JP2020145278A - 電磁波吸収シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波吸収能が高く、かつ、吸収対象である電磁波の周波数に合わせて電磁波吸収能を高精度に調整できる電磁波吸収シートを提供する。【解決手段】電磁波吸収シートは、1層以上の電磁波吸収層A1と、電磁波遮蔽層3とをこの順に積層して含む。電磁波吸収層は、電磁波遮蔽層側に配置された誘電体層21と、誘電体層における電磁波遮蔽層の反対側に配置された抵抗皮膜11とを含む。1層以上の電磁波吸収層のうち少なくとも1層中の抵抗皮膜は、置換又は無置換のポリアニリンを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波吸収シート及びその製造方法に関する。
電磁波吸収シートとして、従来、例えばSn含有In(ITO)を抵抗皮膜に用いたλ/4型電磁波吸収シートが知られている。また、特許文献1には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)との複合体(PEDOT/PSS)を抵抗皮膜に用いたλ/4型電磁波吸収シートが開示されている。
国際公開第2018/088492号
しかしながら、ITOを抵抗皮膜に用いた場合は、λ/4型電磁波吸収体を曲げたときに抵抗皮膜が割れる等の問題がある。また、特許文献1に記載の技術では、所望される電磁波の周波数に合わせて電磁波吸収能を高精度に調整することが困難であり、また、電磁波吸収能の信頼性も得られにくい。
本発明の目的は、電磁波吸収能が高く、かつ、吸収対象である電磁波の周波数に合わせて電磁波吸収能を高精度に調整できる電磁波吸収シートを提供することである。
本発明によれば、以下の電磁波吸収シート等が提供される。
1.1層以上の電磁波吸収層と、電磁波遮蔽層とをこの順に積層して含み、
前記電磁波吸収層は、前記電磁波遮蔽層側に配置された誘電体層と、前記誘電体層における前記電磁波遮蔽層の反対側に配置された抵抗皮膜とを含み、
前記1層以上の電磁波吸収層のうち少なくとも1層中の前記抵抗皮膜が置換又は無置換のポリアニリンを含む、
電磁波吸収シート。
2.前記電磁波吸収層が1層である前記1に記載の電磁波吸収シート。
3.前記電磁波吸収層が2層以上である前記1に記載の電磁波吸収シート。
4.前記置換又は無置換のポリアニリンが、ドーパントによってドープされたポリアニリン複合体である前記1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収シート。
5.前記ドーパントが下記式(III)で表されるスルホコハク酸誘導体から生じる有機酸イオンである、前記4に記載の電磁波吸収シート。
Figure 2020145278
(式(III)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。m’は、Mの価数である。R13及びR14は、それぞれ独立に炭化水素基又は−(R15O)−R16基である。R15は、それぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−基であり、rは1以上の整数である。R17は、それぞれ独立に炭化水素基である。)
6.前記ドーパントがジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムである、前記4又は5に記載の電磁波吸収シート。
7.前記抵抗皮膜が、置換又は無置換のポリアニリンと、フェノール性水酸基を有する化合物とを含む、前記1〜6のいずれかに記載の電磁波吸収シート。
8.λ/4型電磁波吸収体である、前記1〜7のいずれかに記載の電磁波吸収シート。
9.前記1〜8のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法であって、
前記置換又は無置換のポリアニリンを含む前記抵抗被膜を、置換又は無置換のポリアニリンとフェノール性水酸基を有する化合物とを含む組成物を用いた塗布法によって形成する工程を含む、電磁波吸収シートの製造方法。
本発明によれば、電磁波吸収能が高く、かつ、吸収対象である電磁波の周波数に合わせて電磁波吸収能を高精度に調整できる電磁波吸収シートが提供できる。
本発明の第1実施形態に係る電磁波吸収シートの層構成を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る電磁波吸収シートの層構成を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る電磁波吸収シートの等価回路を説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る電磁波吸収シートの層構成を説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る電磁波吸収シートの等価回路を説明する図である。 実施例1に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例2に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例3に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例4に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例5に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例6に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例7に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例8に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例10に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例11に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例12に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例13に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例14に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例15に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例16に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例17に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例18に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例19に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例20に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例21に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例22に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例23に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図 実施例24に係る電磁波吸収シートの吸収特性を示す図
以下、本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートについて説明する。尚、本明細書において、「x〜y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。また、好ましいとされている規定は任意に採用することができる。即ち、好ましいとされている一の規定を、好ましいとされている他の一又は複数の規定と組み合わせて採用することができる。好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいと言える。
[電磁波吸収シート]
本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートは、1層以上の電磁波吸収層と、電磁波遮蔽層とをこの順に積層して含む。電磁波吸収層は、電磁波遮蔽層側に配置された誘電体層と、誘電体層における電磁波遮蔽層の反対側に配置された抵抗皮膜とを含み、1層以上の電磁波吸収層の少なくとも1層中の抵抗皮膜は置換又は無置換のポリアニリンを含む。
かかる電磁波吸収シートによれば、所望される電磁波の周波数に合わせて電磁波吸収能を高精度に調整でき、また、電磁波吸収能の信頼性に優れる効果が得られる。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁波吸収シートの層構成を説明する図である。図1において、11は抵抗皮膜、21は誘電体層、3は電磁波遮蔽層である。A1は、抵抗皮膜11と誘電体層21とを含む電磁波吸収層である。
図1に示すように、本実施形態に係る電磁波吸収シートは、1層の電磁波吸収層A1と、電磁波遮蔽層3とをこの順に積層して含む。
電磁波吸収層A1は、電磁波遮蔽層3側に配置された誘電体層21と、誘電体層21における電磁波遮蔽層3の反対側に配置された抵抗皮膜11とを含む。
本実施形態において、電磁波吸収シートは、λ/4型電磁波吸収体である。電磁波である入射波は、抵抗皮膜11及び誘電体層21を経て電磁波遮蔽層3によって反射されて反射波になる。電磁波の波長をλとしたとき、誘電体層21の厚みdがλ/4であれば、共振点に配置された抵抗皮膜11が電磁波の電界成分を吸収することができる。ここでは、誘電体層21が誘電率ε=1である場合を仮定して説明したが、誘電率が任意の比誘電率εである場合には、誘電体層21の厚みdをλ/(4(ε1/2)に設定することができる。
(抵抗皮膜)
本実施形態において、抵抗皮膜11は置換又は無置換のポリアニリンを含む。置換又は無置換のポリアニリンは、ドーパントによってドープされた置換又は無置換のポリアニリン、即ちポリアニリン複合体として、抵抗皮膜11に含まれ得る。置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体については後に詳述する。
置換又は無置換のポリアニリンを含む抵抗皮膜は、例えば後述するフェノール性水酸基を有する化合物の添加等によって面抵抗を細かく高精度に調整できるため、吸収対象である電磁波の周波数に合わせて電磁波吸収能を高精度に調整できる。また、置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体は有機溶剤に対する溶解性に優れるため、有機溶剤系塗布液(組成物)を用いた塗布法によって抵抗皮膜11を均一に成膜できる。これにより、面抵抗の均一性も向上できるため、電磁波吸収能のばらつきがない高性能な電磁波吸収シートを実現できる。さらに、置換又は無置換のポリアニリンを抵抗皮膜に用いた電磁波吸収シートは、屈曲性が高いため、折り曲げた場合等であっても割れを防止できる。
ここで、比較として、抵抗皮膜に置換又は無置換のポリアニリンを用いず、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)との複合体(PEDOT/PSS)を用いる場合について検討する。PEDOT/PSSから得られたフィルムの電気伝導度(面抵抗)は、通常、エチレングリコール等の添加により調整可能であるが、エチレングリコールの濃度に対する面抵抗の変化が急峻であるため、面抵抗を精度高く調整するのは難しい。また、PEDOT/PSSは、通常、水系塗布液として用いられるが、水系塗布液は有機溶剤系よりも成膜性に劣る傾向があるため、均一な面抵抗、ひいては高性能な電磁波吸収シートを実現することは困難である。良好な成膜性を得るために水系塗布液に界面活性剤を添加する方法も考えられるが、界面活性剤が混入することで抵抗皮膜の導電性が低下してしまい、又は安定せずぶれやすくなるため、面抵抗の調整はさらに困難になる。
(バインダー)
抵抗皮膜は、置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上に加えて、バインダーを含むことができる。
バインダーとして、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、スチレン系、ポリアミド系、ビニル系、ポリビニルアセタール系、ポリエステル系、ポリエステルポリオール系、ポリエーテルポリオール系及びポリカーボネート系からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。
また、抵抗皮膜は、末端にアクリレート又はメタクリレート等の反応性官能基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーを紫外線や電子線等で硬化させたバインダーを含むことも可能である。
抵抗皮膜は、置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上に加えて、後に詳述するフェノール性水酸基を有する化合物を含むことができる。フェノール性水酸基を有する化合物は、後に詳述する塗布法に使用する塗液(組成物)に由来して抵抗皮膜に含まれ得る。他の態様において、フェノール性水酸基を有する化合物は、塗液の乾燥等に伴って減少し、抵抗皮膜にわずかに含まれるだけであるか、又は抵抗皮膜から消失する。
(他の成分)
抵抗皮膜は、ポリアニリン及びポリアニリン複合体、バインダー、並びにフェノール性水酸基を有する化合物以外の他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。他の成分として、例えば、無機材料、硬化剤、可塑剤、有機導電材料等の添加剤等が挙げられる。
無機材料は、例えば、強度、表面硬度、寸法安定性その他の機械的物性の向上、又は導電性等の電気特性を向上する目的で添加される。無機材料の具体例としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、チタニア(二酸化チタン)、アルミナ(酸化アルミニウム)、Sn含有In(ITO)、Zn含有In、Inの共置換化合物(4価元素及び2価元素が3価のInに置換した酸化物)、Sb含有SnO(ATO)、ZnO、Al含有ZnO(AZO)、Ga含有ZnO(GZO)等が挙げられる。
硬化剤は、例えば、強度、表面硬度、寸法安定性その他の機械的物性の向上等の目的で添加される。硬化剤の具体例としては、例えば、フェノール樹脂等の熱硬化剤、アクリレート系モノマーと光重合性開始剤による光硬化剤が挙げられる。
可塑剤は、例えば、引張強度や曲げ強度等の機械的特性の向上等の目的で添加される。可塑剤の具体例としては、例えば、フタル酸エステル類やリン酸エステル類が挙げられる。
有機導電材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような炭素材料等が挙げられる。
一実施形態において、抵抗皮膜の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上又は100質量%が、
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上、
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上及びバインダー、
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上、バインダー並びにフェノール性水酸基を有する化合物、又は
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上、バインダー、フェノール性水酸基を有する化合物並びに上述した他の成分から任意に選択される1種以上の成分であってもよい。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、
本質的に置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上、
本質的に置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上及びバインダー、
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上、バインダー並びにフェノール性水酸基を有する化合物、又は
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上、バインダー、フェノール性水酸基を有する化合物並びに上述した他の成分から任意に選択される1種以上の成分からなってもよい。
この場合、不可避不純物を含んでもよい。
本実施形態において、抵抗皮膜11の面抵抗は、280Ω/□以上、300Ω/□以上、又は320Ω/□以上とすることができ、また、460Ω/□以下、440Ω/□以下、又は420Ω/□以下とすることができる。一実施形態において、抵抗皮膜11の面抵抗は、377Ω/□とすることができる。
抵抗皮膜11の厚みは格別限定されず、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、又は1μm以上とすることができ、また、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下とすることができる。
(誘電体層)
誘電体層21の材質には誘電体を用いることができる。誘電体は格別限定されず、例えばポリマー材料等が挙げられ、より具体的には、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、シリコーンゴム等が挙げられる。尚、誘電体層21は、単層体であってもよいし、異なる材質の積層体であってもよい。
本実施形態において、誘電体層21の厚みdは、電磁波の波長λに合わせて、λ/(4(ε1/2)に設定することができる。ここで、εは誘電体層2の比誘電率である。一実施形態において、誘電体層21の厚みdは、例えば、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.09mm以上とすることができ、また、10mm以下、7mm以下、又は4mm以下とすることができる。
(電磁波遮蔽層)
電磁波遮蔽層3の材質には導電性材料を用いることができる。導電性材料は格別限定されず、例えば、金属や金属酸化物等が挙げられる。電磁波遮蔽層3は、例えば、銅箔、アルミ箔、金箔等のような金属箔によって形成することができる。また、電磁波遮蔽層3は、例えば金属等の蒸着膜によって形成することもできる。
電磁波遮蔽層3の厚みは格別限定されず、例えば、0.5μm以上、1μm以上、又は2μm以上とすることができ、また、500μm以下、100μm以下、又は50μm以下とすることができる。
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る電磁波吸収シートの層構成を説明する図である。
図2に示すように、本実施形態に係る電磁波吸収シートは、2層の電磁波吸収層(第1電磁波吸収層A1及び第2電磁波吸収層A2)と、電磁波遮蔽層3とをこの順に積層して含む。
第1電磁波吸収層A1は、電磁波遮蔽層3側に配置された第1誘電体層21と、第1誘電体層21における電磁波遮蔽層3の反対側に配置された第1抵抗皮膜11とを含む。
第2電磁波吸収層A2は、電磁波遮蔽層3側に配置された第2誘電体層22と、第2誘電体層22における電磁波遮蔽層3の反対側に配置された第2抵抗皮膜12とを含む。
本実施形態においても、電磁波吸収シートは、λ/4型電磁波吸収体である。
第1抵抗皮膜11及び第2抵抗皮膜12については、第1実施形態に関して抵抗皮膜11についてした説明が適宜援用される。第1誘電体層21及び第2誘電体層22については、第1実施形態に関して誘電体層21についてした説明が適宜援用される。電磁波遮蔽層3についても、第1実施形態に関してした説明が適宜援用される。
但し、本実施形態において、第1抵抗皮膜11及び第2抵抗皮膜12の各々の面抵抗、並びに、第1誘電体層21及び第2誘電体層22の各々の厚みについては、第1実施形態とは異なるものであり得る。これらの点について以下に説明する。
図3は、第2実施形態に係る電磁波吸収シートの等価回路である。
図3において、rは第1抵抗皮膜11の面抵抗、dは第1誘電体層21の厚み、rは第2抵抗皮膜12の面抵抗、dは第2誘電体層22の厚みである。
かかる等価回路(伝送線路モデル)に基づいて、理論計算あるいは電磁界シミュレーションを行うことによって、第1抵抗皮膜11及び第2抵抗皮膜12の各々の面抵抗、並びに、第1誘電体層21及び第2誘電体層22の各々の厚みについて、最適な設計が可能である。
一実施形態において、第1抵抗皮膜11の面抵抗r1は、500Ω/□以上、700Ω/□以上、900Ω/□以上、又は1000Ω/□以上とすることができ、また、1100Ω/□以下、1200Ω/□以下、1500Ω/□以下、又は2000Ω/□以下とすることができる。一実施形態において、第1抵抗皮膜11の面抵抗r1は、1060Ω/□とすることができる。
一実施形態において、第2抵抗皮膜12の面抵抗r2は、50Ω/□以上、100Ω/□以上、200Ω/□以上、又は250Ω/□以上とすることができ、また、1000Ω/□以下、500Ω/□以下、400Ω/□以下、又は300Ω/□以下とすることができる。一実施形態において、第2抵抗皮膜12の面抵抗r2は、290Ω/□とすることができる。
一実施形態において、第1誘電体層21の厚みdは、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.09mm以上とすることができ、また、10mm以下、7mm以下、又は4mm以下とすることができる。
一実施形態において、第2誘電体層22の厚みdは、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.09mm以上とすることができ、また、10mm以下、7mm以下、又は4mm以下とすることができる。
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る電磁波吸収シートの層構成を説明する図である。
図4に示すように、本実施形態に係る電磁波吸収シートは、3層の電磁波吸収層(第1電磁波吸収層A1、第2電磁波吸収層A2及び第3電磁波吸収層A3)と、電磁波遮蔽層3とをこの順に積層して含む。
第1電磁波吸収層A1は、電磁波遮蔽層3側に配置された第1誘電体層21と、第1誘電体層21における電磁波遮蔽層3の反対側に配置された第1抵抗皮膜11とを含む。
第2電磁波吸収層A2は、電磁波遮蔽層3側に配置された第2誘電体層22と、第2誘電体層22における電磁波遮蔽層3の反対側に配置された第2抵抗皮膜12とを含む。
第3電磁波吸収層A3は、電磁波遮蔽層3側に配置された第3誘電体層23と、第2誘電体層23における電磁波遮蔽層3の反対側に配置された第3抵抗皮膜13とを含む。
本実施形態においても、電磁波吸収シートは、λ/4型電磁波吸収体である。
第1抵抗皮膜11、第2抵抗皮膜12及び第3抵抗皮膜13については、第1実施形態に関して抵抗皮膜11についてした説明が適宜援用される。第1誘電体層21、第2誘電体層22及び第3誘電体層23については、第1実施形態に関して誘電体層21についてした説明が適宜援用される。電磁波遮蔽層3についても、第1実施形態に関してした説明が適宜援用される。
但し、本実施形態において、第1抵抗皮膜11、第2抵抗皮膜12及び第3抵抗皮膜13の各々の面抵抗、並びに、第1誘電体層21、第2誘電体層22及び第3誘電体層23の各々の厚みについては、第1実施形態とは異なるものであり得る。これらの点について以下に説明する。
図5は、第3実施形態に係る電磁波吸収シートの等価回路である。
図5において、rは第1抵抗皮膜11の面抵抗、dは第1誘電体層21の厚み、rは第2抵抗皮膜12の面抵抗、dは第2誘電体層22の厚み、rは第3抵抗皮膜13の面抵抗、dは第3誘電体層23の厚みである。
かかる等価回路(伝送線路モデル)に基づいて、理論計算あるいは電磁界シミュレーションを行うことによって、第1抵抗皮膜11、第2抵抗皮膜12及び第3抵抗皮膜13の各々の面抵抗、並びに、第1誘電体層21、第2誘電体層22及び第3誘電体層23の各々の厚みについて、最適な設計が可能である。
一実施形態において、第1抵抗皮膜11の面抵抗rは、1000Ω/□以上、1200Ω/□以上、1400Ω/□以上、又は1600Ω/□以上とすることができ、また、2500Ω/□以下、2200Ω/□以下、2000Ω/□以下、又は1800Ω/□以下とすることができる。一実施形態において、第1抵抗皮膜11の面抵抗rは、1700Ω/□とすることができる。
一実施形態において、第2抵抗皮膜12の面抵抗rは、100Ω/□以上、250Ω/□以上、400Ω/□以上、又は500Ω/□以上とすることができ、また、1100Ω/□以下、950Ω/□以下、800Ω/□以下、又は700Ω/□以下とすることができる。一実施形態において、第2抵抗皮膜12の面抵抗rは、600Ω/□とすることができる。
一実施形態において、第3抵抗皮膜13の面抵抗rは、20Ω/□以上、50Ω/□以上、100Ω/□以上、又は150Ω/□以上とすることができ、また、500Ω/□以下、400Ω/□以下、300Ω/□以下、又は250Ω/□以下とすることができる。一実施形態において、第3抵抗皮膜13の面抵抗rは、200Ω/□とすることができる。
一実施形態において、第1誘電体層21の厚みdは、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.09mm以上とすることができ、また、10mm以下、7mm以下、又は4mm以下とすることができる。
一実施形態において、第2誘電体層22の厚みdは、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.09mm以上とすることができ、また、10mm以下、7mm以下、又は4mm以下とすることができる。
一実施形態において、第3誘電体層23の厚みdは、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.09mm以上とすることができ、また、10mm以下、7mm以下、又は4mm以下とすることができる。
[その他]
(層構成)
以上の説明では、抵抗皮膜及び誘電体層を含む電磁波吸収層を、1層、2層又は3層積層する場合について主に示したが、これに限定されない。例えば、電磁波吸収層を4層以上積層してもよい。積層数の上限は格別限定されないが、例えば10層以下、8層以下、又は5層以下であり得る。いずれの積層数であっても、電磁波吸収シートは、λ/4型電磁波吸収体であり得、理論計算あるいは電磁界シミュレーションを行うことによって各層に含まれる抵抗皮膜の面抵抗及び誘電体層の厚みを適宜設定できる。
電磁波吸収シートは、2層以上の電磁波吸収層を含むことによって、電磁波の周波数に対する吸収ピークを複数有することができる。これにより、より広い範囲の周波数帯に対して、電磁波吸収能を発揮できる。
以上に説明した各実施形態において、電磁波吸収シートの入射側及び裏側(電磁波遮蔽層3側)の少なくとも一方に、他の層を積層してもよい。他の層は格別限定されず、例えば、保護層、接着層等が挙げられる。入射側に他の層を積層する場合は、該他の層の比誘電率や厚み等を考慮して、抵抗皮膜の面抵抗及び誘電体層の厚みを設定することができる。
以上の説明では、電磁波吸収シートに含まれるすべての抵抗皮膜が置換又は無置換のポリアニリンを含む場合について主に示したが、これに限定されない。電磁波吸収シートに含まれる少なくとも1層の抵抗皮膜が置換又は無置換のポリアニリンを含めばよい。
(ポリアニリン)
以下、抵抗皮膜に含まれる置換又は無置換のポリアニリンについて、詳しく説明する。
置換又は無置換のポリアニリンは、単独(後述する「ポリアニリン複合体」を形成していない状態)で用いてもよいが、置換又は無置換のポリアニリンがドーパントによってドープされているポリアニリン複合体として、抵抗皮膜に含まれることが好ましい。
ポリアニリンの重量平均分子量(以下、分子量という)は、好ましくは20,000以上である。分子量は、好ましくは20,000〜500,000であり、より好ましくは20,000〜300,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000である。重量平均分子量はポリアニリン複合体の分子量ではなく、ポリアニリンの分子量である。
分子量分布は、好ましくは1.5以上10.0以下である。導電率の観点からは分子量分布は小さい方が好ましいが、溶剤への溶解性の観点では、分子量分布が広い方が好ましい場合もある。
分子量と分子量分布は、ゲルパーミェションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算で測定する。
置換ポリアニリンの置換基としては、例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基(−CF基)等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
ポリアニリンは、汎用性及び経済性の観点から無置換のポリアニリンが好ましい。
置換又は無置換のポリアニリンは、好ましくは塩素原子を含まない酸の存在下で重合して得られるポリアニリンである。塩素原子を含まない酸とは、例えば1族〜16族及び18族に属する原子からなる酸である。具体的には、リン酸が挙げられる。塩素原子を含まない酸の存在下で重合して得られるポリアニリンとして、リン酸の存在下で重合して得られるポリアニリンが挙げられる。
塩素原子を含まない酸の存在下で得られたポリアニリンは、ポリアニリン複合体の塩素含有量をより低くすることができる。
ポリアニリン複合体のドーパントとしては、例えばブレンステッド酸又はブレンステッド酸の塩から生じるブレンステッド酸イオンが挙げられ、好ましくは有機酸又は有機酸の塩から生じる有機酸イオンであり、さらに好ましくは下記式(I)で示される化合物(プロトン供与体)から生じる有機酸イオンである。
本発明において、ドーパントが特定の酸であると表現する場合、及びドーパントが特定の塩であると表現する場合があるが、いずれも特定の酸又は特定の塩から生じる特定の酸イオンが、上述したπ共役ポリマーにドープするものとする。
M(XARn)m (I)
式(I)のMは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基等が挙げられる。無機遊離基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等が挙げられる。
式(I)のXは、アニオン基であり、例えば−SO 基、−PO 2−基、−PO(OH)基、−OPO 2−基、−OPO(OH)基、−COO基等が挙げられ、好ましくは−SO 基である。
式(I)のAは、置換又は無置換の炭化水素基(炭素数は例えば1〜20)である。
炭化水素基は、鎖状もしくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状もしくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。
鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖もしくは分岐状のアルキル基(炭素数は例えば1〜20)が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基(炭素数は例えば3〜20)が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基は、複数の環状の飽和脂肪族炭化水素基が縮合していてもよい。例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、縮合したアダマンチル基等が挙げられる。鎖状の不飽和脂肪族炭化水素(炭素数は例えば2〜20)としては、直鎖又は分岐状のアルケニル基が挙げられる。環状の不飽和脂肪族炭化水素基(炭素数は例えば3〜20)としては、環状アルケニル基が挙げられる。芳香族炭化水素基(炭素数は例えば6〜20)としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
Aが置換の炭化水素基である場合の置換基は、アルキル基(炭素数は例えば1〜20)、シクロアルキル基(炭素数は例えば3〜20)、ビニル基、アリル基、アリール基(炭素数は例えば6〜20)、アルコキシ基(炭素数は例えば1〜20)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シリル基又はエステル結合含有基である。
式(I)のRは、Aと結合しており、−H、−R、−OR、−COR、−COOR、−(C=O)−(COR)、又は−(C=O)−(COOR)で表わされる置換基あり、Rは、置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR基である。Rはアルキレン基、Rは炭化水素基であり、xは1以上の整数である。xが2以上の場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なってもよく、複数のRはそれぞれ同一でも異なってもよい。
の炭化水素基(炭素数は例えば1〜20)としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基等が挙げられる。炭化水素基は直鎖状であってもよく、また、分岐状であってもよい。
炭化水素基の置換基は、アルキル基(炭素数は例えば1〜20)、シクロアルキル基(炭素数は例えば3〜20)、ビニル基、アリル基、アリール基(炭素数は例えば6〜20)、アルコキシ基(炭素数は例えば1〜20)、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基又はエステル結合含有基である。Rの炭化水素基もRと同様である。
のアルキレン基(炭素数は例えば1〜20)としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
式(I)のnは1以上の整数である。nが2以上の場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なってもよい。
式(I)のmは、Mの価数/Xの価数である。
式(I)で示される化合物としては、ジアルキルベンゼンスルフォン酸、ジアルキルナフタレンスルフォン酸、又はエステル結合を2以上含有する化合物が好ましい。
エステル結合を2以上含有する化合物は、スルホフタール酸エステル、又は下記式(II)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2020145278
式(II)中、M及びXは、式(I)と同様である。Xは、−SO 基が好ましい。
、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基又はR Si−基である。3つのRはそれぞれ独立に炭化水素基である。
、R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基(炭素数は例えば6〜20)、アルキルアリール基(炭素数は例えば7〜20)等が挙げられる。
の炭化水素基としては、R、R及びRの場合と同様である。
式(II)のR及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R10O)−R11基である。R10は炭化水素基又はシリレン基であり、R11は水素原子、炭化水素基又はR12 Si−であり、qは1以上の整数である。3つのR12は、それぞれ独立に炭化水素基である。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4以上の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基(炭素数は例えば6〜20)、アルキルアリール基(炭素数は例えば7〜20)等が挙げられ、具体例としては、例えば、いずれも直鎖又は分岐状の、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
及びRにおける、R10が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基(炭素数は例えば6〜20)、アルキルアリーレン基(炭素数は例えば7〜20)、又はアリールアルキレン基(炭素数は例えば7〜20)である。また、R及びRにおける、R11及びR12が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R、R及びRの場合と同様であり、qは、1〜10であることが好ましい。
及びRが−(R10O)−R11基である場合の式(II)で表わされる化合物の具体例としては、下記式で表わされる2つの化合物である。
Figure 2020145278
(式中、Xは式(I)と同様である。)
上記式(II)で表わされる化合物は、下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体であることがさらに好ましい。
Figure 2020145278
式(III)中、Mは、式(I)と同様である。m’は、Mの価数である。
13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16基である。R15は炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−基であり、rは1以上の整数である。3つのR17はそれぞれ独立に炭化水素基である。rが2以上の場合、複数のR15はそれぞれ同一でも異なってもよい。
13及びR14が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRと同様である。
13及びR14において、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R10と同様である。また、R13及びR14において、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R、R及びRと同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
13及びR14が−(R15O)−R16基である場合の具体例としては、R及びRにおける−(R10O)−R11と同様である。
13及びR14の炭化水素基としては、R及びRと同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基が好ましい。
式(I)で示される化合物としては、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(エーロゾルOT)が好ましい。
ポリアニリン複合体のドーパントが置換又は無置換のポリアニリンにドープしていることは、紫外・可視・近赤外分光法やX線光電子分光法によって確認することができ、当該ドーパントは、ポリアニリンにキャリアを発生させるに十分な酸性を有していれば、特に化学構造上の制限なく使用できる。
ポリアニリンに対するドーパントのドープ率は、好ましくは0.35以上0.65以下であり、より好ましくは0.42以上0.60以下であり、さらに好ましくは0.43以上0.57以下であり、特に好ましくは0.44以上0.55以下である。
ドープ率は(ポリアニリンにドープしているドーパントのモル数)/(ポリアニリンのモノマーユニットのモル数)で定義される。例えば無置換ポリアニリンとドーパントを含むポリアニリン複合体のドープ率が0.5であることは、ポリアニリンのモノマーユニット分子2個に対し、ドーパントが1個ドープしていることを意味する。
ドープ率は、ポリアニリン複合体中のドーパントとポリアニリンのモノマーユニットのモル数が測定できれば算出可能である。例えば、ドーパントが有機スルホン酸の場合、ドーパント由来の硫黄原子のモル数と、ポリアニリンのモノマーユニット由来の窒素原子のモル数を、有機元素分析法により定量し、これらの値の比を取ることでドープ率を算出できる。但し、ドープ率の算出方法は、当該手段に限定されない。
ポリアニリン複合体は、さらにリンを含んでも含まなくてもよい。
ポリアニリン複合体がリンを含む場合、リンの含有量は例えば10質量ppm以上5000質量ppm以下である。
上記リンの含有量は、ICP発光分光分析法で測定することができる。
また、ポリアニリン複合体は、不純物として第12族元素(例えば亜鉛)を含まないことが好ましい。
ポリアニリン複合体は、周知の製造方法で製造することができる。例えば、プロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合することにより製造できる。また、置換又は無置換のアニリン、プロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中に、酸化重合剤を加えることにより製造できる。
ここで「2つの液相を有する溶液」とは、溶液中に相溶しない2つの液相が存在する状態を意味する。例えば、溶液中に「高極性溶媒の相」と「低極性溶媒の相」が存在する状態、を意味する。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
上記ポリアニリン複合体の製造方法に用いる高極性溶媒としては、水が好ましく、低極性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
上記プロトン供与体は、好ましくは上記式(I)で表される化合物である。
上記乳化剤は、親水性部分がイオン性であるイオン性乳化剤、及び親水性部分が非イオン性である非イオン性乳化剤のどちらでも使用でき、また、1種又は2種以上の乳化剤を混合して使用してもよい。
化学酸化重合に用いる酸化剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の過酸化物;二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硫酸カリウム鉄(III)、三塩化鉄(III)、二酸化マンガン、ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム又はパラトルエンスルホン酸鉄等が使用でき、好ましくは過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
これらは単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
[電磁波吸収シートの製造方法]
本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートの製造方法は、以上に説明した本発明に係る電磁波吸収シートを製造するために好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートの製造方法は、電磁波吸収シートに含まれる少なくとも1層の抵抗皮膜を、置換又は無置換のポリアニリンを含む組成物を用いた塗布法によって形成する工程を含む。
[組成物]
一実施形態において、組成物は、置換又は無置換のポリアニリンを含む。組成物は、置換又は無置換のポリアニリンを、上述したポリアニリン複合体として含むことができる。
一実施形態において、組成物は、
置換又は無置換のポリアニリン及びポリアニリン複合体から選ばれる1種以上(以下、「成分(1)」ともいう。)と、
フェノール性水酸基を有する化合物(以下、「成分(2)」ともいう。)と、を含む。
(フェノール性水酸基を有する化合物)
フェノール性水酸基を有する化合物とは、フェノール性水酸基を1つ有する化合物、フェノール性水酸基を複数有する化合物、及びフェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物である。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、好ましくは下記式(A)、(B)及び(C)で表わされる化合物である。
Figure 2020145278
(式(A)中、R101は、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。
n1は1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。n1が2以上のとき、複数存在するR101は、互いに同一でもよいし、異なってもよい。)
式(A)で表されるフェノール性化合物において、−OR101の置換位置はフェノール性水酸基に対し、メタ位、又はパラ位であることが好ましい。−OR101の置換位置をメタ位又はパラ位とすることにより、フェノール性水酸基の立体障害が低減され、組成物の導電性をより高めることができる。
式(A)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、メトキシフェノール(例えば4−メトキシフェノール)、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、イソプロポキシフェノール、ブチルオキシフェノール、イソブチルオキシフェノール、ターシャルブチルオキシフェノールが挙げられる。
Figure 2020145278
(式(B)中、R102は、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。
n2は0〜7の整数であり、好ましくは0〜3であり、より好ましくは1である。n2が2以上のとき、複数存在するR102は、互いに同一でもよいし、異なってもよい。)
式(B)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、ヒドロキシナフタレンが挙げられる。
Figure 2020145278
(式(C)中、R103は、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ハロゲン原子又はカルボキシ基である。
n3は1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。n3が2以上のとき、複数存在するR103は、互いに同一でもよいし、異なってもよい。)
式(C)で表わされる化合物の具体例としては、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール(例えば4−イソプロピルフェノール)、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−ペンチルフェノール(例えば、4−tert−ペンチルフェノール)、o−,m−若しくはp−クロロフェノール、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
式(A)、(B)及び(C)のR101〜R103について、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャルブチル等が挙げられる。
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキサニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる基等が挙げられる。
フェノール性水酸基を複数有する化合物の具体例としては、カテコール、レゾルシノール、及び下記式(D)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020145278
(式(D)中、R104は炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アミノ基、−SH基、スルホン酸基、又は水酸基である。
n4は0〜6の整数である。n4が2以上のとき、複数存在するR104は互いに同一でもよいし、異なってもよい。)
式(D)で表わされるフェノール性水酸基を有する化合物の2つのフェノール性水酸基は、互いに隣接しないナフタレン環上の位置に置換していることが好ましい。
また、式(D)で表されるフェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、1,6−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールが挙げられる。
フェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物の具体例としては、フェノール樹脂、ポリフェノール、ポリ(ヒドロキシスチレン)が挙げられる。
組成物における成分(1)の含有量に対する成分(2)の含有量を変化させることによって、該組成物を用いた塗布法によって形成される抵抗皮膜の面抵抗を好適に変化させることができる。
一実施形態において、組成物における成分(1)100質量部に対して成分(2)の含有量を1〜100質量部の範囲で変化させることによって、抵抗皮膜の面抵抗を1×10Ω/□〜1×10の範囲で変化させることができる。このとき、成分(1)に対する成分(2)の質量割合を増加させることによって面抵抗を低くすることができ、成分(1)に対する成分(2)の質量割合を減少させることによって面抵抗を高くすることができる。
特に電磁波吸収シートに好適な100Ω/□〜1000Ω/□程度の面抵抗帯においては、成分(1)に対する成分(2)の質量割合を変化させたときの面抵抗の変化が穏やかであることが確認されており、この性質を利用して、抵抗皮膜の面抵抗の調整を高精度に行うことができる。
成分(2)は、成分(1)の分子配向等を、組成物中において、あるいは抵抗皮膜の成膜時において、導電性の発揮に適した状態に改善することができる。そのため、一実施形態において、成分(2)が組成物の乾燥等に伴って抵抗皮膜から消失されていても、その効果は持続する。他の実施形態において、抵抗皮膜は、組成物に由来する成分(2)の少なくとも一部を含む。
(耐熱安定化剤)
組成物は耐熱安定化剤を含んでもよい。耐熱安定化剤とは、酸性物質又は酸性物質の塩であり、酸性物質は有機酸(有機化合物の酸)、無機酸(無機化合物の酸)のいずれでもよい。
耐熱安定化剤である酸性物質は、好ましくは有機酸であり、より好ましくはスルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、又はホスホン酸基を1以上有する有機酸であり、さらに好ましくは、スルホン酸基を1以上有する有機酸である。耐熱安定化剤である酸性物質の塩としては、これら酸性物質の塩が挙げられる。
上記スルホン酸基を1以上有する有機酸は、好ましくはスルホン酸基を1以上有する、環状、鎖状若しくは分岐のアルキルスルホン酸、置換若しくは無置換の芳香族スルホン酸、又はポリスルホン酸である。
上記アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸が挙げられる。ここでのアルキル基は、好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸、置換若しくは無置換のベンゼンスルホン酸、置換若しくは無置換のナフタレンスルホン酸及び置換若しくは無置換のアントラセンスルホン酸が挙げられ、好ましくは置換若しくは無置換のナフタレンスルホン酸である。具体例としては、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸が挙げられる。
ここで芳香族スルホン酸の置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、及びアシル基からなる群から選択される基であり、2以上置換していてもよい。
上記ポリスルホン酸は、高分子鎖の主鎖又は側鎖に複数のスルホン酸基が置換した高分子化合物である。例えば、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。
上記カルボキシ基を1以上有する有機酸は、好ましくはカルボキシ基を1以上有する、環状、鎖状若しくは分岐のアルキルカルボン酸、置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸、又はポリカルボン酸である。
上記アルキルカルボン酸としては、例えばウンデシレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸としては、例えば、置換若しくは無置換のベンゼンカルボン酸及びナフタレンカルボン酸が挙げられる。ここで置換基は、例えば、スルホン酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、及びアシル基からなる群から選択される基であり、2以上置換していてもよい。具体例としては、安息香酸、ナフトエ酸、トリメシン酸が挙げられる。
上記リン酸基又はホスホン酸基を1以上有する有機酸は、好ましくはリン酸基又はホスホン酸基を1以上有する環状、鎖状若しくは分岐のアルキルリン酸若しくはアルキルホスホン酸;置換若しくは無置換の芳香族リン酸若しくは芳香族ホスホン酸;ポリリン酸若しくはポリホスホン酸である。
上記アルキルリン酸又はアルキルホスホン酸としては、例えば、ドデシルリン酸、及びリン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族リン酸及び芳香族ホスホン酸としては、置換若しくは無置換のベンゼンスルホン酸又はホスホン酸、及びナフタレンスルホン酸又はホスホン酸等が挙げられる。ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、及びアシル基からなる群から選択される基であり、2以上置換していてもよい。例えば、フェニルホスホン酸が挙げられる。
本発明の一態様に係る組成物は、耐熱安定化剤である酸性物質及び/又は酸性物質の塩を2つ以上含んでもよい。具体的には、異なる複数の酸性物質及び/又は異なる複数の酸性物質の塩を含んでいてもよい。
本発明の一態様に係る組成物において、耐熱安定化剤の含有量は、成分(1)100質量部に対して好ましくは0.01〜10質量部である。
(バインダー)
組成物は、抵抗皮膜について説明したバインダーを含むことができる。
(他の成分)
組成物は、抵抗皮膜について説明した他の成分を含むことができる。
(溶媒)
組成物は溶媒を含むことができる。溶媒としては、有機溶媒でも水等の無機溶媒でもよく、また1種のみでも2種以上の混合溶媒でもよい。好ましくは有機溶媒である。また、有機溶媒は、水溶性有機溶媒でもよいし、実質的に水に混和しない有機溶媒(水不混和性有機溶媒)であってもよい。
上記水溶性有機溶媒は、プロトン性極性溶媒でも非プロトン性極性溶媒でもよく、例えば、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;Nメチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
上記水不混和性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等の含ハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類溶媒;シクロペンチルメチルエーテル、1−ブトキシ−2−プロパノール等のエーテル類溶媒等が挙げられる。これらの中では溶解性に優れる点でトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、クロロホルム、トリクロロエタン及び酢酸エチルが好ましい。
水溶性有機溶媒と水不混和性有機溶媒を組み合わせて2種以上の混合溶媒としてもよい。例えば、トルエンとイソプロピルアルコールとの混合溶媒とすることができる。
(塗布法)
一実施形態おいて、誘電体層の表面に組成物を塗布し、塗膜を乾燥することによって抵抗皮膜が形成される。また、他の実施形態において、任意の基材の表面に組成物を塗布し、塗膜を乾燥することによって抵抗皮膜を形成し、次いで、基材上の抵抗皮膜を誘電体層の表面に接合してもよい。接合後、基材は、抵抗皮膜から剥離してもよいし、剥離せず保護層として用いてもよい。
組成物の塗布法は格別限定されず、例えば、キャスト法、スプレー法、ディップコート法、ドクターブレード法、バーコート法、スピンコート法、スクリーン印刷、グラビア印刷法等の公知の方法を用いることができる。
塗膜を乾燥する際、溶媒の種類によっては、塗膜を加熱してもよい。例えば、空気気流下250℃以下、好ましくは50以上200℃以下の温度で加熱し、さらに、必要に応じて、減圧下で加熱する。加熱温度及び加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
[用途]
以上に説明した電磁波吸収シートの用途は格別限定されず、電磁波吸収が必要とされる種々の用途に広く使用することができる。用途の一例として、例えば、自動車等に搭載されるミリ波レーダー周囲の電磁波吸収体等が挙げられる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は係る実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示したものと同様の層構成を有する電磁波吸収シートについて、下記の構成を設定し、吸収特性を求めた。結果を図6に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:3.12mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
本実施例1及び後述する実施例2〜8において、面抵抗rの377Ω/□は、例えば、下記[面抵抗の設定例1]によって第1抵抗皮膜(ポリアニリン層)11を成膜することにより、再現性良く設定可能である。
[面抵抗の設定例1]
(1)ポリアニリン複合体の製造
1,000mLセパラブルフラスコにネオコールSWC(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム:第一工業製薬株式会社製)32.4g、アニリン13.3g及びソルボンT−20(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤:東邦化学工業株式会社製)0.9gを入れ、トルエン320.4gにて溶解させた。そこに8.4重量%リン酸水溶液450gを加え、トルエンと水の2つの液相を有する反応液を撹拌し、反応液の内温を5℃まで冷却した。反応液の内温を5℃に到達した時点で撹拌しながら、過硫酸アンモニウム(APS)39.3gを8.4重量%リン酸水溶液90.2gに溶解した溶液を滴下漏斗を用いて1時間かけて滴下した。滴下終了後、溶液内温を5℃に保ったままさらに8時間撹拌した(合計反応時間9時間)。
撹拌停止後、分液漏斗に内容物を移し、水層とトルエン層を静置分離した。分離後、有機層を1Mリン酸水溶液180.3gで1回、イオン交換水328.0gで5回洗浄することにより、ポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
得られた溶液をNo.2の濾紙にて濾過することで不溶分を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を得た。この溶液を、エバポレーターに移し、60℃で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)を得た。
(2)塗布用ポリアニリン溶液(抵抗皮膜形成用組成物)の製造
トルエン92gとイソプロピルアルコール3gとを混合した溶媒に、上記で得られたポリアニリン複合体5gを溶解させた。
別途、2−プロパノール200gに、2−ナフタレンスルホン酸水和物10g、4−メトキシフェノール290gを順次添加し混合させた溶液を調製し、当該溶液0.45gを上記のポリアニリン複合体溶液3.2gに混合して組成物を得た。
(3)ポリアニリン層の塗工
得られた組成物(塗液)をフィルム上に、バーコーター(テスター産業株式会社製「PI−1210R」)を用いて塗工した。この際、バーコーターのバーロッドの番手はNo.100を用いた。塗工後、110℃で15分間乾燥させることで、377Ω/□の面抵抗を有する抵抗皮膜(ポリアニリン層)を形成できることを確認した。
[吸収特性の理論計算及びシミュレーション]
本実施例1並びに後述する実施例2〜8及び10〜25において、吸収特性は、以下の理論式を用いた伝送線路モデルからの理論計算、及び電磁界シミュレーションソフト(COMSOL社製「COMSOL Multiphysics」)を用いたシミュレーションによって求めた。
Figure 2020145278
(上式において、Γは反射係数、Zinは各層の金属板側を見込んだ入力インピーダンス、Zは真空の波動インピーダンス、Zは各層の波動インピーダンス、γは伝搬定数、dは各層の膜厚である)
(実施例2)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図7に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.97mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例3)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図8に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:2.10mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.2(ポリプロピレンに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例4)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図9に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.66mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.2(ポリプロピレンに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例5)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図9に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.80mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.9(ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例6)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図11に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.57mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.9(ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例7)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図12に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.67mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:3.5(ポリイミドに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例8)
実施例1において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図13に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:377Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.52mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.9(ポリイミドに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
(実施例9)
図2に示したものと同様の層構成を有する電磁波吸収シートについて、実施例1に示した理論計算を行い、電磁波吸収が最大値を示すときの第1抵抗皮膜11の面抵抗r及び第2抵抗皮膜12の面抵抗rを求めた。
その結果、電磁波吸収シートの各条件が下記の場合に電磁波吸収が最大値を示すことが確認された。
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
本実施例9及び後述する実施例10〜24において、面抵抗rの1060Ω/□、及び、面抵抗rの290Ω/□は、例えば、下記[面抵抗の設定例2]によって、第1抵抗皮膜(ポリアニリン層)11、及び、第2抵抗皮膜(ポリアニリン層)12を成膜することにより、再現性良く設定可能である。
[面抵抗の設定例2]
(1)第1抵抗皮膜
トルエン92gとイソプロピルアルコール3gとを混合した溶媒に、実施例1で得られたポリアニリン複合体5gを溶解させた。
別途、2−プロパノール200gに、2−ナフタレンスルホン酸水和物10g、4−メトキシフェノール290gを順次添加し混合させた溶液を調製し、当該溶液0.33gを上記のポリアニリン複合体溶液3.2gに混合して組成物を得た。
得られた組成物をフィルム上に、バーコーター(テスター産業株式会社製「PI−1210R」)を用いて塗工した。この際、バーコーターのバーロッドの番手はNo.100を用いた。塗工後、110℃で15分間乾燥させることで、1060Ω/□の面抵抗を有する第1抵抗皮膜(ポリアニリン層)を形成できることを確認した。
(2)第2抵抗皮膜
トルエン92gとイソプロピルアルコール3gとを混合した溶媒に、実施例1で得られたポリアニリン複合体5gを溶解させた。
別途、2−プロパノール200gに、2−ナフタレンスルホン酸水和物10g、4−メトキシフェノール290gを順次添加し混合させた溶液を調製し、当該溶液0.49gを上記のポリアニリン複合体溶液3.2gに混合して組成物を得た。
得られた組成物をフィルム上に、バーコーター(テスター産業株式会社製「PI−1210R」)を用いて塗工した。この際、バーコーターのバーロッドの番手はNo.100を用いた。塗工後、110℃で15分間乾燥させることで、290Ω/□の面抵抗を有する第2抵抗皮膜(ポリアニリン層)を形成できることを確認した。
(実施例10)
図2に示したものと同様の層構成を有する電磁波吸収シートについて、下記の構成を設定し、実施例1と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図14に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.50mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.50mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例11)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図15に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.10mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.10mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例12)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図16に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.20mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.20mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例13)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図17に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.30mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.30mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例14)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図18に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.40mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.40mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例15)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図19に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.60mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.60mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例16)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図20に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.70mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.70mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例17)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図21に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.80mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.80mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例18)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図22に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.90mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:1.0
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.90mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:1.0
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例19)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図23に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.20mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.2(ポリプロピレンに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.20mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:2.2(ポリプロピレンに相当)
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例20)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図24に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.94mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.2(ポリプロピレンに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:0.94mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:2.2(ポリプロピレンに相当)
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例21)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図25に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:1.00mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.9(ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:1.00mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:2.9(ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートに相当)
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例22)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図26に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.83mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:2.9(ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:0.83mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:2.9(ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートに相当)
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例23)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図27に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.09mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:3.5(ポリイミドに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:0.09mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:3.5(ポリイミドに相当)
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例24)
実施例10において、電磁波吸収シートに下記の構成を設定したこと以外は、実施例10と同様にして、吸収特性を求めた。結果を図28に示す。
<電磁波吸収シートの構成>
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1060Ω/□
第1誘電体層21の厚みd:0.76mm
第1誘電体層11の比誘電率εr1:3.5(ポリイミドに相当)
第1誘電体層11の比透磁率μr:1.0
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:290Ω/□
第2誘電体層22の厚みd:0.76mm
第2誘電体層12の比誘電率εr1:3.5(ポリイミドに相当)
第2誘電体層12の比透磁率μr:1.0
(実施例25)
図4に示したものと同様の層構成を有する電磁波吸収シートについて、実施例1に示した理論計算を行い、電磁波吸収が最大値を示すときの第1抵抗皮膜11の面抵抗r、第2抵抗皮膜12の面抵抗r及び第3抵抗皮膜13の面抵抗rを求めた。
その結果、電磁波吸収シートの各条件が下記の場合に電磁波吸収が最大値を示すことが確認された。
第1抵抗皮膜11の面抵抗r:1700Ω/□
第2抵抗皮膜12の面抵抗r:600Ω/□
第3抵抗皮膜13の面抵抗r:200Ω/□
ここで、面抵抗rの1700Ω/□、面抵抗rの600Ω/□、及び、面抵抗rの200Ω/□は、例えば、下記[面抵抗の設定例3]によって、第1抵抗皮膜(ポリアニリン層)11、第2抵抗皮膜(ポリアニリン層)12、及び、第3抵抗皮膜(ポリアニリン層)13を成膜することにより、再現性良く設定可能である。
[面抵抗の設定例3]
(1)第1抵抗皮膜
トルエン92gとイソプロピルアルコール3gとを混合した溶媒に、実施例1で得られたポリアニリン複合体5gを溶解させた。
別途、2−プロパノール200gに、2−ナフタレンスルホン酸水和物10g、4−メトキシフェノール290gを順次添加し混合させた溶液を調製し、当該溶液0.24gを上記のポリアニリン複合体溶液3.2gに混合して組成物を得た。
得られた組成物をフィルム上に、バーコーター(テスター産業株式会社製「PI−1210R」)を用いて塗工した。この際、バーコーターのバーロッドの番手はNo.100を用いた。塗工後、110℃で15分間乾燥させることで、1700Ω/□の面抵抗を有する第1抵抗皮膜(ポリアニリン層)を形成できることを確認した。
(2)第2抵抗皮膜
トルエン92gとイソプロピルアルコール3gとを混合した溶媒に、実施例1で得られたポリアニリン複合体5gを溶解させた。
別途、2−プロパノール200gに、2−ナフタレンスルホン酸水和物10g、4−メトキシフェノール290gを順次添加し混合させた溶液を調製し、当該溶液0.4gを上記のポリアニリン複合体溶液3.2gに混合して組成物を得た。
得られた組成物をフィルム上に、バーコーター(テスター産業株式会社製「PI−1210R」)を用いて塗工した。この際、バーコーターのバーロッドの番手はNo.100を用いた。塗工後、110℃で15分間乾燥させることで、600Ω/□の面抵抗を有する第2抵抗皮膜(ポリアニリン層)を形成できることを確認した。
(3)第3抵抗皮膜
トルエン92gとイソプロピルアルコール3gとを混合した溶媒に、実施例1で得られたポリアニリン複合体5gを溶解させた。
別途、2−プロパノール200gに、2−ナフタレンスルホン酸水和物10g、4−メトキシフェノール290gを順次添加し混合させた溶液を調製し、当該溶液0.6gを上記のポリアニリン複合体溶液3.2gに混合して組成物を得た。
得られた組成物をフィルム上に、バーコーター(テスター産業株式会社製「PI−1210R」)を用いて塗工した。この際、バーコーターのバーロッドの番手はNo.100を用いた。塗工後、110℃で15分間乾燥させることで、200Ω/□の面抵抗を有する第3抵抗皮膜(ポリアニリン層)を形成できることを確認した。
(評価)
実施例1〜25の結果より、所望される電磁波の波長に合わせて吸収量を任意に調整できることが分かった。また、電磁波吸収層が2層以上であることによって、吸収ピークの数が増え、より広い範囲の波長帯に対して電磁波吸収能を発揮できることがわかった。抵抗皮膜がポリアニリンを含むことによって、電磁波吸収能を高精度に調整できるため、このような効果が良好に発揮される。
A1 (第1)電磁波吸収層
11 (第1)抵抗皮膜
21 (第1)誘電体層
A2 第2電磁波吸収層
12 第2抵抗皮膜
22 第2誘電体層
A3 第3電磁波吸収層
13 第3抵抗皮膜
23 第3誘電体層
3 電磁波遮蔽層

Claims (9)

  1. 1層以上の電磁波吸収層と、電磁波遮蔽層とをこの順に積層して含み、
    前記電磁波吸収層は、前記電磁波遮蔽層側に配置された誘電体層と、前記誘電体層における前記電磁波遮蔽層の反対側に配置された抵抗皮膜とを含み、
    前記1層以上の電磁波吸収層のうち少なくとも1層中の前記抵抗皮膜が置換又は無置換のポリアニリンを含む、
    電磁波吸収シート。
  2. 前記電磁波吸収層が1層である請求項1に記載の電磁波吸収シート。
  3. 前記電磁波吸収層が2層以上である請求項1に記載の電磁波吸収シート。
  4. 前記置換又は無置換のポリアニリンが、ドーパントによってドープされたポリアニリン複合体である請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収シート。
  5. 前記ドーパントが下記式(III)で表されるスルホコハク酸誘導体から生じる有機酸イオンである、請求項4に記載の電磁波吸収シート。
    Figure 2020145278
    (式(III)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。m’は、Mの価数である。R13及びR14は、それぞれ独立に炭化水素基又は−(R15O)−R16基である。R15は、それぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−基であり、rは1以上の整数である。R17は、それぞれ独立に炭化水素基である。)
  6. 前記ドーパントがジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムである、請求項4又は5に記載の電磁波吸収シート。
  7. 前記抵抗皮膜が、置換又は無置換のポリアニリンと、フェノール性水酸基を有する化合物とを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波吸収シート。
  8. λ/4型電磁波吸収体である、請求項1〜7のいずれかに記載の電磁波吸収シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法であって、
    前記置換又は無置換のポリアニリンを含む前記抵抗被膜を、置換又は無置換のポリアニリンとフェノール性水酸基を有する化合物とを含む組成物を用いた塗布法によって形成する工程を含む、電磁波吸収シートの製造方法。
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