JP2005083052A - 開閉部材制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】挟み込みマスク期間を最適化し、挟み込み防止機能の低下を防止することができる開閉部材制御装置を提供する。
【解決手段】コントローラ3は、挟み込みマスク期間を駆動モータ2の起動時において設定しており、その挟み込みマスク期間の長さを駆動モータ2の起動時にかかる推定される負荷に応じて変更する。この負荷の推定は、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで行っている。
【選択図】 図1
【解決手段】コントローラ3は、挟み込みマスク期間を駆動モータ2の起動時において設定しており、その挟み込みマスク期間の長さを駆動モータ2の起動時にかかる推定される負荷に応じて変更する。この負荷の推定は、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで行っている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、車両のウインドガラスやルーフガラスを開閉させるパワーウインド装置やサンルーフ装置といった開閉部材制御装置に関する。
近年の車両用パワーウインド装置は、モータの駆動によりウインドガラスを開閉作動させている関係上、ウインドガラスによる挟み込みを防止する機能が備えられている。パワーウインド用のモータは、一般的に、モータ本体と該モータ本体の回転を減速して出力する減速機構とが一体に組み付けられており、モータの回転速度として該モータ本体の回転軸の回転速度を検出するように構成されている。そして、挟み込み防止機能は、ウインドガラスの閉作動中に挟み込みを判定する範囲内においてモータの回転速度が極端に低下した場合に、ウインドガラスにより異物を挟持したためにモータの回転速度が低下したと判定し、この挟持判定によりモータを反転駆動させ、挟持した異物を解放可能とすべくウインドガラスを所定量だけ開作動させるものである。
ところで、モータの減速機構やモータの回転運動をウインドガラスの上下運動に変換するウインドレギュレータ等においては機械的な遊びを有しているため、モータ起動時においてモータ本体がその遊びを有する方向に作動する場合、該モータ本体にかかる負荷が定常作動時にかかる負荷よりも一時的に小さい状態となり、該モータ本体の回転速度が瞬間的に速くなる。そして、その後、遊びがなくなると、ウインドガラスの作動にかかる通常の負荷がモータ本体に作用するため、該モータ本体の回転速度が定常作動状態の回転速度まで低下する。これにより、このように回転速度が低下した場合であっても、ウインドガラスにより異物を挟持したためにモータの回転速度が低下したと誤判定し、挟み込みが生じていないのにもかかわらずモータが反転駆動する場合があった。
そこで、例えば、特許文献1,2に示されるパワーウインド装置では、モータ(モータ本体)を前回の回転方向と異なる方向に回転させる場合、上記遊びにより起動時のモータ本体にかかる負荷が小さいため該モータ本体の回転速度が瞬間的に速くなることを考慮し、モータ起動時においてはモータの回転速度が安定するまでの所定時間(モータ本体の回転に同期したパルスの所定カウント数)だけ挟み込みの判定をマスク(禁止)する期間が設けられている。
特許第3324850号公報
特許第3393487号公報
しかしながら、モータを前回の回転方向と同方向に回転させる場合であっても、モータ起動時においてはモータの回転速度が安定しないため、このような回転速度の変動により挟み込みの判定に悪影響を与える虞があった。そのため、モータを前回の回転方向と同方向に回転させる場合であっても、モータ起動時においてモータの回転速度が安定するまでの所定時間だけ挟み込みの判定をマスクする期間を設定することが好ましいが、上記特許文献1,2ではそれがなされていなかった。
そこで、モータを前回の回転方向と同方向に回転させる場合においても、モータ起動時にモータを前回の回転方向と異なる方向に回転させる場合と同様のマスク期間を設定することが考えられる。
しかしながら、モータを前回の回転方向と同方向に回転させる場合では、上記遊びが生じていない、若しくは遊びが生じていても小さいので、モータの回転速度が安定するまでの時間は短い。そのため、モータを前回の回転方向と同方向に回転させる場合においては、モータを前回の回転方向と異なる方向に回転させる場合と同様のマスク期間を設定すると、そのマスク期間が必要以上に多くなり、このことが挟み込み防止機能を低下させる要因となる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、挟み込みマスク期間を最適化し、挟み込み防止機能の低下を防止することができる開閉部材制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、開閉部材を開閉作動させるべく駆動される駆動モータと、前記開閉部材の開閉作動を指令する開閉指令手段と、前記開閉作動の指令に基づいて前記開閉部材を開閉作動させるべく前記駆動モータを制御する駆動制御手段と、前記駆動モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記駆動モータの駆動による前記開閉部材の閉作動時に前記回転速度が低下した際の該回転速度の変動値がしきい値を超えると挟み込みが生じたと判定し、前記開閉部材にて挟持した異物を解放可能とすべく前記駆動モータを制御する挟み込み制御手段と、前記駆動モータの起動時から所定期間だけ挟み込みマスク期間を設定し、該期間内においては前記挟み込みの判定をマスクする挟み込みマスク手段と、前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定し、その推定した負荷に応じて前記挟み込みマスク期間の長さを変更するマスク期間変更手段と、を備えた開閉部材制御装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開閉部材制御装置において、前記駆動モータの駆動力を前記開閉部材に伝達するための駆動力伝達機構を備え、前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定すべく、少なくとも前記駆動モータの起動時における前記駆動力伝達機構中の機械的な遊びの状態を推定する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の開閉部材制御装置において、前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定すべく、少なくとも前記駆動モータの停止状態を判定する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回とで異なる場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータが前回の駆動でロック状態となっていない場合よりも前記駆動モータが前回の駆動で前記開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定する。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータが前回の駆動でロック状態となっていない場合において前記駆動モータの回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回と異なる場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定し、更に前記駆動モータが前回の駆動で前記開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定する。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの起動時にかかる負荷に応じた複数のマスク期間を予め有しており、推定した負荷に応じて複数のマスク期間のいずれかを前記挟み込みマスク期間として設定する。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、挟み込みマスク期間は、駆動モータの起動時において設定されるものであり、その挟み込みマスク期間の長さは、駆動モータの起動時にかかる推定される負荷に応じて変更される。ここで、例えば、駆動モータから開閉部材までの駆動力伝達機構中には機械的な遊び(ガタ等)があり、又、負荷側から駆動モータに外力が作用する等することにより、駆動モータの起動時にかかる負荷は様々で該起動時の駆動モータの回転速度の変動は様々であり、少なくとも必要な挟み込みマスク期間の長さも様々である。因みに、駆動モータの起動時にかかる負荷が定常作動時よりも小さくなるほど、起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなる。そのため、駆動モータの起動時にかかる推定負荷に応じて挟み込みマスク期間の長さを変更することで、該負荷に適した無駄の少ない挟み込みマスク期間とすることができ、挟み込み防止機能の低下が防止される。
請求項1に記載の発明によれば、挟み込みマスク期間は、駆動モータの起動時において設定されるものであり、その挟み込みマスク期間の長さは、駆動モータの起動時にかかる推定される負荷に応じて変更される。ここで、例えば、駆動モータから開閉部材までの駆動力伝達機構中には機械的な遊び(ガタ等)があり、又、負荷側から駆動モータに外力が作用する等することにより、駆動モータの起動時にかかる負荷は様々で該起動時の駆動モータの回転速度の変動は様々であり、少なくとも必要な挟み込みマスク期間の長さも様々である。因みに、駆動モータの起動時にかかる負荷が定常作動時よりも小さくなるほど、起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなる。そのため、駆動モータの起動時にかかる推定負荷に応じて挟み込みマスク期間の長さを変更することで、該負荷に適した無駄の少ない挟み込みマスク期間とすることができ、挟み込み防止機能の低下が防止される。
請求項2に記載の発明によれば、駆動モータの起動時にかかる負荷の推定は、少なくとも駆動モータの起動時における駆動力伝達機構中の機械的な遊びの状態を推定することで行われる。つまり、駆動力伝達機構中には一般的に機械的な遊び(ガタ等)があり、駆動モータを遊びを有する方向と遊びの無い方向に回転させる場合では、起動時の駆動モータにかかる負荷がそれぞれ異なり、該起動時の駆動モータの回転速度の変動が異なる。そのため、駆動モータの起動時における駆動力伝達機構中の機械的な遊びの状態を推定することで、駆動モータの起動時にかかる負荷の推定が容易且つ確実となる。
請求項3に記載の発明によれば、駆動モータの起動時にかかる負荷の推定は、少なくとも駆動モータの停止状態を判定することで行われる。つまり、負荷側から駆動モータに外力が作用したまま停止している状態と作用していない状態とでは、起動時の駆動モータにかかる負荷がそれぞれ異なり、該起動時の駆動モータの回転速度の変動が異なる。そのため、駆動モータの停止状態を判定することで、駆動モータの起動時にかかる負荷の推定が容易且つ確実となる。
請求項4に記載の発明によれば、挟み込みマスク期間は、駆動モータの回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回とで異なる場合の方が長く設定される。つまり、前者の場合では、駆動モータは今回遊びを有していない方向に駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時と同等の負荷が作用すると推定でき、後者の場合では、駆動モータは今回遊びを有する方向に駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時よりも小さい負荷が作用すると推定できる。従って、後者の場合の方が前者の場合よりも起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなるため、後者の場合の方が前者の場合よりも挟み込みマスク期間を長くすることで、無駄の少ない挟み込みマスク期間となる。又、駆動モータの回転方向の今回と前回とを比較することで起動時に駆動モータのかかる負荷を推定しているので、その負荷の推定が容易である。
請求項5に記載の発明によれば、挟み込みマスク期間は、駆動モータが前回の駆動でロック状態となっていない場合よりも駆動モータが前回の駆動で開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が長く設定される。つまり、前者の場合では、駆動モータは負荷側から外力が作用していない状態で駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時と同等の負荷が作用すると推定でき、後者の場合では、駆動モータは負荷側から外力(ロック時の反力)が作用する状態で駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時よりも小さい負荷が作用すると推定できる。従って、後者の場合の方が前者の場合よりも起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなるため、後者の場合の方が前者の場合よりも挟み込みマスク期間を長くすることで、無駄の少ない挟み込みマスク期間となる。又、駆動モータのロック状態を検出することで起動時に駆動モータのかかる負荷を推定しているので、その負荷の推定が容易である。
請求項6に記載の発明によれば、挟み込みマスク期間は、駆動モータが前回の駆動でロック状態となっていない場合において駆動モータの回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回と異なる場合の方が長く設定される。つまり、前者の場合では、駆動モータは今回遊びを有していない方向に駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時と同等の負荷が作用すると推定でき、後者の場合では、駆動モータは今回遊びを有する方向に駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時よりも小さい負荷が作用すると推定できる。従って、後者の場合の方が前者の場合よりも起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなるため、後者の場合の方が前者の場合よりも挟み込みマスク期間を長くすることで、無駄の少ない挟み込みマスク期間となる。又、挟み込みマスク期間は、更に駆動モータが前回の駆動で開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が長く設定される。つまり、前者の場合(ロック状態でなく回転方向が今回と前回と異なる場合)では、駆動モータは負荷側から外力が作用していない状態で駆動され、後者の場合では、駆動モータは負荷側から外力(ロック時の反力)が作用する状態で駆動されるため、起動時に駆動モータに定常作動時よりも更に小さい負荷が作用すると推定できる。従って、後者の場合の方が前者の場合よりも起動時の回転速度の変動が更に大きく、回転速度が安定するまでの時間が更に長くなるため、後者の場合の方が前者の場合よりも挟み込みマスク期間を更に長くすることで、より無駄の少ない挟み込みマスク期間となる。又、駆動モータの回転方向の今回と前回との比較や駆動モータのロック状態を検出することで起動時に駆動モータのかかる負荷を推定しているので、その負荷の推定が容易である。
請求項7に記載の発明によれば、駆動モータの起動時にかかる負荷に応じた複数のマスク期間が予め備えられ、推定した負荷に応じて複数のマスク期間のいずれかが挟み込みマスク期間として設定される。従って、複数のマスク期間の内で負荷に応じて選択するだけであるので、挟み込みマスク期間の設定が容易である。
本発明によれば、挟み込みマスク期間を最適化し、挟み込み防止機能の低下を防止することができる開閉部材制御装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の車両用パワーウインド装置1の電気的構成を示すブロック図である。パワーウインド装置1は、図2に示す車両のサイドドア10に配設される開閉部材としてのウインドガラス11を駆動モータ2の回転駆動により昇降(開閉)作動させるものである。パワーウインド装置1は、駆動モータ2、駆動制御手段、回転速度検出手段、挟み込み制御手段、挟み込みマスク手段及びマスク期間変更手段を構成するコントローラ3、駆動回路4、開閉指令手段としてのウインドスイッチ(ウインドSW)5及び回転速度検出手段を構成する回転検出装置6を備え、それぞれ車両の所定の場所に配設されている。コントローラ3には、車両に搭載されるバッテリ7から動作に必要な電源が供給され、駆動回路4には、該バッテリ7から駆動モータ2を駆動させるのに必要な電源が供給される。
図1は、本実施形態の車両用パワーウインド装置1の電気的構成を示すブロック図である。パワーウインド装置1は、図2に示す車両のサイドドア10に配設される開閉部材としてのウインドガラス11を駆動モータ2の回転駆動により昇降(開閉)作動させるものである。パワーウインド装置1は、駆動モータ2、駆動制御手段、回転速度検出手段、挟み込み制御手段、挟み込みマスク手段及びマスク期間変更手段を構成するコントローラ3、駆動回路4、開閉指令手段としてのウインドスイッチ(ウインドSW)5及び回転速度検出手段を構成する回転検出装置6を備え、それぞれ車両の所定の場所に配設されている。コントローラ3には、車両に搭載されるバッテリ7から動作に必要な電源が供給され、駆動回路4には、該バッテリ7から駆動モータ2を駆動させるのに必要な電源が供給される。
駆動モータ2は、コントローラ3の制御に基づいて駆動回路4から駆動電源が供給されて駆動され、ウインドレギュレータ12を介してウインドガラス11を昇降(開閉)させるものである。駆動モータ2は、モータ本体と該モータ本体の回転を減速して出力する減速機構とが一体に組み付けられて構成されている。この駆動モータ2には、駆動モータ2の回転速度としてモータ本体の回転軸の回転速度を検出するための回転検出装置6が一体に備えられている。回転検出装置6は、駆動モータ2の回転軸の回転と同期したパルス信号を得るものであり、そのパルス信号をコントローラ3に出力する。回転検出装置6は、例えば2個のホール素子を有しており、駆動モータ2の回転軸の回転に同期したパルス信号を出力するとともに、互いのパルス信号に所定の位相差が生じるように構成されている。
コントローラ3は、入力されるパルス信号の周期の長短に基づいて駆動モータ2の回転速度を検出するとともに、各パルス信号の位相差に基づいて駆動モータ2の回転方向を検出する。つまり、コントローラ3は、駆動モータ2の回転速度に基づいてウインドガラス11の作動速度を検出し、駆動モータ2の回転方向に基づいてウインドガラス11の作動方向を検出している。又、コントローラ3は、パルス信号のエッジに基づいてカウントし、そのカウント値(位置検出用カウント値)に基づいてウインドガラス11の作動端位置である全閉位置P1から作動端位置である全開位置P2までの各開閉位置を検出している。因みに、ウインドガラス11の全閉位置P1は位置検出用カウント値「0」に設定され、ウインドガラス11の全開方向への開作動に伴って位置検出用カウント値が加算される。これに対し、ウインドガラス11の閉作動時には位置検出用カウント値が減算され、ウインドガラス11が全閉位置P1になると位置検出用カウント値が再び「0」となる。
又、コントローラ3には、ウインドスイッチ5からウインドガラス11を開閉(昇降)作動させるべく各種指令信号が入力される。ウインドスイッチ5は、ウインドスイッチ5からウインドガラス11を開閉作動させるべく操作されるものである。ウインドスイッチ5は、一端側に2段階操作可能な揺動型スイッチ等で構成され、開スイッチ、閉スイッチ及びオートスイッチを備えている。
具体的には、ウインドスイッチ5は、一端が一段階操作されると開スイッチがオンされ、ウインドガラス11を通常開作動、即ち操作している間だけ開作動させるための通常開指令信号をコントローラ3に出力する。又、ウインドスイッチ5は、他端が一段階操作されると閉スイッチがオンされ、ウインドガラス11を通常閉作動、即ち操作している間だけ閉作動させるための通常閉指令信号をコントローラ3に出力する。又、ウインドスイッチ5は、一端が二段階操作されると開スイッチ及びオートスイッチがともにオンされ、ウインドガラス11をオート開作動、即ち操作を止めても全開位置P2まで開作動させるためのオート開指令信号をコントローラ3に出力する。又、ウインドスイッチ5は、他端が二段階操作されると閉スイッチ及びオートスイッチがともにオンされ、ウインドガラス11をオート閉作動、即ち操作を止めても全閉位置P1まで閉作動させるためのオート閉指令信号をコントローラ3に出力する。
コントローラ3は、ウインドスイッチ5から通常開指令信号が入力されると、コントローラ3は、該指令信号が入力されている間(ウインドスイッチ5を操作している間)、ウインドガラス11を通常開作動させるべく駆動回路4を介して駆動モータ2を駆動する。ウインドガラス11は通常開作動される。又、ウインドスイッチ5から通常閉指令信号が入力されると、コントローラ3は、該指令信号が入力されている間(ウインドスイッチ5を操作している間)、ウインドガラス11を通常閉作動させるべく駆動回路4を介して駆動モータ2を駆動する。ウインドガラス11は通常閉作動される。又、ウインドスイッチ5からオート開指令信号が入力されると、コントローラ3は、ウインドガラス11を全開位置P2までオート開作動させるべく駆動回路4を介して駆動モータ2を駆動する。ウインドガラス11は全開位置P2までオート開作動される。又、ウインドスイッチ5からオート閉指令信号が入力されると、コントローラ3は、ウインドガラス11を全閉位置P1までオート閉作動させるべく駆動回路4を介して駆動モータ2を駆動する。ウインドガラス11は全閉位置P1までオート閉作動される。
コントローラ3は、ウインドガラス11を閉作動(通常閉作動及びオート閉作動)させている場合、ウインドガラス11による挟み込みの有無を判定している(挟み込み判定処理)。即ち、ウインドガラス11にて挟み込みが生じると、該ウインドガラス11の作動速度、即ち駆動モータ2の回転速度が低下する。そのため、コントローラ3は、駆動モータ2の回転速度の変動を常時監視しており、その回転速度が低下した際の回転速度の変動値が予め定めたしきい値を超えると挟み込みと判定し、その判定に基づいてウインドガラス11にて挟持した異物を解放可能とすべく駆動モータ2の回転を反転させてウインドガラス11を所定量だけ開作動させる。尚、挟み込みと判定した時点で駆動モータ2の作動を停止し、ウインドガラス11のこれ以上の閉作動を停止させてもよい。
又、コントローラ3は、駆動モータ2の起動時に挟み込みの判定をマスク(禁止)する挟み込みマスク期間を設定すべく、上記したウインドスイッチ5の各種オン操作に基づいて、その挟み込みマスク期間を設定する(挟み込みマスク処理)。即ち、駆動モータ2の起動時はその回転速度が過渡的に変動して安定せず、このような回転速度の変動により挟み込みの判定に悪影響を与える虞があるため、コントローラ3は、これを回避するために挟み込みマスク期間を設定している。又、本実施形態のコントローラ3は、駆動モータ2が前回の駆動でウインドガラス11を全閉位置P1又は全開位置P2まで作動させてロック状態となったか否かを記憶するとともに、駆動モータ2の前回の回転方向を記憶している。そして、コントローラ3は、そのロック状態と前回の回転方向とから今回の駆動モータ2の起動状況を判定し、それぞれの状況に応じた長さに予め設定されている第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかを選択して挟み込みマスク期間として設定している。
ここで、図3(a)は、駆動モータ2をロック状態でない状態から回転させ、その回転方向が前回の回転方向と同じ方向である場合における駆動モータ2の回転速度の変動を示している。この場合では、駆動モータ2をロック状態でない状態から回転させるため、ドア10側からの反力がウインドガラス11及びウインドレギュレータ12を介して駆動モータ2に作用しない。しかも、駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と同じ方向であるため、駆動モータ2内の減速機構やウインドレギュレータ12等において機械的な遊びが生じていない、若しくは遊びが生じていても小さい。そのため、同図3(a)に示すように、起動時に定常作動時にかかる負荷と略同等の負荷が駆動モータ2にかかるため該モータ2の回転速度が瞬間的に大きく変動せず、その回転速度が安定するまでの時間は短い。従って、この場合における駆動モータ2の回転速度の変動に応じた長さに予め設定された第1マスク期間t1が前記挟み込みマスク期間として用いられる。
又、図3(b)は、駆動モータ2をロック状態でない状態から回転させ、その回転方向が前回の回転方向と異なる方向である場合における駆動モータ2の回転速度の変動を示している。この場合では、駆動モータ2をロック状態でない状態から回転させるため、ドア10側からの反力がウインドガラス11及びウインドレギュレータ12を介して駆動モータ2に作用しないが、駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と異なる方向であるため、駆動モータ2内の減速機構やウインドレギュレータ12等において遊びが生じている。そのため、同図3(b)に示すように、前記図3(a)の場合と比べて、起動時にかかる負荷が小さくなるため駆動モータ2の回転速度が瞬間的に大きく変動し、その回転速度が安定するまでの時間は若干長くなる。従って、この場合における駆動モータ2の回転速度の変動に応じた長さに予め設定された第2マスク期間t2が前記挟み込みマスク期間として用いられる。即ち、第2マスク期間t2は、第1マスク期間t1よりも所定時間だけ長い時間に設定されている。
又、図3(c)は、駆動モータ2をロック状態から回転させる場合における駆動モータ2の回転速度の変動を示している。この場合では、駆動モータ2をロック状態から回転させるため、ドア10側からの反力がウインドガラス11及びウインドレギュレータ12を介して駆動モータ2に作用する。そのため、同図3(c)に示すように、前記図3(b)の場合と比べて、起動時にかかる負荷がより小さくなるため駆動モータ2の回転速度が瞬間的に更に大きく変動し、その回転速度が安定するまでの時間は更に長くなる。従って、この場合における駆動モータ2の回転速度の変動に応じた長さに予め設定された第3マスク期間t3が前記挟み込みマスク期間として用いられる。即ち、第3マスク期間t3は、第2マスク期間t2よりも所定時間だけ長い時間に設定されている。
そして、コントローラ3は、駆動モータ2の起動状況から該モータ2の起動時にかかる負荷を推定し、その推定した負荷に応じた第1〜第3マスク期間t1〜t3にそれぞれ切り替えることで、各起動状況(負荷状況)に適した無駄の少ない挟み込みマスク期間となり、挟み込み防止機能の低下が防止される。
次に、このようなコントローラ3の挟み込みマスク処理及び挟み込み判定処理の具体的な処理を図4及び図5に示すフローに従って説明する。
[挟み込みマスク処理]
この挟み込みマスク処理は、所定時間毎(例えば、3[ms]毎)に行われる。
[挟み込みマスク処理]
この挟み込みマスク処理は、所定時間毎(例えば、3[ms]毎)に行われる。
ステップS1において、コントローラ3は、ウインドスイッチ(ウインドSW)5がオフからオンに切り替わったか否かを判定する。つまり、ウインドガラス11を通常閉作動、通常閉作動、オート開作動及びオート閉作動のいずれかの作動を行わせるべくウインドスイッチ5がオン操作され、駆動モータ2が起動したか否かをコントローラ3は判定している。ウインドスイッチ5がそのいずれかの操作によりオフからオンに切り替わると、コントローラ3は、駆動モータ2が起動したと判定し、ステップS2に進む。
ステップS2において、コントローラ3は、駆動モータ2が前回の駆動でロック状態となったか否かを判定する。つまり、コントローラ3は、前回の駆動モータ2の駆動においてウインドガラス11が全閉位置P1又は全開位置P2まで開閉作動されて駆動モータ2がロック状態となったかを判定する。駆動モータ2が前回の駆動でロック状態となっていないと判定されると、コントローラ3は、ステップS3に進む。
ステップS3において、コントローラ3は、駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と異なっているか否かを判定する。駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と異なっていない、即ち今回の回転方向が前回の回転方向と同じである場合、コントローラ3は、ステップS4に進み、挟み込みマスク期間を第1マスク期間t1に設定する。つまり、駆動モータ2がロック状態でなく、駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と同じである場合では、上記したように、起動時にかかる負荷が定常作動時と略同等であるため、駆動モータ2の回転速度が瞬間的に大きく変動せず、その回転速度が安定するまでの時間は短いと推定される(図3(a)参照)。これにより、コントローラ3は、この起動状況(負荷状況)に応じた長さに予め設定された第1マスク期間t1が挟み込みマスク期間として用いられる。そして、コントローラ3は、ステップS7に進む。
これに対し、ステップS3において、駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と異なっている場合では、コントローラ3は、ステップS5に進み、挟み込みマスク期間を第2マスク期間t2に設定する。つまり、駆動モータ2がロック状態でなく、駆動モータ2の今回の回転方向が前回の回転方向と異なる場合では、上記したように、起動時にかかる負荷が定常作動時よりも小さくなるため、駆動モータ2の回転速度が瞬間的に大きく変動し、その回転速度が安定するまでの時間は若干長くなると推定される(図3(b)参照)。これにより、コントローラ3は、この起動状況(負荷状況)に応じた長さに予め設定された第2マスク期間t2が挟み込みマスク期間として用いられる。そして、コントローラ3は、ステップS7に進む。
又、前記ステップS2において、駆動モータ2がロック状態となっていると判定されると、コントローラ3は、ステップS6に進み、挟み込みマスク期間を第3マスク期間t3に設定する。つまり、駆動モータ2がロック状態である場合では、上記したように、起動時にかかる負荷が定常作動時よりも更に小さくなるため、駆動モータ2の回転速度が瞬間的に更に大きく変動し、その回転速度が安定するまでの時間は更に長くなると推定される(図3(c)参照)。これにより、コントローラ3は、この起動状況(負荷状況)に応じた長さに予め設定された第3マスク期間t3が挟み込みマスク期間として用いられる。そして、コントローラ3は、ステップS7に進む。
ステップS7において、コントローラ3は、次回ステップS3の判定を行うために、駆動モータ2の今回の回転方向を前回の回転方向として記憶し、ステップS8に進む。ステップS8において、コントローラ3は、挟み込みマスク処理に用いるマスク処理用カウント値を初期値の「0」にリセットする。
このようにステップS2〜S8においては、挟み込みマスク期間を第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかに変更するマスク期間変更処理が行われている。そして、コントローラ3は、ステップS9に進む。
ステップS9において、コントローラ3は、回転検出装置6からのパルス信号のエッジを検出したか否かを判定する。パルス信号のエッジを検出すると、コントローラ3は、ステップS10に進み、マスク処理用カウント値をインクリメント(「1」を加算)して、ステップS11に進む。一方、パルス信号のエッジが検出されないと、コントローラ3は、ステップS11に進む。つまり、コントローラ3は、パルス信号のエッジに基づいてマスク処理用カウント値をインクリメントする。
ステップS11において、コントローラ3は、前記マスク期間変更処理にて挟み込みマスク期間として決定された第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかよりもマスク処理用カウント値が大きいか否かを判定する。即ち、前記第1〜第3マスク期間t1〜t3は、本実施形態では、それぞれの期間長さに応じたカウント値に設定されており、このステップS11においては、各マスク期間t1〜t3に対応するカウント値とマスク処理用カウント値とが比較される。そして、マスク処理用カウント値が決定された第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかよりも小さい場合、コントローラ3は、ステップS12に進み、挟み込みマスク期間を設定するためのマスク(禁止)フラグを「1」として、今回の処理を終了する。これに対し、マスク処理用カウント値がそれよりも大きい場合、コントローラ3は、ステップS13に進み、挟み込みマスク期間の設定を解除するためのマスク(禁止)フラグを「0」として、今回の処理を終了する。
このようにステップS9〜S13においては、駆動モータ2の駆動時にその回転に同期したパルス信号のエッジに基づいて動作するマスク処理用カウント値を用いて決定された第1〜第3マスク期間t1〜t3期間を計測し、挟み込みマスク期間の設定・解除を行うべくマスクフラグを切り替えるマスクフラグ切替処理が行われている。
前記ステップS1において、ウインドスイッチ5がオフからオンに切り替わらない場合、即ち駆動モータ2の起動時以外の場合、コントローラ3は、前記ステップS9に進む。即ち、駆動モータ2の駆動が継続している場合と、駆動モータ2の駆動が停止する場合と、駆動モータ2が停止状態となっている場合とのいずれかの場合があり、これらの場合においては、コントローラ3は、前記ステップS9に進んでマスク期間変更処理を行わず、前記ステップS9以降のマスクフラグ切替処理のみを行うようになっている。
従って、このような構成の挟み込みマスク処理は、駆動モータ2が起動時のみにステップS2〜S8までのマスク期間変更処理を行うとともにステップS9〜S13までのマスクフラグ切替処理を行い、駆動モータ2の起動時以外ではマスク期間変更処理を飛ばしてマスクフラグ切替処理のみを行うようになっている。尚、マスクフラグ切替処理においては、駆動モータ2の駆動とともに動作するマスク処理用カウント値を用いているため、マスクフラグの切替は、駆動モータ2の駆動時のみに行われることになる。これにより、コントローラ3は、このような挟み込みマスク処理を所定時間毎に実行することで、駆動モータ2の起動時にその起動時の状況に応じて第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかを選択して決定し、その起動から決定された第1〜第3マスク期間t1〜t3だけ挟み込みマスク期間を設定し、その後、そのマスク期間の設定を解除するように動作する。
[挟み込み判定処理]
この挟み込み判定処理は、前記挟み込みマスク処理と同様、所定時間毎(例えば、3[ms]毎)に行われる。
この挟み込み判定処理は、前記挟み込みマスク処理と同様、所定時間毎(例えば、3[ms]毎)に行われる。
ステップS21において、コントローラ3は、回転検出装置6からのパルス信号のエッジを検出したか否かを判定する。パルス信号のエッジを検出すると、コントローラ3は、ステップS22に進み、コントローラ3は、挟み込み演算処理を行う。即ち、コントローラ3は、駆動モータ2の回転速度の変動を常時監視しており、その回転速度が低下した際の回転速度の変動値を算出する。そして、コントローラ3は、ステップS23に進む。
ステップS23において、コントローラ3は、前記挟み込みマスク処理において切り替えられるマスク(禁止)フラグが「0」か否かを判定する。マスクフラグが「0」である場合、コントローラ3は、挟み込みマスク期間の設定が解除された期間であると認識し、ステップS24に進む。
ステップS24において、コントローラ3は、挟み込みの判定を行うべく、前記ステップS22で求めた駆動モータ2の回転速度の変動値が予め定めたしきい値よりも大きいか否かを判定する。回転速度の変動値が予め定めたしきい値よりも大きいと判定すると、コントローラ3は、挟み込みが生じていると判定し、ステップS25に進んで挟み込み判定フラグをセット(SET)状態とし、これに基づいて挟み込みを解除させるべく駆動モータ2の回転を反転させる。尚、コントローラ3は、駆動モータ2の反転駆動時に挟み込み判定フラグが後述するクリア(CLR)状態に切り替えられても、その所定の反転動作を終了するまで該動作を継続するようになっている。
前記ステップS21において、パルス信号のエッジが検出されないと、コントローラ3は、ステップS26に進み、駆動モータ2の反転動作を行わないようにするために挟み込み判定フラグをクリア(CLR)状態とする。又、前記ステップS23において、マスクフラグが「0」でない、即ちマスクフラグが「1」の場合、つまり挟み込みマスク期間内である場合は、コントローラ3は、同様に挟み込み判定フラグをクリア(CLR)状態とする。更に、前記ステップS24において、駆動モータ2の回転速度の変動値が予め定めたしきい値よりも小さいと判定すると、コントローラ3は、挟み込みが生じていないと判定し、同様に挟み込み判定フラグをクリア(CLR)状態とする。
これにより、コントローラ3は、このような挟み込み判定処理を所定時間毎に実行することで、駆動モータ2の駆動とともに挟み込みの演算を行い、挟み込みマスク期間が解除された期間において、その演算に基づいて挟み込みの判定を行うように動作する。
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)挟み込みマスク期間は、駆動モータ2の起動時において設定されるものであり、その挟み込みマスク期間の長さは、駆動モータ2の起動時にかかる推定される負荷に応じて変更される。この負荷の推定は、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで行っている。ここで、駆動モータ2からウインドガラス11までの駆動力伝達機構中、例えば駆動モータ2内の減速機構やウインドレギュレータ12等には機械的な遊び(ガタ等)があり、又、負荷側から駆動モータ2に外力(ロック時の反力)が作用する等することにより、駆動モータ2の起動時にかかる負荷は様々で該起動時の駆動モータの回転速度の変動は様々であり、少なくとも必要な挟み込みマスク期間の長さも様々である。因みに、駆動モータ2の起動時にかかる負荷が定常作動時よりも小さくなるほど、起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなる。そのため、駆動モータ2の起動時にかかる推定負荷に応じて挟み込みマスク期間の長さを変更、本実施形態ではそれぞれ長さの異なる第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかを選択することで、該負荷に適した無駄の少ない挟み込みマスク期間とすることができ、挟み込み防止機能の低下を防止することができる。
(1)挟み込みマスク期間は、駆動モータ2の起動時において設定されるものであり、その挟み込みマスク期間の長さは、駆動モータ2の起動時にかかる推定される負荷に応じて変更される。この負荷の推定は、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで行っている。ここで、駆動モータ2からウインドガラス11までの駆動力伝達機構中、例えば駆動モータ2内の減速機構やウインドレギュレータ12等には機械的な遊び(ガタ等)があり、又、負荷側から駆動モータ2に外力(ロック時の反力)が作用する等することにより、駆動モータ2の起動時にかかる負荷は様々で該起動時の駆動モータの回転速度の変動は様々であり、少なくとも必要な挟み込みマスク期間の長さも様々である。因みに、駆動モータ2の起動時にかかる負荷が定常作動時よりも小さくなるほど、起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなる。そのため、駆動モータ2の起動時にかかる推定負荷に応じて挟み込みマスク期間の長さを変更、本実施形態ではそれぞれ長さの異なる第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかを選択することで、該負荷に適した無駄の少ない挟み込みマスク期間とすることができ、挟み込み防止機能の低下を防止することができる。
(2)駆動力伝達機構中(駆動モータ2内の減速機構やウインドレギュレータ12等)には一般的に機械的な遊び(ガタ等)があり、駆動モータ2を遊びを有する方向と遊びの無い方向に回転させる場合では、起動時に駆動モータ2にかかる負荷がそれぞれ異なり、該起動時の駆動モータ2の回転速度の変動が異なる。そのため、少なくとも駆動モータ2の起動時における駆動力伝達機構中の機械的な遊びの状態を推定することで、駆動モータ2の起動時にかかる負荷の推定を容易且つ確実に行うことができる。
(3)負荷側から駆動モータ2に外力(ロック時の反力)が作用したまま停止している状態と作用していない状態とでは、起動時の駆動モータ2にかかる負荷がそれぞれ異なり、該起動時の駆動モータ2の回転速度の変動が異なる。そのため、駆動モータ2の停止状態を判定することで、駆動モータ2の起動時にかかる負荷の推定を容易且つ確実に行うことができる。
(4)挟み込みマスク期間は、駆動モータ2が前回の駆動でロック状態となっていない場合において駆動モータ2の回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回と異なる場合の方が長く設定される。つまり、前者の場合では、駆動モータ2は今回遊びを有していない方向に駆動されるため、起動時に駆動モータ2に定常作動時と同等の負荷が作用すると推定でき、後者の場合では、駆動モータ2は今回遊びを有する方向に駆動されるため、起動時に駆動モータ2に定常作動時よりも小さい負荷が作用すると推定できる。従って、後者の場合の方が前者の場合よりも起動時の回転速度の変動が大きく、回転速度が安定するまでの時間が長くなるため、後者の場合の方が前者の場合よりも挟み込みマスク期間を長くすることで、無駄の少ない挟み込みマスク期間とすることができる。
(5)挟み込みマスク期間は、更に駆動モータ2が前回の駆動で開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が長く設定される。つまり、前者の場合(ロック状態でなく回転方向が今回と前回と異なる場合)では、駆動モータ2は負荷側から外力が作用していない状態で駆動され、後者の場合では、駆動モータ2は負荷側から外力(ロック時の反力)が作用する状態で駆動されるため、起動時に駆動モータ2に定常作動時よりも更に小さい負荷が作用すると推定できる。従って、後者の場合の方が前者の場合よりも起動時の回転速度の変動が更に大きく、回転速度が安定するまでの時間が更に長くなるため、後者の場合の方が前者の場合よりも挟み込みマスク期間を更に長くすることで、より無駄の少ない挟み込みマスク期間とすることができる。
(6)駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで起動時に駆動モータ2のかかる負荷を推定しているので、その負荷の推定が容易である。
(7)駆動モータ2の起動時にかかる負荷に応じた複数のマスク期間(第1〜第3マスク期間t1〜t3)が予め備えられ、推定した負荷に応じて第1〜第3マスク期間t1〜t3のいずれかが挟み込みマスク期間として設定される。従って、第1〜第3マスク期間t1〜t3の内で負荷に応じて選択するだけであるので、挟み込みマスク期間の設定が容易である。
(8)駆動モータ2を起動する度に、挟み込みマスク処理に用いるマスク処理用カウント値が初期値の「0」にリセットされる(ステップS8)。従って、マスク処理用カウント値が異常値になることが防止でき、挟み込みマスク処理をより確実に行うことができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで起動時に駆動モータ2のかかる負荷を推定していたが、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較のみ、若しくは駆動モータ2のロック状態を検出することのみで駆動モータ2のかかる負荷を推定するようにしてもよい。又、これ以外で、起動時に駆動モータ2のかかる負荷を推定してもよい。
○上記実施形態では、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較や駆動モータ2のロック状態を検出することで起動時に駆動モータ2のかかる負荷を推定していたが、駆動モータ2の回転方向の今回と前回との比較のみ、若しくは駆動モータ2のロック状態を検出することのみで駆動モータ2のかかる負荷を推定するようにしてもよい。又、これ以外で、起動時に駆動モータ2のかかる負荷を推定してもよい。
○上記実施形態では、第1〜第3マスク期間t1〜t3の3つのマスク期間から挟み込みマスク期間を選択するようにしたが、3以外の複数のマスク期間を用意してもよい。又、挟み込みマスク期間の長さをその都度計算により変更するようにしてもよい。
○上記実施形態では、駆動モータ2の駆動時にカウント動作するマスク処理用カウント値を用いて挟み込みマスク期間を計測したが、カウント値ではなく時間で挟み込みマスク期間を計測してもよい。
○上記実施形態では、開閉部材をウインドガラス11とした車両用パワーウインド装置1に実施したが、開閉部材をサンルーフとしたサンルーフ装置や開閉部材をスライドドアとしたスライドドア開閉装置に実施してもよい。又、これ以外の開閉制御装置に実施してもよい。
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ) 請求項1〜7のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの駆動に伴ってカウント動作を行い、且つ前記挟み込みマスク期間を計測するためのマスク処理用カウント値を有し、前記駆動モータの起動時に該マスク処理用カウント値を初期値にリセットすることを特徴とする開閉部材制御装置。
(イ) 請求項1〜7のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの駆動に伴ってカウント動作を行い、且つ前記挟み込みマスク期間を計測するためのマスク処理用カウント値を有し、前記駆動モータの起動時に該マスク処理用カウント値を初期値にリセットすることを特徴とする開閉部材制御装置。
これにより、駆動モータを起動する度に、挟み込みマスク処理に用いるマスク処理用カウント値が初期値にリセットされるので、マスク処理用カウント値が異常値になることが防止でき、挟み込みマスク処理をより確実に行うことができる。
(ロ) 駆動モータの駆動による開閉部材の閉作動時に回転速度が低下した際の該回転速度の変動値がしきい値を超えると挟み込みが生じたと判定して該開閉部材にて挟持した異物を解放可能とすべく駆動モータを制御するとともに、該駆動モータの起動時から所定期間だけ挟み込みマスク期間を設定し、該期間内においては前記挟み込みの判定をマスクする開閉部材制御方法であって、
前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定し、その推定した負荷に応じて前記挟み込みマスク期間の長さを変更することを特徴とする開閉部材制御方法。
前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定し、その推定した負荷に応じて前記挟み込みマスク期間の長さを変更することを特徴とする開閉部材制御方法。
このようにしても請求項1の発明と同様の効果がある。
2…駆動モータ、3…駆動制御手段、回転速度検出手段、挟み込み制御手段、挟み込みマスク手段及びマスク期間変更手段を構成するコントローラ、5…開閉指令手段としてのウインドスイッチ、6…回転速度検出手段を構成する回転検出装置、11…開閉部材としてのウインドガラス、P1…作動端位置としての全閉位置、P2…作動端位置としての全開位置、t1〜t3…マスク期間としての第1〜第3マスク期間。
Claims (7)
- 開閉部材を開閉作動させるべく駆動される駆動モータと、
前記開閉部材の開閉作動を指令する開閉指令手段と、
前記開閉作動の指令に基づいて前記開閉部材を開閉作動させるべく前記駆動モータを制御する駆動制御手段と、
前記駆動モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記駆動モータの駆動による前記開閉部材の閉作動時に前記回転速度が低下した際の該回転速度の変動値がしきい値を超えると挟み込みが生じたと判定し、前記開閉部材にて挟持した異物を解放可能とすべく前記駆動モータを制御する挟み込み制御手段と、
前記駆動モータの起動時から所定期間だけ挟み込みマスク期間を設定し、該期間内においては前記挟み込みの判定をマスクする挟み込みマスク手段と、
前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定し、その推定した負荷に応じて前記挟み込みマスク期間の長さを変更するマスク期間変更手段と、
を備えたことを特徴とする開閉部材制御装置。 - 請求項1に記載の開閉部材制御装置において、
前記駆動モータの駆動力を前記開閉部材に伝達するための駆動力伝達機構を備え、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定すべく、少なくとも前記駆動モータの起動時における前記駆動力伝達機構中の機械的な遊びの状態を推定することを特徴とする開閉部材制御装置。 - 請求項1又は2に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの起動時にかかる負荷を推定すべく、少なくとも前記駆動モータの停止状態を判定することを特徴とする開閉部材制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回とで異なる場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定することを特徴とする開閉部材制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータが前回の駆動でロック状態となっていない場合よりも前記駆動モータが前回の駆動で前記開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定することを特徴とする開閉部材制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータが前回の駆動でロック状態となっていない場合において前記駆動モータの回転方向が今回と前回と同じである場合よりも該回転方向が今回と前回と異なる場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定し、更に前記駆動モータが前回の駆動で前記開閉部材を作動端位置まで作動させてロック状態となった場合の方が前記挟み込みマスク期間を長く設定することを特徴とする開閉部材制御装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置において、
前記マスク期間変更手段は、前記駆動モータの起動時にかかる負荷に応じた複数のマスク期間を予め有しており、推定した負荷に応じて複数のマスク期間のいずれかを前記挟み込みマスク期間として設定することを特徴とする開閉部材制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003315801A JP2005083052A (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | 開閉部材制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003315801A JP2005083052A (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | 開閉部材制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=34415947
Family Applications (1)
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JP2003315801A Pending JP2005083052A (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | 開閉部材制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005083052A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008008121A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-01-17 | Sunx Ltd | 戸挟み検出装置 |
JP2010024646A (ja) * | 2008-07-16 | 2010-02-04 | Asmo Co Ltd | 開閉部材制御装置 |
CN110446824A (zh) * | 2017-03-27 | 2019-11-12 | 株式会社电装 | 开闭体驱动装置 |
JP2020029739A (ja) * | 2018-08-24 | 2020-02-27 | 株式会社デンソー | 開閉部材制御装置及び制御装置付きモータ |
-
2003
- 2003-09-08 JP JP2003315801A patent/JP2005083052A/ja active Pending
Cited By (4)
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