JP3572360B2 - パワーウインド装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車のウインドガラスを自動的に上昇移動または下降移動させるのに利用されるパワーウインド装置に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来、自動車のウインドガラスを自動的に上昇移動または下降移動するパワーウインド装置としては、スイッチの操作によってパワーウインドモータに電源の電流を切換えて供給するコントローラを備えているものが知られている。スイッチがウインド開側にオンされるとこのスイッチのオン時間に対応してパワーウインドモータにウインドガラスを開けるための電流が供給され、スイッチがウインド閉側にオンされるとスイッチのオン時間に対応してパワーウインドモータにウインドガラスを閉めるための電流が供給される。パワーウインドモータには回転センサが設けられており、この回転センサはパワーウインドモータのモータシャフトが回転することによってパルス信号を発生するため、コントローラは回転センサが発生したパルス信号のカウント値とそのときの間隔によってウインドガラスの現在位置とウインドガラスにかかっている負荷を検出する。スイッチがウインド閉側にオンされてウインドガラスを閉める方向に移動しているときに、回転センサが発生したパルス信号の数が極端に少なくなり且つパルス信号の間隔が極端に大きくなったりパルス信号がなくなったりしたことによってコントローラはウインドガラスの移動側に挾み込みが発生していることの認識を行うため、パワーウインドモータに対する電流を反転して供給しウインドガラスを閉める方向から開ける方向に反転移動させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のパワーウインド装置では、回転センサが発生したパルス信号のカウント値とそのときの間隔によってウインドガラスの現在位置とウインドガラスにかかっている負荷を検出し、回転センサが発生したパルス信号の数が極端に少なくなり且つパルス信号の間隔が大きくなったりパルス信号がなくなったときにウインドガラスの挾み込みの認識を行う構造であることから、挟み込んだものが柔らかいものの場合、回転センサよりのパルス信号は挾み込みが起こってからもあり、パルス信号の間隔も極端に大きくなることはないので、回転センサの検出分解能が高くなくてもよいが、挟み込んだものが堅いものの場合、回転センサよりのパルス信号は挾み込みが起こったと同時に消滅し、パルス信号は発生しなくなるため、回転センサの検出分解能を高くしないと反転をするタイミングに遅れが生じて大きな挾み込み力で挾み込みをする可能性を有するという問題点があり、前記の問題点を解決することが課題となっていた。
【0004】
【発明の目的】
この発明に係わるパワーウインド装置は、ウインドガラスと車体との間に挟み込んだものが堅いものか、あるいは柔らかいものかによって反転を行うタイミングを変えて挟み込んだものに対する損傷をできる限り少なくすることができるパワーウインド装置を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の構成】
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るパワーウインド装置では、正回転、または逆回転してウインドガラスを全閉方向、又は全開方向に移動するモータと、前記モータの回転に同期してパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、ウインドガラスを閉めるためのアップ指令信号、およびウインドガラスを開けるためのダウン指令信号を発生するスイッチ手段と、前記スイッチ手段が発生したアップ指令信号、またはダウン指令信号によって前記モータを駆動する駆動手段と、前記パルス信号発生手段が発生したパルス信号に基づきウインドガラスの位置を検出して位置信号を発生する位置検出手段と、前記パルス信号発生手段が発生したパルス信号の周期に基づき速度検出信号を発生する速度検出手段と、ウインドガラスが全閉方向に移動している際に、ウインドガラスと車体との間に柔らかい物が挟まれ、前記位置検出手段が発生する位置検出信号で算出した複数個のパルス信号幅の和に相当する第1の設定量だけウインドガラスが移動する間に前記速度検出手段からの速度検出信号の変化量が予め定められた第1の減速量設定値以上になると第1の反転信号を発生する第1の負荷検出手段と、ウインドガラスが全閉方向に移動している際に、ウインドガラスと車体との間に堅い物が挟まれ、前記位置検出手段が発生する位置検出信号で算出した単一のパルス信号幅に相当する第2の設定量だけウインドガラスが移動する間に前記速度検出手段からの速度検出信号の変化量が予め定められた第2の減速量設定値以上になると第2の反転信号を発生する第2の負荷検出手段と、前記第1の負荷検出手段が発生した第1の反転信号、または第2の負荷検出手段が発生した第2の反転信号により前記モータを全開方向に移動させる反転駆動指令信号を発生し、この反転駆動指令信号を前記駆動手段に供給する反転指令手段を備えている構成としたことを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】
この発明に係わるパワーウインド装置において、パルス発生手段よりパルス信号が発生するとパルス信号毎に第1の負荷検出手段および第2の負荷検出手段がウインドガラスの負荷検出を行う。ウインドガラスを閉めているときにウインドガラスと車体との間に柔らかいものの挾み込みがあると、ウインドガラスは瞬時のうちに移動を拘束されず、パルス信号は引き続き発生し、出力軸は回転が減速されるため、ウインドガラスが複数個の第1のパルス信号数に相当する第1の設定量移動して第1の減速量設定値を越えたタイミングでウインドガラスの反転動作がなされる。ウインドガラスを閉めているときにウインドガラスと車体との間に堅いものの挾み込みがあると、ウインドガラスは瞬時のうちに移動を阻止されて出力軸は回転を拘束され、パルス信号も消滅するため、ウインドガラスが単一の第2のパルス信号数に相当する第2の設定量移動して第2の減速量設定値を越えたタイミングでウインドガラスの反転動作がなされる。それ故、柔らかいものの挾み込みの際も、堅いものの挾み込みの際もパルス発生手段の検出分解能に左右されないで挾み込みの検出を行い、しかも挟み込んだものに対する挾み込み力を大きくすることがないものとなる。
【0008】
【実施例】
図1ないし図11には、この発明に係わるパワーウインド装置の一実施例が示されており、図1はパワーウインド装置の要部構成図、図2はパワーウインド装置の全体構成図、図3、図4、図5、図6、図7、図8はパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図、図9、図10、図11はパワーウインド装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【0009】
図示するパワーウインド装置1は、図1に示すように、主として、スイッチ手段2、パルス信号発生手段3、駆動手段4、位置検出手段5、速度検出手段6、第1の負荷検出手段7、第2の負荷検出手段8、反転指令手段9から構成されており、駆動手段4はウインドモータ10に備えられた第1のブラシ端子10aと第2のブラシ端子10bに電気的に接続され、スイッチ手段2は図2に示す制御手段11に電気的に接続され、位置検出手段5と速度検出手段6と第1の負荷検出手段7と第2の負荷検出手段8と反転指令手段9とは制御手段11に備えられたマイクロコンピュータ12に内蔵されている。
【0010】
スイッチ手段2にはアップスイッチ2a、ダウンスイッチ2b、オートスイッチ2cが備えられている。アップスイッチ2aは乗員によりオン操作されるとオン操作時間に応答しマニュアルアップ指令信号を発生して制御手段11のマイクロコンピュータ12に送給する。ダウンスイッチ2bは乗員によりオン操作されるとオン操作時間に応答しマニュアルダウン指令信号を発生して制御手段11のマイクロコンピュータ12に送給する。オートスイッチ2cはアップスイッチ2aとともに乗員によりオン操作されるとアップスイッチ2aがオフされてもマニュアルアップ指令信号を継続させるための継続指令を制御手段11のマイクロコンピュータ12に送給する。オートスイッチ2cはダウンスイッチ2bとともに乗員によりオン操作されるとダウンスイッチ2bがオフされてもマニュアルダウン指令信号を継続させるための継続指令を制御手段11のマイクロコンピュータ12に送給する。
【0011】
制御手段11には、イグニションスイッチ13と電源50が電気的に接続されているとともにウインドモータ10が電気的に接続されている。イグニションスイッチ13がオンされると制御手段11に電源50を接続するため、制御手段11が作動待機の状態となる。
【0012】
ウインドモータ10には出力軸10cが備えられている。この出力軸10cは、第1のブラシ端子10aから第2のブラシ端子10bに向けて電源50の電流が供給されると正回転し、第2のブラシ端子10bから第1のブラシ端子10aに向けて電源50の電流が供給されると逆回転する。
【0013】
出力軸10cには昇降手段となるウインドレギュレータ20を介してウインドガラス30が連結されている。出力軸10cが正回転することによってウインドレギュレータ20がダウン側に作動されるためウインドガラス30を全開側に移動させる。出力軸10cが逆回転することによってウインドレギュレータ20がアップ側に作動されるためウインドガラス30を全閉側に移動させる。
【0014】
ウインドモータ10にはパルス信号発生手段3が取付けられており、このパルス信号発生手段8は出力軸10cの回転に同期してパルス信号を発生する。パルス信号発生手段3が発生するパルス信号は、出力軸10cの回転速度が高いと周期が短くなり、出力軸10cの回転速度が遅いと周期が長くなる。パルス信号発生手段3が発生したパルス信号は制御手段11のマイクロコンピュータ12に送給されるため、マイクロコンピュータ12によって認識される。
【0015】
一方、制御手段11には前記マイクロコンピュータ12、電源回路14、リセット回路15、電源電圧検出回路16、駆動手段4が備えられている。
【0016】
電源回路14は一方が電源50に接続されているとともに他方がマイクロコンピュータ12の電源入力部に接続されているため、マイクロコンピュータ12内の制御素子に電源50の電流を常時供給している。
【0017】
リセット回路15は一方が電源50に接続されているとともに他方がマイクロコンピュータ12のリセット入力部に接続されているため、イグニションスイッチ13がオンされる毎にマイクロコンピュータ12を初期状態にセットする。
【0018】
電源電圧検出回路16は一方がイグニションスイッチ15に接続されているとともに他方がマイクロコンピュータ12の電源電圧検出部に接続されている。電源電圧検出回路16はイグニションスイッチ15がオンされた際に生ずる過電流をマイクロコンピュータ12に流さないための機能を有する。
【0019】
マイクロコンピュータ12には、位置検出手段5と、速度検出手段6と、第1の負荷検出手段7と、第2の負荷検出手段8と、反転指令手段9が内蔵されている。位置検出手段5はパルス信号発生手段3が発生したパルス信号を計数することによってウインドガラス30の全閉位置から全開位置までの全ストローク内での現在位置をパルス信号数により相対的に検出してパルスカウントとしての現在位置信号を発生する。現在位置信号は後述する第1の負荷検出手段7および第2の負荷検出手段8に送給される。位置検出手段5が発生する現在位置信号は、図2により明らかなように、ウインドガラス30の全ストローク内で全閉位置の近傍から全閉位置と全開位置とのほぼ中間部分までが予め定められた反転領域Aに相当する値となる。
【0020】
速度検出手段6はパルス信号発生手段3が発生したパルス信号を一定時間内でサンプリングすることによってウインドガラス30の現在位置においての移動速度をウインドモータ10の出力軸10cの回転速度により相対的に検出して現在速度値としての速度検出信号を発生する。速度検出信号も後述する第1の負荷検出手段7および第2の負荷検出手段8に送給される。
【0021】
第1の負荷検出手段7は図3、図4、図5により明らかなように、パルス信号発生手段3が発生した5個の第1のパルス信号数で第1の設定値を定めているとともに第1の減速量設定値Δω1を定めている。
【0022】
第1の負荷検出手段7はパルス信号発生手段3がパルス信号を発生した毎に速度データを認識するとともに、発生した5個の速度データをラムエリア内に蓄積し、蓄積した5個のうちの1個を最新の速度データで随時更新し、5個分の速度データ(例えば、単一のパルス信号がウインドガラス30の移動量で2mmとすると、5個分のパルス信号数に相当するウインドガラス30の移動量は10mmとなる。)のうちの最大値ωmaxをバッファ内に格納し、前記最大値ωmaxから第1の減速量設定値Δω1を減算することによって第1の移動量における第1の速度しきい値ωref1を設定し、スイッチ手段2よりアップ指令信号が発生しているときに、新しいサンプル速度ω0が、第1の速度しきい値ωref1より小さくなったら第1の反転信号を発生する。第1の反転信号は後述する反転指令手段9に送給される。ウインドガラス30は全閉側に移動している途中でウインドガラス30と車体との間に比較的柔らかいものを挟み込んだときに瞬時のうちに停止せずにわずかながら移動を続けるため、第1の負荷検出手段7はウインドガラス30が移動したことによって発生した最新の5個の速度データのうちの最大値を最新値によって負荷の変動を認識することによって柔らかいものの挾み込みを検知してウインドモータ10を反転させるための動作を行う。
【0023】
第2の負荷検出手段8は図6、図7、図8により明らかなように、パルス信号発生手段3が発生した1個の第2のパルス信号の幅で第2の設定値を定めているとともに第2の減速量設定値Δω2を定めている。
【0024】
第2の負荷検出手段8はパルス信号発生手段3がパルス信号を発生した毎に速度データを認識するとともに、発生した5個の速度データをラムエリア内に蓄積し、蓄積した5個のうちの1個を最新の速度データで随時更新し、この1個分の速度データ(例えば、単一のパルス信号に相当するウインドガラス30の移動量は2mmとなる。)を最大値ωmaxとして格納し、最大値ωmaxから第2の減速設定値Δω2を減算することによって第2の移動量における第2の速度しきい値ωref2を設定し、スイッチ手段2よりアップ指令信号が発生しているときに、新しいサンプル速度ω0が、第2の速度しきい値ωref2より小さくなったら第2の反転信号を発生する。第2の反転信号は後述する反転指令手段9に送給される。ウインドガラス30は全閉側に移動している途中でウインドガラス30と車体との間に比較的堅いものを挟み込んだときに瞬時のうちに停止するため、第2の負荷検出手段8はウインドガラス30が瞬時のうちに停止した寸前に発生した1個のパルス信号(図6、図7、図8においては第1の負荷検出手段7との対比上5個の速度データを示しているが実際はウインドガラス30が堅いものを挟んだ場合、パルス信号の発生は1個のみとなる。)によって負荷の変動を認識することによって堅いものの挾み込みを検知してウインドモータ10を反転させるための動作を行う。反転信号は後述する反転指令手段9に送給される。第2の負荷検出手段8の反転信号と第1の負荷検出手段7の反転信号とは同時に発生することはない。
【0025】
第1の負荷検出手段7より発生した第1の反転信号および第2の負荷検出手段8より発生した第2の反転信号が送給される反転指令手段9は、第1の負荷検出手段7の第1の反転信号によって反転駆動指令信号を発生し、第2の負荷検出手段8の第2の反転信号によって反転駆動指令信号を発生する。反転指令手段9が発生した反転駆動指令信号は後述する駆動手段4に送給される。反転指令手段9は位置検出手段5が発生した現在位置信号がウインドガラス30の移動量でLmmに相当する予め定められた値になるまでの間、反転駆動指令信号を発生する。また、反転指令手段9は位置検出手段5が発生した現在位置信号がウインドガラス30のストローク内に予め定められた反転領域A内にあるときに反転駆動指令信号を発生する。
【0026】
マイクロコンピュータ12は、アップスイッチ2aがオン操作されることによってマニュアルアップ指令信号が発生するとアップスイッチ2aの操作時間に対応して出力段から後述する駆動手段4にアップ駆動指令信号を送給する。ダウンスイッチ2bがオン操作されることによってマニュアルダウン指令信号が発生するとダウンスイッチ2bの操作時間に対応して出力段から前記駆動手段4にダウン駆動指令信号を送給する。オートスイッチ2cがアップスイッチ2aとともにオン操作されるとアップスイッチ2aがオフされてもマニュアルアップ指令信号を継続させて出力段からアップ駆動指令信号を送給し続ける。オートスイッチ2cがダウンスイッチ2bとともにオン操作されるとダウンスイッチ2bがオフされてもマニュアルダウン指令信号を継続させて出力段からダウン駆動指令信号を送給し続ける。反転指令手段9によって反転指令信号が発生するとアップ駆動指令信号を反転させたダウン駆動指令信号に切換えて予め定められた時間だけ駆動手段4に送給する。
【0027】
他方、駆動手段4はリレー等からなる電源接続手段であって、マイクロコンピュータ12の出力段に接続されているため、マイクロコンピュータ12の出力段から送給されたアップ駆動指令信号があるとウインドモータ10の第1のブラシ端子10aから第2のブラシ端子10bに向けて電源50の電流を供給する。マイクロコンピュータ12の出力段から送給されたダウン駆動指令信号があるとウインドモータ10の第2のブラシ端子10bから第1のブラシ端子10aに向けて電源50の電流を供給する。
【0028】
このような構造を有するパワーウインド装置1は図9ないし図11に示す制御動作を行う。図11は図9および図10に示すメインルーチンが行われている際に同時に行われるサンプリングの割込みルーチンを示している。
【0029】
イグニションスイッチ13がオンされることによって制御手段11は動作待機の状態にあり、ウインドガラス30が全閉位置にある状態から乗員によってスイッチ手段2のダウンスイッチ2bがオン操作されると、ステップ70においてオートスイッチ2cはオンされていないと判別されるのでステップ71に移行し、ステップ71においてオート動作は行っていないと判別されるのでステップ72に移行し、ステップ72においてアップスイッチ2aはオン操作されていないと判別されるのでステップ73に移行し、ステップ73においてダウンスイッチ2bはオン操作されていると判別されるのでステップ74に移行し、ステップ74においてマニュアルダウン駆動の実行が行われる。このとき、マイクロコンピュータ12はダウンスイッチ2bのオン操作を認識し、ダウンスイッチ2bの操作時間に応答して出力段から駆動手段4にダウン駆動指令信号を送給し、ウインドモータ10の第1のブラシ端子10aから第2のブラシ端子10bに向けて電源50の電流を供給するため、ウインドモータ10の出力軸10cが正回転してウインドガラス30が全開側に移動する。
【0030】
ウインドモータ10の出力軸10cが回転を始めることによってパルス信号発生手段3がパルス信号を発生するため、ステップ74から移行したステップ75において速度検出手段6によりウインドガラス30の現在位置において算出したパルス信号の周期値Tpに基づいてサンプル速度ω0となる速度検出信号を発生してステップ76に移行し、ステップ76においてパルス信号が発生しているか否かが判別され、パルス信号は存在しているのでステップ76からステップ77に移行し、ステップ77においてそのときのパルス周期の算出値Tpをリセットしてステップ78に移行し、ステップ78において第2の負荷検出手段8により速度検出信号によるサンプル速度ω0から第2の減速量設定値Δω2を減算した値によって第2の速度しきい値ωref2を算出してステップ79に移行し、ステップ79においてサンプル速度ω0を第1の速度データω1として更新してステップ80に移行する。ステップ79においてはルーチンの繰り返しによって速度データを随時蓄積し、5個の速度データが蓄積されたら、以後、蓄積される最新の速度データによって常時5個分の最新の速度データを蓄積する。ステップ79から移行したステップ80においてステップ79で蓄積された最新の速度データの最大値をωmaxとしてバッファ内に格納保持してステップ81に移行し、ステップ81において第1の負荷検出手段7により速度データの最大値ωmaxから第1の減速量設定値Δω1を減算することによって第1の速度しきい値ωref1を算出してステップ70に復帰する。ステップ78においての第2の負荷検出手段8による負荷検出とステップ81においての第1の負荷検出手段 7による負荷検出はステップ80の後に同時に行ってもよい。ルーチンが行われることによって第1の速度しきい値ωref1および第2の速度しきい値ωref2が設定されるため、これらの値を以後のルーチンに使用する。
【0031】
このルーチンが開始されるとルーチン毎にタイマ割込みルーチンも開始されるため、ステップ95においての判別でパルス信号の周期値Tpのカウントアップが行われる。
【0032】
スイッチ手段2のダウンスイッチ2bがオン操作されて繰り返しルーチンが行われ、ウインドガラス30が全開位置に到達すると、ウインドガラス30は移動を阻止されてウインドモータ10の出力軸10cも回転を拘束されるため、パルス信号発生手段3はパルス信号を発生しなくなり、ステップ76においての判別でステップ82に移行するため、ステップ82においてアップ側動作は実行されていないと判別されるのでステップ83に移行し、ステップ83において出力軸10cは回転が拘束されてロック状態にあると判別されるためステップ84に移行し、ステップ84において制御停止が実行され、制御手段11は動作待機となる。
【0033】
ウインドガラス30が全開位置に到達している際に、乗員によってスイッチ手段2のアップスイッチ2aがオン操作されると、ステップ70においてオートスイッチ2cはオンされていないと判別されるのでステップ71に移行し、ステップ71においてオート動作は行っていないと判別されるのでステップ72に移行し、ステップ72においてアップスイッチ2aはオン操作されていると判別されるのでステップ85に移行し、ステップ85においてマニュアルアップ駆動の実行が行われる。このとき、マイクロコンピュータ12はアップスイッチ2aのオン操作を認識し、アップスイッチ2aの操作時間に応答して出力段から駆動手段4にアップ駆動指令信号を送給し、ウインドモータ10の第2のブラシ端子10bから第1のブラシ端子10aに向けて電源50の電流が供給されることによってウインドモータ10の出力軸10cが逆回転されてウインドガラス30が全閉側に移動する。
【0034】
ウインドモータ10の出力軸10cが回転を始めることによってパルス信号発生手段3がパルス信号を発生するため、ステップ85から移行したステップ75において速度検出手段6によりウインドガラス30の現在位置において算出したパルス信号の周期値Tpによってサンプル速度ω0となる速度検出信号を発生してステップ76に移行し、ステップ76においてパルス信号が存在しているか否かが判別され、パルス信号は存在しているのでステップ76からステップ77に移行し、ステップ77においてそのときのパルス周期の算出値Tpをリセットしてステップ78に移行し、ステップ78において第2の負荷検出手段8により速度検出信号によるサンプル速度ω0から第2の減速量設定値Δω2を減算した値によって第2の速度しきい値ωref2を算出してステップ79に移行し、ステップ79においてサンプル速度ω0を第1の速度データω1として更新してステップ80に移行する。ウインドモータ10の出力軸10cが回転している間にステップ79においてルーチン毎に速度データを随時5個分蓄積し、ステップ79から移行したステップ80においてステップ79で蓄積された最新の速度データの最大値をωmaxとして格納保持してステップ81に移行し、ステップ81において第1の負荷検出手段7により速度データの最大値ωmaxから第1の減速量設定値Δω1を減算することによって第1の速度しきい値ωref1を算出してステップ70に復帰する。
【0035】
このルーチンが開始されるとルーチン毎にタイマ割込みルーチンも開始されるため、ステップ95においての判別でパルス信号の周期値Tpのカウントアップが行われる。
【0036】
スイッチ手段2のアップスイッチ2aがオン操作されることによってウインドガラス30が反転領域A内を全閉側に移動している際に、ウインドガラス30が移動側で比較的柔らかいものを挟み込むと、アップスイッチ2aはオン操作されているため、ステップ70においての判別でステップ71に移行し、ステップ71においての判別でステップ72に移行し、ステップ85からステップ75に移行し、ステップ75からステップ76に移行し、ステップ76からステップ82に移行し、ステップ82においてアップ動作が行われていると判別されるためステップ86に移行し、ステップ86においてウインドガラス30は反転領域A内にあると判別されるためステップ87に移行し、ステップ87においてステップ75で算出したサンプル速度ω0と前回のルーチンで算出した第2の速度しきい値ωref2を比較する。このとき、ウインドガラス30は柔らかいものを挟み込んでいるため、挾み込みが発生した瞬間ではウインドカラス30の速度は急激に減少しないので第2の速度しきい値ωref2をサンプル速度ω0は越えず、ステップ88に移行し、ステップ88においてステップ75で算出したサンプル速度ω0と前回のルーチンで算出した第1の速度しきい値ωref1を比較し、第1の速度しきい値ωref1をサンプル速度ω0が越えたことによってウインドガラス30が目標値まで減速されたことの認識を行うため、ステップ89に移行してウインドガラス30の反転下降動作を実行する。ステップ88においては最新の5個のパルス信号のうちの最大値と最新値によって負荷の変動を認識することによって柔らかいものの挾み込みを検知し、ステップ70に復帰する。アップスイッチ2aがオン操作されている状態での挾み込み検出によってウインドガラス30の反転下降動作が実行されることにより、ステップ82においての判別でウインドガラス30は反転動作を行っているのでステップ83に移行し、ステップ83においての判別でウインドモータ10の出力軸10cはロック状態にないのでステップ90に移行し、ステップ90においての判別でウインドガラス30が所定の移動量Lmmまで下降しているか否かが判別されるため、反転動作を行っているウインドガラス30が所定の移動量Lmmまで下降するまでは最初のステップ70に復帰してルーチンを行い、ウインドガラス30が所定の移動量Lmmまで下降したらステップ84に移行し、ステップ84において制御停止が実行され、制御手段11は動作待機となる。
【0037】
アップスイッチ2aがオン操作されることによってウインドガラス30が反転領域A内を全閉側に移動しているときに、柔らかいものの挾み込みが発生すると、最新の5個のパルス信号のうちの最大周期値によって負荷の変動を認識することによって柔らかいものの挾み込みを検知してウインドガラス30を所定の移動量Lmmだけ下降させたうえで停止させる。
【0038】
また、スイッチ手段2のアップスイッチ2aがオン操作されることによってウインドガラス30が反転領域A内を全閉側に移動している際に、ウインドガラス30が移動側で堅いものを挾み込むと、アップスイッチ2aはオン操作されているため、ステップ70においての判別でステップ71に移行し、ステップ71においての判別でステップ72に移行し、ステップ85においての判別でステップ75に移行し、ステップ75からステップ76に移行し、ステップ76からステップ82に移行し、ステップ82においてアップ動作が行われていると判別されるためステップ86に移行し、ステップ86においてウインドガラス30は反転領域A内にあると判別されるためステップ87に移行し、ステップ87においてステップ75で算出したサンプル速度ω0と前回のルーチンで算出した第2の速度しきい値ωref2を比較する。このとき、ウインドガラス30は堅いものを挟み込んでいるため、挾み込みが発生した瞬間でウインドカラス30の速度は急激に減少するため第2の速度しきい値ωref2をサンプル速度ω0は越え、ステップ89に移行してウインドガラス30の反転下降動作を実行する。ステップ87においては1個のパルス信号の周期値によって負荷の変動を認識することによって堅いものの挾み込みを検知し、ステップ70に復帰する。アップスイッチ2aがオン操作されている状態での挾み込み検出によってウインドガラス30の反転下降動作が実行されることにより、ステップ82においてウインドガラス30は反転動作を行っていると判別されるのでステップ83に移行し、ステップ83においてウインドモータ10の出力軸10cはロック状態にないと判別されるのでステップ90に移行し、ステップ90においてウインドガラス30が所定の移動量Lmmまで下降しているか否かが判別されるため、反転動作を行っているウインドガラス30が所定の移動量Lmmまで下降するまでは最初のステップ70に復帰してルーチンを行い、ウインドガラス30が所定の移動量Lmmまで下降したらステップ84に移行し、ステップ84において制御停止が実行され、制御手段11は動作待機となる。
【0039】
アップスイッチ2aがオン操作されることによってウインドガラス30が反転領域A内を全閉側に移動しているときに、堅いものの挾み込みが発生すると、1個のパルス信号の周期値によって負荷の変動を認識することによって堅いものの挾み込みを検知してウインドガラス30を所定の移動量Lmmだけ下降させたうえで停止させる。
【0040】
そして、ウインドガラス30が全閉位置に到達している状態で、スイッチ手段2のオートスイッチ2cとダウンスイッチ2bとがオン操作されると、ステップ70においての判別でステップ91に移行し、ステップ91においてアップスイッチ2aはオン操作されていないと判別されるのでステップ92に移行し、ステップ92においての判別でステップ93に移行してオートダウン駆動を実行してステップ75に移行する。
【0041】
そしてまた、ウインドガラス30が全開位置に到達している状態で、スイッチ手段2のオートスイッチ2cとアップスイッチ2aとがオン操作されると、ステップ70においての判別でステップ91に移行し、ステップ91においてアップスイッチ2aはオン操作されていると判別されるのでステップ94に移行し、ステップ94においてオートアップ駆動を実行してステップ75に移行し、ステップ75から上述と同様にルーチンを行い、反転領域A内で堅いものの挾み込みが発生すると、1個のパルス信号の周期値によって負荷の変動を認識することによって堅いものの挾み込みを検知してウインドガラス30を所定の移動量Lmmだけ下降させたうえで停止させるものとなる。
【0042】
スイッチ手段2のアップスイッチ2aかダウンスイッチ2bがオフ状態にあると、ステップ70においての判別でステップ71に移行し、ステップ71においての判別でステップ72に移行し、ステップ72においての判別でステップ73に移行し、ステップ73においての判別でステップ96に移行するため、ステップ96においてウインドモータ10に対する電流供給が中止される。
【0043】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明に係わるパワーウインド装置は、上述した構成としたことから、ウインドガラスと車体との間に柔らかいものまたは堅いものの挟み込みがあった際、パルス発生手段の検出分解能に左右されないで挟み込みの検出を行い、しかも挟み込んだものに対する挟み込み力を大きくすることがないので、挾み込んだものが堅いものか、あるいは柔らかいものかによって反転を行うタイミングを変えて挟み込んだものに対する損傷をできる限り少なくすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるパワーウインド装置の一実施例においての要部構成図である。
【図2】図1に示したパワーウインド装置の全体構成図である。
【図3】図1に示したパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図である。
【図4】図1に示したパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図である。
【図5】図1に示したパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図である。
【図6】図1に示したパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図である。
【図7】図1に示したパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図である。
【図8】図1に示したパワーウインド装置においての検出処理の概念説明図である。
【図9】図1に示したパワーウインド装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図10】図1に示したパワーウインド装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図11】図1に示したパワーウインド装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 パワーウインド装置
2 スイッチ手段
3 パルス信号発生手段
4 駆動手段
5 位置検出手段
6 速度検出手段
7 第1の負荷検出手段
8 第2の負荷検出手段
9 反転指令手段
10 ウインドモータ
10c 出力軸
30 ウインドガラス意見書に代わる
Claims (1)
- 正回転、または逆回転してウインドガラスを全閉方向、又は全開方向に移動するモータと、前記モータの回転に同期してパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、ウインドガラスを閉めるためのアップ指令信号、およびウインドガラスを開けるためのダウン指令信号を発生するスイッチ手段と、前記スイッチ手段が発生したアップ指令信号、またはダウン指令信号によって前記モータを駆動する駆動手段と、前記パルス信号発生手段が発生したパルス信号に基づきウインドガラスの位置を検出して位置信号を発生する位置検出手段と、前記パルス信号発生手段が発生したパルス信号の周期に基づき速度検出信号を発生する速度検出手段と、ウインドガラスが全閉方向に移動している際に、ウインドガラスと車体との間に柔らかい物が挟まれ、前記位置検出手段が発生する位置検出信号で算出した複数個のパルス信号幅の和に相当する第1の設定量だけウインドガラスが移動する間に前記速度検出手段からの速度検出信号の変化量が予め定められた第1の減速量設定値以上になると第1の反転信号を発生する第1の負荷検出手段と、ウインドガラスが全閉方向に移動している際に、ウインドガラスと車体との間に堅い物が挟まれ、前記位置検出手段が発生する位置検出信号で算出した単一のパルス信号幅に相当する第2の設定量だけウインドガラスが移動する間に前記速度検出手段からの速度検出信号の変化量が予め定められた第2の減速量設定値以上になると第2の反転信号を発生する第2の負荷検出手段と、前記第1の負荷検出手段が発生した第1の反転信号、または第2の負荷検出手段が発生した第2の反転信号により前記モータを全開方向に移動させる反転駆動指令信号を発生し、この反転駆動指令信号を前記駆動手段に供給する反転指令手段を備えていることを特徴とするパワーウインド装置。
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