JP2015082548A - 電磁波シールドシート - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性及び伸長性に優れる電磁波シールドシートを提供する。
【解決手段】溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成された電磁波シールドシートであって、表面抵抗が5Ω/□以下である電磁波シールドシート。
【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波シールドシートに関する。
近年、エレクトロニクス技術の進歩に伴って、家庭電化製品、携帯電話機等の種々の電子機器が広く利用されており、これらの電子機器を無線によって接続する技術も開発されている。しかしながら、電子機器から発生する電磁波によって、他の電子機器が誤作動するなど、電磁波による他への影響が懸念されている。
そこで、従来から、電磁波による影響を低減するために、電磁波をシールド(遮蔽)する電磁波シールド材が知られている。例えば、不織布等の繊維布帛の表面に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、無電解金属めっき法等により、金属からなるシールド層を形成した電磁波シールド材が知られている。
金属からなるシールド層を備えた従来の電磁波シールド材では、金属からなるシールド層の柔軟性や伸長性が十分ではないため、複雑な形状の箇所に取り付ける場合には、屈曲や伸長等によって亀裂等が発生し、亀裂等が発生した部分の電磁波シールド性が低下するおそれがあった。
上記問題を解決するため、特許文献1は金属含有樹脂からなるシールド層を備えてなる電磁波シールド材を開示する。しかしながら、当該シールド材であっても金属粒子や導電性フィラーを使用するため、柔軟性に乏しく、端面より粉末が析出する問題があった。
特開2003−69284号公報
本発明の目的は、柔軟性及び伸長性に優れる電磁波シールドシートを提供することである。
本発明によれば、以下の電磁波シールドシート等が提供される。
1.溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成された電磁波シールドシートであって、
表面抵抗が5Ω/□以下である電磁波シールドシート。
2.0.15MHzの電磁波の電界成分を40dB以上シールドすることができる1に記載の電磁波シールドシート。
3.10MHzの電磁波の電解成分を60dB以上シールドすることができる1又は2に記載の電磁波シールドシート。
4.金属成分を含まない1〜3のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
5.前記π共役系導電性高分子が、置換又は無置換のポリアニリンの複合体である1〜4のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
6.前記置換又は無置換のポリアニリン複合体が、無置換ポリアニリンと下記式(III)で表されるスルホコハク酸誘導体の複合体である5に記載の電磁波シールドシート。
Figure 2015082548
(式中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、m’はMの価数である。
13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16で表わされる基である。
15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。
17はそれぞれ独立に炭化水素基である。)
7.前記組成物がフェノール性水酸基を有する化合物を含む1〜6のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
8.前記組成物中のフェノール性水酸基を有する化合物の含有量が5〜60重量%である7に記載の電磁波シールドシート。
9.前記組成物がナフタレンスルホン酸を含む1〜8のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
10.前記組成物中のπ共役系導電性高分子の含有量が5〜30重量%である1〜9のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
11.厚みが0.15mm以上である1〜10のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
12.キャスト法を用いて形成した1〜11のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
13.溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物を用いてキャスト法で電磁波シールドシートを形成する工程を含む電磁波シールドシートの製造方法。
14.溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物をスプレー法を用いて塗工することで表面に電磁波シールドシート層を形成した成形品。
本発明によれば、柔軟性及び伸長性に優れる電磁波シールドシートが提供できる。
電磁波シールドシートのシールド性能の評価に用いた装置を示す図である。
[電磁波シールドシート]
本発明の電磁波シールドシートは、溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成されたシートであって、表面抵抗が5Ω/□以下である。
溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成されたシートは、上記表面抵抗が得られ、電磁波の電界成分から誘起される電流を効率的に導電することができる。従って、本発明の電磁波吸収シートは、金属成分を含む必要がなく、柔軟性及び伸長性に優れる。
電磁波シールドシートの表面抵抗の下限は特に限定されないが、例えば0.01Ω/□である。シールドシートの表面抵抗は、JIS K−7194に準拠して市販の表面測定装置を用いることで測定できる。
本発明の電磁波シールドシートは、好ましくは0.15MHzの電磁波の電界成分を40dB以上シールドすることができる。
本発明の電磁波シールドシートは、好ましくは10MHzの電磁波の電界成分を60dB以上シールドすることができる。
電磁波シールドシートの電磁波シールド効果は、KCE法により評価することができる。
本発明の電磁波シールドシートは、好ましくは厚さが0.15mm以上、更に好ましくは0.2mm以上である。
シールドシートの厚さの上限は特に限定されないが、例えば2.0mmである。シールドシートの厚さは、例えば接触式の膜厚計を用いることで測定できる。
本発明の電磁波シールドシートは、溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成されたシートであり、シールドシートを形成する組成物は、(1)溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含めばよく、さらに(2)溶媒、(3)フェノール性水酸基を有する化合物、(4)耐熱安定化剤等を含んでもよい。
以下、これら成分について説明する。
(1)溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子
溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子は、好ましくは置換又は無置換のポリアニリン複合体であり、当該ポリアニリン複合体は、置換又は無置換のポリアニリン分子にドーパントがドープした複合体である。
ポリアニリン分子の重量平均分子量(以下、分子量という)は、好ましくは20,000以上である。分子量が20,000未満であると、シールドシートの強度や延伸性が低下するおそれがある。分子量は、好ましくは20,000〜500,000であり、より好ましくは20,000〜300,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000である。分子量は、例えば50,000〜200,000、53,000〜200,000である。
ここで、上記の重量平均分子量はポリアニリン複合体の分子量ではなく、ポリアニリン分子の分子量である。
ポリアニリン分子の分子量分布は、好ましくは1.5以上20.0以下であり、より好ましくは1.5以上5.0以下であり、さらに好ましくは1.5以上4.5以下であり、特に好ましくは1.5以上4.0以下であり、最も好ましくは1.5以上3.6以下である。ここで、上記の分子量分布は、上記と同様に、ポリアニリン複合体の分子量分布ではなく、ポリアニリン分子の分子量分布である。
分子量分布は重量平均分子量/数平均分子量で表わされる値であり、導電率の観点から、分子量分布は小さい方が好ましい。また、上記重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定できるポリスチレン換算値として得られる。
置換ポリアニリンの置換基としては、例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基(−CF基)等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
ポリアニリン分子は、汎用性及び経済性の観点から無置換のポリアニリン分子が好ましい。
ポリアニリン複合体のドーパントとしては、例えばブレンステッド酸又はブレンステッド酸の塩から生じるブレンステッド酸イオンが挙げられ、好ましくは有機酸又は有機酸の塩から生じる有機酸イオンであり、さらに好ましくは下記式(I)で示される化合物(プロトン供与体)から生じる有機酸イオンである。
M(XARn)m (I)
式(I)のMは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
上記有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基が挙げられる。また、上記無機遊離基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄が挙げられる。
式(I)のXは、アニオン基であり、例えば−SO 基、−PO 2−基、−PO(OH)基、−OPO 2−基、−OPO(OH)基、−COO基が挙げられ、好ましくは−SO 基である。
式(I)のAは、置換又は無置換の炭化水素基である。
上記炭化水素基は、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。
鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖若しくは分岐状の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。炭素数は、例えば1以上24以下、2以上8以下である。
環状の飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基は、複数の環状の飽和脂肪族炭化水素基が縮合していてもよい。例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、縮合したアダマンチル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。鎖状の不飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖若しくは分岐状のアルケニル基が挙げられる。
ここで、Aが置換の炭化水素基である場合の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シリル基又はエステル基である。
式(I)のRは、Aと結合しており、それぞれ独立して、−H、−R、−OR、−COR、−COOR、−(C=O)−(COR)、又は−(C=O)−(COOR)で表わされる置換基あり、Rは、置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、−(RO)x−R基、又は−(OSiR )x−OR(Rはそれぞれ独立にアルキレン基、Rはそれぞれ独立に炭化水素基であり、xは1以上の整数である)である。
の炭化水素基としては、例えば鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基が挙げられる。具体例として、メチル基、エチル基、直鎖若しくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基が挙げられる。また、上記炭化水素基の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基又はエステル基である。Rの炭化水素基もRと同様である。
のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
式(I)のnは1以上の整数であり、式(I)のmは、Mの価数/Xの価数である。
式(I)で示される化合物としては、ジアルキルベンゼンスルフォン酸、ジアルキルナフタレンスルフォン酸、又はエステル結合を2以上含有する化合物が好ましい。
上記エステル結合を2以上含有する化合物は、スルホフタール酸エステル、又は下記式(II)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2015082548
(式中、M及びXは、式(I)と同様である。Xは、−SO 基が好ましい。)
式(II)のR、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは炭化水素基であり、3つのRは同一又は異なっていてもよい)である。
、R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
の炭化水素基としては、R、R及びRの場合と同様である。
式(II)のR及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R10O)−R11基[ここで、R10は炭化水素基又はシリレン基であり、R11は水素原子、炭化水素基又はR12 Si−(R12は、炭化水素基であり、3つのR12は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である]である。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基等が挙げられる。例えば、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4以上24以下の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基が挙げられる。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基の具体例としては、例えば、直鎖又は分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基が挙げられる。好ましくは、直鎖又は分岐状のオクチル基である。さらに好ましくは、2−エチルヘキシル基である。
及びRにおける、R10が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基である。また、R及びRにおける、R11及びR12が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R、R及びRの場合と同様であり、qは、1〜10であることが好ましい。
及びRが−(R10O)−R11基である場合の式(II)で表わされる化合物の具体例としては、下記式で表わされる2つの化合物である。
Figure 2015082548
(式中、Xは式(I)と同様である。)
上記式(II)で表わされる化合物は、下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体であることがさらに好ましい。
Figure 2015082548
(式中、Mは、式(I)と同様である。m’は、Mの価数である。)
式(III)のR13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16基[ここで、R15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−基(ここで、R17はそれぞれ独立に炭化水素基である)であり、rは1以上の整数である]である。
13及びR14が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRと同様である。例えば、鎖状の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数4以上24以下の直鎖若しくは分岐状のアルキル基である。具体的には、直鎖若しくは分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基が挙げられる。好ましくは、直鎖又は分岐状のオクチル基である。さらに好ましくは、2−エチルヘキシル基である。
13及びR14において、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R10と同様である。また、R13及びR14において、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R、R及びRと同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
13及びR14が−(R15O)−R16基である場合の具体例としては、R及びRにおける−(R10O)−R11と同様である。
13及びR14の炭化水素基としては、R及びRと同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基が好ましい。
上記ドーパントはその構造を変えることにより、ポリアニリン複合体の導電性や、溶剤への溶解性をコントロールできることが知られている(特許第3384566号)。本発明においては、用途毎の要求特性によって最適なドーパントを選択できる。
式(I)で示される化合物としては、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。本発明のドーパントとしては、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸イオンが好ましい。
ポリアニリン複合体のドーパントが、置換又は無置換のポリアニリンにドープしていることは、紫外・可視・近赤外分光法やX線光電子分光法によって確認することができ、当該ドーパントは、ポリアニリンにキャリアを発生させるに十分な酸性を有していれば、特に化学構造上の制限なく使用できる。
ポリアニリン複合体は、周知の製造方法で製造することができるが、例えば、プロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合することにより製造できる。また、置換又は無置換のアニリン、プロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中に、酸化重合剤を加えることにより製造できる。
尚、乳化剤は、後述する転相を防ぐ役割を担っていると考えられる。プロトン供与体及びリン酸を含み2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合してポリアニリン複合体を製造すると、リン酸ではなく塩酸を用いていた場合に比べて、低分子量成分が増えてしまう。ここでリン酸を用いた際の重合中の様子から、上記2つの液相は重合中に転相を起こしていると考えられる。そして、この転相が低分子量成分を増やす理由と考えられる。この転相という現象は、連続相であった液相が分散相へ、分散相であった他方の液相が連続相へ変化する現象である。
ここで「2つの液相を有する溶液」とは、溶液中に相溶しない2つの液相が存在する状態を意味する。例えば、溶液中に「高極性溶媒の相」と「低極性溶媒の相」が存在する状態、を意味する。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
ポリアニリン複合体の製造方法に用いる高極性溶媒としては、水が好ましく、低極性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
上記プロトン供与体は、好ましくは上記式(I)で表わされる化合物であり、より好ましくは上記式(II)で表わされる化合物であり、さらに好ましくは上記式(III)で表わされる化合物である。
上記乳化剤は、親水性部分がイオン性であるイオン性乳化剤、及び親水性部分が非イオン性である非イオン性乳化剤のどちらでも使用でき、また、1種又は2種以上の乳化剤を混合して使用してもよい。
イオン性乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤及び双性乳化剤が挙げられる。
アニオン性乳化剤(陰イオン乳化剤)の具体例としては、脂肪酸、不均化ロジン石けん、高級アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、アルケニルコハク酸、ザルコシネート、及びそれらの塩が挙げられる。
カチオン性乳化剤(陽イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
双性乳化剤(両イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸型、アミンオキサイド型が挙げられる。
非イオン乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレングリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
上記乳化剤のうち、アニオン性乳化剤及び非イオン乳化剤が好ましい。
アニオン性乳化剤としては、リン酸エステル構造を有するアニオン性乳化剤がさらに好ましい。また、非イオン乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤がさらに好ましい。
プロトン供与体の使用量は、アニリン単量体1molに対して、好ましくは0.1〜0.5molであり、より好ましくは0.3〜0.45molであり、さらに好ましくは0.35〜0.4molである。
プロトン供与体の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に例えば「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
リン酸の使用濃度は、高極性溶媒に対して0.3〜6mol/Lであり、より好ましくは1〜4mol/Lであり、さらに好ましくは1〜2mol/Lである。
乳化剤の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.001〜0.1molであり、より好ましくは0.002〜0.02molであり、さらに好ましくは0.003〜0.01molである。
乳化剤の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
化学酸化重合に用いる酸化剤(以下、酸化重合剤という場合がある)としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素のような過酸化物;二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硫酸カリウム鉄(III)、三塩化鉄(III)、二酸化マンガン、ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム、あるいはパラトルエンスルホン酸鉄等が使用でき、好ましくは過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
これら酸化剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
酸化剤の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.05〜1.8molであり、より好ましくは0.8〜1.6molであり、さらに好ましくは1.2〜1.4molである。酸化剤の使用量を当該範囲とすることで、十分な重合度が得られる。また、アニリンが十分に重合しているので、分液回収が容易であり、また重合体の溶解性が低下するおそれもない。
重合温度は通常−5〜60℃で、好ましくは−5〜40℃である。また、重合温度は重合反応の途中に変えてもよい。重合温度が当該範囲であることで、副反応を回避することができる。
ポリアニリン複合体は、具体的には以下の方法で製造することができる。
プロトン供与体及び乳化剤をトルエンに溶解した溶液を、窒素等の不活性雰囲気の気流下においたセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、置換又は無置換のアニリンを加える。その後、塩素を含まないリン酸を溶液に添加し、溶液温度を冷却する。
溶液内温を冷却した後、攪拌を行う。過硫酸アンモニウムをリン酸に溶解した溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、反応させる。その後、溶液温度を上昇させ、反応を継続する。反応終了後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエンを追加し、リン酸及びイオン交換水で洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液が得られる。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収する。この溶液をエバポレーターに移し、加温及び減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体が得られる。
ポリアニリン複合体ではないポリアニリン分子は、周知の方法で製造することができる。具体例として、特開平3−28229に記載の製造方法が挙げられる。プロトン酸の存在下、溶剤中にてアニリンに温度を例えば5℃以下の温度に保持しつつ、酸化剤の水溶液をアニリン1モル当りに、酸化剤の1モルを、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子数で割った量として定義される当量で、例えば2当量以上、徐々に加えて、上記プロトン酸にてドーピングされたアニリンの酸化重合体を生威させ、次いで、この重合体を塩基性物質によって脱ドーピングすることによって製造することができる。
また、先に述べたポリアニリン複合体を1M水酸化ナトリウム水溶液と混合して脱ドープしたポリアニリン粉末を作り、NMP(N−メチルピロリドン)に溶解させることにより、ポリアニリン分子の溶液を製造することができる。
シールドシートを形成する組成物中の溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子の含有量は、好ましくは5重量%〜50重量%であり、より好ましくは10重量%〜30重量%である。
π共役系導電性高分子の含有量が上記範囲にあることで、例えばシールドシートの厚みを0.2mm以上とすることができる。
(2)溶媒
溶媒としては、有機溶剤でも水等の無機溶剤でもよく、また1種単独でも2種以上の混合溶媒でもよい。好ましくは有機溶剤である。
また、有機溶剤は、水溶性有機溶剤でも、実質的に水に混和しない有機溶剤(水不混和性有機溶剤)でもよい。
上記水溶性有機溶剤は、プロトン性極性溶媒でも非プロトン性極性溶媒でもよく、例えば、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類、;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;Nメチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
上記水不混和性有機溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン等の含ハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類溶剤、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類溶剤等が挙げられる。これらの中では溶解性に優れる点でトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、クロロホルム、トリクロロエタン及び酢酸エチルが好ましい。
水溶性有機溶剤と水不混和性有機溶剤を組み合わせて、2種以上の混合溶媒としてもよい。例えば、溶媒としてトルエン、イソプロピルアルコール及びメチルイソブチルケトンを使用する場合、それぞれ組成物中の含有量を、20〜50重量%、0.1〜15重量%及び0.1〜40重量%とすることができる。
(3)フェノール性水酸基を有する化合物
シールド層を形成する組成物は、好ましくはフェノール性水酸基を有する化合物を含む。組成物がフェノール性水酸基を有する化合物を含むことで、π共役系導電性高分子の溶解性を向上させることができる。
フェノール性水酸基を有する化合物とは、フェノール性水酸基を1つ有する化合物、フェノール性水酸基を複数有する化合物、及びフェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物である。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物は、好ましくは下記式(A)、(B)及び(C)で表わされる化合物である。
Figure 2015082548
(式中、nは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。
Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(A)で表されるフェノール性化合物において、−ORの置換位置はフェノール性水酸基に対し、メタ位、又はパラ位であることが好ましい。−ORの置換位置をメタ位又はパラ位とすることにより、フェノール性水酸基の立体障害が低減され、組成物の導電性をより高めることができる。
式(A)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、メトキシフェノール(例えば4−メトキシフェノール)、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、イソプロポキシフェノール、ブチルオキシフェノール、イソブチルオキシフェノール、ターシャルブチルオキシフェノールが挙げられる。
Figure 2015082548
(式中、nは0〜7の整数であり、好ましくは0〜3であり、より好ましくは1である。
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(B)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、ヒドロキシナフタレンが挙げられる。
Figure 2015082548
(式中、nは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(C)で表わされる化合物の具体例としては、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール(例えば4−イソプロピルフェノール)、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−ペンチルフェノール(例えば、4−tert−ペンチルフェノール)が挙げられる。
式(A)、(B)及び(C)のRについて、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャルブチル等が挙げられる。
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる基等が挙げられる。
上記フェノール性水酸基を1つ有する化合物の例を示したが、置換フェノール類の具体例としてはフェノール、o−,m−若しくはp−クロロフェノール、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。フェノール性水酸基を複数有する化合物の具体例としてはカテコール、レゾルシノール、下記式(D)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015082548
(式中、Rは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基、ハロゲン原子、カルボン酸基、アミノ基、SH基、スルホン酸基、又は水酸基であり、複数のRはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。nは0〜6の整数である。)
式(D)で表わされるフェノール性化合物は、互いに隣接しない2以上の水酸基を有することが好ましい。
また、式(D)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、1,6ナフタレンジオール、2,6ナフタレンジオール、2,7ナフタレンジオールが挙げられる。
フェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物の具体例としては、フェノール樹脂、ポリフェノール、ポリ(ヒドロキシスチレン)が挙げられる。
電磁波シールドシートを形成する組成物中のフェノール性水酸基を有する化合物の含有量は、好ましくは5〜60重量%であり、より好ましくは15〜40重量%である。
フェノール性水酸基を有する化合物の含有量が上記範囲にあることで、得られるシールドシート中に溶媒が残存・析出することを防ぐことができる。
(4)耐熱安定化剤
耐熱安定化剤とは、酸性物質又は酸性物質の塩であり、酸性物質は有機酸(有機化合物の酸)、無機酸(無機化合物の酸)のいずれでもよい。
耐熱安定化剤である酸性物質は、好ましくは有機酸であり、より好ましくはスルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、又はホスホン酸基を1以上有する有機酸であり、さらに好ましくは、スルホン酸基を1以上有する有機酸である。耐熱安定剤である酸性物質の塩としては、これら酸性物質の塩が挙げられる。
上記スルホン酸基を1以上有する有機酸は、好ましくはスルホン酸基を1以上有する、環状、鎖状若しくは分岐のアルキルスルホン酸、置換若しくは無置換の芳香族スルホン酸、又はポリスルホン酸である。
上記アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸が挙げられる。ここでのアルキル基は、好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸、置換又は無置換のナフタレンスルホン酸及び置換又は無置換のアントラセンスルホン酸が挙げられ、好ましくはナフタレンスルホン酸である。具体例としては、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸が挙げられる。
ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。
上記ポリスルホン酸は、高分子鎖の主鎖又は側鎖に複数のスルホン酸基が置換したスルホン酸である。例えば、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。
上記カルボキシ基を1以上有する有機酸は、好ましくはカルボキシ基を1以上有する、環状、鎖状若しくは分岐のアルキルカルボン酸、置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸、又はポリカルボン酸である。
上記アルキルカルボン酸としては、例えばウンデシレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸としては、例えば、置換又は無置換のベンゼンカルボン酸及びナフタレンカルボン酸が挙げられる。ここで置換基は、例えば、スルホン酸基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。具体例としては、サリチル酸、安息香酸、ナフトエ酸、トリメシン酸が挙げられる。
上記リン酸基又はホスホン酸基を1以上有する有機酸は、好ましくはリン酸基又はホスホン酸基を1以上有する環状、鎖状若しくは分岐のアルキルリン酸若しくはアルキルホスホン酸;置換若しくは無置換の芳香族リン酸若しくは芳香族ホスホン酸;ポリリン酸若しくはポリホスホン酸である。
上記アルキルリン酸又はアルキルホスホン酸としては、例え、ドデシルリン酸、リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族リン酸及び芳香族ホスホン酸としては、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸又はホスホン酸、及びナフタレンスルホン酸又はホスホン酸等が挙げられる。ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。例えば、フェニルホスホン酸が挙げられる。
シールドシートを形成する組成物は、耐熱安定化剤である酸性物質及び/又は酸性物質の塩を2つ以上含んでもよい。具体的には、異なる複数の酸性物質及び/又は異なる複数の酸性物質の塩を含んでいてもよい。
シールドシートを形成する組成物中の耐熱安定化剤の含有量は、好ましくは0.1重量%〜3.0重量%である。
(5)その他成分
本発明の電磁波シールドシートを形成する組成物は、例えば90%重量以上、95重量%以上、99重量%以上、100重量%が(1)溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子、(2)溶剤、(3)フェノール性水酸基を有する化合物及び(4)耐熱安定化剤からなってもよく、さらに他の樹脂等の添加剤を含んでもよい。
他の樹脂は、例えば、バインダー基材、可塑剤、マトリックス基材として添加される。
他の樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコールが挙げられる。
また上記樹脂の代わりに、また樹脂と共に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、もしくはこれら熱硬化性樹脂を形成し得る前駆体を含んでもよい。
さらにその他の成分として、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素繊維等の成分を含んでいてもよい。
上記成分を含む組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法で調製することができ、例えばWO05/052058に開示の方法により調製することができる。
[電磁波シールドシートのその他の構成]
本発明の電磁波シールドシートは、さらに保護層、粘着剤層等が積層されていてもよい。例えば、保護層/シールド層/粘着剤層の3層構造からなる積層体等が挙げられる。
保護層の材料としては、例えばポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、ポリエチレン系、スチレンブタジエン系、ニトリルブタジエン系、エポキシ系等の合成樹脂を例示することができる。また、保護層の厚みは、例えば0.5〜80μmとすることができる。
粘着層の材料としては、ウレタン系ホットメルト樹脂、アクリル系粘着樹脂等を例示することができる。また、粘着層の厚みは、例えば10〜100μmとすることができる。
[電磁波シールドシートの製造方法]
例えば電磁波シールドシートを形成する組成物を乾燥し、溶剤を除去することによって電磁波シールドシートが得られる。例えば、シールドシートを形成する組成物を、所望の形状を有するガラスや樹脂フィルム、シート、不織布等の基材に塗布し、溶剤を除去することによって、電磁波シールドシートを製造することができる。
当該電磁波シールドシートを真空成型や圧空成形等の公知の方法により所望の形状に加工することにより、導電性物品を製造することができる。成形の観点からは、基材は樹脂フィルム又はシート、不織布が好ましい。
組成物の基材への塗布方法としては、キャスト法、スプレー法、ディップコート法、ドクターブレード法、バーコート法、スピンコート法、エレクトロスピニング法、スクリーン印刷、グラビア印刷法等、公知の方法を用いることができ、好ましくはキャスト法である。
組成物を塗布して得られる塗布膜を乾燥する際、溶剤の種類によっては、塗布膜を加熱してもよい。例えば、空気気流下250℃以下、好ましくは50以上200℃以下の温度で加熱し、さらに、必要に応じて、減圧下に加熱する。加熱温度及び加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
本発明の電磁波シールドシートは、基材を有しないシールドシートのみからなる自己支持型成形体である。PEDOT/PSS等の導電性高分子を基材にコートした電磁波シールドシートでは基材との密着性不足が生じる問題があったが、自己支持型電磁波シールドシートでは、密着性の問題は生じない。
本発明の電磁波シールドシートは、例えばシールドシートを形成する組成物が上述した他の樹脂を適宜含むようにすることで、所望の機械的強度を発現することができる。
上述したように、本発明の電磁波シールドシートは、基材を有しないシールドシートのみからなる自己支持型成形体として製造できるほか、電磁波シールドしたい対象の表面に、電磁波シールドシートを形成する組成物を直接スプレー等適切な手法を用いて、塗工することでシールド対象に電磁波シールドシート層を形成してもよい。
実施例1
[ポリアニリン複合体の製造]
エーロゾルOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)37.8g及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤であるソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)1.47gをトルエン600mLに溶解した。得られた溶液を、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、22.2gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸1800mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分390回転で攪拌を行った。65.7gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸600mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、1時間反応を継続した。その後、静置し、トルエン相を分離した。得られたトルエン相にトルエンを1500ml添加し、1Mリン酸500mL1回、イオン交換水500mLで3回洗浄し、トルエン相を静置分離し、濃度調整のための濃縮を行い、ポリアニリン複合体トルエン溶液900gを得た。このポリアニリン複合体トルエン溶液のポリアニリン複合体濃度は5.7重量%であった。
得られたポリアニリン/AOT複合体トルエン溶液を60℃の湯浴で、減圧乾燥し、乾固しポリアニリン複合体を51.3g得た。
[電磁波シールドシートの作製と評価]
トルエン24g、イソプロピルアルコール4g、メチルイソブチルケトン20g、4−メトキシフェノール19.2g、2−ナフタレンスルホン酸1.1gを溶解した溶媒に、上記ポリアニリン複合体12gを溶解させ、ポリアニリン複合体溶液を得た。
得られた溶液をテフロンコーティングされた容器(20cm×27cm)に流し込み、窒素雰囲気下、水平台の上で1日乾燥させた。その後120℃で30分乾燥させ、電磁波シールドシートを作製した。
得られた電磁波シールドシートの厚さは、接触式の膜厚計(小野測器 リニアゲージセンサGS−3813)を用いて測定した。結果を表1に示す。
また、得られた電磁波シールドシートのシールド性能の評価は、図1に示す装置を用いて実施した。図1中の数字の単位は「mm」である。図1に示す装置を2つ用いて、送信用と受信用に分かれた治具の間に測定試料(シールドシート)を挟み、受信側でどれだけ信号が減衰したかをKEC法により評価した。結果を表1及び表2に示す。表2は、電磁波シールド効果の周波数特性をグラフ化したものである。
Figure 2015082548
Figure 2015082548
本発明の電磁波シールドシートは、柔軟性に優れ、電子機器のハウジングやガスケット、壁材、カーテン、ブラインダー等の用途に好適に用いることができる。
1 電界シールド効果評価装置
10 中心導体
20 外部導体
30 入出力

Claims (14)

  1. 溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成された電磁波シールドシートであって、
    表面抵抗が5Ω/□以下である電磁波シールドシート。
  2. 0.15MHzの電磁波の電界成分を40dB以上シールドすることができる請求項1に記載の電磁波シールドシート。
  3. 10MHzの電磁波の電解成分を60dB以上シールドすることができる請求項1又は2に記載の電磁波シールドシート。
  4. 金属成分を含まない請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  5. 前記π共役系導電性高分子が、置換又は無置換のポリアニリンの複合体である請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  6. 前記置換又は無置換のポリアニリン複合体が、無置換ポリアニリンと下記式(III)で表されるスルホコハク酸誘導体の複合体である請求項5に記載の電磁波シールドシート。
    Figure 2015082548
    (式中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、m’はMの価数である。
    13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16で表わされる基である。
    15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。
    17はそれぞれ独立に炭化水素基である。)
  7. 前記組成物がフェノール性水酸基を有する化合物を含む請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  8. 前記組成物中のフェノール性水酸基を有する化合物の含有量が5〜60重量%である請求項7に記載の電磁波シールドシート。
  9. 前記組成物がナフタレンスルホン酸を含む請求項1〜8のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  10. 前記組成物中のπ共役系導電性高分子の含有量が5〜30重量%である請求項1〜9のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  11. 厚みが0.15mm以上である請求項1〜10のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  12. キャスト法を用いて形成した請求項1〜11のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
  13. 溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物を用いてキャスト法で電磁波シールドシートを形成する工程を含む電磁波シールドシートの製造方法。
  14. 溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物をスプレー法を用いて塗工することで表面に電磁波シールドシート層を形成した成形品。

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