JP6102899B2 - 中間転写ベルトの製造方法 - Google Patents
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Description
この基材層を形成するための柔軟性を有する樹脂として、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)やポリカーボネート樹脂(PC)などの熱可塑性樹脂を用いると、押し出し成形によって無端ベルト状の基材層を容易に作製することができる。
さらに、表面層の硬化樹脂を形成するための重合性成分に、ポリウレタンアクリレートを含ませる場合においては、長い硬化時間を要するために、硬化のための光の照射に由来して発生する熱の総量が多くなるので、特に屈曲性やクリープ性の低さが顕著に現れてしまう。
中間転写ベルトは、ポリフェニレンサルファイド樹脂からなる基材層上に硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなり、
重合性成分を含有する硬化用組成物を基材層の表面に塗布して形成した塗膜に、LED光源から出射される、波長320nm未満の光および波長405nmを超える光を含まず、波長320nm以上405nm以下の光を含む硬化用光を照射することによって、前記重合性成分を重合させて前記硬化樹脂よりなる表面層を形成することを特徴とする。
本発明の中間転写ベルトの製造方法は、電子写真方式の画像形成装置において感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写するための、ポリフェニレンサルファイド樹脂からなる基材層上に硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなる中間転写ベルトを製造するための方法である。
基材層2を形成する方法としては、当該基材層2を形成するための樹脂(以下、「基材層用樹脂」ともいう。)を溶剤に溶解した塗布液を金型などに塗布して形成する方法や、基材層用樹脂を直接的に成形する方法が挙げられるが、基材層用樹脂を直接的に成形する方法を用いることが好ましい。
押し出し成形法を採用する場合について説明する。まず、基材層用樹脂および各種の添加剤からなる原料組成物を溶融・混練して樹脂ペレットとする。次いで、例えば1軸または2軸の押出機に環状ダイを取り付け、この押出機に樹脂ペレットを投入し、環状ダイの先端の筒状の樹脂吐出口より溶融した樹脂ペレットを押し出し、その後、冷却機構を有する冷却筒に外挿することにより基材層用樹脂を固化させることによって無端ベルト状に成形し、これにより、基材層2を作製することができる。
このとき、ポリフェニレンサルファイド樹脂の結晶化を生じさせないための工夫として、環状ダイから筒状の基材層用樹脂が吐出された直後に、水、エアー、冷却された金属ブロックなどによって冷却を行うことが好ましい。具体的には、環状ダイに断熱材を挟んで付設された冷却筒を用い、これにより吐出された筒状の基材層用樹脂の熱を急速に奪う構成とすることができる。冷却筒の内側には常に30℃以下に温度調整された水を循環させている。また、環状ダイから吐出された筒状の基材層用樹脂を高速で引き取ることにより薄膜化し、これにより冷却速度を高めてもよい。この場合、引き取り速度は1m/min以上、特に2〜7m/minであることが好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、フェニレン単位と硫黄原子とが交互に並んだ構造を有する熱可塑性樹脂である。
基材層2を構成するポリフェニレンサルファイド樹脂のフェニレン単位は、置換基を有していてもよく、o−フェニレン単位、m−フェニレン単位およびp−フェニレン単位であってもよく、それらが混合されていてもよい。フェニレン単位の好ましい構成は、少なくともp−フェニレン単位を含み、その含有量が全フェニレン単位に対して50%以上であることである。フェニレン単位は、特に、無置換のp−フェニレン単位のみからなることが好ましい。
導電剤としては、カーボンブラック、アルミニウムやニッケルなどの金属粉末、酸化チタンなどの金属酸化物、第4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物およびポリピロールなどの導電性高分子化合物などを用いることができる。これらは、1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
表面層4は、例えば、表面層4の硬化樹脂を形成するための重合性成分や光重合開始剤を含む組成物(以下、「表面層形成用塗布液」ともいう。)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に対して硬化用光を照射することにより、形成することができ、これにより、中間転写ベルトが製造される。
重合性成分としては、ポリウレタンアクリレート、多官能(メタ)アクリレートや、当該多官能(メタ)アクリレート以外の低表面エネルギー基を有する重合性化合物などを含有することが好ましい。
ポリウレタンアクリレートは、ウレタン結合を有し、かつ、1分子中に1個以上のアクリロイルオキシ基を有する重合体である。
ポリウレタンアクリレートとしては、例えば、主鎖にウレタン結合を有し、1個以上のアクリロイルオキシ基が主鎖の末端または側鎖に結合しているものが挙げられる。
ポリウレタンアクリレートは、重合性成分中30〜70質量%の割合で含有されることが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するもので、中間転写ベルトの表面層4の耐摩耗性、強靱性、密着性を発現させるために用いられる。具体的には、ビス(2−アクリロキシエチル)−ヒドロキシエチル−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレートなどの2官能性単量体;トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ウレタンアクリレート、多価アルコールと多塩基酸および(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物、例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル化合物などの3官能以上の多官能単量体などが挙げられる。塗膜にハードコート性を持たせるためには、3官能以上の多官能アクリレートを使用することが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、重合性成分中20〜90質量%の割合で含有されることが好ましい。
低表面エネルギー基を有する重合性化合物において、低表面エネルギー基とは、表面層の表面自由エネルギーを低減する機能を有する官能基をいい、具体的には、シリコーン変性またはフッ素変性されたアクリレート基のことをいう。このようなシリコーン変性部位としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられ、フッ素変性部位としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
低表面エネルギー基を有する重合性化合物としては、具体的には、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖、および、3つ以上のラジカル重合性二重結合を有する数平均分子量5,000以上100,000以下のビニル共重合体が挙げられる。このような低表面エネルギー基を有する重合性化合物としては、市販品の「メガファック」(DIC社製)、「フルシェード」(東洋インキ社製)を用いることができる。
低表面エネルギー基を有する重合性化合物は、重合性成分中1〜30質量%の割合で含有されることが好ましい。
また、低表面エネルギー基を有する重合性化合物を用いて形成する場合は、得られる硬化樹脂における低表面エネルギー基を有する重合性化合物に由来の構造単位の含有割合は1〜30質量%であることが好ましい。
また、ポリウレタンアクリレートを共に用いて形成する場合は、得られる硬化樹脂におけるポリウレタンアクリレートに由来の構造単位の含有割合は20〜50質量%であることが好ましい。
表面層4には、表面処理が施された金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。表面層4に金属酸化物微粒子が含有されていることにより、表面層4に強靱性が得られ、高い耐久性が得られる。
金属酸化物微粒子は、未処理の金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」という。)を、表面処理剤によって表面処理することにより得ることができる。
以上のような金属酸化物微粒子は、重合性成分100体積部に対して5〜40体積部の割合で含有されることが好ましい。
また、低表面エネルギー性を付与するため、シリコーンオイルやポリフルオロアルキル基を有する化合物などを表面処理剤として用いることもできる。シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル(例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)など)、変性シリコーンオイル(例えば片末端カルビノール変性シリコーンオイルや片末端ジオール変性シリコーンオイルなど)などを用いることができる。
溶剤としては、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
そして、本発明においては、表面層形成用塗布液による塗膜に照射される硬化用光が、LED光源から出射される、波長320nm未満の光および波長405nmを超える光を含まず、波長320nm以上405nm以下の光を含む硬化用光(以下、「特定の硬化用光」ともいう。)とされる。
表面層形成用塗布液による塗膜に照射される硬化用光として波長320nm未満の光を含む光を用いた場合は、当該硬化用光の照射に由来して発生する熱の総量が多くなるため、基材層を構成するポリフェニレンサルファイド樹脂の結晶構造の変化が生じ易く、従って、得られる中間転写ベルトが屈曲性やクリープ性の低下したものとなり、その結果、耐久性や転写品質に劣るものとなってしまう。一方、表面層形成用塗布液による塗膜に照射される硬化用光として波長405nmを超える光を含む光を用いた場合は、硬化用組成物の硬化を生じさせることができない。
なお、硬化用光の照射に由来して発生する熱とは、例えば当該硬化用光を出射するランプ自体から発せられる熱や、硬化用光そのものによって発生する熱をいう。
特定の硬化用光として単一ピークを有するスペクトルの光を用いることによって、当該特定の硬化用光の照射に由来して発生する熱をより抑制することができるので、厚みの大きい表面層を形成させる場合であっても、優れた屈曲性およびクリープ性を有する中間転写ベルトを得ることができる。
塗膜の乾燥は、重合性成分の重合の前後、およびその重合中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、塗膜の流動性がなくなる程度まで一次乾燥した後、重合性成分の重合を行い、その後、さらに表面層中の揮発性物質の量を規定量にするために二次乾燥を行うことが好ましい。
これは、特定の硬化用光を放射するLED光源はほとんど熱を発生させず、従って、特定の硬化用光の照射に由来して発生する熱の総量を少なく抑制することができるので、長時間にわたって硬化を行ったとしても、基材層を構成するポリフェニレンサルファイド樹脂の熱による結晶構造の変化を極めて抑制することができるためである。特に、ポリウレタンアクリレートを含む重合性成分を用いて表面層となる硬化樹脂を得る場合など、長い硬化時間を要する場合においても、特定の硬化用光の照射に由来して発生する熱の総量を少なく抑制することができるので、優れた屈曲性およびクリープ性を有する中間転写ベルトが得られる。
なお、基材層に表面層形成用塗布液の塗膜が形成された被処理体に、高圧水銀ランプやキセノンランプなどから出射される硬化用光を照射する場合には、基材層が受ける熱の総量が本発明に比して多くなるものと考えられる。これは、例えば波長カットフィルターなどを用いて被処理体に照射する硬化用光の波長を320nm以上405nm以下に限定した場合であっても、ランプ自体から発せられる熱を遮断することはできないためである。
以上のような中間転写ベルトは、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置における、中間転写ベルトとして好適に用いることができる。
(1)基材層の作製
(1−1)材料の溶融混練
・樹脂:ポリフェニレンサルファイド樹脂「E2180」(東レ社製:結晶性、融点280℃、ガラス転移点90℃) 100質量部
・酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤「アデカスタブAO−50」(ADEKA社製)
5質量部
・導電剤:アセチレンブラック「HS−100」(デンカ社製) 16質量部
・滑材:モンタン酸カルシウム 0.2質量部
からなる原料組成物を、2軸混練押出機「PMT32」(IKG社製)を用いて溶融・混練することにより、樹脂ペレット〔1〕を得た。
なお、ポリフェニレンサルファイド樹脂は、混練前に予め130℃で8時間乾燥させた後、60℃程度まで冷ました上で、混練に用いた。
樹脂ペレット〔1〕を、130℃で8時間乾燥し、直径150mm、リップ幅1mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mm径の押出機により、環状ダイの下方にチューブ状に押し出し、押し出された未固化のチューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径140mmの冷却マンドレルの外表面に接触させることによって冷却して固化させることにより、無端ベルト状の基材層材料を得た。この基材層材料の内部に設置されている中子と外側に設置されているロールにより、基材層材料を円筒形に保持した状態で引き張りつつ、290mm長の長さにおいて輪切りにし、これにより、無端ベルト状の基材層〔1〕を作製した。
(2−1)表面層形成用塗布液の調製
・多官能(メタ)アクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 40質量部
・ポリウレタンアクリレート:「UV−3520TL」(日本合成化学工業社製)
45質量部
・低表面エネルギー基を有する重合性成分:「メガファック」(DIC社製)10質量部
・金属酸化物微粒子:表面処理剤(CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3 )によって表面処理された酸化錫 5質量部
を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤:プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)中に溶解、分散させることにより、表面層形成用塗布液〔1〕を調製した。
表面層形成用塗布液〔1〕に光重合開始剤「IRGACURE 379」(BASFジャパン社製)5質量部を投入し、溶解後に上記の基材層〔1〕の外周面上に、ワイディー・メカトロソリューションズ社製のスプレー装置によって、下記の塗布条件で乾燥膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布することによって塗膜を形成し、この塗膜に、波長365nmに単一ピークのスペクトルを有する硬化用光を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成し、これにより、中間転写ベルト〔1〕を得た。硬化用光の照射は、光源を固定し、基材層〔1〕の外周面上に塗膜が形成された基材を周速度60mm/sで回転しながら行った。
−スプレー塗布条件−
ノズルスキャン速度:1〜10mm/sec
ノズル距離:100〜150mm
ノズル数:1
塗布液供給量:1〜5mL/min
O2 流量:2〜6L/min
−硬化用光の照射条件−
光源の種類:UV−LEDランプ「UV−SPVシリーズ」(レボックス社製、図2に示されるスペクトルのもの)
照射口から塗膜の表面までの距離:40mm
照射光量:100mW/cm2
照射時間(基材を回転させている時間):150秒
中間転写ベルトの製造例1において、表面層の厚みを表1に従って変更したこと以外は同様にして、中間転写ベルト〔2〕〜〔5〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、光重合開始剤として「IRGACURE 127」(BASFジャパン社製)を用いると共に、硬化用光を波長320nmに単一ピークを有するスペクトルのものに変更したこと以外は同様にして、中間転写ベルト〔6〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、光重合開始剤として「IRGACURE 784」(BASFジャパン社製)を用いると共に、硬化用光を波長405nmに単一ピークを有するスペクトルのものに変更したこと以外は同様にして、中間転写ベルト〔7〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、表面層の形成に用いるポリウレタンアクリレートを「UV−3000B」(日本合成化学社製)、「UV−3200B」(日本合成化学社製)にそれぞれ変更したこと以外は同様にして、中間転写ベルト〔8〕〜〔9〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、表面層の形成にポリウレタンアクリレートを用いなかったこと以外は同様にして、中間転写ベルト〔10〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、硬化用光の光源として高圧水銀ランプを用いて、硬化用光を図3に示される複数のピークを有するスペクトルのものに変更したこと以外は同様にして、比較用の中間転写ベルト〔11〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、硬化用光の光源としてキセノンランプを用いて、硬化用光を図4に示される複数のピークを有するスペクトルのものに変更したこと以外は同様にして、比較用の中間転写ベルト〔12〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、光重合開始剤として「IRGACURE 127」(BASFジャパン社製)を用いると共に、硬化用光を波長300nmに単一ピークを有するスペクトルのものに変更したこと以外は同様にして、比較用の中間転写ベルト〔13〕を作製した。
中間転写ベルトの製造例1において、光重合開始剤として「IRGACURE 784」(BASFジャパン社製)を用いると共に、硬化用光を波長440nmに単一ピークを有するスペクトルのものに変更したこと以外は同様にして、比較用の中間転写ベルト〔14〕を作製した。
中間転写ベルト〔1〕〜〔14〕の各々を、「MIT−DA」(東洋精機社製)を用い、JIS P−8115に準処した測定方法によって耐折回数を測定した。各サンプル(中間転写ベルト)を3回ずつ測定し、平均値(有効数字2ケタ)を代表値とした。この耐折回数について下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。耐折回数は、屈曲疲労性の指数であり、数字が大きいほど割れにくく、丈夫であることを意味する。
−評価基準−
A:耐折回数が20,000回以上(合格)
B:耐折回数が15,000回以上20,000回未満(合格)
C:耐折回数が10,000回以上15,000回未満(不合格)
D:耐折回数が10,000未満(不合格)
中間転写ベルト〔1〕〜〔14〕を、幅50mm、長さ130mmの大きさに切断し、試験片を作製した。この試験片について、初期状態の寸法aを測定した後、試験片を丸めて内径φ28mmのアルミパイプ内に挿入し、温度40℃、湿度95%RHの環境に100時間放置し、次いで、温度23℃、湿度50%RHの環境に12時間放置した後、アルミパイプから試験片を抜き取り、ただちに試験片の寸法bを測定する。この寸法a、bから、下記数式(1)によりクリープ率を算出し、クリープ性を下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
数式(1):クリープ率(%)=(a−b)/(a−X)×100
〔式中、Xは、アルミパイプ内における試験片の重なり部分の寸法を示し、この評価においては、Xは{長さ130mm−(アルミパイプの内径φ28mm×π)}である。〕
クリープ率は、低いほど試験片のカールが小さいことを示し、例えばクリープ率が75%以上である場合は濃度ムラが発生し易くなり、クリープ率が80%以上である場合には、明らかな濃度ムラが発生する。
−評価基準−
A:40%未満(合格)
B:40%以上75%未満(合格)
C:75%以上80%未満(不合格)
D:80%以上(不合格)
3 中間層
4 表面層
Claims (5)
- 電子写真方式の画像形成装置において感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写するための中間転写ベルトを製造する方法であって、
中間転写ベルトは、ポリフェニレンサルファイド樹脂からなる基材層上に硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなり、
重合性成分を含有する硬化用組成物を基材層の表面に塗布して形成した塗膜に、LED光源から出射される、波長320nm未満の光および波長405nmを超える光を含まず、波長320nm以上405nm以下の光を含む硬化用光を照射することによって、前記重合性成分を重合させて前記硬化樹脂よりなる表面層を形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。 - 前記硬化用光が、単一ピークを有するスペクトルの光であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルトの製造方法。
- 前記重合性成分が、ポリウレタンアクリレートを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の中間転写ベルトの製造方法。
- 前記重合性成分が、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の中間転写ベルトの製造方法。
- 前記表面層の厚みが、1.0μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の中間転写ベルトの製造方法。
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