以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態のプリント配線板の要部を原理的に示し、図2には、本発明の第2実施形態のプリント配線板の要部を原理的に示す。
図1、図2において、絶縁材10は,その全体が電気絶縁性の合成樹脂によって一体成形されたシート状(薄い板状、フィルム状も含む。以下、同じ)のもの(基材無し樹脂絶縁材)である。基材無し樹脂絶縁材は、例えば、その全体がエポキシ樹脂で代表される電気絶縁性の熱硬化性樹脂によって一体成形されたものを好適に用いることができる。
図1、図2に示すプリント配線板1A、1Bは、絶縁材10の両側の主面10A、10Bの片方(ここでは符号10Aの主面。以下、第1主面と記す)の側に、配線部および端子部を構成する導体パターンを絶縁材10に埋め込んだ埋め込みパターン16(第1導体パターン)を有する。また、プリント配線板1A、1Bは、絶縁材10の第1主面10Aとは反対の第2主面10Bに形成された第2導体パターン17を有する。第2導体パターン17は、絶縁材10の第2主面10Bに突出状態に形成されている。
プリント配線板1A、1Bは、絶縁材10の両側に導体パターン16、17を有する両面プリント配線板であり、両側の導体パターンの片方(第1導体パターン16)が絶縁材10に埋め込まれた埋め込みパターン16である構成となっているものである。
絶縁材10の両側の導体パターン16、17は、金属銅(Cu)もしくはCu合金などの良導電材料によって形成されている。導体パターン16、17の厚みは特に限定しないが、例えば10〜20μm程度とされる。
図1、図2は、プリント配線板1A、1Bにおける、埋め込みパターン16の端子部12が、絶縁材10の第1主面10Aの複数箇所に配列設置された部位の構造を示す断面図である。
複数の端子部12は、所定のパターン、所定の幅W1もしくはW2、所定の間隔(スペース)Sで絶縁材10に埋め込まれている。
またこれらの図では、端子部12として三つのもの(12―1、12―2、12―3)を示しているが、これらの端子部12―1〜12―3のうち、図面上で最も左側の端子部12―1は、ワイヤボンディングなどを行なう端子部を想定している。中央の端子部12―2、及び、さらに右側の幅の広い端子部12―3は、はんだ付けなどによって部品実装を行うためのランド(本明細書においては、ランドも一種の端子部としている)を想定している。但し、これらの端子部12―1〜12―3の使用態様は、あくまで例示に過ぎず、上記の記載に限定されないことはもちろんである。
前記端子部12は、絶縁材10の第1主面10Aから窪んだ位置に設けられている。すなわち端子部12は、その表側の面(おもて面12A)が、絶縁材10の第1主面10Aの位置から所定の深さDの位置に位置している。その深さDは、既に述べたように、1〜7μmの範囲内とすることが望ましく、より好ましくは2〜5μmの範囲内とする。
なお、埋め込みパターン16の配線部16a(図9(A)〜(C)参照)は、プリント配線板の絶縁材第1主面10A側(配線板表側)に露呈する表面が、絶縁材第1主面10Aに面一に配置されている。図9(A)〜(C)に示すように、端子部12は、配線部16aと一体に形成され配線部16aから延出する延出部である。この端子部12は、絶縁材第1主面10Aに沿って、配線部16aの絶縁材第1主面10Aに面一に露出する表面の長手方向に垂直な幅方向の寸法に比べて幅広に拡がるパッド状に形成されている。但し、端子部12の形状としては特には限定は無く、図9(A)〜(C)に例示したような概ね長方形板状の他、例えば円板状等であっても良い。
また、埋め込みパターンの端子部12としては、図9(A)〜(C)、図10(A)、(B)に例示したように配線部16aの先端に形成した構成のものに限定されない。端子部12としては、例えば配線部16aの延在方向の途中に形成した構成など、複数本の配線部16aが互いに異なる方向へ延出されている構成のものも採用可能である。
図1、図2に示すように、端子部12の表側は、該端子部12の表側の面に形成されためっき層である被覆金属層14によって覆われている。埋め込みパターン16には、その端子部12を被覆金属層14で覆った被覆端子部120が形成されている。
被覆金属層14は、絶縁材第1主面10Aに沿う表面14Aを有する。
図示例のプリント配線板1A、1Bにおける被覆金属層14は、例えばNiめっき層(第1層)14−1とAuめっき層(第2層)14−2との2層構造となっている。この被覆金属層14の厚みT(具体的には端子部12のおもて面12Aを覆う部分の被覆厚)は、実質的に端子部おもて面12Aの絶縁材第1主面10Aからの窪み深さDと同等とされている。したがって被覆金属層14は、その表面14Aの位置が、絶縁材10の第1主面10Aと実質的に面一もしくはそれ以下(第1主面10Aから窪んでいる)の位置となっていて、絶縁材の第1主面10Aから実質的に突出しない状態となっている。
第2導体パターン17は、絶縁材10の第2主面10Bから前記埋め込みパターン16の端子部12の裏面12Bに達して形成された開口穴13A、13B内に設けられたビア配線11を介して、第1導体パターン16と電気導通可能に接続されている。
図1、図2において、前記開口穴13A、13Bは、具体的には、絶縁材第2主面10Bから、図面上の中央の端子部12−2を除く左右の端子部12−1、12−3の裏面12Bに達して形成されている。
図1、図2において、絶縁材10には、開口穴13A、13Bの内側をめっき金属で埋め込んだフィルドビアが形成されている。前記ビア配線11は、開口穴13A、13Bの内側を埋め込んだめっき金属によって形成されている。
なお、プリント配線板1A、1Bとしては、絶縁材10に、その開口穴13A、13B内面及び端子部裏面12Bの開口穴13A、13Bに臨む部分に沿う層状にめっき層を形成したコンフォーマルビアを設け、前記めっき層をビア配線11とした構成も採用可能である。
また、絶縁材10に設けるビアとしては、開口穴13A、13B内面及び端子部裏面12Bの開口穴13A、13Bに臨む部分に沿う層状にめっき層を形成し、該めっき層の内側を、例えば導電性ペースト等の導電性材料によって埋め込んだフィルドビア、さらに導電性材料を覆う蓋めっきを形成した構成のフィルドビア等も採用可能である。
第2導体パターン17は、前記ビア配線11を形成するめっき金属を、絶縁材第2主面10Bにおける開口穴13A、13Bの口縁部にまで張り出させて、絶縁材第2主面10Bに沿って延在形成したランド部191、193を含む。このランド部191、193は、第2導体パターン17の端子部19として機能する。以下、ランド部191、193を端子部とも言う。
図1、図2のランド部191、193は、絶縁材第2主面10Bにおける開口穴13A、13Bの口縁部のみならず、前記ビア配線11を形成するめっき金属によって、第2主面10Bに沿って延在して前記口縁部及びその内側の開口穴13A、13Bを覆う層状に形成されている。
図1、図2のプリント配線板1A、1Bは、絶縁材第2主面10Bに互いに離隔して形成されたランド部191、193の間にも、第2導体パターン17の一部である端子部192を有している。この端子部192は、埋め込みパターン16と電気的に直接接続されたものではない。絶縁材10には端子部192を埋め込みパターン16と直接接続するためのビア配線等は設けられていない。
第2導体パターン17は、端子部19(ランド部191、193及び端子部192)を含む全体が、絶縁材第2主面10Bに突出状態に形成されている。
第2導体パターン17の端子部19(191〜193)は、絶縁材第2主面10Bに沿って延在する金属層である第2導体パターン17の一部であり、第2導体パターン17の配線部と繋がっている。
第2導体パターン17の端子部19(191〜193)には、該端子部19の絶縁材10から露出する外表面全体を覆う被覆金属層15が形成されている。第2導体パターン17には、その端子部19を被覆金属層15で覆った被覆端子部190が形成されている。
図示例のプリント配線板1A、1Bにおいて、被覆金属層15は、埋め込みパターン16の端子部12の表側を覆う被覆金属層14と同種のめっき金属によって形成されている。すなわちこの被覆金属層15も、例えばNiめっき層(第1層)15−1とAuめっき層(第2層)15−2との2層構造とされている。
ここで、図1では、端子部12のおもて面12A全体が、実質的に、絶縁材第1主面10Aに沿う平坦面となっている場合を示している。この平坦なおもて面12Aについて、図1中符号12Hを付記する。
また、本発明者は、プリント配線板の製造工程における端子部12のエッチング(後述)をある程度以上進行させた場合には、図2、図9(B)に示すように、端子部12表側の絶縁材第1主面10Aに沿う平坦面に形成された表側主面12aの周囲に、この表側主面12a外周から表側主面12a中央とは反対の方向へ行くに従って端子部裏面12Bに接近する傾斜面12Cを形成できることを確認した。すなわち、端子部12に、表側主面12aの周囲に傾斜面12Cを有する凸形のおもて面12A(図2、図9(B)中、符号12Dを付記する)を形成できる。傾斜面12Cは、絶縁材第1主面10Aからの窪み深さが大きくなるように、第1主面10Aに対して傾斜している。
この場合、端子部12は、表側主面12aの窪み深さD1よりもその周囲の窪み深さD2が大きい、全体として凸形状に形成される(図2、図9(B)参照)。このように端子部12が凸形状となった場合でも、後に製造方法に関して説明するように、端子部表側に被覆される被覆金属層14は、その表面14Aを平坦面(絶縁材10の第1主面10Aと実質的に面一の平坦面、もしくはそれよりも下方にて実質的に第1主面10Aに平行に延在する平坦面)とすることができる。特に無電解めっきを適用した場合は、より平坦とすることができる。
なお以上の説明においては、被覆金属層14の表面14Aが絶縁材第1主面10Aから実質的に突出しない、あるいは被覆金属層14の表面14が絶縁材第1主面10Aと実質的に面一又は第1主面10Aから窪んだ所に位置すると記載したが、ここで“実質的に面一”とは、被覆金属層14の表面14Aが絶縁材第1主面10Aからわずかに突出する場合を許容していることを意味する。そのわずかな突出許容寸法は、通常は+2μmまでは許容される。すなわち、絶縁材第1主面10Aからの被覆金属層14の表面14Aの最大突出寸法が2μmを越えれば、図33(C)に示したと同様に、めっき金属が隣り合う端子部間で部分的に連続してしまうおそれがある。しかし、前記突出寸法が2μm以下であれば、隣り合う端子部間で、部分的にも連続してしまうおそれが少ない。そこで、被覆金属層14の表面14Aの位置は、絶縁材第1主面10Aの位置から上方へ2μmまでは許容され、その許容範囲を含めて、本明細書では、被覆金属層14の表面14Aの位置について、絶縁材第1主面10Aの位置と実質的に面一あるいは第1主面10Aから窪んだ所に位置すると表現しているのである。
なお、被覆金属層14自体の厚みは特に限定しないが、端子部おもて面12Aの絶縁材第1主面10Aからの窪み深さD(図1、図2参照。好ましくは1〜7μm)および被覆金属層14の絶縁材表面10Aからの突出許容高さ(好ましくは2μm以下)との関係からは、1〜9μmの範囲内とすることが望ましい。
さらに、被覆金属層14の表面14Aが絶縁材第1主面10Aから窪んだ所に位置している場合には、隣り合う端子部間でのめっき金属の連続は原理的に生じ得ず、従ってその窪み寸法については特に限定しない。但し、被覆金属層14の表面14Aの絶縁材第1主面10Aからの窪み深さが10μmを越えれば、端子部12の厚みを10μm程度以上に確保することが困難となって、端子部12による配線や端子部の抵抗が過大となってしまうおそれがある。このため、被覆金属層表面14Aの窪み深さは10μm以下とすることが望ましく、より好ましくは7μm以下とする。
また上記の例では、絶縁材第1主面10A側(配線板表側)の被覆金属層14を、Niめっき層(第1層)14−1とAuめっき層(第2層)14−2との2層構造とし、同時に開口部底面の被覆金属層15も、同様な2層構造として説明したが、これらの被覆金属層は、Niめっき層(第1層)、Pdめっき層(第2層)、およびAuめっき層(第3層)の3層構造とすることもでき、さらに場合によっては1層のみからなる単層構造としても良い。まためっき金属の種類も特に限定されず、端子部を構成する金属、および端子部として接合される相手側の金属の種類に応じて適切な1種又は2種以上の金属をめっき金属として選択すればよい。具体的には、例えばNi、Au、Pd、Sn、Ag、はんだ合金のうちから選ばれた1種以上のものを、めっき金属として用いることができる。
さらに上記の実施形態において、第2導体パターン17の端子部19(191〜193)は、プリント配線板の第2主面10Bの側(配線板裏側)に半導体チップその他の電子部品を搭載するにあたり、それらの電子部品の端子からのリードワイヤをはんだ接合などによりボンディング(ワイヤボンディング)したり、またプリント配線板自体をマザーボード上に搭載・接続する際のはんだ付け等に利用できる。
ここで、第2導体パターン17の端子部19を覆う被覆金属層15は必ずしも必要ではなく、被覆金属層15を形成しなくても良いが、はんだとの接合性を良好にし、かつ端子部の銅の酸化を防止して接続信頼性を向上させるためには、絶縁材第1主面10Aの側の表面と同様に、被覆金属層15を形成しておくことが望ましい。
なお、絶縁材10両側の導体パターン16、17の端子部12、19に形成する被覆金属層14、15を構成するめっき層は、電子部品等と導体パターン16、17との電気的接続を実現する必要から、導体金属からなる金属めっき層とする。
次に図2に示される第2実施形態のプリント配線板を製造する方法について、図3の(A)〜(C)、図4の(A)〜(C)、図5の(A)、(B)を参照して原理的に説明する。
なお、図3(A)〜(C)から図5(A)、(B)は、連続する工程を示している。
また、図1に示される第1実施形態のプリント配線板を製造する方法は、第2実施形態のプリント配線板の製造方法の後に説明する。
図3(A)は、後述の埋め込み基板作製工程によって、基材無し樹脂絶縁材である絶縁材10に、既に導体パターンが埋め込まれて埋め込みパターン16とされた状態の基板(埋め込み基板)18を示す。
なお、この状態では、図9(A)に示すように、埋め込みパターン16の端子部12を含む全体の片面(端子部12についてはおもて面)が、絶縁材10の第1主面10Aと面一に配置されている。
埋め込み基板18を得るまでの埋め込み基板作製工程の具体的なプロセスは従来の平埋め法と同様であれば良く、その具体例については後に改めて説明する。
本実施形態では、本発明に係るプリント配線板の製造方法の1実施形態として、まず、埋め込み基板18の絶縁材10の第2主面10Bに第2導体パターン17を形成する基板裏面パターン形成工程(パターン積層工程)を行い、次いで、埋め込みパターン16の端子部12をその表側からエッチングして絶縁材第1主面10Aから窪ませるエッチング工程、及び、エッチング工程を完了した前記端子部12の表側に被覆金属層14を形成する被覆工程を行って、図1、図2に例示したプリント配線板を製造する場合を説明する。
(基板裏面パターン形成工程)
この実施形態の基板裏面パターン形成工程(パターン積層工程)は、まず、図3(A)に示す埋め込み基板18について、先ず開口穴形成工程を実施する(図3(B)参照)。すなわち、図3(B)に示すように、絶縁材10に、第2主面10Bの側(配線板裏側)から、端子部12−1、12−3の端子部裏面12Bに達する開口穴13A,13B(ビア)を形成し、開口穴13A,13Bの穴底に端子部12−1、12−3の端子部裏面12Bを露呈させる。この開口穴形成手段としては、レーザ加工を適用することが望ましいが、機械的穿孔加工によって形成してもよい。
次いで、図3(C)に示すように、埋め込み基板18全面(絶縁材10の第1、第2主面10A、10B、各端子部12のおもて面12E、開口穴13A,13B(ビア)内面)に無電解めっき層171をめっきシード層として形成する。
開口穴13A、13B(ビア)内面全面を覆う無電解めっき層171(以下、めっきシード層とも言う)の一部は、端子部12−1、12−3の端子部裏面12Bの開口穴13A,13B穴底に露呈する部分に沿って延在し、該部分全体を覆う。
次に、図4(A)に示すように、埋め込み基板18の第2導体パターン17の形成が不要な部分全体に、めっきシード層171を覆うめっきレジスト21(第2パターン用めっきレジスト)を設ける。めっきレジスト21は、開口穴13A,13B内には形成しない。
次いで、図4(B)に示すように、埋め込み基板18裏面側(第2主面10B側)に、めっき金属(金属めっき層)からなる第2金属めっき層172を形成する。第2金属めっき層172は、埋め込み基板18裏面側における、めっきシード層171(第1金属めっき層)のめっきレジスト21に覆われずに露呈された部分に形成されることで、所定パターンに形成される。
第2金属めっき層172(以下、パターンめっき層とも言う)はめっきシード層171に比べて格段に厚く形成する。また、図4(B)に示すように、パターンめっき層172の形成工程において、開口穴13A,13B内側を埋め込んだめっき金属によって、第2導体パターン17と埋め込みパターン16とを電気的に接続するためのビア配線11も形成する。
この実施形態では、めっきシード層171及びパターンめっき層172として、Cuめっき層等の、良導電性の互いに同じ金属によって形成された金属めっき層を形成する。また、埋め込みパターン16も、めっきシード層171及びパターンめっき層172と同じ金属によって形成されたものを用いる。
次に、図4(C)に示すように、埋め込み基板18からめっきレジスト21を除去する。
次いで、埋め込み基板18をエッチング液中に浸潰して、めっきシード層171(第1金属めっき層)の第2金属めっき層172に覆われずに露呈している部分を、例えばフラッシュエッチングによってエッチング除去する(図5(A)参照)。これにより図5(A)に示すように、端子部19(端子部191−193)を含む第2導体パターン17が完成する。
第2導体パターン17が形成されることで、基板裏面パターン形成工程が完了する。
また、図5(A)に示すように、めっきシード層171の露呈部分のエッチング除去が完了すると、絶縁材第1主面10Aに面一になっている埋め込みパターン16表面が露呈する。
なお、めっきシード層171の露呈部分のエッチング除去の際に、第2導体パターン17も若干エッチングされ得る。
図3(C)から図5(A)は、絶縁材10の第2主面10Bへの第2導体パターン17の形成をセミアディティブ法により行った場合を示している。但し、埋め込み基板18に第2導体パターン17を形成する工程は、上述の構成に限定されず、例えばフルアディティブ法等も採用可能である。
図3(C)から図5(A)は、具体的には、絶縁材第2主面10Bに積層した2層の金属めっき層(第1金属めっき層171と第2金属めっき層172)からなる2層構造の第2導体パターン17を形成する場合を例示している。
第2導体パターン17を形成するめっき層(金属めっき層)としては、金属銅(Cu)もしくはCu合金などの良導電材料からなるものであれば良く、Cuめっき層に限定されない。また、2層以上のめっき層で構成された第2導体パターン17は、該第2導体パターン17を構成するめっき層が互いに同じ金属で形成されている構成の他、例えば互いに異なる金属からなるめっき層を2層あるいは3層以上積層した構成も採用可能である。
(エッチング工程)
基板裏面パターン形成工程が完了したら、次いで、図5(B)、(C)に示すように、端子部12をその表側からエッチングして、絶縁材第1主面10Aに対して窪ませる、エッチング工程を施す。
ここで説明するエッチング工程は、具体的には、図5(B)、(C)に示すように、絶縁材10両側の導体パターン16、17の端子部12、19をエッチングしてその厚みを薄くし、埋め込みパターン16の端子部12を絶縁材第1主面10Aから窪ませるものである。
このエッチング工程は、図5(B)、図9(A)に示すように、絶縁材10両側に、導体パターン16、17のエッチングを行わない部分を覆うエッチングレジスト層23を設けて行なう。
図5(B)、図9(A)において、エッチングレジスト層23は、導体パターン16、17の端子部12、19を避けて絶縁材10に積層状態に設けられている。エッチングレジスト層23は、端子部12、19の絶縁材10とは反対側のおもて面12A、19Aを露呈させる。
図5(B)、(C)において、絶縁材第1主面10A側に設けたエッチングレジスト層23に符号23A、絶縁材第2主面10B側に設けたエッチングレジスト層23に符号23Bを付記する。
図5(B)、図9(A)において、絶縁材10の第1主面10A側に設けたエッチングレジスト層23Aには、埋め込みパターン16の端子部12を露呈させる孔23aが形成されている。この孔23aは、絶縁材第1主面10Aに垂直の軸線を以てエッチングレジスト層23Aを貫通している。また、この孔23aは、その軸線に垂直の断面が、エッチング前の端子部12の絶縁材第1主面10Aに面一のおもて面12A(図中符号12Eを付記する)に比べて若干大きく形成されている。また、孔23aは、端子部おもて面12E外周から若干の離隔距離を確保して、端子部おもて面12Eを囲繞する。
図9(A)において、絶縁材第1主面10A側のエッチングレジスト層23Aの孔23aは、具体的には、埋め込みパターン16の端子部12のみならず、埋め込みパターン16の配線部16aの端子部12近傍に位置する部分である端子側端部も露呈させるように形成されている。配線部16aの前記孔23a内に露呈させた端子側端部を、以下、引き出し配線部16bとも言う。
エッチングレジスト層23Aは、埋め込みパターン16の端子部12及び引き出し配線部16b以外の全体を覆っている。
なお、エッチングレジスト層23Aは、必ずしも、埋め込みパターン16の端子部12及び引き出し配線部16b以外の全体を覆う構成に限定されない。エッチングレジスト層23Aは、例えば、端子部12及び引き出し配線部16bに対応して形成した孔23a以外に、該孔23aから離隔した位置に、埋め込みパターン16の一部を露呈させる孔を形成した構成も採用可能である。
図9(A)においては、第2主面10B側のエッチングレジスト層の図示を省略している。このことは、図9(B)においても同様である。
図5(B)、(C)において、第2主面10B側のエッチングレジスト層23Bには、第2導体パターン17の端子部19を収容する孔23b(以下、端子部収容孔とも言う)が形成されている。
端子部収容孔23bは、端子部19のおもて面19Aに比べて若干大きい断面で、エッチングレジスト層23Bに絶縁材第2主面10Bに垂直の軸線を以て貫通形成されている。この端子部収容孔23bの内周面と端子部19との間には、端子部収容孔23b内周面全周にわたってクリアランスが確保されている。
端子部収容孔23b内には、端子部19のみならず、導体パターン17の配線部の端子部19近傍に位置する端子側端部も存在する。エッチングレジスト層23Bは、導体パターン17の、端子部19、及び配線部の端子部収容孔23b内に位置する領域(端子側端部)である引き出し配線部を除く、全体を覆っている。
なお、エッチングレジスト層23Bは、必ずしも、導体パターン17の端子部19及び引き出し配線部以外の全体を覆う構成に限定されない。エッチングレジスト層23Bは、例えば、端子部収容孔から離隔した位置に、導体パターン17の一部を露呈させる孔を形成した構成も採用可能である。
絶縁材10両側へのエッチングレジスト層23A、23Bの形成が完了したら、次いで、埋め込み基板18をエッチング液中に浸潰し、図5(B)、(C)に示すように、絶縁材10両側の導体パターン16、17の端子部12、19をエッチングする。
このエッチングは、端子部12、19を構成しているCuもしくはCu合金を溶解させるエッチング液、例えば過硫酸ナトリウムと硫酸とからなるエッチング液を用いて行なう。
図5(B)は端子部12のエッチングの初期段階の状況を示す。この段階では、端子部12は、絶縁材第1主面10Aに対しほぼ均一な深さで窪んでいる。端子部12には、絶縁材第1主面10Aに対して窪んだ位置に、絶縁材第1主面10Aに平行に平坦なおもて面12Hが延在形成される。
さらにエッチングを進行させれば、端子部12は、その表側の面の外周部で大きくエッチングされ、図5(C)、図9(B)に示すように、絶縁材第1主面10Aに沿う実質的に平坦な表側主面12aの周囲に既述の傾斜面12Cが形成された状態となる。すなわち、端子部12は、凸形状をなす状態となる。
また、このエッチング工程では、端子部12のエッチングに伴い、引き出し配線部16bもエッチングされ、引き出し配線部16bの厚み(絶縁材第1主面10Aに垂直の方向の寸法)が縮小する。つまり、図9(B)に示すように、引き出し配線部16bは、エッチングによって、端子部12とともに絶縁材第1主面10Aに対して窪む。その結果、埋め込みパターン16には、引き出し配線部16bと、配線部16aのエッチングレジスト層23Aに覆われてエッチングされない部分との境界部に段差16cが形成される。
また、図5(B)、(C)に示すように、エッチング工程では、導体パターン17についても、埋め込みパターン16の端子部12及び引き出し配線部16bのエッチングに伴い、端子部19及び引き出し配線部がエッチングされ、その厚みが縮小する。
図5(C)、図6(A)、(B)において、エッチング工程を完了したときの第2導体パターン17(以下、基板裏面パターンとも言う)の端子部19のおもて面19Aに符号19Hを付記する。また、図5(A)、(B)に示すように、エッチング工程を行なう前の基板裏面パターン17の端子部19のおもて面19Aに符号19Eを付記する。
(被覆工程)
エッチング工程は、端子部12が、図5(C)、図9(B)に示す凸形状となるまで行って完了する。
次いで、図6(A)、(B)に示すように、絶縁材10両側の導体パターン16、17の端子部12、19のおもて面12A、19Aをめっき金属(被覆金属層14、15)で被覆するめっき金属被覆工程(被覆工程)を行なう。
本実施形態において、このめっき金属被覆工程は、図6(A)に示すように、エッチング工程にて使用したエッチングレジスト層23を絶縁材10に被着状態のまま、埋め込み基板18をめっき処理液に浸潰して、絶縁材10両側の導体パターン16、17の端子部16、19にその表面を覆う金属めっき層を被覆金属層14、15として形成する。
また、被覆金属層14、15は、端子部16、19表面への被覆金属層14、15の形成に伴い、導体パターン16、17の引き出し配線部にも形成される。
エッチングレジスト層23は、めっきレジスト層として用い、被覆金属層14、15の形成完了後、絶縁材10から除去する(図6(B)参照)。
本実施形態では、先ず無電解めっきもしくは電解めっきにより、端子部12のおもて面12D全体に第1層14−1としてNiめっきを施し、続いて無電解めっきもしくは電解めっきにより第2層14−2としてAuめっきを施して、2層構造の被覆金属層14としている。
図9(C)、図10(A)、(B)に示すように、被覆金属層14は、埋め込みパターン16の引き出し配線部16bにも、端子部12から連続する金属層として形成される。
またこのめっき金属被覆工程では、埋め込みパターン16の端子部12とともに、絶縁材第2主面10Bに突出状態に形成されている第2導体パターン17の端子部19の外表面全体にも、被覆金属層14と同じ2層構造の被覆金属層15が形成され、この被覆金属層15によって端子部19が被覆される。第2導体パターン17の端子部19を覆う被覆金属層15は、端子部19を被覆したNiめっきである第1層15−1の表面に、Auめっきである第2層15−2を積層した構成のものである。
埋め込みパターン16の端子部12のおもて面12Dを被覆する被覆金属層14は、その表面14Aが、絶縁材10の第1主面10Aと実質的に面一となるように、めっき条件(特にめっき速度)に応じてめっき処理時間を適切に調整する。
なお本実施形態においては、図5(C)に示すめっき前の段階では、埋め込みパターン16の端子部12は凸形状をなす状態となっているが、被覆金属層第1層14−1のNiめっきを施すに当たっては、無電解めっき、電解めっきのいずれによる場合も、Niをある程度以上の厚みでめっきすることにより、そのNiめっき層(第1層)14−1の表面14−1Aをほぼ平坦な面とすることができる(図6(A)参照)。したがって、その後に第2層14−2としてAuめっきを施すにあたっては、均一な厚みでめっきすることにより、容易にその表面14−2A(被覆金属層表面14Aに相当)を平坦な面とすることができる。その結果、図2に示した第2実施形態のプリント配線板と同様なプリント配線板を得ることができる。
ここで、上述のめっき金属被覆工程においては、無電解めっき、電解めっきのいずれの場合も、埋め込みパターン16の端子部12表側を覆う被覆金属層14を形成するめっき金属(Ni、Au)は、絶縁材第1主面10Aから窪み底部に端子部12が配置されている凹所であるめっき形成用凹所10C(図5(C)、図9(B)参照)内に析出する。このため、隣り合う端子部12間でめっき金属のブリッジ現象が生じてしまうことはない。
また、無電解めっきを適用した場合において、被覆金属層14の表面14Aが絶縁材第1主面10Aからわずかに突出したとしても、その被覆金属層14の表面14Aと絶縁材第1主面10Aとの段差が2μm以下であれば、異常析出の発生がほとんどなく、異常析出に起因するブリッジ現象の発生も防止できる。
このため、このプリント配線板の製造方法によれば、隣り合う端子部12の間のスペースが25μm以下と、極めて小さい場合でも、そのスペースでめっき金属が連続して電気的導通が生じてしまうことを回避できる。その結果、端子部12間のスペースを25μm以下として、高精細、高密度に形成した導体パターンを有するプリント配線板を作製することができる。
なお本発明者らが鋭意検討した結果、上記のスペースは十数μmまで狭小化しても特に問題はないことを確認している。
本発明に係る実施形態のプリント配線板の埋め込みパターン16は、その全体にわたって絶縁材10に埋め込み深さを一定として埋め込まれる。
図10(A)、(B)等に示すように、埋め込みパターン16の配線部16aにおける端子側端部16b以外の部分に比べて厚みを小さくして絶縁材第1主面10Aから窪ませた端子部12及び端子側端部16bに被覆金属層14を形成する構成は、例えば、埋め込みパターン16全体をエッチングして絶縁材第1主面10Aから窪ませ、埋め込みパターン16の表面側全体に被覆金属層14を形成する構成(対比例)に比べて、埋め込みパターンの配線抵抗を低く(小さく)抑えることに有利である。
対比例の構成では、エッチングによって絶縁材第1主面10Aから窪ませた配線部の断面積に該配線部の表面に形成した被覆金属層14の断面積が加わることで、配線部と被覆金属層14とで構成される被覆配線部に、エッチング前の配線部16aと同等の断面積を確保することが可能である(「断面積」は、配線部延在方向に垂直の断面の面積を指す)。しかしながら、前記被覆配線部は、埋め込みパターンが銅層、被覆金属層がNi、Au、Pd、Sn、Agから選択された金属の層である場合は、銅に比べて電気抵抗が大きいNi、Au、Pd、Sn、Agを使用している分、全体が銅層である配線部に比べて配線抵抗が大きくなる。
埋め込みパターンのうち絶縁材第1主面10Aから窪ませた配線部16aの端子側端部16b及び端子部12に被覆金属層14を形成し、配線部16aの端子側端部16b以外の部分の表面を絶縁材第1主面10Aに面一とした構成は、被覆金属層14によって端子部12を保護できるとともに、配線抵抗を低く(小さく)抑えることにも有利である。
なお、埋め込みパターン16が、その全体にわたって絶縁材10に埋め込み深さを一定として埋め込まれる構成は、本発明に係る他の実施形態についても共通する。
(第1実施形態のプリント配線板の製造方法)
図1に示した構成を有する第1実施形態のプリント配線板1Aは、第2実施形態のプリント配線板1Bの製造工程における図5(B)に示す段階、すなわちエッチング工程の比較的初期の、端子部12が未だ凸形状となっていない段階で、被覆工程に移行することで製造できる。
つまり、第1実施形態のプリント配線板1Aの製造工程(製造方法)は、第2実施形態のプリント配線板1Bの製造工程のうち、エッチング工程をその初期段階で完了するように変更する点のみが、第2実施形態のプリント配線板1Bの製造工程と相違する。
(埋め込み基板の製造工程)
次に、図3(A)に示した埋め込み基板18を製造する工程、すなわち埋め込み基板作製工程の原理的な一例について、図7の(A)〜(D)および図8の(A)〜(D)を参照して説明する。なお図7の(A)〜(D)から図8の(A)〜(D)は、連続する工程を示している。
先ず図7の(A)に示すようなパターン支持体20を用意する。このパターン支持体20は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、銅箔20Aの片面上にニッケル膜20Bをめっきなどにより形成した、全体としてシート状のものが用いられている。
次いで、図7の(B)に示すように、パターン支持体20におけるニッケル膜20Bの側の面に、めっきレジスト層22を形成する。このめっきレジスト層22は、レジスト層パターン形成のためにフォトリソグラフィ技術を適用する場合は、感光性レジスト層フィルムを用いればよい。続いて公知のフォトリソグラフィ技術などにより、図7の(C)に示すように、めっきレジスト層22にパターンを形成する。
その後、図7の(D)に示すように、例えば電解めっきにより、パターン支持体20上のめっきレジスト層非形成部分に、Cuなどの導体金属からなる導体パターン16を形成する。この導体パターン16は、配線部及び端子部12を含む。また、図7(D)から図8(A)〜(D)は、パターン支持体20上における、導体パターン16の端子部12が複数配列設置された領域を示す。
その後、めっきレジスト層22を、剥離あるいは溶解などによって除去し、図8の(A)の状態とする。この状態では、パターン支持体20の表面に導体パターン16が突出している。
その後、図8の(B)に示すように、基材無し樹脂絶縁材である絶縁材10を用意し、この絶縁材10を導体パターン16が突出しているパターン支持体20表面(図示例では、ニッケル膜20B側の表面)に向かって押圧してパターン支持体20に熱圧着する。また、これにより、絶縁材10に、パターン支持体20上の導体パターン16を押し込んで埋め込む。
既述のように、絶縁材10は、その両側に主面10A、10Bを有するシート状に形成されている。絶縁材10は、両側の主面10A、10Bの片方(図示例では第1主面10A)をパターン支持体20表面に向かって押し付けることで、パターン支持体20表面に隙間無く接合して熱圧着することができる。
また、絶縁材10の厚みは、導体パターン16のパターン支持体20表面からの突出寸法に比べて大きい。導体パターン16は、パターン支持体20に熱圧着した絶縁材10における第1主面10A側に埋め込まれる。
次に、パターン支持体20をエッチングなどの適宜の手段によって除去する。その結果、図8の(D)に示すような埋め込み基板18が得られる。導体パターン16(埋め込みパターン)は、パターン支持体20の除去によって露出された表面が、パターン支持体20の除去によって露出された絶縁材10の主面(第1主面10A)に面一となっている。
(第3実施形態)
次に本発明に係る第3実施形態を、主に図11の(A)〜(F)から図15の(A)〜(C)を参照して説明する。
なお、第1、第2実施形態と同様の構成については、共通の符号を付し、その説明を簡略化あるいは省略する。
図15(C)に示すように、この実施形態のプリント配線板1Cは、多層構造のプリント配線板である。このプリント配線板1Cは、埋め込み基板18の絶縁材10の第2主面10B側に、導体パターン45及び絶縁材41を交互に積層し、前記導体パターン45を複数層(図示例では3層)設けた概略構成となっている。
なお、この実施形態において、プリント配線板1Cの埋め込み基板18の絶縁材10、及び、該絶縁材10の第2主面10B側の絶縁材41は、すべて、シート状に形成された基材無し樹脂絶縁材である。
但し、本発明に係る実施形態のプリント配線板にあっては、該配線板を構成する複数の絶縁材10、41のうちの1以上にプリプレグを採用した構成も採用可能である。
図15(C)に例示したプリント配線板1Cは、図15(C)において下から1層目の導体パターンである埋め込み基板18の埋め込みパターン16、及び2〜3層目の導体パターン45の、計4層の導体パターン(配線層)を有している。
図15(C)においては、下から2〜3層目の導体パターン45に、埋め込み基板18からの距離が最も近いものから順に45a、45b、45cの符号を付記している。
また、埋め込み基板18の絶縁材10の第2主面10B側にて、導体パターン45間に配置された絶縁材41(層間絶縁材)に、埋め込み基板18からの距離が最も近いものから順に41a、41bの符号を付記している。なお、このプリント配線板1Cにおいて、埋め込み基板18の絶縁材10も、導体パターン16、45の間に位置する層間絶縁材として機能する。
2層目の導体パターン45aは、埋め込み基板18の絶縁材10の第2主面10Bに形成されている。この導体パターン45aは、埋め込み基板18の絶縁材10に形成されたビア配線11を介して埋め込み基板18の埋め込みパターン16と電気的に接続されている。
埋め込み基板18の絶縁材10の第2主面10B側に多段に積層されている複数の導体パターン45は、絶縁材41の両側の導体パターン45が絶縁材41のビア配線11を介して電気的に接続され、これにより全層の導体パターン45が互いに電気的接続されている。図示例のプリント配線板1Cは、埋め込み基板18の埋め込みパターン16と全層の導体パターン45とが互いに電気的に接続された構成となっている。
最外層の一対の導体パターン16、45cは、電子部品の実装、ワイヤボンディング等に使用される端子部12、46と、配線部とを含む。
この実施形態では、最外層の一対の導体パターン16、45cのうち、埋め込み基板18の埋め込みパターン16を第1最外層導体パターン、もうひとつの導体パターン45cを第2最外層導体パターンとして扱う。
最外層の導体パターン16、45cの端子部12、46の表側は、端子部12、46に形成しためっき層からなる被覆金属層14、47によって覆われている。配線板両側の最外層導体パターン16、45cは、その端子部12、46の表側を被覆金属層14、47によって被覆した構成の被覆端子部120、460を有する。被覆端子部120、460は、端子部12、46と、その表側に形成された被覆金属層14、47とで構成されている。
図15(C)に例示したプリント配線板1Cにおいて、前記被覆金属層14、47は、端子部12、46に第1層として形成したNiめっき層14−1に、第2層としてAuめっき層14−2を積層した2層構造になっている。
但し、被覆金属層14、47はこの構成に限定されない。被覆金属層14、47としては、既述の第1実施形態にて説明した被覆金属層14が採り得る構成を、同様に採用できる。
埋め込みパターン16(第1最外層導体パターン)の端子部12のおもて面12Aは、絶縁材第1主面10Aから窪んだ所に位置する。埋め込みパターン16の端子部12を覆う被覆金属層14は、端子部おもて面12Aに形成されためっき層である。この被覆金属層14は、絶縁材第1主面10Aに実質的に面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ位置に、絶縁材第1主面10Aに沿って延在する表面を有する。
なお、埋め込みパターン16の端子部12のおもて面12Aは、第1実施形態にて説明した端子部おもて面12Hと同様の、絶縁材第1主面10Aに沿って延在する平坦面(図1参照)、第2実施形態にて説明した端子部おもて面12D(図2参照)と同様に表側主面12aの周囲に傾斜面12Cを有する形状、のいずれも採用可能である。
また、端子部おもて面12Aや被覆金属層表面14Aの絶縁材第1主面10Aに対する窪み深さは、第1、第2実施形態にて説明した数値範囲と同様の数値範囲とすることができる。また、埋め込みパターン16の配線部16a(図9(A)〜(C)参照)の、プリント配線板の絶縁材第1主面10A側(配線板表側)に露呈する表面が、絶縁材第1主面10Aに面一に配置されていることも、第1、第2実施形態と同様である。
埋め込みパターン16の端子部12のおもて面12Aの形状、絶縁材第1主面10Aに対する窪み深さ、埋め込みパターン16の配線部16aの配線板表側に露呈する表面の位置については、本発明に係る他の実施形態についても同様である。
一方、埋め込みパターン16とは反対側の第2最外層導体パターン45cは、その全体が、埋め込み基板18から最も離隔している絶縁材41b(以下、層間最外絶縁材とも言う)の埋め込み基板18とは反対側の面(外側主面41A)に突出状態に形成されている。この導体パターン45cの端子部46を被覆する被覆金属層47は、層間最外絶縁材41bの外側主面41Aから突出状態の端子部46の表側(絶縁材41bとは反対の側)を覆って形成される。このため、この被覆金属層47の表面47Aは、層間最外絶縁材41bの外側主面41Aに沿う扁平形状の端子部46の厚みと、該端子部46表側における被覆金属層47の被覆厚との合計寸法だけ、層間最外絶縁材41bの外側主面41Aから離隔した位置にある。
なお、図15(C)に例示したプリント配線板1Cは、両側の最外層導体パターン16、45cの端子部12、46を避けて、埋め込み基板18の絶縁材第1主面10A及び層間最外絶縁材41bの外側主面41Aに形成したソルダレジスト層48も有する。配線板両側のソルダレジスト層48には、最外層導体パターン16、45cの被覆端子部120、460を露呈させる開口部48aが形成されている。
(多層プリント配線板の製造方法)
次に、本発明に係る1実施形態のプリント配線板の製造方法として、上述のプリント配線板1Cを製造する方法の一例を説明する。
なお図11の(A)〜(F)から図12の(A)、(B)は、埋め込み基板18を作成するための埋め込み基板作製工程に相当している。
本実施形態においては、先ず図11の(A)に示すように、第1の支持体としての片面銅張積層板30と、第2の支持体としてのシート状に形成された半硬化状態の接着材層32と、小サイズの銅箔34と、大サイズの銅箔36とを用意する。接着材層32は、例えば、基材無し樹脂絶縁材、基布等の基材(シート状基材)に樹脂を含浸してなるプリプレグ等である。そして、一方の面に重ね合わせた片面銅張積層板30と、他方の面に重ね合わせた2つの銅箔34、36とを、接着材層32を両側から挟み込むようにして、接着材層32に熱圧着し、図11の(B)に示す積層体38を得る。接着材層32は熱圧着によって硬化して、片面銅張積層板30に銅箔34、36を接着固定する。
片面銅張積層板30は、ポリイミド等の樹脂からなる樹脂層30aの片面のみに銅箔30bが被着一体化したものである。この片面銅張積層板30は、その銅箔30b側を接着材層32に押し付けて接着材層32に熱圧着する。
2つの銅箔34、36は、接着材層32と大サイズ銅箔36との間に小サイズの銅箔34を配置して、接着材層32に熱圧着する。小サイズ銅箔34は、熱圧着により、第2支持体32(接着材層)の表層部に埋め込まれた状態となる。
なお、小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間は接着されていない。大サイズ銅箔36は、小サイズ銅箔34外周から外側に張り出した部分が接着材層32に直接接して熱圧着される。
次いで図11の(C)に示すように、積層体38の大サイズ銅箔36の表面に、電解めっきなどによって、パターン形成用の下地金属層40(ここでNi層)を形成し、後述の導体パターン16の形成支持のためのパターン支持体38Aを得る。
なお、下地金属層40は、大サイズ銅箔36に一体に形成されている。
その後、図11の(E)に示すように、パターン支持体38Aの表面、具体的には下地金属層40の表面にめっきレジスト層42を設け、次いで、めっきレジスト層42の非形成部分に露呈する下地金属層40表面に導体金属としてのCuの電解めっきを施して導体パターン16を形成する(図11(F)参照)。導体パターン16は、後の工程で絶縁材10に埋め込んで埋め込みパターンとするものである。この導体パターン16は、配線部及び端子部12を含む。
なお、図11(F)〜図15(A)、(B)、(C)は、導体パターン16の端子部12が複数配列されている領域での断面構造を示している。
図11(D)、(E)に示すように、めっきレジスト層42は、図示例では、下地金属層40の表面に積層した感光性レジスト層フィルム42aに、フォトリソグラフィなどの公知の手法によって、導体パターン16に対応する開口部パターン(めっきレジスト層42の非形成部分のパターン)を形成したものである。次いで、パターンめっき、剥離工程を行い図11(F)に示すような配線形成を行う。
次いで、図12の(A)、(B)に示すように、基材無し樹脂絶縁材であるシート状の絶縁材10をパターン支持体38A表面(下地金属層40表面)に熱圧着して、パターン支持体38Aにその表面に沿う層状に積層する。これにより、パターン支持体38A表面に突出状態の導体パターン16を絶縁材10に埋め込む。その結果、絶縁材10に導体パターン16が埋め込まれた構成の埋め込み基板18が作製される。以下、絶縁材10に埋め込まれた導体パターン16を埋め込みパターンとも言う。
また、絶縁材10の、パターン支持体38Aとは反対側の面(第2主面10B)に銅箔44を熱圧着する。
この実施形態の埋め込み基板作製工程は、埋め込み基板18が作製されることで完了する。
なお、埋め込み基板作製工程において、シート状の絶縁材10は、パターン支持体38Aへの熱圧着によって、その片面(第1主面10A)をパターン支持体38A表面に隙間無く接合させる。
絶縁材10の厚みは、導体パターン16のパターン支持体38A表面からの突出寸法に比べて大きい。導体パターン16は、絶縁材10においてその第1主面10A側に埋め込まれる。
図12(A)、(B)の工程は、シート状の絶縁材を、導体パターンが突出状態に形成された部材表面に熱圧着して絶縁材に導体パターンを埋め込んで一体化するとともに、絶縁材の前記部材とは反対側の面に銅箔を熱圧着して一体化する工程、という言うことができる。この工程を、以下、絶縁材・銅箔圧着工程とも言う。
(多層基板組み立て工程)
埋め込み基板作製工程が完了したら、絶縁材10の第2主面10B側に、複数の導体パターンを、導体パターン間に層状(シート状)の絶縁材を介在させて積層する多層基板組み立て工程へ移行する。
ここで説明する多層基板組み立て工程は、絶縁材10の第2主面10B側に導体パターン及び絶縁材を交互に積層してビルドアップしていくビルドアップ工程である。
この多層基板組み立て工程では、まず、図12(C)、(D)に示すように、絶縁材10の第2主面10Bに導体パターン45(第2導体パターン45a)を形成する基板裏面パターン形成工程を行なう。
この基板裏面パターン形成工程は、まず、図12(C)に示すように、銅箔44及び絶縁材10に、パターン支持体38Aとは反対の側から、前記銅箔44を貫通し導体パターン16の端子部12の端子部裏面12Bに達する開口穴43を形成する。
以下、この工程を開口穴形成工程とも言う。
次いで、図12(D)に示すように、この開口穴43内及び銅箔44表面に、無電解めっきに続いてめっきレジスト形成、電気めっきを施して、開口穴43内に、導体パターン(埋め込みパターン16)と銅箔44とを電気的に接続するビア配線11を形成する。ビア配線11は開口穴43内に析出させためっき金属によって形成される。そして、めっきレジスト剥離、クイックエッチング(フラッシュエッチング)により該導体パターン45と埋め込みパターン16とが、ビア配線11を介して電気的に接続された状態とする。
以下、この工程、すなわち、導体パターンを覆う絶縁材の前記導体パターンとは反対の側に、前記導体パターンにビア配線を介して電気的に接続された導体パターンを形成する工程をパターン形成・接続工程とも言う。
なお、導体パターン45は、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に設けられる他の導体パターン45とのビア接続のためのランド部451(端子部)を含む構成とする。
このことは、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に設けられる導体パターン45について共通する。
この実施形態の多層基板組み立て工程は、まず、上述の基板裏面パターン形成工程を実行した後、既述の絶縁材・銅箔圧着工程(図12(A)、(B))、開口穴形成工程(図12(C))、パターン形成・接続工程(図12(D))の3工程からなる積層接続工程を2回繰り返し実行する。その結果、図13(A)のように、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に、複数層(図示例では3層)の導体パターン45a、45b、45cを設けた構成の多層基板52が組み立てられる。
図13(A)において、多層基板52は、下地金属層40から上側の部分を指す。
図13(A)の状態、すなわち多層基板52を組み立てた状態に至ることで、多層基板組み立て工程が完了する。また、多層基板52が組み立てられることで、多層基板52の埋め込み基板18にパターン支持体38Aが一体化された構成の支持体付き多層基板50が組み立てられることになる。
基板裏面パターン形成工程の完了後の最初の積層接続工程の絶縁材・銅箔圧着工程では、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10Bに、別途用意した絶縁材41を熱圧着して、絶縁材第2主面10Bから突出状態の導体パターン45aを絶縁材41の片面側に埋め込む。また、この絶縁材41の埋め込み基板18とは反対の側に銅箔44が熱圧着された状態とする。
この絶縁材・銅箔圧着工程の後に実行する開口穴形成工程では、銅箔44及び絶縁材41に、銅箔44を貫通し、形成済みの導体パターン45のランド部451に達する開口穴43を形成する。また、積層接続工程におけるパターン形成・接続工程では、絶縁材41の埋め込み基板18とは反対側の面に突出状態に導体パターン45を形成する。
埋め込み基板18に対して、その絶縁材第2主面10B側に設ける(積層する)導体パターン45について、以下、積層導体パターンとも言う。
上述の実施形態では、図15(C)に示すように、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に3層の積層導体パターン45(45a、45b、45c)が設けられたプリント配線板1Cを得るべく、積層接続工程を基板裏面パターン形成工程の完了後に2回繰り返し実行する構成を例示した。但し、積層接続工程の実行回数は、製造するプリント配線板の積層導体パターンの層数に応じて、適宜変更可能である。すなわち、本発明に係る実施形態のプリント配線板の製造方法では、積層接続工程の実行回数に1を加えた層数の積層導体パターン45を絶縁材第2主面10B側に設けることができる。本発明に係る実施形態のプリント配線板の製造方法にあっては、基板裏面パターン形成工程の完了後の積層接続工程の実行回数は2回に限定されず、1回、あるいは3回以上とすることも可能である。
この実施形態では、図11(F)の埋め込み用パターン形成工程の完了から多層基板組み立て工程の前までの工程も、上述の積層接続工程と同様のプロセスとなっている。
このため、この実施形態の図11(F)の埋め込み用パターン形成工程の完了から多層基板組み立て工程の完了までの工程は、図11(F)の埋め込み用パターン形成工程の完了後に、上述の積層接続工程を3回繰り返し実行する工程とも言うことができる。
このプリント配線板の製造方法では、図11(F)の埋め込み用パターン形成工程の完了後の積層接続工程の実行回数と同じ数の積層導体パターンを、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に設けることができる。この製造方法では、図11(F)の埋め込み用パターン形成工程の完了後に、積層接続工程を1回実行する度に、積層導体パターンを1層増加させることできる。
したがって、この製造方法では、埋め込み用パターン形成工程の完了後に、プリント配線板に設ける積層導体パターンの層の数と同じ回数だけ積層接続工程を実行する。これにより、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に積層導体パターンを2層又は4層以上有するプリント配線板を製造する場合にも対応できる。
図11(F)の埋め込み用パターン形成工程の完了後の積層接続工程の実行回数は2回以上であれば良く、特には限定は無い。
なお、多層基板組み立て工程としては、埋め込み基板18の絶縁材第2主面10B側に積層導体パターンを2層以上積層する工程であれば良く、ビルドアップ工程に限定されない。
多層基板組み立て工程における積層導体パターンの形成は、銅箔を加工して導体パターンを形成するサブトラクティブ法を利用した手法、アディティブ法を利用した手法のいずれも採用可能である。また、多層基板組み立て工程としては、導体パターン間の層間接続を非貫通の開口穴43(図12(C)参照)を利用して行なう構成に限定されず、例えば、複数の導体パターンを貫通するスルーホール内面に形成したスルーホールめっきによって、導体パターン同士の電気的接続を実現する構成も採用可能である。
(多層基板組み立て工程以降の工程)
多層基板組み立て工程が完了したら、図13(B)に示すように、図13(A)に示す支持体付き多層基板50の層間最外絶縁材41bの外側主面41A側に、外側主面41A及び第2最外層導体パターン45cを覆うエッチングレジスト49を積層する。支持体付き多層基板50にエッチングレジスト49を積層したものを、以下、レジスト積層多層基板51とも言う。
次いで、レジスト積層多層基板51の外周部を切断除去し、さらに図13(B)において大サイズ銅箔36よりも下側の部分を除去して、図14(A)に示す状態とする。
図14(A)に示すように、レジスト積層多層基板51の外周部の切断除去は、多層基板52に、埋め込み基板18の絶縁材10に垂直な端面51aが形成されるようにして、レジスト積層多層基板51外周部をその全周にわたって切断除去する。
図13(B)に示す仮想線51bは、レジスト積層多層基板51の外周部の切断除去による端面51aの形成位置(レジスト積層多層基板51の切断位置)を示す。
レジスト積層多層基板51の外周部の切断除去は、小サイズ銅箔34の外周部がその全周にわたって切断除去されるように、多層基板52外周の端面51aの形成位置、すなわちレジスト積層多層基板51の切断位置を設定して行う。
なお、図13(B)、図14(A)において、多層基板52の各層の導体パターン16、45は、多層基板52の切断除去される外周部には存在せず、切断除去される外周部から内側の領域(多層基板メイン部)に位置する。多層基板52の各層の導体パターン16、45は、レジスト積層多層基板51の外周部を切断除去する際に切断されない。
図13(B)、図14(A)において、支持体付き多層基板50の小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間は、例えば接着などによる固定、一体化はされていない。このため、支持体付き多層基板50は、レジスト積層多層基板51の外周部の切断除去が完了したとき、小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間で容易に剥離することが可能な状態となる。そこで、小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間を剥離させる。このようにして剥離した上側(図13(B)において小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との境界から上側)の部分を図14(A)に示す。以降の工程に用いるのは、図14(A)の部分である。
図14(A)の部分は、多層基板メイン部に相当する多層配線板53を有する。この多層配線板53は、埋め込みパターン16と、複数層の積層導体パターン45のうち埋め込みパターン16からの離隔距離が最も大きい積層導体パターン45cとを最外層の導体パターンとする構成となっている。また、該部分は、図14(A)において多層配線板53上側に設けられたエッチングレジスト49と、下側に設けられた下地金属層40及び大サイズ銅箔36とが、多層配線板53に一体になっている構成のものである。
小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間を剥離した後は、まず、図14(A)の多層配線板53下側の大サイズ銅箔36をエッチング除去し、次いで下地金属層40(ここではNi層)をエッチング除去して図14(B)の状態とする。その後、多層配線板53上側のエッチングレジスト49を除去して、図14(C)の状態、すなわち多層配線板53の状態とする。
大サイズ銅箔36のエッチング除去は、エッチング液として、Cuは溶解するがNiは溶解しにくいエッチング選択性を有する第1の選択エッチング液、例えばメルテックス製エープロセスを用いて行う。
下地金属層40のエッチング除去は、エッチング液として、Niは溶解するがCuは溶解しにくいエッチング選択性を有する第2の選択エッチング液、例えばメルテックス製メルストリップN−950を用いて行う。
なお、エッチングレジスト49は、アルカリ耐性に優れ、大サイズ銅箔36及び下地金属層40のエッチング除去にそれぞれ使用するエッチング液が接触しても劣化しにくい材質のものを好適に用いることができる。
図14(C)に示す多層配線板53は、図14(C)において最下層に位置する埋め込み基板18に所定のパターンで埋め込まれた端子部12のおもて面12E(後述のエッチング前のおもて面)が、絶縁材第1主面10Aに面一に露呈した状態となっている。
また、第2最外層導体パターン45cの端子部46は、層間最外絶縁材41bの外側主面41Aに突出状態になっている。
次いで、図15(A)に示すように、多層配線板53の埋め込み基板18の絶縁材第1主面10A側及び層間最外絶縁材41bの外側主面41A側にソルダレジスト層48を形成して、多層配線板53の最外層導体パターン16、45cを覆う。但し、このソルダレジスト層48の端子部12、46に対応する部分には、端子部12、46のおもて面12E、46E(後述のエッチング前のおもて面)を露呈させる開口部48aを確保する。
そして、多層配線板53全体をCuを溶解するエッチング液中に浸潰し、ソルダレジスト層48をエッチングレジストとして、端子部12、46をその表側からエッチングする。図15(B)に示すように、これにより、埋め込みパターン16の端子部12を埋め込み基板18の絶縁材第1主面10Aから窪ませる(エッチング工程)。
また、この実施形態では、図15(B)に示すように、埋め込みパターン16の端子部12と同時進行で、第2最外層導体パターン45cの端子部46もエッチングされる。
第2最外層導体パターン45cの端子部46は、エッチングによってその厚み、換言すれば、層間最外絶縁材41bの外側主面41Aからの突出寸法が縮小する。
なお、図15(A)では、埋め込みパターン16の端子部12のうち、後の工程で被覆金属層14を形成しない端子部12をソルダレジスト層48で覆っている。
次に、図15(C)に示すように、最外層導体パターン16、45cの端子部12、46の表側に無電解めっき及び/又は電解めっきを施して、該端子部12、46を覆う被覆金属層14、47を形成する(被覆工程)。
端子部12、46を覆う被覆金属層14、47が形成されることで、この実施形態におけるプリント配線板1Cの製造方法は完了する。
ここでは、ソルダレジスト層48をめっきレジスト層として用いて、端子部12、46表側を覆う被覆金属層14、47を形成する。また、この被覆金属層14、47(めっき層)の形成は、例えば、多層配線板53全体をめっき処理液中に浸潰して行う。これにより、端子部12、46表側に、互いに同様のめっき金属、層構造の被覆金属層14、47を形成する。このとき、埋め込みパターン16の端子部12を覆う被覆金属層14は、その表面が、埋め込み基板18の絶縁材10の第1主面10Aと実質的に面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ所に位置するようにめっき厚を調整することは、既に述べたとおりである。
図15(B)においては、第2最外層導体パターン45cの端子部46は、図15(A)にてそのおもて面46Eに面一に形成したソルダレジスト層48をエッチングレジストとして用いてエッチングしている。
(第4実施形態)
次に本発明に係る第4実施形態を、主に図16の(A)〜(E)から図20を参照して説明する。
なお、第1〜第3実施形態と同様の構成については、共通の符号を付し、その説明を簡略化あるいは省略する。
図19(C)はこの実施形態のプリント配線板1D、図20はプリント配線板1Dに電子部品C1、C2(例えば半導体チップ)を実装した状態の一例を示す。
図20に示すように、この実施形態のプリント配線板1Dは、埋め込み基板18の絶縁材10に、埋め込みパターン16の端子部12(具体的には後述の導熱用端子部12F)にはんだ付けして実装された電子部品C1が発生する熱を絶縁材第2主面10Bに形成された金属パターン61の放熱用の端子部61c1へ導くための導熱用金属部62が埋め込まれた概略構成となっている。
放熱用の端子部61c1を有する絶縁材第2主面10B側の金属パターン61を、以下、放熱用パターンとも言う。
図20に示すように、埋め込み基板18の埋め込みパターン16は、その端子部12のおもて面12Aが被覆金属層14によって覆われた被覆端子部120を有する。被覆金属層14の構成は、第1〜3実施形態の被覆金属層14と同様のものを採用できる。ここではNi/Auめっきを採用している。
この実施形態のプリント配線板1Dについても、埋め込みパターン16及び被覆端子部120の構成は、第1〜3実施形態に例示したプリント配線板と同様である。
すなわち、埋め込みパターン16の端子部12のおもて面12Aは絶縁材第1主面10Aから窪んだ所に位置している。また、この端子部12を覆う被覆金属層14は、絶縁材第1主面10Aに実質的に面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ位置に、絶縁材第1主面10Aに沿って延在する表面を有する。
また、埋め込みパターン16の配線部は、その表面が、絶縁材第1主面10Aに面一に配置されている。
なお、埋め込みパターン16の端子部12のおもて面12Aは、第1実施形態にて説明した端子部おもて面12Hと同様の、絶縁材第1主面10Aに沿って延在する平坦面(図1参照)、第2実施形態にて説明した端子部おもて面12D(図2参照)と同様に表側主面12aの周囲に傾斜面12Cを有する形状、のいずれも採用可能である。
また、端子部おもて面12Aや被覆金属層表面14Aの絶縁材第1主面10Aに対する窪み深さは、第1、第2実施形態にて説明した数値範囲と同様の数値範囲とすることができる。
また、埋め込みパターン16は、図10(A)、(B)に例示したように、配線部16aの端子部12近傍に位置する端子側端部が絶縁材第1主面10Aから窪んで形成され、この端子側端部が、端子部12から連続して形成された被覆金属層14によって覆われた構成も採用可能である。被覆金属層14は、その表面14A全体が、絶縁材第1主面10Aに実質的に面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ所に位置するように形成される。
図20に例示した2つの電子部品C1、C2は、それぞれ埋め込み基板18の埋め込みパターン16の被覆端子部120にはんだ付けして埋め込みパターン16に電気的に接続されている。
2つの電子部品C1、C2のうち、図中符号C1の第1電子部品は、他方(第2電子部品C2)に比べてサイズが大きく、また、通電による発熱量も大きい。この第1電子部品C1は、該第1電子部品C1に取り付けられたはんだボールC11を介して埋め込みパターン16の被覆端子部120にはんだ付けして、埋め込みパターン16に電気的に接続されている。第2電子部品C2は、該第2電子部品C2から突出するはんだバンプC21を埋め込みパターン16の被覆端子部120に直接接触させてはんだ付けして、埋め込みパターン16に電気的に接続されている。
図示例のプリント配線板1Dの導熱用金属部62は、層状の絶縁材10の厚み方向(第1、第2主面10A、10Bの間隔方向。以下、配線板厚み方向とも言う)に沿って延在する中実の柱状に形成されている。また、この導熱用金属部62は、例えば銅等の熱伝導性に優れた金属材料によって形成されている。
また、図示例の導熱用金属部62は、埋め込みパターン16の、第1電子部品C1が電気的に接続された被覆端子部120の端子部12から放熱用パターン61に向かって突出する突起状に形成されている。端子部12に導熱用金属部62が突設された被覆端子部120を、以下、導熱用被覆端子部121とも言う。
なお、導熱用被覆端子部121以外の被覆端子部120を、以下、電気導通用被覆端子部122とも言う。また、電気導通用被覆端子部122の端子部12を、以下、電気導通用端子部12Jとも言う。
第2電子部品C2は、はんだバンプC21を電気導通用被覆端子部122にはんだ付けして、埋め込みパターン16に電気的に接続されている。
導熱用金属部62は、例えば、導熱用被覆端子部121の端子部12(図中符号12Fを付記する)裏面12Bに、マスクを用いて電解めっきを厚く形成することなどによって、導熱用被覆端子部121に一体的に形成される。電解めっきによる導熱用金属部62の作製手法については、後述するプリント配線板の製造方法においても説明する。
図20に例示したプリント配線板1Dの放熱用パターン61は、絶縁材10の第2主面10Bに形成された導体パターンである。この放熱用パターン61は、例えば銅等の熱伝導性に優れた金属材料によって形成されている。この放熱用パターン61は、第2主面10Bに沿って延在するランド部である端子部61cと、該端子部61cから延出する図示略の配線部とを有する。
また、図示例の放熱用パターン61は、端子部61cとして、絶縁材10の第2主面10B側のビア(開口穴63)内に形成された接続用金属部64(ビア配線)を介して導熱用金属部62に一体的に形成された放熱用端子部61c1と、放熱用端子部61c1及び導熱用金属部62から離隔させて形成された電気導通用端子部61c2とを有する。
図示例の放熱用パターン61は、絶縁材10の第2主面10Bに形成されためっきシード層61a(無電解めっき層)にパターンめっき層61bが積層された構成となっている。
また、この放熱用パターン61の端子部61cの絶縁材10側とは反対の表面側には被覆金属層67が形成されている。被覆金属層67としては、第1〜3実施形態に例示した被覆金属層と同様の構成のものを採用できる。ここでは一例としてNi/Auめっきを採用している。
図示例の放熱用パターン61のめっきシード層61a及びパターンめっき層61bは銅層であるが、めっきシード層61a及びパターンめっき層61bの形成金属としては熱伝導性に優れた金属材料であれば良く、銅以外の金属材料であっても良い。
被覆金属層67が形成された端子部61cを、以下、被覆端子部61Aとも言う。また、以下、放熱用端子部61c1表面に被覆金属層67が形成された被覆端子部61Aを放熱用被覆端子部61A1、電気導通用端子部61c2表面に被覆金属層67が形成された被覆端子部61Aを電気導通用被覆端子部61A2とも言う。
放熱用パターン61の端子部61c以外の部分は、ソルダレジスト層54によって覆われている。
但し、プリント配線板1Dとしては、放熱用パターン61の配線部の端子部61c近傍部分(端子側端部)が、端子部61cから連続する被覆金属層67に覆われ、この被覆金属層67がソルダレジスト層54によって覆われずに露呈された引き出し配線部とされた構成も採用できる。
放熱用端子部61c1は、絶縁材10にその第2主面10Bから導熱用金属部62の第2主面10B側端面に達して形成された開口穴63内に設けられた接続用金属部64を介して、導熱用金属部62と熱伝達可能に接続されている。
図20において、絶縁材10には、開口穴63内側をめっき金属で埋め込んだフィルドビアが形成されている。図20に例示したプリント配線板1Dの接続用金属部64(ビア配線)は、開口穴63内側を埋め込んでフィルドビアを構成するめっき金属によって形成されている。
図20に例示した接続用金属部64を形成するめっき金属は、放熱用パターン61を形成するめっき金属、より具体的には、放熱用端子部61c1を形成するめっき金属と一体になっている。
放熱用パターン61のめっきシード層61aは、絶縁材10の第2主面10Bのみならず、導熱用金属部62の第2主面10B側端面を含む開口穴63内面全体に形成されている。めっきシード層61aの一部は、導熱用金属部62の第2主面10B側端面に沿って形成されためっき層であり、導熱用金属部62に一体に形成されている。また、パターンめっき層61bは、めっきシード層61a表面に析出させためっき金属によって形成されており、めっきシード層61aに一体化されている。接続用金属部64は、めっきシード層61a及びパターンめっき層61bの、開口穴63内に形成された部分によって構成されている。
したがって、放熱用パターン61の放熱用端子部61c1は、接続用金属部64を介して導熱用金属部62と一体化されている。
図20に例示したプリント配線板1Dは、埋め込みパターン16の導熱用被覆端子部121から、導熱用金属部62及び接続用金属部64を経由して放熱用パターン61の放熱用被覆端子部61A1へ熱を伝達し、放熱用被覆端子部61A1から放熱する放熱回路65を有する。図示例の放熱回路65は、埋め込みパターン16の導熱用被覆端子部121と、導熱用金属部62と、接続用金属部64と、放熱用被覆端子部61A1とによって構成されている。
このプリント配線板1Dは、埋め込みパターン16の導熱用被覆端子部121に接続されている第1電子部品C1からの発熱を、放熱回路65によって配線板裏側へ導き、放熱回路65の放熱用被覆端子部61A1から放熱させることができる。これにより、第1電子部品C1の温度上昇を抑えることができる。
なお、放熱回路65は、放熱用被覆端子部61A1から被覆金属層67を省略した構成、すなわち、放熱用被覆端子部61A1にかえて被覆金属層67が形成されていない放熱用端子部61c1を採用した構成としても良い。また、放熱回路65は、導熱用被覆端子部121から被覆金属層14を省略した構成、すなわち、導熱用被覆端子部121にかえて被覆金属層14が形成されていない導熱用端子部12Fを採用した構成としても良い。放熱回路65のうち、導熱用端子部12Fを覆う被覆金属層14、及び放熱用端子部61c1を覆う被覆金属層67を除く部分を、以下、放熱回路本体とも言う。
図20に例示したプリント配線板1Dの被覆端子部61Aは、第2主面10Bに形成されたソルダレジスト層54によって覆われずに露呈された表面(露呈表面61d)を有する。放熱用被覆端子部61A1にあっては、この露呈表面61dが、導熱用被覆端子部121から導熱用金属部62を経由して伝達された熱を放熱するための放熱面となっている。以下、放熱用被覆端子部61A1の露呈表面61dを放熱面とも言う。図示例の被覆端子部61Aの放熱面61dは、被覆端子部61Aの被覆金属層67の表面であり、被覆金属層67によって形成されている。
放熱用被覆端子部61A1は、導熱用被覆端子部121から導熱用金属部62を経由して伝達された熱を、放熱面61dから該放熱面61dに接する空気へ放熱する。
放熱用被覆端子部61A1は、放熱面61dからの放熱性を充分に確保するべく、被覆端子部120表面に比べてサイズが大きい放熱面61dを有する。
なお、プリント配線板1Dは、放熱面61dから該放熱面61dに接する空気へ放熱する空冷式のものに限定されず、例えば、放熱面61dから該放熱面61dに接触させたヒートシンク等の放熱用部材へ放熱することも可能である。
第1電子部品C1に比べて発熱量が小さい第2電子部品C2が電気的に接続された被覆端子部120の端子部12には導熱用金属部62は突設されていない。
図20に例示したプリント配線板1Dは、電子部品を実装可能な被覆端子部120を有する埋め込みパターン16と、放熱回路65とを有する。
従来、電子部品を実装可能な微細配線と、放熱回路とは別個の基板として製造されることが一般的である。
これに対して、本発明に係るプリント配線板1Dは、電子部品を実装する微細配線(埋め込みパターン16)及び放熱回路65の両方が形成された構成であるため、微細配線及び放熱回路を電子機器等に設ける場合に、従来に比べて省スペースを楽に実現できる。また、プリント配線板1Dは、微細配線と、放熱回路とは別個の基板として製造する場合に比べて製造の手間、労力も軽減でき、低コスト化も容易に実現できる。
図20では、プリント配線板1Dの放熱用被覆端子部61A1を放熱のみに使用する構成を例示している。但し、プリント配線板1Dの放熱回路65は、その全体が導電性金属によって形成されているため、プリント配線板1Dは、放熱用被覆端子部61A1に外部電子回路を電気導通可能に接続することも可能である。
また、放熱用パターン61は、電気導通用被覆端子部61A2及び該電気導通用被覆端子部61A2から延出する配線部を含む回路パターン部を有する。回路パターン部は、電気導通用被覆端子部61A2に外部電子回路をはんだ付け等によって電気的に接続することで、外部電子回路と電気的に接続される。
図20に例示したプリント配線板1Dのソルダレジスト層54は、全体が導体金属によって形成された金属パターンである埋め込みパターン16の被覆端子部120、及び放熱用パターン61の被覆端子部61Aの露呈表面61dを避けて、埋め込み基板18の絶縁材第1主面10A及び第2主面10Bに形成されている。
絶縁材第1主面10Aのソルダレジスト層54は、埋め込みパターン16の配線部全体を覆っている。また、絶縁材第1主面10A側のソルダレジスト層54には、埋め込みパターン16の複数の被覆端子部120を露呈させる大きさの開口部(実装用開口部54a)が形成されている。図示例のプリント配線板1Dは、絶縁材第1主面10A側のソルダレジスト層54の実装用開口部54aに、導熱用被覆端子部121を含む埋め込みパターン16の複数の被覆端子部120が露呈された構成となっている。
第2主面10B側のソルダレジスト層54には、被覆端子部61Aの表面(露呈表面61d)を露呈させる開口部54bが形成されている。
なお、放熱用パターンとしては、端子部と該端子部から延出する配線部とを有する構成に限定されず、例えば配線部が無く、1又は複数の端子部のみからなる構成も採り得る。
また、放熱用パターンとしては、放熱用端子部を1以上有するものである。放熱用パターンの電気導通用端子部の数には特には限定は無い。放熱用パターンは、電気導通用端子部が無く、放熱用端子部を1又は複数のみを有する構成も採り得る。
(プリント配線板の製造方法)
次に、本発明に係る1実施形態のプリント配線板の製造方法として、上述のプリント配線板1Dを製造する方法の一例を説明する。
なお図16(A)〜図17(C)は、埋め込み基板18を作成するための埋め込み基板作製工程に相当している。
また、図18(A)〜図19(C)においては、放熱用パターン61のめっきシード層の図示を省略している。
本実施形態においては、先ず、図16(A)〜図17(C)の工程(埋め込み基板作製工程)を実行して埋め込み基板18を作製する。
図16(A)〜図17(C)の工程うち、図16(A)〜(D)の工程は、第3実施形態の図11(A)〜(F)の工程を簡略化して示している。
ここで説明するプリント配線板の製造方法は、まず、図16(A)、(B)に示すように、図11(A)〜(C)と同様の工程によりパターン支持体38Aを作製し、次いで図16(C)、(D)に示すように、図11(D)〜(F)と同様の工程により、下地金属層40表面に導体パターン12を形成する(図16(D)参照)。
なお、図16(D)〜図20は、導体パターン16の端子部12が複数配列されている領域での断面構造を示している。
次いで、図16(E)に示すように、パターン支持体38A上(図16(E)〜図18(B)においては上側を上、下側を下として説明する)に、導熱用金属部62(図20参照)を形成するためのめっきレジスト層71(以下、導熱部用めっきレジスト層とも言う)を設ける。
ここで、導熱部用めっきレジスト層71をパターン支持体38A上に形成する手法について説明する。導熱部用めっきレジスト層71をパターン支持体38A上に形成するには、まず、めっきレジスト71aをパターン支持体38A上面(下地金属層40上面)に熱圧着し、下地金属層40上面(表面)及び導体パターン16全体を覆う。次いで、めっきレジスト71aに、そのパターン支持体38Aとは反対の側から、導体パターン16における導熱用被覆端子部121(図20参照)の端子部12Fとして使用する端子部12のパターン支持体38A(具体的には下地金属層40)とは反対側の面を露呈させる開口穴71bを露光・現像により形成する。これにより、下地金属層40上面(表面)及び導体パターン16全体のうち、導体パターン16の端子部12Fに対する導熱用金属部62の形成箇所のみを開口穴71bによって露呈させた導熱部用めっきレジスト層71を形成する。
次いで、図17(A)に示すように、導体パターン16の端子部12Fにおける導熱部用めっきレジスト層71の開口穴71bによって露呈させた箇所に電解めっきを施して、導熱用金属部62を形成する(導熱金属部突設工程)。導熱用金属部62は、電解めっきによって端子部12Fから突出する突起状に形成する。導熱用金属部62は、導熱部用めっきレジスト層71をマスクとして厚く形成しためっき層である。
導熱用金属部62の形成が完了したら、パターン支持体38Aから導熱部用めっきレジスト層71を除去する。
次いで、図17(B)、(C)に示すように、導熱用金属部62を導体パターン16とともに絶縁材10に埋め込む導熱金属部埋め込み工程を行なう。
ここでは、プリント配線板1Dの絶縁材10として、シート状の基材無し樹脂絶縁材66aに、基布等の基材(シート状基材)に樹脂を含浸してなるシート状のプリプレグ66bを積層した複合絶縁材66を採用する場合について説明する。
図17(B)、(C)に示すように、この導熱金属部埋め込み工程は、まず、基材無し樹脂絶縁材66aをパターン支持体38A上面(下地金属層40上面)に熱圧着し、基材無し樹脂絶縁材66aにパターン支持体38A上面(表面)に突出状態の導体パターン16と導熱用金属部62とを埋め込む。このとき、基材無し樹脂絶縁材66aのパターン支持体38Aとは反対側の面に、該基材無し樹脂絶縁材66aとは別体のプリプレグ66bを重ね合わせておき、基材無し樹脂絶縁材66aをプリプレグ66bを介してパターン支持体38Aに向かって押圧する。そして、基材無し樹脂絶縁材66aの下地金属層40への熱圧着とともに、プリプレグ66bの基材無し樹脂絶縁材66aへの熱圧着も行なう。
シート状の基材無し樹脂絶縁材66aは、その厚みが、導熱用金属部62のパターン支持体38Aからの突出寸法と概ね同じものを用いる。
基材無し樹脂絶縁材66aの下地金属層40への熱圧着、及びプリプレグ66bの基材無し樹脂絶縁材66aへの熱圧着が完了すれば、複合絶縁材66が組み立てられ、図17(C)に示すように、複合絶縁材66に導熱用金属部62が埋め込まれた状態となる。これにより、導熱金属部埋め込み工程が完了する。
ガラスクロス等の基材を含んでいない基材無し樹脂絶縁材66aは、プリプレグ66bに比べて導体パターン16及び導熱用金属部62の埋め込みを容易に行える上、熱圧着による下地金属層40に対する密着も容易となる。
基材無し樹脂絶縁材66aは、ガラスクロス等の基材を含んでいないため、プリプレグ66bに比べて、下地金属層40に熱圧着する際に埋め込む導体パターン16及び導熱用金属部62に対する追従性、密着性に優れている。その反面、基材無し樹脂絶縁材66aは、剛性が不足であり、脆いため、仮に、プリント配線板1Dの絶縁材10を基材無し樹脂絶縁材66aのみで構成した場合には、基板としての強度等の機械的特性の確保が難しい。
プリプレグ66bは、充分な剛性等、基板としての機械的特性が確保された絶縁材10を構成するために、基材無し樹脂絶縁材66aに重ね合わせて一体化する。プリプレグ66bを基材無し樹脂絶縁材66aに重ね合わせて一体化した絶縁材10は、導体パターン16及び導熱用金属部62に対する追従性、密着性に優れるとともに、充分な剛性も確保できる。
なお、プリント配線板1Dの絶縁材10は、導体パターン16の配置密度や、導熱用金属部62のサイズ等によっては、基材無し樹脂絶縁材66aを省略して、プリプレグ66bのみからなる構成を採用することも可能である。
導熱金属部埋め込み工程が完了すると、埋め込み基板18の作製が完了する。したがって、導熱金属部埋め込み工程の完了によって、埋め込み基板作製工程が完了する。
図示例の埋め込み基板18に図中符号18Aを付記する。
なお、この埋め込み基板18A(導熱部内蔵基板)の複合絶縁材66は、本発明に係る実施形態のプリント配線板、プリント配線板の製造方法にて導体パターン間に設けられる絶縁材として広く適用可能である。この複合絶縁材66は、例えば、第1〜3実施形態の導体パターン間に設けられる絶縁材としても用いることができる。
次に、図17(D)に示すように、複合絶縁材66の下地金属層40とは反対側から、導熱用金属部62の絶縁材第2主面10B側の端面に達する開口穴63を形成し、該開口穴63の穴底に導熱用金属部62の突端面を露呈させる。
なお、導熱用金属部62の絶縁材第2主面10B側の端面は、換言すれば、埋め込みパターン16の端子部12Fから突出する導熱用金属部62の突端面である。
次に、図18(A)に示すように、絶縁材10(複合絶縁材66)の第2主面10Bに電解めっき及び/又は無電解めっきを施して、導熱用金属部62に一体化された放熱用パターン61(金属パターン)を形成する金属パターン形成工程を実行する。
この金属パターン形成工程では、まず、絶縁材第2主面10B、及び開口穴63の穴底に導熱用金属部62の突端面を含む開口穴63内面に、無電解めっきのめっきシード層61a(図20参照)を形成する。次いで、このめっきシード層61aに、めっきレジスト(図示略)を設けて、パターンめっき層61bを所定パターンで形成する。ここで、開口穴63内に析出させたパターンめっき層61bのめっき金属によって開口穴63内を埋め込んで接続用金属部64を形成する。
次いで、パターンめっき用のめっきレジストをめっきシード層61aから除去し、めっきシード層61aのパターンめっき層61bに覆われていない露呈部分をフラッシュエッチングを行なって除去する。これにより、図18(A)に示すように、埋め込み基板18Aに接続用金属部64及び放熱用パターン61を形成した構成のパターン付き板材68を得る。また、導熱用金属部62に一体化された接続用金属部64及び放熱用パターン61の形成によって、放熱回路65の放熱回路本体が構成される。
なお、図18(A)において、パターン付き板材68は、下地金属層40から上側の部分を指す。図18(A)は、パターン付き板材68がパターン支持体38Aと一体化されている支持体付き配線板50Aを示す。
次に、図18(B)に示すように、埋め込み基板18Aに絶縁材第2主面10B及び放熱用パターン61を覆うエッチングレジスト49を積層する。
これにより、支持体付き配線板50Aの絶縁材第2主面10側にエッチングレジスト49が積層、一体化された構成のレジスト積層配線板51Aが得られる。
次いで、レジスト積層配線板51Aの外周部を切断除去し、さらに図18(B)において大サイズ銅箔36よりも下側の部分を除去して、図18(C)に示す状態とする。
図18(C)に示すように、レジスト積層配線板51Aの外周部の切断除去は、パターン付き板材68に、埋め込み基板18の絶縁材10に垂直な端面51cが形成されるようにして、レジスト積層配線板51A外周部をその全周にわたって切断除去する。
図18(B)に示す仮想線51dは、レジスト積層配線板51Aの外周部の切断除去によるパターン付き板材68の端面51cの形成位置(レジスト積層配線板51Aの切断位置)を示す。
レジスト積層配線板51Aの外周部の切断除去は、小サイズ銅箔34の外周部がその全周にわたって切断除去されるように、パターン付き板材68の端面51cの形成位置、すなわちレジスト積層配線板51Aの切断位置を設定して行なう。
なお、図18(B)、(C)において、パターン付き板材68の金属パターン16、61(導体パターン)は、パターン付き板材68の切断除去される外周部には存在せず、切断除去される外周部から内側の領域(板材メイン部)に位置する。パターン付き板材68の金属パターン16、61は、レジスト積層配線板51Aの外周部の切断除去の際に切断されない。
図18(B)において、支持体付き配線板50Aの小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間は、例えば接着などによる固定、一体化はされていない。このため、支持体付き配線板50Aは、その外周部の切断除去によって、小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間で容易に剥離することが可能な状態となる。そこで、小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間を剥離させる。このようにして剥離した上側(図18(B)において大サイズ銅箔36よりも上側)の部分を図18(C)に示す。以降の工程に用いるのは、図18(C)の部分である。
図18(C)の部分は、パターン付き板材68の板材メイン部に相当する配線板原材68Aとも言う。また、図18(C)の部分は、配線板原材68A上側に設けられたエッチングレジスト49と、下側に設けられた下地金属層40及び大サイズ銅箔36とが、配線板原材68Aに一体になっている構成のものである。
小サイズ銅箔34と大サイズ銅箔36との間を剥離した後は、まず、図18(C)の配線板原材68A下側の大サイズ銅箔36をエッチング除去し、次いで下地金属層40(ここではNi層)をエッチング除去して図18(D)の状態とする。
大サイズ銅箔36のエッチング除去は、エッチング液として、Cuは溶解するがNiは溶解しにくいエッチング選択性を有する第1の選択エッチング液、例えばメルテックス製エープロセスを用いて行う。
下地金属層40のエッチング除去は、エッチング液として、Niは溶解するがCuは溶解しにくいエッチング選択性を有する第2の選択エッチング液、例えばメルテックス製メルストリップN−950を用いて行う。
なお、エッチングレジスト49は、アルカリ耐性に優れ、大サイズ銅箔36及び下地金属層40のエッチング除去にそれぞれ使用するエッチング液が接触しても劣化しにくい材質のものを好適に用いることができる。
下地金属層40の除去により、配線板原材68Aは、端子部12のおもて面12E(後述のエッチング前のおもて面)が、絶縁材第1主面10Aに面一に露呈した状態となる(図18(D)参照)。
また、下地金属層40の除去の完了後、エッチングレジスト49を除去する。その結果、絶縁材第2主面10Bに、該絶縁材第2主面10Bから突出する放熱用パターン61の端子部61cが露呈される。
次いで、図19(A)に示すように、配線板原材68Aの埋め込み基板18Aの絶縁材第1主面10A側及び第2主面10Bにソルダレジスト層54を形成する。但し、このソルダレジスト層54の端子部12、端子部61cに対応する部分には、端子部12、端子部61cのおもて面12E、61e(後述のエッチング前のおもて面)を露呈させる開口部54a、54bを確保する。
そして、配線板原材68A全体をCuを溶解するエッチング液中に浸潰し、ソルダレジスト層54をエッチングレジストとして、端子部12、端子部61cをその表側からエッチングする。図19(B)に示すように、これにより、埋め込みパターン16の端子部12を埋め込み基板18の絶縁材第1主面10Aから窪ませる(エッチング工程)。
また、この実施形態では、図19(B)に示すように、埋め込みパターン16の端子部12と同時進行で、端子部61cもエッチングされる。
端子部61cは、エッチングによってその厚み、換言すれば、絶縁材第2主面10Bからの突出寸法が縮小する。
なお、図19(A)では、端子部61cは、絶縁材第2主面10Bに設けられたソルダレジスト層54によって外周部が覆われ、その内側の開口部54bにおもて面61eが露呈されている。図19(B)に示すように、端子部61cは、開口部54bにおもて面61eが露呈された部分がエッチングされて該部分の厚みが縮小する。図19(B)、図20において、符号61fは、エッチング工程完了後の端子部61cのおもて面を示す。
次に、図19(C)、図20に示すように、埋め込みパターン16の端子部12及び端子部61cの表側に無電解めっき及び/又は電解めっきを施して、該端子部12及び端子部61cを覆う被覆金属層14、67を形成する(被覆工程)。
端子部12、61c(端子部12、端子部61c)を覆う被覆金属層14、67が形成されることで、この実施形態におけるプリント配線板1Dの製造方法は完了する。また、プリント配線板1Dが完成することで放熱回路65も完成する。プリント配線板1Dの製造方法のうち埋め込み基板作製工程の完了後、被覆工程までの工程は放熱回路形成工程として機能する。
ここでは、ソルダレジスト層54をめっきレジスト層として用いて、端子部12及び端子部61c表側を覆う被覆金属層14、67を形成する。また、この被覆金属層14、67(めっき層)の形成は、例えば、配線板原材68A全体をめっき処理液中に浸潰して行う。これにより、端子部12及び端子部61c表側に、互いに同様のめっき金属、層構造の被覆金属層14、67を形成する。このとき、埋め込みパターン16の端子部12を覆う被覆金属層14は、その表面が、埋め込み基板18の絶縁材10の第1主面10Aと実質的に面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ所に位置するようにめっき厚を調整することは、既に述べたとおりである。
既述のように、図20等では、プリント配線板の導熱用金属部62が、導熱用被覆端子部121から放熱用パターン61に向かって突出する中実柱状の突部に形成されている構成を例示した。
但し、導熱用金属部62としては、中実柱状に限定されず、例えば図21に示すように、導熱用被覆端子部123から放熱用パターン61に向かって突出するブロック状の突部に形成されていても良い。
導熱用金属部は埋め込みパターンの導熱用の端子部から放熱用パターン61に向かって突出する突部であれば良く、その具体的形状には特には限定は無い。
次に、図21に例示したプリント配線板1Eについて説明する。
このプリント配線板1Eは、図20に例示したプリント配線板1Dの変形例である。このプリント配線板1Eは、ブロック状の導熱用金属部62を採用した点が、図20に例示したプリント配線板1Dと異なる。
図21において、図20と同様の構成部分には共通の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
図21中、ブロック状の導熱用金属部62に符号62A、放熱回路に符号65Aを付記する。
図21に例示したプリント配線板1Eの埋め込みパターン16は、図20に例示した埋め込みパターン16について、その導熱用端子部12Fにかえて、表側に被覆用凹部12bが形成された導熱用端子部12Gを採用した構成となっている。この埋め込みパターン16に図21中符号16Aを付記する。
この埋め込みパターン16Aは、導熱用端子部12Gの他に、図20に例示した埋め込みパターン16と同様に電気導通用端子部12Jを有する。
また、図21に例示したプリント配線板1Eは、埋め込みパターンの電気導通用端子部12Jのおもて面12Aを被覆金属層14によって覆った電気導通用被覆端子部122を有する点で、図20に例示したプリント配線板1Dで共通する。
図21のプリント配線板1Eは、埋め込みパターン16Aの導熱用端子部12Gに、その被覆用凹部12bの底面12c全体を覆う被覆金属層14を形成した構成の導熱用被覆端子部123を有する。
図21において、導熱用端子部12Gは、絶縁材第1主面10Aに面一に位置合わせされた平坦なおもて面12A(図21中、符号12Iを付記する)を有する。被覆用凹部12bは、導熱用端子部12Gのおもて面12Iから窪んで形成されている。
電気導通用被覆端子部122の被覆金属層14は、絶縁材第1主面10Aに面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ位置に表面14Aを有する。
図21において、導熱用被覆端子部123の被覆金属層14と電気導通用端子部12Jとの間の距離は、電気導通用端子部12J同士間の距離に比べて大きく確保されている。また、導熱用端子部12Gの被覆用凹部12bと電気導通用端子部12Jとの間には、配線板表側のソルダレジスト層54が存在し、導熱用被覆端子部123を露呈させる開口部54c(第1実装用開口部)と、電気導通用端子部12Jを複数一括露呈させる開口部54d(第2実装用開口部)とが形成されている。このため、例えば被覆用凹部12b内面及び電気導通用端子部12Jへの被覆金属層14の形成時には、ソルダレジスト層54の第1、第2実装用開口部54c、54dの間に存在する部分(隔壁部)によって、めっき金属のブリッジ現象の発生を防止できる。したがって、導熱用被覆端子部123の被覆金属層14は、絶縁材第1主面10Aから2μm超の突出寸法で突出していても良く、その表面14Aが、絶縁材第1主面10Aに面一あるいは絶縁材第1主面10Aから窪んだ位置である必要は無い。
また、導熱用端子部12Gの被覆用凹部12bの底面12cは、絶縁材第1主面10Aからの窪み深さを、必ずしも図21のように電気導通用端子部12Jと同じに揃える必要は無く、電気導通用端子部12Jの窪み深さと異なっていても良い。
図21に例示した導熱用金属部62Aは、具体的には、絶縁材第1主面10Aに沿ってパッド状に延在形成された導熱用端子部12Gに、その裏面12Bに沿って延在する板状(層状)に形成されている。この導熱用金属部62Aは、導熱用端子部12Gに沿う方向の最大寸法が、端子部裏面12Bからの突出寸法よりも大きいものである。
この導熱用金属部62Aは、導熱用端子部12Gに一体化され、かつ電気的に接続されている。
導熱用金属部62Aには、放熱用パターン61から連続して形成されている接続用金属部64が一体化されている。放熱用パターン61及び接続用金属部64の一部をなすめっきシード層61aの開口穴63穴底に位置する部分は、導熱用金属部62Aの配線板裏側の端面に形成されためっき層である。配線板裏側の放熱用被覆端子部61A1を構成する放熱用端子部61c1は、接続用金属部64を介して導熱用金属部62Aに一体化され、かつ電気的に接続されている。
図21に例示したプリント配線板1Eの放熱回路65Aは、導熱用被覆端子部123と、導熱用金属部62Aと、接続用金属部64と、放熱用被覆端子部61A1とによって構成されている。この放熱回路65Aは、該放熱回路65Aから、導熱用被覆端子部123の被覆金属層14、及び放熱用被覆端子部61A1の被覆金属層67を省略した放熱回路本体を有する。この放熱回路本体も放熱回路として機能し得る。
この放熱回路65Aは、はんだボールC11を介して導熱用被覆端子部123の被覆金属層14にはんだ付けされている第1電子部品C1から前記被覆金属層14へ伝達された熱を、導熱用金属部62を介して放熱用パターン61の放熱用被覆端子部61A1へ導き、放熱用被覆端子部61A1から放熱させる。
導熱用端子部12Gは、配線板厚み方向に垂直の方向(配線板面方向)の寸法、面積が、電気導通用端子部12Jに比べて格段に大きく形成されている。
導熱用端子部12Gの被覆用凹部12b及び被覆金属層14(以下、実装部被覆金属層14Bとも言う)は、配線板面方向において、接続用金属部64、より具体的には接続用金属部64と導熱用金属部62Aとの境界部(界面)から離隔した位置に形成されている。また、放熱用被覆端子部61A1の放熱面61dの中央部は、第1電子部品C1がはんだ付けされる導熱用被覆端子部123の実装部被覆金属層14Bの中央部から配線板面方向において離隔した位置にある。放熱用被覆端子部61A1は、導熱用被覆端子部123の実装部被覆金属層14Bに対して配線板面方向の位置をずらして形成されている。
このプリント配線板1Eは、導熱用被覆端子部123の実装部被覆金属層14Bに第1電子部品C1から伝達された熱を、導熱用被覆端子部123の実装部被覆金属層14Bに対して配線板面方向の位置をずらして形成された放熱用被覆端子部61A1から放熱させることができる。
なお、図20に例示したプリント配線板1Dの導熱用被覆端子部121(より詳しくは、その被覆金属層14)は、配線板厚み方向において、導熱用金属部62を介して接続用金属部64の反対側に位置している。このプリント配線板1Dは、放熱用被覆端子部61A1を、配線板面方向において導熱用被覆端子部121の被覆金属層14と概ね一致する位置に形成した構成となっている。
図21において、埋め込みパターン16Aに設けられた電気導通用被覆端子部122は、配線板面方向において、導熱用被覆端子部123を介して接続用金属部64とは反対の側に位置する。したがって、図21に例示したプリント配線板1Eは、第1電子部品C1から導熱用被覆端子部123の被覆金属層14に伝達された熱を、配線板面方向において、導熱用被覆端子部123を介して、埋め込みパターン16Aの電気導通用被覆端子部122にはんだ付けして実装されている第2電子部品C2とは反対の側へ導いて放熱させることができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜、設計変更可能である。
上述の第1、第2、第4実施形態は、絶縁材10の第1主面10A側に埋め込みパターン16、第2主面10B側に該第2主面10Bから突出状態に形成された導体パターン17(第2導体パターン)を有する構成の両面プリント配線板を例示している。
第4実施形態にて説明した複合絶縁材は、第1〜3実施形態の絶縁材としても使用可能である。
第3実施形態では、導体パターン間に位置するパターン間絶縁材のうち、1層以上を複合絶縁材とした構成を採用可能である。
第1〜4実施形態は、1層以上のパターン間絶縁材として、基材無し樹脂絶縁材のみからなる絶縁材、あるいはプリプレグのみからなる絶縁材を有する構成を採用可能である。
また、本発明に係る実施形態としては、図22、図23に示すように、第4実施形態の図18(A)の工程の完了後に、図16(E)〜図18(A)を参照して説明した工程(以下、金属パターン積層工程とも言う)を1又は複数回実行して、導熱用金属部62及び金属パターン61を追加(一例として図23参照)してから、第4実施形態の図18(B)〜図19(C)の工程を実行してプリント配線板を製造(一例として図24参照)する構成(プリント配線板の製造方法)も採用可能である。
金属パターン積層工程は、導熱金属部突設工程と、この導熱金属部突設工程の後、前記導熱用金属部62を前記金属パターンとともに絶縁材に埋め込む導熱金属部埋め込み工程と、該導熱金属部埋め込み工程にて前記導熱用金属部を埋め込んだ絶縁材に無電解めっき及び電解めっきを施して、前記導熱用金属部に一体化された金属パターンを形成する金属パターン形成工程とを有する。
導熱金属部突設工程では、例えば図22,図23に示すように、接続用金属部を介して導熱用金属部に一体的に形成した端子部の裏面(導熱用金属部とは反対の側の面)に、別途、導熱用金属部を突設(新設)する。
なお、図22,図23では、端子部を介して両側(端子部の厚み方向両側)の導熱用金属部、すなわち端子部を介して互いに一体化される導熱用金属部を、端子部の面方向における位置が互いに一致するように形成しているが、導熱用金属部の形成位置はこれに限定されない。端子部を介して両側の導熱用金属部は、端子部の面方向における形成位置が互いにずれていても良い。
このプリント配線板の製造方法では、第4実施形態の図16(A)〜図18(A)までの工程の完了後に、金属パターン積層工程を1又は複数回実行して、放熱回路65Bを組み立てたパターン付き板材(例えば図23の多層パターン付き板材681)を得る。そして、多層パターン付き板材がパターン支持体38Aに一体化された構成の支持体付き配線板(例えば図23の支持体付き配線板50B)について、第4実施形態の図18(B)以降の工程を実行してプリント配線板を得る。
支持体付き配線板を得た後は、多層パターン付き板材に、その埋め込みパターン16とは反対側の最外層の金属パターンを覆うエッチングレジストを積層一体化して、支持体付き配線板及びエッチングレジストの外周部を切断除去し、以下、第4実施形態の製造方法と同様の工程にてプリント配線板を形成する。
図24に例示したプリント配線板1Fは、図22、図23を参照して説明した製造方法によって製造可能なプリント配線板である。このプリント配線板1Fは、図20に例示したプリント配線板1Dの配線板裏側に金属パターンを1層追加して、埋め込み基板18の裏面側に金属パターン61を2層、合計3層の金属パターン16、61、61を有する構成としたものである。
図24において、埋め込み基板18裏面側の複数(図示例では2層)の金属パターン61(裏面側金属パターン)に、配線板裏側(図24上側)から順に符号611、612を付記する。最外層の裏面側金属パターン611は、端子部61cのうち、導熱用金属部62に一体化されている接続用金属部64が突設されている放熱用端子部62c1を有する放熱用パターンとなっている。
最外層の一対の金属パターン16、611の間に位置する内層の金属パターン612の配線部61cは、放熱効率を確保するために面積を大きく確保した放熱用端子部61c1に限定されず、配線板内での放熱を出来るだけ抑えるべく、面積を小さく形成した端子部であっても良い。
また、本発明に係る実施形態としては、内層の金属パターンに配線板外側に延出する外側延出部を確保し、該外側延出部を放熱用ランド部として機能させた構成も採用可能である。
本発明に係るプリント配線板、プリント配線板の製造方法としては、図22、図23を参照して説明した製造方法、図24に例示したプリント配線板において、導熱用被覆端子部121を図21に例示した導熱用被覆端子部123に変更した構成も採用可能である。
また、導熱用被覆端子部123を採用したプリント配線板、プリント配線板の製造方法としては、導熱用金属部62として、導熱用端子部12G裏面に沿う板状(層状)等の導熱用金属部(例えば図21の導熱用金属部65A)を採用した構成も採用である。
放熱回路を有するプリント配線板は、放熱回路以外に、最外層の導体パターン同士の電気的接続を確保する最外層間導通回路を有する構成も採用可能である。
例えば、図25に示すように、導体パターンを2層のみ有するプリント配線板1G(両面板)の場合は、埋め込みパターン16の電気導通用端子部12Jの裏面12Bに中実柱状の電気導通用金属部25を突設し、配線板裏側の導体パターン61に、電気導通用金属部25に達するビア配線61gと一体の端子部61c3を形成し、電気導通用金属部25を介して最外層の導体パターン16、61同士の電気的接続を確保した構成を採用できる。図25のプリント配線板1Gは、図21に例示したプリント配線板1Eについて、電気導通用金属部25と、ビア配線61gと一体の端子部61c3(電気導通用端子部)とを追加した構成になっている。
このプリント配線板1Gは、電気導通用金属部25とビア配線61gとが、最外層の導体パターン16、61同士の電気的接続を確保する最外層間導通回路を構成する。このプリント配線板1Gにあっては、放熱回路を構成する導熱用金属部62及びビア配線64も、最外層間導通回路を構成する。
また、このプリント配線板1Gは、端子部61c3に該端子部61c3を覆う被覆金属層67を形成した構成の電気導通用被覆端子部61A3を有する。図示例の電気導通用被覆端子部61A3の構成は、放熱用被覆端子部61A1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
導体パターンを3層以上有する多層構造のプリント配線板の場合は、互いに隣り合う導体パターンを、その配線板表側の導体パターンの端子部の裏面に突設した電気導通用金属部と、配線板裏側の導体パターンの端子部に一体に形成され電気導通用金属部に達するビア配線とを介して電気的に接続し、各層間の電気導通用金属部とビア配線、及び内層の導体パターンを介して最外層の導体パターン間の電気的接続を確保した構成を採用できる。
この場合、各層間の電気導通用金属部及びビア配線と、内層の導体パターンとが最外層間導通回路を構成する。
第1、第2実施形態のプリント配線板1A、1Bはビア配線11、第3実施形態のプリント配線板1Cは内層の各導体パターン45とビア配線11が最外層間導通回路を構成する。放熱回路を有する既述のプリント配線板1D、1Eは、導熱用金属部62及びビア配線64、プリント配線板1Fは内層の各導体パターン45と導熱用金属部62及びビア配線64が最外層間導通回路を構成する。
また、導熱用被覆端子部123及び導熱用金属部65Aを採用したプリント配線板としては、図26に示すように、配線板表側に、導熱用被覆端子部の表側の一部を露呈させた放熱用露呈部125を確保した構成も採用可能である。但し、この場合は、導熱用金属部を経由せずに、最外層の導体パターン間を電気的に接続する最外層間導通回路を有する構成を採用する。
電気導通用金属部は、プリント配線板の製造方法において、導熱用金属部を形成する工程にて、埋め込みパターンの端子部裏面側に、導熱用金属部と同時に、電解めっきによって形成することができる。また、電気導通用金属部と導体パターンとの電気的接続を確保するビア配線、及び該ビア配線と一体の端子部は、既述のプリント配線板1D〜1Fの製造方法において、導熱用金属部に電気的に接続されるビア配線64及び該ビア配線64と一体の端子部61cを形成する工程にて同時に形成できる。電気導通用端子部の表面にこれを覆う被覆金属層を形成することも、配線板裏側の放熱用端子部61cに被覆金属層を形成する工程にて、同時に行なうことができる。
したがって、電気導通用金属部及び電気導通用端子部を具備するプリント配線板は、既述のプリント配線板1D〜1Fの製造方法の工程を大きく変更することなく、同様の工程にて製造することが可能である。
このことは、導体パターンを2層のみ有する両面板、及び導体パターンを3層以上有する多層構造のプリント配線板の両方に共通する。
図26に例示したプリント配線板1Hは、図25に例示したプリント配線板1Gについて、放熱用被覆端子部61A1を省略し、導熱用被覆端子部に、その表側の一部をソルダレジスト層54等によって覆わずに露呈させた放熱用露呈部125を確保した構成となっている。
図示例のプリント配線板1Hの導熱用被覆端子部124は、図25のプリント配線板1Gの導熱用被覆端子部123の導熱用端子部12Gのおもて面12Iにおける実装部被覆金属層14Bから離隔した位置に、放熱用の被覆金属層14(以下、放熱部被覆金属層14Cとも言う)を形成した構成となっている。放熱部被覆金属層14Cは、導熱用端子部12Gのおもて面12Iにおける実装部被覆金属層14Bから離隔した位置に形成された被覆用凹部12dの底面12eを覆って設けられている。
そして、このプリント配線板1Hは、放熱部被覆金属層14Cの表面14Aが放熱用露呈部125として露呈された構成となっている。
このプリント配線板1Hは、導熱用被覆端子部124の実装部被覆金属層14Bに電子部品C1から伝達された熱を、導熱用端子部12G及び導熱用金属部62Aを介して放熱部被覆金属層14Cへ導き、この放熱部被覆金属層14Cの表面14A(放熱用露呈部125)から放熱する。
配線板表側のソルダレジスト層54には、第1、第2実装用開口部54c、54dの他に、放熱部被覆金属層14Cの表面14Aを露呈させる開口部54e(放熱用開口部)も形成されている。導熱用被覆端子部124は、電子部品C1から伝達された熱を、放熱用開口部54eに露呈する放熱用露呈部125から効率良く放熱させることができる。
但し、放熱用露呈部125としては、導熱用被覆端子部124における、実装部被覆金属層14B以外の部分を露呈させたものであれば良く、放熱部被覆金属層14Cに限定されない。放熱用露呈部125としては、例えば、導熱用端子部12Gのおもて面12Iにおける被覆金属層14が形成されていない部分をソルダレジスト等によって覆わずに露呈させた構成も採用可能である。
この点、本発明に係る実施形態のプリント配線板としては、図25のプリント配線板1Gについて、導熱用被覆端子部123の導熱用端子部12Gに、そのおもて面12Iの一部をソルダレジスト等によって覆わずに露呈させた放熱用露呈部を確保した構成も採用可能である。
導熱用被覆端子部に放熱用露呈部を確保した構成は、導体パターンを2層のみ有する両面板のプリント配線板に限定されず、例えば、図24に例示したプリント配線板1F等の、多層構造のプリント配線板にも適用可能である。
以下に本発明の実験例を、比較実験例とともに説明する。ここで、以下の本発明実験例、比較実験例は、導体パターンの端子部のおもて面の絶縁材第1主面からの高さが、異常析出現象、ブリッジ現象の発生に及ぼす影響を調べるために行なったものであり、いずれの実験例でも、絶縁材の第2主面の側に開口穴を形成していない状態で実験を行なった。なお以下の各実験例は、本発明の作用効果を確認するためのものであって、実験例に記載された条件が本発明の技術的範囲を限定しないことはもちろんである。
本発明実験例1:
図3の(A)に準じて、プリプレグからなる絶縁材10の第1主面10Aに所定のパターンでCuからなる導体パターン16(端子部12を含む)が埋め込み形成された埋め込み基板18を準備した。ここで、導体パターン16の端子部12の断面幅(図3(A)における左右方向の寸法)は20μm、隣り合う端子部間の間隔(パターン間のスペース)は14μmとした。このような埋め込み基板18の導体パターン16の端子部12のおもて面を、過硫酸ナトリウムと硫酸からなるエッチング液によって、1μmの深さまでエッチングし、絶縁材10の第1主面10Aから端子部12のおもて面が窪んでいる状態とした。次いで、上記の導体パターン16の端子部12について、脱脂処理を行ってから、エッチング量0.3μmのソフトエッチング処理、脱スマット処理、プリディップ処理、さらに無電解めっきのためのPd触媒の付与処理、ポストディップ処理をその順に行った後、約2μmの無電解Niめっき、0.3μmの無電解Pdめっき、0.1μmの置換無電解Auめっきを行ない、Auめっき層表面が絶縁材第1主面10Aから1.0μm突出しているプリント配線板を得た。
本発明実験例1により得られたプリント配線板の導体パターンの端子部付近の断面の状況を光学顕微鏡によって観察した結果を図27の(A)に示し、またそのプリント配線板の平面および断面について走査型電子顕微鏡により観察した結果を図28に示す。なお、図27の(A)〜(E)、及び図28〜図32の(B)において、符号AはCuからなる端子部を示し、符号Bは、Niめっき層を示す。
本発明実験例2:
図3の(A)に準じて、プリプレグからなる絶縁材10の第1主面10Aに所定のパターンでCuからなる導体パターン16(端子部12を含む)が埋め込み形成された埋め込み基板18を準備した。ここで、導体パターン16の端子部12の断面幅(図3(A)における左右方向の寸法)は20μm、隣り合う端子部12間の間隔(パターン間のスペース)は15μmとした。このような埋め込み基板18の導体パターン16の端子部12のおもて面を、過硫酸ナトリウムと硫酸からなるエッチング液によって、1μmの深さまでエッチングし、絶縁材10の第1主面10Aから端子部12のおもて面が窪んでいる状態とし、さらにエッチングを継続させて端子部12を凸形状とした。ここで、上記のエッチングは、凸形状の端子部12のおもて面12Dの表側主面12a(参考として図5(C)参照)が、絶縁材第1主面10Aの位置から4.5μmの深さに位置するまで行なった。なおこの状態では、凸形状の端子部12の傾斜面12Cの端子部裏面側の端は、絶縁材第1主面の位置から7.5μmの深さに位置していた。次いで、上記の端子部12について、脱脂処理を行ってから、エッチング量0.3μmのソフトエッチング処理、脱スマット処理、プリディップ処理、さらに無電解めっきのためのPd触媒の付与処理、ポストディップ処理をその順に行った後、無電解Niめっきを施した(図6(A))。この無電解Niめっきは、凸形状の端子部のおもて面に沿う表面の頂部が絶縁材第1主面の位置から0.3μmの深さの位置に達するまで行なったが、この状態では、Niめっき層は、全体として平坦となっていることが確認された。さらにNiめっき層上に、0.2μmの無電解Pdめっき、および0.1μmの置換無電解Auめっきを行ない、Auめっき層表面が絶縁材第1主面10Aとほぼ同じ位置となっている平坦なプリント配線板を得た(図6(B)、図2)。
以上の本発明実験例2により得られたプリント配線板の端子部付近の断面の状況を光学顕微鏡によって観察した結果を図27の(B)に示し、またそのプリント配線板の平面および断面について走査型電子顕微鏡により観察した結果を図29に示す。
本発明実験例3:
図3の(A)に準じて、プリプレグからなる絶縁材10の第1主面10Aに所定のパターンでCuからなる導体パターン16(端子部12を含む)が埋め込み形成された埋め込み基板18を準備した。ここで、端子部12の断面幅(図3(A)における左右方向の寸法)は13μm、隣り合う端子部間の間隔(パターン間のスペース)は22μmとした。このような埋め込み基板18の導体パターン16の端子部12のおもて面を、硫酸と過酸化水素水からなるエッチング液によって、1μmの深さまでエッチングし、絶縁材10の第1主面10Aから端子部12のおもて面が窪んでいる状態とし、さらにエッチングを継続させて、端子部12を凸形状とした。ここで、上記のエッチングは、凸形状の端子部のおもて面12Dの表側主面12a(参考として図5(C)参照)が、絶縁材第1主面10Aの位置から2.5μmの深さに位置に達するまで行なった。なおこの状態では、凸形状の端子部の下端は、絶縁材第1主面の位置から5.3μmの深さに位置していた。次いで、上記の端子部12について、脱脂処理を行ってから、エッチング量0.3μmのソフトエッチング処理、電解Niめっきを施した(図6(A))。この電解Niめっきは、凸形状の端子部のおもて面に沿う表面の頂部が絶縁材第1主面10Aの位置から1.4μmの高さの位置に達するまで行なったが、この状態では、Niめっき層は、全体として平坦となっていることが確認された。さらにNiめっき層上に、0.1μmの電解Auめっきを行ない、Auめっき層表面が絶縁材第1主面10Aから1.5μm突出しているプリント配線板を得た(図6(B)、図2)。
本発明実験例3により得られたプリント配線板の端子部付近の断面の状況を光学顕微鏡によって観察した結果を図27の(C)に示し、またそのプリント配線板の平面および断面について走査型電子顕微鏡により観察した結果を図30に示す。
比較実験例1:
図34(A)に示すように、プリプレグからなる絶縁材110の上面110A(以下、第1主面とも言う)に所定のパターンでCuからなる導体パターン(端子部112を含む)が埋め込み形成された埋め込み基板を準備した。ここで、導体パターンの端子部112の断面幅(図34(A)における左右方向の寸法)は20μm、隣り合う端子部間の間隔(パターン間のスペース)は15μmとした。このような埋め込み基板の端子部112の表面について、脱脂処理を行ってから、エッチング量0.3μmのソフトエッチング処理、脱スマット処理、プリディップ処理、さらに無電解めっきのためのPd触媒の付与処理、ポストディップ処理をその順に行った後、約3.5μmの無電解Niめっき、0.2μmの無電解Pdめっき、0.1μmの置換無電解Auめっきを行ない、Ni/Pd/Auの被覆金属層(無電解めっき層)114の表面が絶縁材10の第1主面110Aから3.5μm突出しているプリント配線板を得た(図34(B))。
比較実験例1により得られたプリント配線板の端子部付近の断面の状況を光学顕微鏡によって観察した結果を図27の(D)に示し、またそのプリント配線板の平面および断面について走査型電子顕微鏡により観察した結果を図31に示す。
比較実験例2:
図33(A)に示すように、プリプレグからなる絶縁材110上に所定のパターンでCuからなる導体パターン(端子部112を含む)が突出形成された基板をセミアディティブ工法により準備した。ここで、端子部112の断面幅(図33(A)における左右方向の寸法)は21μm、隣り合う端子部間の間隔(パターン間のスペース)は30μmとした。このような絶縁材110上の端子部112の表面について、脱脂処理を行ってから、エッチング量0.3μmのソフトエッチング処理、脱スマット処理、プリディップ処理、さらに無電解めっきのためのPd触媒の付与処理、ポストディップ処理をその順に行った後、約2μmの無電解Niめっき、0.2μmの無電解Pdめっき、0.1μmの置換無電解Auめっきを行ない、絶縁材110上に突出する端子部112がNi/Pd/Auの被覆金属層(無電解めっき層)114で覆われたプリント配線板を得た(図33(B))。
比較実験例2により得られたプリント配線板の端子部付近の断面の状況を光学顕微鏡によって観察した結果を図27の(E)に示し、またそのプリント配線板の平面および断面について走査型電子顕微鏡により観察した結果を図32に示す。
以上の本発明実験例および比較実験例によるプリント配線板についての観察結果(図27の(A)〜(E)、図28〜図32)から、次のような事実が確認された。
すなわち、本発明実験例1〜3の場合は、いずれも、隣り合う端子部の間の絶縁材表面(第1主面10A)に、めっき金属の異常析出が生じておらず、またとそれに伴うブリッジ現象も生じておらず、隣り合う端子部の間が完全に分離していることが確認された。
これに対して、埋め込み基板を適用したが、端子部をエッチングにより窪ませずにめっき金属で被覆した比較実験例1では、走査型電子顕微鏡での観察の結果、隣り合う端子部の間の絶縁材表面にめっき金属の異常析出が生じて、ブリッジ現象が発生したことが確認された。
さらに、端子部を絶縁材上に突出した状態で形成した比較実験例2の場合は、端子部の上面のみならず側面を覆うめっき金属が隣り合う端子部の間で連続してしまって、明確なブリッジ現象が発生していることが確認された。
ここで、比較実験例2は、従来の一般的なセミアディティブ法を適用した例であり、この場合には、隣り合う端子部間のスペースSが30μmで、めっき金属のブリッジ現象により隣り合う端子部の間が連続してしまっていた。
これに対して、本発明実験例1〜3では、隣り合う端子部間のスペースSを25μm以下に狭小化し、特に本発明実験例1、2では15μm以下に著しく狭小化しているが、これらの場合でも、隣り合う端子部の間でめっき金属の異常析出やブリッジが認められなかった。したがって本発明によれば、端子部間のスペースを25μm以下、さらには15μm以下まで狭小化しうることが明らかである。
なお比較実験例1では、端子部間のスペースが15μmであるが、異常析出していることから、25μm以下まで狭小化することは実際上困難と解され、特に15μm以下まで狭小化することは不可能であることが明らかである。