JP6129371B2 - ポリアニリン複合体、その製造方法及び組成物 - Google Patents
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Description
電解酸化重合については、電極上でアニリンを重合する方法が、特許文献1や特許文献2に記載されている。電解酸化重合では、電気的特性等に優れたフィルムが得られるが、一般に化学酸化重合に比べて製造コストが高く、大量生産には適しておらず、また、複雑な形状の成形体を得ることも困難である。
例えば、非特許文献1は、ドデシルベンゼンスルホン酸、ショウノウスルホン酸(CSA)等の、有機溶剤に親和性のあるプロトン酸をドーパントとして使用することで、ポリアニリンが優れた電気的特性を示すことを開示する。特許文献3は、非導電性塩基状態のポリアニリンを、例えばアダマンタンスルホン酸をドーパントにし、m−クレゾールに溶解する方法を開示する。非特許文献2は、例えば2,2−ジクロロ酢酸のような特殊な溶媒(ハロゲン系の強酸)中で、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸をドーパントとして、非導電性塩基状態のポリアニリンをドーピングする方法を開示する。特許文献4は、非特許文献2と同様に、溶媒として2,2−ジクロロ酢酸を用い、スルホコハク酸のジ(2−エチルヘキシル)エステルをドーパントとして、非導電性塩基状態のポリアニリンをドーピングする方法を開示する。
しかし、特許文献1〜4及び非特許文献1〜2に記載の方法で得られる導電性ポリアニリンからなる成形体は、電気伝導率等の電気的特性が必ずしも優れているとは言えなかった。
一般に高分子材料では分子量と材料物性に密接な相関があり、例えば成膜した際の膜強度は、分子量が高い方が強靭になる。このようにポリアニリンにおいては塩酸を用いて重合した場合に、工業的に優位な材料が得られる。その一方で、電子部品分野では、塩素を含有する材料を用いると金属部分が腐食するおそれがあることや、さらに近年では世界的な環境規制強化のため、塩素フリーが求められているが、特許文献5の溶解型ポリアニリン複合体は塩素含有量が多いという問題があった。
本発明によれば、以下のポリアニリン複合体等が提供される。
1. 置換又は無置換のポリアニリン分子、及びプロトン供与体を含み、
前記ポリアニリン分子が前記プロトン供与体でドープされており、
塩素含有量が0.6重量%以下であり、下記式(1)を満たすポリアニリン複合体。
P10000/PALL≦0.15 (1)
(式中、P10000は、ポリアニリン複合体に含まれる分子量が10000以下のポリアニリン分子の重量の総和である。
PALLは、ポリアニリン複合体に含まれる、全ポリアニリン分子の重量の総和である。)
2.前記ポリアニリン分子の重量平均分子量が52000以上である1に記載のポリアニリン複合体。
3.前記プロトン供与体が下記式(I)で表される化合物である1又は2に記載のポリアニリン複合体。
M(XARn)m (I)
(式中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、mは[Mの価数/Xの価数]の値である。
Xは、アニオン基である。
Aは、置換基を含んでよい炭化水素基である。
Rは、−H、−R1、−OR1、−COR1、−COOR1、−(C=O)−(COR1)、又は−(C=O)−(COOR1)で表わされる基であり、
R1は、置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、−(R2O)x−R3で表わされる基、又は−(OSiR3 2)x−OR3で表わされる基である(R2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に炭化水素基であり、xは1以上の整数である)。
nは1以上の整数である。)
4.前記プロトン供与体が下記式(III)で表される化合物である1〜3のいずれかに記載のポリアニリン複合体。
R13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)r−R16で表わされる基である。
R15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 3Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。
R17はそれぞれ独立に炭化水素基である。)
5.25℃において、トルエン95g及びイソプロピルアルコール5gからなる溶媒に1g以上溶解する1〜4のいずれかに記載のポリアニリン複合体。
6.さらにリンを含む1〜5のいずれかに記載のポリアニリン複合体。
7.プロトン供与体、リン酸、及び前記プロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合するポリアニリン複合体の製造方法。
8.前記プロトン供与体が下記式(I)で表される化合物である7に記載のポリアニリン複合体の製造方法。
M(XARn)m (I)
(式中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、mは[Mの価数/Xの価数]の値である。
Xは、アニオン基である。
Aは、置換基を含んでよい炭化水素基である。
Rは、−H、−R1、−OR1、−COR1、−COOR1、−(C=O)−(COR1)、又は−(C=O)−(COOR1)で表わされる基であり、
R1は、置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、−(R2O)x−R3で表わされる基、又は−(OSiR3 2)x−OR3で表わされる基である(R2はそれぞれ独立にアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に炭化水素基であり、xは1以上の整数である)。
nは1以上の整数である。)
9.前記プロトン供与体が下記式(III)で表される化合物である7又は8に記載のポリアニリン複合体の製造方法。
R13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)r−R16で表わされる基である。
R15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 3Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。
R17はそれぞれ独立に炭化水素基である。)
10.7〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られるポリアニリン複合体。
11.1〜6及び10のいずれかに記載のポリアニリン複合体、及び溶剤を含む組成物。
12.さらにフェノール性化合物を含む11に記載の組成物。
13.さらに耐熱安定化剤を含む11又は12に記載の組成物。
14.1〜6及び10のいずれかに記載のポリアニリン複合体を含むコンデンサ。
15.11〜13のいずれかに記載の組成物を用いて製造したコンデンサ。
16.1〜6及び10のいずれかに記載のポリアニリン複合体を含む成形体。
17.11〜13のいずれかに記載の組成物を用いて製造した成形体。
18.基材と、
1〜6及び10のいずれかに記載のポリアニリン複合体を含む導電層を備え、
前記導電層が基材上に積層してなる導電性積層体。
19.基材と、
11〜13のいずれかに記載の組成物を用いて製造した導電層を備え、
前記導電層が基材上に積層してなる導電性積層体。
20.18又は19に記載の導電性積層体を成形して得られる導電性物品。
P10000/PALL≦0.15 (1)
(式中、P10000は、ポリアニリン複合体に含まれる分子量が10000以下のポリアニリン分子の重量の総和である。
PALLは、ポリアニリン複合体に含まれる、全ポリアニリン分子の重量の総和である。)
ポリアニリン複合体の置換又は無置換のポリアニリン分子が、上記式(1)を満たすことは、ポリアニリン複合体のポリアニリン分子の総重量に対する、分子量が10000以下の置換又は無置換のポリアニリン分子の総重量が15%以下であることを意味する。ポリアニリン複合体中の、分子量が10000以下の置換又は無置換のポリアニリン分子の割合を低くすることで、本発明のポリアニリン複合体は、優れた導電性を発現することができる。
分子量が10000以下の置換又は無置換のポリアニリン分子量の総重量が15%超の場合、高い導電度が得られない。
P10000/PALL≦0.12
P10000/PALL≦0.10
(式中、P10000及びPALLは、式(1)と同様である。)
尚、P10000/PALLの下限は特に限定されないが、例えば0.01%又は0.1%である。
ポリアニリン複合体0.25gをトルエン5gに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液を10mL加えて15分間攪拌を行った後吸引ろ過する。得られた残渣をトルエン10mLで3回、イオン交換水10mLで3回、メタノール10mLで3回洗浄を行い、得られた固形分を減圧乾燥し、得られたポリアニリン分子の分子量をGPCで測定する。
尚、上記方法で得られる分子量は、ポリスチレン(PS)換算値である。
ポリアニリン分子の重量平均分子量が10,000未満であると、当該ポリアニリン分子を含む組成物から得られる導電性物品の強度や延伸性が低下するおそれがある。
上記分子量分布は重量平均分子量/数平均分子量で表わされる値であり、導電率の観点から、分子量分布は小さい方が好ましい。また、上記重量平均分子量及び分子量分布は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定できるポリスチレン換算値として得られる。
上記置換ポリアニリン分子の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基(−CF3基)等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
塩素原子を含まない酸の存在下で得られたポリアニリン分子は、ポリアニリン複合体の塩素含有量をより低くすることができる。
プロトン供与体が置換又は無置換のポリアニリン分子にドープしていることは、紫外・可視・近赤外分光法やX線光電子分光法によって確認することができ、当該プロトン供与体は、ポリアニリン分子にキャリアを発生させるに十分な酸性を有していれば、特に化学構造上の制限なく使用できる。
上記プロトン供与体としては、例えばブレンステッド酸、又はそれらの塩が挙げられ、好ましくは有機酸、又はそれらの塩であり、さらに好ましくは下記式(I)で示されるプロトン供与体である。
M(XARn)m (I)
上記有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基が挙げられる。また、上記無機遊離基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄が挙げられる。
式(I)のXは、アニオン基であり、例えば−SO3 −基、−PO3 2−基、−PO4(OH)−基、−OPO3 2−基、−OPO2(OH)−基、−COO−基が挙げられ、好ましくは−SO3 −基である。
上記炭化水素基は、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。
鎖状の飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖若しくは分岐状のアルキル基が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。ここで環状の飽和脂肪族炭化水素基は、複数の環状の飽和脂肪族炭化水素基が縮合していてもよい。例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、縮合したアダマンチル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。鎖状の不飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖若しくは分岐状のアルケニル基が挙げられる。
ここで、Aが置換の炭化水素基である場合の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シリル基又はエステル基である。
R1の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、直鎖若しくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基等が挙げられる。また、当該炭化水素基の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基又はエステル基である。R3の炭化水素基もR1と同様である。
R2のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
式(I)のnは1以上の整数であり、式(I)のmは、Mの価数/Xの価数である。
上記エステル結合を2以上含有する化合物は、スルホフタール酸エステル、又は下式(II)で表される化合物がより好ましい。
R4、R5及びR6が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
R9の炭化水素基としては、R4、R5及びR6の場合と同様である。
R7及びR8が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4以上の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられ、R7及びR8が炭化水素基である場合の炭化水素基の具体例としては、例えば、直鎖又は分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
R13及びR14において、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R10と同様である。また、R13及びR14において、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R4、R5及びR6と同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
R13及びR14の炭化水素基としては、R7及びR8と同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等が好ましい。
ドープ率は(ポリアニリン分子にドープしているプロトン供与体のモル数)/(ポリアニリンのモノマーユニットのモル数)で定義される。例えば無置換ポリアニリンとプロトン供与体を含むポリアニリン複合体のドープ率が0.5であることは、ポリアニリンのモノマーユニット分子2個に対し、プロトン供与体が1個ドープしていることを意味する。
尚、ドープ率は、ポリアニリン複合体中のプロトン供与体とポリアニリン分子のモノマーユニットのモル数が測定できれば算出可能である。例えば、プロトン供与体が有機スルホン酸の場合、プロトン供与体由来の硫黄原子のモル数と、ポリアニリンのモノマーユニット由来の窒素原子のモル数を、有機元素分析法により定量し、これらの値の比を取ることでドープ率を算出できる。但し、ドープ率の算出方法は、当該手段に限定されない。
0.42≦S5/N5≦0.60 (5)
(式中、S5はポリアニリン複合体に含まれる硫黄原子のモル数の合計であり、N5はポリアニリン複合体に含まれる窒素原子のモル数の合計である。
尚、上記窒素原子及び硫黄原子のモル数は、例えば有機元素分析法により測定した値である。)
本発明のポリアニリン複合体の塩素含有量は、0.6重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以下であり、より好ましくは0.04重量%以下であり、さらに好ましくは0.0001重量%以下である。
ポリアニリン複合体の塩素含有量が0.6重量%超の場合、ポリアニリン複合体と接触する金属部分が腐食するおそれがある。
上記塩素含有量は、燃焼−イオンクロマト法によって測定することができる。
ここで「溶解できる」とは、ポリアニリン複合体が上記溶媒中に分子単位で均一に溶けることを意味し、例えばポリアニリン複合体を上記溶媒に溶解し、遠心分離機にて遠心力(1000G、30分)をかけても、溶液中にポリアニリン複合体の濃度勾配が生じないことから確認できる。
溶解しているポリアニリン複合体を含む組成物は、成膜した際に、粒界がない均一なポリアニリン複合体の膜を得ることができる。
ポリアニリン複合体がリンを含む場合、リンの含有量は例えば10重量ppm以上5000重量ppm以下である。またリンの含有量は、例えば2000重量ppm以下、500重量ppm以下、250重量ppm以下である。
上記リンの含有量は、ICP発光分光分析法で測定することができる。
また、ポリアニリン複合体は、不純物として第12族元素(例えば亜鉛)を含まないことが好ましい。
上記成形体は、例えば以下のようにして得られる:
ポリアニリン複合体500mgを、トルエン9.5g及びイソプロピルアルコール0.5gからなる溶媒に溶解し、導電度測定用溶液を作製する。図1に示す、パターニングによりインジウム錫酸化物(ITO)電極2が表面に形成されたガラス基板1の上面に、導電度測定用溶液1mlを、スピンコート法により塗布する。ここでスピンコート法による塗布は、窒素雰囲気下で行う。また、スピンコート法の、ガラス基板に導電度測定用溶液を滴下した後のガラス基板回転時間は、15秒間である。また、スピンコート法のガラス基板回転速度は、2000rpmである。その後、ガラス基板を乾燥してポリアニリン複合体薄膜を形成する。ここで乾燥は、窒素雰囲気下で行う。また、乾燥時間は、5分間である。また、乾燥温度は、80℃である。
ここでの成形体とは、ガラス基板上に形成されたポリアニリン複合体薄膜自体をいう。また、導電率は、例えば以下の方法で測定することができる。
ポリアニリン複合体薄膜を乾燥後、図2に示すように、ポリアニリン複合体薄膜3のITO電極の端子を覆っている部分を、窒素雰囲気下で削り取り、ITO電極の端子を表面に露出させる。表面に露出したITO電極の端子を用いて、三菱化学社製の抵抗率計を用いて4端子法で導電度を測定する。
本発明のポリアニリン複合体は、プロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合することにより製造できる。また、置換又は無置換のアニリン、プロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中に、酸化重合剤を加えることにより製造できる。
リン酸及び乳化剤が存在する2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合することにより、上記式(1)を満たすポリアニリン分子が得られる。ここで、乳化剤は下記で述べる転相を防ぐ役割を担っていると考えられる。発明者らは、プロトン供与体及びリン酸を含み2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合してポリアニリン複合体を製造すると、リン酸ではなく塩酸を用いていた場合に比べて、低分子量成分が増えてしまうことを見出した。ここでリン酸を用いた際の重合中の様子から、上記2つの液相は重合中に転相を起こしていると見られた。そして、この転相が低分子量成分を増やす理由と推察した。この転相という現象は、連続相であった液相が分散相へ、分散相であった他方の液相が連続相へ変化する現象である。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
アニオン性乳化剤(陰イオン乳化剤)の具体例としては、脂肪酸、不均化ロジン石けん、高級アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、アルケニルコハク酸、ザルコシネート、及びそれらの塩が挙げられる。
カチオン性乳化剤(陽イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
双性乳化剤(両イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸型、アミンオキサイド型が挙げられる。
非イオン乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレングリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
アニオン性乳化剤としては、リン酸エステル構造を有するアニオン性乳化剤がさらに好ましい。また、非イオン乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤がさらに好ましい。
プロトン供与体の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に例えば「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
乳化剤の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
これら酸化剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合温度は通常−5〜60℃で、好ましくは−5〜40℃である。また、重合温度は重合反応の途中に変えてもよい。重合温度が当該範囲であることで、副反応を回避することができる。
プロトン供与体及び乳化剤をトルエンに溶解した溶液を、窒素等の不活性雰囲気の気流下においたセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、置換又は無置換のアニリンを加える。その後、塩素を含まないリン酸を溶液に添加し、溶液温度を冷却する。
溶液内温を冷却した後、攪拌を行う。過硫酸アンモニウムをリン酸に溶解した溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、反応させる。その後、溶液温度を上昇させ、反応を継続する。反応終了後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエンを追加し、リン酸及びイオン交換水で洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液が得られる。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収する。この溶液をエバポレーターに移し、加温及び減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体が得られる。
本発明の組成物は、本発明のポリアニリン複合体及び溶剤を含む。
上記溶剤は、有機溶剤でも水等の無機溶剤でもよく、また1種単独でも2種以上の混合溶媒でもよい。好ましくは有機溶剤である。
また、有機溶剤は、水溶性有機溶剤でも、実質的に水に混和しない有機溶剤(水不混和性有機溶剤)でもよい。
上記水不混和性有機溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン等の含ハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸n-ブチル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類溶剤、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類溶剤等が挙げられる。これらの中では、ドープされたポリアニリンの溶解性に優れる点でトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、クロロホルム、トリクロロエタン及び酢酸エチルが好ましい。
尚、本発明のポリアニリン複合体は、溶剤がイソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類であっても溶解することができる。アルコールは、トルエン等の芳香族に比べて環境負荷低減の観点から好ましい。
上記混合有機溶剤の水不混和性有機溶剤としては、低極性有機溶剤が使用でき、当該低極性有機溶剤は、トルエンやクロロホルムが好ましい。また、混合有機溶剤の水溶性有機溶剤としては、高極性有機溶剤が使用でき、例えば、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,2−メトキシエタノール,2−エトキシエタノール,アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルが好ましい。
ポリアニリン複合体の含有量が多すぎると、溶液状態が保持できなくなり、成形体を成形する際の取り扱いが困難になり、成形体の均一性が損なわれ、ひいては成形体の電気特性や機械的強度、透明性の低下を生じるおそれがある。一方、ポリアニリン複合体の含有量が少なすぎると、後述する方法により成膜したとき、非常に薄い膜しか製造できず、均一な導電性膜の製造が難しくなるおそれがある。
フェノール性化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されない。フェノール性水酸基を有する化合物とは、フェノール性水酸基を1つ有する化合物、フェノール性水酸基を複数有する化合物、及びフェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物である。
Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる基等が挙げられる。
また、式(D)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、1,6ナフタレンジオール、2,6ナフタレンジオール、2,7ナフタレンジオールが挙げられる。
フェノール性化合物の含有量が少なすぎる場合、電気伝導率の改善効果が得られないおそれがある。一方、フェノール性化合物の含有量が多すぎる場合、膜質が悪くなるおそれがある。また、揮発除去する際に多大な熱や時間等の労力を必要としコスト増となる。
また、本発明の組成物は、複数の耐熱安定化剤を含んでいてもよい。
上記アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸が挙げられる。ここでのアルキル基は、好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸、置換又は無置換のナフタレンスルホン酸及び置換又は無置換のアントラセンスルホン酸が挙げられ、好ましくはナフタレンスルホン酸である。具体例としては、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸が挙げられる。
ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。
上記ポリスルホン酸は、高分子鎖の主鎖又は側鎖に複数のスルホン酸基が置換したスルホン酸である。例えば、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。
上記アルキルカルボン酸としては、例えばウンデシレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸としては、例えば、置換又は無置換のベンゼンカルボン酸及びナフタレンカルボン酸が挙げられる。ここで置換基は、例えば、スルホン酸基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。具体例としては、サリチル酸、安息香酸、ナフトエ酸、トリメシン酸が挙げられる。
上記アルキルリン酸又はアルキルホスホン酸としては、例え、ドデシルリン酸、リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族リン酸及び芳香族ホスホン酸としては、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸又はホスホン酸、及びナフタレンスルホン酸又はホスホン酸等が挙げられる。ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。例えば、フェニルホスホン酸が挙げられる。
本発明の組成物は、耐熱安定化剤である酸性物質及び/又は酸性物質の塩を2つ以上含んでもよい。具体的には、本発明の組成物は、異なる複数の酸性物質及び/又は異なる複数の酸性物質の塩を含んでいてもよい。
組成物が耐熱安定化剤として酸性物質及び前記酸性物質の塩を含む場合には、酸性物質及び酸性物質の塩のうち少なくとも1つがプロトン供与体と同一又は異なるスルホン酸又はスルホン酸の塩であることが好ましい。
0.01≦S2/N2≦0.5 (12)
0.01≦S3/N3≦0.5 (13)
0.01≦S4/N4≦0.5 (14)
(ここで、S2は組成物に含まれている全ての酸性物質の硫黄原子のモル数の合計であり、N2は組成物に含まれている全てのポリアニリン複合体の窒素原子のモル数の合計を意味し、S3は組成物に含まれている全ての酸性物質の塩の硫黄原子のモル数の合計であり、N3は組成物に含まれている全てのポリアニリン複合体の窒素原子のモル数の合計を意味し、S4は組成物に含まれている全ての酸性物質及び酸性物質の塩の硫黄原子のモル数の合計であり、N4は組成物に含まれている全てのポリアニリン複合体の窒素原子のモル数の合計を意味する。)
0.36≦S1/N1≦1.15 (11)
(ここで、S1は組成物に含まれる硫黄原子のモル数であり、N1は組成物に含まれる窒素原子のモル数を意味する。)
本発明の組成物が酸性物質の塩のみを含む場合、当該酸性物質の塩の酸性度が5.0以下であることが好ましい。酸性度の下限については、上記酸性物質と同様である。
本発明の組成物が酸性物質及び酸性物質の塩の両方を含む場合、当該酸性物質の酸性度が5.0以下及び酸性度が5.0以下の酸性物質の塩のうち、少なくとも1つを満たすことが好ましい。酸性度の下限については、上記と同様である。
具体的には、「TURBOMOLE Version 6.1」(COSMO logic社製)を用いて、基底関数にTZVPを用いて構造を最適化し、この構造を用いてCOSMO−RS法計算を「COSMO therm Version C2.1 Release 01.10」(COSMO logic社製)により行う。
ここで、「COSMO therm Version C2.1 Release 01.10」に25℃の水溶媒中との条件と、分子の化学式と、脱プロトンした分子の化学式と、を入力することで、pKaを算出することができる。
他の樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコールが挙げられる。
また上記樹脂の代わりに、また樹脂と共に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、もしくはこれら熱硬化性樹脂を形成し得る前駆体を含んでもよい。
無機材料の具体例としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、チタニア(二酸化チタン)、アルミナ(酸化アルミニウム)、Sn含有In2O3(ITO)、Zn含有In2O3、In2O3の共置換化合物(4価元素及び2価元素が3価のInに置換した酸化物)、Sb含有SnO2(ATO)、ZnO、Al含有ZnO(AZO)、Ga含有ZnO(GZO)等が挙げられる。
可塑剤の具体例としては、例えば、フタル酸エステル類やリン酸エステル類が挙げられる。有機導電材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような炭素材料、あるいは、本発明で得られるポリアニリン以外の、導電性高分子等が挙げられる。
本発明のポリアニリン複合体及び/又は組成物から、成形体、導電性積層体(表面導電性物品)、導電性物品、導電性フィルムが得られる。
例えば本発明の組成物を乾燥し、溶剤を除去することによって成形体が得られる。当該成形体の形状は板状、棒状等どのような形状であってもよい。例えば、本発明の組成物を、所望の形状を有するガラスや樹脂フィルム、シート、不織布等の基材に塗布し、溶剤を除去することによって、導電性膜を有する導電性積層体を製造することができる。当該導電性積層体を真空成型や圧空成形等の公知の方法により所望の形状に加工することにより、導電性物品を製造することができる。成形の観点からは、基材は樹脂フィルム又はシート、不織布が好ましい。
上記塗布膜を乾燥する際、溶剤の種類によっては、塗布膜を加熱してもよい。例えば、空気気流下250℃以下、好ましくは50以上200℃以下の温度で加熱し、さらに、必要に応じて、減圧下に加熱する。加熱温度及び加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
自己支持型成形体とする場合には、好ましくは、組成物が上述した他の樹脂を含むようにすると、所望の機械的強度を有する成形体を得ることができる。
ここで、成形体は、以下のようにして得られる。図1に示す、パターニングによりITO電極2が表面に形成されたガラス基板1の上面に、組成物1mlを塗布する。具体的には、スピンコート法により塗布する。ここでスピンコート法による塗布は、窒素雰囲気下で行う。また、スピンコート法の、ガラス基板に組成物を滴下した後のガラス基板回転時間は、15秒間である。また、スピンコート法のガラス基板回転速度は、2000rpmである。その後、ガラス基板を乾燥して組成物薄膜を形成する。ここで乾燥は、窒素雰囲気下で行う。また、乾燥時間は、5分間である。また、乾燥温度は、80℃である。
ここでの成形体とは、ガラス基板上に形成された組成物の成形体自体をいう。尚、導電率は、例えば、以下のようにして得られる。組成物薄膜を乾燥後、図3に示すように、組成物薄膜4のITO電極の端子を覆っている部分を、窒素雰囲気下で削り取り、ITO電極の端子を表面に露出させる。表面に露出したITO電極の端子を用いて、三菱化学社製の抵抗率計を用いて4端子法で導電度を測定する。
本発明のポリアニリン複合体及び/又は組成物からコンデンサが得られる。
当該コンデンサとしては、具体的には、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサが挙げられる。ここで電解コンデンサには、固体電解コンデンサが含まれる。
また、本発明のポリアニリン複合体及び/又は組成物からめっき下地剤又は防錆剤が得られる。
[ポリアニリン複合体の製造]
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)37.8g及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤であるソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)1.47gをトルエン600mLに溶解した溶液を、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、22.2gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸1800mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分390回転で攪拌を行った。65.7gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸600mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、1時間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液した。有機相側にトルエン1500mLを追加し、1Mリン酸600mLで1回、イオン交換水600mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、43.0gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。
分子量測定用ポリアニリン2mgに0.01M LiBr含有NMPを10mL加え、シェイカーを用いて溶解させた。その後、ジーエルサイエンス社製クロマトディスク(水系/非水系、0.45μm)を用いてろ過した後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて分子量分布の測定を行った。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)の測定は昭和電工株式会社製GPCカラム(Shodex KF−806Mを2本、Shodex KF−803を1本)を用いて行い、測定条件は溶媒を0.01M LiBr含有NMP、流量を0.40ml/min、カラム温度を60℃、注入量を100μL、UV検出波長を270nmとした。また、分子量分布はポリスチレン換算で行った。
その結果、P10000/PALLは、0.096であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)6.3g、ソルボンT―20(東邦化学工業株式会社製)0.25gをトルエン100mLに溶解し、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、3.7gのアニリンを加えた。その後、3Mリン酸300mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分300回転で攪拌を行った。11.0gの過硫酸アンモニウムを3Mリン酸100mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、1時間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエン250mLを追加し、1Mリン酸100mLで1回、イオン交換水100mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、7.2gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.051であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)10.5g、ソルボンT―20(東邦化学工業株式会社製)0.41gをトルエン170mLに溶解し、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、6.2gのアニリンを加えた。その後、3Mリン酸280mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分300回転で攪拌を行った。18.3gの過硫酸アンモニウムを3Mリン酸60mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、1時間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエン250mLを追加し、1Mリン酸100mLで1回、イオン交換水100mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、14.8gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.074であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)113.4g、ソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)4.41gをトルエン1800mLに溶解し、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、66.6gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸1800mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分390回転で攪拌を行った。197.1gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸900mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、1時間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエン2250mLを追加し、1Mリン酸900mLで1回、イオン交換水900mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、164.2gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.095であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)56.74g及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤であるソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)2.22gをトルエン600mLに溶解した溶液を、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、33.3gのアニリンを300mlのトルエンと混合し加えた。その後、1Mリン酸2700mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分390回転で攪拌を行った。98.55gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸900mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、10分間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液した。有機相側にトルエン2250mLを追加し、1Mリン酸900mLで1回、イオン交換水900mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#2の濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、64.5gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。
また、得られたポリアニリン複合体の重量平均分子量及び分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.1382であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)56.8g及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤であるソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)2.21gをトルエン600mLに溶解した溶液を、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、33.4gのアニリンを300mlのトルエンと混合し加えた。その後、1Mリン酸2700mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分260回転で攪拌を行った。98.57gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸900mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、10分間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液した。有機相側にトルエン2250mLを追加し、1Mリン酸900mLで1回、イオン交換水900mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#2の濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、64.6gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。
また、得られたポリアニリン複合体の重量平均分子量及び分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.1357であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)3.6gをトルエン100mLに溶解し、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、3.7gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸300mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分300回転で攪拌を行った。7.3gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸100mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、トルエン250mLを追加し、反応温度を25℃まで上昇させ4時間、反応を継続した。その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水100mLで2回、1Mリン酸100mLで1回、更にイオン交換水100mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、4.1gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.169であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)3.6gをトルエン50mLに溶解し、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、3.7gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸300mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分300回転で攪拌を行った。7.3gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸100mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、トルエン250mLを追加し、反応温度を25℃まで上昇させ4時間、反応を継続した。その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水100mLで2回、1Mリン酸100mLで1回、更にイオン交換水100mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、3.6gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.234であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)3.6gをトルエン150mLに溶解し、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、3.7gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸300mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分300回転で攪拌を行った。7.3gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸100mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、トルエン250mLを追加し、反応温度を25℃まで上昇させ4時間、反応を継続した。その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水100mLで2回、1Mリン酸100mLで1回、更にイオン交換水100mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、3.4gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.251であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)21.6gをトルエン600mLに溶解し、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに溶液を入れ、さらにこの溶液に、22.2gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸1800mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分390回転で攪拌を行った。43.8gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸600mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、トルエン1500mLを追加し、反応温度を25℃まで上昇させ4時間、反応を継続した。その後、静置により二相に分離した水相側を分液し、トルエン相側をイオン交換水600mLで2回、1Mリン酸600mLで1回、更にイオン交換水600mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、21.9gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。また、得られたポリアニリン複合体の分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.249であった。結果を表1に示す。
エーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)4.3gをトルエン100mLに溶解した溶液を、窒素気流下においた1Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、3.7gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸300mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分300回転で攪拌を行った。7.32gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸100mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後トルエンを250ml添加し,反応温度を25℃まで上昇させ、4時間反応を継続した。その後、静置することで二相に分離した水相側を分液した。イオン交換水100mLで2回,1Mリン酸100mLで1回、イオン交換水100mLで3回洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Bの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、4.82gのポリアニリン複合体を得た。
調製したポリアニリン複合体を有機物塩素分−電量滴定法により塩素含有量を測定した結果、塩素含有量が5重量ppm未満であることを確認した。
また、得られたポリアニリン複合体の重量平均分子量及び分子量分布を実施例1と同様にして測定したところ、P10000/PALLは、0.1704であった。結果を表1に示す。
[ポリアニリンのドープ率の測定]
調製したポリアニリン複合体0.25gをトルエン4.75g、イソプロピルアルコール0.25gに溶解した。その溶液にヘキサンを250mL加えて攪拌を行った。その後、全量をNo.5Cのろ紙にて自然ろ過し、採取した固形分を減圧乾燥することで、ドープ率測定用ポリアニリンを調製した。
ドープ率測定用ポリアニリン中に含まれる窒素原子及び硫黄原子をそれぞれ高周波燃焼法及びCHNコーダー法にて測定を行った。
尚、ポリアニリン複合体をトルエンに溶解し、ヘキサンにて洗浄することで、ポリアニリン分子にドープしていないエーロゾルOT(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム)を除去することが出来るため、上記測定で得られる硫黄原子の含有量はドープ量を示している。
調製したポリアニリン複合体0.1gをトルエン1.9g、イソプロピルアルコール0.1gに溶解した。その溶液に第2ドーパントとしてメタクレゾール0.8g加え、30℃で30分間攪拌混合を行い、電導度測定用溶液を作製した。
図1に示すパターニングによりITO電極2が表面に形成されたガラス基板1の上面に、電導度測定用溶液1mlを、スピンコート法により窒素雰囲気下で塗布した。この際、ガラス基板に導電性ポリアニリン組成物を滴下した後のガラス基板回転時間は15秒間とし、ガラス基板回転速度は、2000rpmとした。その後、ガラス基板を窒素雰囲気下で乾燥して(乾燥時間:5分間、乾燥温度:80℃)、導電性ポリアニリン薄膜を形成した。
乾燥して得られた導電性ポリアニリン薄膜について、図4に示すように、導電性ポリアニリン薄膜5のITO電極の端子を覆っている部分を窒素雰囲気下で削り取り、ITO電極の端子を表面に露出させた。表面に露出したITO電極の端子を用いて、ロレスターGP(三菱化学社製;四端子法による抵抗率計)を用いて4端子法で電導度を測定した。
ポリアニリンの電導度測定に用いた電導度測定用溶液1mlを、図1に示すパターニングによりITO電極2が表面に形成されたガラス基板1の上面に、窒素雰囲気下でスピンコート法により塗布した。スピンコート法の、ガラス基板に導電性ポリアニリン組成物を滴下した後のガラス基板回転時間は15秒間とした。また、スピンコート法のガラス基板回転速度は500rpmとした。その後、ガラス基板を窒素雰囲気下で乾燥して(乾燥時間:5分間、乾燥温度:80℃)、導電性ポリアニリン薄膜を形成した。導電性ポリアニリン薄膜を乾燥後、図4に示すように、導電性ポリアニリン薄膜5のITO電極の端子を覆っている部分を、窒素雰囲気下で削り取り、ITO電極の端子を表面に露出させる。表面に露出したITO電極の端子を用いて、ロレスターGP(三菱化学社製;四端子法による抵抗率計)を用いて薄膜の抵抗を測定し、成膜直後の抵抗値を初期値R0とした。
得られた導電性ポリアニリン組成物の薄膜をガラス基板のまま、窒素雰囲気下、125℃の条件下で1200時間放置した。所定時間経過後に薄膜の温度を室温に戻してから初期値R0の場合同様にして抵抗の測定を行った。1200時間経過後の抵抗値R1200と初期値R0との比R1200/R0を算出し、薄膜の経時劣化(抵抗の上昇率)を評価した。
この明細書に記載の文献の内容を全てここに援用する。
Claims (15)
- 置換又は無置換のポリアニリン分子、及び有機酸又はその塩であるプロトン供与体を含み、
前記ポリアニリン分子が前記プロトン供与体でドープされており、塩素含有量が0.6重量%以下であり、
下記式(1)を満たすポリアニリン複合体を含む組成物であって、
溶剤を含まない組成物。
P10000/PALL≦0.15 (1)
(式中、P10000は、ポリアニリン複合体に含まれる分子量が10000以下のポリアニリン分子の重量の総和である。
PALLは、ポリアニリン複合体に含まれる、全ポリアニリン分子の重量の総和である。) - さらにフェノール性化合物を含む請求項1に記載の組成物。
- さらに耐熱安定化剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- さらにナフタレンスルホン酸を含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 置換又は無置換のポリアニリン分子、及び、有機酸又はその塩であるプロトン供与体を含み、前記ポリアニリン分子が前記プロトン供与体でドープされており、塩素含有量が0.6重量%以下であり、下記式(1)を満たすポリアニリン複合体と、
下記式(C)で表される化合物を含む組成物。
P10000/PALL≦0.15 (1)
(式中、P10000は、ポリアニリン複合体に含まれる分子量が10000以下のポリアニリン分子の重量の総和である。
PALLは、ポリアニリン複合体に含まれる、全ポリアニリン分子の重量の総和である。)
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。) - 置換又は無置換のポリアニリン分子、及び、有機酸又はその塩であるプロトン供与体を含み、前記ポリアニリン分子が前記プロトン供与体でドープされており、塩素含有量が0.6重量%以下であり、下記式(1)を満たすポリアニリン複合体と、
ナフタレンスルホン酸を含む組成物。
P10000/PALL≦0.15 (1)
(式中、P10000は、ポリアニリン複合体に含まれる分子量が10000以下のポリアニリン分子の重量の総和である。
PALLは、ポリアニリン複合体に含まれる、全ポリアニリン分子の重量の総和である。) - 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を含むコンデンサ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を用いて製造するコンデンサの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を含む成形体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を用いて製造する成形体の製造方法。
- 基材と、
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を含む導電層を備え、
前記導電層が基材上に積層してなる導電性積層体。 - 基材上に請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を塗布し、導電層を形成する、導電層が前記基材上に積層してなる導電性積層体の製造方法。
- 基材上に請求項6又は7に記載の組成物を塗布し、溶剤を除去して導電層を形成する、導電層が前記基材上に積層してなる導電性積層体の製造方法。
- 請求項12に記載の導電性積層体を加工する導電性物品の製造方法。
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