JP6352860B2 - 開閉部材制御装置 - Google Patents
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Description
このような構成の開閉部材制御装置では、車両ドア毎に、ウインドウガラスの昇降操作を指令する昇降用スイッチと昇降用駆動源である駆動モータとが設けられている。
そして、昇降用スイッチが操作されると、その昇降用スイッチに対応した駆動モータが駆動して対応するウインドウガラスが昇降するよう構成されている。また、助手席やリヤ席のウインドウガラスの昇降操作が可能となるように、運転席からリモート操作ができるような機能を有しているものもある。このような場合、運転席の車両ドアには、運転席、助手席、リヤ席のパワーウインドウスイッチを完備したスイッチユニットが設けられ、運転席、助手席、リヤ席の各車両ドアには、各車両ドア専用にパワーウインドウスイッチが設けられる。
これらの各ECUは、ボディECU等の総合マスタECUと車載LANにより接続されている。そして、これら各ECUには、ウインドウガラスを開閉(昇降)させる際に実行する制御プログラムが書き込まれており、当該制御プログラムに沿って、各指令信号が指定する動作(ウインドウガラスの開閉(昇降))が実行される(例えば、特許文献1参照)。
例えば、ウインドウガラスと車体間とで発生する挟み込みを監視しており、挟み込みが検知された場合にはウインドウガラスの移動を停止させたり移動方向を反転させたりする機能(所謂「ジャムプロテクション機能」)が搭載されているものがある。
また、このような自動昇降装置を搭載したパワーウインドウ装置においては、ウインドウガラスを全閉まで作動させた場合、このウインドウガラスは、窓枠のストッパにより機械的に拘束(ロック)されるまで駆動されるため、過大な衝撃力がウインドウガラス、窓枠、駆動系に加わることとなる。このため、駆動系への負担が大きくなると共に、不快な衝撃音が発生するなどの問題があり、このような問題を解消するために、パワーウインドウ装置においては、ウインドウガラス可動域端部でウインドウガラスの移動速度を調整する機能(所謂「ソフトストップ機能」)が搭載されており、駆動系への負担を軽減するとともに、不快な衝撃音の発生を防止している。
このような機能を規定するプログラムは、上記先行技術においても搭載されている各席のECUに書き込まれており、当該プログラムに沿って実行されるように構成されている。
しかしながら、ECUは、特許文献1のように、全座席(運転席、助手席、左右リヤ席等)のウインドウに搭載されている場合もあるが、一部の席のパワーウインドウにのみ搭載される場合がある(例えば、図2(a)参照)。例えば、運転席のパワーウインドウにのみECUが搭載されており、他の座席(助手席、左右リヤ席等)には搭載されていない場合がある。
このような場合、様々な特定の処理を実行することが可能となるのは、特定の座席(上記であれば、運転席)のウインドウガラスのみであり、他の座席(上記であれば、助手席、左右リヤ席等)では、単純な昇降動作のみで、様々な特定の処理を実行することができない。このため、特定の座席側のウインドウガラスとその他の座席のウインドウガラスとの動作に作動感の差異が生じてしまうという問題があった。
これを解消する場合には、特定の機能を無効としたパラメータを専用で出荷時に準備する必要があり、コスト的に不利である。
そして、このようなタイプのパワーウインドウにおいては、ジャムプロテクション機能及びソフトストップ機能搭載モータユニットで開閉されるウインドウガラスと非搭載モータユニットで開閉されるウインドウガラスとの運動状態の差異による不具合が生じていた。
つまり、ジャムプロテクション機能が搭載されず、ECUを有しないウインドウには、ソフトストップ機能もまた搭載されないため、ECUを有する(ジャムプロテクション機能及びソフトストップ機能付)ウインドウと比較すると、全閉作動時の作動音に差異が生じ、違和感が生じてしまう。
この違和感を解消するためには、ジャムプロテクション機能付のECUにおいて、ソフトストップ機能を無効としたパラメータを専用で出荷時に準備する必要があった。
本発明の他の目的は、簡易な構成にて、コストを削減しつつ、全座席に臨む開閉部材全てに等しい作動感を付与することが可能な開閉部材制御装置に関するものである。
つまり、車載LAN上に、操作手段群ECUが有るか否かの情報を取得する。例えば、操作手段群ECUが有れば、レスポンスがありネットワークが構築されるが、操作手段群ECUが存在しなければ、当然レスポンスは無いので、これにより、操作手段群ECUの存在の有無を確認できる。
そして、この操作手段群ECU有無情報は、プログラムの特定の処理を規制するために使用される。つまり、特定座席ECUが制御する特定の座席側の車両ドアに設置された開閉部材の動作を規制するために使用される。
これにより、特定の座席の車両ドアに配設される開閉部材と、他の座席の車両ドアに配設される開閉部材と、で等しい作動感を付与するべく動作のバランスを調整することができる。
なお、この操作手段群ECU有無情報は、特定座席駆動ユニットが車両に組み付けられた後に取得するものであり、この情報により、特定座席駆動ユニットが車両に組み付けられる前に設定されたプログラムの中の処理を規制する。よって、コストを削減しつつ、簡易な構成にて、全座席に臨む開閉部材全てに等しい作動感を付与することができる。
更に、具体的には、前記特定の処理は、前記開閉部材の可動域端部において、前記開閉部材の移動速度を調整する機能であるソフトストップ処理であって、前記操作手段群ECU有無情報が、前記操作手段群ECUが存在しないことを示す情報である場合には、前記ソフトストップ処理が無効化されるよう構成されていると好適である。
このように構成されているため、操作手段群ECUが存在しない場合には、ソフトストップ処理を無効化して、各座席に備えられる開閉部材の操作時の違和感・異音を防止することができる。
そして、この操作手段群ECU有無情報を基に、プログラム中の特定の処理(具体的な例としては、ソフトストップ処理)の実行を規制する。
よって、特定の座席に対して臨む開閉部材にのみ特定の機能(具体的な例としては、ソフトストップ機能)が搭載されている場合であっても、全座席に臨む開閉部材全てに等しい作動感を付与することができる。
また、特定座席駆動ユニットが車両に組み付けられた後に自動取得できる操作手段群ECU有無情報を使用して、プログラム中の特定の処理の実行を規制することができる構成としたため、特定の処理を無効としたパラメータを別個に専用で用意する必要がなく、よって、コスト的にも有利である。
また、特定の処理としてソフトストップ処理を選択した場合、開閉部材の停止位置が異なることにより増加する車両ドアの建付け調整工数を低減することが可能となる。
図1乃至図4は、本発明の一実施形態に係るものであり、図1は開閉部材制御装置のシステム構成図、図2は開閉部材制御装置のLAN接続模式図、図3は制御設定を示すフローチャート、図4はソフトストップ機能制御を示すフローチャートである。
なお、以下の実施形態は、本発明の一例を示すものであり、部材の配置や個数等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのようにでも変更できるものである。
本実施形態に係るパワーウインドウ装置Sは、車両のサイドドアのウインドウガラスをモータの駆動力により自動で昇降させる装置である。
本例では、運転席(以下、「D席」と記す)側のドア、助手席(以下、「P席」と記す)側のドア、左側リヤ席(以下、「RL席」と記す)側のドア、右側リヤ席(以下、「RR席」と記す)側のドア、に各々備え付けられている。
なお、本例においては、車両のP席、RL席、RR席のサイドドアには、対応するウインドウガラスのみを昇降操作可能な専用のパワーウインドウスイッチ(以下、「P席SW」等と、席名とスイッチの略記号「SW」の複合名称にて記す)が配置されている。
つまり、D席のウインドウガラススイッチを「D席SW2a」、同じくP席のものを「P席SW2b」、RR席のものを「RR席SW2c」、RL席のものを「RL席SW2d」、と記す。
このマスタSW群2は、D席から全てのウインドウガラスをリモート昇降操作可能とするものである。
このマスタSW群2には、D席SW2aの他に、P席SW2b、RR席SW2c、RL席SW2dが配置されており、これらを操作することにより、D席のみならず、P席、RR席、RL席のウインドウガラスもまたリモート昇降操作可能となっている。
なお、本例においては、D席モータユニット3には、D席パワーウインドウECU31が備えられているが、P席モータユニット4、RR席モータユニット5、RL席モータユニット6、マスタSW群2には、ECUは備えられていない。
パワーウインドウECU31は、一般的なものが使用されているが、簡単に説明すると、中枢制御を行うマイクロコンピュータや、各スイッチ(2a〜2d)の状態を電気信号として出力するスイッチ回路(43、53、63)、マイクロコンピュータからの指令を受けてD席モータ32を駆動する駆動回路、ホールIC33からの信号を検出する検出手段、を有して構成されるものである。
また、D席モータ32は、公知のDCモータが使用されており、このD席モータ32の状態はホールIC33によりモニタされている。つまり、このホールIC33により、D席モータ32の出力軸と共に回転するマグネットの磁気変化がモニタされており、このホールIC33からの信号を受けた検出手段が、D席モータ32の回転と同期したパルス信号をマイクロコンピュータへと出力できるように構成されている。
このパルス信号は、ウインドウガラスの所定移動量毎もしくはD席モータ32の所定回転角毎に出力されるものであり、これにより、検出手段は、D席モータ32の回転速度に略比例するウインドウガラスの移動に応じた信号を出力可能となる。そして、マイクロコンピュータがこのパルス信号のパルスエッジをカウントし、パルスカウント値よりウインドウガラスの位置及び回転速度を検出している。
ROMには、ウインドウガラスを昇降する際に実行される昇降制御プログラムが記憶されており、パワーウインドウECU31では、CPUにより統括制御されてROMの昇降制御プログラムが実行されることにより、ウインドウガラスの昇降制御が実行される。
そして、D席モータユニット3、P席モータユニット4、RR席モータユニット5、RL席モータユニット6には、各々対応するウインドウガラスがレギュレータを介して接続されている。このレギュレータにより、各モータ(32、42、52、62)の回転運動がウインドウガラスの昇降運動(直線運動)に変換される。
また、パワーウインドウECU31(マイクロコンピュータ)は、車体側のマスタECU9と車載LAN10で接続されている。
なお、パワーウインドウECU31(マイクロコンピュータ)、駆動回路、D席モータ62には、車両に搭載されるバッテリーから作動・動作に必要な電力が供給される。
更に、上記のように、本例においては、マスタSW群2もまたECUは搭載されていない。
例えば、D席SW2aが操作されると、パワーウインドウECU31のCPUが駆動回路を介してD席モータ32を駆動してD席のウインドウガラスを昇降させる。また、他の席においては、ECUは介在せず、直接的に対応する各モータ(32,42,52,62)が駆動する。
図3に制御設定のためのフローチャートを示した。
まず、ステップS1にて車両にバッテリーを装着した後、ステップS2おいて、パワーウインドウECU31が、車載LAN10を介して通信状態(マスタSW群2の情報)をモニタする。
そして、ステップS3で、パワーウインドウECU31は、マスタSW群2からの応答(レスポンス)があるか否かを判定する。
このため、応答するものは、マスタECU9しかなく、ネットワーク構築は、マスタECU9とパワーウインドウECU31との間でしか成立しない。
換言すれば、マスタSW群2は、ECUを積んでいないため、ネットワークが確立されず(ネットワーク構築されず)、当然、マスタSW群2からの応答(レスポンス)はない。
パワーウインドウECU31は、これらの応答(レスポンス)を監視して、各ECUの存在及び不存在を判断する。
具体的には、例えば、応答監視時間とリトライ回数を設定し、所定の応答監視時間中にレスポンスが無い状態がリトライ回数分継続すれば、パワーウインドウECU31は、マスタSW群2にECUが搭載されていないと判断するとよい。
また、ステップS3で、パワーウインドウECU31は、マスタSW群2からの応答(レスポンス)がないと判定する(ステップS3:NO)と、ステップS5でソフトストップ機能を無効と判定して処理を終了する。
このようにして、パワーウインドウECU31は、ソフトストップ機能の有効無効を認識することができる。
このソフトストップ機能の有効無効の情報は、パワーウインドウECU31の記憶装置等に保持するように構成されていればよく、例えば、プログラムによりEEPROMに書込むようにしてもよいし、RAMに記憶してもよい。
まず、ウインドウガラスの上昇指令を受けたときに、パワーウインドウECU31は、ステップS11で、ソフトストップ機能が有効か否かを判定する。
つまり、図3に示す制御設定において、判断されたソフトストップ機能の有効無効を参照して、当該情報により、ソフトストップ機能が有効か否かを判定する。
この場合は、D席のみパワーウインドウECU31を搭載した車両(本例に係る車両である)ため、ソフトストップ機能を無効として、他席との差異(違和感)を無くすこととしたものである。
なお、以下の処理は、本例とは異なり、マスタSW群2を含む全席にECUが搭載されている場合におけるソフトストップ機能の一般的な説明となるため、簡単に説明する。また、全席同様の制御となるため、D席における場合を説明する。
ステップS12における演算では、これにより、移動状態や移動距離を算出して、ウインドウガラスの先端部分の位置を監視することとなる。つまり、ウインドウガラスを駆動するD席モータ32の負荷が変化するまで、これらは正回転し続けることになる。また途中で上昇指令をオフすると、停止信号を駆動回路へ出力し、駆動回路によりD席モータ32への電源を遮断しD席モータ32を停止させ、ウインドウガラスの上方移動を停止させることになる。
このステップS13で所定位置まで上昇していない場合(ステップS13:無し)、終了しスタートへ戻る。
ステップS13で所定位置まで上昇している場合(ステップS13:有り)、ステップS14の負荷変動開始判定を行う。回転速度は、回転速度ωの初期変化量S0(回転速度差Δωの累積値)で算出された回転速度差Δωの累積値を差し引いて、負荷変動が生じた後の回転速度ωの変化量S(回転速度差Δωの累積値)を算出する。これにより、負荷変動による回転速度の変化分(すなわち、負荷変動量分)を確実に算出することができる。
ステップS16の負荷変動量算出処理は次のように行う。まず、ステップS14の負荷変動開始判定と同様に、回転速度ωから(平均)回転速度差(回転速度変化率)Δωを算出する。
このように、基準値からの変化量の差を算出して、負荷変動開始以降の回転速度ωの変化量を算出している。そして、負荷変動開始判定がされないときには、回転速度差の累積値を初期化し、負荷変動開始判定が開始されたときには、初期化しないようにしている。
この全閉の制御判定で、無しの判定がなされた場合(ステップS17:無し)、ステップS14の負荷変動開始判定に戻る。
これにより、D席にのみECUが搭載されているような場合であっても、ソフトストップ機能を無効としたパラメータを専用で準備する必要がなく、自動的にD席のソフトストップ機能を無効とすることができる。
よって、ECUを搭載して挟み込み防止機能(ジャムプロテクション機能)を有するD席において、ソフトストップ機能を無効とすることができ、よって、D席のウインドウガラスと他の席のウインドウガラスとの作動方式の違いによる違和感を無くすことができる。
2 マスタSW群(操作手段群)、
2a D席SW、2b P席SW、2c RR席SW、2d RL席SW、
3 D席モータユニット(特定座席駆動ユニット)、
31 パワーウインドウECU(特定座席ECU)、32 D席モータ、
33 ホールIC、
4 P席モータユニット、42 P席モータ、43 スイッチ回路、
5 RR席モータユニット、52 RR席モータ、53 スイッチ回路、
6 RL席モータユニット、62 RL席モータ、63 スイッチ回路、
9 マスタECU、10 車載LAN
Claims (3)
- 特定の座席から、自己座席及び他座席の車両ドアに設置された開閉部材を昇降操作可能とする操作手段群が設けられ、該操作手段群の操作信号を基に、対応する前記開閉部材の昇降を行う開閉部材制御装置であって、
該開閉部材制御装置は、前記特定の座席側に備えられた特定座席駆動ユニットと、前記他座席に各々備えられた他座席駆動ユニットと、前記操作手段群と、これらを電気的に接続する車載LANと、を有して構成されており、
前記特定座席駆動ユニットには、特定座席ECUと、該特定座席ECU内のプログラムにより制御されて前記開閉部材を昇降運動させる駆動源と、が備えられており、
特定座席ECUは、前記特定座席駆動ユニットが車両に組み付けられた後に、自己と前記操作手段群に搭載される可能性のある操作手段群ECUとの接続の有無を判断して、操作手段群ECU有無情報を取得するものであり、
該操作手段群ECU有無情報は、前記特定座席駆動ユニットが前記車両に組み付けられる前に設定された前記プログラムの特定の処理を規制するための情報であることを特徴とする開閉部材制御装置。 - 前記特定の処理は、前記特定の座席の前記車両ドアに設置された前記開閉部材にのみ特有に実行される処理であることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
- 前記特定の処理は、前記開閉部材の可動域端部において、前記開閉部材の移動速度を調整する機能であるソフトストップ処理であって、
前記操作手段群ECU有無情報が、前記操作手段群ECUが存在しないことを示す情報である場合には、前記ソフトストップ処理が無効化されることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
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