JP4818697B2 - 開閉部材制御装置 - Google Patents
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Description
すなわち、窓ガラスを降下限界位置である下端ロック位置まで移動させてしまうと、窓ガラスがストッパによって機械的に拘束され、このとき過大な衝撃力が駆動系に加わり、駆動系の耐久性が損なわれると共に、不快な衝撃音が発生してしまう。このため、従来、このような不都合を回避するために、窓ガラスの現在位置を正確に把握して窓ガラスを下端ロック位置まで下降させてしまうことなく、その直前位置に停止させている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、全閉位置付近では、ウェザーストリップ等との摺動抵抗により窓ガラスの閉方向への移動速度が低下する。このため、この速度低下を挟み込みと誤判定してしまわないように、全閉位置手前に挟み込み検出解除領域が設けられている。
したがって、このような昇降装置においても、窓ガラスの駆動制御の際に、窓ガラスの現在位置を正確に把握することが重要となる。
このため、窓ガラスの全開・全閉位置を再設定するために、窓ガラスが全閉・全開位置手前の所定領域内で停止したと判断された場合には、操作スイッチの操作の有無にかかわらず、窓ガラスの同一方向の移動を継続させて全閉または全開位置まで移動させ、停止位置において全開・全閉位置を再設定する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
そして、本発明では、操作手段を所定時間以上継続して開動作操作した場合には、制御手段は、停止設定位置を超えてロック停止位置で強制停止するまで開閉部材を作動させる。そして、制御手段は、実際に停止した強制停止位置に基づいて、停止設定位置の再設定を行う。
このように構成すると、開閉部材を一旦、現在の停止設定位置まで移動させて全開状態とし、この状態で操作手段を所定時間以上継続して操作したときに停止位置の再設定処理を行わせることができる。これにより、通常の作動範囲で操作手段を所定時間以上継続して操作しても再設定処理が行われないので、不用意に再設定処理が行われてしまうことを防止することができる。
このように本発明では、操作手段を操作してオート操作信号を出力させることにより停止設定位置の再設定処理を行うことができるので、再設定処理を行うに際して特別な操作が不要であり、しかも通常の操作の延長操作であるため、容易に再設定処理を行うことが可能となる。
このように構成すると、再設定処理を行うための基準位置を明確として、停止設定位置を含めた開閉部材の移動範囲を正確に設定することができる。
図1〜図7は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はパワーウインドウ装置の説明図、図2は図1のパワーウインドウ装置の電気構成図、図3は操作スイッチの電気構成図、図4はウインドウガラスの設定位置とパルスカウント値との対応関係を表す説明図、図5,図6はコントローラのウインドウ制御処理の処理フロー、図7はコントローラの窓位置制御処理の処理フローである。
図1に本例のパワーウインドウ装置1(以下、「装置1」という)の説明図、図2にその電気構成図を示す。本例のパワーウインドウ装置1は、車両のドア10に配設される開閉部材としてのウインドウガラス11をモータ20の回転駆動により昇降(開閉)作動させるものである。装置1は、ウインドウガラス11を開閉駆動する駆動手段2と、駆動手段2の作動を制御するための制御手段3と、乗員が作動を指令するための操作手段としての操作スイッチ4とを主要構成要素としている。
しかしながら、経年変化等によって全閉位置P0や全開位置P3がわずかに変動する場合がある。例えば、窓枠に設けられたウェザーストリップとの当たり具合の変化等によって移動限界がわずかに変動する場合がある。
したがって、本例では、ウインドウガラス11は、通常時は、全閉位置P0から停止設定位置P2の間で上下移動するようになっている。
しかしながら、全閉位置P0近傍においては、不図示のウェザーストリップ等によってウインドウガラス11に掛かる摺動抵抗が大きくなり、これによってウインドウガラス11の移動速度が低下する。このため本例の装置1では、この速度低下を誤って挟み込みと検出しないようにするために、全閉位置P0近傍に挟み込み検出を行わない挟み込み検出解除領域が設けられている。
本例の駆動手段2は、ドア10に固定された減速機構を有するモータ20と、モータ20に駆動される扇形状のギヤ21aを備えた昇降アーム21と、昇降アーム21とクロスして枢支される従動アーム22と、ドア10に固定された固定チャンネル23およびウインドウガラス11と一体のガラス側チャンネル24とを主要構成要素としている。
本例のコントローラ31は、CPU、ROM,RAM等のメモリ、入力回路、出力回路等を備えるマイクロコンピュータで構成されている。CPUは、メモリ、入力回路及び出力回路とバスを介して互いに接続されている。なお、これに限らず、コントローラ31をロジックIC,DSP,ゲートアレイ,トランジスタ等で構成してもよい。
また、操作スイッチ4は、他端側へ1段階操作(「ダウン位置」へ操作)されるとダウンスイッチ4bがオンされ、ダウンスイッチ4bが接続されたコントローラ31の端子の電位が低下する。コントローラ31は、この電位低下を、ウインドウガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させるための通常開指令信号(マニュアル操作信号)として受け取る。
また、操作スイッチ4は、他端側へ2段階操作(「オートダウン位置」へ操作)されるとダウンスイッチ4b及びオートスイッチ4cが共にオンされ、ダウンスイッチ4b及びオートスイッチ4cが接続されたコントローラ31の端子の電位が共に低下する。コントローラ31は、この電位低下を、ウインドウガラス11をオート開動作(すなわち操作を止めても停止設定位置P2まで開動作)させるためのオート開指令信号(オート操作信号)として受け取る。
コントローラ31は、通常開指令信号,通常閉指令信号を受け取っている間のみ、それぞれ開作動フラグ,閉作動フラグがオンされるので、これらのフラグに基づいて駆動回路32の制御を行う。
コントローラ31は、オート開指令信号,オート閉指令信号を受け取ると、それぞれ閉作動フラグ,開作動フラグがオンにラッチされ、これらのフラグに基づいて駆動回路32の制御を行う。これらのフラグは、所定条件でオフに変更され、ウインドウガラス11の駆動が停止される。
図3(B)の例では、操作スイッチ4の一端側はネットワーク変換コントローラ6に接続され、このネットワーク変換コントローラ6とコントローラ31とがネットワーク回線7を介して接続された構成となっている。
この構成では、アップスイッチ4a,ダウンスイッチ4b及びオートスイッチ4cのスイッチ操作によって、まず、これらがオンされて接地されたことがネットワーク変換コントローラ6へ出力され、次にネットワーク変換コントローラ6からコントローラ31へネットワーク回線7を介して伝達される。このように構成すると、配線数を省略することができるので、車両の軽減化を図ることが可能となる。
コントローラ31は、図4に対応関係を示すように、初期状態では、全閉位置P0のパルスカウントNを0,挟み込み検出解除位置P1のパルスカウントNをNP1,停止設定位置P2のパルスカウントNをNP2,全開位置P3のパルスカウントNをNP3として予めメモリ内に記憶している。コントローラ31は、ウインドウガラス11の昇降に応じて加減算されるパルスカウント値Nと、メモリ内に記憶された前記記憶値とを対比することによって、ウインドウガラス11の位置を特定し動作制御している。
なお、閉動作で挟み込みを生じることなくロック状態となったときに、全閉位置P0で停止したと判定して、パルスカウント値Nをゼロリセットするように構成してもよい。
本例の装置1では、停止設定位置P2,全開位置P3,挟み込み検出解除位置P1が、乗員の操作スイッチ4の操作によって再設定できるように構成されている。乗員は、通常操作として、操作スイッチ4をダウン位置に保持またはオートダウン位置に操作することにより、ウインドウガラス11を停止設定位置P2まで降下させることができる。
上述のようにこの停止設定位置P2や全開位置P3等は、経年変化によって実際の位置に対してずれが生じる場合がある。
このような場合、乗員は、ウインドウガラス11が停止設定位置P2にある状態で、さらに操作スイッチ4をオートダウン位置に操作して、この位置で所定時間(本例では3秒)以上保持する。このときコントローラ31は、ダウンスイッチ4b及びオートスイッチ4cに接続された端子が共に電位低下している継続時間をカウントし、所定時間以上操作スイッチ4がオートダウン位置に保持されたか否かを判定する。
ウインドウガラス11がロックされた位置が、その時点における実際の全開位置P3であるから、このときのパルスカウント値Nを全開位置P3のパルスカウント値NP3に再設定する。
また、コントローラ31は、新たなパルスカウント値NP3からオフセット分のカウント数NOSを差し引いた値を停止設定位置P2の新たなパルスカウント値NP2に再設定する。
このように本例では、操作スイッチ4を通常操作するのと同様な操作によって、乗員が簡単に全開位置P3や停止設定位置P2等の再設定処理を行うことができるように構成されている。
まず、図5,図6に基づいてコントローラ31のウインドウ制御処理について説明する。この処理は、所定時間毎に繰り返し行われる。
コントローラ31は、ウインドウ制御処理ではウインドウガラス11を昇降動作させるための現在の動作モード(アップモード,オートアップモード,ダウンモード,オートダウンモード,停止モード)を更新しながらメモリに記憶している。この動作モードは、後述するように、原則的には、操作スイッチ4の操作に応じて切替えられるようになっている。
現在の動作モードがアップモードであった場合(ステップS1;Yes)は、コントローラ31は、閉動作処理を行う(ステップS20)。すなわち、コントローラ31は、駆動回路32を介してモータ20を閉方向へ駆動すると共に、挟み込みの判定処理を行い(ステップS21)、処理を終了する。
現在の動作モードがオートアップモードであった場合(ステップS2;Yes)は、コントローラ31は、オート閉動作処理を行う(ステップS22)。すなわち、コントローラ31は、ウインドウガラス11を全閉位置P0まで移動させるべく、駆動回路32を介してモータ20を閉方向へ駆動すると共に、挟み込みの判定処理を行い(ステップS23)、処理を終了する。
現在の動作モードがダウンモードであった場合(ステップS3;Yes)は、コントローラ31は、開動作処理を行う(ステップS24)。すなわち、コントローラ31は、駆動回路32を介してモータ20を開方向へ駆動し、処理を終了する。
現在の動作モードがオートダウンモードでなかった場合(ステップS4;No)は、コントローラ31は、メモリに記憶されたウインドウガラス11の位置フラグが「全開」であって、かつ、操作スイッチ4からオート開指令信号を受けたか否かを判定する(ステップS5)。
まず、コントローラ31は、ステップS31で現在の動作モードがダウンモードまたはオートダウンモードであるか否かを判定する。
現在の動作モードがダウンモードでもオートダウンモードでもなかった場合(ステップS31;No)は、位置フラグは「全開」にセットされず処理を終了する。
ウインドウガラス11の現在位置が停止設定位置P2以上である場合(ステップS32;Yes)は、位置フラグを「全開」に設定する(ステップS34)。
すなわち、ステップS33では、少なくとも挟み込み解除領域を除いた通常の作動範囲において、ウインドウガラス11がロック状態にあるか否かを判定している。
一方、ウインドウガラス11が所定領域でロックしていない場合(ステップS33;No)は、位置フラグを「全開」にセットすることなく処理を終了する。
このオートダウン許可タイマは、全開位置P3に対する停止設定位置P2等の再設定処理を行うことを許可するための判定に用いられるタイマである。
動作モードが停止モードから他のモードへ切替えられた後は、ステップS1〜S4の処理に従って処理が行われる。
ステップS8の処理が行われるのは、通常は、ウインドウガラス11が、その時点でメモリ内に設定されていた停止設定位置P2まで移動したことにより、動作モードが停止モードに切替えられ、この状態で、さらに操作スイッチ4をオートダウン位置に操作した場合か、もしくは、ウインドウガラス11が全開状態(すなわち、停止設定位置P2で停止)のときに、操作スイッチ4をオートダウン位置に操作した場合等である。
オートダウン許可タイマが所定時間を超えていない場合(ステップS9;No)は、そのまま処理を終了する。したがって、停止モードにおいて、例えば、ウインドウガラス11が全開状態であって、操作スイッチ4がオートダウン位置に操作されているときには、ステップS1〜S5,S7,S8が繰り返されて、オートダウン許可タイマがインクリメントされていく。
再設定フラグがONにセットされることにより、停止設定位置P2等の再設定処理が開始される。
また、本例では、全開状態で誤って操作スイッチ4をオートダウン位置に操作しても、所定時間以上その位置に保持しない限り、停止設定位置P2の再設定処理は開始されないようになっている。これにより、本例では、必要なときのみ停止設定位置P2の再設定処理を行うことができるので、従来よりも電力消費量を抑制することが可能となる。
オードダウンモードではウインドウガラス11は、通常は、異物を挟み込むことなく全開位置P3方向へ移動していくので、ロック状態となるのはウインドウガラス11が全開位置P3で移動を規制されたときである。
ロック状態ではなく、位置フラグが「全開」であり、かつ、再設定フラグがOFFである場合(ステップS14;Yes)というのは、通常の作動範囲からウインドウガラス11をオート開動作させて停止設定位置P2に到達した場合である。このとき、コントローラ31は、動作モードを停止モードに切替える(ステップS15)。これにより、コントローラ31は、モータ20への電力供給を停止し、ウインドウガラス11を停止設定位置P2で停止させる。
そして、コントローラ31は、停止設定位置P2の再設定フラグがONにセットされているか否かを判定する(ステップS17)。
詳しくは、再設定処理では、コントローラ31は、パルスカウント値NP3を新たに全開位置P3におけるパルスカウント値として再設定する。
また、本例では、再設定された挟み込み検出解除位置P1に基づいて挟み込みの検出が行われるので、挟み込みの誤検出を防止することができる。
さらに、任意の位置で操作スイッチ4をオートダウン位置またはダウン位置に所定時間以上保持することにより、再設定処理が開始されるように構成してもよい。
4‥操作スイッチ、 4a‥アップスイッチ、 4b‥ダウンスイッチ、
4c‥オートスイッチ、 5‥バッテリ、 6‥ネットワーク変換コントローラ、
7‥ネットワーク回線、 10‥ドア、 11‥ウインドウガラス、
20‥モータ、 21‥昇降アーム、 21a‥ギヤ、 22‥従動アーム、
23‥固定チャンネル、 24‥ガラス側チャンネル、 27‥回転検出装置、
31‥コントローラ、 32‥駆動回路、 P0‥全閉位置、
P1‥挟み込み検出解除位置、 P2‥停止設定位置、 P3‥全開位置
Claims (6)
- 開閉部材を開閉動作させる開閉部材制御装置であって、
開閉部材を開閉駆動する駆動手段と、
開閉部材の位置を検出する位置検出手段と、
操作者の操作に基づいて開閉部材を開閉方向に作動させるための操作信号を出力する操作手段と、
該操作手段からの操作信号および前記位置検出手段による開閉部材の検出位置に基づいて前記駆動手段を制御して、通常の開動作時には、ロック停止位置の手前に位置し全開時に開閉部材を停止させて留めておく位置として設定された停止設定位置に開閉部材を停止させる制御手段と、を備え、
該制御手段は、開閉部材を開動作させるために前記操作手段が所定時間以上継続して操作されたことを前記操作信号に基づいて検出したときに、開閉部材が前記停止設定位置を超えて前記ロック停止位置で強制停止するまで作動させ、この停止位置に基づいて前記停止設定位置の再設定を行う停止設定位置再設定処理を行うことを特徴とする開閉部材制御装置。 - 前記制御手段は、開閉部材が前記停止設定位置にあると検出している状態で、開閉部材を開動作させるために前記操作手段が所定時間以上継続して操作されたことを前記操作信号に基づいて検出したときに、さらに前記ロック停止位置へ向けて開閉部材を作動させることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
- 前記制御手段は、前記停止設定位置再設定処理において、開閉部材が強制停止した停止位置の所定距離手前に前記停止設定位置を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉部材制御装置。
- 前記操作手段は、操作者の操作に基づいて開閉部材を操作時間に応じて開閉作動させるマニュアル操作信号と、開閉部材を前記停止設定位置までオート開閉作動させるオート操作信号とを出力可能であり、
前記制御手段は、前記オート操作信号に基づいて前記停止設定位置再設定処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置。 - 前記制御手段は、前記停止設定位置再設定処理において、前記ロック停止位置の再設定を行った後に、前記停止設定位置の再設定を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置。
- さらに開閉部材の閉動作時において異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段を備え、
該挟み込み検出手段は、全閉側のロック停止位置から該全閉側のロック停止位置の手前に設定された挟み込み検出解除位置までの範囲では、挟み込みの検出を行わないように設定されてなり、
前記制御手段は、前記停止設定位置再設定処理において、開閉部材が強制停止した停止位置に基づいて前記挟み込み検出解除位置の再設定を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置。
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