ステップS8へ移行する。一方、巻き込みの開始と判定されなかった場合(ステップS5;No)、ステップS6で回転速度差Δωの累積値と巻き込み判定しきい値βへの初期値の設定が行われる。具体的には、ステップS3で算出された回転速度差Δωの累積値が、回転速度ωの初期変化量Sにセットされると共に、巻き込み判定しきい値βが増大されていない通常値に戻される。このように、外乱期間が終了したと判定されると、巻き込み判定しきい値βが通常値に戻され、通常の処理が行われる。
そして、ステップS8では、回転速度ωの変化量Sの演算処理が行われる。具体的には、コントローラ31は、巻き込み開始と判定される直前にステップS6でセットされた回転速度ωの初期変化量S(回転速度差Δωの累積値)からステップS3で算出された回転速度差Δωの累積値を差し引いて、巻き込み開始以降の回転速度ωの変化量S(回転速度差Δωの累積値)を算出する。これにより、巻き込みによる回転速度の変化分(すなわち、巻き込み荷重分)を確実に算出することができる。
なお、本実施形態では、基準値からの変化量の差を算出して、巻き込み開始以降の回転速度ωの変化量を算出しているが、これに限らず、巻き込み開始が検出されないときには、回転速度差Δωの累積値を初期化し、巻き込み開始が検出されたときには、初期化しないようにして、巻き込み開始検出以降の分についてのみ回転速度差Δωを累積して、これにより回転速度ωの変化量を算出してもよい。
次に、コントローラ31は、ステップS8で算出された回転速度ωの変化量Sが巻き込み判定しきい値βを超えたか否かを判定する(ステップS9)。
回転速度ωの変化量Sが巻き込み判定しきい値βを超えたと判断された場合(ステップS9;Yes)、下降動作停止処理(ステップS10)を行う。
一方、回転速度ωの変化量Sが巻き込み判定しきい値βを超えていないと判断された場合(ステップS9;No)は、下降スイッチ4aがOFFになったか否か判定する(ステップS11)。下降スイッチ4aがOFFと判定された場合(ステップS11;Yes)、下降動作停止を行い(ステップS12)、処理を終了する。この窓ガラス11の下降動作停止は、コントローラ31が、モータ20への電力の供給を制御してモータ20の作動を停止させ、窓ガラス11の開動作(下降)を停止させるものである。下降スイッチ4aがOFFとなっていないと判定された場合(ステップS11;No)、ステップS1から処理を行う。
下降動作停止処理(ステップS10)で窓ガラス11が停止した後で、図7で示すように、再下降作動指令の有無(ステップS21)を判定し、再下降作動指令がある場合(ステップ21;Yes)、再下降許可判定を行う(ステップS22)。
再下降許可判定で窓ガラス11が再下降を許可する判断がなされると(ステップS22;Yes)、窓ガラス11が下降作動を開始する(ステップS23)。窓ガラス11の下降は下降スイッチ4aのOFFの信号を受けるまで行われる。下降スイッチ4aのOFFがなされる(ステップS24)と、下降動作停止がなされて開閉部材は停止する(ステップS25)。
一方、再下降作動指令が無い場合(ステップ21;No)、窓ガラス11は、下降動作停止(ステップS10)のまま終了する。
このように、ステップS9で巻き込み判定が行われ、巻き込みが確定すると、ステップS10で窓ガラス11の下降動作が停止するが、ステップS21で再下降作動指令があった場合、ステップS22で再下降許可判定を行い、再下降許可となった場合、ステップS23で窓ガラス11の再下降動作が開始され、ステップS24で下降スイッチ4aがOFFとなるまで窓ガラス11は動作する。このように、巻き込みを確定後であっても、所定の条件に基づく再下降許可判定がなされたときに、駆動手段への電力供給をする制御を行うことで、開閉部材を駆動させ、開動作を再開可能とするものである。
図8は巻き込み検出後の開け切りモード(巻き込み判定禁止処理モード)を含むフロー図である。この図8の例では、予め、コントローラ31に、高感度しきい値を設定処理する(ステップS31)。この設定処理は、前述した変動判定しきい値α及び巻き込み判定しきい値βと同等の値としておくものであり、本実施形態では、これを敏感な状態とするものである。
高感度しきい値(敏感)設定処理(ステップS31)の後で、下降スイッチ4aがONされると、コントローラ31に下降スイッチ信号が入力される(ステップS32)。このステップS32で下降スイッチ信号が入力されると、窓ガラス11が下降動作(開動作)を開始する(ステップS33)。下降動作中に巻き込み判定(ステップS34)を行う。このステップS34の巻き込み判定は、図6で示すステップS1〜ステップS9までの動作を行うものである。
そして、巻き込み判定が無い場合(ステップS34;No)、下降スイッチ4aがOFFされるまで窓ガラス11を下降する。下降スイッチ4aがOFFされると下降スイッチ信号OFF(ステップS39)を受けて、下降動作停止(ステップS40)の処理が実行され、コントローラ31からモータ20への電力供給が絶たれて窓ガラス11の下降動作が停止する。
そして、次に、巻き込み判定禁止処理(以下「開け切りモード」ともいう。)を実行する。本実施形態の開け切りモードは、ステップS36〜ステップS38を行うもので、先ず、下降動作停止(ステップS35)した状態の後で、巻き込み判定禁止処理(ステップS36)を行うものである。
この巻き込み判定禁止処理は、コントローラ31に下降スイッチ信号の入力が行われる(ステップS37)ことで、窓ガラス11が下降作動を開始する(ステップS38)ものである。したがって、ステップS37の前提である下降スイッチ4aを操作することで、停止状態にある窓ガラス11が再度下降動作を行うように構成される。このため、下降スイッチ4aを操作しない状態の場合には、停止した状態のままとなる。
このように、開け切りモードである巻き込み判定禁止処理(ステップS36)の後で、巻き込みを検知して窓ガラス11が停止してから所定時間内(例えば5秒以内)に開作動のためのスイッチ操作が行われると、下降スイッチ信号入力(ステップS37)としてコントローラ31に信号が入力される。巻き込み判定が禁止された状態で窓ガラス1の下降作動が開始(ステップS38)した後、下降スイッチ4aがOFF操作され、下降スイッチ信号OFF(ステップS39)を検知すると、コントローラ31は、モータ20への電力の供給を制御してモータ20の作動を停止させ、窓ガラス11の開動作(下降)を停止させる。
なお、下降スイッチ4aは、通常、窓ガラス11の近傍に、それぞれ対応して設けられる他に、運転席には全ての開閉部材の操作スイッチが設けられているのが一般的であるが、本例の下降スイッチ4aは、開閉部材に近接して配置された下降スイッチ4aでのマニュアル操作によって開作動の操作がされたときに、開け切りモードとしての開作動が行われるように構成している。例えば、下降スイッチ4aを操作し続けることで開け切りモードである巻き込み判定禁止処理を継続したままで開作動を継続することができるように構成している。これにより、開動作させたい個所の開閉部材のみを確実に開作動することができ、開閉部材と直近する者だけが操作したときに開動作が可能となり、開閉部材と直近する者が再開の判断が可能であり、更なる安全確認を向上できる。
本実施形態において、より、具体的に、再下降許可判定における所定の条件(つまり開け切りモード)としては、例えば、次のように4つの条件(a〜d)がある。a.自動車のエンジンキーであるイグニッションキーによりON状態となっていること。b.着座した自席の傍の窓ガラス11が下降動作中で、巻き込み検出がなされていること。c.巻き込み検出がなされて、開閉部材(窓ガラス11)が停止して所定時間内(例えば3〜8秒以内、好ましくは5秒以内)であること。d.この所定時間内で、自席の傍の開閉部材(例えば窓ガラス11)をマニュアルによる下降スイッチ4aの操作を行ったこと。
図9は、巻き込み検出後の他の開け切りモードを含むフロー図であり、前記図8の実施形態では、開け切りモードとして巻き込み判定禁止処理を行っているが、本実施形態では低感度しきい値(鈍感)設定処理によって、最初の巻き込み判定より鈍感な設定で巻き込み判定を再度行う処理をするものである。
本実施形態の開き切りモードは、図8のステップS31〜S35、S39〜S41とは同じ処理であり、これら同じ処理には同じステップ符号を付してその説明を省略し、ここでは、前述の実施形態で示す開け切りモードである異なる開け切りモードのステップS46〜ステップS49について説明する。
前述したように、窓ガラス11が下降動作停止(ステップS35)した状態の後で、低感度しきい値(鈍感)設定処理(ステップS46)を行う。
この設定処理は、前述した変動判定しきい値α及び巻き込み判定しきい値βの値を大きくして鈍感な状態とするものである。
ステップS46の低感度しきい値(鈍感)設定処理を行ったあとで、下降スイッチ4aがONされると、コントローラ31に下降スイッチ信号が入力される(ステップS47)。このステップS47で下降スイッチ信号が入力されると、開閉部材である窓ガラス11が下降作動を開始する(ステップS48)。下降動作中に巻き込み判定(ステップS49)を行う。このステップS49は、ステップS34と同様であり、図6で示すステップS1〜ステップS9までの巻き込み判定で行うものである。他のステップは、前述した図8のステップと同様な工程を行うものである。
以上のように、検出しきい値を鈍くするようにして開け切りモードを設定することで、異物等(ベルトモール等)を巻き込んだ場合においても操作性を低下することもなく、窓ガラス11を開ける開動作させる(下降動作させる)ことができる。
以上のように、本発明によれば、一度巻き込みを検出した後で、次の操作によって検出する巻き込みに関する状況を、巻き込み検出をキャンセルする又は検出しきい値を鈍くすることで、巻き込み検出が誤検出であった場合でも確実に開動作させ操作性低下を防止することが可能で、開動作中に巻き込みを検知して停止した後であっても、誤検出であった場合には、開動作を再開できるようにし、開閉部材を所望の位置まで継続(連続)して開作動させることができる。
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態を説明する。図1〜図5で説明した構成は、第二実施形態においても、前記した第一実施形態と同一である。一方、第二実施形態では、図10〜図13に基づいて説明するが、制御内容が異なるものである。図10は巻き込み判定及び巻き込み検出無効化の処理フロー図、図11は再開作動指令後の処理フロー図、図12は巻き込み判定及び巻き込み検出緩和の処理フロー図、図13はスイッチ入力状態でしきい値の切換えや巻き込み検出の無効化処理を行う処理フロー図である。
次に、図10に基づいて、本実施形態の開閉部材である窓ガラス11の開作動及びコントローラ31の巻き込み判定処理について説明する。スイッチ4(又は無線信号スイッチ6)の下降スイッチ4a(下降スイッチ6a)による下降作動指令がなされる(ステップS101)と、巻き込み検出部31aの適用前に、ステップS102で巻き込み検出無効化条件に合致しているかどうか判断する。検出無効化条件は、所定の条件であり、詳細は後述するが、遠隔操作信号7aでの下降スイッチON信号、排煙作動信号7b,連動作動信号7cで水没したときの信号、スイッチ4や無線信号スイッチ6、オートスイッチ4cの操作状況、巻き込み検出した後の再作動時の下降動作を指示する信号、巻き込み検知した後の所定時間内に実行された操作信号などを基にした条件などである。
ステップS102で巻き込み検出無効化条件に合致している場合(ステップS102;Yes)、巻き込み検出手段を無効化の処理を行う(ステップS103)。このステップS103による巻き込み検出部31aを無効化処理によって、巻き込み判定を行うことなく、窓ガラス11の開作動が開始(ステップS104)し、下降スイッチOFF(下降スイッチによる停止信号又は全開位置になったときの停止信号がコントローラ31に入力され、この停止信号に基づいてモータ20への給電を停止し、モータ20が停止する)になるまで下降する(ステップS105)。そして、ステップS105で下降スイッチOFFになると、窓ガラス11の下降動作が停止する(ステップS106)。
上記ステップS102で巻き込み検出無効化条件に合致しているかどうかの判断において、巻き込み検出無効化条件に合致していない場合(ステップS102;No)、窓ガラス11の下降動作(開放)を開始する(ステップS107)。そして、ステップS107で下降動作を開始すると、コントローラ31の巻き込み検出部31aの処理が行われる。
この巻き込み検出部31aは、まず、回転検出装置27から受け取ったパルス信号に基づいて、モータ20の回転速度データの更新を行う(ステップS108)。具体的には、コントローラ31の巻き込み検出部31aは、まず回転検出装置27から受け取ったパルス信号を信号処理してパルスエッジを検出する。そして、パルスエッジを検出する毎に、前回検出されたパルスエッジと今回検出されたパルスエッジとのパルス幅(時間間隔)Tを算出してメモリ内に順次格納していく。
本実施形態では、パルス幅Tは、新たなパルスエッジが検出される度に順送りに更新されていき、最新の4つのパルス幅T(0)〜T(3)が記憶される。すなわち、パルスエッジが検出されると、新たにパルス幅T(0)を算出すると共に、前回のパルス幅T(0)〜T(2)を1ずらして、それぞれパルス幅T(1)〜T(3)として記憶し、前回のパルス幅T(3)を消去する。
そして、コントローラ31は、時間的に連続するn個のパルスエッジのパルス幅Tの総和(パルス周期P)の逆数から回転速度ωを算出する。この回転速度ωは実際の回転速度に比例する値である。本実施形態では、現パルスエッジから4パルスエッジ前までのパルス幅T(0)〜T(3)によって(平均)回転速度ω(0)が算出される。そして、次のパルスエッジを検出すると、新たに算出されたパルス幅T(0)〜T(3)によって回転速度ω(0)が更新される。このとき、前回の回転速度ω(0)は回転速度ω(1)として記憶される。このようにして、コントローラ31内には、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎にまたは所定回転角毎に)更新される最新の8つの回転速度ω(0)〜ω(7)が常時記憶される。このように、複数のパルス幅Tによって回転速度ωを算出することにより、受信する各パルス信号出力のセンサーDutyのばらつきを相殺し、誤差変動分が相殺された回転速度を算出することができる。
次に、コントローラ31は、この回転速度ωから(平均)回転速度差(回転速度変化率)Δωを算出する(ステップS109)。具体的には、ステップS109では、回転速度ω(0)〜ω(3)を現ブロックデータ、回転速度ω(4)〜ω(7)を前ブロックデータとし、それぞれのブロック内データの和を差し引く処理を行っている。すなわち、回転速度差Δωは、回転速度ω(4)〜ω(7)の和から回転速度ω(0)〜ω(3)の和を引くことにより算出され、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎にまたは所定回転角毎に)更新されていく。なお、算出された値を加算したデータ数(本実施形態では4)で除してもよい。このように、複数の回転速度ωによって回転速度差Δωを算出することにより、回転速度ω間の位相差を相殺することができる。
そして、本実施形態のコントローラ31は、窓ガラス11の所定位置を基準として、算出された回転速度差Δωを加算していく(ステップS110)。回転速度差Δωが算出される毎にこれを累積していくことによって、基準位置に対する回転速度ωの差が算出される。次に、算出された回転速度差Δωが外乱判定しきい値γを正側に超えているか否かが判別される(ステップS111)。車両が段差に乗り上げたり、窓ガラス11が閉められたりすると、このような外乱によって窓ガラス11に衝撃が加わり、その結果、モータ20の回転速度に影響が及ぶ場合がある。本実施形態では、この処理により外乱によって巻き込みを誤検出してしまうことを防止している。
図5で示すように、外乱が加わると、回転速度差Δωは、通常、正負に大きな値をとる。正側に回転速度差Δωが振れることは、窓ガラス11を開く方向にモータ20の回転が加速されることを意味し、反対に、負側に回転速度差Δωが振れることは、モータ20の回転が減速されることを意味する。負側に回転速度差Δωが振れることは、巻き込みを擬似するものとなる。ここで、外乱判定しきい値γは、正側に設定された値であり、本実施形態のコントローラ31では、回転速度差Δωがこの外乱判定しきい値γを正側に超えた場合は、外乱が生じたものと判定する。
外乱が生じたと判定された場合(ステップS111;Yes)、コントローラ31は、巻き込み判定しきい値βを負側に増大させた後(ステップS112)、ステップS115へ移行する。これにより、引き続いて、外乱によって負側に回転速度差Δωが振れて、巻き込みの開始が検出されたとしても、その後の回転速度差Δωの累積値が増大された巻き込み判定しきい値βを超えることがないので、巻き込みの誤判定を防止することができる。なお、本実施形態では、外乱判定しきい値γが変動判定しきい値αと無関係に設定されているが、例えば、外乱判定しきい値γを変動判定しきい値αの正負を反対にした値に設定してもよい。
ステップS111で外乱が生じたと判定されなかった場合(ステップS111;No)、コントローラ31は、巻き込み開始の判定処理を行う(ステップS113)。具体的には、回転速度差Δωが変動判定しきい値αを負側に超えた場合は巻き込みの開始と判定され、超えていない場合は巻き込みの開始と判定しない。ステップS113で巻き込みの開始と判定された場合(ステップS113;Yes)、ステップS115へ移行する。一方、ステップS113で巻き込みの開始と判定されなかった場合(ステップS113;No)、ステップS114で回転速度差Δωの累積値と巻き込み判定しきい値βへの初期値の設定が行われる。具体的には、ステップS110で算出された回転速度差Δωの累積値が、回転速度ωの初期変化量Sにセットされると共に、巻き込み判定しきい値βが増大されていない通常値に戻される。このように、外乱期間が終了したと判定されると、巻き込み判定しきい値βが通常値に戻され、通常の処理が行われる。
そして、ステップS115では、回転速度ωの変化量Sの演算処理が行われる。具体的には、コントローラ31は、巻き込み開始と判定される直前にステップS114でセットされた回転速度ωの初期変化量S(回転速度差Δωの累積値)からステップS110で算出された回転速度差Δωの累積値を差し引いて、巻き込み開始以降の回転速度ωの変化量S(回転速度差Δωの累積値)を算出する。これにより、巻き込みによる回転速度の変化分(すなわち、巻き込み荷重分)を確実に算出することができる。
なお、本実施形態では、基準値からの変化量の差を算出して、巻き込み開始以降の回転速度ωの変化量を算出しているが、これに限らず、巻き込み開始が検出されないときには、回転速度差Δωの累積値を初期化し、巻き込み開始が検出されたときには、初期化しないようにして、巻き込み開始検出以降の分についてのみ回転速度差Δωを累積して、これにより回転速度ωの変化量を算出してもよい。
次に、コントローラ31は、ステップS115で算出された回転速度ωの変化量Sが巻き込み判定しきい値βを超えたか否かを判定する(ステップS116)。ステップS116で回転速度ωの変化量Sが巻き込み判定しきい値βを超えたと判断された場合(ステップS116;Yes)、下降動作停止処理(ステップS118)を行う。
一方、ステップS116で回転速度ωの変化量Sが巻き込み判定しきい値βを超えていないと判断された場合(ステップS116;No)は、下降スイッチ4aのOFF信号又は全開信号を受ける(ステップS117)と、下降動作停止を行い(ステップS118)、処理を終了する。この窓ガラス11の下降動作停止は、コントローラ31が、モータ20への電力の供給を制御してモータ20の作動を停止させ、窓ガラス11の開動作(下降)を停止させるものである。
下降動作停止処理(ステップS116,ステップS118)で窓ガラス11が停止した後で、窓ガラス11が全開でない場合、図11で示すように、ステップS121で再下降作動指令の有無を判定し、ステップS121で再下降作動指令がある場合(ステップS121;Yes)、再下降許可判定を行う(ステップS122)。
ステップS122で再下降許可判定で窓ガラス11が再下降を許可する判断がなされると(ステップS122;Yes)、窓ガラス11が下降作動を開始する(ステップS123)。窓ガラス11の下降は、下降スイッチ4aのOFF信号又は全開信号を受けるまで行われる。下降スイッチ4aのOFFがなされOFF信号が発せられるか窓ガラスが全開となり全開信号が発せられる(ステップS124)と、下降動作停止がなされて窓ガラス11は停止する(ステップS125)。
一方、ステップS121で、再下降作動指令が無い場合(ステップS121;No)、窓ガラス11は、下降動作停止(ステップS110)のまま終了する。
このように、ステップS116で巻き込み判定が行われ、巻き込みが確定すると、ステップS118で窓ガラス11の下降動作が停止する。
しかし、窓ガラス11が全開でないときに、巻き込みを確定後であっても、所定の条件に基づく再下降許可判定がなされたときに、駆動手段への電力供給をする制御を行うことで、窓ガラス11を駆動させ、開動作を再開可能としている。
ステップS121で再下降作動指令があった場合(ステップS121;Yes)、ステップS122で再下降許可判定を行う。再下降には所定の条件があり、この所定の条件としては、下降動作停止から所定期間にスイッチが投入される場合などがある。例えば、スイッチ4を例にすると、下降スイッチ4aの操作が行われると、下降スイッチ信号入力としてコントローラ31に信号が入力される。このとき、再下降許可判定が行われるが、所定の条件として、窓ガラス11が停止してから所定時間内(例えば5秒以内)に開作動のためのスイッチ操作が行われたりする場合である。
このように、停止したにも拘わらず、直ちに下降スイッチが操作される(すなわち下降作動指令が出されている)と、再下降許可となり、再下降許可となった場合、窓ガラス11の下降動作が開始(ステップS123)した後、下降スイッチ4aがOFF操作され、下降スイッチ4aがOFF操作されると、下降スイッチ信号OFF(ステップS124)を検知し、或いは全開になると全開信号を検知し、コントローラ31は、モータ20への電力の供給を制御してモータ20の作動を停止させ、窓ガラス11の開動作(下降)を停止させる(ステップS125)。
なお、下降スイッチ4aは、通常、窓ガラス11の近傍に、それぞれ対応して設けられる他に、運転席には全ての開閉部材のスイッチが設けられているのが一般的であるが、本例の下降スイッチ4aは、窓ガラス11に近接して配置された下降スイッチ4aでマニュアルによって開作動の操作がされたときに行われるように構成している。これにより、開動作させたい個所の窓ガラス11のみを確実に開作動することができ、窓ガラス11と直近する者だけが操作したときに開動作が可能となり、窓ガラス11と直近する者が再開の判断が可能であり、更なる安全確認を向上できる。
本実施形態において、より、具体的に、再開作動許可(本実施例では下降許可)判定における所定の条件としては、例えば、次のように4つの条件(a〜d)がある。a.自動車のエンジンキーであるイグニッションキーによりON状態となっていること。b.着座した自席の傍の窓ガラス11に、巻き込み検出がなされていること。c.巻き込み検出がなされて、窓ガラス11が停止して所定時間内(例えば3〜8秒以内、好ましくは5秒以内)であること。d.この所定時間内で、自席の傍の窓ガラス11をマニュアルによる下降スイッチ4aの操作を行った(すなわち下降作動指令が出されている)こと。
図12は別の実施形態を示すもので、前記実施形態では、巻き込み検出の無効化を判定したが、図12で示す実施形態では、巻き込み検出の緩和条件を判定するものである。つまり、本実施形態では低感度しきい値(鈍感)設定処理によって、最初の巻き込み判定より鈍感な設定で巻き込み判定を再度行う処理をするものである。
この図12の例では、予め、コントローラ31に、高感度しきい値(敏感)を設定処理する(ステップS131)。このステップS131の高感度しきい値(敏感)設定処理は、前述した変動判定しきい値α及び巻き込み判定しきい値βと同等の値としておくものである。
ステップS131で高感度しきい値(敏感)設定処理をした後で、下降スイッチ4aがONされると、コントローラ31に下降スイッチ信号が入力される(ステップS132)。ステップS132で下降スイッチ信号が入力されると、巻き込み処理の前に、ステップS133で巻き込み検出の緩和条件が合致するかどうか判定する。ステップS133で巻き込み検出の緩和条件に合致するとき(ステップS133;Yes)、ステップS131で行った高感度しきい値(敏感)設定から鈍感となる低感度しきい値(鈍感)設定処理を行うことで変更する(ステップS134)。このステップS134の設定処理は、前述した変動判定しきい値α及び巻き込み判定しきい値βの値を大きくして鈍感な状態とするものである。これにより、巻き込みと判定するときのしきい値が緩和される。
一方、ステップS133で巻き込み検出の緩和条件に合致しないとき(ステップS133;No)、ステップS131で行った高感度しきい値(敏感)設定のままで、開閉部材である窓ガラス11の下降動作が開始される(ステップS135)。以下、ステップS135乃至ステップS146は、前記図10で示す実施形態のステップS107の下降動作開始〜ステップS118の下降動作停止と同じ処理であるので、その説明を省略する。
以上のように、検出しきい値を鈍くするように設定することで、異物等(ベルトモール等)を巻き込んだ場合においても操作性を低下することもなく、窓ガラス11を開ける(下降動作させる)ことができる。
図13は、所定の条件の認識の例として、スイッチ入力状態でしきい値の切換えや巻き込み検出の無効化処理を行うフローチャートを示すものである。
本実施形態では、図10のステップS102の巻き込み検出無効化条件或いは図12の巻き込み検出緩和条件として、スイッチ入力状態であるオートスイッチ4cを例にして説明する。図13で示すように、スイッチ4の操作を行うと、コントローラ31に下降スイッチ信号(下降作動指令)が入力される(ステップS151)。このとき、下降させる下降スイッチ信号がオートスイッチ4cを操作したものかどうかを判別するが、オートスイッチ4cがONとなって投入されたものかどうかを判定する(ステップS152)。
ステップS152でオートスイッチ4cがONとなっていない場合(ステップS152;No)、マニュアル下降作動であると判定できるため、ステップS153でマニュアル下降作動と判断して、ステップS154で巻き込み検出の処理において、中間度しきい値処理を行うか、或いは巻き込み検出の無効化(検出キャンセル)処理を行う。中間度しきい値処理は、前述した高感度しきい値(敏感)設定と低感度しきい値(鈍感)設定との間の任意の設定値を用いて行うもので、図10のステップS107乃至ステップS117の処理を行うものである。また巻き込み検出の無効化(検出キャンセル)処理は、図10のステップS103以下の処理を行うものである。
ステップS152でオートスイッチ4cがONの状態である場合(ステップS152;Yes)、オートスイッチ4cが一回操作されただけで、OFFとなっているか、そのまま継続して操作されているかどうかを判別する(ステップS155)。
ステップS155でオートスイッチ4cがOFFでない場合(ステップS155;No)、つまり、オートスイッチ4cが操作され続けている場合、意図的にオートスイッチ4cを操作していると判断されるため、ステップS156でオート下降保持作動と判断して、ステップS157の巻き込み検出の処理において、低感度しきい値(鈍感)処理を行うか、或いは巻き込み検出の検出キャンセル処理を行う。低感度しきい値(鈍感)処理は図12のステップS134以下の処理を行うものであり、巻き込み検出の無効化(検出キャンセル)処理は、図10のステップS103以下の処理を行うものである。
オートスイッチ4cがONされた後で、ステップS155で一回操作された状態である場合(ステップS155;Yes)、通常の窓ガラス11の下降操作であると判断できるので、ステップS158でオート下降作動であると判断できるので、ステップS159の巻き込み検出の処理において、図12のステップS131乃至ステップS145(但しステップS133及びステップS134を除く)の処理を行う(つまり通常の巻き込み検出である高感度閾値(敏感)処理を行う)。
そして、上記ステップS154,S157,S159の各処理の後、下降動作停止信号を受けるまで、窓ガラス11は動作し、下降動作停止信号を受けて停止する(ステップS160)。
以上のように、本実施形態では、スイッチ入力状態によって、巻き込み検出しきい値の切換え、又は巻き込み検出の無効化(キャンセル)を行うことで、オート作動時の安全性を確保しつつ、マニュアル作動等の操作性を優先させることで、異物等を巻き込んだ場合においても操作性が低下することなく、窓ガラス11を下降作動させることが可能となる。また、上昇動作のときの挟み込み検出においても、誤検出によって、窓ガラスが締めきれない場合にもスイッチ入力によるしきい値切換えにより、同様に行うことが可能となる。
なお、上記図13で示す例では、所定の条件としてスイッチ入力状態を例にしたが、これに限らず、スイッチの操作が、窓ガラス11の停止信号や巻き込み検知後の所定時間内に実行された操作信号(すなわち下降作動指令)かどうか、車内無人である場合の車両の外部からの無線信号による開作動指令かどうか、車両側のECU7からの連動作動信号7cによる車両の水没に関する信号など窓を開放することが必要な信号(この場合には予め組み込んだ下降作動指令)かどうか、車両側のECU7からの排煙作動信号7bによるものかどうか、挟み込み検出後の開作動信号かどうか、スイッチの操作が継続的かどうか、不図示の車内の通信障害(通信異常)の信号によるものか、或いは巻き込み防止機能より他の機能(例えばリスクランクの高い機能)を優先するなど各種条件を、所定条件とすることが可能である。
上記各信号によって、図10乃至図12の処理フローで示すように、巻き込み検出の無効化条件合致、巻き込み検出の緩和条件合致かどうかを判別することが可能である。
[他の実施形態]
また、上記実施形態では、開閉部材制御装置及び開閉部材の制御方法として車両のパワーウインドウ装置を例にして説明したが、開閉部材制御装置の開閉部材には、ガラス素材に限定されず、サンルーフ開閉装置やスライドドア開閉装置等の開閉部材を開閉駆動する装置全般に適用できるものである。なお本明細書において操作スイッチは、パワーウインドウ装置を例にして説明しているため下降スイッチ4a及び6a,上昇スイッチ4b及び6b,オートスイッチ4cとしているが、開閉部材に応じて開スイッチ,閉スイッチ及びオートスイッチとして前後方向或いは横方向等任意の方向に開閉する開閉部材を操作するスイッチであってもよい。
1‥開閉部材制御装置(パワーウインドウ装置,装置)、2‥駆動手段、3‥制御手段、4‥スイッチ、4a‥下降スイッチ、4b‥上昇スイッチ、4c‥オートスイッチ、
5‥バッテリー、6‥無線信号スイッチ、6a‥下降スイッチ、6b‥上昇スイッチ、
7‥ECU、7a‥遠隔操作信号、7b‥排煙作動信号、7c‥連動作動信号、
10‥ドア、11‥開閉部材(窓ガラス)、12‥窓枠、
13‥アウタモール(ベルトモール)、13a,13b‥シール突起、
14‥インナモール(ベルトモール)、14a,14b‥シール突起、
15‥アウタパネル、16‥インナパネル、
20‥モータ、21‥昇降アーム、21a‥ギヤ、22‥従動アーム、
23‥固定チャンネル、24‥ガラス側チャンネル、
27‥回転検出装置、31‥コントローラ、31a‥巻き込み検出部、31b‥挟み込み検出部、32‥駆動回路

Claims (17)

  1. 操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止可能な開閉部材制御装置であって、前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定し、前記制御手段は、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに、前記駆動手段への電力供給を停止し、一方で、前記巻き込みを検知して前記開閉部材が停止してから所定時間内に開作動のために操作スイッチの操作が行われることに基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給を行い、前記開閉部材の開作動を再開可能とする、ことを特徴とする開閉部材制御装置。
  2. 緩和された前記巻き込み検出条件は、巻き込み検知を非検出状態とすることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
  3. 緩和された前記巻き込み検出条件は、巻き込み検知のしきい値を行い難く設定することを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
  4. 前記所定の条件は、制御手段へ開作動の信号を送る、手動による継続した操作スイッチの操作であることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
  5. 操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止可能な開閉部材制御装置であって、前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定し、前記制御手段は、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに、前記駆動手段への電力供給を停止し、一方で、所定の条件に基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給を行い、前記開閉部材の開作動を再開可能とするものであって、前記開閉部材は複数備えられ、各開閉部材には、個別に操作するための操作スイッチが前記開閉部材に近接して配置され、前記所定の条件は、巻き込み検知により開動作を停止した前記開閉部材に近接して配置された前記操作スイッチで開作動の操作がされることを特徴とする開閉部材制御装置。
  6. 開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止する開閉部材の制御方法であって、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定する工程と、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに前記駆動手段への電力供給を停止する工程と、巻き込みを検知して開閉部材が停止してから所定時間内に開作動のために操作スイッチの操作が行われる工程に基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給をする制御工程と、を備えたことを特徴とする開閉部材の制御方法。
  7. 緩和された前記巻き込み検出条件は、巻き込み検知を非検出状態とする工程を備えてなることを特徴とする請求項6に記載の開閉部材の制御方法。
  8. 緩和された前記巻き込み検出条件は、巻き込み検知のしきい値を行い難く設定する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の開閉部材の制御方法。
  9. 前記所定の条件は、制御手段へ開作動の信号を送る、手動による継続した操作スイッチの操作工程であることを特徴とする請求項6に記載の開閉部材の制御方法。
  10. 開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、を備え、操作スイッチの操作により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止する開閉部材の制御方法であって、前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定する工程と、前記巻き込み検出手段が異物の巻き込みを確定したときに前記駆動手段への電力供給を停止する工程と、所定の条件に基づき巻き込み検出条件を巻き込みが確定される前よりも巻き込み検出条件を緩和した状態にして、前記操作スイッチの操作により前記駆動手段への電力供給をする制御工程と、前記開閉部材は複数備えられ、各開閉部材には、個別に操作するための操作スイッチが前記開閉部材に近接して配置され、前記所定の条件は、巻き込み検知により開動作を停止した前記開閉部材に近接して配置された前記操作スイッチで開作動の操作がされる工程と、を備えたことを特徴とする開閉部材の制御方法。
  11. スイッチの操作または車両側の制御回路からの信号に基づき開閉部材を作動させ、前記開閉部材の開動作時の開閉部材への異物の巻き込みを防止する制御手段を備えた開閉部材制御装置において、
    前記制御手段は巻き込みを防止のための巻き込み検出の無効化手段又は巻き込みを防止のための巻き込み検出の条件を緩和する緩和手段を備え、
    前記開閉部材に開作動指令が出されているときに、前記制御手段が、前記スイッチの操作が巻き込み検知した後の所定時間内に実行された操作信号を認識すると、前記巻き込み検出の無効化手段又は前記緩和手段を実行する、ことを特徴とする開閉部材制御装置。
  12. スイッチの操作または車両側の制御回路からの信号により駆動される開閉部材への異物の巻き込み防止可能な開閉部材制御装置であって、
    前記開閉部材を開閉する駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記駆動手段によって開閉される開閉部材の移動状態に応じた信号を出力する移動状態検出手段と、前記移動状態に基づいて開閉部材の異物の巻き込みを検出する巻き込み検出手段と、
    を備え、
    前記巻き込み検出手段は、前記移動状態検出手段が検出する前記信号と巻き込み判定しきい値との比較結果によって前記開閉部材による異物の巻き込みを確定し、
    前記制御手段は、前記巻き込み検出手段の無効化手段又は前記巻き込み判定しきい値を緩和する緩和手段を有し、
    前記制御手段は、前記開閉部材に開作動指令が出されているときに、前記スイッチの操作が巻き込み検知した後の所定時間内に実行された操作信号を認識すると、前記無効化手段又は前記緩和手段を実行する、ことを特徴とする開閉部材制御装置。
  13. 前記所定の条件は、巻き込み検出した後の再作動時の開作動を指示する信号であることを特徴とする請求項11又は12に記載の開閉部材制御装置。
  14. 前記制御手段は、前記車両側の制御回路からの信号に基づき前記所定の条件を認識することを特徴とする請求項11又は12に記載の開閉部材制御装置。
  15. 前記車両側の制御回路からの信号は、車両が水没したときに生じる信号である、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の開閉部材制御装置。
  16. 前記所定の条件は、車両の外部からの無線信号による開作動指令である、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の開閉部材制御装置。
  17. 前記制御手段は、挟み込み検出手段を有し、前記所定の条件は、前記挟み込み検出後の開作動指令であることを特徴とする請求項11又は12に記載の開閉部材制御装置。
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