JP6581487B2 - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
導電性支持体上に、感光層及び保護層をこの順に備えた電子写真感光体において、
前記保護層は、光硬化性樹脂と、リン含有化合物で表面処理されている金属酸化物とを含み、
前記金属酸化物は、酸化錫、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含み、
前記リン含有化合物は、前記金属酸化物と反応可能なリンオキソ酸部位と、光反応性部位と、フッ素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種類以上を含む潤滑性部位とを側鎖に有する重合体であることを特徴とする、電子写真感光体。
前記重合体は、グラフト重合体であることを特徴とする、構成1に記載の電子写真感光体。
前記リンオキソ酸部位は、一般式(1)で示される構造を含む、構成1又は2に記載の電子写真感光体。
前記光反応性部位は、一般式(2)で示される構造を含む、構成1から3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記光反応性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種類以上である、構成4に記載の電子写真感光体。
前記潤滑性部位は、一般式(3)で示される構造を含む、構成1から5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記潤滑性部位は、一般式(4)で示される部位を含む、構成1から5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記リン含有化合物は、300以上、100000以下の重量平均分子量を有する、構成1から7のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記金属酸化物は、5nm以上、300nm以下の平均一次粒径を有する、構成1から8のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記金属酸化物は、3以上のアスペクト比を有する、構成1から9のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記光硬化性樹脂は、アクリル系のモノマー、オリゴマー、及びデンドリマーからなる群より選択される少なくとも1種類以上の出発物質から形成されるアクリル系樹脂である、構成1から10のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記感光層は、オキソチタニルフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含む、構成1から11のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
構成1から12のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体の上に静電潜像を形成する像露光手段と、前記電子写真感光体の上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体の上に残るトナーを除去するクリーニング手段とを備えた、電子写真装置。
本発明の一実施形態にかかる電子写真感光体の断面模式図を図1に示す。電子写真感光体1は、導電性支持体2上に、感光層34、感光層34上に保護層5を備えている。
導電性支持体は、導電性を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、及びステンレス等の金属を、ドラム状、シート状、又はベルト状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔を、プラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、及び酸化スズ等を、プラスチックフィルムに蒸着したもの、金属、プラスチックフィルム、及び紙等に導電性物質を単独又はバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けたもの等が挙げられる。
感光層は、当業者に公知の方法により製造される、負帯電積層型の感光層及び正帯電単層型の感光層のいずれを用いても良い。
なお、図1では、導電性支持体2上の感光層34として、電荷発生層3及び電荷発生層3上に電荷輸送層4を備える、負帯電積層型の感光層を示している。
負帯電積層型の感光層は、電荷発生層の上に電荷輸送層が積層されて構成されている。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂も含むことができる。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ペリレン顔料、及びフタロシアニン顔料等が挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。中でも良好な電気特性を得られることから、電荷発生層は、オキソチタニルフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。電荷輸送層には電荷輸送物質としてホール輸送物質が含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。
正帯電単層型の感光層は、上記のバインダー樹脂により形成される単一の層内に、少なくとも上記の電荷発生物質、ホール輸送物質、電子輸送物質が分散されて構成されている。それぞれの物質は、負帯電積層型の場合と同様に、単独又は2種類以上の混合物として用いることもできる。
また、正帯電単層型の感光層は、負帯電積層型の場合と同様の方法により、これらの物質を、上記のバインダー樹脂を含む溶媒に分散又は溶解することにより、塗工液を得、導電性支持体に塗布した後に、バインダー樹脂を固化することにより、形成することができる。
正帯電単層型の感光層の膜厚は、5μm以上、40μm以下が好ましく、10μm以上、35μm以下がより好ましい。
本発明の一実施形態にかかる保護層の断面模式図を図2に示す。保護層5は、少なくとも光硬化性樹脂51と、光硬化性樹脂51内に分散した、リン含有化合物で表面処理されている金属酸化物52とを含有する。
光硬化性樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂等を挙げることができる。また、光硬化性の共重合樹脂も用いることができる。アクリル系樹脂は、アクリル系のモノマー、オリゴマー、及びデンドリマーからなる群より選択される少なくとも1種類以上の出発物質から形成することができる。通常、アクリル系樹脂を形成する際に、光官能基同士が光重合反応して架橋構造をとる場合、硬化前後における分子間距離に差が生じる。その結果、光硬化樹脂の全体として、比較的大きな硬化収縮を生じる。このような状態の光硬化樹脂を、感光体の保護層に用いると、その保護層は、非常に大きな内部応力を有し、硬いが脆いという欠点を有してしまう。よって、感光体表面に傷等の部分的欠陥が生じると、その欠陥部分を起点として感光体表面の傷・クラックが拡大してしまい、機械的な耐久性を損なうという問題点を生じる。電子写真感光体がこの問題点を有する可能性がある場合、本発明に用いる光硬化樹脂は、少なくともデンドリマーを出発物質として含むことが好ましい。デンドリマーは、デンドリマー同士の結合密度が、内側が密であり、外側が粗になる球状の構造を有する。よって、デンドリマーを出発物質に用いることにより、内部応力を低減し、光硬化性樹脂として、硬度を保ちながら柔軟性を保つことができる。これにより、保護層全体としての耐傷性などが向上し、膜の脆性を改善することができる。すなわち、アクリル系のモノマー及びオリゴマーからなる群より選択される1種類以上にデンドリマーを添加すると、高いマルテンス硬度が得られ、耐刷性を向上することができる。アクリル系のモノマー、オリゴマー、及びデンドリマーは各々、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種類以上の基を3つ以上有する、すなわち3官能以上のラジカル重合性であることが好ましい。アクリル系のモノマーとしては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができる。アクリル系のオリゴマーとしては数平均分子量が170以上、2000以下のものを用いることができ、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー等を挙げることができる。アクリル系のデンドリマーとしては、重量平均分子量1000以上、25000以下の範囲に単一的な分子量ピークを持つものを用いることができる。アクリル系のデンドリマーは、ポリエステルアクリレート及び共重合系ポリアクリレートからなる群より選択されるいずれかからなることが好ましい。共重合系ポリアクリレートは、好ましくは分子内にエポキシ基を反応基として2つ以上有する架橋性ポリマーである。例えば、グリシジルアクリレートを共重合したポリアクリレートが好ましい。エポキシ系樹脂は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロへキサンカルボキシレート、1,2,8,9−ジエポキシリモネン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等を含む出発物質から形成することができる。
本発明に用いるリン含有化合物は、リンオキソ酸部位を有する。リンオキソ酸部位は、リン原子に直接結合したオキソ基と、2つの水酸基若しくはこの水酸基のうちの一方の水素原子が有機基で置換された構造をもつ。よって、オキソ酸部位のリン原子が、上記のオキソ基及び水酸基に含まれる酸素原子とは異なる酸素原子を介して有機基と結合している場合、本発明に用いるリン含有化合物は、リン酸エステル化合物である。また、オキソ酸部位のリン原子が、炭素原子を介して他の有機基と結合している場合、本発明に用いるリン含有化合物は、有機リン化合物である。
一方、金属酸化物の化学的修飾に用いられるシランカップリング剤等のシラン系化合物は、水酸基に対する反応性が非常に高い。よって、水分が存在すれば、シランカップリング剤どうしが反応してしまう。また、所望の反応を終了した後に、未反応のシランカップリング剤が残存する場合には、水酸基を有する他の材料と反応してしまう。このような反応が起きると、一定の性能を有する電子写真感光体を安定的に製造することが困難になる。
本発明に用いるリン含有化合物は、これらの中でも、アクリル系の主鎖を有する重合体であることが好ましい。
アルキル基としては、炭素数が1以上、5以下のものを挙げることができ、より具体的には、炭素数が1のメチル基及び炭素数が2のエチル基を挙げることができる。炭素数が1のメチル基である場合、一般式(1)のOR1は、アルコキシ基の1つであるメトキシ基である。
アリール基としては、フェニル基のほか、フェニル基の水素原子が任意に置換されたトリル基若しくはキシリル基、ナフチル基、或いはベンジル基等を挙げることができる。
また、このリン酸基は、炭化水素基、例えば、飽和炭化水素基の1つであるアルキレン基を介してアクリル系の主鎖に結合することができ、そのようなアルキレン基は炭素数1以上、5以下とすることができる。後述する図4、5では、そのようなアルキレン基として、主鎖の−COO基とリン酸基との間に位置するプロピレン基が例示されている。
式中、R2はアルキレン基であり、Yは光反応性官能基である。R2のアルキレン基としては、炭素数が1以上、5以下のもの、具体的にはエチレン基を挙げることができる。一般式(2)で示される部位は、アルキレン基を介してアクリル系の主鎖に結合することができ、そのようなアルキレン基は炭素数1以上、5以下とすることができる。後述する図4、5では、そのようなアルキレン基として、主鎖の−COO基と、NH基に隣接する−COO基との間に位置するエチレン基が例示されている。
さらに、光硬化性樹脂との架橋により、機械的強度が保たれるだけでなく、保護層の下層を酸性ガスや湿度から守るパッキング性を保つことができる。加えて、本発明のリン含有化合物は、光反応性部位やリンオキソ酸部位を側鎖に有し、1分子当たりの各部位の数を多くすることができ、光硬化性樹脂と、より強固に架橋させたり、金属酸化物により強く反応させたりすることができる。
金属酸化物は、耐摩耗性の向上の観点から、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、リンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等を含有することができる。保護層の中には、ある金属酸化物とそれとは別の金属酸化物とが含まれてもよい。ホール輸送に適した抵抗値を有し、残留電位上昇の抑制にも効果があることから、金属酸化物が酸化錫、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。
金属酸化物の平均一次粒径は、10nm以上、100nm以下であることが、より好ましい。
導電性支持体と感光層との間に中間層を設けてもよい。中間層は、界面での電荷注入を制御するバリヤー層や接着層として機能する。中間層は主にバインダー樹脂から成るが、金属や合金、若しくはそれらの酸化物、塩類及び界面活性剤等を含んでもよい。中間層を形成するバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、及びブチラール樹脂等が挙げられる。中間層の膜厚は、好ましくは0.05μm以上、7μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上、2μm以下である。
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体の周面を帯電させる帯電手段と、像露光手段と、現像手段と、クリーニング手段と、を備えて構成される。以下、図7を参照して説明する。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上に感光層を形成する工程、前記感光層上に保護層を形成する工程を包含し、前記保護層は、リン含有化合物で表面処理されている金属酸化物と光硬化性樹脂とを硬化させることにより形成され、前記表面処理は、前記リン含有化合物と前記金属酸化物とを混合することにより行われ、前記リン含有化合物は、前記金属酸化物と反応可能なリンオキソ酸部位と、光反応性部位と、フッ素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種類以上を含む潤滑性部位とを側鎖に有する重合体であり、前記金属酸化物は、酸化錫、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含む、製造方法である。
なお、感光層が負帯電積層型である場合、前記感光層を形成する工程は、前記導電性支持体上に、電荷発生層を形成する工程と、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成する工程とを含む。
すなわち、本発明の電子写真装置の製造方法は、本発明の電子写真感光体に、上記帯電手段として機能する帯電装置、像露光手段として機能する露光装置、現像手段として機能する現像装置、クリーニング手段として機能するクリーニング装置を組み合わせることによる。
感光体を以下の手順で作製した。
導電性支持体として、外径30mmのアルミニウム素管を用いた。
下記の材料を、ビーズミルを使用して5時間分散した。ポリアミド樹脂にはCM8000(東レ株式会社製)を用い、酸化チタンにはMT−500SA(テイカ株式会社製)を用いた。
ポリアミド樹脂 5重量部
酸化チタン 5重量部
メタノール 50重量部
n−プロパノール 10重量部
分散した液を導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚1μmの中間層を形成した。
下記の材料を、ビーズミルを使用して3時間分散した。ブチラール樹脂にはBX−5(積水化学株式会社製)を用いた。
オキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型) 10重量部
ブチラール樹脂 10重量部
1,2−ジメトキシエタン 900重量部
シクロヘキサノン 100重量部
分散した液を、中間層を形成した導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
下記の材料をTHF100重量部に混合し、溶解した。ポリカーボネートには、PCZ−500(三菱ガス化学株式会社社製)を用いた。
電荷輸送物質:1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン 10重量部
バインダー樹脂:ポリカーボネート 10重量部
酸化防止剤:BHT 0.1重量部
溶解した液を、前述のとおり電荷発生層を形成した導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。その後、135℃で30分乾燥を行った。これにより、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層して構成した感光層を形成した。
成分Aとして、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート[ホスマーM(ユニケミカル株式会社製)]を用い、成分Bとして、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)[東京化成工業製]を用い、成分Cとして、片末端反応性シリコーンオイル[X−22−174DX(信越シリコーン製)]を用いた。これらの成分を、成分A:成分B:成分Cのモル比が30:40:30となるように用意した。3つの成分の合計100重量部に対して、開始剤としてAIBNを5重量部加えた。固形分、すなわち3つの成分AからCとAIBNを合わせたものが15重量%となるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを加え、窒素置換下で撹拌しながら70℃で4時間、重合反応を行い、反応液1を得た。
金属酸化物として、リンドープ酸化錫(以下、PTOと表記)[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]を用いた。用いた金属酸化物の平均一次粒径を表1に示す。分散溶媒として、メタノールとn−プロパノールを重量比で7:3の割合で混合したものを用いた。これら材料と反応液2を下記の割合で混合し、サンドミルを用いて6時間分散した。
反応液2 0.1重量部
金属酸化物 10重量部
分散溶媒 40重量部
このようにして得られた溶液は固形分として表面処理されたPTOを20重量%含んでおり、この溶液を以下、PTO液(リン含有化合物で表面処理された金属酸化物の溶液)として用いた。
なお、平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により粒子の拡大写真を投影し、スキャナーで取り込んだ写真画像を、画像解析することによって算出した。
下記のとおり、保護層を形成した。
重合開始剤として、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン[Irgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)]を用い、光硬化性樹脂として、ウレタンアクリレートオリゴマー[UV−7605B(日本合成株式会社製)](重量平均分子量:1100、数平均分子量:800)を用い、分散溶媒として、メタノールとn−プロパノールを重量比で7:3の割合で混合したものを用いた。これらの材料を上記のようにして得られた10重量部のPTO液に対して下記の割合で加え、遮光下で混合撹拌し、保護層塗布液を調製した。
重合開始剤 0.6重量部
光硬化性樹脂 10重量部
分散溶媒 42.4重量部
前述のとおり感光層を形成した後で乾燥した導電性支持体に保護層塗布液を浸漬塗布した。塗布後、80℃で10分、溶媒の乾燥を行った。乾燥後、160W/cmのメタルハライドランプを用いて、ランプからの距離が100mmの位置で導電性支持体を回転させながら1分間照射し、膜厚5μmの保護層を形成することで感光体を作製した。
反応液2を調製する際、2−イソシアナトエチルメタクリレート[カレンズMOI(昭和電工株式会社製)]に代えて、2−イソシアナトエチルアクリラート[カレンズAOI(昭和電工株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
反応液1を調製する際、片末端反応性シリコーンオイル[X−22−174DX(信越シリコーン製)]に代えて、オクタフルオロペンチルアクリレート[ビスコート8F(大阪有機化学工業株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
反応液1を調製する際、反応時間を短くし、リン含有化合物の重量平均分子量を5000に小さく調整したこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
表面処理する金属酸化物として、PTOに代えてアンチモンドープ酸化錫(以下、ATOと表記)[T−1(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
表面処理する金属酸化物であるPTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]を、ゾル状のPTO[CX−S204IP(日産化学工業製)(固形分20%IPAゾル溶液)]に代え、分散溶媒を加えずに、反応液2及び金属酸化物を下記の割合で混合して6時間撹拌したこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
反応液2 0.1重量部
金属酸化物 50重量部(固形分 10重量部)
表面処理する金属酸化物としてPTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]に代えて、針状ATO[FS−10P(石原産業製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。用いた金属酸化物は、長軸の長さが0.2μm以上、2.0μm以下、短軸の長さが0.01μm以上、0.02μm以下であり、アスペクト比が20以上、30以下であった(表1には、平均一次粒径の欄に「不定形」と表記している)。なお、長さの測定には、走査型電子顕微鏡を用いた。
表面処理する金属酸化物としてPTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]に代えて、酸化錫[S−2000(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
表面処理する金属酸化物としてPTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]に代えて、酸化チタン[MT500B(テイカ株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
表面処理する金属酸化物としてPTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]に代えて、アンチモンドープ酸化亜鉛(以下、AZOと表記)[CX−Z210IP(日産化学工業製)(固形分20%IPAゾル溶液)]を用い、分散溶媒を加えずに、反応液2及び金属酸化物を下記の割合で混合して6時間撹拌したこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
反応液2 0.1重量部
金属酸化物 50重量部(固形分 10重量部)
光硬化性樹脂として、ウレタンアクリレートオリゴマー[UV−7605B(日本合成株式会社製)]に代えて、4官能アクリルモノマーであるジトリメチロールプロパンテトラアクリレートモノマー[SR355(サートマー社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
光硬化性樹脂として、10重量部のウレタンアクリレートオリゴマー[UV−7605B(日本合成株式会社製)]に代えて、5重量部のウレタンアクリレートオリゴマー[UV−7605B(日本合成株式会社製)]と5重量部のポリアクリレートデンドリマー[SIRIUS−501(大阪有機化学工業株式会社製)]とを合わせたものを用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
光硬化性樹脂として、10重量部のウレタンアクリレートオリゴマー[UV−7605B(日本合成株式会社製)]に代えて、4重量部のウレタンアクリレートオリゴマー[UV−7605B(日本合成株式会社製)]、1重量部のウレタンアクリレートオリゴマー[UT−5670(日本合成株式会社製)]、及び5重量部のポリアクリレートデンドリマー[SIRIUS−501(大阪有機化学工業株式会社製)]を合わせたものを用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
電荷発生層の顔料として、オキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型)に代えて、ガリウムフタロシアニン顔料(V型)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
電荷発生層の顔料として、10重量部のオキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型)に代えて、5重量部のオキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型)、及び5重量部のガリウムフタロシアニン顔料(V型)を合わせたものを用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
金属酸化物に表面処理を施さない、すなわち、保護層塗布液を調製する際、PTO液に代えて、固形分20重量%となるようにPTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]のみを含む溶液を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
金属酸化物の表面処理を行う際、0.1重量部の反応液2に代えて、1重量部のアシッドホスホオキシエチルメタクリレート[ホスマーM(ユニケミカル株式会社製)]のみを同じ分散溶媒に含む溶液を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
製造例16と同様に金属酸化物に表面処理を施さず、製造例1と同じ保護層塗布液にPTO液を用いずに、0.1重量部の両末端変性シリコーン[X−22−2445(信越シリコーン製)]を添加したこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
表面処理する金属酸化物として、PTO[SP−2(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]に代えて、アルミナ[スミコランダムAA−03(住友化学工業株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
表面処理する金属酸化物として、PTO[T−1(三菱電子マテリアル化成株式会社製)]に代えて、シリカ[KMPX−100(信越化学株式会社製)]を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
反応液1を調製する際、反応時間を長くし、リン含有化合物の重量平均分子量を120000に大きく調整したこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
電荷発生層の顔料として、オキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型)に代えて、無金属フタロシアニン(X型)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして感光体を作製した。
マルテンス硬度を微小硬度計[フィッシャー・インストルメンツ社製ピコデンターHM500]にて測定した。また、同じ硬度計を用いて1mNの加重で押し込んだときの弾性仕事率を測定した。
作製した感光体を10℃、湿度10%の条件下、露光後の電位を、初期の電位VLとして表面電位計[トレック・ジャパン株式会社製、型番:MODEL344]の測定プローブで測定した。
初期の電位VLを測定した後、感光体を電子写真装置[三星株式会社製CLX−8650ND]に装着した。次いで、30℃、湿度80%の条件下、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色の印字率5%のA4画像を60万枚印刷している間に、ブレードの鳴きを確認した。その結果を表2に示す。なお、評価基準は下記の通りである。
◎:60万枚終了するまでブレードの鳴き無し
○:感光体の起動時・停止時に軽微な鳴きあり(実使用上問題無し)
×:連続的にブレードの鳴きあり
ブレード鳴きを評価した後、1晩放置し、翌朝、ハーフトーン画像と、テキスト5%チャートを印字し、画像ボケ及び画像流れの有無を判定した。その結果を表2に示す。なお、評価基準は下記の通りである。
◎:画像ボケ・流れ発生無し
○:軽微な画像ボケ・流れ発生(実使用上問題無し)
×:画像ボケ・流れ発生
画像ボケの評価後、10℃、湿度10%の条件下、印字率5%のA4画像を30万枚印刷した。この後に、ハーフトーン(HT)画像を形成し、クリーニング性能について下記の評価基準で目視判断した。その結果を表2に示す。
◎:クリーニング不良による画像欠陥無し
○:帯電ローラ及び帯電クリーニングローラ上のうち、少なくとも一方以上にトナーがすり抜けた痕あり
×:クリーニング不良による画像欠陥あり
VLendを測定した後、目視で感光体表面の傷を確認した。その結果を表2に示す。なお、評価基準は下記の通りである。
◎:目立った傷無し
○:1箇所以上、5箇所以下の傷あり(実使用上問題無し)
×:6箇所以上傷あり
感光体の初期の膜厚と、VLendの測定及び感光体の表面の傷を確認した後の膜厚を、渦電流式膜厚計[株式会社フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープMMS]で測定した。初期の膜厚と、VLendを測定した後の膜厚との差を、キロ単位で表した感光体の回転数で割った値を膜減耗率とした。結果を表2に示す。表2中の「k OPC cycle」は、キロ単位で表した感光体の回転数である。例えば、10k OPC cycleは、感光体が1万回、回転したことを示す。よって、膜減耗率は、この1万回の回転により、摩耗した膜厚(nm)を10で割った数値である。
なお、評価の途中にクリーニングブレードの反転が起った製造例には、欄外の横に「※1」を並べて表記している。
これに対して、酸化錫、酸化亜鉛、又は酸化チタンを含有する金属酸化物を用いた例(例えば、製造例1、製造例5から10)では、良好な電気特性が得られた。
2…導電性支持体、
34…感光層、
3…電荷発生層、
4…電荷輸送層、
5…保護層、
51…光硬化性樹脂、
52…金属酸化物、
6…リン含有化合物、
61…リンオキソ酸部位、
62…光反応性部位、
63…潤滑性部位、
7…金属酸化物、
10…電子写真装置、
11…半導体レーザ(露光手段)、
12…補正光学系、
13…回転多面鏡、
14…f−θレンズ、
15…帯電装置(帯電手段)
16…現像装置(現像手段)、
17…転写装置(転写手段)、
18…クリーニング装置(クリーニング手段)、
19…定着装置(定着手段)、
20…制御回路、
21…画像受容体。
Claims (13)
- 導電性支持体上に、感光層及び保護層をこの順に備えた電子写真感光体において、
前記保護層は、光硬化性樹脂と、リン含有化合物で表面処理されている金属酸化物とを含み、
前記金属酸化物は、酸化錫、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含み、
前記リン含有化合物は、前記金属酸化物と反応可能なリンオキソ酸部位と、光反応性部位と、フッ素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種類以上を含む潤滑性部位とを側鎖に有する重合体であることを特徴とする、電子写真感光体。 - 前記重合体は、グラフト重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記光反応性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種類以上である、請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記リン含有化合物は、300以上、100000以下の重量平均分子量を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物は、5nm以上、300nm以下の平均一次粒径を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物は、3以上のアスペクト比を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記光硬化性樹脂は、アクリル系のモノマー、オリゴマー、及びデンドリマーからなる群より選択される少なくとも1種類以上の出発物質から形成されるアクリル系樹脂である、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、オキソチタニルフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンからなる群より選択される少なくとも1種類以上を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体の上に静電潜像を形成する像露光手段と、前記電子写真感光体の上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体の上に残るトナーを除去するクリーニング手段とを備えた、電子写真装置。
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