JP5874477B2 - 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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上記のような手段を用いることによって感光体の機械的耐久性は飛躍的に向上されている。特に、前記特許文献12や特許文献13に記載の硬化型樹脂を保護層に用いた感光体は機械的耐久性や耐傷性に優れる。
感光体表面に離型性を付与する方法としては、感光体に離型剤等を塗布したり、トナー粒子離型剤を含有させることで感光体に離型剤を付与したりする外添による方法と、感光体の表面層に離型性を有する材料を含有させる内添による方法とがある。
しかしながら、感光体表面に付与された低表面エネルギー化材料が放電により劣化し、異常画像の原因となることがある。また塗布機構を設けることで、作像部が大きくなり、レイアウトの自由度が低下すると共に、作像部のコストが上昇する。
さらに、低表面エネルギー化材料を常に表面に析出させるためには、感光体表面を常に摩耗させる必要があり、機械的耐久性が低下する。
しかしながら、充分に付着力を低減するためには、相当量のフッ素材料を含有させる必要がある。これらフッ素系材料は、電気陰性度が高いため、大量に添加すると、明部電位が上昇することがある。これは、膜内部や電荷輸送層と保護層界面で電荷移動が妨げられることに起因していると考えられる。また、大量に添加すると、離型性により、膜強度が低下する傾向がある。このように、離型性付与では機械的耐久性向上と表面汚染防止の両立は困難である。
しかしながら、硬化型の保護層ではないためにAC帯電プロセスでは帯電ハザードによって保護層樹脂の結合が切れ低分子量化しやすく、経時での機械的耐久性が充分でない。
しかし、保護層はコロイダルシリカを原料に用いた熱硬化型であり、ガラス質の膜であり、ガラス質の膜は有機成分が少ないために樹脂膜と比べ可撓性が不足しており二成分現像に用いられるキャリアとの接触により、キャリア痕ができやすい。そのために感光体の長寿命化は達成が困難である。
高硬度の保護層を有するものは、クリーニングブレードと保護層との接触面積が大きくなり、両者の摩擦力が大きくなる傾向にある。このような状態ではクリーニングブレードの引き込みが大きくなり、トナーがすり抜けやすくなる。
また、高硬度の保護層はクリーニングブレードを摩耗させやすいため、経時でさらにクリーニング性が悪化する傾向にある。
すなわち上記課題は、本発明の「導電性支持体上に、感光層、硬化型保護層を有する電子写真感光体であって、
該硬化型保護層は、少なくともラジカル重合性の官能基を有する第1の無機フィラーとラジカル重合性化合物との硬化生成物、及び、ラジカル重合性の官能基を有さない第2の無機フィラーを有するものであり、前記該電子写真感光体のユニバーサル硬度が300N/mm2以上であることを特徴とする電子写真感光体」によって解決される。
(1)「導電性支持体上に、感光層、硬化型保護層を有する電子写真感光体であって、
該硬化型保護層は、少なくともラジカル重合性の官能基を有する第1の無機フィラーとラジカル重合性化合物との硬化生成物、及び、ラジカル重合性の官能基を有さない第2の無機フィラーを有するものであり、前記該電子写真感光体のユニバーサル硬度が300N/mm2以上であることを特徴とする電子写真感光体」、
(2)「前記第2の無機フィラーは、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下であり、硬化型保護層中で凝集していることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(3)「前記硬化型保護層は、前記第2の無機フィラーを10wt%以上40wt%以下含有するものであることを特徴とする前記第(1)項または前記第(2)項に記載の電子写真感光体」、
(4)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置であって、該電子写真感光体が前記第(1)項乃至前記第(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置」
(5)「電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段が1体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにであって、該電子写真感光体が前記第(1)項乃至前記第(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」。
以下、本発明の態様について具体的に説明する。
<電子写真感光体>
本発明の感光体の一例を図1に示す。図1の感光体は、導電性支持体(31)上に、電荷発生層(32)、電荷輸送層(33)、硬化型保護層(34)を順に積層型してなる。
硬化型保護層について説明する。
硬化型保護層は、少なくともラジカル重合性の官能基を有する第1の無機フィラーとラジカル重合性化合物が反応した硬化生成物、及び、ラジカル重合性の官能基を有さない第2無機フィラーを有する。
前記硬化とは、一般に複数の官能基を有する低分子化合物の分子間反応や高分子化合物が、熱、光、電子線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
本発明の硬化型保護層には、樹脂成分としてラジカル重合性化合物の硬化物を含む。
本発明におけるユニバーサル硬度とは超微小硬度計により測定した硬度である。これは最大試験荷重Fで圧子を試料に接触させた際に生成した圧子と測定対象物との接触表面積をAとしたとき、F/Aと定義され、N/mm2で表される。接触表面積Aは、押し込み深さhから算出する。
圧子には四角錐形のビッカース圧子や三角錐形のベルコビッチ(バーコビッチ)圧子が用いられる。測定器としてはフィッシャースコープ H−100(フィッシャー・インストルメンツ社製)などを用いることができる。
装置:フィッシャースコープ H−100(フィッシャー・インストルメンツ社製)
最大試験荷重:1mN
荷重アプリケーション時間:30秒
荷重の増加:1mN/30秒
最大試験荷重でのクリープ:5秒
荷重の減少:荷重の増加と同条件
徐荷後のクリープ:5秒
圧子:SMC117
弾性率(%) = 100 ×(最大変位 − 塑性変位)/ 最大変位
ユニバーサル硬度が300N/mm2が未満であると、シリカ等が硬化型保護層に刺さり易くなり、耐汚染性が低下する。
<ラジカル重合性の官能基を有する第1の無機フィラー>
本発明で用いるラジカル重合性の官能基を有する無機フィラーとは、ラジカル重合性の官能基を有する化合物が表面に結合した無機フィラーを示す。
これらの中でもコロイダルシリカ、コロイダルアルミナが好ましい。さらに好ましくはコロイダルシリカである。詳細な理由は定かではないが、コロイダルシリカを用いた際には同等の硬度であっても耐汚染性が高い。
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の一般式(1)で表わされる官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1−・・・・一般式(1)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR78基(R78は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、または−S−基を表わす。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1、3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
1、1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の一般式(2)で表わされる官能基が挙げられる。
CH2=CY−X2−・・・・一般式(2)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR79基(R79は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR80R81(R80及びR81は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記一般式(1)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
ラジカル重合性化合物は、前記第1の無機フィラーの表面に存在する官能基と同様の官能基を有する化合物であり、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を有する化合物が有用である。ラジカル重合性化合物の官能基数はより多官能、具体的には3官能以上が機械的耐久性、フィラー保持性の観点から好ましい。
3官能以上のラジカル重合性化合物を硬化した場合、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐キズ性が達成される。
しかし、硬化条件や用いる材料によっては硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため、体積収縮による内部応力が発生し、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる場合がある。その場合には1官能あるいは2官能のラジカル重合性化合物を用いたり、あるいはそれらを混合して用いたりすることで改善できる場合がある。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
本発明の硬化型保護層には、ラジカル重合性の官能基を有さない第2の無機フィラーを含む。第2の無機フィラーは凝集した状態で、硬化樹脂の架橋マトリックスに捕えられる。
10wt%未満ではクリーニング性が向上しないことがあり、40wt%を超えると凝集により膜の不均一化や残留電位の上昇が起こることがある。
前記硬化型保護層の膜厚は、0.5μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。
また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
次に本発明の感光層について説明する。本発明の感光層は単層型、積層型のいずれであってもよく、積層型感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が積層されることによって構成されている。
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。なお、これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。
バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μm程度であり、0.1〜2μmが好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。
本発明の電荷輸送層には電荷輸送物質として正孔輸送物質は含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。各々の例を以下に示す。なお、電荷輸送物質とは電子輸送物質および正孔輸送物質を意味する。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部が好ましく、より好ましくは40〜150重量部が適当である。
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法、並びに、画像形成装置を詳しく説明する。
図2は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
感光体(10)は図2中の矢印の方向に回転し、感光体(10)の周りには、帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、除電部材(18)等が配置される。クリーニング部材(17)や除電部材(18)が省略されることもある。
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体(10)に光が照射される。但し、除電工程における感光体(10)への露光は、感光体(10)に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。
したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
前記プロセスカートリッジとは、図3に示すように、感光体(10)を内蔵し、他に帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、及び除電部材を含んだ1つの装置(部品)である。
(合成例1)
・コロイダルアルミナ(アルミナゾル520 日産化学工業社製 平均粒子径10〜20nm 固形分濃度20%)
ラジカル重合性の官能基を有するシランカップリング剤(KBM−5103 信越化学工業社製)
KBM−5103 0.1gを水/メタノールの等量混合物10gに溶解させ、シランカップリング剤溶液とした。フラスコにアルミナゾル520を50g加え、シランカップリング溶液を徐々に滴下し、滴下終了後60分攪拌した。その後ろ過を行い、風乾し、ラジカル重合性の官能基を有する無機フィラーを得た。
これをF−1とする。
・コロイダルシリカ(スノーテックス OXS 日産化学工業社製 平均粒子径4〜6nm 固形分濃度10%)
・ラジカル重合性の官能基を有するシランカップリング剤(KBM−5103 信越化学工業社製)
KBM−5103 0.1gを水/メタノールの等量混合物10gに溶解させ、シランカップリング剤溶液とした。フラスコにスノーテックス OXSを100g加え、シランカップリング溶液を徐々に滴下し、滴下終了後60分攪拌した。その後ろ過を行い、風乾し、ラジカル重合性の官能基を有する無機フィラーを得た。
これをF−2とする。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン 50部
(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業社製)
アルキッド樹脂 14部
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製
メラミン樹脂 8部
(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業株式会社製)
2−ブタノン: 70部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及びチタニルフタロシアニン結晶を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作製した。
チタニルフタロシアニン結晶 15部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 10部
(パンライト TS2050、帝人化成社製
下記構造の電荷輸送物質 7部
ラジカル重合性の官能基を有する無機フィラー(F−2) 65部
ラジカル重合性化合物 15部
(トリメチロールプロパントリアクリレート 官能基数:3官能 分子量/官能基:99
KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
第二の無機フィラー 20部
(アルミナフィラー NanoTek Powder Al2O3 平均一次粒子径0.031μm、CIKナノテック社製)
重合開始剤 0.75部(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
テトラヒドロフラン 1007.5部
なお、各層の塗工後に指触乾燥を行なった後、下引き層は130℃、電荷発生層は95℃、電荷輸送層は120℃で各々20分乾燥を行ない、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真感光体を作製した。
硬化型保護層は、硬化型保護層塗工液を前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層感光体上に塗布した後にUVランプ(バルブ種 Hバルブ)(FusionUVシステムズ社製)を用いて、ランプ出力200W/cm、照度:450mW/cm2、照射時間:30秒の条件で光照射を行なうことで架橋させた。
この後、130℃で20分の乾燥を行なうことにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層/硬化型保護層からなる電子写真感光体を得た。なお、硬化型保護層の膜厚は約1.5μmとした。
硬化型保護層を表1に記載の処方に代える他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
なお、重合開始剤は各々ラジカル重合性化合物添加量に対し5%添加した。また、硬化型保護層塗工液の固形分濃度は10%となるようテトラヒドロフランで調整した。
<ラジカル重合性化合物>
TMPTA
(トリメチロールプロパントリアクリレートKAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
分子量/官能基:99
PETTA
(ペンタエリスリトールテトラアクリレート M−450、東亞合成社製)
分子量/官能基:88
DPHA
(ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート M−402 東亜合成社製)
分子量/官能基:96
アルミナ1
(NanoTek Powder Al2O3 平均一次粒子径0.031μm、CIKナノテック社製)
チタニア1
(NanoTek Powder TiO2 平均一次粒子径0.036μm、CIKナノテック社製)
シリカ
(NanoTek Powder SiO2 平均一次粒子径0.025μm、CIKナノテック社製)
・アルミナ2
(アドバンストアルミナ AA03 平均一次粒子径0.3μm、住友化学工業社製)
・チタニア2
(CR−EL 平均一次粒子径0.25μm、石原産業株社製)
硬化型保護層を下記のように作製する他は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。
メチルシロキサン単位80モル%、メチル−フェニルシロキサン単位20モル%からなるポリシロキサン樹脂(1%のシラノール基を含む)10部をトルエン8部に溶解し、これにメチルトリシロキサン12.0部とジブチル錫ジアセテート0.2部を更に添加して溶液を得た。
そして、この溶液10部に、トルエン20部、及び、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン4部を添加して保護層形成用塗工液を得た。
この塗工液を上記電荷輸送層上にスプレー塗布法により塗布し、110℃で10分乾燥した。
その後、170℃で2時間加熱処理して硬化し、膜厚約2.8μmの保護層を形成し、導電性支持体上に下引き層/電荷発生層/電荷輸送層/硬化型保護層からなる電子写真感光体を得た。
上記電子写真感光体を使用し、リコー製imagio MP C5000改造機を用いて評価を行った。実施した評価は通紙試験後の膜摩耗量、感光体観察およびトナークリーニング性評価である。通紙試験およびトナークリーニング性評価は、プロセスカートリッジから潤滑剤および潤滑剤塗布機構を取り除いて実施した。
電子写真用プロセスカートリッジに電子写真感光体を装着し、リコー製imagio MP C5000改造機の黒色を用いて、画像面積率5%チャートにて10万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製 MyPaper)を実施した。
通紙終了後に電子写真感光体を取り出し、通紙試験前後の電子写真感光体の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計 フィッシャースコープMMS(フィッシャー社製)を用いた。
電子写真感光体をimagio MP C5000の黒色プロセスカートリッジに装着し、画像面積率5%チャートにて100枚の通紙を行った。通紙後にベタチャートを出力し、X−Rite938(エックスライト社製)にて測定した画像濃度(ID Image Density)が約1.4になるよう濃度の調整を行った。その後クリーニングブレードの下流にポリエチレン繊維で作製したトナーキャッチャー(東洋紡績製ダイニーマND−200)を装着し、クリーニング部をすり抜けたトナーをキャッチする機構を設けた。
続いてベタ画像を10枚出力し、トナーキャッチャーにキャッチされたトナーを、クリーニング部をすり抜けたトナーとし、このトナー量を定量化しクリーニング性の評価を行った。
通紙試験後の電子写真感光体を観察し、耐汚染性の評価を行った。
観察はコンフォーカル顕微鏡OPTELICS H1200(レーザーテック社製)を用い、以下の条件にて観察を行った。
・測定モード : MAX Peak
・レンズ倍率 : 対物5倍
・カラー : MIX
上記観察結果から、電子写真感光体の耐汚染性をランク評価した。ランク3以上は実使用上問題のないレベルである。
5:汚染なし
4:わずかに汚染あり
3:若干の汚染あり
2:汚染が広範囲に広がっている
1:全面的に汚染されている
32 電荷発生層
33 電荷輸送層
34 硬化型保護層
10 感光体
11 帯電部材
12 画像露光部材
13 現像部材
14 搬送ローラ
15 転写紙
16 転写部材
17 クリーニング部材
18 除電部材
Claims (5)
- 導電性支持体上に、感光層、硬化型保護層を有する電子写真感光体であって、
該硬化型保護層は、少なくともラジカル重合性の官能基を有する第1の無機フィラーとラジカル重合性化合物との硬化生成物、及び、ラジカル重合性の官能基を有さない第2の無機フィラーを有するものであり、前記該電子写真感光体のユニバーサル硬度が300N/mm2以上であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記第2の無機フィラーは、平均一次粒子径が10nm以上100nm以下であり、硬化型保護層中で凝集していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化型保護層は、前記第2の無機フィラーを10wt%以上40wt%以下含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置であって、該電子写真感光体が請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段が1体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにであって、該電子写真感光体が請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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