JP6254935B2 - 有機感光体 - Google Patents

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Description

本開示は、有機感光体、それを用いる電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
有機感光体(OPC)は、(1)光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性に優れ、(2)高感度、安定な帯電特性等の優れた電気的特性を備え、(3)多様な材料選択性を有し、(4)製造が容易であると共に低コストであるという利点を有する。有機感光体はこれら様々な利点から、無機感光体に代わり複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機に多く使用されている。
近年、画像形成装置の高速化及びメンテナンスフリーの要望が高まり、感光体の高耐久化が望まれている。従来の有機感光体は、低分子電荷輸送材料とポリカーボネート等の高分子材料とが主成分であり、一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステム等から受ける機械的負荷により感光体表面及びクリーニングブレードが摩耗する。また、高画質化の観点からトナー粒子を小粒系化すると共に、クリーニング性を向上させることが求められている。このため、クリーニングブレードのゴム硬度を高くし、接触面の圧力を高くすることが行われている。これより、感光体表面とクリーニングブレードとの摩擦抵抗が大きくなり、クリーニングブレードの反転や、ブレードの鳴きといった異音現象が生じやすくなる。また、感光体表面の摩耗がより促進され、傷がより発生しやすくなる。
感光体表面が摩耗して感光体膜厚が減少すると、クリーニングブレードとの接触圧が変化し、拭き取り不良が発生しやすくなる。また、感光体表面に傷が生じると、傷内に侵入したトナー粒子等が電気的ハザードの原因となり、感度の低下及び帯電性の低下等が生じ、画像濃度が低下したり、異常画像が生じたりする。また、局所的な傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ等の画像欠陥の原因となる。
長期にわたって安定した画像を得るためには、感光体表面の経時的な摩擦抵抗の増加を抑えてクリーニング性を維持すると共に、感光体表面の耐摩耗・耐傷性を向上させることが重要である。このため、感光体を形成する材料に種々の添加剤を加えて、経時的な摩擦抵抗の増加を抑えると共に、感光体表面の耐摩耗性を向上させることが検討されている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
特開2002−82466号公報 特開2005−107490号公報 特開2008−233893号公報
しかしながら、従来の技術には以下のような問題がある。特許文献1では、感光体表面の摩擦抵抗の低減及び耐摩耗性の向上を目的として、フッ素樹脂からなる固体微粒子潤滑剤と無機微粒子とを添加することが検討されている。しかし、フッ素樹脂粒子の耐摩耗性が低いため、長期にわたって良好なクリーニング性を維持することは困難である。
また、特許文献2では、保護層にシリコーンオイル等の潤滑材を添加している。しかし、潤滑剤が表面に浸出してしまい、表面微小摩耗の経時的な進行により、その効果が次第に失われてしまうという問題がある。
特許文献3では、フッ素系の紫外線硬化型ハードコート剤とフッ素樹脂等からなる潤滑性微粒子とを組みあわせることが検討されている。しかし、フッ素系ハードコート剤と比べて潤滑性微粒子が摩耗しやすいため、潤滑性微粒子がクリーニング等の際に摩耗したり、欠落したりしやすく、保護層に微小な凹凸が生じるという問題がある。
本開示の課題は、摩擦抵抗の経時的な増加を抑えると共に、耐摩耗性を向上させ、長期的に安定した画像を得ることができる有機感光体を実現できるようにすることである。
本開示の有機感光体の一態様は、導電性の支持体と、支持体の上に設けられた感光層及び保護層とを少なくとも備え、保護層は、多官能性球状デンドリマと、ウレタン結合を有する多官能性の第1のアクリル系化合物と、分子内にシリコン含有基及びフッ素含有基を有する多官能性の第2のアクリル系化合物とを反応硬化させた樹脂組成物及び導電性の金属酸化物を含む。
有機感光体の一態様において、第1のアクリル系化合物は、重量平均分子量が1000以上で、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基の少なくとも1種を有する4官能以上のウレタンアクリレート又はウレタンメタアクリレートとすることができる。
有機感光体の一態様において、多官能性球状デンドリマは、重量平均分子量が1000以上、25000以下のポリエステルアクリレート、又はポリアクリレートで、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基の少なくとも1種の重合性官能基を有することができる。
有機感光体の一態様において、多官能性球状デンドリマの配合比率は、多官能性球状デンドリマと第1のアクリル系化合物と第2のアクリル系化合物との合計に対して10質量%以上、50質量%以下とすることができる。
有機感光体の一態様において、シリコン含有基は、ジメチルシロキサン基であり、フッ素含有基は、パーフルオロポリエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくとも1種であり、第2のアクリル系化合物は、ポリアクリレートのユニットを有している構成とすることができる。
有機感光体の一態様において、第2のアクリル系化合物の配合比率は、多官能性球状デンドリマと第1のアクリル系化合物と第2のアクリル系化合物との合計に対して、5質量%以上、50質量%以下とすることができる。
有機感光体の一態様において、導電性の金属酸化物は、酸化スズ、リンドープ酸化スズ、及びアンチモンドープ酸化スズの少なくとも1種を含み、平均1次粒子径が100nm以下とすることができる。
有機感光体の一態様において、導電性の金属酸化物の配合量は、多官能性球状デンドリマと第1のアクリル系化合物と第2のアクリル系化合物との合計100質量部に対して10質量部以上、40質量部以下とすることができる。
本開示の電子写真装置の一態様は、本開示の有機感光体を用いる。
本開示のプロセスカートリッジの一態様は、本開示の有機感光体を用いる。
本開示の有機感光体によれば、摩擦抵抗の経時的な増加を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
保護層の表面からの深さと摩擦係数との関係を示すグラフである。
本開示において、特に断りがない限りアクリル又はアクリレートという記載は、アクリル又はアクリレートだけではなくメタクリル又はメタクリレートを含む。
本開示の有機感光体は、導電性の支持体の上に順に設けられた電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層と、保護層とを備えている。保護層は、多官能性球状デンドリマと、ウレタン結合を有する多官能性の第1のアクリル系化合物と、分子内にシリコン含有基及びフッ素含有基を有する多官能性の第2のアクリル系化合物とを反応硬化させた樹脂組成物並びに導電性の金属酸化物を含む。
多官能性の第1のアクリル系化合物は、分子内にウレタン結合を有すると共に複数の重合性の官能基を有する。分子内にウレタン結合を有していることにより、分子間においてウレタン結合同士の間に水素結合が生じ、物理的架橋構造が形成される。これにより、保護層の強靱性及び耐擦傷性をより向上させることができる。また、保護層と感光層との密着性を向上させることができる。
第1のアクリル系化合物に含まれる重合性の官能基は、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基の少なくとも1種であることが好ましく、中でもアクリロイル基が好ましい。架橋構造を形成する観点から、分子内の重合性の官能基の数は3以上であり、好ましくは4以上である。
第1のアクリル系化合物は、特に限定されないが、オリゴマであることが好ましい。低分子のモノマではなく、オリゴマを硬化(架橋)前の出発物質とすることにより、オリゴマ分子間の絡み合いを有する架橋構造が容易に形成できる。これにより、保護層の強靭性及び耐擦傷性がより向上する。
第1のアクリル系化合物の重量平均分子量(Mw)は、保護層の靱性を向上させる観点からは、500以上が好ましく、600以上がより好ましい。そして、架橋構造を緻密にする観点からは、4,500以下が好ましく、2,500以下がより好ましい。
第1のアクリル系化合物の具体例として、複数のアクリロイル基を有するウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えばポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるポリイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとを反応させることにより得ることができる。
第1のアクリル系化合物の具体例としては、日本合成化学製のウレタンアクリレートオリゴマーであるUV−7605B等が挙げられる。
多官能性球状デンドリマは、中心から規則的に分枝した樹状構造を有する球状のオリゴマ又はポリマであり、分子内に重合性の官能基を有している。重合性の官能基は、側鎖の末端に位置していることが好ましい。重合性の官能基は、多官能性の第1のアクリル系化合物と反応させることができればどのようなものでもよい。
球状デンドリマの骨格となる分子は、ポリアクリレートであることが好ましく、中でもポリエステルアクリレートが好ましい。複数種類のモノマ単位を含む共重合体となっていることが好ましい。
球状デンドリマのMwは、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、そして25,000以下が好ましい。また、単一的な分子量ピークを有していることが好ましい。
多官能性球状デンドリマの具体例としては、大阪有機化学工業製のビスコート#1000及びStar−501等が挙げられる。ビスコート#1000は、末端にアクリレート基を有する多分岐(デンドリマー型)ポリエステルアクリレートを主成分とするものであり、Mwは1,570、官能基数は14である。Star−501は、ジペンタエリスリトールをコアとするものであり、末端にアクリレート基を有する多分岐(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)連結型)ポリアクリレートを主成分とするものであり、Mwは18,100である。
多官能性の第2のアクリル系化合物は、分子内にシリコン含有基とフッ素含有基とを有すると共に、複数の重合性の官能基を有している。シリコン含有基は、例えばシロキサン基とすることができ、中でもジメチルシロキサン基が好ましい。フッ素含有基は、パーフルオロアルキル基及びパーフルオロエーテル基が好ましく、中でもパーフルオロエーテル基が好ましい。パーフルオロエーテル基の具体例としては、-(O-CF2)-、-(O-CF2CF2)-、-(O-CF2CF2CF2)-又は-(O-CF2C(CF3)F)-等の繰り返し構造が挙げられる。重合性の官能基は、第1のアクリル系化合物及び多官能性球状デンドリマと反応させることができればよい。例えば、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基の少なくとも1種であることが好ましく、中でもアクリロイル基が好ましい。架橋構造を形成する観点から、分子内の重合性の官能基の数は5以上が好ましい。
第2のアクリル系化合物は、例えば式1に示すようなジペンタエリスリトールアクリレートが結合した多官能性のアクリレートのユニットと、式2に示すようなジメチルシロキサンを含むユニットと、先に示したようなパーフルオロエーテル基を含むユニットとを含む多官能性のポリマー又はオリゴマーとすることができる。アクリレートのユニットは、多官能性であれば、ジペンタエリスリトールアクリレートに限らない。式2に示すユニット以外のシロキサン基を含むユニットを用いることもできる。パーフルオロエーテル基を含むユニットに代えて又は加えてパーフルオロアルキル基を含むユニットとすることもできる。多官能性の第2のアクリル系化合物は、分子内にウレタン結合を有していてもよい。
第2のアクリル系化合物のMwは、5,000 以上、好ましくは10,000以上、そして20,000以下、好ましくは15,000以下とすることができる。
第2のアクリル系化合物の具体例としては、日本合成化学製のAF−300等が挙げられる。AF−300は、ペンタエリスリトールアクリレート、イソシアネート基含有アクリレートと、ポリジメチルシロキサンユニットと、パーフルオロエーテル及びパーフルオロアルキル成分ユニットとが結合した、Mwが約10,000のポリマーである。
多官能性球状デンドリマ、多官能性の第1のアクリル系化合物及び多官能性の第2のアクリル系化合物を配合して硬化させた樹脂組成物は、高い硬度と応力緩和性とを両立すると共に、微小摩耗が進行しても低い摩擦抵抗を長期に亘り保持することが可能となる。
第1のアクリル系化合物と、多官能性球状デンドリマとにより、高分子量の架橋構造体内部に球状デンドリマが取り込まれた構造が形成される。球状デンドリマの分子内結合による、結合が密に存在する領域と、球状デンドリマ分子間の結合が疎な領域とにより、樹脂組成物全体のマクロな物性として高い硬度と応力緩和性とを両立させることができる。
さらに、シリコン含有基とフッ素含有基とを有する第2のアクリル系化合物を含むため、樹脂組成物の表面摩擦抵抗を低減することができる。第2のアクリル系化合物は、樹脂組成物内に単に分散しているのではなく、第1のアクリル系化合物及び多官能性球状デンドリマと共に架橋構造を形成する。このため、フッ素樹脂粒子を添加した場合とは異なり硬化した樹脂組成物内に均質に分布固定化されている。また、低分子の潤滑物質を添加した場合とは異なり樹脂組成物の表面だけでなく内部にも均質に存在している。このため、樹脂組成物の表面が機械的に研磨された場合にも、低い摩擦抵抗を維持することができる。従って、本開示の有機感光体は、表面摩耗時の表面摩擦抵抗の経時的な増加を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
多官能性球状デンドリマ、第1のアクリル系化合物及び第2のアクリル系化合物の合計に対して、第1のアクリル系化合物の配合比率は、十分な物理的架橋構造を形成する観点から40質量%以上、そして90質量%以下、好ましくは80質量%以下である。多官能性球状デンドリマ、第1のアクリル系化合物及び第2のアクリル系化合物の合計に対して、多官能性球状デンドリマの配合比率は、十分な硬度を実現する観点から10質量%以上、好ましくは20質量%以上、そして50質量%以下である。多官能性球状デンドリマ、第1のアクリル系化合物及び第2のアクリル系化合物の合計に対して、第2のアクリル系化合物の配合比率は、摩擦抵抗を十分に低減する観点から5質量%以上、好ましくは10質量%以上、そして50質量%以下、好ましくは25質量%以下である。
樹脂組成物を反応硬化させる際には、重合開始剤を添加することができる。重合開始剤は種々のものを用いることができる。例えば、熱重合開始剤又は光重合開始剤等を用いることができる。また、重合開始剤を加えなくても反応硬化させることができる場合には、重合開始剤を用いなくてもよい。例えば、活性線照射により反応硬化させることもできる。熱又は活性線等によってラジカルを発生させることにより、樹脂組成物は重合し、分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合が形成され、硬化する。活性線としては、紫外線又は電子線が好ましく、照射装置としては、公知の紫外線照射装置又は電子線照射装置を適宜用いることができる。
多官能性球状デンドリマ、第1のアクリル系化合物及び第2のアクリル系化合物は、下層に設けられた感光層の電荷輸送材料及びバインダー樹脂への溶解性の影響を低減する観点から、イソプロパノール等のアルコール系溶媒に可溶であることが好ましい。但し、これに限定されない。例えば、下層の溶解性に影響がなければ、アルコール系溶媒と樹脂溶解性の有機溶媒等との混合溶媒を用いることができ、アルコール系溶媒に不溶の化合物であっても用いることができる。
導電性の金属酸化物は、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、若しくは酸化アンチモン等の単体金属酸化物、又は酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体等を用いることができる。また、リン含有酸化スズ又はアンチモン含有酸化スズ等のリン又はアンチモンを含有する金属酸化物を用いることもできる。金属酸化物の配合量は、特に限定されないが樹脂組成物100質量部に対し、10質量部、好ましくは15質量部、そして40質量部、好ましくは25質量部とすることができる。金属酸化物は、細かいものが好ましく、平均1次粒子径が100nm以下であることが好ましい。
保護層の形成方法は特に限定されないが、例えば以下のようにして形成することができる。まず未反応の樹脂組成物と金属酸化物とを溶剤に溶解又は分散させ保護層用組成物を形成する。保護層用組成物を感光層の上にコーティングした後、溶剤の除去及び重合を行うことにより保護層を形成することができる。保護層用組成物のコーティングはどのようにして行ってもよく、例えば、浸漬コーティング、リングコーティング、ロールコーティング、ワイヤワインディングロッドコーティング、又はスプレー等により行うことができる。溶剤は、樹脂組成物の構成成分に応じて選択すればよいが、感光層へのダメージを低減する観点からは、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。溶媒の除去は、熱処理等により行えばよい。熱処理の温度及び時間は使用する溶媒によって設定すればよいが、例えば100℃程度で10分程度とすることができる。減圧等を行ってもよい。本実施形態にかかる保護層の硬化手法としては、塗布・乾燥後、活性線照射してラジカルを発生して重合し、分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化樹脂を形成することが好ましい。活性線としては、紫外線や電子線が好ましく、照射装置としては、公知の紫外線照射装置、電子線照射装置を適宜用いて保護層を形成することができる。
i)導電性支持体
導電性支持体は、導電性を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、亜鉛、鉄、銅、金、銀、白金、およびステンレス等の金属、
あるいは、これらの金属の合金を用い、ドラム状、シート状またはベルト状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、 酸化インジウムおよび酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、金属、プラスチックフィルムおよび紙等に導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けたもの等が挙げられる。
ii)中間層の構成
〔中間層〕
中間層は、導電性支持体側からの電荷注入防止、接着性の向上、モアレなどの防止、上層(感光層)の塗工性改良、及び残留電位の低減などの目的から設けられる。中間層は、熱硬化性樹脂と、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、若しくは酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、金属硫化物、又は金属窒化物などの無機顔料からなる微粉末の1種又は2種以上とを、ボールミル、サンドミル、又はアトライター等により分散調製した塗工液を用いて形成することができる。
無機顔料としては、特に高純度の酸化チタンが好ましい。無機顔料を分散する溶媒としては、樹脂の溶解性及び無機顔料の分散性の観点から、ケトン系溶媒、特にシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンが好ましい。これらの溶媒を用いることにより無機顔料を一次粒径迄分散させて凝集物のない均一な塗工液を製造することが可能となる。
中間層に用いられる樹脂としては、中間層上に設けられる感光層が溶剤を用いて塗布形成されることを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂、例えばアクリル系樹脂、アルキッド樹脂、アミノ樹脂、又はメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が例示される。
iii)感光層の構成
〔感光層〕
感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とが積層された積層型感光層、及び電荷発生層と電荷輸送層とが一体となった単層型感光層がある。本実施形態においては、積層型感光層及び単層型感光層のいずれとすることもできる。
<積層型感光層>
積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、感光層の層構成としては、少なくとも支持体上に電荷発生層、電荷輸送層が積層された構成を取る。積層順については特に限定されないが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層することが好ましい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を含むことができる。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ペリレン顔料、及びフタロシアニン顔料等が挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。中でも良好な電気特性を得られることから、電荷発生層は、オキソチタニルフタロシアニンおよびガリウムフタロシアニンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、及びポリビニルケトン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。電荷輸送層には電荷輸送物質としてホール輸送物質が含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。ホール輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、並びにエナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらのホール輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷発生層用組成物及び電荷輸送層用組成物のコーティングはどのようにして行ってもよく、例えば、浸漬コーティング、リングコーティング、ロールコーティング、ワイヤワインディングロッドコーティング、又はスプレー等により行うことができる。
本開示の有機感光体は、電子写真感光体として用いることができる。電子写真感光体は、例えばドラム状であり、軸を中心に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体は、回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。印加される電圧としては、例えば直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧である。帯電装置は、帯電部材を感光体に接触させて電荷を与える接触帯電装置が使用される。電子写真感光体は、帯電を受けた後、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段からの露光を受ける。これにより、電子写真感光体の周面に静電潜像が順次形成されていく。形成された静電潜像は、現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、給紙された転写材に転写される。
本開示の電子写真感光体は、プロセスカートリッジとすることができる。例えば、本開示の電子写真感光体と、帯電手段、及び現像手段等を一体に結合して構成することができる。本開示のプロセスカートリッジは、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。
以下に、本開示について実施例を用いてより具体的に説明する。以下の実施例は例示であり、本開示はこれに限定されない。
−多官能性デンドリマの効果−
ウレタン結合を有する多官能性の第1のアクリル系化合物と、多官能性球状デンドリマとを所定の比率で混合した引張試験用組成物を重合して試験片を作成し、引張試験を行った。第1のアクリル系化合物には、ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、日本合成化学製)を用い、球状デンドリマには、デンドリマポリアクリレートオリゴマー(Star-501、Mw:18,100、大阪有機化学工業製)を用いた。引張試験用組成物には、重合開始剤として、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(イルガキュア907、BASFジャパン製)を、第1のアクリル系化合物と多官能性球状デンドリマとの合計100質量部に対し10質量部加え、紫外線照射により架橋重合を行った。紫外線照射はメタルハライドランプを用い、照射強度・照射時間を制御し、紫外線露光量:1850mJ/cm2の条件で紫外線硬化させ、厚み15μmのフィルムを作成した。
試験片は、幅10mm、厚さ15μmの短冊状とし、チャック間距離は20mmとした。引張速度は0.01mm/sとし、硬化フィルムの機械的特性を測定した。
試験片1は、球状デンドリマを含まない第1のアクリル系化合物の硬化物とし、試験片2は、第1のアクリル系化合物及び多官能性球状デンドリマの合計に対して、第1のアクリル系化合物50質量%、球状デンドリマ50質量%の混合物の硬化物とし、試験片3は第1のアクリル系化合物80質量%、球状デンドリマ20質量%の混合物の硬化物した。
表1に示すように、ウレタン結合を有する第1のアクリル系化合物のみの場合に比べて、球状デンドリマを構造体内に複合化し硬化膜とした場合には、ヤング率が25%程度小さくなり、最大伸び率は5倍程度大きくなり、破断荷重は4倍程度大きくなった。このように、多官能性球状デンドリマを構造体内に複合化した硬化膜により、クリーニングブレードとの圧接ストレスおよびトナー・外添材・研磨剤粒子等のクリーニング時に発生する感光体表面の応力ストレスを緩和し、耐傷性向上に寄与し、さらに、温度・湿度変化による膜の膨張・収縮に対する機械的ストレス耐性がより向上し、有機感光体の保護膜として長期的耐久性面で、より有用となる。
−3成分系の効果−
<摩擦係数の測定>
作成した平板状の硬化膜を用いてスクラッチ試験を行いながら、硬化膜の深さ方向における摩擦係数の変化を測定した。
スクラッチ試験は、Bruker-axs社製UMT-2を用いて、プローブにロックウェルインデンター(円錐形120°、先端半径200μm)を用い、荷重を0.5から5Nまでリニア変動させ、測定速度0.1mm/秒にて、測定距離5mm、測定時間50秒の条件で行った。スクラッチした同一傷痕箇所の表面を再度、荷重0.5N、測定距離5mm、測定速度0.1mm/秒、測定時間50秒による摩擦係数の測定を行った。スクラッチ試験後の摩擦係数の結果とBruker-axs社製白色光干渉顕微鏡(オプティカルプロファイラー、測定分解能(Z方向): 0.1nm)によるスクラッチ痕の深さの測定結果から、膜内深さ方向での摩擦係数を算出した。
<表面硬度測定>
作製した有機感光体の表面硬度(マルテンス硬さ値、HM)及び弾性仕事率を、微小硬度測定装置を用いて測定した。微小硬度測定装置は、フィッシャー・インストルメンツ社製ナノレンジ・インデンテーションテスター(型式:ピコデンター HM500)を使用した。このピコデンターHM500を使用し、荷重/押込み深さ法(インデンテーション試験法)によって、感光体表面層に形成した硬化樹脂表面層の機械的物性を測定した。圧子には、三角形ダイヤモンド圧子を使用し、負荷荷重を0.5mNとし、表面層の機械的特性試験評価により、表面硬度特性(マルテンス硬さ値、HM)及び弾性・塑性特性(弾性仕事率、nIT)のデータを得た。
<画像ボケ>
作成した有機感光体を電子写真装置[三星株式会社製CLX−8650ND]に装着し、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を30万枚印刷した。30万枚印刷した後、テキスト5%チャートを印字し、画像ボケおよび画像流れの有無を下記の評価基準により判定した。
◎:画像ボケ・流れ発生無し
○:軽微な画像ボケ・流れ発生(実使用上問題無し)
×:画像ボケ・流れ発生
<クリーニング不良>
画像ボケ評価後、温度23℃、湿度55%で、ハーフトーン(HT)画像を形成し、下記の評価基準で目視判断した。
◎:クリーニング不良による画像欠陥無し
○:クリーニング不良による軽微な画像欠陥あり(実使用上問題無し)
×:クリーニング不良による画像欠陥あり
<ブレード鳴き>
クリーニング不良評価後、10℃、湿度20%で、電位測定で用いたのと同じ電子写真装置を用いてA4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を30万枚印刷し、ブレードの鳴きを、下記の判定基準により判定した。
◎:30万枚終了するまでブレードの鳴き無し
○:感光体の起動時・停止時に軽微な鳴きあり(実使用上問題無し)
×:連続的にブレードの鳴きあり
<膜減耗量>
作成した感光体の初期の膜厚と、評価後の膜厚を、渦電流式膜厚計[株式会社フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープMMS]で測定した。初期の膜厚と評価後の膜厚との差を、感光体の回転数で割った値を膜減耗量指標とした。表2中「kサイクル」が1000単位で表した感光体の回転数を示しており、例えば10kサイクルは1万回感光体が回転したことを示す。
(実施例1)
以下のような組成の保護層塗工液1を導電性支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上にリング塗工法を用いて塗布した後に、100℃で10分乾燥後、メタルハライドランプを用いて、照度強度、照射時間を制御し、紫外線露光量:1850mJ/cm2の条件で紫外線照射を行うことで表面保護層を架橋硬化させ、厚さ5.0μmの表面保護層を形成した有機感光体を得た。保護層塗工液1を用いて、同様の手法により厚さが5μmの平板状の硬化膜を作成した。なお、配合量は、多官能性球状デンドリマ、第1のアクリル系化合物及び第2のアクリル系化合物の合計100質量部対する値である。
保護層塗工液1
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、75質量部
・球状デンドリマ:デンドリマポリアクリレートポリマー(Star-501、Mw:18,100、大阪有機化学工業製、樹脂固形分50質量%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量%のResin溶液)、20質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、5質量部
・導電性金属酸化物:アンチモン含有の酸化スズ微粒子(ATO、商品名:T−1、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA分散液)、20質量部
・光重合開始剤:(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(イルガキュア907、BASFジャパン製))、10質量部
・2-プロパノール:250質量部
(実施例2)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液2を用いて、実施例1と同様にして感光体及び硬化膜を作成した。保護層塗工液2において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液2
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、70質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部
(実施例3)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液3を用いて、実施例1と同様にして感光体及び硬化膜を作成した。保護層塗工液3において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液3
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、55質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、25質量部
(実施例4)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液4を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液4において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液4
・第1のアクリル系化合物をウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、30質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、50質量部
(実施例5)
保護層塗工液1について以下のような変更を加えた保護層塗工液5を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液5において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液5
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(実施例6)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液6を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液6において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液6
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、10質量部
(実施例7)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液7を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液7において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液7
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、40質量部
(実施例8)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液8を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液8において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液8
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、80質量部、
・球状デンドリマ:デンドリマポリアクリレートポリマー(Star-501、Mw:18,100、大阪有機化学工業製、樹脂固形分50質量%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量%溶液)、10質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(実施例9)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液9を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液9において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液9
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、40質量部
・球状デンドリマ:デンドリマポリアクリレートポリマー(Star-501、Mw:18,100、大阪有機化学工業製、樹脂固形分50質量%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量%溶液)、50質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(実施例10)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液10を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液10において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液10
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、70質量部
・球状デンドリマ:デンドリマポリエステルアクリレートオリゴマー(ビスコート#1000、Mw:1,570、大阪有機化学工業製)、20質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部、
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(実施例11)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液11を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液11において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液11
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7650B、Mw:2,300、官能基数:4〜5、日本合成化学製)、70質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(比較例1)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液12を用いて、実施例1と同様にして感光体及び硬化膜を作成した。保護層塗工液12において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液12
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、80質量部
・第2のアクリル系化合物:使用せず
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(比較例2)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液13を用いて、実施例1と同様にして感光体及び硬化膜を作成した。保護層塗工液13において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液13
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、80質量部
・第2のアクリル系化合物:表面改質剤(シリコーン変性アクリルポリマー(GL-02R、Mw:7,500、共栄社化学社製、含有量:固形分20質量%、酢酸ブチル80質量%))、0.5質量%
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(比較例3)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液14を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液14において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液14
・第1のアクリル系化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー(UV-7605B、Mw:1,100、官能基数:6、日本合成化学製)、90質量部
・球状デンドリマ:使用せず
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部、
・電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
(比較例4)
保護層塗工液1に対して以下のような変更を加えた保護層塗工液15を用いて、実施例1と同様にして感光体を作成した。保護層塗工液15において記載していない成分については、保護層塗工液1と同じである。
保護層塗工液15
・第1のアクリル系化合物:アクリレートモノマー(SR355、Mw:482、アクリル官能基数:4、SARTOMER社製)、70質量部
・第2のアクリル系化合物:パーフルオロポリエーテル含有シリコン変性アクリレート(AF-300、日本合成化学工業製)、10質量部
・導電性金属酸化物:リン含有の酸化スズ微粒子(PTO、商品名:SP−2、平均粒径0.02μm、三菱マテリアル(株)製、20質量%固形分/IPA溶液)、20質量部
図1に各実施例及び比較例の摩耗時の摩擦係数の変化結果を示す。表面改質剤を添加した比較例2は、添加していない比較例1と比べて、表面の摩擦係数は若干低下したが、深さが深くなると次第に上昇し、深さが0.7μmの位置において添加していない場合とほぼ同じになった。
シリコン含有基及びフッ素含有基を有する第2のアクリル系化合物を添加した実施例1〜3は、添加していない比較例1と比べて、表面の摩擦係数が大きく低下した。深さが0.7μmの位置においても、比較例1と比べて低い摩擦係数を維持した。
さらに実施例及び比較例で作製した感光体を用いて、以下の測定および評価を実施した結果を表2に示す。
実施例1〜11の感光体は、30万枚印刷後の画像ボケ、クリーニング不良、およびブレード鳴きの評価結果も良好であった。さらに、膜減耗量も少なく、良好な結果であった。このように、長期にわたって、感光体に必要な特性を満足する結果となった。これらの結果から、長期の繰り返し使用によっても、感光体表面の摩耗が少なく、クリーニング性を維持でき、耐キズ性も良好で、フィルミングや画像ボケの発生が少ない、耐久性の高い感光体を得られたことが確認できた。
比較例1では、印刷の途中でクリーニングブレードの反転が起こり、30万枚印刷評価が実施できなかった。これは、保護層の減耗と共に摩擦抵抗の上昇が起こり、クリーニングブレードと保護層間に十分な摺動性が得られなかったためである。
比較例2では、保護層に摺動性改質剤としてシリコーン変性重合性アクリルポリマを表面改質剤として添加し保護膜にした。比較例2においては、初期の摺動性は十分であったものの、30万枚印刷まで評価できず摺動性が失われてしまい、クリーニング不良などの問題を起こした。これは、シリコーン変性重合性アクリルポリマが硬化膜形成時に表面への移行性により表面に改質剤が偏析した形態で硬化されており、最表面層のみ良好なシリコーン基が偏析していると考えられる。経時的摩耗によって印刷の途中で摺動性効果が失われてしまった結果と考えられる。
これに対して、比較例3では、印刷の途中でクリーニングブレードの反転は起こらなかったものの、膜の減耗量は、多官能性球状デンドリマを保護層内に複合化した実施例1〜11に対して、膜減耗量が大きかった。これは、第2のアクリル系化合物により減耗時も表面の摺動性は十分であったが、摩耗に関するストレス応力に対して、球状デンドリマの複合化による摩耗を抑制する効果が不足していた結果と推測される。
本開示の有機感光体は、感光体表面とクリーニングブレードとの摩擦抵抗の経時的な増加を抑えると共に、耐摩耗性を向上させることができ、有用である。

Claims (10)

  1. 導電性の支持体と、
    前記支持体の上に設けられた感光層及び保護層とを少なくとも備え、
    前記保護層は、多官能性球状デンドリマと、ウレタン結合を有する多官能性の第1のアクリル系化合物と、分子内にシリコン含有基及びフッ素含有基を有する多官能性の第2のアクリル系化合物とを反応硬化させた樹脂組成物及び導電性の金属酸化物を含む、有機感光体。
  2. 前記第1のアクリル系化合物は、重量平均分子量が1000以上で、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基の少なくとも1種を有する4官能以上のウレタンアクリレート又はウレタンメタアクリレートである、請求項1に記載の有機感光体。
  3. 前記多官能性球状デンドリマは、重量平均分子量が1000以上、25000以下のポリエステルアクリレート、又はポリアクリレートの少なくとも1種であり、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基の少なくとも1種の重合性官能基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機感光体。
  4. 前記多官能性球状デンドリマの配合比率は、前記多官能性球状デンドリマと前記第1のアクリル系化合物と前記第2のアクリル系化合物との合計に対して10質%以上、50質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
  5. 前記シリコン含有基は、ジメチルシロキサン基であり、
    前記フッ素含有基は、パーフルオロポリエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくとも1種であり、
    前記第2のアクリル系化合物は、ポリアクリレートのユニットを有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
  6. 前記第2のアクリル系化合物の配合比率は、前記多官能性球状デンドリマと前記第1のアクリル系化合物と前記第2のアクリル系化合物との合計に対して5質量%以上、50質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
  7. 前記導電性の金属酸化物は、酸化スズ、リン含有酸化スズ、及びアンチモン含有酸化スズの少なくとも1種を含み、平均1次粒子径が100nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機感光体。
  8. 前記導電性の金属酸化物の配合量は、前記多官能性球状デンドリマと前記第1のアクリル系化合物と前記第2のアクリル系化合物との合計100質量部に対して10質量部以上、40質量部以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機感光体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機感光体を用いる電子写真装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機感光体を用いるプロセスカートリッジ。
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