JP2015082548A - 電磁波シールドシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成された電磁波シールドシートであって、表面抵抗が5Ω/□以下である電磁波シールドシート。
【選択図】なし
Description
そこで、従来から、電磁波による影響を低減するために、電磁波をシールド(遮蔽)する電磁波シールド材が知られている。例えば、不織布等の繊維布帛の表面に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、無電解金属めっき法等により、金属からなるシールド層を形成した電磁波シールド材が知られている。
上記問題を解決するため、特許文献1は金属含有樹脂からなるシールド層を備えてなる電磁波シールド材を開示する。しかしながら、当該シールド材であっても金属粒子や導電性フィラーを使用するため、柔軟性に乏しく、端面より粉末が析出する問題があった。
1.溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成された電磁波シールドシートであって、
表面抵抗が5Ω/□以下である電磁波シールドシート。
2.0.15MHzの電磁波の電界成分を40dB以上シールドすることができる1に記載の電磁波シールドシート。
3.10MHzの電磁波の電解成分を60dB以上シールドすることができる1又は2に記載の電磁波シールドシート。
4.金属成分を含まない1〜3のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
5.前記π共役系導電性高分子が、置換又は無置換のポリアニリンの複合体である1〜4のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
6.前記置換又は無置換のポリアニリン複合体が、無置換ポリアニリンと下記式(III)で表されるスルホコハク酸誘導体の複合体である5に記載の電磁波シールドシート。
R13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)r−R16で表わされる基である。
R15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 3Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。
R17はそれぞれ独立に炭化水素基である。)
7.前記組成物がフェノール性水酸基を有する化合物を含む1〜6のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
8.前記組成物中のフェノール性水酸基を有する化合物の含有量が5〜60重量%である7に記載の電磁波シールドシート。
9.前記組成物がナフタレンスルホン酸を含む1〜8のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
10.前記組成物中のπ共役系導電性高分子の含有量が5〜30重量%である1〜9のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
11.厚みが0.15mm以上である1〜10のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
12.キャスト法を用いて形成した1〜11のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
13.溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物を用いてキャスト法で電磁波シールドシートを形成する工程を含む電磁波シールドシートの製造方法。
14.溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物をスプレー法を用いて塗工することで表面に電磁波シールドシート層を形成した成形品。
本発明の電磁波シールドシートは、溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成されたシートであって、表面抵抗が5Ω/□以下である。
溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成されたシートは、上記表面抵抗が得られ、電磁波の電界成分から誘起される電流を効率的に導電することができる。従って、本発明の電磁波吸収シートは、金属成分を含む必要がなく、柔軟性及び伸長性に優れる。
電磁波シールドシートの表面抵抗の下限は特に限定されないが、例えば0.01Ω/□である。シールドシートの表面抵抗は、JIS K−7194に準拠して市販の表面測定装置を用いることで測定できる。
本発明の電磁波シールドシートは、好ましくは10MHzの電磁波の電界成分を60dB以上シールドすることができる。
電磁波シールドシートの電磁波シールド効果は、KCE法により評価することができる。
シールドシートの厚さの上限は特に限定されないが、例えば2.0mmである。シールドシートの厚さは、例えば接触式の膜厚計を用いることで測定できる。
以下、これら成分について説明する。
溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子は、好ましくは置換又は無置換のポリアニリン複合体であり、当該ポリアニリン複合体は、置換又は無置換のポリアニリン分子にドーパントがドープした複合体である。
ここで、上記の重量平均分子量はポリアニリン複合体の分子量ではなく、ポリアニリン分子の分子量である。
分子量分布は重量平均分子量/数平均分子量で表わされる値であり、導電率の観点から、分子量分布は小さい方が好ましい。また、上記重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定できるポリスチレン換算値として得られる。
ポリアニリン分子は、汎用性及び経済性の観点から無置換のポリアニリン分子が好ましい。
式(I)のMは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
上記有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基が挙げられる。また、上記無機遊離基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄が挙げられる。
式(I)のXは、アニオン基であり、例えば−SO3 −基、−PO3 2−基、−PO4(OH)−基、−OPO3 2−基、−OPO2(OH)−基、−COO−基が挙げられ、好ましくは−SO3 −基である。
上記炭化水素基は、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。
環状の飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基は、複数の環状の飽和脂肪族炭化水素基が縮合していてもよい。例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、縮合したアダマンチル基が挙げられる。
式(I)のnは1以上の整数であり、式(I)のmは、Mの価数/Xの価数である。
上記エステル結合を2以上含有する化合物は、スルホフタール酸エステル、又は下記式(II)で表される化合物がより好ましい。
R4、R5及びR6が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
R9の炭化水素基としては、R4、R5及びR6の場合と同様である。
R7及びR8が炭化水素基である場合の炭化水素基の具体例としては、例えば、直鎖又は分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基が挙げられる。好ましくは、直鎖又は分岐状のオクチル基である。さらに好ましくは、2−エチルヘキシル基である。
R13及びR14において、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R10と同様である。また、R13及びR14において、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R4、R5及びR6と同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
R13及びR14の炭化水素基としては、R7及びR8と同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基が好ましい。
式(I)で示される化合物としては、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。本発明のドーパントとしては、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸イオンが好ましい。
尚、乳化剤は、後述する転相を防ぐ役割を担っていると考えられる。プロトン供与体及びリン酸を含み2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合してポリアニリン複合体を製造すると、リン酸ではなく塩酸を用いていた場合に比べて、低分子量成分が増えてしまう。ここでリン酸を用いた際の重合中の様子から、上記2つの液相は重合中に転相を起こしていると考えられる。そして、この転相が低分子量成分を増やす理由と考えられる。この転相という現象は、連続相であった液相が分散相へ、分散相であった他方の液相が連続相へ変化する現象である。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
アニオン性乳化剤(陰イオン乳化剤)の具体例としては、脂肪酸、不均化ロジン石けん、高級アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、アルケニルコハク酸、ザルコシネート、及びそれらの塩が挙げられる。
カチオン性乳化剤(陽イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
双性乳化剤(両イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸型、アミンオキサイド型が挙げられる。
非イオン乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレングリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
アニオン性乳化剤としては、リン酸エステル構造を有するアニオン性乳化剤がさらに好ましい。また、非イオン乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤がさらに好ましい。
プロトン供与体の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に例えば「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
乳化剤の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
これら酸化剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合温度は通常−5〜60℃で、好ましくは−5〜40℃である。また、重合温度は重合反応の途中に変えてもよい。重合温度が当該範囲であることで、副反応を回避することができる。
プロトン供与体及び乳化剤をトルエンに溶解した溶液を、窒素等の不活性雰囲気の気流下においたセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、置換又は無置換のアニリンを加える。その後、塩素を含まないリン酸を溶液に添加し、溶液温度を冷却する。
溶液内温を冷却した後、攪拌を行う。過硫酸アンモニウムをリン酸に溶解した溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、反応させる。その後、溶液温度を上昇させ、反応を継続する。反応終了後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエンを追加し、リン酸及びイオン交換水で洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液が得られる。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収する。この溶液をエバポレーターに移し、加温及び減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体が得られる。
また、先に述べたポリアニリン複合体を1M水酸化ナトリウム水溶液と混合して脱ドープしたポリアニリン粉末を作り、NMP(N−メチルピロリドン)に溶解させることにより、ポリアニリン分子の溶液を製造することができる。
π共役系導電性高分子の含有量が上記範囲にあることで、例えばシールドシートの厚みを0.2mm以上とすることができる。
溶媒としては、有機溶剤でも水等の無機溶剤でもよく、また1種単独でも2種以上の混合溶媒でもよい。好ましくは有機溶剤である。
また、有機溶剤は、水溶性有機溶剤でも、実質的に水に混和しない有機溶剤(水不混和性有機溶剤)でもよい。
シールド層を形成する組成物は、好ましくはフェノール性水酸基を有する化合物を含む。組成物がフェノール性水酸基を有する化合物を含むことで、π共役系導電性高分子の溶解性を向上させることができる。
フェノール性水酸基を有する化合物とは、フェノール性水酸基を1つ有する化合物、フェノール性水酸基を複数有する化合物、及びフェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物である。
Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(B)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、ヒドロキシナフタレンが挙げられる。
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(C)で表わされる化合物の具体例としては、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール(例えば4−イソプロピルフェノール)、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−ペンチルフェノール(例えば、4−tert−ペンチルフェノール)が挙げられる。
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる基等が挙げられる。
また、式(D)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、1,6ナフタレンジオール、2,6ナフタレンジオール、2,7ナフタレンジオールが挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物の含有量が上記範囲にあることで、得られるシールドシート中に溶媒が残存・析出することを防ぐことができる。
耐熱安定化剤とは、酸性物質又は酸性物質の塩であり、酸性物質は有機酸(有機化合物の酸)、無機酸(無機化合物の酸)のいずれでもよい。
耐熱安定化剤である酸性物質は、好ましくは有機酸であり、より好ましくはスルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、又はホスホン酸基を1以上有する有機酸であり、さらに好ましくは、スルホン酸基を1以上有する有機酸である。耐熱安定剤である酸性物質の塩としては、これら酸性物質の塩が挙げられる。
上記アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸が挙げられる。ここでのアルキル基は、好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸、置換又は無置換のナフタレンスルホン酸及び置換又は無置換のアントラセンスルホン酸が挙げられ、好ましくはナフタレンスルホン酸である。具体例としては、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸が挙げられる。
ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。
上記ポリスルホン酸は、高分子鎖の主鎖又は側鎖に複数のスルホン酸基が置換したスルホン酸である。例えば、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。
上記アルキルカルボン酸としては、例えばウンデシレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸としては、例えば、置換又は無置換のベンゼンカルボン酸及びナフタレンカルボン酸が挙げられる。ここで置換基は、例えば、スルホン酸基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。具体例としては、サリチル酸、安息香酸、ナフトエ酸、トリメシン酸が挙げられる。
上記アルキルリン酸又はアルキルホスホン酸としては、例え、ドデシルリン酸、リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族リン酸及び芳香族ホスホン酸としては、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸又はホスホン酸、及びナフタレンスルホン酸又はホスホン酸等が挙げられる。ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アシル基からなる群から選択される置換基であり、1以上置換していてもよい。例えば、フェニルホスホン酸が挙げられる。
シールドシートを形成する組成物中の耐熱安定化剤の含有量は、好ましくは0.1重量%〜3.0重量%である。
本発明の電磁波シールドシートを形成する組成物は、例えば90%重量以上、95重量%以上、99重量%以上、100重量%が(1)溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子、(2)溶剤、(3)フェノール性水酸基を有する化合物及び(4)耐熱安定化剤からなってもよく、さらに他の樹脂等の添加剤を含んでもよい。
他の樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコールが挙げられる。
また上記樹脂の代わりに、また樹脂と共に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、もしくはこれら熱硬化性樹脂を形成し得る前駆体を含んでもよい。
さらにその他の成分として、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素繊維等の成分を含んでいてもよい。
本発明の電磁波シールドシートは、さらに保護層、粘着剤層等が積層されていてもよい。例えば、保護層/シールド層/粘着剤層の3層構造からなる積層体等が挙げられる。
保護層の材料としては、例えばポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、ポリエチレン系、スチレンブタジエン系、ニトリルブタジエン系、エポキシ系等の合成樹脂を例示することができる。また、保護層の厚みは、例えば0.5〜80μmとすることができる。
粘着層の材料としては、ウレタン系ホットメルト樹脂、アクリル系粘着樹脂等を例示することができる。また、粘着層の厚みは、例えば10〜100μmとすることができる。
例えば電磁波シールドシートを形成する組成物を乾燥し、溶剤を除去することによって電磁波シールドシートが得られる。例えば、シールドシートを形成する組成物を、所望の形状を有するガラスや樹脂フィルム、シート、不織布等の基材に塗布し、溶剤を除去することによって、電磁波シールドシートを製造することができる。
当該電磁波シールドシートを真空成型や圧空成形等の公知の方法により所望の形状に加工することにより、導電性物品を製造することができる。成形の観点からは、基材は樹脂フィルム又はシート、不織布が好ましい。
組成物を塗布して得られる塗布膜を乾燥する際、溶剤の種類によっては、塗布膜を加熱してもよい。例えば、空気気流下250℃以下、好ましくは50以上200℃以下の温度で加熱し、さらに、必要に応じて、減圧下に加熱する。加熱温度及び加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
本発明の電磁波シールドシートは、例えばシールドシートを形成する組成物が上述した他の樹脂を適宜含むようにすることで、所望の機械的強度を発現することができる。
[ポリアニリン複合体の製造]
エーロゾルOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)37.8g及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤であるソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)1.47gをトルエン600mLに溶解した。得られた溶液を、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、22.2gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸1800mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
溶液内温が5℃に到達した時点で、毎分390回転で攪拌を行った。65.7gの過硫酸アンモニウムを1Mリン酸600mLに溶解した溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて滴下した。滴下開始から18時間、溶液内温を5℃に保ったまま反応を実施した。その後、反応温度を40℃まで上昇させ、1時間反応を継続した。その後、静置し、トルエン相を分離した。得られたトルエン相にトルエンを1500ml添加し、1Mリン酸500mL1回、イオン交換水500mLで3回洗浄し、トルエン相を静置分離し、濃度調整のための濃縮を行い、ポリアニリン複合体トルエン溶液900gを得た。このポリアニリン複合体トルエン溶液のポリアニリン複合体濃度は5.7重量%であった。
得られたポリアニリン/AOT複合体トルエン溶液を60℃の湯浴で、減圧乾燥し、乾固しポリアニリン複合体を51.3g得た。
トルエン24g、イソプロピルアルコール4g、メチルイソブチルケトン20g、4−メトキシフェノール19.2g、2−ナフタレンスルホン酸1.1gを溶解した溶媒に、上記ポリアニリン複合体12gを溶解させ、ポリアニリン複合体溶液を得た。
また、得られた電磁波シールドシートのシールド性能の評価は、図1に示す装置を用いて実施した。図1中の数字の単位は「mm」である。図1に示す装置を2つ用いて、送信用と受信用に分かれた治具の間に測定試料(シールドシート)を挟み、受信側でどれだけ信号が減衰したかをKEC法により評価した。結果を表1及び表2に示す。表2は、電磁波シールド効果の周波数特性をグラフ化したものである。
10 中心導体
20 外部導体
30 入出力
Claims (14)
- 溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物から形成された電磁波シールドシートであって、
表面抵抗が5Ω/□以下である電磁波シールドシート。 - 0.15MHzの電磁波の電界成分を40dB以上シールドすることができる請求項1に記載の電磁波シールドシート。
- 10MHzの電磁波の電解成分を60dB以上シールドすることができる請求項1又は2に記載の電磁波シールドシート。
- 金属成分を含まない請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- 前記π共役系導電性高分子が、置換又は無置換のポリアニリンの複合体である請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- 前記組成物がフェノール性水酸基を有する化合物を含む請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- 前記組成物中のフェノール性水酸基を有する化合物の含有量が5〜60重量%である請求項7に記載の電磁波シールドシート。
- 前記組成物がナフタレンスルホン酸を含む請求項1〜8のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- 前記組成物中のπ共役系導電性高分子の含有量が5〜30重量%である請求項1〜9のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- 厚みが0.15mm以上である請求項1〜10のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- キャスト法を用いて形成した請求項1〜11のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
- 溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物を用いてキャスト法で電磁波シールドシートを形成する工程を含む電磁波シールドシートの製造方法。
- 溶剤に溶解可能なπ共役系導電性高分子を含む組成物をスプレー法を用いて塗工することで表面に電磁波シールドシート層を形成した成形品。
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